(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138576
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】信号制御システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/08 20060101AFI20220915BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G08G1/08 A
G08G1/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038531
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】栗島 佑典
(72)【発明者】
【氏名】岡本 吉之
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA05
5H181AA21
5H181CC11
5H181JJ07
5H181JJ17
(57)【要約】
【課題】認識した信号待機体に対して無駄な点灯介入制御を繰り返すことなく、的確に固定障害物であると判定する信号制御システムを提供する。
【解決手段】超音波式センサ30は、送受信した超音波の時間差から検出エリアRに進入する物体を検出することが可能であり、検出エリアR内に進入した物体が所定時間連続して同じ位置で検出された場合に、この物体は信号待機体Mであると認識する。認識後に、信号待機体Mが信号待ちをしている信号灯器20に対して、青点灯を行う点灯介入制御を実行し、該点灯介入制御中の信号灯器20の青点灯の終了後に、又は点灯介入制御後に、信号待機体Mの検出が継続している場合には、前記物体は固定障害物Mであると判定して前記超音波式センサ30の検出対象から除外する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点における待機場所を検出エリアとし、該検出エリアに対して超音波を出射して該超音波の反射波を計測する超音波式センサと、該超音波式センサと接続し、信号灯器の点灯を制御する制御部とを備える信号制御システムにおいて、
前記交差点の横断用又は交差点進入用の信号灯器が赤点灯の際に、前記超音波式センサにより前記検出エリア内に物体が第1の所定時間を連続して検出された場合に、前記制御部は前記物体を信号待機体と認識し、前記信号灯器に対して点灯介入制御を行い、
該点灯介入制御中の前記信号灯器の青点灯の終了後に、又は前記点灯介入制御後に、前記検出エリア内において前記信号待機体の検出が継続している場合には、前記物体は固定障害物であると判定して前記超音波式センサの検出対象から除外することを特徴とする信号制御システム。
【請求項2】
前記点灯介入制御は、前記信号待機体が信号待ちをしている前記信号灯器に対して、常時、赤点灯である介入前の点灯状態から、青点灯を行う点灯制御であることを特徴とする請求項1に記載の信号制御システム。
【請求項3】
前記点灯介入制御は、前記信号待機体が信号待ちをしている前記信号灯器に対して、青点灯までの時間を短縮する点灯制御であることを特徴とする請求項1に記載の信号制御システム。
【請求項4】
前記固定障害物は、前記超音波式センサによって連続して測定される超音波の時間差が所定の時間幅である変動幅に含まれる場合は検出が継続され、前記時間差が前記変動幅から外れた場合は前記固定障害物の判定を解除することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の信号制御システム。
【請求項5】
前記変動幅は0に近似していることを特徴とする請求項4に記載の信号制御システム。
【請求項6】
前記信号待機体は歩行者であり、前記信号灯器は横断歩道用の信号灯器であることを特徴とする請求項4又は5に記載の信号制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波式センサを利用して信号待機体を認識し、信号灯器に対して点灯介入制御を行う信号制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、横断歩道近辺の路上に設置する横断者検出装置であって、感知した物体が一定領域内の任意のエリア範囲内に第1の設定時間を越えて停止している場合は横断者と判断して検出する。そして、感知した物体が第1の設定時間よりも長い第2の設定時間を越えて存在し続けた場合は、固定障害物と判断して感知対象から除外する横断者検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、横断者が横断歩道の横断待ちをした場合に、青信号になるまでの時間は、横断歩道の信号制御機の設定秒数や、エリア範囲内に進入したタイミングによって大きく異なる。
【0005】
上述の第2の設定時間を短く設定すると、横断待ちの横断者を誤って固定障害物と判断してしまうことがある。そこで、特許文献1では第2の設定時間を5分間と長く設定することで、横断者を固定障害物と誤判断するのを防ぐことが可能であるが、固定障害物が存在すると5分間、青点灯の点灯介入制御を繰り返すことになり、横断者が存在しないにも拘わらず、無駄な点灯介入制御を行わなければならないという問題が発生する。
【0006】
そこで、第2の設定時間は、信号機の周期等に合わせて適当な時間を設定することが好ましいが、信号機毎に適当な時間を個別に設定しなければならず、設定作業が面倒となる問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上述の問題を解消し、認識した信号待機体に対して無駄な点灯介入制御を繰り返すことなく、的確に固定障害物であると判定する信号制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る信号制御システムは、交差点における待機場所を検出エリアとし、該検出エリアに対して超音波を出射して該超音波の反射波を計測する超音波式センサと、該超音波式センサと接続し、信号灯器の点灯を制御する制御部とを備える信号制御システムにおいて、前記交差点の横断用又は交差点進入用の信号灯器が赤点灯の際に、前記超音波式センサにより前記検出エリア内に前記物体が第1の所定時間を連続して検出された場合に、前記制御部は前記物体を信号待機体と認識し、前記信号灯器に対して点灯介入制御を行い、該点灯介入制御中の前記信号灯器の青点灯の終了後に、又は前記点灯介入制御後に、前記検出エリア内において前記信号待機体の検出が継続している場合には、前記物体は固定障害物であると判定して前記超音波式センサの検出対象から除外することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る信号制御システムによれば、超音波式センサによって検出エリアで検出された物体が信号待機体であると認識した場合には、点灯介入制御が実行される。そして、点灯介入制御中の信号灯器の青点灯の終了後に、又は点灯介入制御後に、検出エリア内で認識した信号待機体を継続して認識する場合には、検出された物体を固定障害物と判定して、超音波式センサによる検出対象から除外する。このように処理することで、検出エリア内で駐輪された自転車や、駐車したオートバイ等の固定障害物を、横断待ちの歩行者や、信号待ちの車両である信号待機体であると誤認識して、信号待ちの信号灯器の青点灯を行う点灯介入制御が繰り返されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】点灯介入制御後の現示テーブルの説明図である。
【
図3】点灯介入制御前の現示テーブルの説明図である。
【
図4】制御部による信号灯器の点灯介入制御のフローチャート図である。
【
図5】信号灯器の点灯介入制御のサブプロセスのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は信号制御システムのシステム構成図であり、信号制御システムは、主道路S1と、この主道路S1とT字状に交差する従道路S2とから成る交差点C1に設けられている。なお、交差点C1は一例であり、主道路S1に歩行者用信号灯器のみを設けた交差点C等に設けるようにしてもよい。
【0012】
信号制御システムは、交通量の多い主道路S1及び交通量の少ない従道路S2にそれぞれ配置した信号灯器10、20と、交差点C1の歩行者や車両等の待機場所の上方に設けた超音波式センサ30と、信号灯器10、20及び各超音波式センサ30と接続され、後述する現示テーブルTに従って、信号灯器10、20の点灯制御を行う制御部40とから構成されている。
【0013】
交差点C1では、主道路S1に対して、車両用信号灯器11から成る信号灯器10が設置されており、従道路S2に対して、車両用信号灯器21及び歩行者用信号灯器22から成る信号灯器20が設置されている。
【0014】
これらの車両用信号灯器11、21は、主道路S1、従道路S2を通行する車両に対して赤色灯、黄色灯、青色灯の点灯を行い、歩行者用信号灯器22は横断歩道Hを横断する歩行者に対して、赤色灯、青色灯の点灯、点滅を行う。つまり、車両用信号灯器11、21は自動車、オートバイ等の車両の交差点進入用の信号灯器であり、歩行者用信号灯器22は歩行者の交差点横断用の信号灯器である。
【0015】
超音波式センサ30は、横断歩道Hの近傍で横断待ちをする歩行者の待機場所を検出エリアR1とする歩行者用超音波式センサ31と、従道路S2から主道路S1に進入する自動車、オートバイが信号待ちをする従道路S2上の待機場所を検出エリアR2とする車両用超音波式センサ32とから構成されている。
【0016】
なお、検出エリアR1は図示するように交差点C1の四隅に存在する。また、交差点Cの形状に応じて、歩行者用超音波式センサ31又は/及び車両用超音波式センサ32は適宜に配置されることになる。
【0017】
超音波式センサ30は、信号灯器10、20が設置された柱体から水平に延びたアーム体に設置され、下方を検出エリアRになるように図示しない超音波式センサ30のヘッド部の向きが調整されている。このヘッド部は、発射範囲を楕円状とする超音波を出射し反射波を受信する機能を有し、送受信した超音波の時間差から検出エリアRに進入する物体を検出することが可能である。つまり、物体が検出エリアRに進入すると、地面による反射波の反射時間よりも短く、所定の高さに対応する反射時間の反射波が超音波式センサ30に入力されるので、物体を検出することができる。
【0018】
また、超音波式センサ30として、水平方向に発射範囲を楕円状とする超音波を送受信するように、ヘッド部を適宜の高さに設置することも可能である。このように超音波を水平方向に発射する場合は、例えば5mの検出距離を検出エリアRと設定し、反射波の反射時間から距離が5m以内の場合は、検出エリアR内に物体が検出したと判定する。
【0019】
また、超音波式センサ30の検出エリアRは例えば半径4m程度の略円形領域と設定し、スポット状に発射する超音波を面上に走査させることで、検出エリアR内に進入した物体を検出すると共に、物体の位置を特定するようにしてもよい。
【0020】
制御部40は、例えば交差点C1の一対の車両用信号灯器11がそれぞれ設置された柱体の何れか固定された箱状の筐体内に収納されており、筐体前面に設けられた開閉可能な扉体を開くことで、各種の設定操作等を行うことができる。
【0021】
交差点C1に設けられた全ての信号灯器10、20及び超音波式センサ30は、
図1に示す左上の接続線のように制御部40と接続されている。なお、左上の接続線以外については図示を省略しており、制御部40と超音波式センサ30との通信は、無線通信、有線通信の何れであってもよい。
【0022】
図2及び
図3は制御部40に記憶された現示テーブルT1及び現示テーブルT2の説明図であり、これらの現示テーブルTに示されている直線は青信号の点灯、点線は青信号の点滅、波線は黄信号の点灯、二重線は赤信号の点灯を表している。
【0023】
現示テーブルTは複数の階梯Kから構成されており、制御部40の電源を投入し、全ての信号灯器が赤点灯した後は、最初の階梯Kである階梯K1、K2、K3の順に保持秒数に従って、階梯K8まで信号灯器10、20の点灯制御が行われる。そして、最終の階梯Kである階梯K8の次は、最初の階梯Kである階梯K1に戻り、階梯Kが順次に繰り返される。
【0024】
点灯時間の階梯K1~K8までの保持秒数の合計値、つまり、信号機の制御が一巡する時間を周期Cyとする。階梯K1~K8の各保持秒数は、固定秒数又は最低限の点灯を保持するための上限秒数及び下限秒数が交差点Cの規模や交通量、占有率に応じて定義されており、周期Cyには上限値として、例えば240秒が定義されている。これらの定義の範囲内で、適宜のK1~K8の各保持秒数を設定する。
【0025】
通常の交差点Cでは、更に主道路S1用に歩行者用信号灯器が設けられており、この歩行者用信号灯器を加えた階梯Kに従って、制御部40による交差点Cの信号灯器10、20の点灯制御が交互に行われている。
【0026】
交差点C1では、上述の信号灯器10、20の交互点灯制御は行われておらず、後述する信号待機体Mが検出されないときには、現示テーブルT1の階梯K1を連続点灯させる、つまり常時、信号灯器20が赤点灯である現示テーブルT2による点灯制御が、制御部40により行われている。
【0027】
なお、現示テーブルT2の階梯K1~K8の保持秒数は、現示テーブルT1の階梯K1~K8の保持秒数と同じであり、現示テーブルT2の階梯K2~K8は、階梯K1と同じ点灯制御としている。
【0028】
そして、超音波式センサ30により検出された物体を信号待機体Mと認識したタイミングに応じて、現示テーブルT2の点灯制御から現示テーブルT1の階梯K2~K8までの出力を含む介入点灯制御が行われる。
【0029】
図3に示す現示テーブルT2の出力状態において、例えば階梯K1のタイミングB1で歩行者用超音波式センサ31により、信号待ちの歩行者である信号待機体Mと認識した場合には、階梯K2から現示テーブルT1の点灯制御に切換わり、待ち時間Wt1後に信号灯器20の青点灯が開始される。そして、歩行者用信号灯器22が赤点灯から青点灯に切換わり、歩行者は横断歩道Hを横断できるようになる。
【0030】
また、
図3に示す現示テーブルT2による点灯制御状態において、タイミングB2のように階梯K1以外のタイミングで、超音波式センサ30により信号待機体Mを認識した場合には、主道路S1の車両用信号灯器11を赤点灯にする点灯制御を行うが、現周期Cy内では間に合わない。
【0031】
従って、次周期Cyの階梯K2において、現示テーブルT2の点灯制御から現示テーブルT1の点灯制御に切換わる。つまり、約1周期余分に長い待ち時間Wt2後に、信号灯器20の青点灯が開始される。
【0032】
このように、超音波式センサ30の検出タイミングにより、待ち時間Wtは大きく変動することになる。また、超音波式センサ30による信号待機体Mの認識に基づいて、現示テーブルT2を一時的に現示テーブルT1に切換えて現示テーブルT1に基づく信号灯器20を青点灯とする点灯介入制御は、信号待機体Mが認識しなくなることで、現示テーブルT2に基づく通常の運用に復帰することになる。
【0033】
図4は制御部40による信号灯器10、20の点灯介入制御のフローチャート図であり、
図5は信号灯器の点灯介入制御のサブプロセスのフローチャート図である。これらのフローチャート図に従って、現示テーブルT2に基づく通常の信号灯器の点灯制御の実行中に、現示テーブルT1に基づく点灯介入制御に切換わる処理が実行される。
【0034】
交差点C1において、通常時は現示テーブルT2に基づく点灯制御が実行されており、車両用信号灯器11は青点灯、車両用信号灯器21及び歩行者用信号灯器22は赤点灯状態としている。
【0035】
制御部40により
図4に示すフローチャートが開始すると、ステップST11において信号灯器20、つまり車両用信号灯器21又は歩行者用信号灯器22が赤点灯の状態であるか否かを判定し、赤点灯状態であればステップST12に進む。信号灯器20が赤点灯の状態でなければ、赤点灯の状態になるまでステップST11の処理が繰り返し実行される。なお、制御部40による点灯制御の開始時点では、車両用信号灯器21及び歩行者用信号灯器22は現示テーブルT2の点灯制御に基づいて赤点灯状態であるから、初回の処理では必ずステップST12に進むことになる。
【0036】
ステップST12において、検出エリアR内に信号待機体Mを認識したか否かを判定する。信号待機体Mの認識の有無は、超音波式センサ30により検出エリアR内に進入した物体が所定時間、例えば3秒間以上を連続して同じ位置で検出されたか否かにより判定される。検出エリアR内に進入した物体が所定時間、例えば3秒間以上連続して同じ位置で検出された場合に、この物体は信号待ちをしている歩行者又は車両等である信号待機体Mであると認識する。
【0037】
なお、この信号待機体Mの認識処理は、ヘッド部の送受信した超音波の時間差が短縮するように変化した時点を物体の検出の始点とし、変化前の時間差に戻った時点を物体の検出の終点としている。
【0038】
このように検出エリアR内に信号待機体Mを認識した場合は、ステップST13に進み、検出エリアR内に信号待機体Mを認識しない場合はステップST11に戻る。なお、ステップST12におけるフロー処理は、超音波式センサ30は交差点C1の四隅に配置された歩行者用超音波式センサ31と、交差点C1近傍の従道路S2上に配置された車両用超音波式センサ32との合計5個の検出エリアRの何れかに信号待機体Mを認識した場合は、ステップST13に移行する。
【0039】
ステップST13では、実行中である現示テーブルT2に基づく通常の信号灯器20の点灯制御を、現示テーブルT1に基づく点灯制御の切換える点灯介入制御を実行する。上述のように実行中の現示テーブルT2の階梯Kが階梯K1に該当する場合には、現周期Cyの階梯K2から現示テーブルT1に基づく点灯介入制御に切換える。
【0040】
実行中の現示テーブルT2の階梯Kが階梯K1以外に該当する場合には、次周期Cyの階梯K2から現示テーブルT1に基づく点灯介入制御に切換わる。切換わった後に、周期Cyを完了する階梯K8まで現示テーブルT1に基づく点灯制御を実行する。その後の周期Cyの階梯K1から元の現示テーブルT2に基づく点灯制御に復帰することなる。
【0041】
現示テーブルT1の階梯K4からの点灯制御で、横断待ちの歩行者は交差点C1の横断歩道Hを渡ることができ、信号待ちの自動車やオートバイ等の車両は従道路S2から主道路S1に進入できるようになる。
【0042】
ステップST14では、点灯介入制御中であって歩行者用信号灯器22の青点灯が終了する階梯5の終了時に、ステップST12において認識された信号待機体Mが、同一検出エリアR内に継続して認識されているか否かを判定する。信号待機体Mが継続して認識されない場合には、点灯介入制御の階梯8を終了し、現示テーブルT2による通常の点灯制御に復帰後に、ステップST11に戻ってこれまでに実行した処理を繰り返し実行する。
【0043】
点灯介入制御中の現示テーブルT1に基づく歩行者用信号灯器22の青点灯、点滅する階梯4、5に渡って、信号待機体Mが継続して認識され続けた場合には、ステップST15に進んで検出された物体を信号待機体Mと認識することを解除して、固定障害物Pであると判定する。固定障害物Pとは、例えば検出エリアR内で駐輪された自転車や、駐車したオートバイ等が該当する。
【0044】
なお、固定障害物Pの判定のタイミングは、点灯介入制御中の歩行者用信号灯器22の青点灯の終了後以外に、現示テーブルT1の階梯8の終了後である点灯介入制御後であってもよい。
【0045】
固定障害物Pと判定された場合には、検出エリアR内の固定障害物Pと判定された位置において、信号待機体Mと判定されないように信号待機体Mの判定対象から除外する。従って、固定障害物Pと判定された以降は、検出エリアR内で駐輪、駐車した自転車、オートバイ等によって、信号灯器20が青点灯する点灯介入制御が行われることはない。
【0046】
ステップST15において固定障害物Pであると判定されると、
図5に示すサブルーチンを起動させて、ステップST11に戻り、ステップST11~ST15の処理を繰り返す。
【0047】
サブルーチン処理のステップST21では、検出エリアR内の同じ位置で、固定障害物Pの検出が継続しているか否かを判定する。固定障害物Pの検出が継続する場合は、ステップST21を繰り返す。
【0048】
固定障害物Pの検出が継続しているか否かの判定処理では、超音波式センサ30による送受信した超音波の時間差の変動幅を利用する。連続して測定される超音波の時間差が所定の時間幅である変動幅に含まれる場合は、固定障害物Pの検出を継続していると判定し、ステップST21を繰り返す処理を行う。
【0049】
ステップST21において、測定される超音波の時間差が変動幅から外れた場合には、ステップST22に移行し、固定障害物Pの判定を解除して、サブルーチン処理は終了する。
【0050】
これは、駐輪した自転車、オートバイ等の固定障害物Pは動かないため、連続して測定される超音波の時間差は、略一致して測定され、変動幅は0に近似して計測されるためである。これに対して、例えば、携帯端末等の操作により横断歩道Hを横断しなかった歩行者は、超音波による時間差が姿勢等の変化により若干変動し、前述の変動幅から外れて測定される。
【0051】
従って、測定される超音波の時間差が変動幅に含まれるか否かを判定することで、点灯介入制御後に、継続して検出エリアRに検出される信号待機体Mが固定障害物Pであるか信号待機体Mであるかを判定することができる。
【0052】
携帯端末等を操作により横断歩道Hを横断しなかった歩行者は、
図5に示すサブルーチン処理から外れて、
図4に示すステップST11の処理が開始され、再度所定時間、連続して同じ位置で検出されることで、再び信号待機体Mと認識され、点灯介入制御によって、信号待機体Mが信号待ちをしている信号灯器20が青点灯することで横断歩道Hを横断することが可能となる。
【0053】
また、駐輪、駐車した自転車、オートバイ等の固定障害物Pを所有者が移動させた場合も、前記固定障害物Pの判定を解除するステップST22に移行して、
図5に示すサブルーチン処理から外れることになる。
【0054】
また、上述のように通常時には、現示テーブルT2に基づく点灯制御が実行され、点灯介入制御時に現示テーブルT1に基づく点灯制御に切換える処理に代えて、通常時に現示テーブルT1に基づく点灯制御が実行され、点灯介入制御時には現示テーブルT1の長時間の保持秒数が設定されている階梯K1、K4の保持秒数を短縮する点灯制御を行うようにしてもよい。
【0055】
このように、本実施例の信号制御システムは、超音波式センサ30によって検出エリアRで検出された物体が、信号待機体Mであると認識した場合には、信号待機体Mが信号待ちをしている信号灯器20に対して、横断歩道Hに横断させる、又は交差点Cに進入させる点灯介入制御が実行される。そして、点灯介入制御後に検出エリアR内で信号待機体Mを継続して認識する場合には、検出された物体を固定障害物Pと判定して、超音波式センサ30による検出対象から除外する。
【0056】
このような処理によって、検出エリアR内で駐輪された自転車や、駐車したオートバイ等の固定障害物Pを、横断待ちの歩行者や信号待ちの自動車、オートバイ等の車両である信号待機体Mであると誤認識して、信号灯器20の青点灯を行う、又は青点灯までの点灯時間を短縮する点灯介入制御が繰り返されることを防止できる。
【符号の説明】
【0057】
10、20 信号灯器
11、21 車両用信号灯器
22 歩行者用信号灯器
30、31、32 超音波式センサ
40 制御部
C1 交差点
M 信号待機体
P 固定障害物
R、R1、R2 検出エリア