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特開2022-13874発声装置、パッケージ構造並びに発声チップ、パッケージ構造及び発声装置を製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013874
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】発声装置、パッケージ構造並びに発声チップ、パッケージ構造及び発声装置を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20220111BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20220111BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20220111BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20220111BHJP
   H04R 17/00 20060101ALI20220111BHJP
   H04R 19/02 20060101ALI20220111BHJP
   H01L 41/187 20060101ALI20220111BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H04R1/00 310Z
B81B3/00
B81C1/00
H04R1/02 101Z
H04R17/00
H04R19/02
H01L41/187
H01L41/09
【審査請求】有
【請求項の数】45
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108299
(22)【出願日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】16/920,384
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/051,909
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/008,580
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/334,831
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521287935
【氏名又は名称】エクスメムス ラブズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チオーン シー. ロー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ホーン
(72)【発明者】
【氏名】ジェム ユエ リヤーン
(72)【発明者】
【氏名】レイ チェン
(72)【発明者】
【氏名】▲温▼ 海宏
(72)【発明者】
【氏名】ジェーンヤオ ジアーン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ジョージ リム
(72)【発明者】
【氏名】陳 文健
(72)【発明者】
【氏名】廖 顯根
(72)【発明者】
【氏名】張 俊▲いー▼
【テーマコード(参考)】
3C081
5D004
5D017
5D021
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081AA17
3C081BA22
3C081BA29
3C081BA30
3C081BA32
3C081BA33
3C081BA45
3C081BA46
3C081BA48
3C081BA53
3C081BA54
3C081BA55
3C081CA02
3C081CA13
3C081CA23
3C081DA02
3C081DA03
3C081DA05
3C081DA06
3C081DA10
3C081DA11
3C081EA21
5D004AA09
5D004CD01
5D004DD01
5D017AA20
5D017AD40
5D021CC19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】音質を向上させる発声チップを有する発声装置及びパッケージ構造、発声チップを製造する方法、パッケージ構造を形成する方法並びに発声装置を形成する方法を提供する。
【解決手段】パッケージ構造PKGは、シェルHS及び発声チップSPCを含む。発声チップは、シェル内に設置され、ダイヤフラム110及び作動素子を含む。ダイヤフラムは、接続板及び接続板に接続されるバネ構造を含む。作動素子は、駆動信号を提供してダイヤフラムを作動させるために用いられる。バネ構造は、接続板と作動素子との間に位置する。作動素子は、バネ構造により接続板を作動させる。
【選択図】図29
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ構造であって、
シェル;及び
前記シェル内に設置される発声チップを含み、
前記発声チップは、
接続板及びバネ構造を含むダイヤフラムであって、前記バネ構造は前記接続板に絶縁される、ダイヤフラム;及び
駆動信号を受信して前記ダイヤフラムを作動させるための作動素子を含み、
前記バネ構造は前記接続板と前記作動素子の間に位置し、
前記作動素子は前記バネ構造により前記接続板を作動させる、パッケージ構造。
【請求項2】
請求項1に記載のパッケージ構造であて、
第一開口は前記シェル上に形成され、前記シェルはトップ構造及び側壁を含み、前記トップ構造は前記ダイヤフラムに平行であり、前記第一開口は前記トップ構造上に形成される、パッケージ構造。
【請求項3】
請求項1に記載のパッケージ構造であって、
第一開口は前記シェル上に形成され、前記シェルはトップ構造及び側壁を含み、前記第一開口は前記側壁上に形成される、パッケージ構造。
【請求項4】
請求項1に記載のパッケージ構造であって、
前記シェルはベースを含み、第二開口は前記ベース上に形成される、パッケージ構造。
【請求項5】
請求項1に記載のパッケージ構造であって、
前記発声チップにカップリングされる集積回路チップをさらに含み、
前記集積回路チップは前記駆動信号を発生するために用いられる、パッケージ構造。
【請求項6】
請求項5に記載のパッケージ構造であって、
前記集積回路チップは前記ダイヤフラムの法線方向で前記発声チップと重なる、パッケージ構造。
【請求項7】
請求項5に記載のパッケージ構造であって、
前記発声チップはアンカー構造を含み、前記アンカー構造は前記集積回路チップ上に設置される、パッケージ構造。
【請求項8】
請求項5に記載のパッケージ構造であって、
前記シェルはベースを含み、前記ベース上には凹溝が形成され、前記集積回路チップは前記凹溝内に設置される、パッケージ構造。
【請求項9】
請求項8に記載のパッケージ構造であって、
前記集積回路チップの回路チップ表面が、前記集積回路チップを取り囲む前記ベースの一部に対応するベース表面とアライメントする、パッケージ構造。
【請求項10】
請求項5に記載のパッケージ構造であって、
パッシブ素子をさらに含む、パッケージ構造。
【請求項11】
請求項10に記載のパッケージ構造であって、
前記シェルはベースを含み、前記集積回路チップ及び前記パッシブ素子は前記ベースの相対側に設置される、パッケージ構造。
【請求項12】
請求項1に記載のパッケージ構造であって、
前記パッケージ構造は表面実装技術により発声装置に組み立てられる、パッケージ構造。
【請求項13】
発声チップを製造する方法であって、
ウェーハを提供し、前記ウェーハは第一層及び第二層を含み;
前記ウェーハの第一側における作動材料を形成及びパターン化し;
前記ウェーハの前記第一層をパターン化して溝ラインを形成し;及び
前記ウェーハの前記第二層の第一部を除去することを含み、
前記第二層の第二部により少なくとも1つのアンカー構造を形成し、パターン化された前記第一層は、前記少なくとも1つのアンカー構造により固定されるダイヤフラムを形成し、
スリットが前記溝ラインにより前記ダイヤフラム内に形成され、前記ダイヤフラムを貫通し、
前記ダイヤフラムは接続板及びバネ構造を含み、前記バネ構造は前記接続板に接続され、前記バネ構造は前記スリットにより形成され、
前記バネ構造は前記接続板と作動素子との間に位置し、前記作動素子は前記作動材料を含み、
前記作動素子は前記バネ構造により前記接続板を作動させる、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記ウェーハの前記第一層と前記第二層との間に絶縁層が形成され、
前記方法は、
前記スリットが前記ダイヤフラムを貫通するよう、前記絶縁層の一部を除去することを含む、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、
前記第一層は単結晶シリコンを含み、前記ウェーハはシリコンオンインシュレータウェーハである、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
前記第一層は多結晶シリコンを含み、前記ウェーハは多結晶シリコンオンインシュレータウェーハである、方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、
前記第一層は前記第二層上に直接形成される、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記第一層は酸化物を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記第一層は酸化シリコンを含む、方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法であって、
前記作動材料と前記ウェーハの前記第一層との間の第一導電層を形成及びパターン化することを含み、
パターン化された前記第一導電層は前記作動素子の第一電極とされる、方法。
【請求項21】
請求項13に記載の方法であって、
前記作動材料上の第二導電層を形成及びパターン化することを含み、
パターン化された前記第二導電層は前記作動素子の第二電極とされる、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記第二導電層を覆う保護層を形成することを含む、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記保護層は前記スリット内に形成される、方法。
【請求項24】
請求項13に記載の方法であって、
前記作動材料は圧電材料を含む、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
前記圧電材料はチタン酸ジルコン酸鉛(lead-zirconate-titanate)材料を含む、方法。
【請求項26】
パッケージ構造を形成する方法であって、
シェルを提供し;
請求項13に記載の方法により発声チップを製造し;及び
前記発声チップを前記シェル内に設置することを含む、方法。
【請求項27】
発声装置を形成する方法であって、
請求項26に記載の方法によりパッケージ構造を形成し;及び
前記パッケージ構造を表面実装技術により前記発声装置に組み立てることを含む、方法。
【請求項28】
発声装置であって、
ベース;及び
前記ベース上に設置される少なくとも1つの発声チップを含み、
前記少なくとも1つの発声チップは、
接続板及び少なくとも1つのバネ構造を含む少なくとも1つのダイヤフラムであって、前記少なくとも1つのバネ構造は前記接続板に接続される、少なくとも1つのダイヤフラム;及び
入力オーディオ信号に対応する駆動信号を受信して、前記少なくとも1つのダイヤフラムを作動させるための少なくとも1つの作動素子を含み、
前記入力オーディオ信号及び前記駆動信号は入力音声帯域を有し、前記入力音声帯域は上限があり、前記上限は最大周波数にあり、
前記少なくとも1つのバネ構造は前記接続板と前記少なくとも1つの作動素子との間に位置し、前記少なくとも1つのダイヤフラムは、前記最大周波数よりも高い第一共振周波数を有し、
前記少なくとも1つの作動素子は前記少なくとも1つのバネ構造により前記接続板を作動させる、発声装置。
【請求項29】
請求項28に記載の発声装置であって、
前記少なくとも1つの作動素子は圧電アクチュエータ、静電アクチュエータ、ナノスコピック静電作動(nanoscopic-electrostatic-drive,NED)アクチュエータ、又は電磁アクチュエータを含む、発声装置。
【請求項30】
請求項28に記載の発声装置であって、
前記少なくとも1つのバネ構造は第一バネ構造及び第二バネ構造を含み、前記第一バネ構造及び前記第二バネ構造は前記接続板の相対側に設置され、前記接続板は前記第バネ構造と前記第二バネ構造との之間に接続される、発声装置。
【請求項31】
請求項28に記載の発声装置であって、
前記少なくとも1つのダイヤフラムは複数のスリットを含み、前記少なくとも1つのバネ構造は前記スリットの少なくとも一部により形成される、発声装置。
【請求項32】
請求項31に記載の発声装置であって、
前記スリットは複数のサイドスリットを含み、前記少なくとも1つのダイヤフラムは複数の外辺縁を含み、各前記サイドスリットは前記外辺縁の少なくとも1つに接続される、発声装置。
【請求項33】
請求項32に記載の発声装置であって、
前記サイドスリットの少なくとも1つが前記外辺縁のコーナーに接続される、発声装置。
【請求項34】
請求項32に記載の発声装置であって、
前記サイドスリットは前記接続板に向かって延伸する、発声装置。
【請求項35】
請求項34に記載の発声装置であって、
前記サイドスリットはフック状湾曲端を含み、前記フック状湾曲端は前記接続板を取り囲む、発声装置。
【請求項36】
請求項31に記載の発声装置であって、
前記スリットは複数の内部スリットを含み、前記少なくとも1つのダイヤフラムは複数の外辺縁を有し、各前記内部スリットは前記外辺縁に接続されない、発声装置。
【請求項37】
請求項31に記載の発声装置であって、
前記接続板は前記スリットにより取り囲まれる、発声装置。
【請求項38】
請求項28に記載の発声装置であって、
前記少なくとも1つのダイヤフラムは駆動板をさらに含み、前記少なくとも1つの作動素子は前記駆動板上に設置され、前記少なくとも1つのバネ構造は前記駆動板と前記接続板との間に接続される、発声装置。
【請求項39】
請求項38に記載の発声装置であって、
前記少なくとも1つの発声チップはアンカー構造を含み、前記駆動板は前記アンカー構造と前記少なくとも1つのバネ構造との間に接続される、発声装置。
【請求項40】
請求項38に記載の発声装置であって、
前記少なくとも1つのバネ構造のうちの1つが第一接続端及び第二接続端を有し、前記第一接続端は前記駆動板に接続され、前記第二接続端は前記接続板に接続され、前記第一接続端の接続方向は前記第二接続端の接続方向に平行でない、発声装置。
【請求項41】
請求項28に記載の発声装置であって、
前記少なくとも1つのダイヤフラムは、シリコン(silicon)、炭化シリコン(silicon carbide)、ゲルマニウム(germanium)、窒化ガリウム(gallium nitride)、ガリウム砒素(gallium arsenide)、ステンレス鋼(stainless steel)又はその組み合わせを含む、発声装置。
【請求項42】
請求項28に記載の発声装置であって、
コンフォーマル層(conformal layer)をさらに含み、
前記コンフォーマル層は前記少なくとも1つの発声チップを覆い、
前記少なくとも1つのダイヤフラムはスリットを含み、
前記コンフォーマル層の一部が前記スリット内に存在する、発声装置。
【請求項43】
請求項42に記載の発声装置であって、
空隙が前記スリット内に存在し、前記空隙の幅が2マイクロメートルよりも小さい、発声装置。
【請求項44】
請求項42に記載の発声装置であって、
前記コンフォーマル層は誘電材料又はポリマー材料を含み、
前記誘電材料は二酸化シリコン(silicon dioxide)又は窒化シリコン(silicon nitride)を含み、前記ポリマー材料はポリイミド(polyimide)又はパリレン-C(Parylene-C)である、発声装置。
【請求項45】
請求項28に記載の発声装置であって、
前記少なくとも1つの発声チップのうちの1つにおいて、前記少なくとも1つのダイヤフラムは複数のダイヤフラムを含み、前記少なくとも1つの作動素子は複数の作動素子を含み、前記複数のダイヤフラムのうちの第一ダイヤフラムが第一接続板及び前記第一接続板に接続される少なくとも1つの第一バネ構造を含み、前記複数の作動素子のうちの第一作動素子が前記第一ダイヤフラムを作動させるために用いられる、発声装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発声装置(sound producing device)、パッケージ構造、発声チップを製造する方法、パッケージ構造を形成する方法、及び発声装置を形成する方法に関し、特に、音質を向上させることができる発声チップを有する発声装置及びパッケージ構造並びに発声チップを製造する方法、パッケージ構造を形成する方法、発声装置を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バランス・アマチュア(balance-armature,BA)スピーカー駆動器を含む、マグネット・ムービングコイル(Magnet and Moving coil,MMC)に基づく発声(サウンド生成)装置は何十年もの間開発されており、多くの最新の装置は今でもそれを使用してサウンドを生成している。
【0003】
装置の複数種の共振周波数が可聴周波数帯域内にあるので、マグネット・ムービングコイルは真の広帯域音源として適切ではない。例えば、ダイヤフラム及びその支持物に関する共振、可動コイルのインダクタンス(inductance,L)及びダイヤフラム支持物の機械的静電容量(capacitance,C)に関する共振、リアケース内の空気バネ及びダイヤフラムの品質による機械的共振、ダイヤフラム表面のリンギング、又はバランス・アマチュア・スピーカーの場合、フロントキャビティ、バックキャビティ、ポートチューブ(port tube)などの三重共振(共鳴)は可聴周波数帯域内にあり得る。マグネット・ムービングコイルの設計では、幾つかのこのような共振が望ましい特徴と見なされ、かつ巧妙な配置を行うことでこのような共振を利用してダイヤフラムの変位量を増加させ、結果として、より高い音圧レベル(sound pressure level,SPL)を生成することができる。
【0004】
近年、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System,MEMS)のマイクロスピーカーが別のタイプの発声装置になっており、それは、薄膜圧電(piezoelectric)材料をアクチュエータとして利用し、薄い単結晶シリコン層をダイヤフラムとして利用し、また、半導体製造プロセスを利用している。これらの材料及び製造プロセスが採用されているが、従来のマグネット・ムービングコイルの設計アイデア及び実用的な方法は、マグネット・ムービングコイルと微小電気機械システムとの間の違いを考慮せずに、ほとんど、微小電気機械システムのマイクロスピーカーに盲目的に適用されている。よって、微小電気機械システムの発声装置製品には欠陥が存在する。
【0005】
従って、従来技術を改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】USA 2002/0067663 A1 2002/6/6
【特許文献2】USA 6,590,992 B1 2003/7/8
【特許文献3】USA 10,390,145B1 2019/8/20
【特許文献4】PCT 2016/162829A1 2016/10/13
【特許文献5】USA 2018/0098139A1 2018/04/05
【特許文献6】USA 2013/0294636A1 2013/11/07
【特許文献7】USA 2013/0121509A1 2013/05/16
【特許文献8】USA 2018/0139542A1 2018/05/17
【特許文献9】USA 2017/0325030A1 2017/11/09
【特許文献10】USA 2010/0219722A1 2010/09/02
【特許文献11】USA 2017/0021391A1 2017/01/26
【特許文献12】USA 10,284,960B2 2019/05/07
【特許文献13】USA 9,516,421B1 2016/12/06
【特許文献14】USA 7,146,016B2 2006/12/05
【特許文献15】USA 2018/0367921 A1 2018/12/20
【特許文献16】USA 2015/0245118 A1 2015/08/27
【特許文献17】USA 2014/0084396A1 2014/03/27
【特許文献18】USA 2017/0320726A1 2017/11/09
【特許文献19】USA 2010/0119097A1 2010/05/13
【特許文献20】USA 7,790,492B1 2010/09/07
【特許文献21】PCT 2008/076929A1 2008/06/26
【特許文献22】USA 2007/0278601A1 2007/12/06
【特許文献23】USA 2013/0050227A1 2013/02/28
【特許文献24】USA 2020/0236470A1 2020/07/23
【特許文献25】USA 2019/0289405A1 2019/09/19
【特許文献26】Germany 10 2017 223 869 A1 2019/07/04
【特許文献27】UK 2538432A 2016/11/16
【特許文献28】Korea 10-2016-0146952A 2016/12/21
【特許文献29】Korea 10-2019-0060158A 2019/06/03
【特許文献30】Korea 10-2011-0039815A 2011/04/20
【特許文献31】Korea 10-1471084B1 2014/12/23
【特許文献32】Japan 2010-283451A 2010/12/16
【特許文献33】USA 2020/0075839A1 2020/03/05
【特許文献34】USA 2019/0145806A1 2019/05/16
【特許文献35】USA 2017/0276646A1 2017/09/28
【特許文献36】USA 2019/0208330A1 2019/07/04
【特許文献37】USA 2018/0041828A1 2018/02/08
【特許文献38】USA 2016/0219377A1 2016/07/28
【特許文献39】USA 2010/0284553A1 2010/11/11
【特許文献40】USA 8,336,191B1 2012/12/25
【特許文献41】USA 7,763,488B2 2010/07/27
【特許文献42】Korea 10-0785803B1 2007/12/13
【特許文献43】Korea 10-0931575B1 2009/12/14
【特許文献44】PCT 2016/107975A1 2016/7/7
【特許文献45】USA 8,824,707B2 2014/09/02
【非特許文献1】Wikipedia,Microelectromechanical Systems,December 2017,https://en.wikipedia.org/wiki/Microelectromechanical_systems 2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、音質を向上させることができる発声チップを有するパッケージ構造を提供することにある。また、本発明は、発声チップを製造する方法、パッケージ構造を形成する方法、及び発声装置を形成する方法をも提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例によれば、パッケージ構造が提供され、それは、シェル及び発声チップを含む。発声チップはシェル内に設置される。発声チップはダイヤフラム及び作動(Actuate)素子を含む。ダイヤフラムは接続板及び接続板に接続されるバネ構造を含む。作動素子は駆動信号を受信してダイヤフラムを作動させるために用いられる。バネ構造は接続板と作動素子との間に位置する。作動素子はバネ構造により接続板を作動させる。
【0009】
本発明のもう1つの実施例によれば、発声チップを製造する方法が提供され、それは、ウェーハを提供し、そのうち、ウェーハは第一層及び第二層を含み、ウェーハの第一側における作動材料を形成及びパターン化し、ウェーハの第一層をパターン化して溝ラインを形成し、及びウェーハの第二層の第一部を除去することを含む。第二層の第二部に少なくとも1つのアンカー構造が形成され、かつパターン化された第一層に少なくとも1つのアンカー構造により固定されるダイヤフラムが形成される。スリットが溝ラインによりダイヤフラム内に形成され、かつダイヤフラムを貫通する。ダイヤフラムは接続板及びバネ構造を含み、バネ構造は接続板に接続され、かつバネ構造はスリットにより形成される。バネ構造は接続板と作動素子との間に位置する。作動素子はバネ構造により接続板を作動させる。
【0010】
本発明のもう1つの実施例によれば、パッケージ構造を形成する方法が提供され、それは、シェルを提供し、上述の方法により発声チップを製造し、及び発声チップをシェル内に設置することを含む。
【0011】
本発明のもう1つの実施例によれば、発声装置を形成する方法が提供され、それは、上述の方法によりパッケージ構造を形成し、及びパッケージ構造を表面実装技術により発声装置に組み合わせることを含む。
【0012】
本発明のもう1つの実施例によれば、発声装置が提供され、それは、ベース及びベース上に設置される少なくとも1つの発声チップを含む。発声チップは少なくとも1つのダイヤフラム及び少なくとも1つの作動素子を含む。ダイヤフラムは接続板及び少なくとも1つのバネ構造を含み、バネ構造は接続板に接続される。作動素子は、入力オーディオ信号に対応する駆動信号を受信してダイヤフラムを作動させるために用いられる。入力オーディオ信号及び駆動信号は入力音声帯域を有し、入力音声帯域は上限を有し、上限は最大周波数にある。バネ構造は接続板と作動素子との間に位置する。ダイヤフラムは最大周波数よりも高い第一共振周波数を有する。
【0013】
本発明の上述の特徴及びび利点をより明らかにするために、以下、実施例を挙げ、添付した図面を参照することにより、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例の第一類型の発声チップを有する発声装置の上面図である。
図2】本発明の一実施例の第一類型の発声チップを有する発声装置の断面図である。
図3】本発明の一実施例のダイヤフラムの周波数レスポンス及び入力音声帯域を示す図である。
図4】本発明の第一実施例の発声装置の上面図である。
図5図4の剖面線A-A′に沿った断面図である。
図6】本発明の一実施例の異なるスリットを有するダイヤフラムの周波数レスポンスを示す図である。
図7】本発明の第二実施例の発声装置の上面図である。
図8】本発明の第三実施例の発声装置の上面図である。
図9】本発明の第四実施例の発声装置の上面図である。
図10図9の中心部分の拡大図である。
図11】本発明の第五実施例の発声装置の上面図である。
図12図11の中心部分の拡大図である。
図13】本発明の第六実施例の発声装置の上面図である。
図14】本発明の第七実施例の発声装置の断面図である。
図15】本発明の一実施例の音圧レベルの低下量とスリット内の空隙との間の関係を示す図である。
図16】本発明の一実施例の第二類型の発声チップを有する発声装置の上面図である。
図17】本発明の第八実施例の発声装置の上面図である。
図18】本発明の一実施例の発声チップの製造方法の異なる段階における構造を示す図である。
図19】本発明の一実施例の発声チップの製造方法の異なる段階における構造を示す図である。
図20】本発明の一実施例の発声チップの製造方法の異なる段階における構造を示す図である。
図21】本発明の一実施例の発声チップの製造方法の異なる段階における構造を示す図である。
図22】本発明の一実施例の発声チップの製造方法の異なる段階における構造を示す図である。
図23】本発明の一実施例の発声チップの製造方法の異なる段階における構造を示す図である。
図24】本発明の一実施例の発声チップの製造方法の異なる段階における構造を示す図である。
図25】本発明の一実施例の発声チップの断面図である。
図26】本発明の一実施例のパッケージ構造のベース及び集積回路チップの上面図である。
図27】本発明の一実施例のパッケージ構造の上面図である。
図28】本発明の一実施例のパッケージ構造の下面図である。
図29図27及び図28の剖面線A-A′に沿ったの断面図である。
図30】本発明の一実施例のパッケージ構造の断面図である。
図31】本発明の一実施例のパッケージ構造の断面図である。
図32】本発明の一実施例のパッケージ構造の断面図である。
図33】本発明の一実施例のパッケージ構造の断面図である。
図34】本発明の一実施例のパッケージ構造の断面図である。
図35】本発明の一実施例のパッケージ構造の断面図である。
図36】本発明の一実施例の発声装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面に示される様々な例示的な実施例を参照しながら、本発明の構想について説明する。これらの実施例は当業者が本発明をより良い理解し、さらに実現するために説明するものに過ぎず、任意の方式で本発明の範囲を限定しようとするものではないことを理解されたい。可能な場合、図面において、類似した又は同一の参照符号を用いることができ、類似した又は同一の参照符号は、類似した又は同一の要素を示すことができることに留意されたい。当業者であれば、以下の記載において、本明細書で説明する構成及び/又は方法の代替的な実施例は、説明される本発明の原理と構想から逸脱することなく、採用することができることを理解されたい。
【0016】
本発明の文脈において、「含む」という用語及びその様々な変形はオープン用語として理解されることができ、「含むが、これに限定されない」ことを意味する。さらに理解すべきは、本発明の明細書に用いられる用語“包括(含む)”は、特徴、領域、ステップ、操作、素子及び/又はアセンブリが存在することを意味するが、一つ又は複数の他の特徴、領域、ステップ、操作、素子、アセンブリ及び/又はそれらのグループの存在又は追加を除外しないということである。
【0017】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、「A1要素がB1により形成される」ときに、A1要素の形成にB1があり又はB1を使用し、かつA1要素の形成に1つ又は複数の他の特徴、領域、ステップ、操作及び/又は要素の存在又は使用を除外しないことを意味する。
【0018】
明細書及び特許請求の範囲に使用される序数、例えば、「第一」、「第二」などの用詞は、素子を修飾するために用いられ、その自身は、この(又はこれらの)素子がその前の序数を有することを意味せず、或る素子ともう1つの素子との順序、又は、製造方法上の順序をも表せず、これらの序数の使用は、或る名称を有する素子と、もう1つの同じ名称を有する素子とを明確に区別し得るために用いられ。また、特許請求の範囲及び明細書には、同じ用詞を使用しない場合がある。よって、明細書における第一要素は、特許請求の範囲において第二要素になる可能性がある。
【0019】
なお、以下に挙げる実施例では、本開示の精神から逸脱しない限り、複数の異なる実施例における特徴に対して置換、再構成、混合を行うことで、他の実施例を完成させることができる。各実施例間の特徴は、本発明の精神に違反しない又は矛盾しない限り、任意に組み合わせて使用することができる。
【0020】
マグネット・ムービングコイル(Magnet and Moving Coil,MMC)発声装置と、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System,MEMS)発声装置(例えば、圧電作動の微小電気機械システム発声装置)との間には2つの主な相違点があり、即ち、1)音声発生過程で生じるダイヤフラムの移動特性が全く異なり、そのうち、マグネット・ムービングコイル発声装置は力に基づく発声装置であるに対して、圧電作動の微小電気機械システム発声装置は位置に基づく発声装置であり;2)微小電気機械システム発声装置は、共振の品質ファクター(即ち、Qファクター(Q factor))が通常100±40であり、また、鋭いピーク及び狭いピーク値の周波数レスポンスがあるが、マグネット・ムービングコイルは、共振のQファクターが通常0.7~2の範囲内にあり、微小電気機械システム発声装置のQよりもかなり小さいから、非常に滑らかで幅広いピーク値がある。
【0021】
マグネット・ムービングコイル発声装置が共振を用いて所望の周波数レスポンスを生成する実現可能性は、このような共振の低Qファクター値に大きく依存し、低Qファクター値は、複数の比較的広い周波数の滑らかなピークを混合して、共振周波数に対して平坦な周波数レスポンスを形成することを許す。
【0022】
しかし、共振混合は微小電気機械システム発声装置にとって実現不可である。その理由は、共振Qファクター値が高すぎること、及び共振周波数周囲の過度のリンギング(ringing)により、a)重度のダイヤフラムの偏移(シフト)及びかなり大きい非線形性が生じ、及びb)励起源終了後、長時間のリンギング(高Qファクター値が低誘電正接に由来するため、一旦リンギングが開始すると、コインの端(辺縁)を打つのと同じように、打った後もリンギングが長時間続く)が出現することにある。過度のダイヤフラムの偏移がもたらす非線形性が原因で、a)の場合、全高調波歪み(Total Harmonic Distortion,THD)及び相互変調(Inter-modulation,IM)が増加し、b)の場合、音質の“変色”(colored)及び“濁った”(muddied)が生じることがある。
【0023】
本発明の基本アイデアは、微小電気機械システム発声装置の共振周波数をオーディオ信号の周波数帯よりも上に移動させ(例えば、16kHzを超える)、これにより、共振がオーディオ信号の周波数帯にほとんど/まったくないようにすることである。よって、発声装置が音波を発生するときに、ダイヤフラムの偏移、全高調波歪み、相互変調、非線形性及び長時間のリンギングを避けることができ、そのうち、音波の周波数はオーディオ信号の周波数帯内にある。この場合、発声装置は高性能を達成することができる。
【0024】
図1乃至図3を参照する。図1は、本発明の一実施例の第一類型の発声チップを有する発声装置の上面図である。図2は、本発明の一実施例の第一類型の発声チップを有する発声装置の断面図である。図3は、本発明の一実施例のダイヤフラムの周波数レスポンス及び入力音声帯域を示す図である。図1及び図2に示すように、発声装置SDは、ベースBS及びベースBS上に設置される少なくとも1つの発声チップ100を含む。ベースBSは硬質又は可撓性であっても良く、そのうち、ベースBSは、シリコン(silicon)、ゲルマニウム(germanium)、ガラス、プラスチック、石英、サファイア、金属、ポリマー(例えば、ポリイミド(polyimide,PI)、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate,PET))、任意の適切な材料又はその組み合わせを含んでも良い。1つの好ましい例において、ベースBSは、積層板(laminate)(例えば、銅張積層板(copper clad laminate,CCL))、ランドグリッドアレイボード(land grid array board,LGA board)、又は任意の他の適切な、導電材料を有する板を含む回路板であっても良く、このようにして、ベースBSは、1つ又は複数の導電素子、例えば、接続トレース、アクティブ素子、パッシブ素子及び/又は接続パッドを含むことができる。もう1つの好適な例において、ベースBSは集積回路チップであっても良いが、これに限定されない。
【0025】
図1では、発声装置SDは1つの発声チップ100を含んでも良いが、これに限定されない。発声チップ100は微小電気機械システムチップであり、音波を発生するために用いられる。詳細に言えば、発声チップ100は、少なくとも1つのダイヤフラム110、少なくとも1つの作動素子120及びアンカー構造130を含んでも良く、そのうち、ダイヤフラム110は作動素子120の作動により音波を発生し、アンカー構造130はダイヤフラム110の複数の外辺縁110eに接続され、ダイヤフラム110の外辺縁110eはダイヤフラム110の境界を定義する。図1では、発声チップ100は1つのダイヤフラム110及び1つの作動素子120を含んでも良く、これに限定されない。対応して、図2では、発声チップ100がベースBS上に設置されるので、発声装置SDはさらにサウンドキャビティCBを含んでも良く、それはダイヤフラム110とベースBSとの間に存在する。具体的には、作動素子120がダイヤフラム110を作動させる必要があるから、作動素子120はダイヤフラム110上又はダイヤフラム110に隣接するように配置することができる。例を挙げて言うと、図1及び図2では、作動素子120はダイヤフラム110上に設置され(例えば、作動素子120はダイヤフラム110に接触し得る)、これに限定されない。作動素子120は高線形性の電気機械変換機能を有する。幾つかの実施例において、作動素子120は圧電アクチュエータ、静電アクチュエータ、ナノスコピック静電駆動(nanoscopic-electrostatic-drive,NED)アクチュエータ、電磁アクチュエータ又は任意の他の適切な作動素子を含んでも良いが、これに限定されない。例を挙げて言えば、一実施例において、作動素子120は圧電アクチュエータを含んでも良く、圧電アクチュエータは、例えば、2つの電極及び2つの電極の間に配置される圧電材料層を含んでも良く、そのうち、圧電材料層は、電極が受け取った駆動電圧に従ってダイヤフラム110を駆動することができるが、これに限定されない。また、例を挙げて言うと、もう1つの実施例において、作動素子120は電磁アクチュエータ(例えば、平面コイル(planar coil))を含んでも良く、そのうち、電磁式アクチュエータは、受け取った駆動電流及び磁場に従ってダイヤフラム110を作動させることができ(即ち、ダイヤフラム110は電磁力により作動させることができる)。また、例を挙げて言えば、もう1つの実施例において、作動素子120は静電アクチュエータ(例えば、導電板)又はナノスコピック静電作動アクチュエータを含んでも良く、そのうち、静電式アクチュエータ又はナノスコピック静電作動式アクチュエータは、受け取った駆動電圧及び電場に従ってダイヤフラム110を駆動することができ(即ち、ダイヤフラム110は静電力により作動させることができる)。作動素子120は、作動素子120の類型及び/又は他のニーズに応じて、ダイヤフラム110上又はダイヤフラム110内に設けることができる。
【0026】
なお、発声装置SDの動作過程で、アンカー構造130はダイヤフラム110に対しての固定端(又は固定辺縁)であっても良い。言い換えれば、作動素子120がダイヤフラム110を作動させるときに、アンカー構造130は作動素子120により駆動される必要が無く、かつアンカー構造130は発声装置SDの動作過程で固定して動かない。ここで、本発明における“発声装置SDの動作”とは、発声装置SDが音波を発生していることを指す。
【0027】
作動素子120によって引き起こされる作動に関し、作動素子120は、駆動信号(駆動電圧及び/又は駆動電流)を受信してダイヤフラム110を作動させるために用いられ、そのうち、駆動信号は入力オーディオ信号に対応し、発声チップ100が発生する音波は入力オーディオ信号に対応する。例を挙げて言えば、音波、入力オーディオ信号及び駆動信号は同じ周波数を有するが、これに限定されない。また、1つの周波数において、駆動信号が入力オーディオ信号の増加に伴って増大することで、音波の音圧レベル(sound pressure level,SPL)を上げることができる。また、本発明では、入力オーディオ信号及び駆動信号は入力音声帯域ABNを有し、入力音声帯域ABNは上限を有し、この上限は最大周波数fmaxに位置する。つまり、入力オーディオ信号の周波数は最大周波数fmaxよりも高くなく、又は、入力オーディオ信号(及び/又は駆動信号)のうち、最大周波数fmaxよりも高い部分のエネルギーは所定閾値よりも小さい。本発明では、様々な用途に応じて、最大周波数fmaxは、人間の最大可聴周波数(例えば、22kHz)以下であり得る。例を挙げて言うと、音声関連アプリケーションの最大周波数fmaxは5kHzであっても良く、それは人間の最大可聴周波数(例えば、22kHz)よりも大幅に低くなるが、これに限定されない。
【0028】
図3では、ダイヤフラム110の周波数レスポンスを表す曲線20及び入力オーディオ信号の入力音声帯域ABNを表す曲線22が示されている。図3に示すように、本発明のダイヤフラム110は、最大周波数fmaxよりも高い第一共振周波数fRを有するように設計され、これにより、ダイヤフラム110の共振は入力音声帯域ABNにほとんど発生しない。幾つかの実施例において、第一共振周波数fRは人間の最大可聴周波数よりも高いが、これに限定されない。なお、第一共振周波数fRはダイヤフラム110の最低共振周波数であり、かつダイヤフラム110の第一共振周波数fRは発声チップ100完全形成後に測定される。言い換えれば、発声チップ100の設計によれば、少なくとも1つの構造(例えば、作動素子120及び/又は他の適切な構造)がダイヤフラム110上に設置される場合、ダイヤフラム110の第一共振周波数fRは、ダイヤフラム110と、ダイヤフラム110上に設置される構造との組み合わせを測定することで取得され、他の構造がダイヤフラム110上に配置されない場合、ダイヤフラム110の第一共振周波数fRは、ダイヤフラム110のみを測定することにより得られる。
【0029】
幾つかの実施例において、ダイヤフラム110の共振が入力音声帯域ABNにあり/発生することを回避するために、ダイヤフラム110の第一共振周波数fRは、入力音声帯域ABNの最大周波数fmaxよりも著しく高くなければならない。例を挙げて言えば、図3に示すように、ダイヤフラム110の第一共振周波数fRは、少なくとも、最大周波数fmaxプラス第一共振周波数fRに対応する第一共振帯域幅Δfの半分よりも高くなる必要があり(即ち、第一共振周波数fR>最大周波数fmax+第一共振帯域幅Δfの半分(Δf/2))、そのうち、第一共振帯域幅Δfは、第一共振周波数fRに対応するパルスPRの半値全幅(full width at half maximum,FWHM)を表し、第一共振帯域幅Δfの半分(即ち、Δf/2)は、第一共振周波数fRに対応するパルスPRの半値半幅(half width at half maximum,HWHM)を表す。好ましくは、ダイヤフラム110の第一共振周波数fRを選択することで、入力音声帯域ABNに3~10dBの上昇が発生するようにさせ、これにより、入力音声帯域ABN内の共振を低減し、又は入力音声帯域ABN内の共振が無いように保証することができる。幾つかの実施例において、ダイヤフラム110の第一共振周波数fRは最大周波数fmaxプラス第一共振帯域幅Δfの数倍よりも高くなっても良いが、これに限定されない。
【0030】
幾つかの実施例において、ダイヤフラム110の第一共振周波数fRは、入力音声帯域ABNの最大周波数fmax(即ち、入力音声帯域ABNの上限)よりも少なくとも10%高くても良い。例を挙げて言うと、例えば、CD音楽又はMP3などのパルス符号変調(Pulse-Code Modulation,PCM)エンコーディングソースを受信する発声装置SD、又は、例えば、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)などの無線チャネルソースを受信する発声装置SDについて言えば、データサンプリングレートは通常44.1kHzであり、かつ、ナイキストの法則(Nyquist law)によれば、入力オーディオ信号の上限周波数(即ち、最大周波数fmax)は約22kHzである。よって、第一共振周波数fRは、好ましくは、23kHz乃至27.5kHzの間の範囲内で選択され(≒25kHz±10%・22kHz)、これは、発声装置SDの駆動信号が第一共振周波数fRの近傍にあるときに周波数成分を含まないことを保証することができる。これにより、ダイヤフラムの偏移及び長時間のリンギングを避け、音質をさらに向上させることができる。
【0031】
なお、Qファクターは、Q=(fR/Δf)と定義することができる。ダイヤフラム110のQファクターは100±40の範囲内にあっても良く、又は、少なくとも50であっても良い。この場合、Qファクターが十分に大きいときに、第一共振周波数fRに比べて、第一共振帯域幅Δf=(fR/Q)は比較的小さい。
【0032】
なお、第一共振周波数fR、第一共振帯域幅Δf及びQファクターは、製造プロセス中/前に決定されたパラメータである。一旦発声装置SDを設計及び製造したら、これらのパラメータは固定される。
【0033】
上述の特性を達成するために、任意の適切な類型の発声チップ100を提供することができる。以下、図1及び図2に示す第一類型の発声チップ100を提供し例示的に説明するが、本発明はこれに限られない。
【0034】
一般的に言えば、ダイヤフラム110の共振周波数は多くの方式で調整され得る。例を挙げて言うと、ダイヤフラム110の材料、ダイヤフラム110の幾何学的形状、ダイヤフラム110上に設置される素子の材料、ダイヤフラム110上に設けられる素子の配置、及びダイヤフラム110上に配置される素子の幾何学的形状は、ダイヤフラム110の共振周波数に影響を及ぼすことができるが、これに限定されない。
【0035】
原則として、ダイヤフラム110のヤング率(Young′s modulus)が大きいほど、ダイヤフラム110の第一共振周波数fRが高い。例を挙げて言えば、ダイヤフラム110が十分に高い第一共振周波数fRを得るために、本実施例のダイヤフラム110は高ヤング率の材料を有しても良く、例えば、ヤング率が100GPaよりも高い単結晶シリコン(single crystal silicon)であっても良いが、これに限定されない。よって、ダイヤフラムは例えば100GPaよりも高いヤング率を有することができるが、これに限定されない。ダイヤフラム110のヤング率は実際のニーズに応じて調整され得る。なお、ダイヤフラム110のヤング率は発声チップ100の完全形成後に測定される。言い換えれば、発声チップ100の設計によれば、少なくとも1つの構造(例えば、作動素子120及び/又は他の適切な構造)がダイヤフラム110上に設置される場合、ダイヤフラム110のヤング率は、ダイヤフラム110と、ダイヤフラム110上に設けられる構造との組み合わせを測定することで取得され、他の構造がダイヤフラム110上に設置されないときに、ダイヤフラム110のヤング率は、ダイヤフラム110のみを測定することに得られる。
【0036】
発声チップ100の材料に関し、発声チップ100は高ヤング率を有する材料を、高い第一共振周波数fRを有するダイヤフラム110を形成するために含んでも良く、そのうち、ここでの高ヤング率は例えば100GPaよりも高くても良いが、これに限定されない。本実施例では、発声チップ100はシリコン(例えば、単結晶シリコン又は多結晶シリコン(poly-crystalline silicon))、炭化シリコン(silicon carbide)、ゲルマニウム(germanium)、窒化ガリウム(gallium nitride)、ガリウム砒素(gallium arsenide)、ステンレス鋼(stainless steel)、他の適切な高硬度材料、又はその組み合わせを含んでも良い。例を挙げて言えば、発声チップ100は、シリコンウェーハ、シリコンオンインシュレータ(silicon on insulator,SOI)ウェーハ、多結晶シリコンオンインシュレータ(polysilicon on insulator,POI)ウェーハ、エピタキシャルシリコンオンインシュレータ(epitaxial silicon on insulator)ウェーハ、又はゲルマニウムオンインシュレータ(germanium on insulator,GOI)ウェーハにより形成され得るが、これに限定されない。図2では、本実施例の発声チップ100は例えばSOIウェーハにより形成される。幾つかの実施例において、ダイヤフラム110に含まれる各材料は100GPaよりも高いヤング率を、ダイヤフラム110の第一共振周波数fRをより高くするために有しても良いが、これに限定されない。また、ダイヤフラム110に含まれる各材料が高ヤング率を有する場合、ダイヤフラム110の老化(劣化)現象を減少させることができ、かつダイヤフラム110は高い耐熱性を有する。
【0037】
図1及び図2では、作動素子120がダイヤフラム110上に設置されるため、作動素子120はダイヤフラム110の共振周波数に影響を与えることがある。本実施例では、作動素子120が、例えば作動素子120の材料のヤング率又は作動素子120の重量が原因で、ダイヤフラム110の共振周波数を低減し得る可能性があるので、作動素子120は、作動素子120の重量及びダイヤフラム110の共振周波数への影響を低減するために、パターン化膜層として設計されても良い。言い換えれば、作動素子120はダイヤフラム110の一部を覆っても良い。パターン化される作動素子120の条件の下で、作動素子120によるダイヤフラム110の第一共振周波数fRの低下を減少させることができるだけでなく、さらに作動素子120の重量を減少させることもできる。同じ信号の条件の下で、ダイヤフラム110の変位量が作動素子120の重量が軽くなるにつれて大きくなるため、音波のSPLを向上させることができる。また、作動素子120の重量/面積の減少が原因で、発声装置SDの動作過程で作動素子120が消費するエネルギーを減少させることもできる。
【0038】
図1及び図2に示すように、第一類型の発声チップ100では、発声チップ100のダイヤフラム110は接続板116及び少なくとも1つのバネ構造114を含み、バネ構造114は接続板116に接続され、そのうち、バネ構造114は上面図において接続板116と作動素子120との間に位置する。ダイヤフラム110は選択的に駆動板112を含み、バネ構造114は駆動板112と接続板116との間に接続され、かつ駆動板112はアンカー構造130とバネ構造114との間に接続され得る。接続板116の形状、面積、サイズ、及び駆動板112の形状、面積、サイズはニーズに応じて設計され得る。上述の内容によれば、作動素子120がパターン化膜層であるため、作動素子120は部分的にダイヤフラム110を覆う。具体的には、図1及び図2に示すように、作動素子120は、ダイヤフラム110の法線方向Dnにおいて接続板116と重ならない(例を挙げて言えば、ダイヤフラム110の法線方向DnはベースBSの法線方向に平行であっても良い)。作動素子120の少なくとも1つの部分は、駆動板112の少なくとも1つの部分に設置され得る(即ち、作動素子120の少なくとも1つの部分は駆動板112の少なくとも1つの部分と重なることができる)。例を挙げて言えば、幾つかの実施例において、作動素子120は駆動板112の少なくとも1つの部分に完全に設置され得るが、これに限定されない。幾つかの実施例において、作動素子120の一部は駆動板112の少なくとも1つの部分に設置され、作動素子120のもう1つの部分はアンカー構造130の少なくとも1つの部分に設置され得るが、これに限定されない。この場合、作動素子120は、駆動板112を作動させてダイヤフラム110全体を作動させることができる。作動素子120が接続板116と重ならないが、作動素子120は、動素子120が設置されている駆動板112、及び駆動板112と接続板116との間に接続されるバネ構造114により、接続板116を作動させることができる(即ち、接続板116は、作動素子120の、バネ構造114による作動におって移動する)。オプションとして、作動素子120は、ダイヤフラム110の法線方向Dn上でバネ構造114と重ならなくても良いが、これに限定されない。
【0039】
作動素子120は複数の部に分けることができ、ダイヤフラム110は作動素子120のこれらの部により複数の方向から作動させることができる。例を挙げて言うと、図1に示すように、作動素子120は第一部120a、第二部120b、第三部120c及び第四部120dを含んでも良く、第一部120a及び第二部120bは接続板116の相対側に設置されても良く、第三部120c及び第四部120dは接続板116の相対側に設置されても良い。図1では、第一類型の発声チップ100では、作動素子120は大体接続板116を取り囲むことで、第三部120cが第一部120aと第二部120bとの間にあり、第四部120dが第一部120aと第二部120bとの間にありかつ第三部120cに相対するようにさせることができるが、これに限定されない。幾つかの実施例において、作動素子120は、接続板116を取り囲まなくても良い(例えば、後続の実施例に述べる第二類型の発声チップ100である)。また、図1では、作動素子120の第一部120a、第二部120b、第三部120c及び第四部120dは、例えば、サイドスリットSLe(サイドスリットSLeについては、後続の実施例で詳しく説明する)により互いに分離(セパレート)されても良いが、これに限定されない。幾つかの実施例において、作動素子120はさらに外側部(図示せず)を含んでも良く、それはアンカー構造130上に設けられ、作動素子120の第一部120a、第二部120b、第三部120c及び第四部120dは外側部に接続され得るが、これに限定されない。
【0040】
また、図1及び図2に示すように、作動素子120が駆動板112上に設置され、かつ大体接続板116を取り囲むので、駆動板112は大体接続板116を取り囲むことができる。例を挙げて言うと、駆動板112は、作動素子120の第一部120aが設置されている第一駆動部112a、作動素子120の第二部120bが設置されている第二駆動部112b、作動素子120の第三部120cが設置されている第三駆動部112c、及び作動素子120の第四部120dが設置されている第四駆動部112dを含んでも良い。第一駆動部112a及び第二駆動部112bは接続板116の相対側に設置されても良く、第三駆動部112c及び第四駆動部112dは接続板116の相対側に設置されても良い。同様に、図1では、駆動板112の第一駆動部112a、第二駆動部112b、第三駆動部112c及び第四駆動部112dは、例えば、サイドスリットSLe(サイドスリットSLeについては、後続の実施例で詳細に説明する)により分離され得るが、これに限定されない。幾つかの実施例において、接続板116はダイヤフラム110の中心に位置しても良いが、これに限定されない。
【0041】
対応して、作動素子120が複数の部に分けられるから、発声チップ100は複数のバネ構造114を含む(即ち、少なくとも1つのバネ構造114は複数のバネ構造114を含む)。詳細に言えば、発声チップ100は、第一バネ構造114a、第二バネ構造114b、第三バネ構造114c及び第四バネ構造114dを含んでも良い。第一バネ構造114a及び第二バネ構造114bは接続板116の相対側に設置されても良く、第三バネ構造114c及び第四バネ構造114dは接続板116の相対側に設置されても良い。第一バネ構造114aは接続板116と第一駆動部112aとの間に接続され、第二バネ構造114bは接続板116と第二駆動部112bとの間に接続され、第三バネ構造114cは接続板116と第三駆動部112cとの間に接続され、第四バネ構造114dは接続板116と第四駆動部112dとの間に接続される。もう1つの観点から、接続板116は第一バネ構造114aと第二バネ構造114bとの間に接続され、接続板116も第三バネ構造114cと第四バネ構造114dとの間に接続される。
【0042】
また、バネ構造114は、ダイヤフラム110の変位量の向上(増加)(即ち、音波のSPLの向上)及び/又はダイヤフラム110の残留応力のリリースのために用いられ、そのうち、残留応力は元々発声チップ100内に存在し、又は発声チップ100の製造プロセス中に発生する。また、バネ構造114の存在が原因で、ダイヤフラム110は発声装置SDの動作過程で弾性変形することができる。本実施例では、ダイヤフラム110は、図2において交互に上へ変形し(又は上へ移動し)及び下へ変形する(又は下へ移動する)ことができる。例を挙げて言えば、ダイヤフラム110は、図2に示す変形状態110Dfに変形することができるが、これに限定されない。なお、本発明では、用語“上へ”及び“下へ”はほぼ、ダイヤフラム110の法線方向Dnに平行な方向である。幾つかの実施例において、接続板116は、バネ構造114にのみ接続されても良く、これにより、ダイヤフラム110の発声装置SDの動作過程での変位量をさらに向上(増加)させることができるが、これに限定されない。本発明では、バネ構造114は上述の機能を達成し得る任意の適切な構造であっても良い。以下の実施例では、バネ構造114の細部を例示的に説明する。
【0043】
本発明の発声チップ100の製造方法に関し、発声チップ100は任意の適切な製造プロセスにより形成され得る。本実施例では、発声チップ100は少なくとも1つの半導体製造プロセスにより形成されることで、微小電気機械システムチップを成すことができる。以下、発声チップ100の製造プロセスの細部は、発声チップ100がSOIウェーハにより形成される条件の下で説明されるが、製造方法はこれに限定されない。図2に示すように、発声チップ100は、基部シリコン層BL、頂部シリコン層TL及び酸化層OLを含み、酸化層OLは基部シリコン層BLと頂部シリコン層TLとの間に設けられる。まず、頂部シリコン層TLに対してパターン化を行い、ダイヤフラム110の輪郭(例えば、接続板116、駆動板112及びバネ構造114の輪郭)を形成し、そのうち、パターン化製造プロセスは、例えば、フォトリトグラフィー(photolithography)、エッチング製造プロセス(etching process)、任意の他の適切な製造プロセス、又は其組み合わせを含んでも良い。その後、頂部シリコン層TL上にパターン化される作動素子120を形成する。それから、基部シリコン層BL及び酸化層OLに対して部分的なエッチングを行い、頂部シリコン層TLにより形成されるダイヤフラム110を完成させ、そのうち、残される基部シリコン層BL、残される酸化層OL、及び一部の頂部シリコン層TLは、結合されてダイヤフラム110に接続されるアンカー構造130とすることができる。また、本実施例では、発声チップ100が少なくとも1つの半導体製造プロセスにより形成されるため、発声チップ100のサイズ(即ち、厚み及び/又は横方向の寸法)を減少させることができ、さらに発声チップ100の製造プロセスのステップ数及び製造コストを低減することもできる。また、ダイヤフラム110が1種のみの高ヤング率有りの材料(例えば、シリコン又は他の適切な材料)を含む場合、発声チップ100の製造プロセスのステップ数及び製造コストをさらに減少させることができる。
【0044】
上述の製造方法によれば、バネ構造114に接続される接続板116が存在するから、バネ構造114の形成が原因でダイヤフラム110の構造強度が弱くなっても良く(例えば、幾つかの実施例において、バネ構造114は、頂部シリコン層TLに対してのパターン化により形成され得る)、ダイヤフラム110が破壊される可能性を小さくすることができ、及び/又は、ダイヤフラム110の製造期間中の破壊を避けることもできる。言い換えれば、接続板116は、ダイヤフラム110の構造強度を一定の水準に維持することができる。
【0045】
以下、第一類型の発声チップの幾つかの細部をさらに説明する。なお、第一類型の発声チップは、以下に例示的に提供される実施例により限定されない。
【0046】
図4及び図5を参照する。図4は、本発明の第一実施例の発声装置の上面図である。図5は、図4の剖面線A-A′に沿った断面図である。そのうち、発声チップ100_1は第一類型に属する。図1に比較して、図4及び図5に示す発声チップ100_1は、さらに、ダイヤフラム110の複数のスリットSLが示されており、そのうち、バネ構造114は、スリットSLの少なくとも一部により形成される。本実施例では、スリットSLの存在が原因で、ダイヤフラム110の残留応力をリリースすることができる。バネ構造114がスリットSLの少なくとも一部により形成されるため、ダイヤフラム110の変位量の向上(増加)はスリットSLの配置に関連する。換言すれば、音波のSPLはスリットSLの配置により向上し得る。また、スリットSLは、ダイヤフラム110が発声装置SDの動作過程で弾性変形し得るように設計されても良い。
【0047】
スリットSLの配置及びスリットSLのパターンがニーズに応じて設計され得る。そのうち、各スリットSLは、直線スリット、湾曲スリット、直線スリットの組み合わせ、湾曲スリットの組み合わせ、又は直線スリットと湾曲スリットの組み合わせであっても良い。例を挙げて言えば、本実施例では、図4及び図5に示すように、スリットSLは、複数のサイドスリットSLe及び複数の内部スリットSLiを含んでも良く、各サイドスリットSLeは、ダイヤフラム110の外辺縁110eの少なくとも1つに接続され(例えば、サイドスリットSLeは、一端のみがダイヤフラム110の外辺縁110eの少なくとも1つに接続される)、各サイドスリットSLeはダイヤフラム110の接続板116に向かって延伸し、内部スリットSLiはダイヤフラム110の外辺縁110eに接続されない。例を挙げて言うと、サイドスリットSLeの少なくとも1つがダイヤフラム110の外辺縁110eの1つのコーナーに接続され(例えば、図4における各サイドスリットSLeがダイヤフラム110の外辺縁110eの1つのコーナーに接続される)、これに限定されない。オプションとして、幾つかの実施例において、内部スリットSLiは、作動素子120の駆動板112が設置されている領域に位置しなくても良く(例えば、この設置は図4に示されている)、これに限定されない。また、本実施例では、幾つかの内部スリットSLiがサイドスリットSLeに接続され、かつ幾つかの内部スリットSLiが他のスリットに接続されなくても良いが、これに限定されない。例を挙げて言えば、図4では、各サイドスリットSLeが2つの内部スリットSLiに接続され得るが、これに限定されない。例を挙げて言えば、図4では、各内部スリットSLiが直線スリットであり、同一のサイドスリットSLeに接続される2つの内部スリットSLiが異なる方向に延伸しても良いが、これに限定されない。なお、交差点(例えば、交差点X1)が少なくとも3つのスリットSLの交差により形成され、かつ交差点X1がこの少なくとも3つのスリットSLの端点である。言い換えれば、交差点X1は、この少なくとも3つの交差のスリットSLの区別点とすることができる。例を挙げて言うと、図4では、交差点X1が1つのサイドスリットSLeと2つの内部スリットSLiの交差により形成され、かつ交差点X1が1つのサイドスリットSLeと2つの内部スリットSLiの端点であるが、これに限定されない。オプションとして、幾つかの実施例における接続板116が大体スリットSLにより取り囲まれても良いが、これに限定されない。
【0048】
また、本実施例のバネ構造114はサイドスリットSLe及び内部スリットSLiにより形成される。図4の上の部分を参照するに、それは大体ダイヤフラム110の四分の一を示しており、3つの内部スリットSLiはほぼ互いに平行であり(例えば、3つの内部スリットSLiは上側の外辺縁110eに平行であっても良い)、この3つの内部スリットSLi及びこの3つの内部スリットSLi近傍にある2つのサイドスリットSLeにより第一バネ構造114aは形成されるが、これに限定されない。また、図4における各バネ構造114は、駆動板112に接続される2つの第一接続端CE1及び接続板116に接続される1つの第二接続端CE2を有し、各第一接続端CE1は1つのサイドスリットSLeに隣接し、第二接続端CE2は2つの第一接続端の間にあるが、これに限定されない。図4に示す他のバネ構造114の形成は上述の内容と同様であるから、ここではその詳しい説明を省略する。
【0049】
図6は、本発明の一実施例の異なるスリットを有するダイヤフラムの周波数レスポンスを示す図である。そのうち、図6の中の幅D1、D2、D3、D4は異なるスリットSLの幅を表し、幅D1>幅D2>幅D3>幅D4である。一般的に言えば、スリットSLは発声装置SDの動作過程で空気を漏らすことで、音波のSPLを低下させる可能性がある。例を挙げて言うと、SPLの低下は低周波数(例えば、20Hz乃至200Hzの範囲内)の音波に発生し得る。1つの観点から、SPLの低周波数(例えば、20Hz乃至200Hzの範囲内)音波における低下を示す図6によれば、SPLの低下量は、スリットSLの幅の減少に伴って減少する。よって、スリットSLを狭くして空気の漏れを減少させる必要がある。幾つかの実施例において、発声装置SDが動作しない場合、スリットSLの幅は約2マイクロメートル(μm)以下であっても良く、又は、約1μm以下であっても良いが、これに限定されない。また、ダイヤフラム110の設計に関し、発声装置SDの動作過程で、スリットSLに近くかつそれぞれスリットSLの相対側に位置するダイヤフラム110の部分は近い変位量を有しても良く、このようにして、スリットSLの動作過程での拡大を抑えで、空気のスリットSLからの漏れ量を減少させることができる。もう1つの観点から、接続板116はダイヤフラム110の移動を制限することで、スリットSLの発声装置SDの動作過程での拡大を抑えて、空気のスリットSLからの漏れ量を減少させることができる。これにより、低周波数音波のSPLの低下を改善することができる。
【0050】
また、本実施例では、ダイヤフラム110は不均一な厚みを有しても良い。図4及び図5では、ダイヤフラム110の厚みはダイヤフラム110の中心への接近に伴って減少する。例を挙げて言うと、ダイヤフラム110は大体第一厚み及び第二厚みを有し、第一厚みは第二厚みよりも小さくても良く、第一厚みを有する(ダイヤフラム)部分は、第二厚みを有する(ダイヤフラム)部分により取り囲むことができるが、これに限定されない。例を挙げて言えば、第一厚みは接続板116の一部に対応し、第二厚みは接続板116のもう1つの部分、バネ構造114及び/又は駆動板112に対応しても良いが、これに限定されない。幾つかの実施例において、ダイヤフラム110の厚みは次第に変化しても良い。要するに、不均一な厚みを有するダイヤフラム110は、ダイヤフラム110が第一厚み有りの第一ダイヤフラム部及び第二厚み有りの第二ダイヤフラム部を含み、第二厚みが第一厚みとは異なることを意味する。
【0051】
また、図4では、作動素子120は駆動板112を完全に覆うことができ(即ち、駆動板112全体は作動素子120と重なることができる)、これに限定されない。
【0052】
また、ポリマー材料は低いヤング率及び低い熱安定性を有し、かつポリマー材料は時間の経過に伴って老化し得る。本実施例では、ポリマー材料が発声チップ100_1内及び発声チップ100_1上に存在しない(例えば、発声チップ100_1はポリマー材料を含まず、かつ発声チップ100_1はポリマー材料含有膜層により覆われない)。よって、ダイヤフラム110の共振周波数、発声装置SDの動作温度及び発声装置SDの寿命はポリマー材料の不利な影響を受けることがない。
【0053】
図7は、本発明の第二実施例の発声装置の上面図である。そのうち、発声チップ100_2は第一類型に属し、かつ発声チップ100_2は、例えば、低ヤング率のポリマー材料を含む膜層により覆われない(例えば、この膜層はスリットを封止するために用いられる)。図7に示すように、第一実施例(例えば、図4及び図5)と本実施例との相違点は、スリットSLの配置にある。本実施例では、各内部スリットSLiは1つのサイドスリットSLeに接続され得るが、これに限定されない。例を挙げて言うと、図7では、各サイドスリットSLeは2つの内部スリットSLiに接続され得るが、これに限定されない。また、図7では、内部スリットSLiは異なる類型を有しても良い。例を挙げて言えば、同一のサイドスリットSLeに接続される2つの内部スリットSLiのうち、1つの内部スリットSLiが直線スリットであっても良く、もう1つの内部スリットSLiは直線スリットと湾曲スリットの組み合わせであっても良いが、これに限定されない。また、図7の上の部分を参照するに、それは大体ダイヤフラム110の四分の一を示しており、また、1つが直線スリットである内部スリットSLi、及び1つが直線スリットと湾曲スリットの組み合わせである内部スリットSLiをも示しており、かつこの2つの内部スリットSLiの直線スリットは、横向き方向(ダイヤフラム110の法線方向Dnに垂直である)に沿って互いに平行であるように配列される。また、図4の上の部分(大体ダイヤフラム110の四分の一が示されている)に示すように、この2つの内部スリットSLi及びこの2つの内部スリットSLiの近傍にある2つのサイドスリットSLeにより第一バネ構造114aは形成されるが、これに限定されない。また、図7における各バネ構造114は、駆動板112に接続され、かつ1つのサイドスリットSLeに近い1つの第一接続端CE1を有し、各バネ構造114はさらに、接続板116に接続され、かつもう1つのサイドスリットSLeに近い1つの第二接続端CE2を有するが、これに限定されない。図7に示すの他のバネ構造114の形成は上述の内容と同様であるから、ここではその詳しい説明を省略する。また、本実施例では、内部スリットSLiは、ダイヤフラム110を上面図において渦パターンを形成させても良いが、これに限定されない。
【0054】
図8は、本発明の第三実施例の発声装置の上面図である。そのうち、発声チップ100_3は第一類型に属し、発声チップ100_3は、例えば、低ヤング率のポリマー材料を含む膜層により覆われない(例えば、この膜層はスリットを封止するために用いられる)。図8に示すように、第一実施例(例えば、図4及び図5)と本実施例との相違点はスリットSLの配置にある。本実施例では、スリットSLは複数のサイドスリットSLeのみを含んでも良く、かつバネ構造114はサイドスリットSLeにより形成され、そのうち、各バネ構造114は2つの隣接するサイドスリットSLeの間にあっても良い。例を挙げて言うと、図8では、本実施例の各サイドスリットSLeは第一部分e1、第一部分e1に接続される第二部分e2、及び第二部分e2に接続される第三部分e3を含んでも良く、第一部分e1、第二部分e2及び第三部分e3は、ダイヤフラム110の外辺縁110eから内部へ順次配列され、そのうち、サイドスリットSLeのうちの1つにおいて、直線スリットとしての第一部分e1の延伸方向は直線スリットとしての第二部分e2の延伸方向に平行でなくても良く、第三部分e3は湾曲スリットであっても良く(即ち、サイドスリットSLeは2つの直線スリットと1つの湾曲スリットの組み合わせであっても良い)、これに限定されない。第三部分e3はサイドスリットSLeのフック状湾曲端を有しても良く、そのうち、図8の中のフック状湾曲端は接続板116を取り囲む。フック状湾曲端は、上面図において、湾曲端の曲率又は第三部分e3の曲率が第一部分e1の曲率又は第二部分e2の曲率よりも大きいことを意味する。第三部分e3の湾曲端は、バネ構造の端部近傍の応力集中を最小化するために用いられる。また、フック形状を有するサイドスリットSLeはダイヤフラム110の中心に向かって延伸し、又はダイヤフラム110の接続板116に向かって延伸する。サイドスリットSLeはダイヤフラム110において丸い角を切り出すことができる。
【0055】
サイドスリットSLeのパターンがニーズに応じて設計され得る。本実施例では、図8に示すように、各バネ構造114は、駆動板112に接続される1つの第一接続端CE1及び接続板116に接続される1つの第二接続端CE2を有しても良く、バネ構造114は第一接続端CE1と第二接続端CE2との間に位置し、第一接続端CE1は1つのサイドスリットSLeの第一部分e1ともう1つのサイドスリットSLeの第二部分e2との間に位置し、第二接続端CE2は2つの隣接するサイドスリットSLeの第三部分e3の間に位置しても良いが、これに限定されない。オプションとして、図8に示すように、第一接続端CE1の接続方向は第二接続端CE2の接続方向に平行でないが、これに限定されない。また、本実施例では、スリットSLは上面図において渦パターンを形成することができるが、これに限定されない。また、図8では、駆動板112の一部が作動素子120と重なっても良いが、これに限定されない。
【0056】
図9は、本発明の第四実施例の発声装置の上面図である。図10は、図9の中心部の拡大図である。そのうち、発声チップ100_4は第一類型に属し、発声チップ100_4は例えば低ヤング率のポリマー材料を含む膜層により覆われない(例えば、この膜層はスリットを封止するために用いられる)。図9及び図10に示すように、第三実施例(例えば、図8)と本実施例との相違点は、スリットSLの配置にある。本実施例では、スリットSLはさらに複数の内部スリットSLiを含んでも良く、各内部スリットSLiは2つのサイドスリットSLeの間にあっても良く、これに限定されない。図9では、各内部スリットSLiはサイドスリットSLeに接続されず、各内部スリットSLiはダイヤフラム110の接続板116に向かって延伸するが、これに限定されない。サイドスリットSLeのパターン及び内部スリットSLiのパターンがニーズに応じて設計され得る。例を挙げて言うと、本実施例の各内部スリットSLiは第一段i1、第一段i1に接続される第二段i2、及び第二段i2に接続される第三段i3を含んでも良く、第一段i1、第二段i2及び第三段i3はダイヤフラム110の内部へ順次配列され、そのうち、内部スリットSLiのうちの1つにおいて、直線スリットとしての第一段i1の延伸方向は直線スリットとしての第二段i2の延伸方向に平行でなくても良く、第三段i3は湾曲スリットであっても良く(即ち、内部スリットSLiは2つの直線スリットと1つの湾曲スリットの組み合わせであっても良い)、これに限定されない。また、内部スリットSLiのうちの1つにおいて、第一段i1の一端が第二段i2に接続され、第一段i1のもう1つの端は駆動板112に位置しかつ任意のスリットにも接続されない。例を挙げて言えば、図9では、第一段i1において任意のスリットにも接続されない一端が駆動板112において作動素子120が設置されない領域に位置しても良く(即ち、内部スリットSLiは駆動板112において作動素子120が設けられている領域に位置しなくても良い)、これに限定されない。また、例を挙げて言えば、第一段i1において任意のスリットにも接続されない一端が駆動板112において作動素子120が設置されている領域に位置しても良いが、これに限定されない。
【0057】
図9及び図10では、2つの隣接するサイドスリットSLeの間に設置される各バネ構造114は、1つの内部スリットSLiにより2つのサブ部S1、S2に分けることができ、各サブ部S1、S2は、駆動板112に接続される第一接続端CE1_1、CE1_2及び接続板116に接続される第二接続端CE2_1、CE2_2を有しても良く、各サブ部S1、S2はそれぞれ、各自の第一接続端CE1_1、CE1_2と各自の第二接続端CE2_1、CE2_2との間に位置する。例を挙げて言うと、サブ部S1の第一接続端CE1_1は1つのサイドスリットSLeの第一部分e1と1つの内部スリットSLiの第二段i2との間に位置し、サブ部S1の第二接続端CE2_1は1つのサイドスリットSLeの第三部分e3と1つの内部スリットSLiの第三段i3との間に位置し、サブ部S2の第一接続端CE1_2は1つのサイドスリットSLeの第二部分e2と1つの内部スリットSLiの第一段i1との間に位置し、サブ部S2の第二接続端CE2_2は1つのサイドスリットSLeの第三部分e3と1つの内部スリットSLiの第三段i3との間に位置しても良いが、これに限定されない。オプションとして、図9及び図10に示すように、各サブ部S1において、第一接続端CE1_1の接続方向は第二接続端CE2_1の接続方向に平行でなく、各サブ部S2において、第一接続端CE1_2の接続方向は第二接続端CE2_2の接続方向に平行でないが、これに限定されない。また、本実施例では、スリットSLは上面図において渦パターンを形成することができる、これに限定されない。
【0058】
図11及び図12を参照する。図11は、本発明の第五実施例の発声装置の上面図である。図12は、図11の中心部の拡大図である。そのうち、発声チップ100_5は第一類型に属し、発声チップ100_5は例えば低ヤング率のポリマー材料を含む膜層により覆われない(例えば、この膜層はスリットを封止するために用いられる)。図11及び図12に示すように、第一実施例(例えば、図4及び図5)と本実施例との相違点はスリットSLの配置にある。図11及び図12では、サイドスリットSLeに接続される内部スリットSLiはL字形であっても良く(即ち、2つの直線スリットの組み合わせ)、サイドスリットSLeに接続されない内部スリットSLiは一字形であっても良く(即ち、直線スリット)、一字形の内部スリットSLiはL字形の内部スリットSLiの一部に平行であっても良いが、これに限定されない。本実施例では、本実施例のバネ構造114は内部スリットSLiにより形成される。図11及び図12に示すように、各バネ構造114は1つの一字形の内部スリットSLi及び2つのL字形の内部スリットSLiにより形成され得るが、これに限定されない。オプションとして、図12に示すように、バネ構造114の第一接続端CE1の接続方向はバネ構造114の第二接続端CE2の接続方向に平行でないが、これに限定されない。また、図11及び図12に示すように、接続板116の面積は駆動板112の面積よりも遥かに小さくても良いが、これに限定されない。また、図11では、駆動板112の一部が作動素子120と重なっても良いが、これに限定されない。
【0059】
図13は、本発明の第六実施例の発声装置の上面図である。そのうち、発声チップ100_6は第一類型に属し、発声チップ100_6は例えば低ヤング率を含むポリマー材料の膜層により覆われない(例えば、この膜層はスリットを封止するために用いられる)。図13に示すように、第一実施例(例えば、図4及び図5)と本実施例との相違点はスリットSLの配置にある。図13では、サイドスリットSLeに接続される内部スリットSLiはL字形であっても良く(即ち、2つの直線スリットの組み合わせ)、サイドスリットSLeに接続されない内部スリットSLiはW字形であっても良く(即ち、4つの直線スリットの組み合わせ)、W字形の内部スリットSLiの一部がL字形の内部スリットSLiの一部に平行であるが、これに限定されない。本実施例では、本実施例のバネ構造114は内部スリットSLiにより形成される。図13に示すように、各バネ構造114は2つのL字形の内部スリットSLi及び2つのW字形の内部スリットSLiにより形成され、これにより、図13に示すM字形のバネ構造114を形成することができるが、これに限定されない。なお、第一バネ構造114aは接続板116、第一駆動部112a及び第三駆動部112cに接続され、第二バネ構造114bは接続板116、第二駆動部112b及び第四駆動部112dに接続され、第三バネ構造114cは接続板116、第二駆動部112b及び第三駆動部112cに接続され、第四バネ構造114dは接続板116、第一駆動部112a及び第四駆動部112dに接続されるが、これに限定されない。オプションとして、図13に示すように、バネ構造114の第一接続端CE1の接続方向はバネ構造114の第二接続端CE2の接続方向に平行でないが、これに限定されない。また、図13に示すように、接続板116の面積は駆動板112の面積よりも遥かに小さくても良いが、これに限定されない。また、図13では、駆動板112の一部が作動素子120と重なっても良いが、これに限定されない。
【0060】
なお、以上の実施例に記載のスリットSLの配置はすべて好適な例であり、ダイヤフラム110の変位量の増加及び/又はダイヤフラム110の残留応力のリリースを行うことができる任意の適切なスリットSLの他の配置も本発明に使用することができる。
【0061】
図14及び図15を参照する。図14は、本発明の第七実施例の発声装置の断面図である。図15は、本発明の一実施例の音圧レベルの低下量とスリット内の空隙との間の関係を示す図である。なお、発声チップ100′は第一類型、第二類型(後続の実施例で説明する)又は他の適切な類型に属しても良い。例を挙げて言うと、発声チップ100′が第一類型に属する場合、発声チップ100′のダイヤフラム110は上述の実施例又は本発明の精神を離脱しない変化実施例を参照しても良いが、これに限定されない。図14に示すように、発声装置SDはさらに、発声チップ100′を覆うコンフォーマル層(conformal layer)CFLを含んでも良い。本実施例では、発声チップ100′はコンフォーマル層CFLにより覆われるが、これに限定されない。オプションとして、ベースBSはコンフォーマル層CFLにより覆われるが、これに限定されない。また、コンフォーマル層CFLは、任意の適切な誘電材料、例えば、二酸化シリコン(silicon dioxide)、窒化シリコン(silicon nitride)及び/又はポリマー材料、例えばポリイミド又はパリレン-C(Parylene-C)を含んでも良いが、これに限定されない。誘電材料を含むコンフォーマル層CFLは、ALD(atomic layer deposition)又は気相蒸着(例えば、化学気相蒸着(chemical vapor deposition,CVD))により形成されても良く、例えば、コンフォーマル層CFLは堆積層であっても良いが、これに限定されない。
【0062】
コンフォーマル層CFLは、スリットSLに存在する空隙AGを減少させ、又は、スリットSLを封止するために用いられ、これにより、空気のスリットSLからの漏れ量を減少させ、低周波数音波(例えば、20Hz乃至200Hzの範囲内)のSPL低下の現象を克服することができる。幾つかの実施例において、図14に示すように、コンフォーマル層CFLの一部及び空隙AGがスリットSL内に存在しても良いが、これに限定されない。幾つかの実施例において、コンフォーマル層CFLの一部がスリットSL中に存在することで、スリットSLがコンフォーマル層CFLにより封止され得るようにさせても良いが、これに限定されない。図15に示すように、空隙AGの幅が小さいほど、SPLの低下量が小さい(例えば、回帰線L参照)。また、図15では、スリットSLがコンフォーマル層CFLにより封止されて空隙AGがスリットSL内に存在しないときに、SPLの低下量が最も少い。よって、低周波数音波のSPLの低下量を減少させるために、幾つかの実施例において、空隙AGがスリットSL中に存在する場合、空隙AGの幅を2μmよりも小さくしても良く(空隙AGの幅は、発声装置SDが動作しないときに測定される)、あるいは、コンフォーマル層CFLがスリットSLを封止し空隙AGはスリットSL中に存在しないが、これに限定されない。
【0063】
図16は、本発明の一実施例の第二類型の発声チップを有する発声装置の上面図である。図16に示すように、第一類型の発声チップ100に比較して、第二類型の発声チップ200における作動素子120は接続板116を取り囲まなくても良い。詳細に言えば、本実施例の作動素子120は第一部120a及び第二部120bを含んでも良く、第一部120a及び第二部120bは接続板116の相対側に設置され得る。対応して、ダイヤフラム110の駆動板112は作動素子120の第一部120aが設置されている第一駆動部112a、及び作動素子120の第二部120bが設置されている第二駆動部112bを含んでも良く、第一駆動部112a及び第二駆動部112bは接続板116の相対側に設置することができる。対応して、発声チップ200は第一バネ構造114a及び第二バネ構造114bを含んでも良く(即ち、複数のバネ構造114)、第一バネ構造114a及び第二バネ構造114bは接続板116の相対側に設置することができ、そのうち、第一バネ構造114aは接続板116と第一駆動部112aとの間に接続され、第二バネ構造114bは接続板116と第二駆動部112bとの間に接続される。換言すると、ダイヤフラム110は作動素子120により2つの方向から作動させる。
【0064】
幾つかの実施例において、バネ構造114は上述のスリットSLの配置を参照し得るが、これに限定されない。幾つかの実施例において、ダイヤフラム110の変位量の増加及び/又はダイヤフラム110の残留応力の解放を行うことができるの任意の適切なスリットSLの他の配置も本発明に適用することができる。
【0065】
図17は、本発明の第八実施例の発声装置の上面図である。
【0066】
図17に示すように、発声装置SDは複数のダイヤフラムを含んでも良い。発声装置SDの複数のダイヤフラムは同時に、基部シリコン層BL上で製造されても良く、又は同時に、基部シリコン層BL上に設定されて単一の発声チップ300を形成しても良く、又は、発声装置SDの複数のダイヤフラムはそれぞれ、複数の発声チップ300上でベースBS上に設置されても良い。各発声チップ300は音声発生ユニットとして音波を発生することができ、そのうち、発声チップ300は互いに同じであり又は異なっても良い。本発明では、各発声チップ300は第一類型、第二類型又は任意の適切な類型に属しても良い。
【0067】
1つの観点から、発声装置SDは1つの発声チップ300を含んでも良く、発声チップ300は複数の音声発生ユニットを含み、各音声発生ユニットは図1に示す発声チップ100により実現され得る(即ち、1つの発声チップ300は複数のダイヤフラム11及び複数の作動素子120を含んでも良い)。もう1つの観点から、発声装置SDは複数の発声チップ300を含んでも良く、各発声チップ300は図1に示す発声チップ100により実現され得る。
【0068】
なお、図17は説明のためのものであり、それは複数の音声発生ユニット(又は複数の発声チップ)を含む発声装置SDの概念を示している。各ダイヤフラム(ユニット)の構造は制限がない。例を挙げて言えば、発声チップ100(図1に示されている)以外に、音声発生ユニット(又は発声チップ300)は上述の発声チップ100_1(図4)、100_2(図7)、100_3(図8)、100_4(図9)、100_5(図11)、100_6(図13)及び200(図16)のうち、1つ又は複数により実現される。また、音声発生ユニット(又は発声チップ300)は、本発明の精神を離脱しない変化実施例であっても良く、このような変化実施例も本発明の範囲内にある。例を挙げて言うと、図17では、各発声チップ300は図1の第一類型の発声チップに類似しても良いが、これに限定されない。
【0069】
もう1つの実施例において、発声装置SDは1つの発声チップを含んでも良く、この発声チップは複数の音声発生ユニットを、音波を発生するために有する。詳細に言えば、1つの発声チップは複数のダイヤフラム110、複数の作動素子120及びアンカー構造130を含んでも良いが、1つのダイヤフラム110及び1つの作動素子120の組み合わせは1つの音声発生ユニットとすることができる。
【0070】
以下、発声チップSPCの製造方法の細部をさらに詳しく説明する。なお、製造方法は以下に例示的に提供される実施例に限定されず、かつ製造方法は第一類型、第二類型又は任意の他の適切な類型の発声チップSPCの製造に用いることができる。なお、以下の製造方法では、発声チップSPCの中の作動素子120は例えば圧電アクチュエータであっても良いが、これに限定されない。発声チップSPCには任意の適切な種類の作動素子120を使用することができる。
【0071】
以下の製造方法では、形成の製造プロセスは原子層堆積、化学気相堆積、他の適切な製造プロセス又は上述製造プロセスの組み合わせを含んでも良い。パターン化の製造プロセスは例えば、フォトリトグラフィー、エッチング製造プロセス、任意の他の適切な製造プロセス、又はこれらの製造プロセスの組み合わせを含んでも良い。
【0072】
図18乃至図24を参照する。図18乃至図24は、本発明の一実施例の発声チップの製造方法の異なる段階における構造を示す図である。本実施例では、発声チップSPCは、少なくとも1つの半導体製造プロセスにより形成されることで、微小電気機械システムチップを形成し得るが、これに限定されない。図18に示すように、ウェーハWFを提供し、そのうち、ウェーハWFは第一層W1、絶縁層W3及び第二層W2を含み、絶縁層W3は第一層W1と第二層W2との間に形成される。
【0073】
第一層W1、絶縁層W3及び第二層W2はそれぞれ任意の適切な材料を含むことで、ウェーハWFは任意の適切な種類であっても良い。例を挙げて言えば、第一層W1及び第二層W2はそれぞれシリコン(例えば、単結晶シリコン又は多結晶シリコン)、炭化ケイ素、ゲルマニウム、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、ステンレス鋼、他の適切な高硬度材料又は其組み合わせを含んでも良い。幾つかの実施例において、第一層W1は単結晶シリコンを含んでも良く、これにより、ウェーハWFはシリコンオンインシュレータウェーハであっても良いが、これに限定されない。幾つかの実施例において、第一層W1は多結晶シリコンを含んでも良いが、これにより、ウェーハWFは多結晶シリコンオンインシュレータウェーハであっても良いが、これに限定されない。例を挙げて言えば、絶縁層W3は、酸化物、例えば、酸化シリコン(例えば、二酸化シリコン)を含んでも良いが、これに限定されない。
【0074】
第一層W1、絶縁層W3及び第二層W2の厚みはそれぞれニーズに応じて調整されても良い。例を挙げて言えば、第一層W1の厚みは5μm、第二層W2の厚みは350μmであっても良いが、これに限定されない。
【0075】
図18では、補償酸化物層CPSが選択的にウェーハWFの第一側に設置されても良く、そのうち、第一側は、第一層W1における第二層W2とは反対側の上表面W1aよりも高く、これにより、第一層W1は補償酸化物層CPSと第二層W2との間にある。補償酸化物層CPSに含まれる酸化物の材料及び補償酸化物層CPSの厚みはニーズに応じて設計され得る。
【0076】
図18では、第一導電層CT1及び作動材料AMは順にウェーハWFの第一側に形成することができ(第一層W1上に形成される)、これにより、第一導電層CT1は作動材料AMと第一層W1との間及び/又は作動材料AMと補償酸化物層CPSとの間に位置することができる。幾つかの実施例において、第一導電層CT1は作動材料AMに接触する。
【0077】
第一導電層CT1は任意の適切な導電材料を含んでも良く、作動材料AMは任意の適切な材料を含んでも良い。幾つかの実施例において、第一導電層CT1は金属(例えば、白金(platinum))を含んでも良く、作動材料AMは圧電材料を含んでも良いが、これに限定されない。例を挙げて言えば、圧電材料は例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(lead-zirconate-titanate,PZT)材料を含んでも良いが、これに限定されない。また、第一導電層CT1の厚み及び作動材料AMの厚みはそれぞれニーズに応じて調整され得る。
【0078】
図19に示すように、作動材料AM、第一導電層CT1及び補償酸化物層CPSはパターン化され得る。幾つかの実施例において、作動材料AM、第一導電層CT1及び補償酸化物層CPSは順にパターン化されても良い。
【0079】
図20に示すように、隔離絶縁層SILが作動材料AM上に形成されパターン化されても良い。隔離絶縁層SILの厚み及び材料がニーズに応じて設計され得る。例を挙げて言えば、隔離絶縁層SILの材料は酸化物であっても良いが、これに限定されない。
【0080】
図21に示すように、第二導電層CT2が作動材料AM及び隔離絶縁層SIL上に形成され、続いて、第二導電層CT2がパターン化され得る。第二導電層CT2の厚み及び材料はニーズに応じて設計され得る。例を挙げて言えば、第二導電層CT2は金属(例えば白金)を含んでも良いが、これに限定されない。
【0081】
パターン化後の第一導電層CT1は作動素子120の第一電極EL1とされ、パターン化後の第二導電層CT2は作動素子120の第二電極EL2とされ、作動材料AM、第一電極EL1及び第二電極EL2は発声チップSPCの中の作動素子120の素子であっても良く、これにより、作動素子120は圧電アクチュエータである。例を挙げて言えば、第一電極EL1及び第二電極EL2は作動材料AMに接触し得るが、これに限定されない。
【0082】
図21では、隔離絶縁層SILは、第一導電層CT1の少なくとも1つの部分と第二導電層CT2の少なくとも1つの部分を分離するために用いられる。
【0083】
図22に示すように、ウェーハWFの第一層W1はパターン化されて溝ラインWLを形成することができる。図22では、溝ラインWLは、第一層W1において除去される一部である。言い換えれば、溝ラインWLは第一層W1の2つの部の間にある。
【0084】
図23に示すように、保護層PLが選択的に第二導電層CT2に形成されてウェーハWF、第一導電層CT1、作動材料AM、隔離絶縁層SIL及び第二導電層CT2を覆うことができる。保護層PLは任意の適切な材料を含んでも良く、かつ任意の適切な厚みを有しても良い。
【0085】
幾つかの実施例において、保護層PLは、作動素子120を環境への露出から保護するために用いられ、また、動素子120の信頼性/安定性を確保するために用いられるが、これに限定されない。幾つかの実施例において、保護層PLは、上述の図14に示すコンフォーマル層CFLであっても良が、これに限定されない。本発明では、保護層PL及びコンフォーマル層CFLは交換して使用することができる。
【0086】
オプションとして、図23では、保護層PLはパターン化されて第二導電層CT2の一部及び/又は第一導電層CT1の一部を露出させても良く、これにより、外部装置に電気接続される接続パッドCPDを形成することができる。
【0087】
図24に示すように、ウェーハWFの第二層W2はパターン化されることで、第二層W2は少なくとも1つのアンカー構造130を形成し、及び第一層W1はアンカー構造130により固定されるダイヤフラム110を形成することができ、そのうち、ダイヤフラム110は接続板116及び接続板116に接続されるバネ構造114を含む。詳細に言えば、ウェーハWFの第二層W2は第一部及び第二部を有しても良く、第二層W2の第一部は除去でき、第二層W2の第二部はアンカー構造130を形成できる。第二層W2の第一部が除去されるため、第一層W1はダイヤフラム110を形成する。
【0088】
オプションとして、図24では、ウェーハWFの絶縁層W3が存在するから、ウェーハWFの第二層W2がパターン化された後に、第二層W2の第一部に対応する絶縁層W3の一部を除去することで、第一層W1はダイヤフラム110を形成することができる、これに限定されない。
【0089】
図24では、第二層W2の第一部が除去され第一層W1がダイヤフラム110を形成するため、スリットSLは溝ラインWLによりダイヤフラム110内に形成されかつダイヤフラム110を貫通することができる。結果として、ダイヤフラム110に含まれるバネ構造114はスリットSLにより形成され得る。スリットSLが溝ラインWLにより形成され得るから、溝ラインWLの幅はスリットSLのニーズに応じて設計され得る。例を挙げて言えば、溝ラインWLの幅は5μm以下、3μm以下、又は2μm以下であっても良く、これにより、スリットSLは所望の幅を有することができるが、これに限定されない。図24に示すように、保護層PL(即ち、保護層PLの垂直部分)が、ダイヤフラム110の側壁の間に形成されるスリットSL内に形成され得る。保護層PL(又はコンフォーマル層)の形成は、スリットSLの幅を減少させ、又は、スリットSLを(ほぼ)封止することができ、それは、音波の低周波数におけるSPLの低下を低減/最小化することができる。
【0090】
図25は、本発明のもう1つの実施例の発声チップの断面図である。もう1つの実施例において、図24に示す構造に比べて、図25に示す構造の中のウェーハWFは絶縁層W3を有しない。言い換えれば、第一層W1は第二層W2上に直接形成される(第二層W2に接触する)。その結果、ダイヤフラム110は、ウェーハWFの第二層W2をパターン化することで、ウェーハWFの第一層W1により直接形成され得る。この条件の下で、第一層W1(即ち、ダイヤフラム110)は酸化物、例えば酸化シリコンを含んでも良いが、これに限定されない。
【0091】
以下、発声チップSPCのパッケージ構造PKGの詳細な内容をさらに説明する。なお、パッケージ構造PKGは、以下に例示的に提供される実施例に限定されず、かつパッケージ構造PKGは第一類型、第二類型又は任意の他の適合類型の発声チップSPCを有しても良い。
【0092】
図26乃至図29を参照する。図26は、本発明の一実施例のパッケージ構造のベース及び集積回路チップの上面図である。図27は、本発明の一実施例のパッケージ構造の上面図である。図28は、本発明の一実施例のパッケージ構造の下面図である。図29は、図27及び図28の剖面線A-A′に沿ったの断面図である。図26乃至図29に示すように、本発明の発声チップSPCのパッケージ構造PKGはシェルHS及びシェルHS内に設置される上述の発声チップSPCを含み、そのうち、発声チップSPCは例えば6つのダイヤフラム110を含む。
【0093】
シェルHSはベースBS、トップ構造TS及びベースBSとトップ構造TSとの間にある少なくとも1つの側壁SWを含み、そのうち、ベースBS及びトップ構造TSはほぼ互いに平行である。なお、用語“ほぼ平行である”とは、2つの素子の間の角度が5度以下、3度以下、又は1度以下であることを指す。本実施例では、ベースBS及びトップ構造TSはほぼ、発声チップSPCのダイヤフラム110に平行であり、かつ側壁SWは発声チップSPCを取り囲むことができる。
【0094】
ベースBS、トップ構造TS及び側壁SWは硬質又は可撓性であっても良く、かつ任意の適切な材料を含んでも良い。例を挙げて言えば、ベースBS、トップ構造TS及び側壁SWはそれぞれ、シリコン、ゲルマニウム、ガラス、プラスチック、石英、サファイア、金属、ポリマー(例えばPI、PET)、任意の他の適切な材料又は上述材料の組み合わせであっても良い。1つの好ましい例において、図26乃至図29の中のベースBSは、積層板(例えば、銅張積層板)、ランドグリッドアレイボード又は任意の他の適切な、導電材料を含む板を含む回路板であっても良く、これにより、ベースBSは1つ又は複数導電素子、例えば、接続トレース、アクティブ素子、パッシブ素子及び/又は接続パッドを含むことができるが、これに限定されない。1つの好ましい例において、図26乃至図29におけるトップ構造TS及び側壁SWは、金属を含み、一体構造(one-piece structure)(例えば、キャップ)を形成しても良く、かつ側壁SWは粘着素子ACP1によりベースBSに接続されても良いが、これに限定されない。
【0095】
図29に示すように、シェルHS内のキャビティCVが発声チップSPCのダイヤフラム110により2つのサブキャビティ(即ち、第一サブキャビティCV1及び第二サブキャビティCV2)に分けられ、そのうち、ダイヤフラム110は2つのサブキャビティの間に位置する。第一サブキャビティCV1はダイヤフラム110とトップ構造TSとの間に位置しても良く、第二サブキャビティCV2はダイヤフラム110とベースBSの間に位置しても良い。
【0096】
また、図29では、少なくとも1つの第一開口OP1及び少なくとも1つの第二開口OP2はシェルHS上に形成することができ、そのうち、第一開口OP1は第一サブキャビティCV1に接続され、第二開口OP2は第二サブキャビティCV2に接続され得る。第一開口OP1及び第二開口OP2はシェルHSの任意の適切な位置、例えば、ベースBS、トップ構造TS及び/又は側壁SWに形成されても良い。例を挙げて言えば、図29に示すように、第一開口OP1は側壁SW上に形成され、第二開口OP2はベースBS上に形成されても良いが、これに限定されない。
【0097】
第一開口OP1の数量及び配列方式並びに第二開口OP2の数量及び配列方式はニーズに応じて設計され得る。例を挙げて言えば、図26及び図27では、シェルHSは6つの第二開口OP2を有しても良く(直径は例えば0.3ミリメートル(mm)であっても良いが、これに限定されない)、かつ各ダイヤフラム110は少なくとも1つの第二開口OP2に対応することができ(例えば、1つの第二開口OP2に対応する)、これに限定されない。第二開口OP2と重なるダイヤフラム110の対応位置はニーズに応じて設計され得る。
【0098】
発声チップSPCは任意の適切な方法によりベースBS上に設置することができる。幾つかの実施例において、図29に示すように、発声チップSPCは少なくとも1つの粘着素子ACP2によりベースBSに接続されることで、発声チップSPCをベースBS上に固定することができるが、これに限定されない。本実施例では、少なくとも1つの粘着素子ACP2はベースBSと発声チップSPCの間に位置し、また、ベースBS及び発声チップSPCに接触し得るが、これに限定されない。なお、粘着素子ACP1、ACP2は、ニーズに応じて、導電可能又は絶縁であっても良く、かつ粘着素子ACP1、ACP2は、任意の適切な粘着材料を含んでも良い。
【0099】
発声チップSPCは任意の適切な方法により外部装置に電気接続され得る。例を挙げて言えば、図27及び図29では、発声チップSPCの頂部は少なくとも1つの接続パッドCPD1(例えば、第二導電層CT2により形成され、図24及び図25に示すように)を有しても良く、ベースBSは少なくとも1つの接続パッドCPD2を有しても良く、かつ導線WRは発声チップSPCの接続パッドCPD1及びベースBSの接続パッドCPD2に接続され、これにより、発声チップSPCは導線WR、ベースBSの接続パッドCPD2及びベースBSの配線により外部装置に電気接続され得るが、これに限定されない。この条件の下で、粘着素子ACP2は絶縁であっても良いが、これに限定されない。
【0100】
例を挙げて言えば、幾つかの実施例において、発声チップSPCの接続パッドCPD1は粘着素子ACP2によりベースBSの接続パッドCPD2に電気接続されても良く、そのうち、粘着素子ACP2は導電である(例えば、粘着素子ACP2は半田であっても良い)。1つの好ましい例において、発声チップSPCの接続パッドCPD1は発声チップSPCの底部に位置しても良く、かつ発声チップSPCの接続パッドCPD1は発声チップSPCの配線(例えば、配線は発声チップSPCのシリコン貫通孔にある)により作動素子120に電気接続され得るが、これに限定されない。1つの好ましい例において、発声チップSPCの接続パッドCPD1は、リップチップパッケージ(即ち、発声チップSPCの逆配置が可能である)によりベースBSの接続パッドCPD2に電気接続されても良いが、これに限定されない。
【0101】
図26乃至図29に示すように、パッケージ構造PKGは、発声チップSPCに電気接続(カップリング)される集積回路チップICを含んでも良く、そのうち、集積回路チップICは駆動信号を生成するために用いられ、かつ駆動信号は作動素子120に印加されてダイヤフラム110を作動させることができる。
【0102】
集積回路チップICの位置はニーズに応じて調整されても良い。図26乃至図29に示すように、集積回路チップIC及び発声チップSPCはダイヤフラム110の法線方向Dn上で互いに重なることができ、これにより、パッケージ構造PKGのサイズを減少させることができるが、これに限定されない。例を挙げて言えば、図29では、アンカー構造130は集積回路チップIC上に設置され、かつアンカー構造130は粘着素子ACP2により集積回路チップICに接続される(即ち、アンカー構造130は集積回路チップICと重なっても良い)、これに限定されない。図29では、集積回路チップICは発声チップSPCとベースBSとの間に位置しても良いが、これに限定されない。
【0103】
特に、図26乃至図29に示すように、凹溝NVがベースBS上に形成され、かつ集積回路チップICが凹溝NVの中に設置される。本実施例では、集積回路チップICの頂部は回路チップ表面ICaを有し、ベースBSの頂部は、凹溝NVを取り囲む(即ち、集積回路チップICを取り囲む)ベースBSの一部に対応するベース表面BSaを有し、回路チップ表面ICaがほぼベース表面BSaとアライメントする。なお、用語“ほぼアライメントする”とは、2つの素子の間の差が所定限界以下であっても良いことを指す。図29に示す実施例では、所定限界は20μm、10μm、5μm、3μm又は1μmであっても良い。この条件の下で、集積回路チップICを設ける凹溝NVの設計により、発声チップSPCは集積回路チップIC上に簡単に設けることができる。
【0104】
集積回路チップICは任意の適切な方法でベースBSの導電素子に電気接続されても良く、これにより、発声チップSPCに電気接続され得る。例を挙げて言えば、図26及び図29では、集積回路チップICの頂部は少なくとも1つの接続パッドCPD3を有し、かつ導線WRは、集積回路チップICの接続パッドCPD3及びベースBSの接続パッドCPD2に接続され得るが、これに限定されない。例を挙げて言えば、幾つかの実施例において、集積回路チップICの接続パッドCPD3は、集積回路チップICとベースBSとの間にある粘着素子(図示せず)によりベースBSの接続パッドCPD2に電気接続されても良く、そのうち、粘着素子は導電であっても良い。
【0105】
パッケージ構造PKGは選択的に少なくとも1つのパッシブ素子PSC及び/又は少なくとも1つのアクティブ素子ATCを含んでも良い。パッシブ素子PSCは抵抗、コンデンサ、インダクタなどを含んでも良い。アクティブ素子ATCはトランジスタ、ダイオードなどを含んでも良い。図26乃至図29に示すように、発声チップSPCはダイヤフラム110の法線方向Dn上でパッシブ素子PSC及びアクティブ素子ATCと重なることで、パッケージ構造PKGのサイズを減少させることができるが、これに限定されない。例を挙げて言えば、図26乃至図29では、集積回路チップIC及びパッシブ素子PSCはベースBSの相対側に設置されても良いが、これに限定されない。
【0106】
パッケージ構造PKGは選択的に任意の他の適切な素子を含んでも良い。例を挙げて言えば、パッケージ構造PKGはさらに1つの「板to板」接続器B2Bを含んでも良いが、これに限定されない。例を挙げて言えば、パッケージ構造PKGはさらに、第一開口OP1及び/又は第二開口OP2を覆う少なくとも1つの網孔状構造を含むことで、ダスト及び/又は液体の、発声チップSPC及び/又はシェルHS内の他の構造への不利な影響を低減することもできるが、これに限定されない。
【0107】
パッケージ構造PKGの形成方法は任意の適切な形成方法であっても良い。幾つかの実施例の形成方法では、シェルHSを提供し、上述の方法により発声チップSPCを製造し得る。続いて、発声チップSPCはシェルHSに設置することができる。例を挙げて言えば、トップ構造TS及び側壁SWがベースBS上に設置される前に、発声チップSPCをベースBS上に設置しても良いが、これに限定されない。
【0108】
図30を参照する。図30は、本発明の一実施例のパッケージ構造の断面図である。図30に示すように、もう1つのパッケージ構造PKGにおいて、パッシブ素子PSC、集積回路チップIC及び発声チップSPCはベースBSの同じ側に設置することができ、かつ発声チップSPCのアンカー構造130はパッシブ素子PSC及び集積回路チップICと重なることができる。図30では、発声チップSPCのアンカー構造130は、粘着素子ACP2により、パッシブ素子PSC及び集積回路チップICに接続され得るが、これに限定されない。
【0109】
また、図30に示すように、導線WRは、発声チップSPCの接続パッドCPD1と集積回路チップICの接続パッドCPD3との間に電気接続され得るが、これに限定されない。
【0110】
さらに、図30では、網孔状構造MS1は第一開口OP1を覆うことができ、そのうち、網孔状構造MS1はシェルHS内に位置しても良いが、これに限定されない。
【0111】
図31を参照する。図31は、本発明の一実施例のパッケージ構造の断面図である。図31に示すように、発声チップSPCは集積回路チップICと重なっても良く、かつ発声チップSPCは集積回路チップICとベースBSとの間にあっても良い。また、図31では、集積回路チップICは粘着素子ACP3により発声チップSPCに電気接続されても良く(例えば、集積回路チップICはリップチップパッケージにより発声チップSPCに設置される)、これに限定されない。
【0112】
また、図31では、網孔状構造MS1は第一開口OP1を覆うことができ、網孔状構造MS2は第二開口OP2を覆うことができ、そのうち、網孔状構造MS1、MS2はシェルHSの外側に位置することができるが、これに限定されない。
【0113】
図32を参照する。図32は、本発明の一実施例のパッケージ構造の断面図である。図32に示すように、発声チップSPCは集積回路チップICと重ならなくても良く、かつ発声チップSPC及び集積回路チップICはベースBSの同じ側に設置されても良いが、これに限定されない。図32では、第一開口OP1はシェルHSのトップ構造TSに形成されても良いが、これに限定されない。
【0114】
幾つかの実施例において(図示せず)、発声チップSPCは集積回路チップICと重ならなくても良く、発声チップSPC及び集積回路チップICはベースBSの同じ側に設置されても良く、かつ導線WRは発声チップSPCの接続パッドCPD1と集積回路チップICの接続パッドCPD3との間に電気接続されても良いが、これに限定されない。
【0115】
図33を参照する。図33は、本発明の一実施例のパッケージ構造の断面図である。図33に示すように、発声チップSPCは集積回路チップICと重なっても良く、かつ発声チップSPC及び集積回路チップICはベースBSの異なる側に設置されても良く、これに限定されない。言い換えれば、集積回路チップICはシェルHSの外側に設置することができるが、これに限定されない。
【0116】
図34を参照する。図34は、本発明の一実施例のパッケージ構造の断面図である。図34に示すように、発声チップSPC及び集積回路チップICはシェルHSの中に設置されても良く、発声チップSPCは粘着素子ACP2によりシェルHSのトップ構造TSに接続され、集積回路チップICは粘着素子(図34に示されていない)によりベースBSに接続され、かつ発声チップSPCは集積回路チップICと重なっても良いが、これに限定されない。
【0117】
オプションとして、図34では、シェルHSの側壁SWは導電構造CSSを有しても良く、導電構造CSSは導電できる粘着素子ACP1によりベースBSの接続パッドCPD2に電気接続され、そのうち、導線WRは導電構造CSSと発声チップSPCの接続パッドCPD1との間に接続されて電気接続を行うことができるが、これに限定されない。
【0118】
また、図34では第一開口OP1はシェルHSのトップ構造TSに形成することができ、第二開口OP2はシェルHSの側壁SWに設けることができるが、これに限定されない。
【0119】
図35を参照する。図35は、本発明の一実施例のパッケージ構造の断面図である。図35に示すように、シェルHSのトップ構造TS及び側壁SWは一体構造を形成せず、そのうち、側壁SWは粘着素子(粘着素子は導電又は絶縁であっても良い)によりトップ構造TS及びベースBSに接続され得る。例を挙げて言えば、トップ構造TS、側壁SW及びベースBSは回路板であっても良く、これにより、トップ構造TSに接続される電子素子(例えば、集積回路チップIC)は側壁SWにおける接続トレースTRSによりベースBSの電子素子(例えば、発声チップSPC)に電気接続され得るが、これに限定されない。
【0120】
また、図35では、発声チップSPCはリップチップパッケージによりベースBSに設置することができ、かつ集積回路チップICはリップチップパッケージによりトップ構造TSに設置され得るが、これに限定されない。
【0121】
さらに、図35では、パッシブ素子PSCはシェルHS内に設置することができ、かつパッシブ素子PSCはそれぞれトップ構造TS及びベースBSに接続することができるが、これに限定されない。
【0122】
以下、上述の発声チップSPCを有する発声装置APTの詳細な内容を詳しく説明する。なお、発声装置APTは以下に例示的に提供される実施例に限定されず、かつ発声装置APTに含まれる発声チップSPCは第一類型、第二類型又は任意の他の適切な類型であっても良い。なお、発声チップSPCのパッケージ構造PKGは上述の実施例のうちの1つ又は上述の実施例の組み合わせであっても良い。
【0123】
図36を参照する。図36は、本発明の一実施例の発声装置の断面図である。図36に示すように、発声装置APTは外シェルOC、発声チップSPCのパッケージ構造PKG及び装置ベースBS_ASを含んでも良く、そのうち、パッケージ構造PKGは装置ベースBS_AS上及び外シェルOC内に設置されても良い。
【0124】
装置ベースBS_ASはシリコン、ゲルマニウム、ガラス、プラスチック、石英、サファイア、金属、ポリマー(例えばPI、PET)、任意の他の適切な材料、又は上述の材料の組み合わせであっても良い。1つの好ましい例において、図36の中の装置ベースBS_ASは積層板(例えば、銅張積層板)、ランドグリッドアレイボード又は任意の他の適切な、導電材料を含む板を含む回路板であっても良く、これにより、装置ベースBS_ASは1つ又は複数の導電素子、例えば、接続トレース、アクティブ素子、パッシブ素子及び/又は接続パッドを含むことができるが、これに限定されない。
【0125】
図36に示すように、装置ベースBS_ASは少なくとも1つの装置ベース開口BS_Aspを有し、かつパッケージ構造PKGの第二サブキャビティCV2はパッケージ構造PKGの第二開口OP2により装置ベースBS_ASの装置ベース開口BS_Aspに接続することができる。言い換えれば、パッケージ構造PKGの第二サブキャビティCV2は第二開口OP2及び装置ベース開口BS_Aspにより発声装置APTの背部の周囲環境に接続され得る。
【0126】
図36に示すように、外シェルOCは少なくとも1つの出口開口OCpを有し、かつパッケージ構造PKGの第一サブキャビティCV1はパッケージ構造PKGの第一開口OP1及び外シェルOCの出口開口OCpにより発声装置APTの前方の周囲環境に接続することができる。
【0127】
オプションとして、本実施例の外シェルOCは装置ベースBS_AS及びパッケージ構造PKGを挟むことができ(例えば、外シェルOCは装置ベースBS_ASの側壁及びパッケージ構造PKGの側壁SWに接触し得る)、これにより、装置ベースBS_AS及びパッケージ構造PKGをさらに固定し、また、発声装置APTにおいて第一サブキャビティCV1及び第二サブキャビティCV2を互いに分離することができるが、これに限定されない。オプションとして、発声装置APTには、さらに、ガスケットが含まれても良く、そのうち、ガスケットは、パッケージ構造PKGと外シェルOCとの間に設置することができ、かつガスケットは出口開口OCpを取り囲むことができるが、これに限定されない。
【0128】
図36では、パッケージ構造PKGは表面実装技術(surface mount technology)により発声装置APTに組み立てることができ、そのうち、導電粘着層CAL(例えば、半田を含む)は表面実装技術により装置ベースBS_ASとパッケージ構造PKGのベースBSとの間に設置されることで、パッケージ構造PKGを装置ベースBS_AS上に設置することができる。
【0129】
本発明では、表面実装技術を使用するから、パッケージ構造PKGは設計により表面実装技術の最高の製造プロセス温度に耐える必要がある。よって、パッケージ構造PKGは、上限が表面実装技術の最高の製造プロセス温度よりも高い耐熱温度があり、これにより、表面実装技術適用後、パッケージ構造PKGは故障が無く、かつパッケージ構造PKGは正常操作を維持することができる(即ち、音波を正常に発生することができる)。幾つかの実施例において、表面実装技術の最高の製造プロセス温度の範囲は240°C~250°Cであるので、パッケージ構造PKGの耐熱温度の上限は240°C又は250°Cよりも大きくても良いが、これに限定されない。また、幾つかの実施例において、パッケージ構造PKGに含まれる各材料は、上限が表面実装技術の最高の製造プロセス温度よりも高い耐熱温度を有し、このようにして、パッケージ構造PKGが表面実装技術適用期間で破壊されないようにさせることができる。例を挙げて言えば、パッケージ構造PKGに含まれる各材料は、上限が240°C又は250°Cよりも高い耐熱温度を有しても良いが、これに限定されない。
【0130】
以下、表面実装技術の内容について説明する。また、以下に述べる表面実装技術は好適な例に過ぎず、かつ表面実装技術をより明らかにするために、一部のステップが省略されている。
【0131】
表面実装技術の製造プロセスでは、まず、少なくとも1つの導電パッドBS_ASc、少なくとも1つの導電配線及び装置ベース開口BS_Aspを有する装置ベースBS_ASを提供し、そのうち、導電パッドBS_ASc及び装置ベース開口BS_Aspは表面実装技術適用前に形成されても良い。続いて、導電粘着層CALを装置ベースBS_ASの導電パッドBS_AScに設置する。例を挙げて言えば、導電粘着層CALは装置ベースBS_ASに印刷することができるが、これに限定されない。続いて、電子素子、例えば発声チップSPCのパッケージ構造PKGを導電粘着層CALに置いて導電粘着層CALと接触させ、そのうち、パッケージ構造PKGの接続パッドCPD2は導電粘着層CALに接触する。それから、昇温ステップ(例えば、リフローソルダリングステップ)を行って製造プロセス温度を上げることで、導電粘着層CALは熔化し装置ベースBS_ASの導電パッドBS_ASc及びパッケージ構造PKGの接続パッドCPD2に粘着することができる。よって、表面実装技術を用いることにより、パッケージ構造PKGは、装置ベースBS_ASに設置し、導電粘着層CALにより導電パッドBS_AScに電気接続することができる。
【0132】
従来のスピーカー又は従来の発声装置では、幾つかの素子(例えば、rubber suspension及び/又はコイルの粘着材料)が表面実装技術の高製造プロセス温度に耐えることができないので、表面実装技術は従来のスピーカー(又は従来の発声装置)に適用することができない。これに対して、本発明では、パッケージ構造PKGは、表面実装技術の最高の製造プロセス温度に耐えることができるように設計されるので、表面実装技術適用後、パッケージ構造PKGは故障がなく、かつパッケージ構造PKGは正常に動作することができる。また、本発明は表面実装技術を使用するので、リードボンディング方法/製造プロセス(導線を用いて電子素子と装置ベースBS_ASとの間に接続される方法/製造プロセス)を行う必要が無く、発声装置APTの横向きサイズを著しく減少させることができる。
【0133】
発声装置APTの形成方法は任意の適切な形成方法であっても良い。幾つかの実施例の形成発声装置APTの方法では、パッケージ構造PKGは上述の方法により形成することができる。続いて、パッケージ構造PKGは表面実装技術により発声装置APTに組み立てることができる。例を挙げて言えば、パッケージ構造PKGは表面実装技術により発声装置APTの装置ベースBS_AS上に設置され得る。
【0134】
以上のことから、本発明は発声装置を提供し、そのダイヤフラムの第一共振周波数fRは入力音声帯域の最大周波数fmaxよりも高く、これにより、音質を向上させることができる。また、本発明はさらに発声チップのパッケージ構造、発声装置、発声チップを製造する方法、パッケージ構造を形成する方法、及び発声装置を形成する方法を提供する。
【0135】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0136】
20、22:曲線
100、100′、100_1、100_2、100_3、100_4、100_5、100_6、200、300、SPC:発声チップ
110:ダイヤフラム
110Df:変形状態
110e:外辺縁
112:駆動板
112a:第一駆動部
112b:第二駆動部
112c:第三駆動部
112d:第四駆動部
114:バネ構造
114a:第バネ構造
114b:第二バネ構造
114c:第三バネ構造
114d:第四バネ構造
116:接続板
120:作動素子
120a:第一部
120b:第二部
120c:第三部
120d:第四部
130:アンカー構造
ABN:入力音声帯域
ACP1、ACP2、ACP3:粘着素子
AG:空隙
AM:作動材料
APT:発声装置
ATC:アクティブ素子
B2B:板to板接続器
BL:基部シリコン層
BS:ベース
BS_AS:装置ベース
BS_ASc:導電パッド
BS_Asp:装置ベース開口
BSa:ベース表面
CAL:導電粘着層
CB:サウンドキャビティ
CE1、CE1_1、CE1_2:第一接続端
CE2、CE2_1、CE2_2:第二接続端
CFL:コンフォーマル層
CPD、CPD1、CPD2、CPD3:接続パッド
CPS:補償酸化物層
CSS:導電構造
CT1:第一導電層
CT2:第二導電層
CV:キャビティ
CV1:第一サブキャビティ
CV2:第二サブキャビティ
D1、D2、D3、D4:幅
Dn:法線方向
e1:第一部分
e2:第二部分
e3:第三部分
EL1:第一電極
EL2:第二電極
fmax:最大周波数
fR:第一共振周波数
HS:シェル
i1:第一段
i2:第二段
i3:第三段
IC:集積回路チップ
ICa:回路チップ表面
L:回帰線
MS1、MS2:網孔状構造
NV:凹溝
OC:外シェル
OCp:出口開口
OL:酸化層
OP1:第一開口
OP2:第二開口
PKG:パッケージ構造
PL:保護層
PSC:パッシブ素子
PR:パルス
S1、S2:サブ部
SD:発声装置
SIL:隔離絶縁層
SL:スリット
SLe:サイドスリット
SLi:内部スリット
SW:側壁
TL:頂部シリコン層
TRS:接続トレース
TS:トップ(top)構造
W1:第一層
W1a:上表面
W2:第二層
W3:絶縁層
WF:ウェーハ
WL:溝ライン
WR:導線
X1:交差点
Δf:第一共振帯域幅
A-A:剖面線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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