(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138811
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】アクセルペダル誤操作解消機構
(51)【国際特許分類】
B60K 26/04 20060101AFI20220915BHJP
B60K 28/10 20060101ALI20220915BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20220915BHJP
G05G 1/46 20080401ALI20220915BHJP
B60T 7/04 20060101ALI20220915BHJP
F02D 11/02 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B60K26/04
B60K28/10 Z
G05G1/30 E
G05G1/46
B60T7/04 A
F02D11/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038908
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】593060931
【氏名又は名称】株式会社 英田エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100093089
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 滋
(72)【発明者】
【氏名】万殿 貴志
(72)【発明者】
【氏名】三宅 正道
【テーマコード(参考)】
3D037
3D124
3G065
3J070
【Fターム(参考)】
3D037EA03
3D037EA06
3D037EA08
3D037EB03
3D037EB07
3D037EB10
3D037EB11
3D037EC03
3D037EC07
3D037FA10
3D037FA24
3D037FB03
3D124AA33
3D124BB01
3D124BB07
3D124CC43
3D124DD29
3D124DD62
3G065CA17
3G065JA04
3J070AA32
3J070BA10
3J070BA41
3J070CA51
3J070CC04
3J070CD11
3J070DA02
3J070EA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて過度に踏み込んだときにアクセル操作をキャンセルして、車輌の暴走を防止する。
【解決手段】車体に取付けられたフレーム2にばね17に付勢されて回動自在に取付けられたアクセルアーム作動部材3、6と、アクセルアクチュエータ16に連結された、第1連動部材14が回動自在に取付けられ、前記アクセルアーム作動部材3、6には回動自在に、前記第1連動部材にばね19の付勢により係合可能な爪レバー13とを備え、アクセルペダル3aが通常角度範囲内で踏み込まれるときは、前記爪レバー13が前記第1連動部材14に係合して前記アクセルアクチュエータ16を作動させ、また通常範囲を超えて過度に踏み込まれたときは、前記爪レバー13及び前記第1連動部材14の係合が解除され、前記第1連動部材14がアクセル動作解除方向へ回動復帰することを許容し、アクセル動作を解除させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取付け固着されたフレーム(2)と、アクセルペダル(3a)を有し、前記フレーム(2)に復帰方向にばね(17)付勢されて回動自在に取付けられたアクセルアーム作動部材(3、6)と、アクセルアクチュエータ(16)に連結され、前記フレーム(2)に回動自在に取付けられた第1連動部材(14)と、前記アクセルアーム作動部材(3、6)に回動自在に取付けられ、前記第1連動部材(14)の係合部(14a)にばね(19)付勢により係合可能の爪部(13a)を有する爪レバー(13)とを備え、
前記アクセルペダル(3a)が通常角度範囲内で踏み込まれるときは、前記爪レバー(13)及び前記第1連動部材(14)の係合により、前記第1連動部材(14)を介して前記アクセルアクチュエータ(16)を作動させて車を加速させ、また前記アクセルペダル(3a)が通常範囲を超えて過度に踏み込まれたときは、前記爪レバー(13)及び前記第1連動部材(14)の係合が解除されることにより、前記第1連動部材(14)がアクセル動作解除方向へ回動復帰することを許容すると共に、前記アクセルアクチュエータ(16)を作動復帰させてアクセル動作を解除させる、アクセルペダルの誤操作解消機構。
【請求項2】
車体に取付け固着されたフレーム(2)と、アクセルペダル(3a)を有し、前記フレーム(2)に復帰方向にばね(17)付勢されて回動自在に取付けられたアクセルアーム作動部材(3、6)と、アクセルアクチュエータ(16)に連結され前記フレーム(2)に回動自在に取付けられた第1連動部材(14)と、前記アクセルアーム作動部材(3、6)に回動自在に取付けられ、前記第1連動部材(14)の係合部(14a)にばね(19)付勢により係合可能の爪部(13a)を有する爪レバー(13)と、前記アクセルアーム作動部材(3、6)に対して連動的に接続され、既設ブレーキアーム(28)に接離可能に離間して取付けられブレーキアーム押圧部材(10)とを備え、
前記アクセルペダル(3a)が通常角度範囲内で踏み込まれるときは、前記爪レバー(13)及び前記第1連動部材(14)の係合により、前記第1連動部材(14)を介して前記アクセルアクチュエータ(16)を作動させて車を加速させ、また前記アクセルペダル(3a)が通常範囲を超えて過度に踏み込まれたときは、前記爪レバー(13)及び前記第1連動部材(14)の係合が解除されることにより、前記第1連動部材(14)がアクセル動作解除方向へ回動復帰することを許容すると共に、前記アクセルアクチュエータ(16)を作動復帰させてアクセル動作を解除させると共に、前記ブレーキアーム押圧部材(10)が前記既設ブレーキアーム(28)に当接しこれを押圧移動させてブレーキ作動させる、アクセルペダルの誤操作解消機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
前記フレーム(2)に爪レバー係合解除カムブロック(27)が取付け固定され、前記アクセルペダル(3a)が通常範囲を超えて過度に踏み込まれたとき、前記爪レバー(13)が前記アクセルアーム作動部材(3、6)と共に回動される際に、前記爪レバー(13)が前記爪レバー係合解除カムブロック(27)に当接して前記ばね(19)に抗して回動されることにより、前記爪レバー(13)の爪部(13a)と前記第1連動部材(14)の係合部(14a)との前記係合解除が行なわれる、アクセルペダルの誤操作解消機構。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
車体には既設のアクセルアーム(32)が設けられており、
前記アクセルアクチュエータ(16)は、前記フレーム(2)に復帰方向にばね付勢されて回動自在に取付けられ既設アクセルアーム押圧部材(16)であって、前記既設のアクセルアーム(32)をアクセル踏込み方向へ押圧可能の押圧部(16c)を有するような前記既設アクセルアーム押圧部材(16)である、アクセルペダルの誤操作解消機構。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
前記アクセルアクチュエータ(16)は、車体に設けられたアクセルワイヤである、アクセルペダルの誤操作解消機構。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
前記フレーム(2)に、前記第1連動部材(14)の回動を感知するための感知ばね(26)が設けられ、前記アクセルペダル(3a)が通常範囲の限界位置まで踏み込まれたとき、前記第1連動部材(14)のばね押圧部(14f)が前記感知ばね(26)に直接的又は間接的に当接して該感知ばね(26)のばね変形に基づく反発力により、運転者に前記通常範囲の限界位置の感触を伝える、アクセルペダルの誤操作解消機構。
【請求項7】
請求項2に記載のアクセルペダル誤操作解消機構において、
前記ブレーキアーム押圧部材(10)と連動する連動カム板(8)が前記フレーム(2)に回動自在に取付けられ、前記アクセルアーム作動部材(3、6)が第1のカム部(6a)を有し、且つ前記連動カム板(8)が第2のカム部(8a)を有し、
前記アクセルアーム作動部材(3、6)が過度に踏み込まれたときに、前記第1及び第2のカム部(6a、8a)の係合に基づいて前記連動カム板(8)が車体前方向へ移動することにより、前記ブレーキアーム押圧部材(10)が前方向へ移動されて前記既設ブレーキアーム(28)を同方向へ押圧的に移動させてブレーキ作動を行わせる、前記機構
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載のアクセルペダル誤操作解消機構に使用するアクセルアーム(101)であって、アクセルペダル(102)と、前記第1のカム板(6)に取付けられる取付けブラケット(103)と、前記アクセルペダル(102)及び取付けブラケット(103)を連結する板ばね部材(104、105)とを備える、アクセルアーム。
【請求項9】
請求項8に記載のアクセルペダルにおいて、
前記板ばね部材(104、105)は少なくとも一対分設けられ、一つの板ばね部材(104)は前記アクセルペダル(102)及び取付けブラケット(103)に取付け固定され、また残りの板ばね部材(105)は前記アクセルペダル(102)及び取付けブラケット(103)の何れか一方に取付け固定され且つ他方に対しては相対的摺動自在に取付けられている、アクセルアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて過度に踏み込んだときにアクセル操作をキャンセルし更にブレーキを作動させて、車の暴走を防止し得るアクセルペダル誤操作解消機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車の運転時に運転者がアクセルペダルを踏み込んで車を加速させてアクセルペダルから足を離した後に、例えば前方の車が急減速した場合は、追突防止のためブレーキペダルを緊急に一杯に踏み込んで車を停止させる必要がある。しかしながら、このとき間違えてアクセルペダルを一杯に踏み込んでしまうと、車は減速・停止どころか却って急加速して暴走し追突事故に至る。これ以外にも、車の発進時にもブレーキペダルとアクセルペダルを間違えて急発進してしまい、前方の車や、壁又は建物に衝突してしまうこともある。
【0003】
これらの問題を解消するために、すでに完成した車に対して従来、種々の後付け方式のアクセルペダル誤操作解消装置が提案されている。例えば、特許文献1の発明では(以下、特許文献1中の符号を使用して説明する)、アクセルアーム40と、ブレーキアーム10との間に伝達部材20(ロックレバー41で係止したストッパー杆70及びスロットルバルブワイヤWを連結したアーム機構47を有する)を設け、アクセルアーム(アクセルペダル)40を通常角度範囲で踏み込む時は、ストッパー杆70の前端が車体に当接してそれ以上移動しないので伝達部材20の揺動が禁止されている。しかるに、アクセルアーム(アクセルペダル)40を通常角度範囲を超えて過度に踏み込んだ時は、連動機構によりロックレバー41が揺動してストッパー杆70のロックが解除されるため揺動部材20がフリーとなって揺動することによりブレーキアーム10を押圧してブレーキ作動させると共に、アーム機構47が係合アーム56との係合を解除されてフリーとなってスロットルバルブワイヤWの戻り移動を許容してアクセル操作をキャンセルして暴走を防止する。
【0004】
また、本出願人は、特願2020-138603号にて(以下、特許文献2中の符号を使用して説明する)、アクセルペダル3aを有するアクセルアーム作動部材29、3と、アクセルアクチュエータ(スロットル弁に連結されている)46を連結されたアクセルアクチュエータ作動アーム22と、アクセルアーム作動部材29、3とアクセルアクチュエータ作動アーム22との間に設けられたアクセル動作解除部材24、26、28とを設けており、アクセル動作解除部材24、26、28は、爪レバー支持回動ブロック24と、爪レバー支持回動ブロック24に回動可能に取付けられ、アクセルアクチュエータ作動アーム22に第1係合して前記アクセル動作を可能とする爪レバー26と、前記アクセルアーム回動部材29、3に回動可能に取付けられ、前記爪レバー26に第2係合して前記アクセル動作を可能とする爪レバー係止ブロック28とを備る。そして、アクセルペダル3aの踏み込み角度が通常範囲内のときは、前記第1係合に基づいて、アクセル動作解除部材24、26、28が一体的に回動してアクセル動作を可能とし、またアクセルペダル3aの踏み込み角度が通常範囲を超えたときは、前記第2の係合が解除されて爪レバー26が係合解除方向に回動することによりアクセルアクチュエータ作動アーム22を介してアクセルアクチュエータ46が戻り移動されてアクセル動作を解除するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6501333号公報
【特許文献2】特願2020-138603号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術によれば、伝達部材20は、アクセルアーム40以外に、ロックレバー41、ストッパー杆70、アーム機構47及び上記連動機構等の多くの部材を取付けられた状態で、ブレーキアーム10に取付けられる。このため、ブレーキアーム10の重量は車輌メーカーが当初想定していた重量より相当に大きくなってその動作負荷が大きくなり安全上の問題を生ずるおそれがあった。また、ストッパー杆70が長く前後に伸び、また伝達部材20はほぼブレーキアーム10と同等の大きさを有するため装置が大型化し、装置の取付けスペースの確保が難しく取付け可能車種が限られていた。
【0007】
また、上記特許文献2の技術によれば、アクセル動作解除部材24、26、28が、爪レバー26以外に、爪レバー支持回動ブロック24及び爪レバー係止ブロック28を必要として構成部品が多く構成が複雑化するという問題点があった。
【0008】
本発明の目的は、アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて過度に踏み込んだときにアクセル操作をキャンセルしブレーキを作動させて、車輌の暴走を防止し、しかも機構を収納・保持するフレーム部をブレーキアームでなく車体への取付ることにより、ブレーキ操作に過度の負荷を与えることなく、また揺動部材のような大型部材は不要で装置を小形化し得るアクセルペダル誤操作解消機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1の本発明の構成は、車体に取付け固着されたフレーム(2)と、アクセルペダル(3a)を有し、前記フレーム(2)に復帰方向にばね(17)付勢されて回動自在に取付けられたアクセルアーム作動部材(3、6)と、アクセルアクチュエータ(16)に連結され、前記フレーム(2)に回動自在に取付けられた第1連動部材(14)と、前記アクセルアーム作動部材(3、6)に回動自在に取付けられ、前記第1連動部材(14)の係合部(14a)にばね(19)付勢により係合可能の爪部(13a)を有する爪レバー(13)とを備え、
前記アクセルペダル(3a)が通常角度範囲内で踏み込まれるときは、前記爪レバー(13)及び前記第1連動部材(14)の係合により、前記第1連動部材(14)を介して前記アクセルアクチュエータ(16)を作動させて車を加速させ、また前記アクセルペダル(3a)が通常範囲を超えて過度に踏み込まれたときは、前記爪レバー(13)及び前記第1連動部材(14)の係合が解除されることにより、前記第1連動部材(14)がアクセル動作解除方向へ回動復帰することを許容すると共に、前記アクセルアクチュエータ(16)を作動復帰させてアクセル動作を解除させる、アクセルペダルの誤操作解消機構である。
【0010】
本発明の第2の形態は、車体に取付け固着されたフレーム(2)と、アクセルペダル(3a)を有し、前記フレーム(2)に復帰方向にばね(17)付勢されて回動自在に取付けられたアクセルアーム作動部材(3、6)と、前記アクセルアクチュエータ(16)に連結され前記フレーム(2)に回動自在に取付けられた第1連動部材(14)と、前記アクセルアーム作動部材(3、6)に回動自在に取付けられ、前記第1連動部材(14)の係合部(14a)にばね(19)付勢により係合可能の爪部(13a)を有する爪レバー(13)と、前記アクセルアーム作動部材(3、6)に対して連動的に接続され、既設ブレーキアーム(28)に接離可能に離間して取付けられブレーキアーム押圧部材(10)とを備え、
前記アクセルペダル(3a)が通常角度範囲内で踏み込まれるときは、前記爪レバー(13)及び前記第1連動部材(14)の係合により、前記第1連動部材(14)を介して前記アクセルアクチュエータ(16)を作動させて車を加速させ、また前記アクセルペダル(3a)が通常範囲を超えて過度に踏み込まれたときは、前記爪レバー(13)及び前記第1連動部材(14)の係合が解除されることにより、前記第1連動部材(14)がアクセル動作解除方向へ回動復帰することを許容すると共に、前記アクセルアクチュエータ(16)を作動復帰させてアクセル動作を解除させると共に、前記ブレーキアーム押圧部材(10)が前記既設ブレーキアーム(28)に当接しこれを押圧移動させてブレーキ作動させる、アクセルペダルの誤操作解消機機構である。
【0011】
本発明の第3の形態は、前記フレーム(2)に爪レバー係合解除カムブロック(27)が取付け固定され、前記アクセルペダル(3a)が通常範囲を超えて過度に踏み込まれたとき、前記爪レバー(13)が前記アクセルアーム作動部材(3、6)と共に回動される際に、前記爪レバー(13)が前記爪レバー係合解除カムブロック(27)に当接して前記ばね(19)に抗して回動されることにより、前記爪レバー(13)の爪部(13a)と前記第1連動部材(14)の係合部(14a)との前記係合解除が行なわれる、アクセルペダルの誤操作解消機構である。
【0012】
本発明の第4の形態は、車体には既設のアクセルアーム(32)が設けられており、
前記アクセルアクチュエータ(16)は、前記フレーム(2)に復帰方向にばね付勢されて回動自在に取付けられ既設アクセルアーム押圧部材(16)であって、前記既設のアクセルアーム(32)をアクセル踏込み方向へ押圧可能の押圧部(16c)を有するような前記既設アクセルアーム押圧部材(16)である。
【0013】
本発明の第5の形態は、前記アクセルアクチュエータ(16)は、車体に設けられたアクセルワイヤである。
【0014】
本発明の第6の形態は、前記フレーム(2)に、前記第1連動部材(14)の回動を感知するための感知ばね(26)が設けられ、前記アクセルペダル(3a)が通常範囲の限界位置まで踏み込まれたとき、前記第1連動部材(14)のばね押圧部(14f)が前記感知ばね(26)に直接的又は間接的に当接して該感知ばね(26)のばね変形に基づく反発力により、運転者に前記通常範囲の限界位置の感触を伝える。
【0015】
本発明の第7の形態は、前記ブレーキアーム押圧部材(10)と連動する連動カム板(8)が前記フレーム(2)に回動自在に取付けられ、前記アクセルアーム作動部材(3、6)が第1のカム部(6a)を有し、且つ前記連動カム板(8)が第2のカム部(8a)を有し、
前記アクセルアーム作動部材(3、6)が過度に踏み込まれたときに、前記第1及び第2のカム部(6a、8a)の係合に基づいて前記連動カム板(8)が車体前方向へ移動することにより、前記ブレーキアーム押圧部材(10)が前方向へ移動されて前記既設ブレーキアーム(28)を同方向へ押圧的に移動させてブレーキ作動を行わせる。
【0016】
本発明の第8の形態は、前記第1乃至第7の形態の何れかに記載のアクセルペダル誤操作解消機構に使用するアクセルアーム(101)であって、アクセルペダル(102)と、前記第1のカム板(6)に取付けられる取付けブラケット(103)と、前記アクセルペダル(102)及び取付けブラケット(103)を連結する板ばね部材(104、105)とを備える、アクセルアームである。
【0017】
本発明の第9の形態は、前記板ばね部材(104、105)は少なくとも一対分設けられ、一つの板ばね部材(104)は前記アクセルペダル(102)及び取付けブラケット(103)に取付け固定され、また残りの板ばね部材(105)は前記アクセルペダル(102)及び取付けブラケット(103)の何れか一方に取付け固定され且つ他方に対しては相対的摺動自在に取付けられている。
【発明の効果】
【0018】
本発明のアクセルペダル誤操作解消機構によれば、アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて過度に踏み込んだときにアクセル操作をキャンセルして、車の暴走を防止し得ると共に、しかもアクセルアームを誤って強く踏み込んだときのアクセル動作を解除する部材を実質的に爪レバーのみとして部品点数を減少させることにより、構成を簡単化し得、且つ動作の信頼性を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第1実施例の運転待機状態(アクセルペダル踏込み前)においてアクセルアームの第1実施形態(即ち、
図11の板ばね部材104、105を使用)を使用した機構の右上方組立斜視図である。
【
図1B】同上、アクセルアームの第2実施形態(即ち、板ばね部材を不使用)を使用した機構の右上方組立斜視図である。
【
図2】
図1Bのアクセルアームの第2実施形態を使用した誤動作解消機構の、左上方組立斜視図である。
【
図5A】同上、アクセルペダル踏込み前の左側面図である。
【
図5B】同上、アクセルペダル踏込み前の左側面図であるが、ブレーキ作動摺動バー10を取り去った状態の図である。
【
図6B】同上、右側面図であるが、既設アクセルアームユニット31及び既設アクセルアーム32を取り去った状態の図である。ブレーキ作動摺動バーを取り去った状態の図である。
【
図7】同上、アクセルペダルが通常角度範囲で踏み込まれた状態の左側面図である。
【
図8B】同上、右側面図であるが、既設アクセルアームユニット31及び既設アクセルアーム32を取り去った状態の図である。
【
図9】同上、アクセルペダルが通常角度範囲を超えて過度に踏み込まれた状態の左側面図である。
【
図10B】同上、右側面図であるが、既設アクセルアームユニット31及び既設アクセルアーム32を取り去った状態の図である。
【
図11】上記機構のアクセルアームの上記アクセルアームの第1実施形態のアクセルペダル踏込み前の左側面図である。
【
図14】同上、アクセルペダル踏込み後の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1Aはアクセルアームの第1実施形態(即ち、
図11の板ばねを使用)を使用した場合、及び
図1Bは、アクセルアームの第2実施形態(即ち、板ばね部材104、105を不使用)を使用した場合の、本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第1実施例の運転待機状態の右上方組立斜視図である。また、
図2及び
図3は夫々、
図1Bのアクセルアームの第2実施形態(即ち、板ばねを不使用)を使用した誤動作解消機構の左上方組立斜視図及び正面図であり、また
図4はその分解斜視図、
図5A、5B及び
図6A、6Bは夫々、上記要部のアクセルペダル踏込み前の左側面図及び右側面図である。以下の説明は、最初に、
図1Bのアクセルアームの第2実施形態(即ち、板ばね部材を不使用)を使用した場合の誤動作解消機構について説明し、アクセルアームの第1実施形態(即ち、
図11の板ばね部材104、105を使用)については
図11以降で説明することとする。
【0021】
各図中、1はアクセルペダル誤操作解消機構で、
図4に示す如く、大略、フレームユニット2と、アクセルアーム3と、アクセル加速及びキャンセル機構4と、ブレーキ作動機構5とを備える。このアクセルペダル誤動作解消機構1は、完成した車に後付け式に取付け可能なものであり、この場合、アクセルアーム3には後述する如く第1のカム板6が取付け固定され、該第1のカム板6が支点ピン7により主フレーム2Yに枢支される特有の形状で製作される、即ちアクセルアーム3は車に当初から既設のものではないから、通常は上記機構1に含まれて市場に流通する。28はブレーキアームであるが、車種に応じて車に当初から既設のものであり、機構1には含まれない。後述する既設のアクセルユニット31及び既設アクセルアーム32も車に当初から既設のものであり、機構1には含まれない。
【0022】
フレームユニット2は、フレーム板2Xに主フレーム2Y及びカバーフレーム2Zをボルトにより組付けたものである。
【0023】
アクセルアーム3は、アクセルペダル3aを有し、その上端部に第1のカム板6(第1のカム部6a及び後述する爪レバー13の枢支孔6bを有する;
図4)がボルト20により取付け固定されて、アクセルアーム回動部材3、6を構成する。第1のカム板6は、主フレーム2Yに対して支点ピン7により回動自在に枢支され、主フレーム2Y及び第1のカム板6間に張設したばね17により、矢印B方向(回動復帰方向)へ付勢されている。なお、アクセルアーム3と第1のカム板6は、一対のボルト20が第1のカム板6の一対の孔6c及びアクセルアーム3の円形孔3b及び長孔3c(
図4)を貫通して固定される。このため、一つのボルト20の長孔3c内での位置を移動調節することによりアクセルアーム3の第1のカム板6に対する取付け角度を調節可能であり、後述する如くアクセルペダル3aがブレーキペダル28aと間違えて過度に踏み込まれたときにアクセル操作をキャンセルしてブレーキを作動させる際に、適切なタイミングでアクセルペダル3aを車体床面110に当ててブレーキ力を調整するためにアクセルアーム3の角度調節を行えるようになっている。なお、アクセルアーム3及び第1のカム板6は上記の如く別部材であるが、これに限らず当初から一体的部材として形成してもよい。
【0024】
アクセル加速及びキャンセル機構4は、大略、爪レバー13と、第1連動部材としての略V字形回動体14(V字形回動体本体14X、回動バー14Y及びばね押圧片14Zを一体的に組付けてなる)と、第2連動部材としての連結ロッド15と、既設アクセルアーム31を押圧する押圧リンク16とを備える。爪レバー13は、第1のカム板6に対してカム板枢支孔6bに挿通するピン13bの周りにばね19により矢印B方向へ回動付勢されて枢支される。また、V字形回動体本体14Xは係合部14a(
図4)を有する。また、回動バー14Yはボルト23が回動バー14Yの孔14e及びV字形回動体本体14Xの取付け孔14cを挿通してV字形回動体本体14Xに取付け固定される。また、ばね押圧片14Zはばね押圧板部14fを有し、ボルト14gによりV字形回動体本体14Xにその取付け孔14dを介して取付け固定されている。またV字形回動体14は、主フレーム2Yに対してその枢支孔14bを挿通した支点ピン7の周りに回動自在に枢支される。このV字形回動体14は、後述の如く既設アクセルユニット31の内蔵ばねにより矢印B方向へ回動付勢され、初期位置においては、主フレーム2Yに取付け固定したストッパー板2c(
図4)に当接している。
【0025】
図4中、2dは主フレーム2Yにボルト24により固定されたばね支持フレームであり、そのばね支持板部2eに上下動可能に取付けたピン25の下端頭部及び支持板部2e間の部分にコイルバネ26が該ピン25を下方へ付勢して嵌装される。後述する如く、このピン25下端頭部に対してV字形回動体14のばね押圧片14Zのばね押圧板部14fが当接可能である。また、27は爪レバー係合解除カムブロックで、爪レバー13の下方且つ矢印C方向位置で、ボルト27aにより、主フレーム2Yに固定される。
【0026】
次に、第2連動部材としての連結ロッド15は、ロッド部15aの両端に一対のロッドエンドベアリング15bをナット15cを介在して組み付けたもので、ナット15cを回転調節することにより全長を調節可能である。各ロッドエンドベアリング15bのベアリング部15b1にはボルト15dが回転自在に挿通されるが、一方のボルト15dは回動バー14Yの上端孔14h(
図4)に挿通され且つ他方のボルト15bは押圧リンク16の上端孔16aに挿通される。かくして、V字形回動体14(第1連動部材)、連結ロッド15(第2連動部材)及び押圧リンク16は、一対のボルト15dを各支点として連動的に回動可能である。
【0027】
押圧リンク16は略L形板で、下端孔16bに、スリーブ状押圧バー16cに挿通したボルト16dが固定される。(
図4)この押圧リンク16は中央孔16eがフレーム板2Xに設けたピン2bに回動自在に枢支される。
【0028】
ブレーキ作動機構5は、大略、第2のカム板8と、ブレーキ作動摺動バー10とからなる。第2のカム板8は、第2のカム部8a(
図4)を有し、主フレーム2Yに対して下端孔8bを挿通して取付けられた支点ピン9の周りにばね18により矢印A方向へ回動付勢されて枢支される。このとき、第1及び第2のカム板6及び8の各カム部6a、8aが係合可能に離間対向する。
【0029】
ブレーキ作動摺動バー10は、第1摺動バー10Xと、第2摺動バー10Yとを組付けたもので(
図4)、第1摺動バー10Xは前後方向に伸びる長孔10a及び板部10bを有する。また第2摺動バー10Yは同じく前後方向に伸びる長孔10c及びブレーキアーム押圧バー10dを有し、長孔10cを挿通する一対のボルト11が第1摺動バー10Xの板部10bのねじ穴10b1に取付けられて、第1摺動バー10Xに取付け固定される。このとき、ボルト11を再度緩め且つ締め付けて第2摺動バー10Yを長孔10cの機能により第1摺動バー10Xに対して前後方向に相対的位置調節することが可能であり、これにより押圧バー10dがブレーキアーム28に当接してブレーキ作動させるタイミングを調節可能である。
【0030】
また、ブレーキ作動摺動バー10は、その第1摺動バー10Xの長孔10aが、主フレーム2Yのピン2a(
図4)に係合され、且つ第1摺動バー10Xの孔10eを挿通した支点ピン12が第2カム板8の上端孔8cに枢支止めされる。これにより、アクセルアーム3が矢印A及びB方向へ往復的に回動される際に、第1カム板6及び第2カム板8の各カム部6a、8aのカム係合を介して、ブレーキ作動摺動バー10は、長孔10a及びピン2aの係合案内により矢印C及びD方向へ往復移動可能である。
【0031】
図4中、28は車に既設のブレーキアームで、ブレーキペダル28aを有し、その所定部がブレーキ作動摺動バー10の押圧バー10dに離間対向している。
【0032】
31は車に既設のアクセルユニットであり、既設アクセルアーム32を有する。この既設アクセルアーム32は、ユニット31に内蔵するばね手段(図示せず)により常に矢印B方向へ回動付勢されてその当接部32aが押圧リンク16の押圧バー16cに付勢的当接している。(
図6)なお、既設アクセルアーム32はその既設アクセルペダル部分32bを切断除去されている。(
図1B乃至
図3)また、押圧リンク16の押圧バー16cと当接部32aとが当接する回動方向の初期位置は、連結ロッド15をナット15cにより長さ調節することにより、適宜調節可能である。
【0033】
既設アクセルユニット31は、もともと車体に既設部品として取付けられていたものであるが、該ユニット31を車体から取り外した後に、機構1のフレーム板2Xが車体に取付け固定される。しかる後にユニット31はその取付け孔31aにフレーム板2Xのボルト2fを挿通してナット33により締め付け固定されて該フレーム板2Xに再取付けされている。(
図4)
【0034】
次に、本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第1実施例の動作について説明する。
最初に、車が停止した運転待機状態では、アクセル加速及びキャンセル機構4において、
図6A中、上述の如く、既設アクセルアーム32の当接部32aが押圧リンク16の押圧バー16cに付勢的当接している。このため、押圧リンク16も矢印B方向へ回動付勢されるため、連結ロッド15及び回動バー14Yを介して、V字形回動体14を同方向へ付勢している。従って、V字形回動体14はその係合部14aが主フレーム2Yに取付けたストッパー板2cに付勢的当接した初期位置にある。このとき、爪レバー13はばね19によりその爪部13aがV字形回動体14の上記係合部14aに係合している。
【0035】
次に、
図5A、5B及び
図6A、6Bの初期位置から、運転者が、アクセルアーム回動部材(アクセルアーム3及び第1のカム板6)をそのアクセルペダル3aをばね17及び既設アクセルユニット31の内蔵ばね手段に抗して矢印A方向へ通常運転角度範囲内で踏み込んでアクセル全開位置へ至ったとする(
図7、
図8A、8B)。従って、アクセルアーム3が
図7及び
図8A、8B中、二点鎖線で示す待機位置3a1から実線で示すアクセル全開位置3a2まで回動する。この間、爪レバー13(第1のカム板6に枢支されている)はアクセル回動部材3、6と共に矢印A方向へ回動する。従って、爪レバー13と爪部13a及び係合部14aにて係合しているV字形回動体14は支点ピン7の周りに矢印A方向へ回動して
図8Bの位置へ至る。従って、押圧リンク16も回動バー14Y及び連結ロッド15を介して同方向へ回動して
図8Bの位置へ至り、この間、押圧バー16cにより当接部32aを介して既設アクセルアーム32を
図8Aの位置まで押し込んで通常運転角度範囲内での最大加速を実現させる。
【0036】
ここで、V字形回動体14が
図8Bの位置へ至ったときに、V字形回動体14と一体のばね押圧片14Zはそのばね押圧板部14fがばね支持フレーム2dに支持されたピン25の下端頭部に当接して僅かに上方へ変位させようとするが、ばね26の反発力を受けて停止する。なお、
図5以下の符号110は、車体の床面である。
【0037】
次に、運転者が、例えば
図7及び
図8A、8Bの位置から、ブレーキペダル28aと間違えてアクセルペダル3aを過度に踏み込んで、アクセルアーム3を、通常運転角度範囲を超えて過度(例えば荷重10kg以上)の踏込み位置(
図9、
図10A、10B)まで回動させたとする。すると、V字形回動体14が
図8A、8Bの位置から僅かに更に矢印A方向へ回動した時点で、ばね押圧板部14fがピン25を介してばね26を該ばね26の上記反発力以上の大きな力を及ぼしてばね26を収縮させる、従って、V字形回動体14は
図8Bの位置から僅かに矢印A方向へ回動する。このタイミングで爪レバー13(アクセル作動部材3、6と一体に支点ピン7の周りに回動している)の下方部分が爪レバー係合解除カムブロック27に接触してそのカム作用によりばね19に抗して枢支点13bの周りに矢印A方向へ回動されるので(
図10A参照)、爪レバー13の爪部13a及びV字形回動体14の係合部14aとの係合が解除される。
【0038】
すると、V字形回動体14は、これと一体の回動バー14Y、連結ロッド15及び押圧リンク16の連結部材を介して既設アクセルアーム32からのばね力により常に矢印B方向へ回動付勢されているので、上記爪レバー13との係合解除に基づいて、急速に同方向へ回動復帰してストッパー板2c(
図4及び
図10A、10B参照)に当接復帰し、この初期位置(
図10、
図6)で停止する。同時に回動バー14Y、連結ロッド15及び押圧リンク16も
図7及び
図8A、8Bの位置から
図6A、6Bの初期位置へ回動復帰するから、押圧リンク16の押圧バー16cにより押圧されていた既設アクセルアーム32も矢印B方向へ回動復帰して初期値へ至る。(
図10A)かくして、アクセルアーム3の間違った過度な踏込み動作にもかかわらず、既設アクセルアーム32は急速に回動復帰して、車の急加速が回避されて未然に事故が防止される。
【0039】
同時に、上記の如く、運転者がアクセルペダル3aの過度な踏み込みによりアクセルアーム3を過度に回動させたとき、第1及び第2のカム板6及び8の各カム部6a及び8aの係合により第2のカム板8が
図7の位置から
図9の位置まで支点ピン9の周りに矢印B方向へ所定角度だけ回動する。従って、ブレーキ作動摺動バー10が、長孔10a及びピン2aの案内により矢印C方向へ所定距離だけ急速に摺動する。従って、ブレーキ作動摺動バー10のブレーキアーム押圧バー10dがブレーキアーム28に当接して矢印C方向へ押圧するため(
図9)、ブレーキアーム28は矢印A方向へ回動して
図10A中で上方位置28a1から下方位置28a2へ至り、ブレーキ作動させて車を停止させる。かくして、既設アクセルアーム31の急速回動復帰による急加速の解除と相俟って確実に車の急加速事故を防止し得る。
【0040】
その後、アクセルペダル3aの踏込み力が解除されると、アクセル回動部材3、6が
図9及び
図10A、10Bの位置から
図5A、5B、及び
図6A、6Bの初期位置へばね17により回動復帰するので、第2のカム板8も第1のカム板6とのカム係合が解除されてばね18により初期位置へ回動復帰する。従って、ブレーキ作動摺動バー10も、第2のカム板8の復帰に伴い、矢印D方向へ摺動復帰して初期位置(
図5A、5B、及び
図6A、6B)へ戻るので、ブレーキアーム28も初期位置へ回動復帰する。同時に、上記アクセルアーム3の回動復帰に伴って、爪レバー13の枢支点13bが初期位置へ回動復帰すると共に、爪レバー13自体もばね19により矢印B方向へ回動復帰して、すでにストッパー板2cに当接復帰して初期位置にあるV字形回動体14の係合部14aに係合復帰する。
【0041】
次に、
図11乃至
図14は、
図1Aに示した誤動作解消機構に適用されたアクセルアームの第1実施形態(即ち、
図11の板ばね部材104、105を使用)の側面図、正面図、分解斜視図、及び動作後側面図であり、これは本出願人による上記特許文献2の
図34に示した一体部材のアクセルアーム3及びL形アーム29がアクセルペダル3aの踏込により回動する際の問題点を解消するものである。これを理解し易くするため、特許文献2の
図34を本出願の
図15として再掲し、特許文献2の
図34中の部材と対応する部材には記号「x」を加えて示す。(例えば特許文献2の
図34中の符号29は、本出願の
図15中では符号29xとなる)これによれば、
図15に示す如く、有効無効切換スイッチ201xがオフの場合は、L形アーム29xが通常角度範囲で踏込方向(同図中矢印A方向)に回動したときに、スイッチ201xのストッパー部201exに当接して停止しそれ以上の回動が阻止され、このためアクセルキャンセル動作及びブレーキ動作が行われないようになっている。(有効無効切換スイッチ201xがオンの場合はストッパー部201exが無いのでアクセルキャンセル動作及びブレーキ動作が行われる。)しかるに、運転者が
図15の時点からブレーキペダル28aと間違えて更にアクセルペダルアーム3xのアクセルペダル3ax(L形アーム29xと一体)を過度に踏み込むことがあり、するとアクセルペダルアーム3x及びL形部材29xに大きな負荷が作用し、その結果L形アーム29x、ストッパー部201ex、ハウジング11x及び支点ピン21x等が損傷することがあった。以下に述べる
図11乃至
図14の実施形態は、その問題点を解消したものであるが、この実施形態では、特許文献2のような有効無効切換スイッチ201xは設けられていない。しかしながら、
図11乃至
図14の実施形態に有効無効切換スイッチ201xを設けても良いことは勿論である。
【0042】
図11乃至
図13中、アクセルアーム101は、大略、アクセルペダル102(取付け板部102aを有する)と、取付けブラケット103(取付け板部103aを有する)と、一対の長方形板ばね部材104、105と、一対の押さえ板106、107とを備える。二つの板ばね部材104及び105は、互いに重ねた状態で二つの取付け板部102a、103a下面にブリッジ状にまたがって配置され、その両端に配置された一対の押さえ板106、107を貫通するボルト108により取付け板部102a、103aに取付け固定される。
【0043】
このとき、二つの板ばね部材104及び105は、アクセルペダル102側では、取付け板部102a及び押さえ板106間で二枚の板ばね部材104、105の各端部が挟まれているが、アクセルペダル103側では、取付け板部103a及び押さえ板107間で一枚の上側板ばね104端部のみが挟まれ、下側板ばね105のばね先端部105aは押さえ板107の下面に乗り上げてその先端部はフリーになっている。なお、取付けブラケット103の円形孔103b及び長孔103cは
図4に示すアクセルアーム3の円形孔3b及び長孔3cに対応するもので、これにより取付けブラケット103は第1のカム板6(
図4参照)に対して取付け角度位置を調節可能に取付けられる。また、110は車体の床面である。
【0044】
次に、アクセルアーム101の動作について説明するが、
図11の状態は、有効無効切換スイッチ201xがオフでアクセルペダル102が通常角度範囲の限界位置まで踏み込まれた状態(特許文献2の
図34及び本願の
図7、
図8A、8B、
図15に対応する位置)である。この状態において、アクセルペダルとブレーキペダルを間違えて、アクセルペダル102を過度に押し込んでアクセルアーム101を矢印A方向へ回動させたとする。すると、アクセルアーム101を過度に踏み込む途中においてアクセルアーム101自体に比較的大きな力が発生するので、
図15の場合と同様に、この力を伝達された誤操作解消機構1の本体機構部(第1のカム板6及びその支点ピン7等;
図4参照)に損傷を与える可能性がある。しかるに、本実施形態では、アクセルアーム101の踏み込みに大きな力が発生したとしても、
図14に示す如く二枚の板ばね部材104及び105が板ばね上面側(図中左側面)が凸状になるように弾性変形し、同時に下側板ばね部材105はその先端部105aが押さえ板107の下端に接触摺動して上記弾性変形を許容する。かくして、板ばね部材104及び105の弾性変形により上記力が吸収されるため、これにより上記本体機構部の損傷を防止できる。十分な反発力を得るために、板ばね部材104及び105の反発力を強いものにする方法があるが、取付け板部102a、103aのブリッジ間の距離に耐えられるばねが無い(塑性変形してしまう)ため、2枚を組み合わせることで実現している。
【0045】
続いて、
図14に示す如く、アクセルペダル102下端部が車体床面110に当接する。これにより、板ばね部材104、105の弾性限界以上の変形をしないようにしている。続いて、アクセルペダル102の踏込み力を解除すると、アクセルアーム101は初期位置(
図5及び
図6に対応する位置)へ板ばね部材104、105の弾性変形復帰を伴いつつ回動復帰する。
なお、上記実施形態では、板ばね部材104、105は重ねて取付けられているが、これに限らず、並べて取付けられてもよい。
【0046】
上記各実施例においては、アクセルペダルを踏んで加速させる場合は、回動バー14Y、連結ロッド15、アクセルアクチュエータとしての押圧リンク16を介して既設のアクセルアーム32を押圧する構成であった。しかしながら、これに限ることなく、既設のアクセルアームを利用せずにアクセルワイヤを利用する場合は、特願2020-138603号の如く、回動バー14Yに対してアクセルバルブに連結されたアクセルアクチュエータとしての既設(又は新設)のアクセルワイヤを連結してもよい。この場合、アクセルワイヤは押圧リンク16に連結してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 アクセルペダル誤操作解消機構
2 フレームユニット
2X フレーム板
2Y 主フレーム
2Z カバーフレーム
2a、2b ピン
2c ストッパー板
2d ばね支持フレーム
2e ばね支持板部
2f ボルト
3 アクセルアーム
3a アクセルペダル
3b 円形孔
3c 長孔
4 アクセル加速及びキャンセル機構
5 ブレーキ作動機構
6 第1のカム板
6a 第1のカム部
6b 枢支孔
6c 孔
7 支点ピン
8 第2のカム板
8a 第2のカム部
8b 枢支孔
8c 孔
9 支点ピン
10 ブレーキ作動摺動バー
10X 第1摺動バー
10Y 第2摺動バー
10a、10c 長孔
10b 板部
10b1 ねじ穴
10d ブレーキアーム押圧バー
11 ボルト
12 支点ピン
13 爪レバー
13a 爪部
13b 支点ボルト
14 V字形回動体
14X V字形回動体本体
14Y 回動バー
14Z ばね押圧片
14a 係合部
14b 枢支孔
14c、14d、14e、14h 取付け孔
14f ばね押圧板部
15 連結ロッド
15a ロッド部
15b ロッドエンドベアリング
15b1 ベアリング部
15c ナット
15d ボルト
16 押圧リンク(アクセルアクチュエータ)
16a、16b 孔
16c 押圧バー(押圧部)
16d ボルト
16e 枢支孔
17、18、19 ばね
20、23、24 ボルト
25 ばね圧縮ピン
26 コイルバネ
27 爪レバー係合解除カムブロック
27a ボルト
28 既設ブレーキアーム
31 既設アクセルアームユニット
31a 取付け孔
32 既設アクセルアーム
32a 当接部
32b 既設アクセルペダル部分
101 アクセルアーム
102 アクセルペダル
102a、103a 取付け板部
104、105 板ばね部材
105a 板ばね先端部
106、107 押さえ板
108 ボルト
110 床面