(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138685
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ベース部材、時計用ムーブメント、時計、ベース部材ユニットおよびベース部材ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
G04B 29/02 20060101AFI20220915BHJP
B21D 39/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G04B29/02
G04B29/02 B
B21D39/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038704
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】305018823
【氏名又は名称】盛岡セイコー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】柏田 将大
(57)【要約】
【課題】異物の発生を抑制しつつ、各種材質の部品を容易に保持できるベース部材を提供する。
【解決手段】地板10は、第1主面11と、第1主面11に開口し、軸受40が収納される収納凹部20と、収納凹部20の開口縁21で収納凹部20の内側に張り出すように塑性変形される側面22の開口側端部24と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面と、
前記主面に開口し、部品が収納される収納凹部と、
前記収納凹部の開口縁で前記収納凹部の内側に張り出すように塑性変形される被変形部と、
を備えるベース部材。
【請求項2】
前記部品は、軸受である、
請求項1に記載のベース部材。
【請求項3】
前記主面における前記収納凹部の前記開口縁の周囲に形成された凸部をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載のベース部材。
【請求項4】
前記収納凹部は、前記収納凹部の開口側を向く底面を有する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のベース部材。
【請求項5】
前記収納凹部は、前記収納凹部の開口側に傾斜した方向を向く側面を有する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のベース部材。
【請求項6】
時計用ムーブメントの地板および受部材のいずれか一方である、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のベース部材。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のベース部材を備えた時計用ムーブメント。
【請求項8】
請求項7に記載の時計用ムーブメントを備えた時計。
【請求項9】
部品と、
前記部品を保持するベース部材と、
を備え、
前記ベース部材は、
主面と、
前記主面に開口し、前記部品が収納された収納凹部と、
前記収納凹部の開口縁で塑性変形して前記収納凹部の内側に張り出し、前記部品に接触した塑性変形部と、
を備える、
ベース部材ユニット。
【請求項10】
ベース部材の主面に収納凹部を形成する凹部形成工程と、
前記収納凹部に部品を収納する部品収納工程と、
前記収納凹部の開口縁を前記収納凹部の内側に張り出すように塑性変形させる変形工程と、
を備えるベース部材ユニットの製造方法。
【請求項11】
前記主面における前記収納凹部の前記開口縁の周囲に凸部を形成する凸部形成工程をさらに備え、
前記変形工程では、前記凸部を押し潰す、
請求項10に記載のベース部材ユニットの製造方法。
【請求項12】
前記凸部形成工程は、半抜き加工によって前記凸部を形成する、
請求項11に記載のベース部材ユニットの製造方法。
【請求項13】
前記変形工程は、前記ベース部材の厚さ方向に対して直交する平坦面で前記凸部を圧縮する、
請求項11または請求項12に記載のベース部材ユニットの製造方法。
【請求項14】
前記変形工程は、前記ベース部材の厚さ方向に対して前記収納凹部の内部側を向く傾斜面で前記凸部を圧縮する、
請求項11または請求項12に記載のベース部材ユニットの製造方法。
【請求項15】
前記変形工程は、前記主面における前記収納凹部の前記開口縁の周囲を突起で押圧する、
請求項10に記載のベース部材ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部材、時計用ムーブメント、時計、ベース部材ユニットおよびベース部材ユニットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベース部材の凹部に他の部品を脱落不能に装着する構成として、例えば、下記の特許文献に開示された技術がある。
特許文献1には、内壁に軸方向に平行に延びる複数の山が形成された貫通穴を有する樹脂製品であって、圧入部材が貫通穴に圧入されて、山を押し潰して反力を得て貫通穴に固定される構造が開示されている。
特許文献2には、突起部を形成してなる端子板と、突起部を挿入する穴を設けた基板とを有し、基板の穴に端子板の突起部を挿入して穴の反対側から突出する突起部先端を潰すことで基板に端子板を固定する基板への端子板固定構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5464728号公報
【特許文献2】特開2002-143933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、圧入部材によって押し潰された山が脱落して異物となる可能性がある。さらに、金属製のベース部材に特許文献1に開示された技術を適用する場合には、貫通孔に山を形成する難易度が高い。また、特許文献2に開示された技術では、部品をベース部材に保持させるにあたり、部品を貫通孔に挿通させた状態で部品の先端を潰して変形させる必要があるので、部品の材質に限定が生じる。したがって、異物の発生を抑制しつつ、各種材質の部品を容易に保持できるベース部材の開発が望まれる。
【0005】
そこで本発明は、異物の発生を抑制しつつ、各種材質の部品を容易に保持できるベース部材、時計用ムーブメント、時計、ベース部材ユニットおよびベース部材ユニットの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のベース部材は、主面と、前記主面に開口し、部品が収納される収納凹部と、前記収納凹部の開口縁で前記収納凹部の内側に張り出すように塑性変形される被変形部と、を備える。
【0007】
本発明によれば、被変形部の塑性変形によって収納凹部の開口を狭めることができるので、部品を収納凹部に収納する際に、遊嵌等のベース部材および部品に過度の負荷が掛からない方法で部品を嵌入することができる。これにより、部品を収納凹部に圧入する場合に生じ得るベース部材および部品の欠けやバリの発生を抑制しつつ、部品をその材質によらず収納凹部に保持することができる。したがって、異物の発生を抑制しつつ、各種材質の部品を容易に保持できるベース部材が得られる。
【0008】
上記のベース部材において、前記部品は、軸受であってもよい。
【0009】
本発明によれば、部品を圧入する場合に生じ得る部品の脆性破壊を抑制できる。したがって、ベース部材に部品を保持させる際の歩留まりを向上させることができる。
【0010】
上記のベース部材において、前記主面における前記収納凹部の前記開口縁の周囲に形成された凸部をさらに備えていてもよい。
【0011】
本発明によれば、凸部を押し潰すことで、凸部の根元部分を収納凹部の内側に逃げるように塑性変形させることができる。したがって、上述した作用効果を奏するベース部材が得られる。
【0012】
上記のベース部材において、前記収納凹部は、前記収納凹部の開口側を向く底面を有していてもよい。
【0013】
本発明によれば、収納凹部の底面に部品を接触させることで、収納凹部の深さ方向において部品を位置決めすることができる。したがって、ベース部材の所望の位置に部品を精度よく配置できる。
【0014】
上記のベース部材において、前記収納凹部は、前記収納凹部の開口側に傾斜した方向を向く側面を有していてもよい。
【0015】
本発明によれば、収納凹部の側面に部品を接触させることで、収納凹部の深さ方向において部品を位置決めすることができる。したがって、ベース部材の所望の位置に部品を精度よく配置できる。
【0016】
上記のベース部材において、時計用ムーブメントの地板および受部材のいずれか一方であってもよい。
【0017】
本発明によれば、時計に組み込まれた場合に、異物による時計の故障の発生を抑制できる。したがって、時計の信頼性を向上させることが可能なベース部材が得られる。
【0018】
本発明の時計用ムーブメントは、上記のベース部材を備える。
【0019】
本発明によれば、時計に組み込まれた場合に、ベース部材または部品から発生した異物による時計の故障の発生を抑制できる。したがって、時計の信頼性を向上させることができる。
【0020】
本発明の時計は、上記の時計用ムーブメントを備える。
【0021】
本発明によれば、優れた信頼性を有する時計を提供できる。
【0022】
本発明のベース部材ユニットは、部品と、前記部品を保持するベース部材と、を備え、前記ベース部材は、主面と、前記主面に開口し、前記部品が収納された収納凹部と、前記収納凹部の開口縁で塑性変形して前記収納凹部の内側に張り出し、前記部品に接触した塑性変形部と、を備える。
【0023】
本発明によれば、収納凹部の開口縁の塑性変形によって収納凹部の開口が狭められるので、部品を収納凹部に収納する際に、遊嵌等のベース部材および部品に過度の負荷が掛からない方法で部品を嵌入することができる。そして、収納凹部の開口縁で塑性変形部が部品に接触するので、収納凹部に収納された部品を脱落不能に保持できる。これにより、部品を収納凹部に圧入する場合に生じ得るベース部材および部品の欠けやバリの発生を抑制しつつ、部品をその材質によらず収納凹部に保持することができる。したがって、ベース部材への部品の組み付けに伴う異物の発生が抑制されたベース部材ユニットが得られる。
【0024】
本発明のベース部材ユニットの製造方法は、ベース部材の主面に収納凹部を形成する凹部形成工程と、前記収納凹部に部品を収納する部品収納工程と、前記収納凹部の開口縁を前記収納凹部の内側に張り出すように塑性変形させる変形工程と、を備える。
【0025】
本発明によれば、変形工程で収納凹部の開口縁の塑性変形によって収納凹部の開口を狭めるので、部品収納工程で遊嵌等のベース部材および部品に過度の負荷が掛からない方法で部品を嵌入することができる。そして、収納凹部の開口縁を塑性変形させて収納凹部の側面を部品に接触させるので、収納凹部に収納された部品を脱落不能に保持させることができる。これにより、部品を収納凹部に圧入する場合に生じ得るベース部材および部品の欠けやバリの発生を抑制しつつ、部品をその材質によらず収納凹部に保持することができる。したがって、ベース部材への部品の組み付けに伴う異物の発生が抑制されたベース部材ユニットを製造できる。
【0026】
上記のベース部材ユニットの製造方法において、前記主面における前記収納凹部の前記開口縁の周囲に凸部を形成する凸部形成工程をさらに備え、前記変形工程では、前記凸部を押し潰してもよい。
【0027】
本発明によれば、変形工程で凸部を押し潰すことで、凸部の根元部分を収納凹部の内側に逃げるように塑性変形させることができる。したがって、上述した作用効果を奏するベース部材ユニットの製造方法とすることができる。
【0028】
上記のベース部材ユニットの製造方法において、前記凸部形成工程は、半抜き加工によって前記凸部を形成してもよい。
【0029】
本発明によれば、例えば切削加工等の半抜き加工(プレス加工)以外の加工法で凸部を形成する場合と比較して、生産性を向上させることができる。
【0030】
上記のベース部材ユニットの製造方法において、前記変形工程は、前記ベース部材の厚さ方向に対して直交する平坦面で前記凸部を圧縮してもよい。
【0031】
本発明によれば、凸部の先端部分の逃げを抑制しつつ凸部をベース部材の厚さ方向に圧縮することができる。これにより、凸部の根元部分を収納凹部の内側に逃げるように確実に塑性変形させることができる。
【0032】
上記のベース部材ユニットの製造方法において、前記変形工程は、前記ベース部材の厚さ方向に対して前記収納凹部の内部側を向く傾斜面で前記凸部を圧縮してもよい。
【0033】
本発明によれば、凸部を圧縮する際に凸部を収納凹部の内側に押圧することができる。これにより、凸部を厚さ方向に対して直交する平坦面で圧縮する場合と比較して、凸部の根元部分のより多くを収納凹部の内側に逃げるように確実に塑性変形させることができる。したがって、塑性変形部をより高い圧力で部品に接触させて、部品の保持力を高めることができる。
【0034】
上記のベース部材ユニットの製造方法において、前記変形工程は、前記主面における前記収納凹部の前記開口縁の周囲を突起で押圧してもよい。
【0035】
本発明によれば、突起の侵入によって、ベース部材のうち突起よりも収納凹部の開口縁側に位置する部分を収納凹部側に押し退けることができる。これにより、収納凹部の開口縁を収納凹部の内側に張り出すように塑性変形させることができる。したがって、上述した作用効果を奏するベース部材ユニットの製造方法とすることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、異物の発生を抑制しつつ、各種材質の部品を容易に保持できるベース部材、時計用ムーブメント、時計、ベース部材ユニットおよびベース部材ユニットの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】第1実施形態のベース部材ユニットを示す断面図である。
【
図2】第1実施形態のベース部材ユニットの製造方法を示すフローチャートである。
【
図3】第1実施形態のベース部材ユニットの製造方法における各工程を説明する図である。
【
図4】第1実施形態のベース部材ユニットの製造方法における各工程を説明する図である。
【
図5】第1実施形態のベース部材ユニットの製造方法における各工程を説明する図である。
【
図6】第1実施形態のベース部材ユニットの製造方法における各工程を説明する図である。
【
図7】変形工程前における地板の断面状態の一例を示す断面図である。
【
図8】変形工程後における地板の断面状態の一例を示す断面図である。
【
図9】第2実施形態のベース部材ユニットの製造方法を説明する図である。
【
図10】第3実施形態のベース部材ユニットの製造方法を説明する図である。
【
図11】第4実施形態のベース部材ユニットを示す断面図である。
【
図12】第4実施形態のベース部材ユニットの製造方法を説明する図である。
【
図13】第4実施形態のベース部材ユニットの製造方法を説明する図である。
【
図14】第4実施形態のベース部材ユニットの製造方法を説明する図である。
【
図15】第4実施形態のベース部材ユニットの製造方法を説明する図である。
【
図16】第5実施形態のベース部材ユニットを示す断面図である。
【
図17】第5実施形態のベース部材ユニットの製造方法を説明する図である。
【
図18】第5実施形態のベース部材ユニットの製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0039】
[第1実施形態]
(ベース部材ユニットの構成)
第1実施形態のベース部材ユニット1の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、第1実施形態のベース部材ユニットを示す断面図である。
本実施形態において、ベース部材ユニット1は、腕時計用の部品であって、時計用ムーブメントの一部である。ベース部材ユニット1は、歯車等の回転体の軸部を回転可能に支持する。
図1に示すように、ベース部材ユニット1は、地板10(ベース部材)と、軸受40(部品)と、を備える。すなわち、ベース部材ユニット1は、地板10に軸受40が装着されたものである。
【0040】
地板10は、軸受40を保持する。地板10は、所定の方向に厚みを有する板材である。以下、所定の方向を厚さ方向と称する。地板10は、金属材料によって形成されている。地板10は、厚さ方向の第1方向を向く第1主面11(主面)と、第1方向とは反対方向である第2方向を向く第2主面12と、を有する。また、地板10は、軸受40が収納された収納凹部20と、収納凹部20とは反対側に形成された穴部14と、収納凹部20の開口縁21に形成された塑性変形部30と、を備える。
【0041】
収納凹部20は、地板10の第1主面11に開口している。収納凹部20は、厚さ方向から見た横断面で円形状に形成されている。収納凹部20は、側面22および底面23を有する。底面23は、側面22の下端縁から全周にわたって内側に延びている。底面23は、厚さ方向に直交する方向に延び、収納凹部20の開口側(第1方向)を向いている。底面23の中央には、地板10を厚さ方向に貫通する貫通孔13が開口している。すなわち底面23は、円環状に形成されている。
【0042】
穴部14は、地板10の第2主面12に開口している。穴部14は、地板10を非貫通とされている。穴部14は、厚さ方向から見て円形状に形成されている。穴部14は、収納凹部20と同軸に形成されている。穴部14は、収納凹部20の内径よりも大きい内径を有する。穴部14の底面の中央には、貫通孔13が開口している。
【0043】
ここで、塑性変形部30の説明に先立って、軸受40について説明する。軸受40は、すべり軸受として機能するいわゆる穴石である。軸受40は、円筒状に形成されている。例えば、軸受40は、例えばルビー等の人口宝石で形成されている。軸受40の外周面41における軸方向の端縁は、全周にわたって面取りされている。ただし、軸受40は、面取りされていなくてもよい。軸受40は、その軸方向を厚さ方向に沿わせた状態で、収納凹部20に収納されている。軸受40は、収納凹部20の底面23に接触して地板10に第2主面12側から支持されている。
【0044】
塑性変形部30は、収納凹部20のうち少なくとも開口縁21に形成されている。塑性変形部30は、収納凹部20の側面22のうち開口縁21を含み、厚さ方向に広がりを持つ部分である。塑性変形部30は、地板10を塑性変形させることによって形成されている。塑性変形部30は、収納凹部20の内側に張り出すように形成されている。塑性変形部30は、厚さ方向から見て収納凹部20の中心に対して回転対称に形成されている。塑性変形部30は、収納凹部20の開口縁21に全周にわたって連続して設けられている。塑性変形部30は、軸受40の外周面41に接触している。なお、収納凹部20の側面22のうち塑性変形部30以外の部分は、軸受40の外周面41に非接触とされている。塑性変形部30は、軸受40の外周面41の端縁(面取り部)に厚さ方向の外側(第1方向)から接触している。塑性変形部30は、収納凹部20から軸受40の脱落を抑制し、軸受40を収納凹部20に保持している。
【0045】
(ベース部材ユニットの製造方法)
第1実施形態のベース部材ユニット1の製造方法について、
図2から
図6を参照して説明する。
図2は、第1実施形態のベース部材ユニットの製造方法を示すフローチャートである。
図3から
図6は、第1実施形態のベース部材ユニットの製造方法における各工程を説明する図である。
【0046】
図2に示すように、本実施形態の製造方法は、凹部形成工程S10と、凸部形成工程S20と、軸受収納工程S30(部品収納工程)と、変形工程S40と、を備える。
図3に示すように、本実施形態では、地板10の材料として、プレス加工や切削加工等によっておおよそ地板10の外形に成形された金属板50を用いる。なお、以下の説明では、金属板50の一方主面を上面51と称し、他方主面を下面52と称する。
【0047】
最初に、凹部形成工程S10を行う。
図3に示すように、凹部形成工程S10では、金属板50に貫通孔13および収納凹部20を形成する。貫通孔13は、プレス加工や切削加工等によって形成される。なお、貫通孔13は、金属板50の外形成形時に併せて形成されてもよい。収納凹部20は、例えばプレス加工によって形成される。具体的に、収納凹部20を形成する工程では、金属板50の下面52をダイ60の平坦面で支持しつつ、ダイ60とは反対側から金属板50の上面51における貫通孔13の周縁部にパンチ61を当てる。この際、金属板50の下面52のうち少なくとも貫通孔13の周縁部をダイ60によって支持する。また、パンチ61が金属板50を貫通しないようにパンチ61の下降距離を設定する。
【0048】
ここで、パンチ61は、貫通孔13の内径よりも大きい外径を有する。これにより、凹部形成工程S10では、金属板50の上面51に開口した収納凹部20が形成される。この時点で、収納凹部20の側面は、一定の曲率で金属板50の厚さ方向に延びている。収納凹部20の開口は、軸受40よりも大きく形成されている。すなわち収納凹部20の内径は、軸受40の外径よりも大きい。これにより、収納凹部20は、軸受40を遊嵌可能となる。ただし、収納凹部20の内径は、軸受40の外径に略一致していてもよい。
【0049】
続いて、凸部形成工程S20を行う。
図4に示すように、凸部形成工程S20では、金属板50の上面51における収納凹部20の周囲に凸部53を形成する。凸部形成工程S20では、金属板50に半抜き加工(エンボス加工)を行う。具体的に、凸部形成工程S20では、金属板50の上面51をダイ62で支持しつつ、ダイ62とは反対側から金属板50の下面52における貫通孔13の周縁部にパンチ63を当てる。ここで、パンチ63は、収納凹部20の内径よりも大きい外径を有する。ダイ62には、収納凹部20の開口縁21を避けるダイ凹部62aが形成されている。ダイ凹部62aは、収納凹部20の開口縁21の内径よりも大きい内径を有している。ダイ凹部62aの開口縁は、全周にわたって収納凹部20の開口縁21の外側に位置している。例えば、ダイ凹部62aの内径は、パンチ63の先端面の外径と一致している。この場合、ダイ凹部62aの開口縁は、金属板50の厚さ方向から見てパンチ63の先端面の外周縁に一致している。
【0050】
上記のダイ62およびパンチ63を用いて半抜き加工を行うことで、金属板50の下面52に穴部14が形成されるとともに、収納凹部20の底面23が金属板50の上面51に接近するように金属板50における収納凹部20の周辺部分が変位する。その結果、金属板50の上面51における収納凹部20の周囲に円環状の凸部53が形成される。以上により、軸受40が装着される前の状態の地板10が完成する。金属板50の上面51は、地板10の第1主面11となる。金属板50の下面52は、地板10の第2主面12となる。ただし、凸部53は円環状に延びていなくてもよく、例えば収納凹部20の周囲に間欠的に形成されていてもよい。
【0051】
なお、上述した例では、凸部53の外径は、パンチ63の外径より小さく形成されているが、これに限定されず、パンチ63の外径と略同一の径(大きさ)、またはパンチ63の外径より大きく形成されてもよい。この場合、ダイ凹部62aの内径は、パンチ63の外径と略同一の径、または、パンチ63の外径よりも大きくなる。
【0052】
続いて、軸受収納工程S30を行う。軸受収納工程S30では、収納凹部20に軸受40を収納する。軸受40の全体は、収納凹部20に配置される。すなわち、収納凹部20の深さは、収納凹部20に軸受40の全体が配置されるように設定される。軸受40は、収納凹部20に遊嵌(隙間嵌め)され、地板10に対して遊動可能とされる。ただし、収納凹部20の内径が軸受40の外径に略一致している場合に、軸受収納工程S30において軸受40は地板10および軸受40に過度な負荷が掛からない方法で嵌入されればよい。例えば、軸受40は、締め代が0以下の状態で収納凹部20に嵌入されればよい。
【0053】
続いて、変形工程S40を行う。
図5に示すように、変形工程S40では、パンチ64で凸部53を地板10の第2主面12側に押し潰すようにプレスする。パンチ64は、厚さ方向に対して直交する平坦面65で凸部53を圧縮する。例えば、変形工程S40では、収納凹部20の開口縁21が周辺と面一になるようにプレスする。
【0054】
図6に示すように、凸部53が収納凹部20の開口縁21の周囲で押し潰されることで、収納凹部20の側面22のうち開口縁21を含む開口側端部24(被変形部)が塑性変形する。この際、開口側端部24は、収納凹部20の内側に張り出すように塑性変形して、地板10と軸受40との隙間を埋める。開口側端部24は、塑性変形部30となる。開口側端部24は、収納凹部20の内側に張り出す過程で軸受40の外周面41に接触する。凸部53が厚さ方向から見て収納凹部20の中心に対して回転対称に形成されることで、塑性変形部30も厚さ方向から見て収納凹部20の中心に対して回転対称に形成される。これにより、軸受40が収納凹部20に対して芯出しされる。
【0055】
以上によって、軸受40が収納凹部20からの脱落を抑制された状態で収納凹部20に保持されたベース部材ユニット1が完成する。
【0056】
図7は、変形工程前における地板の断面状態の一例を示す断面図である。
図8は、変形工程後における地板の断面状態の一例を示す断面図である。
図7および
図8では、地板10の組成が、メッシュを用いてモデル化されている
図7および
図8に示すように、地板10は、変形工程S40で凸部53を押し潰すことによって、収納凹部20の側壁部において凸部53から地板10の第2主面12側に向かう領域で塑性変形し、収納凹部20の開口縁21が収納凹部20の内側に変位している。
図8では、かかる塑性変形について、メッシュ相互間の距離が短くなることによりモデル化して表示されている。すなわち、なお地板10において、
図7に示す状態から
図8に示す状態でメッシュが移動した部分が塑性変形した部分である。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態の地板10は、軸受40が収納される収納凹部20と、収納凹部20の開口縁21で収納凹部20の内側に張り出すように塑性変形される収納凹部20の側面22の開口側端部24と、を備える。この構成によれば、収納凹部20の側面22の開口側端部24の塑性変形によって収納凹部20の開口を狭めることができるので、軸受40を収納凹部20に収納する際に、遊嵌等の地板10および軸受40に過度の負荷が掛からない方法で軸受40を嵌入することができる。これにより、軸受を収納凹部に圧入する場合に生じ得る地板および軸受の欠けやバリの発生を抑制しつつ、軸受40をその材質によらず収納凹部20に保持することができる。したがって、異物の発生を抑制しつつ、各種材質の軸受40を容易に保持できる地板10が得られる。また、ベース部材ユニット1は、収納凹部20の開口縁21で塑性変形した塑性変形部30が軸受40に接触するので、収納凹部20に収納された軸受40を脱落不能に保持できる。したがって、地板10への軸受40の組み付けに伴う異物の発生が抑制されたベース部材ユニット1が得られる。また、軸受を収納凹部に圧入する構成と比較して、収納凹部20の寸法公差を緩めることが可能となるので、地板10を形成する際の歩留まりを向上させることができる。
【0058】
また、収納凹部20に収納される部材は、軸受40である。この構成によれば、軸受を圧入する場合に生じ得る軸受の脆性破壊を抑制できる。したがって、地板10に軸受40を保持させる際の歩留まりを向上させることができる。
【0059】
地板10は、収納凹部20の開口縁21の周囲に形成された凸部53をさらに備える。この構成によれば、凸部53を押し潰すことで、凸部53の根元部分を収納凹部20の内側に逃げるように塑性変形させることができる。したがって、上述した作用効果を奏する地板10およびベース部材ユニット1が得られる。
【0060】
収納凹部20は、収納凹部20の開口側を向く底面23を有する。この構成によれば、収納凹部20の底面23に軸受40を接触させることで、収納凹部20の深さ方向において軸受40を位置決めすることができる。したがって、地板10の所望の位置に軸受40を精度よく配置できる。
【0061】
そして、地板10を備える時計用ムーブメントは、地板10または軸受40から発生した異物による時計の故障の発生を抑制できる。したがって、時計の信頼性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態のベース部材ユニット1の製造方法では、凸部形成工程S20において半抜き加工によって凸部53を形成する。この構成によれば、例えば切削加工等の半抜き加工(プレス加工)以外の加工法で凸部53を形成する場合と比較して、生産性を向上させることができる。
【0063】
さらに、変形工程S40は、厚さ方向に対して直交する平坦面65で凸部53を圧縮する。この方法によれば、凸部53の先端部分の逃げを抑制しつつ凸部53を厚さ方向に圧縮することができる。これにより、凸部53の根元部分を収納凹部20の内側に逃げるように確実に塑性変形させることができる。
【0064】
また、変形工程S40においてパンチ64の下降距離を適宜設定することで、軸受40に接触する塑性変形部30の圧力を調整できる。したがって、軸受40に過度な負荷が掛かることを抑制しつつ、軸受40を収納凹部20に確実に保持させることができる。
【0065】
[第2実施形態]
(ベース部材ユニットの製造方法)
第2実施形態のベース部材ユニットの製造方法について、
図9を参照して説明する。
図9は、第2実施形態のベース部材ユニットの製造方法を説明する図である。
図9に示すように、第2実施形態は、変形工程S40で第1実施形態のパンチ64に代えてパンチ64Aを用いて凸部53を圧縮方向に潰している点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0066】
パンチ64Aは、先端面に傾斜面66を有する。傾斜面66は、厚さ方向で凸部53に対向する位置に形成されている。傾斜面66は、凸部53の形状に対応して円環状に形成されている。傾斜面66は、厚さ方向に対して収納凹部20の内部側を向いている。パンチ64Aの傾斜面66で凸部53を圧縮することで、凸部53が収納凹部20の内側に押圧され、収納凹部20の側面22の開口側端部24が収納凹部20の内側に張り出すように塑性変形する。これにより、塑性変形部30が形成される。
【0067】
以上に説明したように、本実施形態の変形工程S40は、厚さ方向に対して収納凹部20の内部側を向く傾斜面66で凸部53を圧縮する。この方法によれば、凸部53を圧縮する際に凸部53を収納凹部20の内側に押圧することができる。これにより、凸部53を厚さ方向に対して直交する平坦面で圧縮する場合と比較して、凸部53の根元部分のより多くを収納凹部20の内側に逃げるように確実に塑性変形させることができる。したがって、塑性変形部30をより高い圧力で軸受40に接触させて、軸受40の保持力を高めることができる。
【0068】
[第3実施形態]
(ベース部材ユニットの製造方法)
第3実施形態のベース部材ユニットの製造方法について、
図10を参照して説明する。
図10は、第3実施形態のベース部材ユニットの製造方法を説明する図である。
図10に示すように、第3実施形態は、変形工程S40で圧縮する凸部53Aが収納凹部20の開口縁21に対して間隔をあけて設けられている点で、第1実施形態とは異なる。本実施形態では、第1実施形態の凸部形成工程S20を省略するとともに、少なくとも軸受収納工程S30よりも前に、金属板の鍛造や切削等によって凸部53Aを形成する。
【0069】
本実施形態によれば、凸部53Aを潰すように圧縮することで、凸部53Aの根元部分を収納凹部20の内側に逃げるように塑性変形させることができる。したがって、第1実施形態と同様の作用効果を奏する地板10が得られる。
【0070】
[第4実施形態]
(ベース部材ユニットの構成)
第4実施形態のベース部材ユニットの構成について、
図11を参照して説明する。
図11は、第4実施形態のベース部材ユニットを示す断面図である。
図11に示すように、第4実施形態では、収納凹部120がその底部側に向かうに従い漸次縮径する側面122で軸受40を支持している点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0071】
地板110は、収納凹部120および塑性変形部30を備える。収納凹部120は、地板110の第1主面111に開口している。収納凹部120は、厚さ方向から見た横断面で円形状に形成されている。収納凹部120は、側面122を有する。側面122は、厚さ方向に延びる所定の軸線を中心に形成されている。側面122には、塑性変形部30が形成されている。側面122のうち塑性変形部30に対して第2主面112側に位置する部分は、厚さ方向に直交した方向に対して収納凹部120の開口側に傾斜した方向を向いている。なお、本実施形態では、収納凹部120が地板110を貫通しているが、収納凹部は地板を貫通せずに底面を有していてもよい。さらに、収納凹部の底面に貫通孔が開口していてもよい。
【0072】
軸受40は、収納凹部120に収納されている。軸受40は、収納凹部120の側面122のうち収納凹部120の開口側を向く部分に接触し、地板110に第2主面112側から支持されている。軸受40の外周面41は、塑性変形部30に接触している。塑性変形部30は、軸受40の外周面41の端縁に厚さ方向の外側から接触している。軸受40は、収納凹部120からの脱落を抑制された状態で収納凹部120に保持されている。
【0073】
(ベース部材ユニットの製造方法)
第4実施形態のベース部材ユニット101の製造方法について説明する。
図12から
図15は、第4実施形態のベース部材ユニットの製造方法を説明する図である。
図12に示すように、凹部形成工程S10では、金属板50の上面51に収納凹部120を形成する。この時点で、収納凹部120の側面122は、開口縁121から底部側に向かうに従い漸次縮径している。収納凹部120は、例えばプレス加工によって形成される。なお、収納凹部120は、予め形成された貫通孔の側面を切削することによって形成されてもよい。金属板50の上面51における収納凹部120の開口縁121の内径は、軸受40の外径よりも大きい。なお、収納凹部120は、金属板50の外形成形時に併せて形成されてもよい。
【0074】
続いて、
図13に示す凸部形成工程S20、
図14に示す軸受収納工程S30、および
図14に示す変形工程S40を行う。これら凸部形成工程S20、軸受収納工程S30および変形工程S40は、第1実施形態と同様である。つまり、凸部53を押し潰すことで収納凹部120の開口側端部124を収納凹部120の内側に張り出すように塑性変形させて、収納凹部120に収納された軸受40の外周面41に接触させる。以上により、軸受40が収納凹部120からの脱落を抑制された状態で収納凹部120に保持されたベース部材ユニット101が形成される。
【0075】
以上に説明したように、本実施形態の収納凹部120は、収納凹部120の開口側に傾斜した方向を向く側面122を有する。この構成によれば、収納凹部120の側面122に軸受40を接触させることで、収納凹部120の深さ方向において軸受40を位置決めすることができる。したがって、地板110の所望の位置に軸受40を精度よく配置できる。
【0076】
[第5実施形態]
(ベース部材ユニットの構成)
第5実施形態のベース部材ユニットの構成について、
図16を参照して説明する。
図16は、第5実施形態のベース部材ユニットを示す断面図である。
図16に示すように、第5実施形態では、地板10の第1主面11における収納凹部20の開口縁21の外側に窪み16が形成されている点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0077】
地板10の第1主面11には、窪み16が形成されている。窪み16は、収納凹部20の周囲に形成されている。窪み16は、収納凹部20の開口縁21に対して間隔をあけて形成されている。窪み16は、厚さ方向から見て収納凹部20と略同心の円環状に延びている。ただし、窪み16は、円環状に延びていなくてもよく、例えば収納凹部20の周囲に間欠的に形成されていてもよい。
【0078】
塑性変形部30は、収納凹部20の開口縁21のうち、窪み16の各部に最短距離で位置する部分に形成されている。本実施形態では、窪み16は円環状に形成されているので、本実施形態では、塑性変形部30は、収納凹部20の開口縁21に全周にわたって連続して設けられている。
【0079】
(ベース部材ユニットの製造方法)
第5実施形態のベース部材ユニットの製造方法について、
図17および
図18を参照して説明する。
図17および
図18は、第5実施形態のベース部材ユニットの製造方法を説明する図である。
本実施形態では、第1実施形態の凸部形成工程S20を省略する。
図17に示すように、変形工程S40では、上記各実施形態の凸部53が形成されていない地板10の第1主面11にパンチ67を当てる。パンチ67の先端面には、円環状に延びるとともに先鋭化された突起68が形成されている。突起68は、収納凹部20の開口を囲うように、地板10の第1主面11における収納凹部20よりも外側に押し付けられる。突起68が地板10の第1主面11に押し付けられることで、地板10に窪み16が形成されるとともに、突起68に押し退けられた地板10の一部が突起68から離れる方向に塑性変形する。これにより、
図18に示すように、地板10のうち、窪み16と収納凹部20の側面22との間に位置する部分は、収納凹部20の内側に張り出すように変形し、収納凹部20の側面22に塑性変形部30が形成される。
【0080】
以上に説明したように、本実施形態の変形工程S40は、地板10の第1主面11における収納凹部20の開口縁21の周囲を突起68で押圧する。この方法によれば、突起68の侵入によって、地板10のうち突起68よりも収納凹部20の開口縁21側に位置する部分を収納凹部20側に押し退けることができる。これにより、収納凹部20の開口縁21を収納凹部20の内側に張り出すように塑性変形させることができる。したがって、上述した作用効果を奏するベース部材ユニット201を製造できる。
【0081】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、時計用ムーブメントの地板に本発明を適用しているが、例えば輪列受等の受部材に本発明を適用してもよい。さらに、本発明の適用範囲は時計用部品に限定されず、種々の製品に本発明を適用可能である。
【0082】
また、上記実施形態では、地板が金属材料によって形成されているが、地板の材料はこれに限定されない。例えば地板が樹脂材料によって形成されていてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、収納凹部は平面視で円形状に形成されているが、収納凹部の形状はこれに限定されない。例えば収納凹部は平面視多角形状に形成されていてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、塑性変形部30が軸受40の外周面41における軸方向の端縁に厚さ方向の外側から接触しているが、この構成に限定されない。塑性変形部は、軸受40の外周面41にその径方向の外側のみから接触し、収納凹部の側面と軸受40の外周面41との間の摩擦力のみによって軸受40が収納凹部に保持されてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、ベース部材ユニットが地板に軸受を組み付けたものであるが、この構成に限定されない。例えば、地板に棒状部材(軸部材)を組み付ける構成において、収納凹部に挿入された棒状部材の外周面に塑性変形部を接触させることで、地板に対して軸部材を固定してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、変形工程で地板をプレスすることで地板の第1主面を平坦に形成しているが、地板をプレスした後に地板を研磨して第1主面を平坦に形成してもよい。
【0087】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1,101,201…ベース部材ユニット 10,110…地板(ベース部材) 11,111…第1主面(主面) 20,120…収納凹部 21,121…開口縁 22,122…側面 23…底面 24…開口側端部(被変形部) 30…塑性変形部 40…軸受(部品) 53,53A…凸部 65…平坦面 66…傾斜面 68…突起 S10…凹部形成工程 S20…凸部形成工程 S30…軸受収納工程(部品収納工程) S40…変形工程