(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138682
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220915BHJP
B60R 1/00 20220101ALI20220915BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038700
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】谷口 敬大
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054AA01
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA05
5C054FC12
5C054FC15
5C054FE25
5C054FF03
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】撮像部が車両の幅方向における中心からオフセットして配置されていても、良好な後方視界を提供可能な画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置は、車両の幅方向の中心に対してオフセットして前記車両の後部に設けられ後方を撮像する撮像部によって撮像される画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部によって取得される画像のうち、前記車両に設けられる表示部に表示する後方画像の位置を、前記撮像部の前記幅方向におけるオフセット量と、前記車両と後続車両との間の距離とに基づいて、前記後方画像における前記後続車両の前記幅方向における位置ずれが抑制されるように補正する制御部とを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の幅方向の中心に対してオフセットして前記車両の後部に設けられ後方を撮像する撮像部によって撮像される画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得される画像のうち、前記車両に設けられる表示部に表示する後方画像の位置を、前記撮像部の前記幅方向におけるオフセット量と、前記車両と後続車両との間の距離とに基づいて、前記後方画像における前記後続車両の前記幅方向における位置ずれが抑制されるように補正する制御部と
を含む、画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮像部によって撮像される画像から切り出す画像の位置を前記位置ずれに応じて補正することによって、前記後方画像の位置を補正する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記撮像部によって撮像される画像のうち前記表示部に表示する領域を前記位置ずれに応じて補正することによって、前記後方画像の位置を補正する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記撮像部によって撮像される画像に基づいて前記後続車両との距離を検出する距離検出部をさらに含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記後続車両との距離の検出値が小さいほど前記補正における補正量を大きく設定し、前記後続車両との距離の検出値が大きいほど前記補正における補正量を小さく設定する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記後続車両は、前記車両の1台後ろに存在する後続車両である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
車両の幅方向の中心に対してオフセットして前記車両の後部に設けられ後方を撮像する撮像部と、
前記車両に設けられる表示部と、
前記撮像部によって撮像される画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得される画像のうち、前記表示部に表示する後方画像の位置を、前記撮像部の前記幅方向におけるオフセット量と、前記車両と後続車両との間の距離とに基づいて、前記後方画像における前記後続車両の前記幅方向における位置ずれが抑制されるように補正する制御部と
を含む、画像処理システム。
【請求項8】
車両の幅方向の中心に対してオフセットして前記車両の後部に設けられ後方を撮像する撮像部によって撮像される画像を取得する画像取得処理と、
前記画像取得処理によって取得される画像のうち、前記車両に設けられる表示部に表示する後方画像の位置を、前記撮像部の前記幅方向におけるオフセット量と、前記車両と後続車両との間の距離とに基づいて、前記後方画像における前記後続車両の前記幅方向における位置ずれが抑制されるように補正する制御処理と
を含む、画像処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理方法を画像処理装置に実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の後部に、その長手方向の中心線からずらして設置されており、車両の後方を撮影するカメラと、前記カメラの撮影画像を入力とし、入力したカメラ画像から、車両の後方を映す後方画像を生成し、表示装置に表示させる画像処理部とを備え、前記画像処理部は、前記後方画像における縦の中心が、車両の長手方向の中心線とほぼ一致するように、画像処理を行う監視システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像部が車両の幅方向における中心からオフセットして配置されていて、後続車両を含む画像を車内の表示部に表示する場合に、車両と後続車両との距離によって、画像の幅方向の中心に対する後続車両の位置ずれ量が変化する。具体的には、後続車両が近いほど位置ずれ量が大きくなる。このため、表示部を通じて得られる後方の視界が良好ではなく、利用者に違和感を与えるおそれがある。
【0005】
そこで、撮像部が車両の幅方向における中心からオフセットして配置されていても、良好な後方視界を提供可能な画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の画像処理装置は、車両の幅方向の中心に対してオフセットして前記車両の後部に設けられ後方を撮像する撮像部によって撮像される画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部によって取得される画像のうち、前記車両に設けられる表示部に表示する後方画像の位置を、前記撮像部の前記幅方向におけるオフセット量と、前記車両と後続車両との間の距離とに基づいて、前記後方画像における前記後続車両の前記幅方向における位置ずれが抑制されるように補正する制御部とを含む。
【発明の効果】
【0007】
撮像部が車両の幅方向における中心からオフセットして配置されていても、良好な後方視界を提供可能な画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の画像処理装置及び画像処理システムが搭載される車両10を示す図である。
【
図3】画像処理装置130のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】画像処理装置130が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
【
図6】制御部134が補正を行わない場合にカメラ120から切り出される後方画像の一例を示す図である。
【
図7】カメラ120によって撮像される画像50の中における、補正量CAで補正した切り出し位置PCと、補正量CAで補正していない切り出し位置P0とを示す図である。
【
図9】実施形態の変形例による後方画像60の取得方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラムを適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、実施形態の画像処理装置及び画像処理システムが搭載される車両10を示す図である。以下では、XYZ座標系を定義して説明する。X軸に平行な方向(X方向)、Y軸に平行な方向(Y方向)、Z軸に平行な方向(Z方向)は、互いに直交する。+X方向は車両10の前方向、-X方向は車両10の後方向、+Y方向は左方向、-Y方向は右方向、+Z方向は上方向、-Z方向は下方向を表す。また、以下では構成が分かり易くなるように各部の長さ、太さ、厚さ等を誇張して示す場合がある。
【0011】
車両10はリアガラス11の上方に設けられるリアスポイラー12を有する。
図1には、車両10の幅方向(Y方向)における中心Cを示す。リアスポイラー12にはハイマウントストップランプ13が設けられている。ハイマウントストップランプ13のY方向の中心は、車両10の幅方向の中心Cと一致する。このため、カメラ120は、一例としてハイマウントストップランプ13の左側に設けられている。カメラ120は、車両10の後方の画像を取得する撮像部の一例である。カメラ120は、車両10の幅方向において中心Cからオフセットして設けられている。カメラ120の車両10の幅方向における中心Cからのオフセット量は、車両10の設計値で与えられる。
【0012】
図2は、画像処理システム100を示す図である。画像処理システム100は、車両10(
図1参照)に搭載される電子ミラーシステムである。画像処理システム100は、ディスプレイ110、カメラ120、及び画像処理装置130を含む。ここでは、ディスプレイ110と画像処理装置130を分けて示すが、画像処理装置130はディスプレイ110の筐体内に設けられていてもよい。
【0013】
ディスプレイ110は、表示部の一例である。ディスプレイ110は、一例として車両10の室内のルームミラーの代わりに取り付けられる。ディスプレイ110は、ルームミラーを取り外して、ルームミラーの代わりに取り付けるタイプであってもよく、ルームミラーの上から被せて取り付けるタイプであってもよい。ディスプレイ110は、一例として液晶や有機EL(Electroluminescence)を利用した表示装置であり、カメラ120で撮像された画像に基づいて画像処理装置130によって生成される後方画像を表示する。ディスプレイ110には、利用者の入力操作を受け付けるタッチパネル、操作ボタン、電源ボタン等が含まれ得る。
【0014】
カメラ120は、撮像部の一例であり、車両10の後方の画像(映像)を撮像して、画像処理装置130に出力する。上述のように、カメラ120は、車両10の幅方向の中心Cに対して左側にオフセットして車両10の後部に設けられており、車両10の後方を撮像する。なお、一例として、カメラ120の水平方向の画角は43度であり、垂直方向の画角は9度である。
【0015】
画像処理装置130は、カメラ120によって取得される画像のうち、ディスプレイ110に表示する後方画像の位置を、カメラ120の車両10の幅方向におけるオフセット量と、車両10と後続車両との間の距離とに基づいて、後方画像における後続車両の車両10の幅方向における位置ずれが抑制されるように補正する画像処理を行う。
【0016】
図3は、画像処理装置130のハードウェア構成の一例を示す図である。画像処理装置130は、一般的なコンピュータの構成を備えており、例えば、CPU(Central Processing Unit)301、メモリ302、ストレージデバイス303、通信I/F(Interface)304、外部接続I/F305、GPU(Graphics Processing Unit)306、及びシステムバス307等を有する。
【0017】
CPU301は、例えば、ストレージデバイス303、メモリ302等に記憶したプログラムを実行することにより、画像処理装置130の各機能を実行する演算装置である。メモリ302には、例えば、CPU301のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリであるRAM(Random Access Memory)や、画像処理装置130の起動用のプログラム等を記憶する不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)等が含まれる。
【0018】
ストレージデバイス303は、例えば、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、及び各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等によって実現される。
【0019】
通信I/F304は、外部装置と通信するためのインタフェースである。例えば、通信I/F304は、画像処理装置130を車載ネットワークに接続し、車両10に搭載される1つ以上のECUや、カメラ等との通信を可能にする。また、通信I/F304は、無線LAN(Local Area Network)や、近距離無線通信等により外部装置との通信を可能にするものであってもよい。
【0020】
外部接続I/F305は、画像処理装置130に外部装置を接続するためのインタフェースである。外部接続I/F305には、例えば、画像処理装置130に、後方画像を表示するディスプレイ110を接続するためのインタフェース、カメラ120を接続するためのインタフェース、及び外部記憶装置を接続するためのインタフェース等が含まれ得る。
【0021】
GPU306は、画像処理装置130が実行する処理のうち、主に画像処理に関する演算を行う演算装置である。なお、画像処理装置130は、画像処理をCPU301で実行してもよい。この場合、画像処理装置130は、GPU306を有していなくてもよい。
【0022】
システムバス307は、上記の各構成要素に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。なお、
図3に示す画像処理装置130のハードウェア構成は一例であり、画像処理装置130は、コンピュータの構成を備えた様々なハードウェア構成であってよい。
【0023】
図4は、画像処理装置130の構成を示す図である。画像処理装置130は、主制御部131、画像取得部132、距離検出部133、制御部134、及びメモリ135を有する。
【0024】
主制御部131、画像取得部132、距離検出部133、及び制御部134は、画像処理装置130が実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ135は、画像処理装置130のメモリを機能的に表したものである。
【0025】
主制御部131は、画像処理装置130の処理を統括する処理部であり、画像取得部132、距離検出部133、及び制御部134が実行する処理以外の処理を行う。
【0026】
画像取得部132は、カメラ120によって撮像される車両10(自車両)の後方の画像を取得する処理を行う。
【0027】
距離検出部133は、カメラ120によって撮像される車両10の後方の画像に対して画像処理を行い、車両10の1台後ろの後続車までの距離を検出する。距離検出部133は、一例として、道路上の構造物と後続車との位置関係に基づいて、三角法で車両10から1台後ろの後続車までの距離を検出する。
【0028】
制御部134は、カメラ120によって撮像される車両10の後方の画像からディスプレイ110に表示する後方画像を切り出す(抽出する)際に、後方画像に含まれる後続車両の幅方向における位置ずれが抑制されるように補正を行い、補正した位置の画像を後方画像として切り出す処理を行う。
【0029】
より具体的には、制御部134は、車両10の1台後ろの後続車までの距離と、カメラ120のオフセット量とに基づいて、カメラ120によって撮像される車両10の後方の画像から後方画像を切り出す際の補正量を求める。車両10の1台後ろの後続車までの距離は、距離検出部133によって検出される。カメラ120のオフセット量は、車両10の幅方向におけるカメラ120のオフセット量であり、メモリ135に格納されている。また、後方画像は、カメラ120によって撮像される車両10の後方の画像のうち、ディスプレイ110に表示するために制御部134が切り出す画像である。
【0030】
カメラ120のオフセット量は、車両10の設計値に含まれる固定値であるため、複数の距離とオフセット量とに基づいて補正量を予め求めておき、距離と補正量を関連付けたテーブルデータをメモリ135に格納しておけばよい。制御部134は、テーブルデータから距離に対応する補正量を読み出せばよい。
【0031】
制御部134は、カメラ120によって撮像される車両10の後方の画像から後方画像を切り出す際に、カメラ120の正面の所定領域よりも補正量だけ幅方向にずらした補正領域に含まれる画像を後方画像として切り出す。そして、制御部134は、切り出した後方画像をディスプレイ110に表示する。なお、制御部134の処理の詳細については
図7を用いて後述する。
【0032】
メモリ135は、主制御部131、画像取得部132、距離検出部133、及び制御部134が実行する処理に必要なプログラムやデータや、処理に伴って生成されるデータ等を格納する。メモリ135に格納されるデータには、後続車までの距離と補正量を関連付けたテーブルデータが含まれる。
【0033】
図5は、画像処理装置130が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
図5に示すフローチャートによって実現される方法は、実施形態の画像処理方法であり、画像処理装置130が実施形態の画像処理用のプログラムを実行することによって実現される。
【0034】
画像処理装置130は、画像処理システム100の電源がオンにされ、
図5に示す処理を実行可能な状態になると、
図5に示す処理を所定の制御周期で繰り返し実行する。処理がスタートすると、主制御部131が統括して一連の処理が開始される。
【0035】
画像取得部132は、カメラ120によって撮像される車両10の後方の画像を取得する画像取得処理を行う(ステップS1)。
【0036】
距離検出部133は、カメラ120によって撮像される車両10の後方の画像に対して画像処理を行い、車両10の1台後ろの後続車までの距離を検出する検出処理を行う(ステップS2)。上述したように、一例として三角法で車両10から1台後ろの後続車までの距離が検出される。
【0037】
制御部134は、距離検出部133によって検出される距離に基づいて、メモリ135に格納されているテーブルデータから、カメラ120によって撮像される車両10の後方の画像から後方画像を切り出す際の補正量を求め、補正量だけずらした位置において後方画像を切り出す制御処理を行う(ステップS3)。
【0038】
制御部134は、切り出した後方画像をディスプレイ110に表示する(ステップS4)。以上により、ディスプレイ110には、後続車との距離に基づく位置ずれを補正した後方画像が表示される。ステップS4の処理を終えると、一連の処理が終了する(エンド)。
【0039】
図6は、制御部134が補正を行わない場合にカメラ120から切り出される後方画像の一例を示す図である。
図6には、下から上にかけて、車両10から1台後ろの後続車両20までの距離が2m、3m、5m、20mの場合の後方画像を示す。
図6において、C0はカメラ120で撮像する画像の横方向(車両10の幅方向)における中心を表す。
図6では中心C0を一点鎖線で示す。また、C1は、後続車両20の幅方向の中心を表す。
図6では中心C1を破線で示す。
【0040】
図6に示すように、後方画像における後続車両20の中心C1の横方向(車両10の幅方向)における中心C0からの位置ずれDは、車両10から1台後ろの後続車両20までの距離が20m、5m、3m、2mと短くなるにつれて大きくなる。カメラ120の画角は狭く、一例として水平方向の画角は43度であり、垂直方向の画角は9度である。このように画角が狭いカメラ120を用いる場合には、カメラ120が車両10の幅方向の中心Cからオフセットしていると、後続車両20の画像に大きなずれが生じ、利用者には違和感として捉えられるおそれがある。このため、画像処理装置130は、このような位置ずれが抑制されるように補正を行う。
【0041】
図7は、カメラ120によって撮像される画像50の中における、補正量CAで補正した切り出し位置PCと、補正量CAで補正していない切り出し位置P0とを示す図である。切り出し位置P0を実線で示し、切り出し位置PCを破線で示す。切り出し位置PCは、切り出し位置P0を補正量CAだけ車両10の右側(
図7における左側)にずらした位置であり、縦方向の位置は等しいが、切り出し位置PCの領域がよく分かるように、切り出し位置P0に対して少し下側にずらして示す。
【0042】
補正量CAで補正していない切り出し位置P0は、カメラ120によって撮像される画像50の中における縦横の中央に位置し、ディスプレイ110の表示領域に相当するサイズを有する領域である。換言すれば、補正量CAで補正していない切り出し位置P0は、車両10の幅方向における中心C(
図1参照)から左側にオフセットして配置されるカメラ120の正面にある、ディスプレイ110の表示領域に相当するサイズを有する領域である。
【0043】
図7(A)には、車両10(自車両)と、1台後ろの後続車両20との距離が20mの場合のカメラ120によって撮像される画像50の中における切り出し位置P0、PCと、切り出し位置PCから切り出した後方画像60とを示す。
【0044】
図7(B)には、車両10(自車)と、1台後ろの後続車両20との距離が2mの場合のカメラ120によって撮像される画像50の中における切り出し位置P0、PCと、切り出し位置PCから切り出した後方画像60とを示す。
【0045】
車両10から1台後ろの後続車両20までの距離が20mの場合よりも、2mの場合の方が、カメラ120によって撮像される画像50の中における後続車両20の横方向における位置ずれが大きくなるため、切り出し位置P0に対する切り出し位置PCの補正量CAを大きくする。
【0046】
このため、制御部134は、車両10から1台後ろの後続車両20までの距離の検出値が小さい(短い)ほど補正量CAを大きく設定し、後続車両20との距離の検出値が大きい(長い)ほど補正量CAを小さく設定する。このように設定することにより、距離検出部133によって検出される距離(検出値)に応じて、カメラ120によって撮像される画像50の中における切り出し位置PCを補正する。
【0047】
この結果、カメラ120が車両10の幅方向における中心C(
図1参照)からオフセットして配置されていても、ディスプレイ110に表示される後方画像の中における後続車両20の位置ずれを抑制することができる。
【0048】
図8は、後方画像60を示す図である。
図8(A)には、比較用に補正量CAで補正していない切り出し位置P0(
図7(A)、
図7(B)参照)で得た後方画像60を示す。
図8(B)には、補正量CAで補正した切り出し位置PC(
図7(A)、
図7(B)参照)で得た後方画像60を示す。
図8(C)には、比較用に車両10の幅方向の中心C上に配置したカメラで撮像した画像において、補正量CAで補正していない切り出し位置P0に相当する切り出し位置で得た後方画像60を示す。
【0049】
図8(A)、
図8(B)、
図8(C)において、左側には後続車両20との距離が20mの場合の後方画像60を示し、右側には後続車両20との距離が2mの場合の後方画像60を示す。また、
図8(A)、
図8(B)、
図8(C)において、中心C2は、後方画像60の横方向における中心を表す。
【0050】
図8(A)と
図8(B)とを比べると、距離が20mの場合は
図8(A)における後続車両20の位置ずれが少ないが、距離が2mの場合は
図8(A)における後続車両20の位置ずれが大きく、
図8(B)に示す後方画像60では後続車両20の位置が中心C2側に補正されていることが良く分かる。
【0051】
図8(B)と
図8(C)とを比べると、距離が20mの場合と距離が2mの場合とで、
図8(B)に示す後方画像60における後続車両20の位置及び見え方と、
図8(C)に示す後方画像60における後続車両20の位置及び見え方とに殆ど差が無いことが分かる。厳密に言うと、距離が近い2mの場合には、
図8(C)に示す後方画像60における後続車両20に比べると、
図8(B)に示す後方画像60における後続車両20は、少し左手前から見たように方向がずれているが、殆ど問題にならないレベルである。
【0052】
以上のように、カメラ120が車両10の幅方向における中心C(
図1参照)からオフセットして配置されていても、ディスプレイ110に表示される後方画像の中における後続車両20の位置ずれを抑制することができる。
【0053】
したがって、カメラ120が車両10の幅方向における中心Cからオフセットして配置されていても、良好な後方視界を提供可能な画像処理装置130、画像処理システム100、画像処理方法、及びプログラムを提供することができる。このように後方画像の中における後続車両20の位置ずれが抑制されるので、ディスプレイ110で後方を確認する利用者に違和感を与えることを抑制できる。特に、一例として水平方向の画角は43度であり、垂直方向の画角は9度であるという画角が狭いカメラ120を用いても、違和感の少ない良好な後方視界を確保することができる。
【0054】
また、画像処理装置130は、カメラ120によって撮像される画像50に基づいて後続車両20との距離を検出する距離検出部133を含むため、カメラ120によって撮像される画像50から後続車両20までの距離を検出することができ、簡易な構成で後続車両20までの距離を検出することができる。
【0055】
制御部134は、後続車両20との距離の検出値が小さいほど補正量CAを大きく設定し、後続車両と20の距離の検出値が大きいほど補正量CAを小さく設定するので、後続車両20との距離に応じて、画像50の中において後方画像60を得るための切り出し位置PCを補正することができ、後続車両20との距離に応じて、後続車両20が画像の略中央に位置する後方画像60を得ることができる。
【0056】
また、後続車両20は、車両10の1台後ろに存在する後続車両であるため、車両10の後方に複数の車両が存在する場合でも、後方画像60の中で最も大きく見える1台後ろの後続車両20に合わせた後方画像60を取得することができる。
【0057】
なお、以上では、後続車両20との距離に応じて、画像50の中において後方画像60を得るために補正した切り出し位置PCを用いる形態について説明したが、次のようにしてもよい。
【0058】
図9は、実施形態の変形例による後方画像60の取得方法を説明する図である。変形例による取得方法では、カメラ120によって撮像される画像50において、補正量CAで補正していない切り出し位置P0(
図7(A)、
図7(B)参照)で後方画像を切り出してから、切り出した画像を補正量だけ移動させる。
【0059】
図9(A)、
図9(B)において、C1は、後続車両20の幅方向の中心を表し、破線で示す。中心C2は、後方画像60の横方向における中心を表し、実線で示す。
図9(A)には切り出し位置P0(
図7(A)、
図7(B)参照)で切り出した後方画像60を示す。後続車両20の幅方向の中心C1は、後方画像60の横方向における中心C2に対して車両10の右側(
図9(A)における左側)にずれている。位置ずれはD1である。
【0060】
このような場合に、
図9(A)に示す後方画像60において、後続車両20の幅方向の中心C1と、後方画像60の横方向における中心C2とが一致するように、後方画像60を車両10の幅方向における右側(
図9(A)における左側)に位置ずれD1の分だけずらせば、
図9(B)に示すように、後続車両20の幅方向の中心C1と、後方画像60の横方向における中心C2とを一致させることができる。補正量はD1であり、上述した補正量CAと等しい。
【0061】
このような補正方法を利用した場合においても、カメラ120が車両10の幅方向における中心C(
図1参照)からオフセットして配置されている場合に、ディスプレイ110に表示される後方画像の中における後続車両20の位置ずれを抑制することができる。
【0062】
したがって、カメラ120が車両10の幅方向における中心Cからオフセットして配置されていても、良好な後方視界を提供可能な画像処理装置130、画像処理システム100、画像処理方法、及びプログラムを提供することができる。
【0063】
以上、本発明の例示的な実施形態の画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラムについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 車両
20 後続車両
50 画像
60 後方画像
100 画像処理システム
110 ディスプレイ
120 カメラ
130 画像処理装置
131 主制御部
132 画像取得部
133 距離検出部
134 制御部
135 メモリ