(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138540
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ステッキ類の製造方法及びステッキ類
(51)【国際特許分類】
A45B 9/02 20060101AFI20220915BHJP
A45B 9/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
A45B9/02 Z
A45B9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038473
(22)【出願日】2021-03-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行者 信濃毎日新聞社 刊行物 信濃毎日新聞 朝刊 発行日 令和2年12月16日
(71)【出願人】
【識別番号】398033389
【氏名又は名称】株式会社ナイト工芸
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 守
(57)【要約】
【課題】 ウイルス感染の防止効果を高め、年配者の安全性確保を図るとともに、抗ウイルス性能に優れたステッキ類を容易かつ低コストに製造可能にする。
【解決手段】 ポール部2とこのポール部2の上端に設けたグリップ部3を備えるステッキ類1を製造するに際し、外周面2fに、抗ウィルス材Mを配合した塗料Cを塗布することによりポール部2を製作するとともに、抗ウィルス材Mを配合した成形材料Rによりグリップ部3を成形し、成形したグリップ部3に、製作したポール部2を組付けることによりステッキ類1を製造する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポール部とこのポール部の上端に設けたグリップ部を備えるステッキ類を製造するためのステッキ類の製造方法において、外周面に、抗ウィルス材を配合した塗料を塗布することにより前記ポール部を製作するとともに、抗ウィルス材を配合した成形材料により前記グリップ部を成形し、成形した前記グリップ部に、製作した前記ポール部を組付けることにより前記ステッキ類を製造することを特徴とするステッキ類の製造方法。
【請求項2】
前記塗料は、透明なクリア塗料を使用し、抗ウィルス材を配合した当該クリア塗料を、表面処理を施した前記ポール部の外周面に塗布することを特徴とする請求項1記載のステッキ類の製造方法。
【請求項3】
前記グリップ部は、成形材料として、軟質性のポリ塩化ビニルを用いることを特徴とする請求項1又は2記載のステッキ類の製造方法。
【請求項4】
前記ステッキ類には、少なくとも、ステッキ,ウォーキングポール,又はトレッキングポールを含むことを特徴とする請求項1,2又は3記載のステッキ類の製造方法。
【請求項5】
ポール部とこのポール部の上端に設けたグリップ部を備えるステッキ類において、外周面に、抗ウィルス材を配合した塗料を塗布して製作した前記ポール部と、抗ウィルス材を配合した成形材料により成形した前記グリップ部とを組付けて構成したことを特徴とするステッキ類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポール部とこのポール部の上端に設けたグリップ部を備えるステッキ類を製造するためのステッキ類の製造方法及びステッキ類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の長さを有するポール部の上端に手で持つグリップ部を備えるステッキは知られている。また、この種のステッキは、主に、年配者が使用するため、安全性や利便性を高めるための付加価値を付したステッキも提案されており、既に、本出願人も、付加価値をより高めたステッキとして、特許文献1に記載のステッキ類及び特許文献2に記載のステッキ類を提案した。
【0003】
同文献1のステッキ類は、より遠方まで届く明るさを確保し、お年寄り等が夜間歩く際における安全性及び防犯性を高め、更には強度及び耐久性を確保することを目的としたものであり、具体的には、一又は二以上の多色発光ダイオードと、少なくともこの多色発光ダイオードの発光色を時間に従って変化させる発光制御部と、多色発光ダイオード及び発光制御部に給電する電池と、この電池からの給電をON/OFFする電源スイッチとを有する発光ユニットを、ポール部及び/又はグリップ部に内蔵させることにより構成したものである。
【0004】
また、同文献2のステッキ類は、歩行に合わせてステッキ類を動かしても前下方を安定に照射できるようにするとともに、本来のグリップ部の機能であるグリップ性及び感触性等を確保し、また、既存のステッキ類に対する組込み或いは後付けを容易にして汎用性を高めることを目的としたものであり、具体的には、ポール部の下端部に、下端口から光を発する発光ダイオードを有する発光部を内蔵し、かつ下端口に、発光部からの光を透過する透明又は半透明の石突部を装着するとともに、ポール部に、発光ダイオードからの給電をON/OFFする電源スイッチを配設して構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-311891号公報
【特許文献2】実用新案登録第3118032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来のステッキ類は、年配者の安全性をより確保する観点からは、更なる改善すべき点も存在した。
【0007】
即ち、現在、年配者の安全性を確保するための最も重要な課題の一つとして、ウイルスに対する感染防止対策を挙げることができる。特に、ステッキやウォーキングポール等は、年配者の歩行をサポートする手段として利用されるため、屋外の歩行時に、常に、手で握って使用するため、例えば、年配者が買い物などをした際に、手に付着したウイルスがステッキ等のグリップ部に転写されやすい側面がある。
【0008】
この場合、アルコール消毒液等により頻繁に拭き取ればよいが、このような拭き取り作業は、年配者にとって、かなり煩わしい作業となり、常時、習慣付けて行うことは容易でない。結局、年配者が頻繁に使用するステッキ類に対しては、より適したウイルス対策が講じられていないのが実情であり、従来より、ステッキ類に対する有効性の高いウイルス対策が望まれていた。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したステッキ類の製造方法及びステッキ類の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るステッキ類の製造方法は、上述した課題を解決するため、ポール部2とこのポール部2の上端に設けたグリップ部3を備えるステッキ類1を製造するに際し、外周面2fに、抗ウィルス材Mを配合した塗料Cを塗布することによりポール部2を製作するとともに、抗ウィルス材Mを配合した成形材料Rによりグリップ部3を成形し、成形したグリップ部3に、製作したポール部2を組付けることによりステッキ類1を製造するようにしたことを特徴とする。
【0011】
一方、本発明に係るステッキ類1は、上述した課題を解決するため、ポール部2とこのポール部2の上端に設けたグリップ部3を備えるステッキ類を構成するに際して、外周面2fに、抗ウィルス材Mを配合した塗料Cを塗布して製作したポール部2と、抗ウィルス材Mを配合した成形材料Rにより成形したグリップ部3とを組付けて構成したことを特徴とする。
【0012】
また、発明の好適な実施態様により、塗料Cには、透明なクリア塗料Cmを使用し、抗ウィルス材Mを配合した当該クリア塗料Cmを、表面処理を施したポール部2の外周面2fに塗布することができるとともに、グリップ部3の成形材料Rには、軟質性のポリ塩化ビニルを用いることができる。なお、ステッキ類1には、少なくとも、ステッキ1s,ウォーキングポール1w,又はトレッキングポールを含ませることができる。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明に係るステッキ類の製造方法及びステッキ類1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0014】
(1) ステッキ類1を製造するに際し、外周面2fに、抗ウィルス材Mを配合した塗料Cを塗布することによりポール部2を製作するとともに、抗ウィルス材Mを配合した成形材料Rによりグリップ部3を成形し、成形したグリップ部3に、製作したポール部2を組付けることによりステッキ類1を製造するようにしたため、抗ウイルス性能に優れたステッキ類1を容易かつ低コストに製造することができる。
【0015】
(2) ステッキ類1は、外周面2fに、抗ウィルス材Mを配合した塗料Cを塗布して製作したポール部2と、抗ウィルス材Mを配合した成形材料Rにより成形したグリップ部3とを組付けて構成したため、年配者の歩行をサポートする手段として利用されるステッキやウォーキングポール等における十分な抗ウイルス性能を確保できる。これにより、ウイルス感染の防止効果を高め、年配者の安全性確保を図る観点からその有効性をより高めることができる。
【0016】
(3) 好適な態様により、塗料Cに、透明なクリア塗料Cmを使用し、抗ウィルス材Mを配合した当該クリア塗料Cmを、表面処理を施した外周面2fに塗布するようにすれば、外周面2fの表面処理をそのまま利用できるとともに、クリア塗料Cmによるコーティングにより、外周面2fの保護処理と抗ウイルス性処理を同時に行うことができる。
【0017】
(4) 好適な態様により、成形材料Rに、軟質性のポリ塩化ビニルを用いるようにすれば、成形工程により、目的のグリップ部3を製作すると同時に抗ウイルス性処理を行うことができる。
【0018】
(5) 好適な態様により、ステッキ類1に、ステッキ1s,ウォーキングポール1w,トレッキングポールを含ませれば、年配者が比較的頻繁に使用するサポート用具における抗ウイルス性能を確保することが可能になるため、最も、望ましい形態として実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の好適実施形態に係る製造方法によりステッキを製作する手順を説明するためのフローチャート(工程図)、
【
図2】同製造方法により得られるステッキの外観側面図、
【
図3】同ステッキの作用説明図を含む
図2中A-A線の拡大断面図、
【
図4】同ステッキの一部抽出拡大図を含む
図2中B-B線の断面図、
【
図6】同製造方法により得られるウォーキングポールの外観側面図、
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
まず、本実施形態に係るステッキ類1の製造方法について、
図2-
図4を参照しつつ
図1に示すフローチャートに従って説明する。
【0022】
実施形態は、製造するステッキ類1として、年配者が主に使用する
図2のステッキ1sを示す。このステッキ1sは、
図2に示すように、主要構成として、ポール部2と、このポール部2の上端に設けたグリップ部3と、ポール部2の下端に設けた杖先ゴム部4とを備える。また、ポール部2は、上側に配する上ポール部2uと下側に配する下ポール部2dを備え、調整リング部2cの回し操作により、上ポール部2uと下ポール部2dを固定するロックポジションと上ポール部2uに対して下ポール部2dを伸縮させることができるロック解除ポジションに位置させることができる。
図2に仮想線で示す杖先ゴム部4sは、上ポール部2uに対して下ポール部2dを引出すことにより伸長させた状態を示す。なお、符号5はストラップを示す。
【0023】
以下、ステッキ1sの製造方法について具体的に説明する。まず、グリップ部3を製作する(ステップS1)。この場合、基材となる成形材料Rとこの成形材料Rの添加材となる抗ウイルス材Mを用意する。
【0024】
成形材料Rには、軟質性の合成樹脂素材が望ましく、実施形態では、ポリ塩化ビニル(成形材料Rp)を用いた。また、抗ウイルス材Mには、抗菌効果に優れ、かつ人体に無害な、銀系無機抗菌材を用いることが望ましく、実施形態では、ナトコ株式会社製の「抗菌ベースNo.100(商品名)」(抗ウイルス材Mu)を用いた。
【0025】
そして、成形材料Rpに対し、重量比において、1-3〔%〕(実施形態は、1.5〔%〕)の抗ウイルス材Muを配合する(ステップS11)。また、抗ウイルス材Muを配合した成形材料Rpをミキシング処理により均一に混合させる(ステップS12)。この後、成形機を使用し、グリップ部3を象ったキャビティを有する金型を使用して成形処理(成形工程)を行う(ステップS13)。これにより、目的のグリップ部3を得ることができる。このように、成形材料Rに、軟質性のポリ塩化ビニルを用いるようにすれば、成形工程により、目的のグリップ部3を製作すると同時に抗ウイルス性処理を行うことができる。
【0026】
次いで、ポール部2を製作する(ステップS2)。ポール部2は大径の上ポール部2uと小径の下ポール部2dを使用するため、径の異なるパイプ材料をカッティングし、必要な加工処理を行うことにより、上ポール部2uと下ポール部2dをそれぞれ得る(ステップS21)。また、上ポール部2uの外周面2fと下ポール部2dの外周面2fに対してそれぞれ表面処理を行う(ステップS22)。この場合、表面処理には、印刷処理によるデザインの表示,アルマイト処理,メッキ処理等の、外周面2fの表面に対する各種処理が含まれるとともに、広くは、洗浄処理等も含まれる概念である。
図4中、符号7は、表面処理した処理層を示す。
【0027】
一方、塗料Cとして、透明な合成樹脂製のクリア塗料Cmを用意するとともに、上述したグリップ部3の製作時に用いた抗ウイルス材Mと同じ抗ウイルス材Muを用意する。そして、クリア塗料Cmに対し、重量比において、1-3〔%〕(実施形態は、1.5〔%〕)の抗ウイルス材Muを配合する(ステップS23)。
【0028】
また、抗ウイルス材Muを配合したクリア塗料Cmをミキシング処理により均一に混合させる(ステップS24)。この後、抗ウイルス材Muを配合したクリア塗料Cmを、上ポール部2uと下ポール部2dの外周面2fにおける表面、即ち、上ポール部2uと下ポール部2dにおける表面処理した処理層7の上面の全体に均一に塗布処理(コーティング処理)する(ステップS25)。塗布処理が終了したなら、予め設定した設定時間にわたり乾燥処理(乾燥工程)を行う(ステップS26,S27)。なお、抗ウイルス材Muを配合したクリア塗料Cmの塗布は、上ポール部2uのみであってもよいし、ポール部2に備える調整リング部2cを含めた塗布、更にはポール部2の全体を含めて塗布するなど、必要に応じて塗布範囲を選定することができる。乾燥処理の終了により目的のポール部2の主要部分を得ることができる。
【0029】
このように、ポール部2を製作するに際し、塗料Cとして、透明なクリア塗料Cmを使用し、抗ウィルス材Mを配合した当該クリア塗料Cmを、表面処理を施した外周面2fに塗布するようにすれば、外周面2fの表面処理をそのまま利用できるとともに、クリア塗料Cmによるコーティングにより、外周面2fの保護処理と抗ウイルス性処理を同時に行うことができる。
【0030】
次いで、上ポール部2u,下ポール部2d及び調整リング部2cの組付けを行うことにより、ポール部2を組立てるとともに、組立てたポール部2を、成形したグリップ部3に対して組付けする(ステップS3)。さらに、杖先ゴム部4及びストラップ5等の残りの部品の組付けを行う(ステップS4)。組付が終了したなら、最後に、外観検査や動きの検査等の必要な検査を行う(ステップS5)。これにより、
図2に示すステッキ1sを得ることができる。
【0031】
次に、本実施形態に係る製造方法により得られたステッキ1sの機能(作用)について、
図2-
図5を参照して説明する。
【0032】
まず、抗ウィルス材Muを配合した成形材料Rpにより成形されたグリップ部3は、
図3に示すように、成形材料Rp内に分布する抗ウィルス材Muの銀(Ag)イオンにより、抗ウィルス作用を呈する。即ち、
図3に示すように、Agイオンが触媒として作用することにより、過酸化水素を生成するとともに、活性酸素を発生させ、この活性酸素がウイルスZv内に入り込む。また、担体とイオン結合しているAgが、Agイオンと解離し、ウイルスZv内に入り込む。これらの二つの作用により、ウイルス内では、酵素(タンパク質)に対して結合作用が働き、エネルギ代謝機能を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制する作用(抗ウィルス作用)を呈する。この抗ウィルス作用は、
図4に示すように、抗ウィルス材Muを配合したクリア塗料Cmが外周面2fの表面に塗布されたポール部2の場合も同様に行われる。
【0033】
一方、この抗ウィルス作用に対する評価試験を行った。評価試験では、上述したグリップ部3と同様の素材により形成したシート材を使用した。具体的には、成形材料Rpに対して抗ウィルス材Muを1.5〔%〕を配合してシート材を作成し、このシート材を所定の大きさにカッティングしてサンプルシート(本実施例)として評価試験を行った。
【0034】
試験は、ISO21702法を引用し、供試ウイルスとして、インフルエンザウイルスを用いた。試験方法は、宿主細胞となるCRFK細胞(ネコ腎臓由来細胞)にインフルエンザウイルスを感染させ、培養することにより、所定濃度のウイルス懸濁液を調製するとともに、シャーレに、5〔cm〕×5〔cm〕にカッティングしたサンプルシートを入れ、0.4〔ミリリットル〕のウイルス懸濁液を載せ、さらに、全体に行きわたるように、4〔cm〕×4〔cm〕にカッティングしたポリエチレンフィルムにより被覆した。そして、このシャーレを、恒温恒湿機に24時間保管し、SCDLP培地(寒天培地)により洗い出し、この洗い出し液を、イーグル最小必須培地により、段階希釈を行い、これら希釈液のウイルス感染価を、プラーク測定法により測定した。なお、対照として、5〔cm〕×5〔cm〕のポリエチレンシートを用いた。
【0035】
図5に評価試験結果のデータ表を示す。表中(a)は、「ブランクのウイルス感染価対数値-本実施例のウイルス感染価対数値」を示す。抗菌製品技術協議会(SIAA)では、抗ウィルス性能基準として、(a)の数値が2.0以上になることを要求している。表中(b)は、「対照のウイルス感染価対数値-本実施例のウイルス感染価対数値」を示す。
図5の評価試験結果に示すように、成形材料Rpに抗ウィルス材Muを配合したサンプルシート(本実施例)では、プラークの形成は認められず、高い抗ウィルス性能を有することを確認できた。
【0036】
このような本実施形態に係るステッキ1sの製造方法及び同製造方法により得られるステッキ1sによれば、ステッキ1sを製造するに際し、基本的な手法として、外周面2fに、抗ウィルス材Mを配合した塗料Cを塗布することによりポール部2を製作するとともに、抗ウィルス材Mを配合した成形材料Rpによりグリップ部3を成形し、成形したグリップ部3に、製作したポール部2を組付けることによりステッキ1sを製造するようにしたため、抗ウイルス性能に優れたステッキ類1を容易かつ低コストに製造することができる。また、ステッキ1sは、基本的な構成として、外周面2fに、抗ウィルス材Mを配合した塗料Cを塗布して製作したポール部2と、抗ウィルス材Mを配合した成形材料Rにより成形したグリップ部3とを組付けて構成したため、年配者の歩行をサポートする手段として利用されるステッキやウォーキングポール等における十分な抗ウイルス性能を確保できる。これにより、ウイルス感染の防止効果を高め、年配者の安全性を図る観点からその有効性をより高めることができる。
【0037】
他方、
図6には、ステッキ類1の他の例として、ウォーキングポール1wを示す。このウォーキングポール1wも、ステッキ1sと同様に、ポール部2とこのポール部2の上端に設けたグリップ部3を備えるため、外周面2fに、抗ウィルス材Mを配合した塗料Cを塗布して製作したポール部2と、抗ウィルス材Mを配合した成形材料Rにより成形したグリップ部3とを組付けて構成することができる。したがって、
図6において、
図2-
図4と同一部分及び同一機能部分については、同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0038】
このように、本発明に係るステッキ類1には、例示したステッキ1s,ウォーキングポール1wをはじめ、トレッキングポール等の同様のステッキ類1を含ませることができる。これにより、年配者が比較的頻繁に使用するサポート用具における抗ウイルス性能を確保することが可能になるため、最も、望ましい形態として実施することができる。また、同様のステッキ類1となるスキーポール等にも同様に適用可能である。
【0039】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0040】
例えば、ポール部2は、伸縮タイプを例示したが、単一のポール部,三段以上の伸縮タイプ,複数のポールメンバを連結して使用する折畳タイプなどあってもよい。また、塗料Cとして、透明なクリア塗料Cmを使用した場合を例示したが、非透明の塗料Cであってもよいし、塗料Cの素材も各種の塗料Cを使用可能である。一方、グリップ部3の成形材料Rとして、軟質性のポリ塩化ビニルを用いた例を示したが、各種合成樹脂素材やゴム素材(SBR(合成ゴム))等を利用できる。さらに、抗ウィルス材Mは、例示の抗ウィルス材Muのみならず、同様の機能(作用)を呈する各種抗ウィルス材Mを利用することができる。一方、ステッキ類1に使用する前述した杖先ゴム部4sも、グリップ部3と同様に形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、ステッキ,ウォーキングポール、トレッキングポール等の同様の機能を有する各種ステッキ類及びその製造方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1:ステッキ類,1s:ステッキ,1w:ウォーキングポール,2:ポール部,2f:ポール部の外周面,3:グリップ部,M:抗ウィルス材,C:塗料,Cm:クリア塗料,R:成形材料