(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138806
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
B65H 9/14 20060101AFI20220915BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20220915BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20220915BHJP
B41J 3/42 20060101ALI20220915BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B65H9/14
B65H5/06 M
B65H7/02
B41J3/42
B41J29/38 206
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038898
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】山形 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】寺門 亮
(72)【発明者】
【氏名】藪根 弘和
【テーマコード(参考)】
2C061
3F048
3F049
3F102
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ02
2C061HK11
2C061HK19
2C061HK23
2C061HN15
3F048AA05
3F048AB01
3F048BA20
3F048BB02
3F048CC03
3F048CC04
3F048CC11
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3F049AA02
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3F049EA10
3F049EA12
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3F049LB03
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3F102BA02
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3F102CB01
3F102DA08
3F102EA03
3F102EC02
3F102FA04
3F102FA08
(57)【要約】
【課題】印刷システムにおいて、上流側の印刷部によって印刷が行われた媒体の搬送遅れが生じた場合でも、その下流側の印刷部における斜行不良の発生を抑制する。
【解決手段】印刷システム1は、用紙P(媒体の一例)に印刷を行う印刷部16,66(第1印刷部及び第2印刷部の一例)と、印刷部16によって印刷が行われた用紙Pを印刷部66に搬送する搬送機構とを備える。この搬送機構は、再給紙センサ63(通過検知センサの一例)及び再給紙ローラ61(搬送ローラの一例)よりも搬送方向における下流側に配置されたレジストローラ64を備える。印刷システム1は、先行する用紙Pの搬送状況(時刻t11)と、再給紙センサ63によって検知される後続の用紙Pの先端の検知時間(時刻t12)とに基づいて、後続の用紙Pの弛み量が一定となるように再給紙ローラ63を制御する第2印刷装置制御部71(制御部の一例)を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に印刷を行う第1印刷部と、当該第1印刷部よりも前記媒体の搬送方向における下流側に配置され、前記媒体に印刷を行う第2印刷部と、前記第1印刷部によって印刷が行われた前記媒体を前記第2印刷部に搬送する搬送機構とを備える印刷システムであって、
前記搬送機構は、
前記媒体の通過を検知する通過検知センサと、
前記媒体を搬送する搬送ローラと、
前記通過検知センサ及び前記搬送ローラよりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記媒体が突き当てられ、突き当てによって弛みが生じた当該媒体を搬送するレジストローラとを備え、
前記印刷システムは、
先行する前記媒体の搬送状況と、前記通過検知センサによって検知される後続の前記媒体の先端の検知時間とに基づいて、前記後続の媒体の弛み量が一定となるように前記搬送ローラを制御する制御部を備える
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記先行する媒体の搬送状況は、前記通過検知センサによって検知される前記先行する媒体の後端の検知時間である
ことを特徴とする請求項1記載の印刷システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記通過検知センサによって検知される前記先行する媒体の後端の検知時間と前記通過検知センサによって検知される前記後続の媒体の先端の検知時間との差が所定時間以上の場合に、前記後続の媒体が前記レジストローラに突き当てられるときの搬送速度が所定速度以下となるように前記搬送ローラを制御する
ことを特徴とする請求項2記載の印刷システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記後続の媒体の先端の前記検知時間から前記搬送ローラの第1搬送速度を維持する第1期間を調整することによって、前記搬送ローラを制御する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の印刷システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記後続の媒体が前記レジストローラに突き当てられるときに前記搬送ローラの搬送速度が前記第1搬送速度よりも遅い第2搬送速度になるように前記搬送ローラを制御し、
前記制御部は、前記第1期間と前記搬送ローラが前記第2搬送速度を維持する第2期間とを調整することによって前記搬送ローラを制御する
ことを特徴とする請求項4記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの印刷装置と、この2つの印刷装置間に配置され、用紙を表裏反転する中間装置とを備えた印刷システムが知られている。この印刷システムでは、1台の印刷装置で両面印刷を行う場合と比較して、印刷物の生産性を向上できる。上述のような印刷システムでは、例えば、印刷部の上流側に配置されたレジストローラに用紙を突き当てて弛みを形成させて斜行補正した後、レジストローラを駆動させて印刷部へ用紙を搬送して印刷する印刷装置が用いられる。
【0003】
この印刷装置を複数接続した印刷システムでは、装置間の接続部分で、搬送される用紙の遅れや進みが生じやすくなる。用紙の遅れや進みが生じると、用紙の衝突等によりジャムが発生する。そこで、用紙の衝突を防止するため、接続部分での搬送ローラと、下流印刷装置の搬送ローラとの間の搬送制御により、用紙衝突を防止する印刷システムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の用紙衝突を防止する印刷システムでは、印刷用紙のすべりにより、搬送中の用紙間隔の変動やこれに基づく弛み量が適切でない場合が生じて、斜行不良が発生することが考慮されていなかった。すなわち、接続部分における用紙のすべり量が用紙毎に変化すると、レジストローラへの到達タイミングが用紙毎に異なり、弛み量が適切でない場合が発生する。具体的には、印字率の高い用紙の後に、印字率の低い用紙が接続部分に搬送されると、用紙のすべりやすさが異なり(印字率の高い方がすべりやすい)、弛み量にばらつきが生じやすい。更には、
図6を参照しながら後述するように、レジストローラに突き当てられるべき用紙の先端がレジストローラを抜け、弛みが形成されずに斜行不良が発生する場合もある。
【0006】
また、接続部分において、入口の搬送ローラと、その下流の搬送ローラとの速度差や、用紙サイズまたは印字率の違いから、搬送バックテンションが生じてレジストローラへの到達タイミングが用紙毎に異なることもある。なお、用紙の搬送遅れは、用紙のカールなどの他の要因によっても生じ得る。
【0007】
図6は、参考技術における再給紙モータ及びレジストモータの駆動制御を説明するための説明図である。
【0008】
再給紙モータは、再給紙ローラを駆動する。この再給紙ローラは、上流側の印刷装置と下流側の印刷装置とを備える印刷システムの下流側の印刷装置において、印刷部へ向けて用紙を搬送する。
【0009】
再給紙センサは、再給紙ローラの搬送方向における下流側において、再給紙ローラの近傍に配置されている。
【0010】
レジストモータは、レジストローラを駆動する。このレジストローラは、再給紙センサよりも下流側で且つ印刷部の上流側に配置される。レジストモータの駆動時間(時刻t64~時刻t67)は、エンコーダ換算で規定量の制御が行われるため、常に一定である。レジストモータの起動時間(時刻t64,時刻t68)は、再給紙センサのONタイミング(時刻t62,t66)が基準となって決定される。
【0011】
レジストセンサは、レジストローラの上流側において、レジストローラの近傍に配置されている。
【0012】
例えば、印字率が高く、すべりやすい用紙の搬送が遅れた場合、この用紙の先端が再給紙センサによって検知されるタイミング(時刻t62)が遅くなり、先行する用紙の後端が再給紙センサによって検知されるタイミング(時刻t61)との間の期間である紙間が長くなる。
【0013】
一方、すべりやすい用紙の後に搬送される用紙の搬送が遅れない場合、この2枚の用紙の再給紙センサにおける紙間(時刻t65~時刻t66)は短くなる。そのため、すべりやすい用紙を搬送するためのレジストモータの駆動時間(時刻t64~時刻t67)が終了する前、具体的にはレジストローラの回転が停止する前に、次の用紙の先端がレジストローラに進入する。この場合、用紙の先端がレジストローラを通過した状態で用紙が停止するため、上述のように、弛みが形成されずに斜行不良が発生する。
【0014】
本発明の目的は、上流側の印刷部によって印刷が行われた媒体の搬送遅れが生じた場合でも、その下流側の印刷部における斜行不良の発生を抑制することができる印刷システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
1つの態様では、印刷システムは、媒体に印刷を行う第1印刷部と、当該第1印刷部よりも前記媒体の搬送方向における下流側に配置され、前記媒体に印刷を行う第2印刷部と、前記第1印刷部によって印刷が行われた前記媒体を前記第2印刷部に搬送する搬送機構とを備える印刷システムであって、前記搬送機構は、前記媒体の通過を検知する通過検知センサと、前記媒体を搬送する搬送ローラと、前記通過検知センサ及び前記搬送ローラよりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記媒体が突き当てられ、突き当てによって弛みが生じた当該媒体を搬送するレジストローラとを備え、前記印刷システムは、先行する前記媒体の搬送状況と、前記通過検知センサによって検知される後続の前記媒体の先端の検知時間とに基づいて、前記後続の媒体の弛み量が一定となるように前記搬送ローラを制御する制御部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
前記態様によれば、上流側の印刷部によって印刷が行われた媒体の搬送遅れが生じた場合でも、その下流側の印刷部における斜行不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施の形態に係る印刷システムの概略構成図である。
【
図2】一実施の形態に係る印刷システムの制御ブロック図である。
【
図3】一実施の形態における中継ローラ、再給紙ローラ、及びレジストローラの動作を示すタイムチャート図である。
【
図4】一実施の形態における第1期間、第2期間等の算出方法を説明するための説明図である。
【
図5】一実施の形態における再給紙ローラ及びレジストローラの動作制御を示すフローチャートである。
【
図6】参考技術における再給紙モータ及びレジストモータの駆動制御を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態に係る印刷システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0019】
以下に示す本実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、本発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態に係る印刷システム1の概略構成図である。
【0021】
【0022】
以下の説明において、
図1の紙面に直交する方向を前後方向とする。また、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0023】
図1において太線で示す経路が、媒体の一例である用紙Pが搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が上流側搬送経路RU及び下流側搬送経路RD、破線で示す経路が反転経路RR、一点鎖線で示す経路が非反転中間経路RCである。以下の説明における上流、下流は、搬送経路上の搬送方向における上流、下流を意味する。
【0024】
図1及び
図2に示すように、印刷システム1は、第1印刷装置2と、中間装置3と、第2印刷装置4とを備える。なお、本実施の形態に係る印刷システムとしては、後述する印刷部16を一例とする第1印刷部と、後述する印刷部66を一例とする第2印刷部と、第1印刷部によって印刷が行われた用紙P(媒体)を第2印刷部に搬送する搬送機構とを備えるものであればよいため、中間装置3が省略されてもよい。また、第1印刷装置2と第2印刷装置4とが独立して配置されていなくともよい。そのため、第1印刷部と第2印刷部とを例えば単一筐体内に備える印刷装置も、印刷システムとして機能する。
【0025】
第1印刷装置2は、用紙Pに画像を印刷し、中間装置3へ用紙Pを送り出す。第1印刷装置2は、給紙台11と、給紙ローラ12と、給紙モータ13と、レジストローラ14と、レジストモータ15と、印刷部16と、排紙ローラ17,18と、排紙モータ19と、第1印刷装置制御部20とを備える。なお、第1印刷装置2は、第2印刷装置4の外部装置とみなすことができる。
【0026】
給紙台11は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。
【0027】
給紙ローラ12は、給紙台11に積層された用紙Pを1枚ずつ取り出すとともに、レジストローラ14へ搬送する。また、給紙ローラ12は、レジストローラ14による用紙Pの搬送をアシストするアシスト動作を行う。給紙ローラ12は、上流側搬送経路RUの上流端部に配置されている。
【0028】
給紙モータ13は、給紙ローラ12を回転駆動させる。
【0029】
レジストローラ14は、給紙ローラ12から搬送されてきた用紙Pが突き当てられ、用紙Pに弛みが形成された後、印刷部16に向けて用紙Pを搬送する。
【0030】
レジストモータ15は、レジストローラ14を回転駆動させる。
【0031】
印刷部16は、用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに画像を印刷する。印刷部16は、ベルトプラテン部21と、ヘッドユニット22とを備える。なお、印刷部16は、用紙P(媒体)に印刷を行う第1印刷部の一例である。
【0032】
ベルトプラテン部21は、レジストローラ14から搬送されてきた用紙Pをベルト上に吸着保持して搬送する。
【0033】
ヘッドユニット22は、ベルトプラテン部21により搬送される用紙Pにインクを吐出して画像を印刷する。ヘッドユニット22は、前後方向に沿って配置された複数のノズルを有するインクジェットヘッド(図示せず)を有し、インクジェットヘッドのノズルから用紙Pへインクを吐出する。
【0034】
排紙ローラ17,18は、ベルトプラテン部21から搬送されてきた用紙Pを中間装置3へ排紙する。
【0035】
排紙モータ19は、排紙ローラ17,18を回転駆動させる。
【0036】
第1印刷装置制御部20は、第1印刷装置2の各部の動作を制御する。第1印刷装置制御部20は、プロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有する。また、第1印刷制御部20は、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する。
【0037】
第1印刷装置制御部20は、LAN等からなる第1ネットワーク5を介して、パーソナルコンピュータ等からなる端末装置7と通信可能になっている。また、第1印刷装置制御部20は、LAN等からなる第2ネットワーク6を介して、後述する第2印刷装置4の第2印刷装置制御部71と通信可能になっている。また、第1印刷装置制御部20は、通信線8を介して、後述する中間装置3の中間装置制御部51、及び第2印刷装置4の第2印刷装置制御部71と通信可能になっている。
【0038】
第1印刷装置制御部20は、第1印刷装置2で印刷を行う際、給紙ローラ12により給紙台11から用紙Pを取り出すとともに、用紙Pをレジストローラ14に突き当てるよう制御する。その後、第1印刷装置制御部20は、レジストローラ14を駆動させるとともに給紙ローラ12でレジストローラ14をアシストして用紙Pを印刷部16へ搬送するよう制御する。そして、第1印刷装置制御部20は、印刷部16において、ベルトプラテン部21により用紙Pを搬送しつつ、ヘッドユニット22により用紙Pに画像を印刷するよう制御する。
【0039】
中間装置3は、第1印刷装置2と第2印刷装置4との間で用紙Pを搬送する。中間装置3は、第1印刷装置2の下流側(右側)に隣接して配置されている。中間装置3は、進入ローラ31と、進入モータ32と、進入センサ33と、経路切替フリッパ34と、経路切替ソレノイド35と、反転ローラ36,37と、反転センサ38と、スイッチバックロー
ラ39と、スイッチバックモータ40と、スイッチバックセンサ41と、中間ローラ42,43と、中間搬送モータ44と、フェイスアップローラ45と、上昇ローラ46と、上昇モータ47と、中継ローラ48と、中継モータ49と、中継センサ50と、中間装置制御部51とを備える。
【0040】
ここで、中間装置3は、第1印刷装置2の排紙ローラ17,18及び排紙モータ19、並びに、後述する第2印刷装置4の再給紙ローラ61、再給紙モータ62、及び再給紙センサ63、レジストローラ65、及びレジストモータ66とともに、搬送機構の一例として機能する。この搬送機構は、第1印刷装置2の印刷部16(第1印刷部)によって印刷が行われた用紙P(媒体)を第2印刷装置4の印刷部66(第2印刷部)に搬送する。
【0041】
進入ローラ31は、第1印刷装置2から排紙された用紙Pを中間装置3へ取り込む。進入ローラ31は、上流側搬送経路RUの下流端部であって、中間装置3内における搬送経路の上流端部に配置されている。
【0042】
進入モータ32は、進入ローラ31、反転ローラ36、及びフェイスアップローラ45を回転駆動させる。
【0043】
進入センサ33は、第1印刷装置2から中間装置3に進入した用紙Pを検出する。進入センサ33は、進入ローラ31の下流側近傍に配置されている。
【0044】
経路切替フリッパ34は、上流側搬送経路RUに沿って搬送されてきた用紙Pの進路を反転経路RRと非反転中間経路RCとの間で切り替える。
【0045】
経路切替ソレノイド35は、経路切替フリッパ34を駆動させる。
【0046】
反転ローラ36,37は、経路切替フリッパ34により反転経路RRへ導かれた用紙Pをスイッチバックローラ39へ搬送する。
【0047】
反転センサ38は、反転ローラ36,37によりスイッチバックローラ39へ搬送される用紙Pを検出する。反転センサ38は、進入センサ33とスイッチバックローラ39との間であって、反転ローラ36と反転ローラ37との間に配置されている。
【0048】
スイッチバックローラ39は、反転ローラ36,37により搬送されてきた用紙Pをスイッチバックして中間ローラ42へ搬送する。スイッチバックローラ39は、用紙Pのスイッチバックを行うため、正逆転可能に構成されている。
【0049】
スイッチバックモータ40は、スイッチバックローラ39を正転駆動及び逆転駆動させる。
【0050】
スイッチバックセンサ41は、スイッチバックローラ39によりスイッチバックされる用紙Pを検出する。
【0051】
中間ローラ42,43は、スイッチバックローラ39によりスイッチバックされた用紙Pを上昇ローラ46へ搬送する。
【0052】
中間搬送モータ44は、反転ローラ37及び中間ローラ42,43を回転駆動させる。
【0053】
フェイスアップローラ45は、経路切替フリッパ34により非反転中間経路RCへ導かれた用紙Pを上昇ローラ46へ搬送する。
【0054】
上昇ローラ46は、中間ローラ43又はフェイスアップローラ45から搬送されてきた用紙Pを中継ローラ48へ搬送する。上昇ローラ46は、反転経路RRと非反転中間経路RCとの合流地点の下流側近傍の下流側搬送経路RD上に配置されている。
【0055】
上昇モータ47は、上昇ローラ46を回転駆動させる。
【0056】
中継ローラ48は、上昇ローラ46から搬送されてきた用紙Pを第2印刷装置4へ搬送する。
【0057】
中継モータ49は、中継ローラ48を回転駆動させる。
【0058】
中継センサ50は、中継ローラ48により第2印刷装置4へ搬送される用紙Pを検出する。中継センサ50は、中間装置3からの用紙Pの出口近傍である中継ローラ48の下流側近傍に配置されている。
【0059】
中間装置制御部51は、中間装置3の各部の動作を制御する。中間装置制御部51は、プロセッサ(例えばCPU)、RAMやROMなどのメモリ等を有する。中間装置制御部51は、通信線8を介して、第1印刷装置2の第1印刷装置制御部20、及び後述する第2印刷装置4の第2印刷装置制御部71と通信可能になっている。
【0060】
第2印刷装置4は、中間装置3から搬送されてきた用紙Pに印刷する。第2印刷装置4は、中間装置3の下流側(右側)に隣接して配置されている。第2印刷装置4は、再給紙ローラ61と、再給紙モータ62と、再給紙センサ63と、レジストローラ64と、レジストモータ65と、印刷部66と、排紙ローラ67,68と、排紙モータ69と、排紙台70と、第2印刷装置制御部71とを備える。
【0061】
再給紙ローラ61は、中間装置3の中継ローラ48から搬送されてきた用紙Pをレジストローラ64へ搬送する。また、再給紙ローラ61は、レジストローラ64による用紙Pの搬送をアシストするアシスト動作を行う。再給紙ローラ61は、第2印刷装置4内における下流側搬送経路RDの上流端部に配置されている。再給紙ローラ61は、用紙P(媒体)を搬送する搬送ローラの一例である。この搬送ローラとしては、再給紙ローラ61のように、レジストローラ64の上流側でレジストローラ64に最も近いローラであることが望ましい。
【0062】
再給紙モータ62は、再給紙ローラ61を回転駆動させる。再給紙モータ62は、再給紙ローラ61(搬送ローラ)を駆動する搬送駆動部の一例である。
【0063】
再給紙センサ63は、再給紙ローラ61からレジストローラ64へ搬送される用紙Pを検出する。再給紙センサ63は、レジストローラ64の上流側であって、再給紙ローラ61の下流側近傍に配置されている。再給紙センサ63は、用紙P(媒体)の通過を検知する通過検知センサの一例である。
【0064】
レジストローラ64は、再給紙センサ63及び再給紙ローラ61よりも下流側に配置され、再給紙ローラ61から搬送されてきた用紙Pが突き当てられ、突き当てによって弛みが生じた用紙Pを、印刷部66に向けて搬送する。
【0065】
レジストモータ65は、レジストローラ64を回転駆動させる。レジストモータ65は、レジストローラを駆動するレジスト駆動部の一例である。
【0066】
印刷部66は、用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに画像を印刷する。印刷部66は、ベルトプラテン部76と、ヘッドユニット77とを備える。なお、印刷部66は、印刷部16(第1印刷部)よりも用紙Pの搬送方向における下流側に配置され、用紙P(媒体)に印刷を行う第2印刷部の一例である。
【0067】
ベルトプラテン部76及びヘッドユニット77は、それぞれ上述した第1印刷装置2のベルトプラテン部21、ヘッドユニット22と同様の構成である。
【0068】
排紙ローラ67,68は、ベルトプラテン部76から搬送されてきた用紙Pを排紙台70へ排紙する。
【0069】
排紙モータ69は、排紙ローラ67,68を回転駆動させる。
【0070】
排紙台70は、排紙ローラ67,68により排紙された用紙Pを保持する。
【0071】
第2印刷装置制御部71は、第2印刷装置4の各部の動作を制御する。第2印刷装置制御部71は、プロセッサ(例えばCPU)、RAMやROMなどのメモリ等を有する。第2印刷装置制御部71は、第2ネットワーク6を介して、第1印刷装置2の第1印刷装置制御部20と通信可能になっている。また、第2印刷装置制御部71は、通信線8を介して、第1印刷装置2の第1印刷装置制御部20、及び中間装置3の中間装置制御部51と通信可能になっている。
【0072】
詳しくは後述するが、第2印刷装置制御部71は、第2印刷装置4で印刷を行う際、中間装置3から搬送されてきた用紙Pを再給紙ローラ61によりレジストローラ64に突き当てて再給紙ローラ61を停止させる。その後、第2印刷装置制御部71は、レジストローラ64を駆動させるとともに再給紙ローラ61でレジストローラ64をアシストして用紙Pを印刷部66へ搬送するよう制御する。そして、第2印刷装置制御部71は、印刷部66において、ベルトプラテン部76により用紙Pを搬送しつつ、ヘッドユニット77により用紙Pに画像を印刷するよう制御する。ここで、第2印刷装置制御部71は、後述するが、先行する用紙Pの搬送状況と、再給紙センサ63によって検知される後続の用紙Pの先端の検知時間とに基づいて、後続の用紙Pの弛み量が一定となるように再給紙ローラ61を制御する制御部の一例である。
【0073】
次に、印刷システム1で両面印刷を行う際の動作について説明する。
【0074】
印刷システム1における両面印刷の動作は、第1印刷装置制御部20が第1ネットワーク5を介して端末装置7から両面印刷の印刷ジョブを受信することにより開始となる。
【0075】
第1印刷装置制御部20は、印刷ジョブを受信すると、ベルトプラテン部21及び排紙ローラ17,18の駆動を開始させる。
【0076】
また、第1印刷装置制御部20は、印刷ジョブを受信すると、第2ネットワーク6を介して、その印刷ジョブを第2印刷装置制御部71へ送信する。また、第1印刷装置制御部20は、通信線8を介して、両面印刷のための準備開始を指示するための準備信号を中間装置制御部51へ送信する。
【0077】
第2印刷装置制御部71は、印刷ジョブを受信すると、再給紙ローラ61、ベルトプラテン部76、及び排紙ローラ67,68の駆動を開始させる。
【0078】
中間装置制御部51は、準備信号を受信すると、進入ローラ31、反転ローラ36,37、スイッチバックローラ39、中間ローラ42,43、上昇ローラ46、及び中継ローラ48の駆動を開始させる。また、中間装置制御部51は、上流側搬送経路RUから反転経路RRへ用紙Pを導く方向に経路切替フリッパ34を設定する。
【0079】
第1印刷装置制御部20は、ベルトプラテン部21及び排紙ローラ17,18の駆動を開始させた後、給紙台11から印刷部16への給紙を開始する。そして、用紙Pは、レジストローラ14に突き当たり、弛みが形成された状態で停止する。この結果、用紙Pの斜行が補正される。
【0080】
給紙ローラ12の停止後、所定時間が経過すると、第1印刷装置制御部20は、レジストローラ14の駆動を開始させる。また、第1印刷装置制御部20は、レジストローラ14の駆動開始と同時に、給紙ローラ12によるアシスト動作を開始させる。この後、第1印刷装置制御部20は、レジストローラ14を制御し、用紙Pを印刷部16へ搬送する。アシスト動作は、用紙Pの後端が給紙ローラ12を抜けないうちに終了する。これは、給紙ローラ12が誤って次の用紙Pを搬送することを防止するためである。このような給紙ローラ12及びレジストローラ14の動作を繰り返すことにより、印刷部16へ用紙Pが順次搬送される。
【0081】
印刷部16へ搬送された用紙Pは、ベルトプラテン部21により搬送されつつ、ヘッドユニット22により表面に印刷される。印刷部16で印刷された用紙Pは、排紙ローラ17,18により中間装置3へ排紙される。
【0082】
中間装置3へ排紙された用紙Pは、中間装置3でスイッチバックされる。
【0083】
中間装置3では、用紙Pは、進入ローラ31に受け入れられて搬送され、経路切替フリッパ34により上流側搬送経路RUから反転経路RRへ導かれる。反転経路RRへ導かれた用紙Pは、反転ローラ36,37によりスイッチバックローラ39へ搬送される。
【0084】
用紙Pがスイッチバックローラ39に到達すると、用紙Pは、スイッチバックローラ39に受け入れられて、予め設定された反転搬送速度で搬送される。
【0085】
スイッチバックローラ39が停止してから、所定の停止時間が経過すると、中間装置制御部51は、スイッチバックローラ39の反転駆動を開始させる。
【0086】
スイッチバックされた用紙Pは、中間ローラ42,43、上昇ローラ46、及び中継ローラ48により搬送されて、第2印刷装置4へ送り出される。用紙Pは、中間装置3でスイッチバックされたことで、表裏反転された状態で第2印刷装置4へ送り出される。
【0087】
中間装置3から第2印刷装置4へ送り出された用紙Pは、再給紙ローラ61に受け入れられて搬送され、レジストローラ64に突き当てられる。この後、用紙Pは、レジストローラ64により印刷部66へ搬送される。この際、再給紙ローラ61はレジストローラ64による用紙Pの搬送をアシストするアシスト動作を行う。
【0088】
再給紙ローラ61及びレジストローラ64の動作は、再給紙センサ63で用紙先端が検出されたタイミングに基づいて制御される。また、用紙Pのサイズが所定サイズ以上である場合、中継ローラ48は、再給紙ローラ61と同期して、減速突き当て動作及びアシスト動作を行う。具体的には、用紙Pが、レジストローラ54に突き当てられたときに、後端部が中継ローラ48から抜けていない(中継ローラ48にニップされている)サイズである場合、中継ローラ48は用紙Pが抜けるまで再給紙ローラ61と同期して動作する。
【0089】
ここで、中継ローラ48、再給紙ローラ61、及びレジストローラ64の動作について説明する。
【0090】
図3は、中継ローラ48、再給紙ローラ61、及びレジストローラ64の動作を示すタイムチャート図である。
【0091】
図4は、第1期間Tx、第2期間Ty等の算出方法を説明するための説明図である。
【0092】
図5は、再給紙ローラ61及びレジストローラ64の動作制御を示すフローチャートである。
【0093】
まず、中間装置制御部51は、第2印刷装置制御部71からLOWレベル信号(下流I/F信号)を受信すると、中継ローラ48、再給紙ローラ61、及びレジストローラ64の駆動を開始する(
図3の時刻t10、
図5のステップS1)。この中継ローラ48及び再給紙ローラ61の動作は、レジストローラ64による用紙Pの搬送をアシストするアシスト動作である。中継ローラ48、再給紙ローラ61、及びレジストローラ64は、所定速度まで加速した後に減速して、用紙Pを印字速度で搬送する。
【0094】
そして、中継センサ50が1枚目の用紙Pの後端を検知し、その後、再給紙センサ63が1枚目の用紙Pの後端を検知する(時間Ts経過後の時刻t11)。なお、時間Tsは、印刷条件ごとに理論値(固定値)として算出することができる。
【0095】
第2印刷装置制御部71は、再給紙センサ63が2枚目の用紙Pの先端を検知すると(時刻t12、ステップS2:YES)、再給紙センサ63が1枚目の用紙Pの後端を検知してからのセンサオフ期間Taを取得する(ステップS3)。
【0096】
また、第2印刷装置制御部71は、センサオフ期間Taに基づいて、再給紙センサ63によって検知される2枚目の用紙Pの先端の検知時間(時刻t12)における再給紙ローラ61の反転搬送速度V1(第1搬送速度の一例)を、この検知時間後に維持する第1期間Txを決定するとともに、2枚目の用紙Pがレジストローラ64に突き当てられるときの搬送速度であって、反転搬送速度V1よりも遅い突き当て速度V2(第2搬送速度の一例)を維持する第2期間Tyを決定する(ステップS4)。
【0097】
図4は、第1期間Tx、第2期間Ty等の算出方法を説明するための説明図である。
【0098】
図4に示すように、再給紙ローラ61が再給紙センサ63による用紙Pの先端の検知時間(時刻t12)から時刻t13までの先端反転搬送速度V1を維持する第1期間Txの送り量(搬送量)をL1とし、時刻t13から先端反転搬送速度V1が減速した後、時刻t14まで再給紙ローラ62が突き当て速度V2を維持する第2期間Tyの送り量(搬送量)をL2とする。また、この送り量L1,L2の和をLconstとし、再給紙ローラ61の減速加速度をαdnとする。
【0099】
時刻t12から時刻t15までの送り量Lstrike(斜線部分)は、用紙Pに形成する弛みの弛み量を一定にするために、例えば一定である。なお、再給紙ローラ61の送り量Lstrikeが一定であると、すべりやすい用紙Pは、すべりにくい用紙Pと比較して、弛みが小さくなりやすい。そのため、用紙Pの所定位置から時刻t12までの実際の搬送時間が遅いほど(すべりやすいほど)、送り量Lstrikeを増やしてもよい。
【0100】
Lconstは、Lstrike-V1^2/2/αdnと表すことができる。
【0101】
先行する(1枚目の)用紙Pの後端が再給紙センサ63によって検知される時刻t11からレジストローラ64の駆動開始までの時間Tkrは、時刻t11から後続の(2枚目の)用紙Pの後端が再給紙センサ63によって検知される時刻までの時間Tcycと、時刻t20から、後続の(2枚目の)用紙Pの後端が再給紙センサ63によって検知される時刻までの時間Tsrとの差で表すことができる。なお、時間Tkrからセンサオフ期間Taを引いた時間を時間Ttrとすると、レジストローラ64の駆動周期は、時間Tsr、センサオフ期間Ta、及び時間Ttrの和として表すことができる。
【0102】
第1期間Txと第2期間Tyとの和である時間Tconstは、時刻t11から時刻t15までの時間T3からV1/αdnとセンサオフ期間Taとを引いた値として表すことができるとともに、Tkr-Ta-V1/αdn-T5と表すことができる。
【0103】
上述の各値を用いて、
図4の右下欄に表すように、送り量L1を算出することができる。そのため、送り量L2も同様に算出することができる。送り量L1,L2を算出することができれば、この送り量L1,L2を搬送速度V1,V2で割ることで、第1期間Tx及び第2期間Tyを算出することができる。
【0104】
なお、上記の時間Tcycは、搬送方向における用紙Pの長さをP、ベルトプラテン部76の搬送速度(印字速度)をVg、紙間時間をTppとすると、P/Vg+Tppと表すことができる。また、再給紙センサ63からレジストローラ64までの距離をB、レジストローラ64からベルトプラテン部76までの距離をDrbとすると、時間Tsrは、レジストローラ64の加速度αr1の加速時間、最高速度Vtopの搬送時間、及び減速加速度αr2の減速時間の合計時間Ttopと、(P-B-Drb)/Vgとの和と表すことができる。また、上述の第1期間Tx及び第2期間Tyの算出には、時刻t11から先行する用紙Pの後端がレジストローラ64を抜けるまでの時間T2r、先行する用紙Pの後端がレジストローラ64を抜けてから時刻t15までの時間T1s、先行する用紙Pの後端がレジストローラ64を抜けてから時刻t20までの時間T2sなどを適宜用いて算出してもよい。
【0105】
ここで、すべりやすい用紙Pは、再給紙センサ63によって先端が検知される時刻t12が遅くなる。このように時刻t12が遅くなるほど、第1期間Txが長くなり、第2期間Tyが短くなる。しかし、センサオフ期間TaがTmaxとなり、時刻t12が時間Th遅くなると、第2期間Tyがゼロになる。そのため、センサオフ期間TaがTmaxを超えると、第1期間Tx及び第2期間Tyの調整による再給紙ローラ61の制御ができなくなる。この場合には、その後の時間T5を確保できなくなる。そのため、時間T5を確保できないことで、レジストローラ64、再給紙ローラ61等の同期制御を安定的に行えなくなる場合などには、レジストローラ64の駆動開始時間(時刻t20)を遅らせるとよい。その後に、用紙Pが再給紙センサ53等に到達してきた場合に、
図3のような制御に戻る。
【0106】
上述の算出は、例えば第2印刷装置制御部71によって行われる。この第2印刷装置制御部71は、再給紙センサ63(通過検知センサ)によって検知される先行する(1枚目の)用紙Pの後端の検知時間である時刻t11と、再給紙センサ63によって検知される後続の(2枚目の)用紙Pの先端の検知時間である時刻t12とに基づいて、第1期間Tx及び第2期間Tyを算出することによって、後続の用紙Pの弛み量が一定となるように、中間装置制御部51を介して再給紙ローラ61を制御するといえる。なお、時刻t11に代えて、先行する用紙Pの後端が中継センサ50によって検知される時間、先行する用紙Pの各ローラの駆動開始時間などが用いられてもよい。そのため、時刻t11は、先行する用紙Pの搬送状況の一例といえる。但し、再給紙センサ63によって後続の用紙Pの先端が検知される時刻t12に最も近い時刻t11が用いられることが望ましい。
【0107】
なお、本実施の形態では、通過検知センサの一例である再給紙センサ63の検知時間等に基づいて、第1期間Tx及び第2期間Tyを算出しているが、通過検知センサの他の一例として、レジストローラ64の上流側に配置された他のセンサを用いて、このセンサの検知時間等に基づいて、第1期間Tx及び第2期間Tyを算出してもよい。また、第1期間Tx及び第2期間Tyの少なくとも一方に代えて、再給紙ローラ61の減速加速度αdnが調整されてもよい。また、本実施の形態では、搬送ローラの一例である再給紙ローラ61の制御について述べるが、制御対象の搬送ローラとして、再給紙ローラ61に限らず、例えば、中継ローラ48などの他の搬送ローラが用いられてもよい。また、第1期間Tx及び第2期間Tyの算出や、再給紙ローラ61の制御は、中間装置制御部51などの他の制御部によって行われてもよい。
【0108】
上述のように算出した第1期間Txに基づき、第2印刷装置制御部71は、再給紙センサ63が2枚目の用紙Pを検知してから第1期間Tx経過後の減速開始タイミング(時刻t13)になるまで判定を繰り返す(ステップS5)。
【0109】
第2印刷装置制御部71は、減速開始タイミングになると(ステップS5:YES)、中間装置制御部51への信号をLOWレベル信号に切り替える(時刻t13)。これにより、中間装置制御部51が中継ローラ48及び再給紙ローラ61の減速を開始し、突き当て速度V2まで減速すると、第2印刷装置制御部71のHIGHレベル信号(時刻t14)を受信するまで、突き当て速度V2を第2期間Ty維持する。そして、第2期間Tyの途中で2枚目の用紙Pの先端が停止状態のレジストローラ64に突き当たり、用紙Pに弛みが形成され、斜行が補正される(ステップS6)。
【0110】
その後、弛み形成の終了時間に中継ローラ48及び再給紙ローラ61が停止し(時刻t15)、そこから時間T5の経過後、第2印刷装置制御部71がLOWレベル信号を送信する。中間装置制御部51は、このLOWレベル信号を受信すると(ステップS7:YES)、レジストローラ64の駆動を開始させるとともに、アシスト動作のために中継ローラ48及び再給紙ローラ61の駆動を開始させる(時刻t20、ステップS8)。
【0111】
中間搬送装置制御部51は、第2印刷装置制御部71のHIGHレベル信号を受信すると(時刻t21)、中継ローラ48、再給紙ローラ61、及びレジストローラ64の速度を加速後の所定速度から一旦減速し、印字速度にする。
【0112】
その後、中間搬送装置制御部51は、2枚目の用紙Pが実行中の印刷ジョブにおける最後の用紙Pであるか否かを判定し(ステップS9)、搬送される用紙Pが2枚目で最後であれば(ステップS9:YES)、第2印刷装置制御部71の上記LOWレベル信号(時刻t20)からそれぞれ所定時間経過後に、
図3に点線で示すように、中継ローラ48及び再給紙ローラ61を停止させ(ステップS10)、
図5に示す処理を終了する。
【0113】
一方、搬送される用紙Pが2枚目で最後でなければ(ステップS9:NO)、中間搬送装置制御部51は、第2印刷装置制御部71の上記LOWレベル信号(時刻t20)からそれぞれ所定時間経過後に、中継ローラ48及び再給紙ローラ61を反転搬送速度V1(受け入れ速度)まで加速し(ステップS11)、上述のステップS2の処理に戻る。
【0114】
ここで、上記の所定時間経過後とは、中継ローラ48については、レジストローラ64の駆動開始時間(時刻t20)を基準に判別可能な、後続の用紙Pの後端が中継センサ50を抜ける直前の中継ローラ48を抜けるタイミング(時刻t22)であり、再給紙ローラ61については、後続の用紙Pの後端が再給紙センサ63を抜けた後のタイミング(時刻t23)である。
【0115】
なお、第1印刷装置2の印刷処理が遅れ、上述のセンサオフ期間Taが長くなりすぎることによって、突き当て速度V2の第2期間Tyがゼロとなり、突き当て速度V2よりも速い搬送速度で用紙Pがレジストローラ64に突き当てられる事態が生じ得る。そのため、センサオフ期間Taが所定時間以上の場合に、上記後続の(2枚目の)用紙Pがレジストローラ64に突き当てられるときの搬送速度が所定速度以下(例えば、突き当て速度V2)となるように再給紙ローラ61が制御されるとよい。例えば、センサオフ期間Taが所定時間以上の場合には、第1期間Tx及び第2期間Tyを所定値とし、時間T5を確保し、レジストローラ64の駆動開始時間(時刻t20)を遅らせるとよい。
【0116】
印刷部66へ搬送された用紙Pは、ベルトプラテン部76により搬送されつつ、ヘッドユニット77により裏面に印刷される。印刷部66で印刷された用紙Pは、排紙ローラ67,68により排紙台70へ排紙される。
【0117】
上述した両面印刷の動作の説明では、用紙Pのサイズが所定サイズ以上である場合について説明したが、用紙Pのサイズが所定サイズ未満である場合、再給紙ローラ61と同期した中継ローラ48の減速突き当て動作及びアシスト動作は行われない。具体的には、用紙Pが、レジストローラ64に突き当てられたときに、中継ローラ48から抜けている(中継ローラ48にニップされていない)サイズである場合、中継ローラ48は、反転搬送速度V1で駆動され続ける。すなわち、中間装置制御部51は、用紙サイズに応じて、再給紙ローラ61と同期した中継ローラ48の減速突き当て動作及びアシスト動作を行うよう制御する。
【0118】
なお、印刷システム1で片面印刷を行う場合、第1印刷装置2において、上述した両面印刷の動作時と同様の動作により、用紙Pの表面に印刷される。印刷された用紙Pは、中間装置3の反転経路RRを経由して第2印刷装置4へ搬送される。第2印刷装置4では、用紙Pは、印刷されずに下流側搬送経路RDに沿って搬送され、排紙台70へ排紙される。なお、第1印刷装置2で印刷せずに、第2印刷装置4で印刷を行うようにしてもよい。また、第1印刷装置2から排紙された用紙Pを中間装置3の非反転中間経路RCを通過させて表裏反転せずに第2印刷装置4へ搬送するようにしてもよい。
【0119】
以上説明した本実施の形態では、印刷システム1は、用紙P(媒体の一例)に印刷を行う印刷部16(第1印刷部の一例)と、この印刷部16よりも用紙Pの搬送方向における下流側に配置され、用紙Pに印刷を行う印刷部66(第2印刷部の一例)と、印刷部16によって印刷が行われた用紙Pを印刷部66に搬送する搬送機構とを備える。この搬送機構は、用紙Pの通過を検知する再給紙センサ63(通過検知センサの一例)と、用紙Pを搬送する再給紙ローラ61(搬送ローラの一例)と、再給紙センサ63及び再給紙ローラ61よりも搬送方向における下流側に配置され、用紙Pが突き当てられ、突き当てによって弛みが生じた用紙Pを搬送するレジストローラ64とを備える。また、印刷システム1は、先行する用紙Pの搬送状況と、再給紙センサ63によって検知される後続の用紙Pの先端の検知時間(時刻t12)とに基づいて、後続の用紙Pの弛み量が一定となるように再給紙ローラ61を制御する第2印刷装置制御部71(制御部の一例)を備える。
【0120】
これにより、用紙Pの印字率が高い場合などに用紙Pにすべりが生じることなどに起因して用紙Pの先端が再給紙センサ63によって検知される検知時間(時刻t12)が遅れた場合でも、レジストローラ64への突き当てにより形成される用紙Pの弛み量を一定にすることができる。また、再給紙モータ61の搬送終了時間(時刻t15)、ひいては用紙Pのレジストローラ64による搬送開始時間(時刻t20)を一定にすることができる。そのため、先行する用紙Pの搬送が遅れ、後続の用紙Pの搬送が遅れなかった場合に、先行する用紙Pを搬送するためのレジストローラ64の駆動終了時間が遅れるのを回避することができる。これにより、レジストローラ64の駆動終了時間の前に後続の媒体Mがレジストローラ64に到達し、後続の媒体Mの先端がレジストローラ64を抜けて後続の媒体Mに弛みが形成されなくなるのを回避することができる。以上のとおり、用紙Pに弛みを一定量形成することで、用紙Pの斜行の発生を抑制することができる。よって、本実施の形態によれば、上流側の印刷部16によって印刷が行われた用紙Pの搬送遅れが生じた場合でも、その下流側の印刷部66における斜行不良の発生を抑制することができる。また、用紙Pのレジストローラ64による搬送開始時間(時刻t20)を一定間隔にすることによって、用紙Pの生産性を維持することもできる。
【0121】
また、本実施の形態では、上記先行する用紙Pの搬送状況は、再給紙センサ63によって検知される先行する用紙Pの後端の検知時間(時刻t11)である。
【0122】
そのため、後続の用紙Pの先端が再給紙センサ63によって検知される検知時間(時刻t12)に近い時刻t11において、先行する用紙Pの搬送状況を正確に判別することができる。これにより、斜行不良の発生をより確実に抑制することができるとともに、後続の媒体Mの先端がレジストローラ64を抜けて後続の媒体Mに弛みが形成されなくなるのをより確実に回避することができる。
【0123】
また、本実施の形態では、第2印刷装置制御部71は、再給紙センサ63によって検知される先行する用紙Pの後端の検知時間(時刻t11)と、再給紙センサ63によって検知される後続の用紙Pの先端の検知時間(時刻t12)との差(センサオフ期間Ta)が所定時間以上の場合に、後続の用紙Pがレジストローラ62に突き当てられるときの搬送速度が所定速度以下となるように再給紙ローラ61を制御する。
【0124】
ところで、搬送機構の上流に第1印刷装置2が接続されている場合、第1印刷装置2の搬送状況(空送等)に応じて第2印刷装置4に到達する用紙Pの間隔が所定値以上に広がったりする場合があるが、このような場合に、ジャムと判断して印刷システム1を停止させるのは用紙Pの生産性に不都合である。また、このような場合に、後続の用紙Pのレジストローラ64による搬送開始時間(時刻t20)を一定に近づけるために、後続の用紙Pのレジストローラ64への突き当て速度を速くすると、衝突音が大きいとともに、用紙Pへのダメージも大きくなる。この結果、レジストローラ20の搬送開始時間(時刻t20)が遅れて第2印刷装置4への用紙Pの搬送間隔が通常より広がったとしても、用紙Pの生産性をそれほど低下させずに、レジストローラ64における撓み量の確保による適切な斜行補正、及び衝突音の低下を実現することができる。
【0125】
また、本実施の形態では、第2印刷装置制御部71は、第1期間Txを調整することによって、再給紙ローラ61を制御する。この第1期間Txは、再給紙センサ63によって検知される後続の用紙Pの先端の検知時間(時刻t12)から、再給紙ローラ61の反転搬送速度V1(第1搬送速度の一例)を維持する期間である。
【0126】
そのため、再給紙ローラ61の例えば最高速度である反転搬送速度V1の期間を調整するという簡単な制御で、且つ、反転搬送速度V1よりも高速の搬送速度を可能にする再給紙モータ62を用いない簡素な構成で、用紙Pのレジストローラ64による搬送開始時間(時刻t20)を一定にすることができる。
【0127】
また、本実施の形態では、第2印刷装置制御部71は、後続の用紙Pがレジストローラ64に突き当てられるときに再給紙ローラ61の搬送速度が反転搬送速度V1よりも遅い突き当て速度V2(第2搬送速度の一例)になるように再給紙ローラ61を制御する。また、第2印刷装置制御部71は、第1期間Txと、再給紙ローラ61が突き当て速度V2を維持する第2期間Tyとを調整することによって再給紙ローラ61を制御する。
【0128】
そのため、再給紙ローラ61の例えば最高速度である反転搬送速度V1と、この第1搬送速度V1よりも低速であることにより衝突音を低減できる突き当て速度V2との期間を調整する簡単な制御で、用紙Pのレジストローラ64による搬送開始時間(時刻t20)を一定にすることができるとともに、弛みの形成時に生じる用紙Pの突き当ての衝突音を低減できる。
【0129】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0130】
[付記1]
媒体に印刷を行う第1印刷部と、当該第1印刷部よりも前記媒体の搬送方向における下流側に配置され、前記媒体に印刷を行う第2印刷部と、前記第1印刷部によって印刷が行われた前記媒体を前記第2印刷部に搬送する搬送機構とを備える印刷システムであって、
前記搬送機構は、
前記媒体の通過を検知する通過検知センサと、
前記媒体を搬送する搬送ローラと、
前記通過検知センサ及び前記搬送ローラよりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記媒体が突き当てられ、突き当てによって弛みが生じた当該媒体を搬送するレジストローラとを備え、
前記印刷システムは、
先行する前記媒体の搬送状況と、前記通過検知センサによって検知される後続の前記媒体の先端の検知時間とに基づいて、前記後続の媒体の弛み量が一定となるように前記搬送ローラを制御する制御部を備える
ことを特徴とする印刷システム。
[付記2]
前記先行する媒体の搬送状況は、前記通過検知センサによって検知される前記先行する媒体の後端の検知時間である
ことを特徴とする付記1記載の印刷システム。
[付記3]
前記制御部は、前記通過検知センサによって検知される前記先行する媒体の後端の検知時間と前記通過検知センサによって検知される前記後続の媒体の先端の検知時間との差が所定時間以上の場合に、前記後続の媒体が前記レジストローラに突き当てられるときの搬送速度が所定速度以下となるように前記搬送ローラを制御する
ことを特徴とする付記2記載の印刷システム。
[付記4]
前記制御部は、前記後続の媒体の先端の前記検知時間から前記搬送ローラの第1搬送速度を維持する第1期間を調整することによって、前記搬送ローラを制御する
ことを特徴とする付記1から3のいずれか記載の印刷システム。
[付記5]
前記制御部は、前記後続の媒体が前記レジストローラに突き当てられるときに前記搬送ローラの搬送速度が前記第1搬送速度よりも遅い第2搬送速度になるように前記搬送ローラを制御し、
前記制御部は、前記第1期間と前記搬送ローラが前記第2搬送速度を維持する第2期間とを調整することによって前記搬送ローラを制御する
ことを特徴とする付記4記載の印刷システム。
【符号の説明】
【0131】
1 印刷システム
2 第1印刷装置
3 中間装置
4 第2印刷装置
16 印刷部
48 中継ローラ
50 中継センサ
51 中間装置制御部
61 再給紙ローラ
62 再給紙モータ
63 再給紙センサ
64 レジストローラ
65 レジストモータ
66 印刷部
71 第2印刷装置制御部