(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138757
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】車両ナンバー照合装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038826
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 武志
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC27
5H181DD10
5H181FF03
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
(57)【要約】
【課題】特定車両が自車両の周囲に存在するか否かを、早期に検知可能な車両ナンバー照合装置を提供する。
【解決手段】車両ナンバー照合装置10は、撮像部11、12と、抽出部13と、蓄積部14と、判定部15と、報知部16と、ナンバープレート情報の照合手段とを備える。ナンバープレート情報の照合手段は、(a)撮像部11、12によって撮像された他車両の画像データを基にして、他車両のナンバープレート情報を抽出部13によって抽出するステップ、(b)抽出された他車両のナンバープレート情報が、蓄積部14に蓄積されている特定車両のナンバープレート情報に一致するか否かを、判定部15によって判定するステップ、(c)上記ステップ(b)において他車両のナンバープレート情報が特定車両のナンバープレート情報に一致した場合、搭乗者へ報知部16によって報知するステップ、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周囲を走行する他車両を画像データとして撮像するための撮像部と、
前記他車両のナンバープレート情報を抽出するための抽出部と、
特定車両のナンバープレート情報を蓄積するための蓄積部と、
前記特定車両のナンバープレート情報の合否を判定するための判定部と、
前記自車両の搭乗者に報知を行うための報知部と、
ナンバープレート情報の照合手段と、
を備え、
前記ナンバープレート情報の照合手段は、
(a)前記撮像部によって撮像された前記他車両の画像データを基にして、前記他車両のナンバープレート情報を前記抽出部によって抽出するステップ、
(b)抽出された前記他車両のナンバープレート情報が、前記蓄積部に蓄積されている前記特定車両のナンバープレート情報に一致するか否かを、前記判定部によって判定するステップ、
(c)前記ステップ(b)において前記他車両のナンバープレート情報が前記特定車両のナンバープレート情報に一致した場合、前記搭乗者へ前記報知部によって報知するステップ、
を有する、車両ナンバー照合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両ナンバー照合装置において、
前記ステップ(b)は、
(b1)前記他車両の登録番号が、前記蓄積部に蓄積されている前記特定車両の登録番号に一致するか否かを、前記判定部によって判定するステップ、
を少なくとも含む、車両ナンバー照合装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両ナンバー照合装置において、
前記ステップ(b)は、
(b2)前記ステップ(b1)において前記他車両の登録番号が前記特定車両の登録番号に一致した場合、前記他車両の登録地域、分類番号および種別が、前記蓄積部に蓄積されている前記特定車両の登録地域、分類番号および種別に一致するか否かを、前記判定部によって判定するステップ、
を更に含む、車両ナンバー照合装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両ナンバー照合装置において、
前記撮像部によって撮像された前記他車両を表示するための表示装置、および、前記搭乗者が前記他車両を前記特定車両として特定するための特定機能を有する操作部と、
ナンバープレート情報の登録手段と、
を更に備え、
前記ナンバープレート情報の登録手段は、
(d)前記搭乗者が前記特定機能を用いることで、前記他車両を前記特定車両として特定するステップ、
(e)前記ステップ(d)において特定された前記他車両のナンバープレート情報を、前記特定車両のナンバープレート情報として前記蓄積部に蓄積するステップ、
を有する、車両ナンバー照合装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両ナンバー照合装置において、
前記特定機能は、前記表示装置において前記搭乗者が前記他車両に触れることで、触れられた前記他車両を前記特定車両として特定するタッチ機能を含み、
前記ステップ(e)は、
(e1)特定された前記他車両の画像データを前記特定車両の画像データとして前記蓄積部に蓄積するステップ、
(e2)特定された前記他車両の画像データを基にして、前記他車両のナンバープレート情報を前記抽出部によって抽出し、抽出された前記他車両のナンバープレート情報を前記特定車両のナンバープレート情報として前記蓄積部に蓄積するステップ、
を含む、車両ナンバー照合装置。
【請求項6】
請求項4に記載の車両ナンバー照合装置において、
前記操作部は、音声認識装置を有し、
前記特定機能は、前記搭乗者が前記他車両のナンバープレート情報を読み上げ、前記音声認識装置が読み上げられた前記他車両のナンバープレート情報を認識することで、前記他車両を前記特定車両として特定する音声認識機能を含む、車両ナンバー照合装置。
【請求項7】
請求項4に記載の車両ナンバー照合装置において、
前記操作部は、受信装置を有し、
前記特定機能は、外部端末に入力されている前記他車両のナンバープレート情報を、前記搭乗者が前記外部端末から前記受信装置へ送信することで、前記他車両を前記特定車両として特定する受信機能を含む、車両ナンバー照合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願で開示される技術は、車両ナンバー照合装置に関し、特に、走行中に自車両の周囲の特定車両を検知できる車両ナンバー照合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行中の自車両は、他車両から極端に車間距離を詰められることがある。このような行為は、煽り運転などと呼ばれる危険運転に相当する。この危険運転が原因で事故が発生した場合、車両に搭載されているドライブレコーダに記録された画像データが、事故原因の証拠として採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、自車両の周囲の撮影を行う記録部と、自車両が煽り運転を受けているか否かを判定する判定部と、煽り運転であると判定された場合に、通常の画質よりも高画質で撮影を行うように記録部へ指示を行う制御部と、を備えた画像記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、事故原因の証拠として高画質の画像データを提供することができるが、煽り運転のような危険運転を行う車両を検知する手段については考慮されていない。危険運転を行う可能性が高い車両が自車両の近くに存在するという事を、事前に検知することができれば、その車両から離れるなどの対策を行うことができる。
【0006】
本願の主な目的は、危険運転を行う車両などのような特定車両が自車両の周囲に存在するか否かを、早期に検知可能な装置を提供することにある。また、そのような装置が危険運転以外の用途にも利用できれば、より好適である。その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態おける車両ナンバー照合装置は、自車両の周囲を走行する他車両を画像データとして撮像するための撮像部と、前記他車両のナンバープレート情報を抽出するための抽出部と、特定車両のナンバープレート情報を蓄積するための蓄積部と、前記特定車両のナンバープレート情報の合否を判定するための判定部と、前記自車両の搭乗者に報知を行うための報知部と、ナンバープレート情報の照合手段とを備える。前記ナンバープレート情報の照合手段は、(a)前記撮像部によって撮像された前記他車両の画像データを基にして、前記他車両のナンバープレート情報を前記抽出部によって抽出するステップ、(b)抽出された前記他車両のナンバープレート情報が、前記蓄積部に蓄積されている前記特定車両のナンバープレート情報に一致するか否かを、前記判定部によって判定するステップ、(c)前記ステップ(b)において前記他車両のナンバープレート情報が前記特定車両のナンバープレート情報に一致した場合、前記自車両の搭乗者へ前記報知部によって報知するステップ、を有する。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、特定車両が自車両の周囲に存在するか否かを、早期に検知可能な車両ナンバー照合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1における車両ナンバー照合装置を示す模式図である。
【
図2】実施の形態1におけるナンバープレートを示す正面図である。
【
図3】実施の形態1における操作部を示す模式図である。
【
図4】実施の形態1におけるナンバープレート情報の照合手段のフローチャートである。
【
図5】変形例におけるナンバープレート情報の照合手段のフローチャートである。
【
図6】実施の形態1~3におけるナンバープレート情報の登録手段のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0011】
(実施の形態1)
<車両ナンバー照合装置の構成>
以下に
図1~
図6を用いて、実施の形態1における車両ナンバー照合装置10について説明する。
【0012】
車両ナンバー照合装置10は、自車両の周囲を走行する他車両のナンバープレート情報と、事前に車両ナンバー照合装置10に蓄積された特定車両のナンバープレート情報とを照合することで、特定車両を検知し、搭乗者へ特定車両の存在を報知するための装置である。なお、本願で説明される「搭乗者」は、実際に自車両の運転を行う運転手だけでなく、同じ自車両に乗車している同乗者も含む。
【0013】
図1に示されるように、車両ナンバー照合装置10は、撮像部11、撮像部12、抽出部13、蓄積部14、判定部15、報知部16、制御部17および操作部30を備える。撮像部11、撮像部12、抽出部13、蓄積部14、判定部15、報知部16、制御部17および操作部30は、それぞれ電気的に接続され、互いに電気信号の伝達を行える。
【0014】
撮像部11は、自車両の前方側に設けられたカメラであり、撮像部12は、自車両の後方側に設けられたカメラである。撮像部11および撮像部12は、自車両の周囲を走行する他車両を画像データとして撮像するために設けられている。
【0015】
抽出部13は、他車両のナンバープレート情報を抽出するために設けられている。蓄積部14は、特定車両のナンバープレート情報を蓄積するために設けられている。判定部15は、特定車両のナンバープレート情報の合否を判定するために設けられている。報知部16は、自車両の搭乗者に報知を行うために設けられている。
【0016】
制御部17は、撮像部11、撮像部12、抽出部13、蓄積部14、判定部15、報知部16および操作部30で行われる動作を制御するために設けられている。制御部17は、例えば
図4に示されるようなフローチャートにおいて、所定のステップで動作を行うべき部へ指示を出す。
【0017】
抽出部13、判定部15、報知部16および制御部17は、例えばCPUを備えた半導体チップによって構成される。蓄積部14は、例えばフラッシュメモリまたはハードディスクのような記憶媒体によって構成される。
【0018】
ナンバープレート情報は、
図2に示されるナンバープレート20に含まれている情報であり、登録番号21、種別22、登録地域23および分類番号24を含む。このようなナンバープレート20は、通常、車両の前方側および後方側に設けられている。
【0019】
図3は、操作部30を示す模式図である。操作部30は、撮像部11または撮像部12によって撮像された他車両を、周囲の景色と共に表示するための表示装置31を含む。ここでは、表示装置31に、自車両の前方を走行する複数の他車両が表示された場合を例示している。表示装置31は、例えば、液晶パネルのようなパネルに、パネルを押すことで位置入力を認識させる位置入力機能が備えられたタッチパネルによって構成される。
【0020】
また、操作部30は、自車両の搭乗者が他車両を特定車両として特定するための特定機能を有するが、そのような特定機能については、後述の「ナンバープレート情報の登録手段」にて説明する。また、操作部30は、車両ナンバー照合装置10の内部に搭載された音声認識装置31および受信装置32を有するが、これらの装置については、後述の他の実施の形態にて説明する。
【0021】
<ナンバープレート情報の照合手段>
以下に
図4を用いて、車両ナンバー照合装置10に備えられているナンバープレート情報の照合手段について説明する。ナンバープレート情報の照合手段は、以下のステップS1~S20を有する。
【0022】
まず、ステップS1では、搭乗者が自車両の運転を開始する。次に、ステップS2では、搭乗者が運転を開始してエンジンが始動すると、車両ナンバー照合装置10が起動し、撮像部11および撮像部12が自動的に起動する。なお、他の起動手段として、搭乗者が車両ナンバー照合装置10を任意に起動できてもよい。
【0023】
ステップS2の後では、ステップS3~S11のように、自車両の前方側において他車両のナンバープレート情報の照合が行われ、ステップS12~S20のように、自車両の後方側において他車両のナンバープレート情報の照合が行われる。ここでは、先にステップS3~S11が行われ、その後にステップS12~S20が行われる。しかし、この順番は、逆であってもよいし、同時であってもよい。
【0024】
ステップS3では、前方側の撮像部11によって、他車両の画像データを撮像する。次に、ステップS4では、撮像された他車両の画像データを基にして、他車両のナンバープレート情報を抽出部13によって抽出する。次に、ステップS5では、蓄積部14に蓄積されている特定車両のナンバープレート情報を読み出す。
【0025】
次に、ステップS6では、他車両および特定車両のナンバープレート情報のうち、互いの登録番号21の照合を判定部15によって行う。次に、ステップS7では、抽出された他車両のナンバープレート情報(登録番号21)が、蓄積部に蓄積されている特定車両のナンバープレート情報(登録番号21)に一致するか否かを、判定部15によって判定する。
【0026】
ステップS7において他車両の登録番号21が特定車両の登録番号21に一致した場合(YES)、次のステップは、ステップS8となる。互いの登録番号21が一致しない場合(NO)、自車両の前方側の照合作業が終了し、次のステップは、ステップS12となる。
【0027】
ステップS8では、他車両および特定車両のナンバープレート情報のうち、互いの種別22、登録地域23および分類番号24の照合を判定部15によって行う。次に、ステップS9では、抽出された他車両のナンバープレート情報(種別22、登録地域23および分類番号24)が、蓄積部に蓄積されている特定車両のナンバープレート情報(種別22、登録地域23および分類番号24)に一致するか否かを、判定部15によって判定する。
【0028】
ステップS9において他車両の種別22、登録地域23および分類番号24が特定車両の種別22、登録地域23および分類番号24に一致した場合(YES)、次のステップは、ステップS10となる。互いの登録番号21が一致しない場合(NO)、自車両の前方側の照合作業が終了し、次のステップは、ステップS12となる。
【0029】
ステップS10では、蓄積部14に、特定車両に遭遇したという履歴データを蓄積する。この履歴データには、特定車両の画像データおよびナンバープレート情報だけでなく、日付、時間および遭遇した位置データなどが含まれる。
【0030】
次に、ステップS11では、自車両の近くに特定車両が存在しているということを、自車両の搭乗者へ報知部16によって報知する。報知の手段としては、音声を鳴らす、または、操作部30の表示装置31にメッセージを表示するなどの方法が挙げられる。
【0031】
次に、ステップS12~S20のように、自車両の後方側において他車両のナンバープレート情報の照合が行われる。ステップS12~S20の内容は、自車両の後方側であるという点を除き、ステップS3~S11と同じであるので、ステップS12~S20の説明については省略する。なお、ステップS16の判定が「NO」であった場合、ステップS18の判定が「NO」であった場合、および、ステップS20が終了した場合は、次のステップはステップS3となる。
【0032】
このように、実施の形態1における車両ナンバー照合装置10では、自車両の運転が終了するまで、ナンバープレート情報の照合手段(ステップS3~S20)が繰り返され、自車両の走行中に、特定車両の照合が自動的に行われる。従って、搭乗者は、特定車両が自車両の周囲に存在するか否かを、早期に検知できる。
【0033】
また、搭乗者は、視認によって自車両の前方側の状況をある程度確認できるが、自車両の後方側の状況については確認し難い。車両ナンバー照合装置10のように、撮像部12によって自車両の後方側の状況を確認できれば、走行中の安全性を高めることができる。
【0034】
なお、実施の形態1では、2つの撮像部11および撮像部12が自車両の前方側および後方側に設けられていたが、1つの撮像部のみが、自車両の前方側または後方側に設けられていてもよい。自車両の前方側または後方側のみの特定車両の照合であっても、特定車両の早期検知に対して効果を発揮することができる。しかしながら、上述のように自車両の後方側の状況を確認できる方が、走行中の安全性を高め易いので、仮に1つの撮像部のみを設ける場合、その撮像部を自車両の後方側に設けることが好ましい。
【0035】
また、車両ナンバー照合装置10は3つ以上の撮像部を備えていてもよく、各撮像部が、自車両の前方側および後方側だけでなく、右側方側または左側方側などに設けられていてもよい。3つ以上の撮像部に対して、ステップS3~S11と同様の照合手段を行うことで、特定車両を更に早期に検知し易くなる。
【0036】
また、車両ナンバー照合装置10は、カーナビゲーション、ドライブレコーダ、または、ドライブレコーダ機能を内蔵するカーナビゲーションのような車載機器とは別の単体の装置であってもよいし、上記車載機器の一部を構成していてもよい。言い換えれば、車両ナンバー照合装置10に含まれる各構成の一部または全部が、上記車載機器に組み込まれていてもよい。例えば、撮像部11および撮像部12が、上記車載機器に備えられているカメラで代用されてもよく、表示装置31が、カーナビゲーションのモニタで代用されてもよい。
【0037】
また、特定車両は、危険運転を行う車両に限られず、家族の車両または友人の車両などでも構わない。例えば、旅行先などで、友人の車両が自車両の近くに居ることを確認できれば、友人と逸れる可能性を減らすことができる。すなわち、車両ナンバー照合装置10は、危険運転を行う車両の検知のみを対象とせず、様々な用途に利用できる。
【0038】
<ナンバープレート情報の照合手段の変形例>
図5は、ナンバープレート情報の照合手段の変形例を示している。
【0039】
図5では、
図4で説明したステップS8、ステップS9、ステップS17およびステップS18が省略されている。すなわち、
図5では、他車両および特定車両の種別22、登録地域23および分類番号24の照合が省略されている。
【0040】
撮像部11および撮像部12の精度、自車両と他車両との車間距離、または、自車両の周囲の天候によっては、他車両のナンバープレート情報の全てを抽出することが困難である場合がある。そこで、
図5では、相対的にサイズが大きい登録番号21のみを用いて、他車両および特定車両のナンバープレート情報の照合を行っている。言い換えれば、ステップ7およびステップS16の判定は、ナンバープレート情報のうち、最も抽出部13が抽出し易く、最もサイズが大きい情報を用いて行われる。
【0041】
図5では、
図4と比較して、種別22、登録地域23および分類番号24の照合が省略されている分、特定車両の検知の精度が低下する。すなわち、特定車両ではない他車両が、特定車両であると誤って判定される場合がある。しかしながら、本当に他車両が特定車両である場合もある。また、仮に誤判定が成されたとしても、運転手は、暫く注意深く運転を行うが、その後、周囲の状況から誤判定に気づくことができる。従って、
図5のナンバープレート情報の照合手段によっても、特定車両の早期検知に貢献できる。
【0042】
<ナンバープレート情報の登録手段>
以下に
図3および
図6を用いて、車両ナンバー照合装置10に備えられているナンバープレート情報の登録手段について説明する。ナンバープレート情報の登録手段は、ナンバープレート情報の照合手段において使用される特定車両の登録を行うための手段であり、操作部30を主体として行われる。
【0043】
上述のように、
図3の操作部30は、搭乗者が他車両を特定車両として特定するための特定機能を有する。特定機能は複数の機能を含むが、実施の形態1では、特定機能としてタッチ機能を例示する。タッチ機能は、表示装置31において搭乗者が他車両に触れることで、触れられた他車両を特定車両として特定する。
【0044】
タッチ機能の駆動(ON)および非駆動(OFF)は、操作部30に設けられたタッチ機能の切替ボタン31aを搭乗者が押すことで、切り替えられる。また、タッチ機能の切替ボタン31aは、表示装置31の外部に機械的に設けられていてもよいし、表示装置31上にグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)として設けられていてもよい。また、タッチ機能の切替ボタン31aが設けられていなくてもよく、その場合、タッチ機能は、車両ナンバー照合装置10の駆動と連動して、常に駆動する。
【0045】
実施の形態1におけるナンバープレート情報の登録手段は、以下のステップS21~S23を有する。
【0046】
まず、ステップS21では、搭乗者が特定機能(タッチ機能)を用いることで、他車両を特定車両として特定する。ここでは、表示装置31に表示されている複数の他車両のうち、搭乗者に触れられた他車両が、特定車両として特定される。
【0047】
次に、ステップS21において特定された他車両のナンバープレート情報を、特定車両のナンバープレート情報として蓄積部14に蓄積するステップS22およびステップS23が行われる。
【0048】
ステップS22では、特定された他車両の画像データを特定車両の画像データとして、蓄積部14に蓄積する。次に、ステップS23では、特定された他車両の画像データを基にして、他車両のナンバープレート情報を抽出部13によって抽出し、抽出された他車両のナンバープレート情報を特定車両のナンバープレート情報として、蓄積部14に蓄積する。なお、ここで説明しているナンバープレート情報は、ナンバープレート20に含まれる全ての情報であり、登録番号21、種別22、登録地域23および分類番号24である。
【0049】
このように、実施の形態1におけるナンバープレート情報の登録手段によれば、他車両のナンバープレート情報および画像データを、特定車両のナンバープレート情報および画像データとして蓄積部14に登録できる。
【0050】
なお、特定車両の画像データは、ナンバープレート情報の照合手段では直接的に利用されないが、搭乗者が後で特定車両の画像データを確認することで、特定車両の車種および色などを知ることができる。
【0051】
(実施の形態2)
以下に
図3および
図6を用いて、実施の形態2における車両ナンバー照合装置10について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0052】
実施の形態2では、ナンバープレート情報の登録手段が実施の形態1と異なっている。実施の形態2では、操作部30に含まれる特定機能として音声認識機能を例示する。この音声認識機能では、
図3に示される音声認識装置32が使用される。
【0053】
音声認識機能は、搭乗者が他車両のナンバープレート情報を読み上げ、音声認識装置32が読み上げられた他車両のナンバープレート情報を認識することで、他車両を特定車両として特定する。
【0054】
音声認識機能の駆動(ON)および非駆動(OFF)は、操作部30に設けられた音声認識機能の切替ボタン32aを搭乗者が押すことで、切り替えられる。また、音声認識機能の切替ボタン32aは、表示装置31の外部に機械的に設けられていてもよいし、表示装置31上にグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)として設けられていてもよい。また、音声認識機能の切替ボタン32aが設けられていなくてもよく、その場合、音声認識機能は、車両ナンバー照合装置10の駆動と連動して、常に駆動する。
【0055】
また、実施の形態2の音声認識機能および実施の形態1のタッチ機能のうち、両方を同時に駆動させてもよいし、1つのみを駆動させてもよい。
【0056】
実施の形態2におけるナンバープレート情報の登録手段は、以下のステップS24およびステップS25を有する。
【0057】
まず、ステップS24では、搭乗者が特定機能(音声認識機能)を用いることで、他車両を特定車両として特定する。例えば、搭乗者が、「ナンバー登録」のような音声コマンドを発声し、続けて他車両のナンバープレート情報を読み上げると、音声認識装置32は、上記音声コマンドの後に読み上げられた情報を、特定車両のナンバープレート情報として認識する。
【0058】
次に、ステップS25では、ステップS24において特定された他車両のナンバープレート情報を、特定車両のナンバープレート情報として蓄積部14に蓄積する。
【0059】
このように、実施の形態2におけるナンバープレート情報の登録手段によっても、他車両のナンバープレート情報を、特定車両のナンバープレート情報として蓄積部14に登録できる。特定車両のナンバープレート情報のみの取得であれば、ナンバープレート情報の登録手段はステップS25で終了するが、更に、特定車両の画像データも取得する場合には、以下のステップS26~S29が行われる。
【0060】
ステップS26では、撮像部11および撮像部12によって、他車両の画像データを撮像する。次に、ステップS27では、撮像された他車両の画像データを基にして、他車両のナンバープレート情報を抽出部13によって抽出する。
【0061】
次に、ステップS28では、抽出された他車両のナンバープレート情報(登録番号21)が、音声認識機能によって特定された特定車両のナンバープレート情報(登録番号21)に一致するか否かを、判定部15によって判定する。
【0062】
この状況では、自車両の周囲に、同じ登録番号21を有する複数の他車両が存在している可能性は非常に低いので、判定部15が判定する情報は、ナンバープレート20に含まれる全ての情報である必要はなく、登録番号21のみでよい。すなわち、ナンバープレート20に含まれる情報のうち、最も抽出部13によって抽出され易い情報を用いればよい。
【0063】
なお、より確実に特定車両を特定したい場合には、登録番号21だけでなく、種別22、登録地域23および分類番号24も抽出部13によって抽出し、その後、これらと、音声認識機能によって特定された特定車両のナンバープレート情報(登録番号21、種別22、登録地域23および分類番号24)に一致するか否かを、判定部15によって判定してもよい。
【0064】
次に、ステップS29では、他車両の登録番号21が特定車両の登録番号21に一致した場合、特定車両の画像データを蓄積部14に蓄積する。このように、特定車両のナンバープレート情報だけでなく、特定車両の画像データも取得できる。
【0065】
(実施の形態3)
以下に
図3および
図6を用いて、実施の形態3における車両ナンバー照合装置10について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0066】
実施の形態3では、ナンバープレート情報の登録手段が実施の形態1と異なっている。実施の形態3では、操作部30に含まれる特定機能として受信機能を例示する。この受信機能では、
図3に示される受信装置33が使用される。
【0067】
受信機能は、外部端末に入力されている他車両のナンバープレート情報を、搭乗者が外部端末から受信装置33へ送信することで、他車両を特定車両として特定する。なお、外部端末は、例えばスマートフォン、タブレットまたはパーソナルコンピュータ(PC)である。外部端末と受信装置33との間の情報の伝達は、無線通信によって行われる。なお、他の通信手段として、有線通信によって外部端末と受信装置33との間の情報の伝達が行われてもよい。
【0068】
受信機能の駆動(ON)および非駆動(OFF)は、操作部30に設けられた受信機能の切替ボタン33aを搭乗者が押すことで、切り替えられる。また、受信機能の切替ボタン33aは、表示装置31の外部に機械的に設けられていてもよいし、表示装置31上にグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)として設けられていてもよい。また、音声認識機能の切替ボタン33aが設けられていなくてもよく、その場合、受信機能は、車両ナンバー照合装置10の駆動と連動して、常に駆動する。
【0069】
また、実施の形態3の受信機能、実施の形態2の音声認識機能および実施の形態1のタッチ機能のうち、全てを同時に駆動させてもよいし、2つを同時に駆動させてもよいし、1つのみを駆動させてもよい。
【0070】
実施の形態3におけるナンバープレート情報の登録手段は、以下のステップS30およびステップS31を有する。
【0071】
まず、ステップS30では、搭乗者が特定機能(受信機能)を用いることで、他車両を特定車両として特定する。搭乗者は、他車両のナンバープレート情報を外部端末に事前に入力しておく。そして、搭乗者が自車両に搭乗した際に、他車両のナンバープレート情報を、搭乗者が外部端末から受信装置33へ送信する。受信装置33は、送信された他車両のナンバープレート情報を、特定車両のナンバープレート情報として受信する。
【0072】
次に、ステップS31では、ステップS30において特定された他車両のナンバープレート情報を、特定車両のナンバープレート情報として蓄積部14に蓄積する。
【0073】
このように、実施の形態3におけるナンバープレート情報の登録手段によっても、他車両のナンバープレート情報を、特定車両のナンバープレート情報として蓄積部14に登録できる。
【0074】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 車両ナンバー照合装置
11 撮像部
12 撮像部
13 抽出部
14 蓄積部
15 判定部
16 報知部
17 制御部
20 ナンバープレート
21 登録番号
22 種別
23 登録地域
24 分類番号
30 操作部
31 表示装置
31a タッチ機能の切替ボタン
32 音声認識装置
32a 音声認識機能の切替ボタン
33 受信装置
33a 受信機能の切替ボタン