(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138674
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】特殊触感構造を有する膜材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 3/14 20060101AFI20220915BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220915BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20220915BHJP
B05D 7/04 20060101ALI20220915BHJP
B05D 5/06 20060101ALI20220915BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20220915BHJP
B05D 5/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B32B3/14
B32B27/00 Z
B05D7/24 301M
B05D7/04
B05D5/06 C
B05D5/06 104C
B05D5/06 Z
B05D1/36 Z
B05D5/00 Z
B05D7/24 303A
B05D7/24 301P
B05D7/24 301E
B05D7/24 302E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038690
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】511088427
【氏名又は名称】聚紡股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡秋雄
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
【Fターム(参考)】
4D075AC41
4D075AE04
4D075BB26Z
4D075BB28Z
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4F100JK12A
4F100JN08A
4F100YY00A
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薄くて軽い状態でメッシュクロスの視覚効果と十分な触覚効果を有するフィルム材、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】高分子樹脂膜1と、高分子樹脂膜1の表面に互いに間隔をあけて配置される複数の立体構造体21を含む、特殊触感構造モジュール2とを含み、立体構造体21のそれぞれは、高分子樹脂材料211、及び高分子樹脂材料211に分散される複数の不溶性固体混合物212を含み、少なくとも一部の不溶性固体混合物212は、立体構造体21の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出している、特殊触感構造を有する膜材料による。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子樹脂膜と、
前記高分子樹脂膜の表面に互いに間隔をあけて配置される複数の立体構造体を含む、特殊触感構造モジュールと、
を含む特殊触感構造を有する膜材料であって、
前記立体構造体のそれぞれは、高分子樹脂材料、及び前記高分子樹脂材料に分散される複数の不溶性固体混合物を含み、
複数の前記不溶性固体混合物における少なくとも一部の前記不溶性固体混合物は、前記立体構造体の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出している、
ことを特徴とする、特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項2】
前記立体構造体の各々において、各前記不溶性固体混合物は、前記高分子樹脂材料に分散しているが、溶解しておらず、かつ、各前記不溶性固体混合物のモース硬度は、前記高分子樹脂材料のモース硬度を上回る、請求項1に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項3】
前記立体構造体の各々において、前記立体構造体の表層に位置した前記不溶性固体混合物は、前記使用者が触れるために前記立体構造体の外表面から部分的に突出し、請求項2に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項4】
前記高分子樹脂膜は、ポリウレタン(PU)樹脂フィルム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)樹脂フィルム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム、ラテックスフィルム、ポリエステルエラストマーフィルム、高分子複合フィルムのうちの少なくとも1つであり、前記立体構造体のそれぞれにおいて、前記高分子樹脂材料は、水性高分子樹脂材料であり、かつ、前記立体構造体は、揮発性有機溶媒を含んでいない、請求項1に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項5】
前記立体構造体のそれぞれにおいて、前記水性高分子樹脂材料は、水性ポリウレタン(PU)樹脂、水性アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項6】
前記立体構造体のそれぞれにおいて、複数の前記不溶性固体混合物は、無機固体粒子及び有機固体粒子のうちの少なくとも1つである、請求項5に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項7】
各前記立体構造体の組成物において、複数の前記不溶性固体混合物を前記高分子樹脂材料中により均一に分散させるために、架橋剤(cross-linking agent)をさらに含み、前記架橋剤は、複数の前記不溶性固体混合物が前記高分子樹脂材料中に分散されるのを補助するように構成され、前記架橋剤は、イソシアネート架橋剤、メラミン架橋剤、またはアジリジン架橋剤との少なくとも一方であり、前記立体構造体の架橋剤の含有量は、0.5重量%~10重量%である、請求項6に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項8】
前記特殊触感構造モジュールにおいて、複数の前記立体構造体は、前記高分子樹脂膜の表面にマトリクス状に配列されている(
図1に示すように)か、または千鳥状に配列されており、かつ、互いに直接接触しておらず、各前記立体構造体は、50μm~1,000μmの幅と、100μm~1,000μmの高さを有し、かつ、各前記立体構造体と連接する前記立体構造体との間に、30μm~2,000μmの間隙を有し、各前記立体構造体において、複数の前記不溶性固体混合物の平均粒径は、20μm~150μmであり、前記不溶性固体混合物の含有量は、0.5wt%~10wt%であり、前記立体構造体は、50%以上の光透過率を有する、請求項1に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項9】
前記高分子樹脂膜の一表面は着色され格子状の視覚パターンが形成され、かつ、複数の前記立体構造体は前記格子状の視覚パターンを部分的にカバーし、複数の前記立体構造体はいずれも可視光透過性を有するため、前記高分子樹脂膜の前記表面の前記格子状の視覚パターンは、複数の前記立体構造体を透過して、前記高分子樹脂膜の前記表面の一面で視認できるようになり、前記高分子樹脂膜の前記表面はほぼ平坦な面であり、かつ、前記格子状の視覚パターンは、複数のインクドットで構成され、各前記立体構造体において、前記高分子樹脂材料は、水性高分子樹脂材料であり、前記格子状の視覚パターンにおいて、複数の前記インクドットは水性高分子インクドットであり、かつ、複数の前記立体構造体における前記水性高分子樹脂材料の少なくとも一部が、前記水性高分子インクドットに粘着している、請求項1に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項10】
高分子樹脂膜を提供し、
所定パターンに従って、インク材料を前記高分子樹脂膜の一表面に印刷して、前記インク材料から液状成分を蒸発させることにより、前記高分子樹脂膜の前記表面に格子状の視覚パターンを形成させ、
前記高分子樹脂膜の前記表面に複数の液状糊を形成させ、複数の前記液状糊は互いに間隔をあけて前記高分子樹脂膜の前記表面に形成されるようになり、かつ、各前記液状糊の組成では、高分子樹脂材料、及び前記高分子樹脂材料に分散される複数の不溶性固体混合物を含み、
複数の前記液状糊における液状成分を蒸発させることにより、複数の前記液状糊をそれぞれ、前記高分子樹脂膜の前記表面に粘着された複数の立体構造体として形成させ、かつ、複数の前記立体構造体は、前記格子状の視覚パターンを部分的にカバーするようになり、
各前記立体構造体において、複数の前記不溶性固体混合物における少なくとも一部の前記不溶性固体混合物は、前記立体構造体の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出しており、
複数の前記立体構造体はいずれも可視光透過性を有するため、前記高分子樹脂膜の前記表面における前記格子状の視覚パターンは、複数の前記立体構造体を透過して、前記高分子樹脂膜の前記表面で視認できるようになる、
ことを特徴とする、膜材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は膜材料に関し、特に特殊触感構造を有する膜材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のメッシュクロスを有する膜材料は、基布の層にメッシュクロスの層を二重層として貼り付ける必要があり、加工が比較的煩雑であるという問題があった。また、上述した膜材料は、二層布構造を有しているため、厚みが厚くなり、重量が重くなるという問題があった。したがって、加工手順が簡単で、厚みが薄く、軽量であることが要求される一部の最終用途製品(即ち、機能性衣類)においては、上記フィルム材は、これらの最終用途製品のニーズを満たすことができないことは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、既存の不足に対して、特殊触感構造を有する膜材料及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する技術的手段の1つとしては、高分子樹脂膜及び特殊触感構造モジュールを含む特殊触感構造を有する単層構造としての膜材料を提供することである。前記高分子樹脂膜の表面は着色され格子状の視覚パターンが形成される。特殊触感構造モジュールは複数の立体構造体を含み、かつ、複数の前記立体構造体は互いに間隔をかけて前記高分子樹脂膜の前記表面に配置され、それにより、前記格子状の視覚パターンを部分的にカバーする。なかでも、前記立体構造体の各々は、高分子樹脂材料、及び前記高分子樹脂材料に分散される複数の不溶性固体混合物を含む。なかでも、複数の前記不溶性固体混合物における少なくとも一部の前記不溶性固体混合物は、前記立体構造体の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出している。なかでも、複数の前記立体構造体はいずれも可視光透過性を有するため、前記高分子樹脂膜の前記表面における前記格子状の視覚パターンは、複数の前記立体構造体を透過して、前記高分子樹脂膜の前記表面の一面で視認できるようになる。
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する別の技術的手段の1つとしては、膜材料の製造方法を提供することである。膜材料の製造方法は、高分子樹脂膜を提供する。所定パターンに従って、インク材料を前記高分子樹脂膜の一表面に印刷して、前記インク材料から液状成分を蒸発させることにより、前記高分子樹脂膜の前記表面に格子状の視覚パターンを形成させる。前記高分子樹脂膜の前記表面に複数の液状糊を形成させる。なかでも、複数の前記液状糊は互いに間隔をあけて前記高分子樹脂膜の前記表面に形成される。かつ、前記液状糊のそれぞれに構成は、高分子樹脂材料、及び前記高分子樹脂材料に分散される複数の不溶性固体混合物を含む。複数の前記液状糊から液状成分を蒸発させることにより、複数の前記液状糊のそれぞれを前記高分子樹脂膜の前記表面に粘着された複数の立体構造体として形成させ、かつ、複数の前記立体構造体は部分的に前記格子状の視覚パターンをカバーする。なかでも、前記立体構造体のそれぞれにおいて、複数の前記不溶性固体混合物における少なくとも一部の前記不溶性固体混合物は、前記立体構造体の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出している。なかでも、複数の前記立体構造体はいずれも可視光透過性を有することにより、前記高分子樹脂膜の前記表面における前記格子状の視覚パターンは、複数の前記立体構造体を透過して、前記高分子樹脂膜の前記表面の一面で視認できるようになる。
【発明の効果】
【0006】
本発明による有益な効果の1つとしては、本発明が提供する特殊触感構造を有する単層構造としての膜材料及びその製造方法は、「前記立体構造体のそれぞれの組成は、高分子樹脂材料、及び前記高分子樹脂材料に分散される複数の不溶性固体混合物を含む。なかでも、複数の前記不溶性固体混合物における少なくとも一部の前記不溶性固体混合物は、前記立体構造体の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出している。」、及び「複数の前記立体構造体はいずれも可視光透過性を有するため、前記高分子樹脂膜の前記表面における前記格子状の視覚パターンは、複数の前記立体構造体を透過して、前記高分子樹脂膜の前記表面で視認できるようになる。」という技術的手段により、薄くて軽い状態でメッシュクロスの視覚効果と十分な触覚効果を有するフィルム材を提供するために、二重層(三重層ではない)の布帛の視覚効果と網目の触覚効果を有するフィルム材を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る第1の実施形態の膜材料を示す斜視模式図である。
【
図3】
図1の膜材料におけるIII-III断面に沿った断面を示す断面模式図である。
【
図4】
図3の膜材料が使用者に触れる状態を示す模式図である。
【
図7】本発明に係る第1の実施形態の格子状の視覚パターンを示す上面図である。
【
図12】
図3の膜材料が織物に貼り付けた状態を示す模式図である。
【
図13】本発明に係る第2の実施形態の膜材料を示す斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施形態]
図1から
図3までを参照されたい。
図1から
図3までは、本発明に係る第1の実施形態を示す。本実施形態の対応する図面に記載された関連する量および外観は、本開示の内容を理解するために本開示の実施形態を具体的に例示するためにのみ使用され、本発明の保護範囲を制限するために使用されないことに留意すべきである。
【0009】
本実施形態は、高分子樹脂膜1、及び前記高分子樹脂膜1に配置される特殊触感構造モジュール2を含む膜材料100を開示する。
【0010】
高分子樹脂膜1は対応する両表面を有し、かつ、高分子樹脂膜1の一方の表面11に、格子状の視覚パターン12を形成するために着色されている。
【0011】
高分子樹脂膜1は、厚さが5μm~50μmのフィルム状をなしている。
【0012】
高分子樹脂膜1は、例えば、ポリウレタン(PU)樹脂フィルム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)樹脂フィルム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム、ラテックスフィルム、ポリエステルエラストマーフィルム、高分子複合フィルムのうちの少なくとも1つであってもよい。本実施形態において、前記高分子樹脂膜1は、好ましくは、ポリウレタン(PU)樹脂フィルム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム、ラテックスフィルムまたはポリエステルエラストマーフィルムであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
格子状の視覚パターン12は、格子状のパターンを有する平面印刷パターンであり、高分子樹脂膜1上に別の網目状の層が配置されているという視覚的効果を発揮することができる。すなわち、高分子樹脂膜1は、実際には単層の生地のみの構造を有しながら、格子状の視覚パターン12を介して二層の生地を有するという視覚的効果を発揮することができる。
【0014】
高分子樹脂膜1の表面11は、ほぼ平坦な面である。格子状の視覚パターン12は、高分子樹脂膜1の表面11に規則的に配置された複数のインクドットから構成されている。複数のインクドットと高分子樹脂膜1の表面11とは、互いに実質的にコプレーナ状である。
【0015】
格子状の視覚パターン12を形成するインクドットの厚みが比較的薄い(例えば、20μm以下)ため、格子状の視覚パターン12と高分子樹脂膜1の表面11との間には、高さに大きな差がない。したがって、複数のインクドットによって形成された格子状の視覚パターン12は、高分子樹脂膜1上に別のメッシュ層が配置されているという視覚的効果を付与するためにのみ使用でき、メッシュ生地の触感や手触りを付与するためには使用することができない。
【0016】
格子状の視覚パターン12において、複数のインクドットは水性高分子インクドットである。
【0017】
水性高分子インクドットは、例えば、水性高分子樹脂、乳化剤、有機又は無機顔料、溶剤、及び関連添加剤を含んでいてもよい。前記水性高分子樹脂は、例えば、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性アクリル樹脂、水性アルキド樹脂等であってもよい。前記溶剤としては、主に水、アルコール等が挙げられる。
【0018】
水性高分子インクは、水性ポリウレタンインクおよび水性アクリルインクの少なくともいずれかであることが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
なお、格子状の視覚パターン12は、印刷ローラ転写法やデジタルインクジェット法を用いて、高分子樹脂膜1の表面11に複数のインクドットを印刷することにより形成してもよい。
【0020】
複数のインクドット12の色は、高分子樹脂膜1の表面11との色差が大きいことが好ましく、格子状の視覚パターン12を鮮明に呈することができる。
【0021】
図7に示すように、高分子樹脂膜1の表面11に形成された格子状の視覚パターン12は、複数の幾何学的な線121と複数の幾何学的な図形122とを含む。
【0022】
また、複数の幾何学的な線121は、互いに交差して連結されており、第1の色を有している。さらに、複数の幾何学的な図形122は、複数の幾何学的な線121の間にそれぞれ配置され、第1の色とは異なる第2の色を有する。
【0023】
格子状の視覚パターン12を鮮明に呈することを可能にするためには、複数の幾何学的な線121の第1の色と複数の幾何学的な図形122の第2の色との間にかなりの色差がなければならない。
【0024】
第1の色は、例えば、濃い色または薄い色のいずれか一方であってもよく、第2の色は、例えば、濃い色または薄い色のいずれかの他方であってもよい。
【0025】
再び、
図7を参照すると、格子状の視覚パターン12の複数の幾何学的な線121は、互いに交差して連結された直線である。格子状の視覚パターン12の複数の幾何学的な図形122は、それぞれ複数の幾何学的な線121の間に配置され、かつ、複数の幾何学的な線121によって定義されている。本実施形態では、複数の幾何学的な図形122はそれぞれ正方形として呈されているが、本開示はこれに限定されない。
【0026】
また、複数の幾何学的な線121は、曲線またはポリラインなどの非直線であってもよい。複数の幾何学的な図形122は、製品要件に応じて、
図8に示すような六角形の図形として呈されてもよいし、
図9に示すような不規則な曲線として呈されてもよい。本発明の図面に図示されていない実施形態では、複数の幾何学的な図形122はまた、織物製品要件に応じて、円、ダイヤモンド、三角形、または他の形状としてそれぞれ呈されてもよい。
【0027】
格子状の視覚パターン12の複数の幾何学的な線121は、それぞれインクドットで構成されており、インクドットは、例えば濃い色などの第1の色を有している。そのため、複数の幾何学的な線121は、第1の色を呈することができる。また、高分子樹脂膜1の表面11自体が第2の色、例えば淡い色を呈している。そのように、複数の幾何学的な線121によって覆われておらず、複数の幾何学的な線121によって規定される複数の幾何学的な図形122は、第2の色を呈することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
前記格子状の視覚パターン12は、高分子樹脂膜1上に別のメッシュ層を配置した場合の視覚的効果しか得られないが、メッシュ生地の触感や手触りを得ることはできないので、本実施形態の膜材料100は、格子状の視覚パターン12の視覚的効果に影響を与えることなく、メッシュ生地の触感や手触りを得ることができるように、特殊触感構造モジュール2をさらに含む。
【0029】
再び
図1~
図3を参照すると、特殊触感構造モジュール2は、高分子樹脂膜1の表面11に配置され、格子状の視覚パターン12を部分的に覆うように配置されている。
【0030】
特殊触感構造モジュール2は、複数の立体構造体21を含み、立体構造体21の全てが可視光透過性を有する。
【0031】
複数の立体構造体21は、互いに間隔をかけて高分子樹脂膜1の表面11配置されることにより、格子状の視覚パターン12を部分的に覆うようになる。即ち、格子状の視覚パターン12の一部分は、複数の立体構造体21で覆われていると共に、格子状の視覚パターン12の他部分は、複数の立体構造体21の間の間隔を介して外部関係に露出するようになる。
【0032】
複数の立体構造体21はいずれも可視光透過性を有するため、高分子樹脂膜1の表面11における格子状の視覚パターン12は、複数の立体構造体21を透過して、高分子樹脂膜1の前記表面11の一面で視認できるようになる。
【0033】
本実施形態において、特殊触感構造モジュール2における複数の立体構造体21は例えば、模造メッシュ加工法を用いてもよいし、印刷ローラ転写法を用いて、高分子樹脂膜1の表面11における格子状の視覚パターン12に立体構造を有する複数の立体構造体21を配置してもよいが、本発明はこの例に制限されない。
【0034】
本実施形態において、複数の立体構造体21は部分的に幾何学的な線121に配置されて、部分的に幾何学的な図形122に配置されてもよいが、立体構造体21は、幾何学的な線121及び幾何学的な図形122の呈しに影響を及ぼさない。
【0035】
再び
図3及び
図4を参照されたい。立体構造体21の各々の構成は、高分子樹脂材料211、及び高分子樹脂材料211に分散される複数の不溶性固体混合物212を含む。立体構造体21のそれぞれに、複数の不溶性固体混合物212における少なくとも一部の不溶性固体混合物212は、立体構造体21の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出している(
図4に示すように)。そのように、膜材料100は、メッシュ生地と同等の触感や手触りを有することができる。
【0036】
各立体構造体21において、高分子樹脂材料211は水性高分子樹脂材料である。水性高分子樹脂材料としては、例えば、水性ポリウレタン(PU)樹脂材料、水性ポリエステル樹脂材料、水性アクリル樹脂材料、水性アルキド樹脂材料などが挙げられる。本実施形態では、水性高分子樹脂材料211は、水性ポリウレタン樹脂材料と水性アクリル樹脂材料の少なくとも一方であることが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
前記水性ポリウレタン樹脂材料と水性アクリル樹脂材料は、いずれも透明性、硬度、密着性が良好であるため、これらの水性高分子樹脂材料を用いることにより、複数の立体構造体21の透明性、硬度が良好であり、複数の立体構造体21を高分子樹脂膜1の表面11に容易に剥がれることなく安定して配置することが可能となる。
【0038】
高分子樹脂材料211は水性高分子樹脂材料であるため、本実施形態の立体構造体21には揮発性有機溶剤(VOCs)は含まれていない。前記揮発性有機溶媒は、例えば、アセトンであってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態の膜材料100は、低毒性、環境に優しい、人体に優しいなどの利点を有することができる。
【0039】
上記のように、高分子樹脂膜1は、好ましくは、ポリウレタン(PU)樹脂フィルム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム、ラテックスフィルム、ポリエステルエラストマーフィルム、高分子複合フィルムまたは前記の少なくとも2つの材料からなる複合フィルムである。かつ、格子状の視覚パターン12の水性高分子インクは、好ましくは、水性ポリウレタンインクまたは水性アクリルインク、または前記2つの材料の複合インクである。そのため、複数の立体構造体21が高分子樹脂膜1の表面11に接触していても、そこに形成された格子状の視覚パターン12に接触していても、立体構造体21が容易に剥がれることなく、高分子樹脂膜1に強固に付着させることができる。
【0040】
なお、本実施形態のインクは「水性」高分子インクであり、本実施形態の高分子樹脂材料211は「水性」高分子樹脂材料であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の別の実施形態では、インクは、「溶媒型」高分子インクであってもよく、高分子樹脂材料211は、「溶媒型」高分子樹脂材料であってもよい。
【0041】
再び
図3及び
図4を参照すると、複数の不溶性固体混合物212が高分子樹脂材料211中に均一に分散されており、立体構造体21の表層に位置する不溶性固体混合物212は、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出している。
【0042】
図5に示すように、本開示の変形例では、複数の不溶性固体混合物212は、立体構造体21の表面層にのみ分布し、外部環境に部分的に露出しており、立体構造体21の内部には不溶性固体混合物212は分布していない。
【0043】
すなわち、前記特殊触感構造モジュール2が、不溶性固体混合物212が立体構造体21の表層に分布し、部分的に外部環境に露出しているという構造的特徴を有する限り、この構造的特徴は、本発明の旨および範囲に該当する。
【0044】
再び
図3を参照すると、各立体構造体211において、各不溶性固形粒子212は、高分子樹脂材料211に分散しているが、溶解していない。すなわち、不溶性固体混合物212の各々は、高分子樹脂材料211内に元の材料形状を保持しており、不溶性固体混合物212の各々と高分子樹脂材料211との間には、明らかな界面が形成されている。
【0045】
各立体構造体21の各不溶性固体混合物212のモース硬度は、高分子樹脂材料211のモース硬度とは異なる。
【0046】
本実施形態では、各不溶性固体混合物212のモース硬度が高分子樹脂材料211のモース硬度よりも大きい。そのように、膜材料100のメッシュ状の触感効果や手触り感を効果的に向上させることができる。
【0047】
不溶性固体混合物212のそれぞれのモース硬度は約4~10であり、高分子樹脂材料211のモース硬度は約1~4であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
特筆すべきは、一般的な高分子樹脂材料(例えば、ポリウレタンやアクリルなど)は硬度が低く、十分なメッシュ触感効果を得ることができないことである。そのため、本実施形態の特殊触感構造モジュール2の複数の立体構造体21は、十分なメッシュ生地の触感効果を提供するために、そこに、より高い硬度を有する不溶性固体混合物がさらに添加されている。そのように、複数の前記立体構造体21の全体的な硬度を効果的に向上させることができる。
【0049】
不溶性固体混合物212は、立体構造体21の表面層に分布し、部分的に外部環境に露出しているため、使用者が膜材料100と、高分子樹脂材料211と特殊触感構造モジュール2の不溶性固体混合物212とを同時に触ることができる(
図4に示すように)。使用者は、膜材料100から十分なメッシュ生地の触感を感じることができる。
【0050】
再び
図3および
図4を参照すると、各立体構造体21において、立体構造体21の表層の不溶性固体混合物212は、立体構造体21の外表面から部分的に突出し、立体構造体21に部分的に埋め込まれているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
図6に示すように、本発明の変形例では、立体構造体21の表層の不溶性固体混合物212は、立体構造体21の外表面から部分的に露出し、かつ立体構造体21の外表面と揃っており、立体構造体21に部分的に埋め込まれている。この変形例では、使用者が膜材料100に触れても、使用者は、高分子樹脂材料211と特殊触感構造モジュール2の不溶性固体混合物212とを同時に触れることができ、それによって十分なメッシュ生地の触感を感じることができる。
【0052】
複数の不溶性固体混合物は、無機固体粒子及び有機固体粒子のうちの少なくとも1つである。
【0053】
前記無機固体粒子の材料としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化鉄、金属水酸化物のうちの少なくとも一つであってもよい。前記有機固体粒子は、高分子樹脂粒子(例えば、プラスチック粒子)、シロキサン粒子、植物由来粒子(例えば、コーヒーかす)のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0054】
また、複数の不溶性固体混合物の材料源は、リサイクル材料であってもよく、例えば、リサイクルされたコーヒーかす、廃棄された漁網、電子部品のスクラップなどであってもよい。そのように、本実施形態のフィルム材料100は、環境保護および省エネルギーの要求をさらに満たすことができる。
【0055】
複数の不溶性固体混合物212を高分子樹脂材料211中により均一に分散させるために、各立体構造体21の組成物は、架橋剤をさらに含み、架橋剤は、複数の不溶性固体混合物212が高分子樹脂材料211中に分散されるのを補助するように構成されている。
【0056】
本実施形態では、架橋剤は、イソシアネート架橋剤、メラミン架橋剤、およびアジリジン架橋剤のうちの少なくとも1つであるまた、立体構造体21中の架橋剤の含有量は、好ましくは0.5重量%~10重量%、より好ましくは3重量%~5重量%であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】
再び
図1~
図3を参照すると、本実施形態の特殊触感構造モジュール2の複数の立体構造体21の大きさ、配列、および分布密度は、好ましい構成を有する。
【0058】
特殊触感構造モジュール2の複数の立体構造体21は、高分子樹脂膜1の表面11上にマトリクス状に配列されている(
図1に示すように)か、または千鳥状に配列されている(図面には示されていない)。特殊触感構造モジュール2の複数の立体構造体21は、互いに直接接触していない。
【0059】
図3に示すように、各立体構造体21は、30μm~1,000μmの幅(W)を有し、100μm~1,000μmの高さ(H)を有し、各立体構造体21と隣接する立体構造体21との間には、50μm~2,000μmの間隙(D)を有する。
【0060】
高分子樹脂膜1の表面11における特殊触感構造モジュール2の複数の立体構造体21の被覆率は、好ましくは20%~90%、より好ましくは50%~80%である。
【0061】
以上の構成によれば、本実施形態の膜材料100の特殊触感構造モジュール2は、メッシュ生地と同等の触感や手触り感を有することができるが、格子状の視覚パターン12の視覚効果は損なわれない。
【0062】
なお、上記立体構造体21の幅Wは、立体構造体21における高分子樹脂膜1の表面11に平行となる最大幅として定義されていることに留意すべきである。前記立体構造体21の高さHは、立体構造体21における高分子樹脂膜1の表面11に垂直となる高さの最大値として定義される。前記隙間Dは、各立体構造体立体構造体21と隣接する立体構造体21との間の最短距離として定義される。各立体構造体21において、複数の不溶性固体混合物212の平均粒径は、20μm~150μm、好ましくは60μm~120μmである。また、立体構造体21中の複数の不溶性固体混合物212の含有量は、1重量%~10重量%、好ましくは3重量%~7重量%である。そのように、各立体構造体21の光透過率は、50%以下、好ましくは70%以下である。
【0063】
複数の不溶性固体混合物212の粒径及び/又は含有量の範囲が上記範囲の上限を超えると、複数の立体構造体21の可視光透過性が不十分となり、複数の立体構造体21を高分子樹脂膜1の表面11に強固に密着させることができなくなる場合がある。
【0064】
逆に、複数の不溶性固体混合物212の粒径及び/又は含有範囲が上記範囲の下限値未満であると、複数の立体構造体21のメッシュ生地の触感を十分に得ることができない。
【0065】
図3に示すように、本実施形態の膜材料100の断面図では、各立体構造体21は半円状に呈されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0066】
例えば、各立体構造体21は、長方形状(
図10に示すような形状)、円形状(
図11に示すような形状)など、メッシュ生地の触感や手触り感を提供できる形状として形成されてもよい。
【0067】
図12に示すように、特殊触感構造モジュール2から離れた本実施形態の高分子樹脂膜1の他方の面13は、織物との接着に使用することができる。そのように、フィルム材100の構造強度を補強することができる。
【0068】
なかでも、織物は、複数の経糸と複数の緯糸(図面には表示されていない)とが互いに交錯しているか、あるいは、織物は、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、または弾性繊維(図面には表示されていない)であってもよい。
[第2の実施形態]
【0069】
図13を参照されたい。
図13は、本発明に係る第2の実施形態を示す。本実施形態と上記の第1の実施形態はほぼ同様であり、それらの相違点は、本実施形態の膜材料100’は、格子状の視覚パターン12を有しない点である。
【0070】
具体的に、本実施形態の膜材料100’は、高分子樹脂膜1、及び特殊触感構造モジュール2を含む。特殊触感構造モジュール2は複数の立体構造体21を含む。複数の立体構造体21は互いに間隔をかけて高分子樹脂膜1の一表面11に配置される。なかでも、立体構造体21のそれぞれの構成は、高分子樹脂材料211、及び高分子樹脂材料211に分散される複数の不溶性固体混合物212を含む。複数の不溶性固体混合物212における少なくとも一部の不溶性固体混合物212は、立体構造体21の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出している。
[第3の実施形態]
【0071】
本発明に係る第3の実施形態は、膜材料の製造方法(図示しない)を提供する。本実施形態の製造方法は、第1の実施形態の膜材料100の製造方法の詳細を説明するが、前記膜材料100の製造方法では、本実施形態の製造方法に制限されない。
【0072】
製造方法は、ステップS110からステップS140までを含む。なお、本実施形態が開示した各ステップの順序及び実際の操作方法では、実際のニーズに応じて変更でき、本実施形態に制限されない。
【0073】
ステップS110は、高分子樹脂膜1を提供する。
【0074】
ステップS120は、所定パターンに従って、インク材料を高分子樹脂膜1の一表面に印刷して、インク材料から液状成分(例えば、水分)を蒸発させることにより、前記高分子樹脂膜1の表面11に格子状の視覚パターン12を形成させる。
【0075】
前記液体成分は、高温(例えば、80℃~180℃)で焼成することにより蒸発させることができる。
【0076】
ステップS130は、高分子樹脂膜1の表面11に複数の液状糊を形成させる。
【0077】
前記複数の液状糊は、例えば、模造メッシュ加工法や印刷ローラ転写法などの方法で形成することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
複数の液状糊は互いに間隔をあけて高分子樹脂膜1の表面11に形成され、かつ、各液状糊の構成では、高分子樹脂材料211、及び高分子樹脂材料211に分散される複数の不溶性固体混合物212を含む。
【0079】
ステップS140は、複数の液状糊から液状成分(例えば、水分)を蒸発させることにより、複数の液状糊をそれぞれ高分子樹脂膜1の表面11に粘着された複数の立体構造体21として形成させ、かつ、複数の立体構造体21は部分的に格子状の視覚パターン12をカバーする。
【0080】
前記液体成分を、高温(例えば、80℃~180℃)で焼成することにより蒸発させることにより、複数の液状糊の高分子樹脂材料211を硬化させるようにしてもよい。硬化の過程において、複数の液状糊はそれぞれ高分子樹脂膜1の表面11に粘着された複数の立体構造体21として形成される。
【0081】
立体構造体21のそれぞれにおいて、複数の不溶性固体混合物212における少なくとも一部の不溶性固体混合物212は、立体構造体21の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出している。
【0082】
複数の立体構造体21はいずれも可視光透過性を有するため、高分子樹脂膜1の表面11の格子状の視覚パターン12は、複数の立体構造体21を透過して、高分子樹脂膜1の前記表面11の一面で視認できるようになる。
[実施形態による有益な効果]
【0083】
本発明による有益な効果の1つとしては、本発明が提供する特殊触感構造を有する膜材料及びその製造方法は、「前記立体構造体のそれぞれの組成は、高分子樹脂材料、及び前記高分子樹脂材料に分散される複数の不溶性固体混合物を含む。なかでも、複数の前記不溶性固体混合物における少なくとも一部の前記不溶性固体混合物は、前記立体構造体の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出している。」、及び「複数の前記立体構造体はいずれも可視光透過性を有するため、前記高分子樹脂膜の前記表面における前記格子状の視覚パターンは、複数の前記立体構造体を透過して、前記高分子樹脂膜の前記表面で視認できるようになる。」という技術的手段により、薄くて軽い状態でメッシュクロスの視覚効果と十分な触覚効果を有するフィルム材を提供するために、二重層の布帛の視覚効果と網目の触覚効果を有するフィルム材を提供することである。
【0084】
より具体的には、基布層とメッシュ布層とからなる従来の二重層フィルム材では、最軽量のメッシュ材を使用しているにもかかわらず、二重層フィルム材の重量は少なくとも50g/m2以上である。本実施形態の膜材料(二重層の視覚効果を有する単層フィルム材料)は、上述の二重層フィルム材料と比較して、重量を50g/m2以下に大幅に低減することができ、これにより、一部の最終製品(すなわち、軽量化ニーズのある製品)の要求を満たすことができる。
【0085】
現在、デニール数(denier)の低い布は10デニールの布であることは特筆に値する。今後、繊維技術が高度化すれば、より低いデニール数の生地の開発も可能になる。本発明の膜材料を基材としてデニール数の低い布を用いると、本実施形態の膜材料の重量を40g/m2以下に大幅に低減することができる。
【0086】
以上に開示される内容は本発明の好ましい実施可能な実施例に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではないので、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0087】
100 膜材料
1 高分子樹脂膜
2 特殊触感構造モジュール
21 立体構造体
211 高分子樹脂材料
212 不溶性固体混合物
12 格子状の視覚パターン
121 幾何学的な線
122 幾何学的な図形
11、13 表面
D 間隙
H 高さ
W 幅
【手続補正書】
【提出日】2022-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子樹脂膜と、
前記高分子樹脂膜の表面に互いに間隔をあけて配置される複数の立体構造体を含む、特殊触感構造モジュールと、
を含む特殊触感構造を有する膜材料であって、
前記立体構造体のそれぞれは、高分子樹脂材料、及び前記高分子樹脂材料に分散される複数の不溶性固体混合物を含み、
複数の前記不溶性固体混合物における少なくとも一部の前記不溶性固体混合物は、前記立体構造体の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出し、
前記特殊触感構造モジュールにおいて、複数の前記立体構造体は、前記高分子樹脂膜の表面にマトリクス状に配列されているか、または千鳥状に配列されており、かつ、互いに直接接触しておらず、各前記立体構造体は、50μm~1,000μmの幅と、100μm~1,000μmの高さを有し、かつ、各前記立体構造体と隣接する前記立体構造体との間に、30μm~2,000μmの間隙を有し、各前記立体構造体において、複数の前記不溶性固体混合物の平均粒径は、20μm~150μmであり、前記不溶性固体混合物の含有量は、0.5wt%~10wt%であり、前記立体構造体は、50%以上の光透過率を有する、ことを特徴とする、特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項2】
前記立体構造体の各々において、各前記不溶性固体混合物は、前記高分子樹脂材料に分散しているが、溶解しておらず、かつ、各前記不溶性固体混合物のモース硬度は、前記高分子樹脂材料のモース硬度を上回る、請求項1に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項3】
前記立体構造体の各々において、前記立体構造体の表層に位置した前記不溶性固体混合物は、前記使用者が触れるために前記立体構造体の外表面から部分的に突出し、請求項2に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項4】
前記高分子樹脂膜は、ポリウレタン(PU)樹脂フィルム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)樹脂フィルム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム、ラテックスフィルム、ポリエステルエラストマーフィルム、及び複合フィルムのうちの少なくとも1つであり、前記複合フィルムは、ポリウレタン(PU)樹脂フィルム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム、ラテックスフィルム、及びポリエステルエラストマーフィルムの中の少なくとも2つの材料からなり、前記立体構造体のそれぞれにおいて、前記高分子樹脂材料は、水性高分子樹脂材料であり、かつ、前記立体構造体は、揮発性有機溶媒を含んでいない、請求項1に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項5】
前記立体構造体のそれぞれにおいて、前記水性高分子樹脂材料は、水性ポリウレタン(PU)樹脂、及び水性アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項6】
前記立体構造体のそれぞれにおいて、複数の前記不溶性固体混合物は、無機固体粒子及び有機固体粒子のうちの少なくとも1つである、請求項5に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項7】
各前記立体構造体の組成物において、複数の前記不溶性固体混合物を前記高分子樹脂材料中により均一に分散させるために、架橋剤(cross-linking agent)をさらに含み、前記架橋剤は、複数の前記不溶性固体混合物が前記高分子樹脂材料中に分散されるのを補助するように構成され、前記架橋剤は、イソシアネート架橋剤、メラミン架橋剤、及びアジリジン架橋剤のうち少なくとも1つであり、前記立体構造体の架橋剤の含有量は、0.5重量%~10重量%である、請求項6に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項8】
前記高分子樹脂膜の一表面は着色され格子状の視覚パターンが形成され、かつ、複数の前記立体構造体は前記格子状の視覚パターンを部分的にカバーし、複数の前記立体構造体はいずれも可視光透過性を有するため、前記高分子樹脂膜の前記表面の前記格子状の視覚パターンは、複数の前記立体構造体を透過して、前記高分子樹脂膜の前記表面の一面で視認できるようになり、前記高分子樹脂膜の前記表面はほぼ平坦な面であり、かつ、前記格子状の視覚パターンは、複数のインクドットで構成され、各前記立体構造体において、前記高分子樹脂材料は、水性高分子樹脂材料であり、前記格子状の視覚パターンにおいて、複数の前記インクドットは水性高分子インクドットであり、かつ、複数の前記立体構造体における前記水性高分子樹脂材料の少なくとも一部が、前記水性高分子インクドットに粘着している、請求項1に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
【請求項9】
高分子樹脂膜を提供し、
所定パターンに従って、インク材料を前記高分子樹脂膜の一表面に印刷して、前記インク材料から液状成分を蒸発させることにより、前記高分子樹脂膜の前記表面に格子状の視覚パターンを形成させ、
前記高分子樹脂膜の前記表面に複数の液状糊を形成させ、複数の前記液状糊は互いに間隔をあけて前記高分子樹脂膜の前記表面に形成されるようになり、かつ、各前記液状糊の組成では、高分子樹脂材料、及び前記高分子樹脂材料に分散される複数の不溶性固体混合物を含み、
複数の前記液状糊における液状成分を蒸発させることにより、複数の前記液状糊をそれぞれ、前記高分子樹脂膜の前記表面に粘着された複数の立体構造体として形成させ、かつ、複数の前記立体構造体は、前記格子状の視覚パターンを部分的にカバーするようになり、
各前記立体構造体において、複数の前記不溶性固体混合物における少なくとも一部の前記不溶性固体混合物は、前記立体構造体の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出しており、
複数の前記立体構造体はいずれも可視光透過性を有するため、前記高分子樹脂膜の前記表面における前記格子状の視覚パターンは、複数の前記立体構造体を透過して、前記高分子樹脂膜の前記表面で視認できるようになる、
ことを特徴とする、膜材料の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
以上に開示される内容は本発明の好ましい実施可能な実施例に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではないので、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
(付記)
本開示に係る実施形態は以下のものも含む。
<1>
高分子樹脂膜と、
前記高分子樹脂膜の表面に互いに間隔をあけて配置される複数の立体構造体を含む、特殊触感構造モジュールと、
を含む特殊触感構造を有する膜材料であって、
前記立体構造体のそれぞれは、高分子樹脂材料、及び前記高分子樹脂材料に分散される複数の不溶性固体混合物を含み、
複数の前記不溶性固体混合物における少なくとも一部の前記不溶性固体混合物は、前記立体構造体の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出している、
ことを特徴とする、特殊触感構造を有する膜材料。
<2>
前記立体構造体の各々において、各前記不溶性固体混合物は、前記高分子樹脂材料に分散しているが、溶解しておらず、かつ、各前記不溶性固体混合物のモース硬度は、前記高分子樹脂材料のモース硬度を上回る、<1>に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
<3>
前記立体構造体の各々において、前記立体構造体の表層に位置した前記不溶性固体混合物は、前記使用者が触れるために前記立体構造体の外表面から部分的に突出し、<2>に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
<4>
前記高分子樹脂膜は、ポリウレタン(PU)樹脂フィルム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)樹脂フィルム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム、ラテックスフィルム、ポリエステルエラストマーフィルム、高分子複合フィルムのうちの少なくとも1つであり、前記立体構造体のそれぞれにおいて、前記高分子樹脂材料は、水性高分子樹脂材料であり、かつ、前記立体構造体は、揮発性有機溶媒を含んでいない、<1>に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
<5>
前記立体構造体のそれぞれにおいて、前記水性高分子樹脂材料は、水性ポリウレタン(PU)樹脂、水性アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種である、<4>に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
<6>
前記立体構造体のそれぞれにおいて、複数の前記不溶性固体混合物は、無機固体粒子及び有機固体粒子のうちの少なくとも1つである、<5>に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
<7>
各前記立体構造体の組成物において、複数の前記不溶性固体混合物を前記高分子樹脂材料中により均一に分散させるために、架橋剤(cross-linking agent)をさらに含み、前記架橋剤は、複数の前記不溶性固体混合物が前記高分子樹脂材料中に分散されるのを補助するように構成され、前記架橋剤は、イソシアネート架橋剤、メラミン架橋剤、またはアジリジン架橋剤との少なくとも一方であり、前記立体構造体の架橋剤の含有量は、0.5重量%~10重量%である、<6>に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
<8>
前記特殊触感構造モジュールにおいて、複数の前記立体構造体は、前記高分子樹脂膜の表面にマトリクス状に配列されている(図1に示すように)か、または千鳥状に配列されており、かつ、互いに直接接触しておらず、各前記立体構造体は、50μm~1,000μmの幅と、100μm~1,000μmの高さを有し、かつ、各前記立体構造体と連接する前記立体構造体との間に、30μm~2,000μmの間隙を有し、各前記立体構造体において、複数の前記不溶性固体混合物の平均粒径は、20μm~150μmであり、前記不溶性固体混合物の含有量は、0.5wt%~10wt%であり、前記立体構造体は、50%以上の光透過率を有する、<1>に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
<9>
前記高分子樹脂膜の一表面は着色され格子状の視覚パターンが形成され、かつ、複数の前記立体構造体は前記格子状の視覚パターンを部分的にカバーし、複数の前記立体構造体はいずれも可視光透過性を有するため、前記高分子樹脂膜の前記表面の前記格子状の視覚パターンは、複数の前記立体構造体を透過して、前記高分子樹脂膜の前記表面の一面で視認できるようになり、前記高分子樹脂膜の前記表面はほぼ平坦な面であり、かつ、前記格子状の視覚パターンは、複数のインクドットで構成され、各前記立体構造体において、前記高分子樹脂材料は、水性高分子樹脂材料であり、前記格子状の視覚パターンにおいて、複数の前記インクドットは水性高分子インクドットであり、かつ、複数の前記立体構造体における前記水性高分子樹脂材料の少なくとも一部が、前記水性高分子インクドットに粘着している、<1>に記載の特殊触感構造を有する膜材料。
<10>
高分子樹脂膜を提供し、
所定パターンに従って、インク材料を前記高分子樹脂膜の一表面に印刷して、前記インク材料から液状成分を蒸発させることにより、前記高分子樹脂膜の前記表面に格子状の視覚パターンを形成させ、
前記高分子樹脂膜の前記表面に複数の液状糊を形成させ、複数の前記液状糊は互いに間隔をあけて前記高分子樹脂膜の前記表面に形成されるようになり、かつ、各前記液状糊の組成では、高分子樹脂材料、及び前記高分子樹脂材料に分散される複数の不溶性固体混合物を含み、
複数の前記液状糊における液状成分を蒸発させることにより、複数の前記液状糊をそれぞれ、前記高分子樹脂膜の前記表面に粘着された複数の立体構造体として形成させ、かつ、複数の前記立体構造体は、前記格子状の視覚パターンを部分的にカバーするようになり、
各前記立体構造体において、複数の前記不溶性固体混合物における少なくとも一部の前記不溶性固体混合物は、前記立体構造体の表面層に位置すると共に、使用者が触れるために外部環境に部分的に露出しており、
複数の前記立体構造体はいずれも可視光透過性を有するため、前記高分子樹脂膜の前記表面における前記格子状の視覚パターンは、複数の前記立体構造体を透過して、前記高分子樹脂膜の前記表面で視認できるようになる、
ことを特徴とする、膜材料の製造方法。