(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138702
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】可搬媒体および管理システム
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20220915BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20220915BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20220915BHJP
G06K 17/00 20060101ALI20220915BHJP
G16H 10/65 20180101ALI20220915BHJP
【FI】
G06K19/07 160
G05B19/418 Z
G06K19/07 230
G06K19/077 112
G06K17/00 022
G16H10/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038730
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 友浩
【テーマコード(参考)】
3C100
5L099
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA56
3C100BB05
3C100BB15
3C100BB33
3C100CC02
3C100CC14
3C100DD07
3C100DD13
3C100DD22
3C100DD33
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】管理効率の向上を図る。
【解決手段】可搬媒体10は、判定回路16と、検出部22と、通信部26と、を備える。判定回路16は、ユーザによる操作対象領域Fに設けられる。検出部22は、判定回路16の導電状態の変化を検出する。通信部26は、判定回路16の導電状態の変化の検出結果を送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる操作対象領域に設けられた判定回路と、
前記判定回路の導電状態の変化を検出する検出部と、
前記導電状態の変化の検出結果を送信する送信部と、
を備える可搬媒体。
【請求項2】
前記判定回路は、
導電性の導電部からなる、
請求項1に記載の可搬媒体。
【請求項3】
前記検出部は、
電力強度の変化を前記導電状態の変化として検出する、
請求項1または請求項2に記載の可搬媒体。
【請求項4】
前記検出結果に応じた状況情報を表示部に表示する表示制御部、
を備える請求項1~請求項3の何れか1項に記載の可搬媒体。
【請求項5】
前記判定回路を有する本体部と、
前記検出部および前記送信部を備える本体制御部と、
を備える請求項1~請求項4の何れか1項に記載の可搬媒体。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の可搬媒体と、前記可搬媒体と通信する管理装置と、を備え、
前記管理装置は、
前記可搬媒体から前記検出結果を受信する受信部と、
前記検出結果に応じて対象の状況管理を実行する状況管理部と、
を備える管理システム。
【請求項7】
前記受信部は、
前記可搬媒体の識別情報と、前記検出結果と、を前記可搬媒体から受信し、
前記状況管理部は、
前記検出結果に対応する状況情報を特定する前記状況管理を実行する、
請求項6に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、可搬媒体および管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品や物などの対象の状況を管理するシステムが知られている。例えば、ID(Identification)番号が記録された作業カードが知られている。この作業カードと物品とをセットで移動させ、カードリーダによってID番号を読み取ることで、物品の製造工程を管理するシステムが知られている。また、物品に付与されたタグに、工程に関連する情報を記録するシステムが開示されている。また、手書き文字のイメージデータを貼り付けた帳票の電子データを管理するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-341917号公報
【特許文献2】特開2020-181502号公報
【特許文献3】特開2018-190272号公報
【特許文献4】特開2013-200650号公報
【特許文献5】特開2005-339481号公報
【特許文献6】特開2003-308479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術では、対象の状況管理のためのシステム導入には、ユーザによる作業手順の変更が必要であった。このため、従来技術では、管理効率の向上を図ることが困難となる場合があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、管理効率の向上を図ることができる、可搬媒体および管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態の可搬媒体は、判定回路と、検出部と、送信部と、を備える。判定回路は、ユーザによる操作対象領域に設けられる。検出部は、前記判定回路の導電状態の変化を検出する。送信部は、前記導電状態の変化の検出結果を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施の形態の管理システムの模式図である。
【
図3】
図3は、本体制御部の一例の機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、状況対応テーブルのデータ構成の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、管理装置の一例の機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、状況対応テーブルのデータ構成の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、状況管理テーブルのデータ構成の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本体制御部で実行される情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、管理装置で実行される情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本体制御部および管理装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、可搬媒体および管理システムの一の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施の形態の管理システム1の一例を示す模式図である。
【0010】
管理システム1は、対象Tの状況を管理するシステムである。本実施形態では、対象Tがユーザ、すなわち、人である形態を一例として説明する。また、本実施形態では、ユーザが患者PTである場合を一例として説明する。また、本実施形態では、管理システム1を、患者PTの重症度を選別するトリアージを管理するシステムに適用する形態を一例として説明する。
【0011】
管理システム1は、可搬媒体10と、管理装置30と、を備える。可搬媒体10と管理装置30とは、ネットワークNなどの公知の通信網などを介して、無線または有線により通信可能に接続されている。本実施形態では、可搬媒体10と管理装置30とは、ネットワークNを介して無線により通信する形態を一例として説明する。
【0012】
可搬媒体10は、持ち運びまたは移動させることの可能な物である。可搬媒体10は、対象Tに付与されることで、対象Tの移動に伴って移動可能である。また、可搬媒体10は、対象Tの状況を管理するための物である。
【0013】
本実施形態では、可搬媒体10は、患者PTの状況を管理するための物である。また、本実施形態では、可搬媒体10は、患者PTに付与されることで、患者PTの移動に伴って移動する。例えば、可搬媒体10は、ユーザの手首や足首などに付与される。なお、可搬媒体10の付与箇所は、これらに限定されない。
【0014】
管理システム1は、状況を管理する対象の患者PTの数に応じた数の可搬媒体10を備える。このため、管理システム1は、1または複数の可搬媒体10を備える。
【0015】
【0016】
可搬媒体10は、本体部12と、本体制御部14と、を備える。本体部12と本体制御部14とは一体的に構成されていてもよい。また、本体部12と本体制御部14とは、別体として構成されていてもよい。本実施形態では、本体部12と本体制御部14とが一体的に構成されている形態を一例として説明する。
【0017】
本体部12は、媒体部15と、判定回路16と、を備える。
【0018】
媒体部15は、持ち運びまたは移動させることの可能な媒体である。媒体部15は、例えば、シート状またはカード状の媒体である。具体的には、例えば、媒体部15は、記録媒体である。記録媒体は、例えば、帳票や伝票などの紙媒体、カード状のカード媒体、などである。
【0019】
なお、媒体部15は、持ち運びまたは移動させることの可能な媒体であればよく、その形状は、シート状またはカード状に限定されない。また、媒体部15の材質は、紙に限定されない。本実施形態では、媒体部15がシート状の紙媒体である形態を一例として説明する。
【0020】
また、媒体部15は、本実施形態の管理システム1の適用対象の実環境である現場で、ユーザによって操作のなされていた媒体であることが好ましい。例えば、シート状の紙媒体に対して、ユーザによって書込操作などの各種の操作が行われていた場合を想定する。この場合、該紙媒体を、媒体部15として用いることが好ましい。
【0021】
判定回路16は、導電状態の変化を判定可能な回路である。判定回路16は、例えば、導電性の導電部から構成される。導電部は、例えば、アルミテープなどの導電性の部材であり、その形状は、限定されない。判定回路16は、導電性の材料から構成されていればよく、その材料は限定されない。例えば、判定回路16は、アルミテープ、導電性インク、カーボン紙、などにより媒体部15上に形成されていればよい。
【0022】
判定回路16は、本体部12の操作対象領域Fに設けられている。すなわち、判定回路16は、媒体部15における、操作対象領域Fに設けられている。
【0023】
操作対象領域Fとは、ユーザによる操作対象の領域である。ユーザによる操作とは、ユーザによる本体部12に対する操作であり、判定回路16の導電状態に変化を生じさせる操作である。具体的には、ユーザによる操作とは、例えば、本体部12に対する、押圧操作、切断操作、折り曲げ操作、導電性材料による書込操作、導電性材料の塗布操作、穴あけ操作、および、判定回路16の少なくとも一部の剥ぎ取り操作、の少なくとも1つである。
【0024】
書込操作または塗布操作に用いられる導電性材料は、例えば、公知の導電性インクである。書込操作は、例えば、黒鉛などの導電性素材による操作対象領域Fへの直接の書込操作などである。押圧操作には、導電性素材のペン先などの操作対象領域Fへの圧着操作などが含まれる。
【0025】
導電性材料の塗布操作には、導電性インクのスタンプを押す操作などが含まれる。折り曲げ操作は、例えば、判定回路16の折り曲げによって、判定回路16の少なくとも一部に電気的に遮断された領域が発生する操作である。判定回路16の少なくとも一部の剥ぎ取り操作は、例えば、判定回路16の一部を消しゴムなどで除去または消去することを意味する。
【0026】
なお、これらの操作は、本体部12の操作対象領域Fにおける、少なくとも一部の領域に対して行われる操作であればよい。
【0027】
また、操作対象領域Fは、媒体部15における、本実施形態の管理システム1の適用前からユーザによって上記の何れかの操作のなされていた領域と、同じ領域または少なくとも一部が重複する領域であることが好ましい。
【0028】
判定回路16の導電状態は、操作対象領域Fへのユーザによる操作によって変化する。すなわち、判定回路16は、ユーザによる上記の何れかの操作によって、導電状態が変化可能な構成であればよい。本実施形態では、判定回路16が、導電性の線状領域から構成される形態を一例として説明する。しかし、判定回路16は、ユーザによる上記の何れかの操作によって導電状態が変化可能な構成であればよく、導電性の線状領域から構成される形態に限定されない。
【0029】
判定回路16は、媒体部15の操作対象領域Fの少なくとも一部に設けられていればよい。また、判定回路16は、媒体部15の操作対象領域Fの内側と外側との間で連続して形成されていてもよい。
【0030】
判定回路16の、媒体部15の厚み方向における位置は限定されない。例えば、判定回路16は、媒体部15の表面に露出した構成であってもよい。この場合、判定回路16は、媒体部15の視認性の向上の観点などから、透明な導電性の材料から構成された領域であってもよい。透明な導電性の材料には、公知の材料を用いればよい。この場合、例えば、判定回路16として、有機透明導電性シートなどを用いればよい。
【0031】
また、判定回路16は、媒体部15の内部に配置された構成であってもよい。この場合、例えば、判定回路16は、2枚の媒体部15の間に配置された構成、媒体部15を構成する繊維材料などの間に漉き込まれた構成、などであってもよい。
【0032】
次に、本体制御部14について説明する。本体制御部14は、本体部12に設けられた判定回路16の導電状態の変化を検出し、管理装置30へ送信する。
【0033】
本体制御部14は、電力供給部18と、表示部20と、検出部22と、記憶部24と、通信部26と、制御部28と、を有する。電力供給部18、管理装置30、検出部22、記憶部24、および通信部26と、制御部28とは、通信可能に接続されている。
【0034】
なお、本体制御部14は、表示部20および記憶部24の少なくとも一方を備えない構成であってもよい。本実施形態では、本体制御部14が、表示部20および記憶部24の双方を備えた構成である形態を一例として説明する。
【0035】
図3を用いて本体制御部14について詳細に説明する。
図3は、本体制御部14の一例の機能ブロック図である。なお、本体制御部14と本体部12との関係を説明する観点から、
図3には、本体部12も併せて図示した。
【0036】
電力供給部18は、判定回路16へ電力を供給する。本実施形態では、電力供給部18は、予め定められた一定の電圧値の電力を判定回路16へ供給可能に構成されている。例えば、電力供給部18は、公知の電源装置や電池などで構成される。なお、電力供給部18は、判定回路16および本体制御部14の各部の各々へ電力を供給する構成であってもよい。本実施形態では、電力供給部18は、判定回路16および本体制御部14の各部の各々へ電力を供給する形態を一例として説明する。なお、判定回路16へ供給する電圧値の安定性を確保する観点から、判定回路16へ電力を供給する電力供給部18と、本体制御部14の各部へ電力を供給する電力供給部とは、別体として構成してもよい。
【0037】
表示部20は、各種の情報を表示する。例えば、表示部20は、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、1または複数のLED(Light Emitting Diode)などのライトを配列させた表示装置、電子ペーパーなどである。
【0038】
検出部22は、判定回路16の導電状態の変化を検出するセンサである。検出部22は、判定回路16に電気的に接続されており、判定回路16の電力強度の変化を、導電状態の変化として検出する。電力強度の変化とは、電圧値、電流値、電力値、および、抵抗値、の少なくとも1つの変化を意味する。
【0039】
例えば、本体部12の操作対象領域Fに対して、ユーザが上記の操作を行った場合を想定する。すなわち、本体部12の操作対象領域Fに対して、導電部材による押圧操作、操作対象領域Fの切断操作、操作対象領域Fの折り曲げ操作、導電性インクによる書込操作、導電性インクの塗布操作、穴あけ操作、剥ぎ取り操作、などの操作を行った場合を想定する。
【0040】
電力供給部18によって一定の電圧値の電力が供給された状態で、操作対象領域Fに対してユーザが上記の何れかの操作を行うと、判定回路16を流れる電力強度に変化が発生する。検出部22は、この電力強度の変化を、判定回路16の導電状態の変化として検出する。
【0041】
例えば、可搬媒体10を付与された患者PTの状況に応じて、本体部12の操作対象領域Fの何れの位置に何れの操作を行うかが、予め定められている。例えば、患者PTの重症度に応じて、本体部12におけるラインL1、ラインL2、およびラインL3、の何れの位置に対して、切断操作または折り曲げ操作を行うことが、予め定められている。ユーザは、可搬媒体10を付与された患者PTの状況に応じて、操作対象領域Fにおける予め定められた箇所に、予め定められた操作を行う。
【0042】
具体的には、例えば、ユーザは、可搬媒体10の操作対象領域Fにおける、患者PTの状況の重症度に応じて、ラインL1~ラインL2の何れかの位置を切断する切断操作を行う。この切断操作により、判定回路16には、該位置の切断操作による特有の電力強度の変化が発生する。検出部22は、この電力強度の変化を、導電状態の変化として検出する。
【0043】
同様に、例えば、ユーザは、可搬媒体10の操作対象領域Fにおける、患者PTの状況の重症度に応じた位置に、導電性インクによる書込み、スタンプの押圧による導電性インクの塗布、などの操作を行う。これらの操作により、判定回路16には、該位置のこれらの操作によって、特有の電力強度の変化が発生する。検出部22は、この電力強度の変化を、導電状態の変化として検出する。
【0044】
他の操作である、折り曲げ操作、穴あけ操作、剥ぎ取り操作、などについても同様に、判定回路16には、これらの操作が行われた位置への該操作によって、特有の電力強度の変化が発生する。検出部22は、この電力強度の変化を、導電状態の変化として検出する。
【0045】
記憶部24は、各種のデータを記憶する。記憶部24は、例えば、SD(Secure Digital)メモリカードなどのメモリカード、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、USB(Universal Serial Bus)メモリなどである。本実施形態では、記憶部24は、媒体IDと、状況対応テーブル24Aと、を予め記憶する。媒体IDとは、可搬媒体10を一意に識別する識別情報である。状況対応テーブル24Aとは、検出部22の検出結果に対応する状況情報が予め登録されたテーブルである。
【0046】
図4は、状況対応テーブル24Aのデータ構成の一例を示す模式図である。状況対応テーブル24Aは、検出結果と、状況情報と、を対応付けたテーブルである。なお、状況対応テーブル24Aのデータ形式は、テーブルに限定されない。例えば、状況対応テーブル24Aのデータ形式は、データベース、または、ファイル、などであってもよい。
【0047】
検出結果とは、検出部22によって検出された、判定回路16の導電状態の変化を表す情報である。判定回路16の導電状態の変化は、例えば、特定の波形によって表される。このため、検出結果は、例えば、導電状態の変化を表す波形情報などで表される。なお、検出結果は、波形情報で表される形態に限定されない。例えば、検出結果は、変化後の導電状態を示す値、または、変化前後の各々の導電状態を示す値であってもよい。変化後または変化前後の各々の導電状態を示す値は、電圧値、電流値、電力値、および、抵抗値、の少なくとも1つによって表される値であればよい。
【0048】
状況情報とは、対象Tの状況を表す情報である。すなわち、本実施形態では、状況情報とは、患者PTの状況を表す情報である。患者PTの状況は、例えば、最優先治療、非緊急治療、軽処置、不処置、などであるが、これらに限定されない。
【0049】
上述したように、判定回路16には、判定回路16の各位置に対するユーザの上記操作によって、操作のなされた位置および操作に応じた、特有の電力強度の変化が発生する。このため、記憶部24は、検出結果によって表される、互いに異なる複数の波形情報の各々ごとに、互いに異なる状況情報を対応付けた状況対応テーブル24Aを、予め記憶する。
【0050】
なお、状況対応テーブル24Aにおける、検出結果および状況情報の少なくとも一方は、通信部26を介して接続された他の情報処理装置のユーザによる操作などによって、適宜変更可能としてもよい。状況対応テーブル24Aを変更可能とすることで、可搬媒体10を様々な環境の管理システムに適用させることが可能となる。
【0051】
図3に戻り説明を続ける。通信部26は、ネットワークNを介して管理装置30などの各種の情報処理装置と通信する通信機能を有する。通信部26は、送信部の一例である。本実施形態では、通信部26は、無線通信により、ネットワークNを介して管理装置30と通信する形態を一例として説明する。
【0052】
制御部28は、受付部28Aと、表示制御部28Bと、通信制御部28Cと、を備える。
【0053】
受付部28A、表示制御部28B、および通信制御部28Cは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば、これらの各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
【0054】
受付部28Aは、検出部22から検出結果を受付ける。表示制御部28Bは、受付部28Aで受付けた検出結果に応じた情報を表示部20へ表示する。
【0055】
例えば、表示制御部28Bは、受付部28Aで受付けた検出結果に対応する状況情報を、状況対応テーブル24Aから特定する。そして、表示制御部28Bは、特定した状況情報を表示部20へ表示する。なお、表示制御部28Bは、特定した状況情報を表す文字情報を表示部20へ表示すればよい。また、表示制御部28Bは、特定した状況情報を表すアイコン画像を表示部20へ表示してもよい。例えば、記憶部24は、状況情報を表すアイコン画像を予め記憶する。具体的には、例えば、記憶部24は、患者PTの状況情報である、最優先治療、非緊急治療、軽処置、および不処置、の各々を表すアイコン画像を予め記憶する。表示制御部28Bは、受付部28Aで受付けた検出結果に対応する状況情報を表すアイコン画像を記憶部24から読取り、表示部20へ表示すればよい。
【0056】
表示制御部28Bが状況情報を表示部20へ表示することで、可搬媒体10は、可搬媒体10を視認可能なユーザに対して、可搬媒体10を付与された患者PTの状況を容易に提供することができる。
【0057】
通信制御部28Cは、受付部28Aで受付けた検出結果を、通信部26およびネットワークNを介して、管理装置30へ送信する。すなわち、通信部26は、検出結果を管理装置30へ送信する。
【0058】
本実施形態では、通信制御部28Cは、受付部28Aで受付けた検出結果および可搬媒体10の媒体IDを、通信部26を介して管理装置30へ送信する。通信制御部28Cは、記憶部24から媒体IDを読取り、検出結果と共に管理装置30へ送信すればよい。
【0059】
また、通信制御部28Cは、可搬媒体10の位置情報を管理装置30へ送信してもよい。この場合、本体制御部14に、位置情報を検出するGPS(Global Positioning System)機能を搭載した構成とすればよい。そして、通信制御部28Cは、GPS機能により検出された位置情報を、検出結果および媒体IDと共に、通信部26を介して管理装置30へ送信すればよい。
【0060】
なお、通信制御部28Cによる可搬媒体10の位置情報の取得方法は、上記形態に限定されない。例えば、通信制御部28Cは、可搬媒体10の外部に設置された、GPS機能を有する情報処理装置から、可搬媒体10の位置情報を取得してもよい。この場合、例えば、管理システム1による管理対象の領域内に、GPS機能を搭載した複数の情報処理装置を設置する。そして、可搬媒体10の通信制御部28Cは、例えば、通信部26によるBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に沿った通信により、最も近くに位置する情報処理装置から該情報処理装置の位置情報を取得する。そして、可搬媒体10の通信制御部28Cは、取得した位置情報を、可搬媒体10の位置情報として管理装置30へ送信すればよい。
【0061】
本実施形態では、通信制御部28Cが、検出結果と、媒体IDと、位置情報と、を含む検出情報を、管理装置30へ送信する形態を一例として説明する。なお、出力制御部38Cは、少なくとも検出結果を管理装置30へ送信すればよく、検出結果、媒体ID、および位置情報を含む検出情報を、管理装置30へ送信する形態に限定されない。
【0062】
次に、管理装置30について説明する。
【0063】
図5は、管理装置30の一例の機能ブロック図である。
【0064】
管理装置30は、患者PTの状況を管理する情報処理装置である。管理装置30は、通信部32と、UI(ユーザ・インターフェース)部34と、記憶部36と、制御部38と、を備える。通信部32、UI部34、記憶部36、および制御部38は、バス39を介して通信可能に接続されている。
【0065】
通信部32は、ネットワークNを介して、1または複数の可搬媒体10の各々と通信する。
【0066】
UI部34は、ユーザによる操作指示を受付ける受付機能と、各種の情報を表示する表示機能と、を有する。受付機能は、例えば、キーボード、マウス、トラックボール等のポインティングデバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。表示機能は、例えば、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、投影装置、または、ライトなどの表示デバイスである。なお、UI部34を、受付機能および表示機能が一体的に構成されたタッチパネルとして構成してもよい。
【0067】
記憶部36は、各種のデータを記憶する。記憶部36は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。なお、記憶部36は、管理装置30の外部に設けられた記憶装置であってもよい。また、記憶部36は、記憶媒体であってもよい。具体的には、記憶媒体は、プログラムや各種情報を、LAN(Local Area Network)やインターネットなどを介してダウンロードして記憶または一時記憶したものであってもよい。また、記憶部36を、複数の記憶媒体から構成してもよい。
【0068】
本実施形態では、記憶部36は、状況対応テーブル36Aおよび状況管理テーブル36Bを記憶する。状況対応テーブル36Aとは、検出結果に対応する状況情報が予め登録されたテーブルである。状況管理テーブル36Bとは、患者PTである対象Tの状況を管理するためのテーブルである。
【0069】
図6は、状況対応テーブル36Aのデータ構成の一例を示す模式図である。状況対応テーブル36Aは、検出結果と、状況情報と、を対応付けたテーブルである。なお、状況対応テーブル36Aのデータ形式は、テーブルに限定されない。例えば、状況対応テーブル36Aのデータ形式は、データベース、または、ファイル、などであってもよい。
【0070】
状況対応テーブル36Aは、上記に説明した状況対応テーブル24Aと、同様の構成である。なお、管理システム1では、状況対応テーブル36Aと状況対応テーブル24Aとが同じデータを登録したテーブルとなるように、これらのテーブルを予め同期させた構成とすればよい。また、状況対応テーブル36Aの状況情報には、状況対応テーブル24Aの状況情報に比べて、より詳細に患者PTの状況を表す情報を予め登録してもよい。
【0071】
図7は、状況管理テーブル36Bのデータ構成の一例を示す模式図である。
【0072】
状況管理テーブル36Bは、媒体IDと、受信時刻と、状況情報と、位置情報と、を対応付けたテーブルである。なお、状況管理テーブル36Bのデータ形式は、テーブルに限定されない。例えば、状況管理テーブル36Bのデータ形式は、データベース、または、ファイル、などであってもよい。
【0073】
受信日時は、対応する状況情報の検出結果を可搬媒体10から受信した受信タイミングを示す情報である。受信時刻は、例えば、受信タイミングである年月日と時刻などによって表される。媒体ID、受信日時、および位置情報は、上述したため、ここでは説明を省略する。
【0074】
図5に戻り説明を続ける。制御部38は、管理装置30を制御する。制御部38は、受信部38Aと、状況管理部38Bと、出力制御部38Cと、を含む。
【0075】
受信部38A、状況管理部38B、および出力制御部38Cは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば、これらの各部は、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のICなどのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
【0076】
受信部38Aは、可搬媒体10から検出結果を受信する。本実施形態では、受信部38Aは、通信部32およびネットワークNを介して可搬媒体10から検出情報を受信する。上述したように、検出情報には、検出結果、可搬媒体10の媒体ID、および可搬媒体10の位置情報、が含まれる。
【0077】
状況管理部38Bは、受信部38Aで受信した検出結果に応じて、対象Tである患者PTの状況管理を実行する。詳細には、状況管理部38Bは、受信した検出結果に対応する状況情報を状況対応テーブル36Aから特定することで、状況管理を実行する。そして、状況管理部38Bは、特定した状況情報と、受信した媒体IDと、検出結果の受信日時と、検出結果の送信元の可搬媒体10の位置情報と、を対応付けて状況管理テーブル36Bへ登録する。
【0078】
このため、状況管理テーブル36Bには、可搬媒体10から検出情報を受信するごとに、受信日時、可搬媒体10の媒体ID、可搬媒体10の位置情報、および可搬媒体10を付与された患者PTの状況情報が、対応付けて登録される。すなわち、状況管理テーブル36Bは、新たな検出結果を含む検出情報を可搬媒体10から受信するごとに、更新される。言い換えると、可搬媒体10を付与された患者PTの状況が変化するごとに、状況管理テーブル36Bが更新される。
【0079】
状況管理部38Bは、更に、予め定められたタイミングごとに、状況管理テーブル36Bに登録された媒体IDの数などを集計する集計処理を行ってもよい。例えば、状況管理部38Bは、受信日ごとに対応する媒体IDの数を集計することで、受信日ごとの患者PTの数を集計することができる。
【0080】
また、状況管理部38Bは、受信日時ごと、状況情報の内容が同一の群ごと、位置情報によって表される位置が予め定めた範囲の群ごと、などの少なくともの1つの群ごとに、各郡に属する媒体IDの数を集計してもよい。この場合、例えば、状況管理部38Bは、何れの日時において、何れの位置に、どのような状況の患者PTが、何人存在するかを、容易に集計することができる。
【0081】
また、状況管理部38Bは、集計結果を、記憶部36へ記憶してもよい。
【0082】
出力制御部38Cは、状況管理部38Bで特定された状況情報と、該状況情報の特定に用いた検出結果と共に受信した媒体IDおよび位置情報を、UI部34および外部の情報処理装置の少なくとも一方へ出力する。
【0083】
例えば、出力制御部38Cは、状況管理部38Bで特定された状況情報と、該状況情報の特定に用いた検出結果と共に受信した媒体IDおよび位置情報とを、UI部34へ表示する。このため、管理装置30を視認するユーザは、可搬媒体10を付与された患者PTの状況を容易に確認することができる。
【0084】
また、出力制御部38Cは、状況管理部38Bで特定された状況情報と、該状況情報の特定に用いた検出結果と共に受信した媒体IDおよび位置情報とを、通信部32を介して、ネットワークNに接続された各種の情報処理装置へ送信してもよい。例えば、出力制御部38Cは、状況管理部38Bで特定された状況情報と、該状況情報の特定に用いた検出結果と共に受信した媒体IDおよび位置情報とを、管理システム1の管理者の携帯端末などへ送信してもよい。また、出力制御部38Cは、状況管理部38Bで特定された状況情報と、該状況情報の特定に用いた検出結果と共に受信した媒体IDおよび位置情報とを、予め設定した管理者によって管理される情報処理装置へ送信してもよい。管理者は、例えば、管理システム1を管理するユーザ、患者PTを診察する医療従事者、などであるが、これらに限定されない。
【0085】
また、出力制御部38Cは、状況管理部38Bによる集計結果を、UI部34および外部の情報処理装置の少なくとも一方へ出力してもよい。集計結果をUI部34および外部の情報処理装置の少なくとも一方へ出力することで、集計結果を、患者PTの状況の管理状況としてユーザに対して容易に提供することができる。
【0086】
次に、可搬媒体10の本体制御部14で実行される情報処理の流れを説明する。
【0087】
図8は、本体制御部14で実行される情報処理の流れの一例を示す、フローチャートである。
【0088】
受付部28Aが、検出部22で検出された判定回路16の導電状態に変化が有るか否かを判定する(ステップS100)。受付部28Aは、例えば、検出部22で検出された判定回路16の電力強度に予め定めた閾値以上の変化が生じたか否かを判別することで、ステップS100の判断を行う。ステップS100で否定判断すると(ステップS100:No)、後述するステップS104へ進む。ステップS100で肯定判断すると(ステップS100:Yes)、ステップS102へ進む。
【0089】
ステップS102では、表示制御部28Bが、ステップS100で検出された導電状態の変化を表す情報である検出結果に対応する状況情報を表示部20へ表示する(ステップS102)。例えば、表示制御部28Bは、状況情報を表すアイコン画像を、表示部20へ表示する。
【0090】
次に、通信制御部28Cが、ステップS100で検出された検出結果と、可搬媒体10の媒体IDと、可搬媒体10の位置情報と、を含む検出情報を、管理装置30へ送信する(ステップS104)。そして、本ルーチンを終了する。なお、ステップS100で否定判断した場合(ステップS100:No)、ステップS104の処理を行わずに本ルーチンを終了してもよい。また、ステップ100で否定判断した場合(ステップS100:No)、ステップS102と同様に、検出結果に対応する状況情報を表示部20へ表示した後に、ステップS104の処理を実行してもよい。
【0091】
次に、管理装置30の制御部38で実行される情報処理の流れを説明する。
【0092】
図9は、管理装置30で実行される情報処理の流れの一例を示す、フローチャートである。
【0093】
受信部38Aは、可搬媒体10から検出情報を受信したか否かを判断する(ステップS200)。ステップS200で否定判断すると(ステップS200:No)、本ルーチンを終了する。ステップS200で肯定判断すると(ステップS200:Yes)、ステップS202へ進む。
【0094】
ステップS202では、状況管理部38Bが、ステップS200受信した検出情報に含まれる検出結果に対応する状況情報を、状況対応テーブル36Aから特定する(ステップS202)。そして、状況管理部38Bは、ステップS202で特定した状況情報と、ステップS200で受信した検出情報に含まれる媒体IDおよび可搬媒体10の位置情報と、検出情報の受信日時と、を対応付けて状況管理テーブル36Bへ登録する(ステップS206)。
【0095】
出力制御部38Cは、ステップS202で特定された状況情報と、ステップS200で受信した検出情報に含まれる媒体IDおよび位置情報とを、UI部34および外部の情報処理装置の少なくとも一方へ出力する(ステップS208)。そして、本ルーチンを終了する。
【0096】
なお、
図9のステップ100では、受付部28Aが、検出部22で検出された判定回路16の導電状態に変化が有るか否かを判定する形態を一例として示した。しかし、受付部28Aは、予め定めた導電状態を示す値が検出部22で検出されたときに、ステップS100で肯定判断してもよい。予め定めた導電状態を示す値とは、例えば、予め定めた電圧値、電流値、抵抗値、などである。この場合、検出部22は、予め定めた導電状態を示す値を検出したときに、検出結果を制御部28へ出力する構成とすればよい。具体的には、例えば、検出部は、予め定めた導電状態を示す値を検出したときに、スイッチオフ状態からスイッチオン状態へと切り替えられ、検出結果を制御部28へ出力する構成とすればよい。
【0097】
以上説明したように、本実施形態の可搬媒体10は、判定回路16と、検出部22と、通信部26と、を備える。判定回路16は、ユーザによる操作対象領域Fに設けられる。検出部22は、判定回路16の導電状態の変化を検出する。通信部26は、送信部の一例であり、判定回路16の導電状態の変化の検出結果を送信する。
【0098】
このように、本実施形態の可搬媒体10は、操作対象領域Fに設けられた判定回路16の導電状態の変化を検出する。このため、ユーザによる操作対象領域Fに対する切断操作や書込操作などの各種の操作による、判定回路16の導電状態の変化を容易に検出することができる。そして、可搬媒体10では、この導電状態の変化の検出結果を送信する。
【0099】
このため、例えば、可搬媒体10を対象Tに付与し、可搬媒体10の判定回路16の検出結果を受信する管理装置30などの情報処理装置で、可搬媒体10の検出結果を受信して管理する。これらの処理により、本実施形態の管理システム1では、可搬媒体10を付与された対象Tの検出結果に応じて、対象Tの状況を容易に管理することができる。
【0100】
すなわち、可搬媒体10を利用するユーザは、操作対象領域Fへの各種の操作という従来と同様の手順を行うことで、操作対象領域Fへの操作によって発生した導電状態の変化の検出結果が管理される。このため、本実施形態の可搬媒体10では、ユーザによる作業内容や作業手順の変更を必要とすることなく、可搬媒体10を付与された対象Tの状況を容易に管理することが可能となる。
【0101】
従って、本実施形態の可搬媒体10は、管理効率の向上を図ることができる。
【0102】
一方、従来技術では、対象Tの状況を管理するシステムの導入に伴い、ユーザによる作業内容や作業手順の変更が必要であった。
【0103】
例えば、紙媒体である指示票に指示内容などを記入することで、手作業で工程管理を行っていた現場に、デジタル化推進のためにICタグを導入した従来技術の一例を説明する。この場合、例えば、ユーザは、新たに導入されたICタグと、従来から用いていた指示票と、を1つの袋に入れて工程間を移動させる。そして、各工程の各々には、タグを読取るためのタグ読取装置が組み込まれたボックスを設置する。ユーザは、各工程を通過するごとに、ICタグと指示票とを入れた袋を各工程に設置された該ボックスに入れる。そして、従来では、ボックスに組み込まれたタグ読取装置でICタグを読取ることで、工程管理を行っていた。
【0104】
このような従来のシステムの場合、ユーザは、指示票への記入操作に加えて、新たに、ICタグの入れられた袋への指示票の出し入れ操作、各工程を通過する毎に袋をボックスへ出し入れする操作、などの新たな作業が必要となっていた。
【0105】
このため、従来技術では、工程などの管理のデジタル化推進などのために、ユーザには、これまでの作業に加えて新たな作業が発生することとなり、ユーザの負担が大きかった。また、ユーザの負担増大により、新たに導入した機器であるICタグの紛失や作業ミスが発生する場合もあった。
【0106】
一方、本実施形態の可搬媒体10では、ユーザが操作対象領域Fへの操作といった従来の作業と同様の作業を行うことで発生する、操作対象領域Fの判定回路16の導電状態の変化を検出する。
【0107】
このため、本実施形態の可搬媒体10では、現場のユーザの作業手順や作業内容の変更を抑制し、且つ、状況管理のデジタル化を進めることが可能となる。すなわち、本実施形態の可搬媒体10によれば、ユーザの負荷を増大させることなく、管理効率の向上を図ることができる。
【0108】
また、上述したように、可搬媒体10の媒体部15には、管理システム1の適用対象の現場ですでに使用されていた媒体を用いることが好ましい。この場合、実際にすでに使用されていた媒体である媒体部15の操作対象領域Fに判定回路16を設けて本体部12とし、本体制御部14と電気的に接続された構成とすることで、可搬媒体10を構成すればよい。この場合、現場のユーザの作業手順や作業内容を更に変更することなく、状況管理のデジタル化を進めることが可能となる。すなわち、本実施形態の可搬媒体10によれば、上記効果に加えて、現場の作業内容および現場のシステムの変更を抑制しつつ、管理効率の向上を図ることができる。
【0109】
なお、本実施形態では、状況を管理する対象Tが、患者PTである形態を一例として説明した。しかし、対象Tは、状況を管理する対象の物であればよく、患者PTなどの人に限定されない。
【0110】
例えば、対象Tは、物品であってもよい。この場合、本実施形態の管理システム1によれば、対象Tである物品に本実施形態の可搬媒体10を付与することで、物品の状況を管理することが可能である。この場合、可搬媒体10の媒体部15には、例えば、これらの物品の管理に従来用いられていた帳票や指示票などの紙媒体を用いればよい。
【0111】
例えば、製造工程を搬送される物品に可搬媒体10を付与することで、物品の製造状況を管理することが可能となる。また、地点間を配送される物品に可搬媒体10を付与することで、物品の配送状況を管理することが可能となる。
【0112】
対象Tが物品である場合についても同様に、状況対応テーブル24Aおよび状況対応テーブル36Aの各々には、適用対象に応じた検出結果に対応する状況情報を予め記憶すればよい。
【0113】
すなわち、本実施形態の管理システム1の適用対象は、患者PTのトリアージを管理するシステムに限定されない。本実施形態の管理システム1は、対象Tの製造工程管理、輸送工程管理、などの、対象Tの各種の状況を管理する管理システムとして適用可能である。
【0114】
また、本実施形態では、可搬媒体10の本体部12と本体制御部14とが一体的に構成されている形態を一例として説明した。しかし、本体部12と本体制御部14とは、別体として構成されていてもよい。本体部12と本体制御部14とを別体として構成する場合、例えば、本体制御部14は、本体部12に対して取り付けおよび取り外し可能な構成とすればよい。この場合、本体制御部14は、本体部12に対して取り付けられることで、本体部12の判定回路16と通信可能な状態となればよい。具体的には、例えば、本体制御部14を、本体部12を挟持可能なクリップとして構成してもよい。そして、可搬媒体10を付与される対象Tの管理時やユーザによる作業開始時などに、本体部12に対して本体制御部14を取り付ければよい。
【0115】
本体制御部14を本体部12に対して取り付けおよび取り外し可能な構成とすることで、本体制御部14と本体部12とを一体的に構成する場合に比べて、以下の効果が得られる。例えば、取り付けおよび取り外し可能な構成とすることで、消費電力の低下、通信帯域の占有の抑制、などを図ることができる。また、本体制御部14を新たな本体部12に取り付ければ、異なる対象Tの状況を新たに管理することが可能な状態となる。すなわち、ユーザによる一度の操作対象領域Fへの操作による本体制御部14の使い捨てを抑制することができる。このため、本体制御部14を本体部12に対して取り付けおよび取り外し可能な構成とすることで、導入コストの低減を図ることも可能となる。
【0116】
なお、本実施形態では、可搬媒体10の本体部12の媒体部15が、シート状またはカード状である形態を一例として説明した。しかし、媒体部15の形状は、シート状またはカード状に限定されない。例えば、媒体部15を、公知のパッシブタグまたはアクティグタグなどのICタグとして構成し、このICタグに、判定回路16を設けた構成としてもよい。
【0117】
また、本実施形態では、可搬媒体10の表示制御部28Bは、記憶部24の状況対応テーブル24Aから検出結果に対応する状況情報を特定し、表示部20へ表示する形態を一例として説明した。しかし、表示制御部28Bは、検出結果に対応する状況情報を管理装置30から受信し、表示部20へ表示してもよい。また、可搬媒体10は、表示制御部28Bおよび表示部20を備えない構成であってもよい。
【0118】
次に、上記実施の形態の可搬媒体10の本体制御部14および管理装置30の、ハードウェア構成の一例を説明する。
【0119】
図10は、上記実施の形態の本体制御部14および管理装置30のハードウェア構成図の一例である。
【0120】
上記実施の形態の本体制御部14および管理装置30は、CPU40Aなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)40BやRAM(Random Access Memory)40CやHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶装置と、各種機器とのインターフェースである通信I/F部40Dと、各部を接続する40Eとを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0121】
上記実施の形態の本体制御部14および管理装置30では、CPU40Aが、ROM40BからプログラムをRAM40C上に読み出して実行することにより、上記各機能がコンピュータ上で実現される。
【0122】
なお、上記実施の形態の本体制御部14および管理装置30で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDDに記憶されていてもよい。また、上記実施の形態の本体制御部14および管理装置30で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM40Bに予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0123】
また、上記実施の形態の本体制御部14および管理装置30で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、上記実施の形態の本体制御部14および管理装置30で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施の形態の本体制御部14および管理装置30で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0124】
なお、上記には、本発明の実施の形態および変形例を説明したが、上記実施の形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、可搬媒体10の媒体部15には、カレンダー、決まった書式の申請用紙、などを用いることも可能である。上記実施の形態および変形例やこれらの変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
1 管理システム
10 可搬媒体
12 本体部
14 本体制御部
16 判定回路
22 検出部
26 通信部
30 管理装置
38A 受信部
38B 状況管理部
38C 出力制御部