(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138827
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20220915BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
A61B5/055 390
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038930
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保田 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】野上 和人
(72)【発明者】
【氏名】石原 隆尋
(72)【発明者】
【氏名】篠田 健輔
(72)【発明者】
【氏名】小澤 慎也
【テーマコード(参考)】
4C096
5C086
【Fターム(参考)】
4C096AA18
4C096AB46
4C096AD19
4C096AD24
4C096DE07
4C096EA06
4C096EA10
4C096FB03
4C096FC20
5C086AA22
5C086AA53
5C086BA07
5C086CA08
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086FA17
(57)【要約】
【課題】磁場環境下の撮影室における安全性を向上すること。
【解決手段】実施形態に係る情報処理システムは、検出部と、演算部と、表示部とを備える。前記検出部は、磁性体を検出し、検出された磁性体に関する磁性体情報を出力する。前記演算部は、出力された前記磁性体情報と、撮影室に配置されたMRI装置が発生する静磁場の強度分布とに基づいて、前記撮影室において前記静磁場による前記磁性体の磁場吸着が発生する可能性がある吸引領域と、前記磁場吸着が発生する可能性がない非吸引領域とを算出する。前記表示部は、算出された前記吸引領域及び前記非吸引領域のうち少なくとも一方の領域を表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体を検出し、検出された磁性体に関する磁性体情報を出力する検出部と、
出力された前記磁性体情報と、撮影室に配置されたMRI装置が発生する静磁場の強度分布とに基づいて、前記撮影室において前記静磁場による前記磁性体の磁場吸着が発生する可能性がある吸引領域と、前記磁場吸着が発生する可能性がない非吸引領域とを算出する演算部と、
算出された前記吸引領域及び前記非吸引領域のうち少なくとも一方の領域を表示する表示部と
を含む情報処理システム。
【請求項2】
前記検出部は、前記磁性体を撮像する光学カメラを含み、前記磁性体の画像データを前記磁性体情報として出力し、
前記演算部は、画像特徴量及び磁場吸着事故履歴の有無の対応が登録されたデータベースと、前記画像データに対する画像認識で得られた画像特徴量とを用いて前記磁性体に関する前記磁場吸着事故履歴の有無を判定し、前記磁場吸着事故履歴が有るとき前記撮影室の全体を前記吸引領域として算出する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記検出部は、前記磁性体を撮像する光学カメラを含み、前記磁性体の画像データを前記磁性体情報として出力し、
前記演算部は、画像特徴量、磁気特性量及び質量の対応が登録されたデータベースと、前記画像データに対する画像認識で得られた画像特徴量とを用いて前記磁性体の前記磁気特性量及び前記質量を推定し、推定された前記磁気特性量及び前記質量に基づいて前記静磁場による前記磁性体の吸引力を推定し、推定された前記吸引力に応じて前記吸引領域及び前記非吸引領域を算出する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記検出部は、通過する前記磁性体の磁気特性量を測定する磁性体検出器を含み、前記磁気特性量の測定値を前記磁性体情報として出力し、
前記演算部は、磁気特性量及び質量の対応が登録されたデータベースと、前記磁気特性量の測定値とを用いて前記磁性体の質量を推定し、前記磁気特性量の測定値と、推定された前記磁性体の質量とに基づいて前記静磁場による前記磁性体の吸引力を推定し、推定された前記吸引力に応じて前記吸引領域及び前記非吸引領域を算出する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記検出部は、前記磁性体の質量を測定する質量測定器を含み、前記質量の測定値を前記磁性体情報として出力し、
前記演算部は、磁気特性量及び質量の対応が登録されたデータベースと、前記質量の測定値とを用いて前記磁性体の磁気特性量を推定し、前記質量の測定値と、推定された前記磁気特性量とに基づいて前記静磁場による前記磁性体の吸引力を推定し、推定された前記吸引力に応じて前記吸引領域及び前記非吸引領域を算出する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記磁性体は、前記MRI装置の寝台に載置される被検体に接続された状態で前記撮影室内に配置される医療装置であり、
前記検出部は、前記寝台に載置された前記被検体及び前記医療装置を撮像する光学カメラを含み、前記被検体及び前記医療装置の画像データを前記磁性体情報として出力し、
前記演算部は、
前記MRI装置による前記被検体の撮像部位の情報と、
前記医療装置の許容磁場強度の情報と、
前記画像データに対する画像認識で得られた、前記被検体及び前記医療装置を接続するラインの長さと、前記被検体への前記ラインの接続箇所と、前記寝台の長手方向における前記被検体の向きと、前記寝台における前記被検体の体位と
に基づいて、
前記非吸引領域のうち、前記寝台の移動に伴い前記被検体が移動しても前記MRI装置による撮影時に前記ラインによる接続が切れる可能性がない安全領域と、
前記吸引領域と、前記非吸引領域のうち、前記MRI装置による撮影時に前記ラインによる接続が切れる可能性がある領域とを含む危険領域と
を算出し、
前記表示部は、前記安全領域及び前記危険領域のうち少なくとも一方の領域を表示する、
請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記表示部は、前記撮影室における対応する位置に表示対象の領域を示す画像を投影するプロジェクタを含む、請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記表示部は、前記撮影室における表示対象の領域に対応する範囲に照明光を照射する光源装置を含む、請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記表示部は、表示対象の領域を示す画像を表示するディスプレイを含む、請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
検出された磁性体に関する磁性体情報を取得する取得部と、
取得された前記磁性体情報と、撮影室に配置されたMRI装置が発生する静磁場の強度分布とに基づいて、前記撮影室において前記静磁場による前記磁性体の磁場吸着が発生する可能性がある吸引領域と、前記磁場吸着が発生する可能性がない非吸引領域とを算出する演算部と、
算出された前記吸引領域及び前記非吸引領域のうち少なくとも一方の領域を表示対象の領域として出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項11】
検出された磁性体に関する磁性体情報を取得することと、
取得された前記磁性体情報と、撮影室に配置されたMRI装置が発生する静磁場の強度分布とに基づいて、前記撮影室において前記静磁場による前記磁性体の磁場吸着が発生する可能性がある吸引領域と、前記磁場吸着が発生する可能性がない非吸引領域とを算出することと、
算出された前記吸引領域及び前記非吸引領域のうち少なくとも一方の領域を表示対象の領域として出力することと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、情報処理システム、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、強力な静磁場中に置かれた生体組織の原子核スピンを、そのラーモア周波数をもつ高周波信号で励起し、この励起に伴って被検体内から発生する磁気共鳴信号(MR信号)に基づいて画像データを再構成する磁気共鳴イメージング(MRI)装置がある。MRI装置が配置されている撮影室の内部には、MRI装置が起動された後、MRI装置が発生する強力な静磁場が分布する領域が存在する。
【0003】
このような中、MRI装置の保守作業において作業者は、磁場環境下の撮影室内に磁性工具などの磁性体を持ち込む場合がある。この場合、作業者は、MRI装置が発生する静磁場による磁場吸着が発生しないように、磁性体の位置に留意する必要がある。また、MRI装置を用いた検査において操作者は、磁場環境下の撮影室内に点滴台や人工呼吸器、心電図などの磁性体を含む医療装置を被検体に接続した状態で配置する場合がある。この場合、操作者は、寝台移動に伴い医療装置と被検体との間のラインが途切れず、かつ、MRI装置が発生する静磁場による磁場吸着及び医療装置への電磁気学的な影響が発生しないように、医療装置の配置に留意する必要がある。しかしながら、磁場分布は目に見えないため、MRI装置が発生する静磁場による影響がある領域を把握することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、磁場環境下の撮影室における安全性を向上することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る情報処理システムは、検出部と、演算部と、表示部とを備える。前記検出部は、磁性体を検出し、検出された磁性体に関する磁性体情報を出力する。前記演算部は、出力された前記磁性体情報と、撮影室に配置されたMRI装置が発生する静磁場の強度分布とに基づいて、前記撮影室において前記静磁場による前記磁性体の磁場吸着が発生する可能性がある吸引領域と、前記磁場吸着が発生する可能性がない非吸引領域とを算出する。前記表示部は、算出された前記吸引領域及び前記非吸引領域のうち少なくとも一方の領域を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る情報処理システムにより実行される処理の概要を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る情報処理システムにより実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る情報処理システムにより実行される処理の概要を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係る情報処理システムにより実行される処理の概要を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第4の実施形態に係る情報処理システムにより実行される処理の概要を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第5の実施形態に係る情報処理システムにより実行される処理の概要を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第5の実施形態に係る処理において表示される表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係る情報処理システム、情報処理装置及びプログラムを説明する。なお、以下の説明において、既出の図に関して前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置10、情報処理装置30、検出装置50及び表示装置70を備える。ここで、MRI装置10、情報処理装置30、検出装置50及び表示装置70は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して通信可能に接続される。
【0010】
図2は、実施形態に係るMRI装置10の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、MRI装置10は、磁石架台111及び寝台121を備える。磁石架台111は、静磁場磁石112、傾斜磁場コイルユニット115及びRFコイル116を備える。なお、
図2は、磁石架台111の内部構成については、縦断面図にて例示する。なお、MRI装置10に、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、
図2に示す構成は一例であり、例えば、シーケンス制御回路135及びコンソール141の一部又は全部は、適宜統合して構成されてもよいし、適宜分離して構成されてもよい。例えば、MRI装置10は、MR撮影室に設置される。
【0011】
傾斜磁場コイルユニット115には、メインコイル113及びシールドコイル114が含まれている。また、MRI装置10は、傾斜磁場電源131、送信回路132、受信回路133、寝台制御回路134、シーケンス制御回路135及びコンソール141を備える。
【0012】
静磁場磁石112は、概略円筒形状を有し、被検体Pの撮像領域を含むボア(静磁場磁石112の円筒内部の空間)内に静磁場を発生する。静磁場磁石112は超伝導磁石でもよいし、永久磁石でもよい。
【0013】
傾斜磁場コイルユニット115は、概略円筒形状を有し、静磁場磁石112の内側に防振ゴム等の支持構造により保持されている。傾斜磁場コイルユニット115は、傾斜磁場電源131から供給される電流により互いに直交する方向に傾斜磁場を印加(発生)するメインコイル113と、メインコイル113の漏洩磁場をキャンセルするシールドコイル114とを有する。
【0014】
寝台121は、被検体Pが載置される天板122を備え、寝台制御回路134による制御の下、天板122を、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイルユニット115の空洞(撮像口)内へ挿入する。寝台制御回路134は、コンソール141による制御の下、寝台121を駆動して天板122を長手方向及び上下方向へ移動する。
【0015】
RFコイル116は、傾斜磁場コイルユニット115の内側に配置され、送信回路132からRFパルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。また、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路133へ出力する。なお、RFコイル116は、送信コイルと受信コイルとに分かれて構成されるものでもよい。
【0016】
受信回路133は、RFコイル116から出力される磁気共鳴信号を検出し、検出された磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成する。具体的には、受信回路133は、RFコイル116で受信された磁気共鳴信号をデジタル変換することによって磁気共鳴データを生成する。また、受信回路133は、生成された磁気共鳴データをシーケンス制御回路135へ送信する。
【0017】
シーケンス制御回路135は、コンソール141から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源131、送信回路132及び受信回路133を駆動することによって、パルスシーケンスを実行し、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源131がメインコイル113に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信回路132がRFコイル116に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路133が磁気共鳴信号を検出するタイミング等がパルスシーケンスとして定義される。例えば、シーケンス制御回路135は、プロセッサにより実現される。
【0018】
さらに、シーケンス制御回路135は、傾斜磁場電源131、送信回路132及び受信回路133を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路133から磁気共鳴データを受信すると、受信した磁気共鳴データをコンソール141へ転送する。
【0019】
また、送信回路132、受信回路133及び寝台制御回路134等も同様に、上記のプロセッサ等の電子回路により構成される。
【0020】
コンソール141は、MRI装置10を制御するコンピュータである。コンソール141は、MRI装置10の全体制御や、画像の生成等を行う。コンソール141は、処理回路142、記憶回路143、入力インタフェース144、ディスプレイ145及び通信回路146を備える。
【0021】
処理回路142は、ハードウェア資源として、プロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。処理回路142は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、MRI装置10の有する各機能を実行する。処理回路142は、MRI装置10の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。例えば、処理回路142は、撮像条件(撮像パラメータ等)の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。また、処理回路142は、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路135へ送信する。また、処理回路142は、シーケンス制御回路135から磁気共鳴データを受信し、受信した磁気共鳴データを記憶回路143に格納する。また、処理回路142は、k空間データを記憶回路143から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。また、処理回路142は、MRI装置10が発生する静磁場の強度分布を、通信回路146を用いて情報処理装置30に出力する。
【0022】
ここで、MRI装置10が発生する静磁場の強度分布とは、MRI装置10が発生する静磁場の強度の分布であり、MRI装置10から任意の距離の位置における静磁場の強度を示す情報である。なお、MRI装置10が発生する静磁場の強度分布とは、例えばMRI装置10が設けられている撮影室内の静磁場の強度分布である。この静磁場は、静磁場磁石112により、被検体Pの撮像領域を含むボア内に静磁場を発生する際に、ボア外に発生する漏洩磁場であるとする。
【0023】
記憶回路143は、処理回路142によって受信された磁気共鳴データや、処理回路142によってk空間に配置されたk空間データ、処理回路142によって生成された画像データ等を記憶する。また、記憶回路143は、処理回路142により実行される各種のアプリケーションプログラム(以下、アプリケーション)や各種の設定情報を記憶する。具体的には、記憶回路143は、撮像範囲の位置決めを支援するアプリケーションや、磁気共鳴データの信号処理に係るアプリケーション等を記憶する。例えば、記憶回路143は、RAMやROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等で実現される。
【0024】
入力インタフェース144は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路142に出力する。例えば、入力インタフェース144は、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。また、コンソール141とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路142へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース144の例に含まれる。
【0025】
ディスプレイ145は、処理回路142による制御の下、撮像条件の設定や調整に係る入力を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、処理回路142によって生成された画像等を表示する。ディスプレイ145としては、種々の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。例えばディスプレイ145として、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display:OELD)又はプラズマディスプレイが使用可能である。
【0026】
なお、ディスプレイ145は、如何なる場所に設けられてもよい。例えば、ディスプレイ145は、撮影室や操作室等に設けられてもよい。また、ディスプレイ145は、磁石架台111に設けられてもよい。また、ディスプレイ145は、デスクトップ型でもよいし、コンソール141の本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ145として、1又は2以上のプロジェクタが用いられてもよい。ここで、ディスプレイ145は、情報処理システム1における表示部の一例である。
【0027】
通信回路146は、ネットワークを介して情報処理装置30等の外部装置と通信を行う。通信回路146は、例えば、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等の通信インタフェースである。
【0028】
図3は、実施形態に係る情報処理装置30の構成の一例を示す図である。
図4は、第1の実施形態に係る情報処理システム1により実行される処理の概要を説明するための図である。
図4は、MRI装置10が配置されている撮影室に工具などの磁性体M1を把持した作業者Uが入室しようとしている状態を例示する。
【0029】
図3に示すように、情報処理装置30は、処理回路31、記憶回路32、入力インタフェース33、ディスプレイ34及び通信回路35を有する。ここで、情報処理装置30は、情報処理システム1における演算部の一例である。
【0030】
処理回路31は、情報処理装置30全体の動作を制御する。処理回路31は、ハードウェア資源として、プロセッサと、ROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路31は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、取得機能311、演算機能312、表示制御機能313及び通信機能314を実行する。
【0031】
取得機能311において、処理回路31は、MRI装置10の磁石架台111が発生する静磁場の強度分布を取得する。また、処理回路31は、検出装置50により検出された磁性体M1に関する磁性体情報を取得する。磁性体情報については、後述する。ここで、取得機能311を実現する処理回路31は、情報処理装置30における取得部の一例である。
【0032】
演算機能312において、処理回路31は、磁性体情報と、撮影室に配置されたMRI装置10が発生する静磁場の強度分布とに基づいて、吸引領域R11及び非吸引領域R12を算出する。ここで、吸引領域R11とは、撮影室においてMRI装置10が発生する静磁場による磁性体M1の磁場吸着が発生する可能性がある領域である。また、非吸引領域R12とは、当該磁場吸着が発生する可能性がない領域である。一例として、処理回路31は、画像データに対して画像認識処理を行い、画像特徴量を抽出する。処理回路31は、抽出された画像特徴量に基づいて記憶回路32の判定情報321を参照することにより、吸引領域R11及び非吸引領域R12を算出する。具体的には、処理回路31は、判定情報321及び画像特徴量を用いて磁性体M1の磁気特性量及び質量を推定する。処理回路31は、推定された磁気特性量及び質量に基づいて静磁場による磁性体M1の吸引力を推定する。処理回路31は、推定された吸引力に応じて吸引領域R11及び非吸引領域R12を算出する。一例として、処理回路31は、予め定められて判定情報321に格納されている吸引力の閾値より推定された吸引力が大きい領域を吸引領域R11として算出する。同様に、処理回路31は、予め定められて判定情報321に格納されている吸引力の閾値より推定された吸引力が小さい領域を非吸引領域R12として算出する。ここで、演算機能312を実現する処理回路31は、情報処理装置30における演算部の一例である。
【0033】
表示制御機能313において、処理回路31は、算出された吸引領域R11及び非吸引領域R12のうち少なくとも一方の領域、すなわち表示対象の領域(
図4では吸引領域R11)をディスプレイ34に表示する。また、処理回路31は、操作画面や操作者への通知画面などをディスプレイ34に表示(出力)する。ここで、表示制御機能313を実現する処理回路31は、情報処理装置30における出力部の一例である。
【0034】
通信機能314において、処理回路31は、MRI装置10が発生する静磁場の強度分布を例えばMRI装置10から受信する。また、処理回路31は、検出装置50から検出された磁性体M1に関する磁性体情報を取得する。また、処理回路31は、演算機能312により算出された吸引領域R11及び非吸引領域R12のうち少なくとも一方の領域を表示対象の領域(
図4では吸引領域R11)としてMRI装置10のディスプレイ145や表示装置70に送信(出力)する。ここで、通信機能314を実現する処理回路31は、情報処理装置30における取得部及び出力部の一例である。
【0035】
なお、各機能311~314は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路31を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各機能311~314を実現するものとしても構わない。ここで、各機能311~314は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0036】
なお、情報処理装置30は、単一の装置にて複数の機能を実行するものとして説明したが、複数の機能を別々の装置が実行することにしても構わない。
【0037】
記憶回路32は、処理回路31で使用される各種の情報を記憶する。具体的には、記憶回路32は、判定情報321と、処理回路31により実行される各種のアプリケーションや各種の設定情報とを記憶する。記憶回路32は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。
【0038】
判定情報321は、吸引領域R11及び非吸引領域R12を算出する際に処理回路31により参照される情報である。判定情報321は、例えば、画像特徴量、磁気特性量及び質量の対応が登録されたデータベースである。
【0039】
入力インタフェース33は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路31に出力する。例えば、入力インタフェース33は、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。また、情報処理装置30とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路31へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース33の例に含まれる。
【0040】
ディスプレイ34は、処理回路31による制御の下、撮像条件の設定や調整に係る入力を受け付けるためのGUIや、処理回路31によって生成された画像等を表示する。ディスプレイ34としては、種々の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。例えばディスプレイ34として、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display:OELD)又はプラズマディスプレイが使用可能である。
【0041】
なお、ディスプレイ34は、デスクトップ型でもよいし、情報処理装置30の本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ34として、1又は2以上のプロジェクタが用いられてもよい。ここで、ディスプレイ34は、情報処理システム1又は情報処理装置30における表示部の一例である。
【0042】
通信回路35は、ネットワークを介して情報処理装置30等の外部装置と通信を行う。通信回路35は、例えば、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等の通信インタフェースである。
【0043】
検出装置50は、磁性体M1を検出し、検出された磁性体M1に関する磁性体情報を出力する。例えば、検出装置50は、磁性体M1を撮像する光学カメラ51を含む。この場合、検出装置50は、磁性体M1の画像データを磁性体情報として出力する。光学カメラ51は、一例として可視光や赤外光を検出可能な撮像素子を搭載する。光学カメラ51は、例えば、MRI装置10が設置されている撮影室の内部に配置される。なお、光学カメラ51は、撮影室に限らず、撮影室の外部に設けられる操作室等に配置されてもよい。
図4は、撮影室の入口近傍を撮影範囲に含むように、光学カメラ51が撮影室の天井に配置される場合を例示する。ここで、検出装置50は、情報処理システム1における検出部の一例である。
【0044】
なお、検出装置50により得られた画像データに対する画像認識、すなわち画像特徴量の抽出は、検出装置50において実行されてもよい。この場合、磁性体情報は、画像データに対する画像認識で得られた画像特徴量である。
【0045】
なお、例えばドライバなど、同様の形状であっても、磁性体であるか非磁性体であるかが異なる場合もある。そこで、磁性体M1には、磁性体には赤のテープを付し、非磁性体には青のテープを付すなど、予め定められた規則に従いマーカを用意してもよい。当該規則は、例えば情報処理装置30の記憶回路32に記憶されているとする。
【0046】
表示装置70は、情報処理装置30により算出された吸引領域R11及び非吸引領域R12のうち少なくとも一方の領域を表示する。例えば、表示装置70は、撮影室における対応する位置に表示対象の領域を示す画像を投影する1又は2以上のプロジェクタ71を含む。ここで、撮影室における対応する位置とは、例えば撮影室の床面上の位置であるが、MRI装置10の寝台121の天板122上の位置であってもよいし、撮影室内に配置されている各種の医用装置の装置上の位置であってもよい。例えば、表示対象の領域を示す画像が、撮影室の床面上と、天板122上とに亘って投影される場合もあり得る。表示装置70は、MRI装置10が設置された撮影室の内部に配置される。
図4は、1つのプロジェクタ71が撮影室の天井に配置される場合を例示する。一例として、表示対象の領域を示す画像において吸引領域R11は、赤色で示される。このとき、プロジェクタ71は、表示対象の領域を示す画像を経時変化させることにより、吸引領域R11を点滅表示したり、色や明るさを変化させて強調表示したりすることもできる。なお、プロジェクタ71は、同様にして非吸引領域R12を表示してもよいし、吸引領域R11及び非吸引領域R12の両方を表示してもよい。この場合、プロジェクタ71は、吸引領域R11及び非吸引領域R12を、互いに異なる色で表示してもよいし、いずれか一方を点滅表示してもよい。また、プロジェクタ71は、吸引領域R11又は非吸引領域R12であることを示す文字情報Cをさらに投影してもよい。
図4は、吸引領域R11であることを示す文字情報Cとして「危険 Dangerous」と表示される場合を例示する。ここで、表示装置70は、情報処理システム1における表示部の一例である。
【0047】
なお、情報処理装置30は、MRI装置10、検出装置50又は表示装置70と一体に構成されていても構わない。例えば、実施形態に係る情報処理システム1は、MRI装置10と、検出装置50を搭載する情報処理装置30と、表示装置70とを含む構成により実現することもできる。なお、実施形態に係る情報処理システム1は、MRI装置10を含まない構成とすることもできる。この場合、MRI装置10の処理回路142は、MRI装置10が発生する静磁場の強度分布を、通信回路146を用いて、例えばLAN等のネットワークを介してRIS(画像診断部門情報システム)等のネットワークサーバに出力してもよい。また、情報処理装置30の通信機能314は、MRI装置10が発生する静磁場の強度分布を、例えばLAN等のネットワークを介してRIS等のネットワークサーバから取得してもよい。
【0048】
ここで、実施形態に係る処理について説明する。
図5は、実施形態に係る情報処理システム1により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0049】
まず、情報処理システム1は、磁性体情報を取得する(S1)。具体的には、検出装置50は、磁性体M1を検出し、検出された磁性体M1に関する磁性体情報を出力する。また、情報処理装置30は、検出装置50からの磁性体情報を取得する。
【0050】
その後、情報処理システム1は、磁性体情報に基づいて安全領域及び危険領域を算出する(S2)。ここで、本実施形態に係る安全領域は、非吸引領域R12である。また、危険領域は、吸引領域R11である。具体的には、情報処理装置30の処理回路31は、取得された磁性体情報に基づいて記憶回路32の判定情報321を参照することにより各領域を算出する。
【0051】
その後、情報処理システム1は、算出された表示対象の領域を表示する(S3)。ここで、表示対象の領域は、安全領域及び危険領域のうちの少なくとも一方の領域である。具体的には、情報処理装置30は、安全領域及び危険領域のうちの少なくとも一方の領域を、表示対象の領域として出力する。また、表示装置70は、情報処理装置30により算出された吸引領域R11及び非吸引領域R12のうち少なくとも一方の領域を表示する。
【0052】
なお、画像特徴量に応じて撮影室内の領域を吸引領域R11及び非吸引領域R12の境界、すなわち等磁場分布を表示する場合を例示したが、これに限らない。情報処理システム1は、画像特徴量に応じて撮影室内への立ち入りの可否を表示する構成とすることもできる。
【0053】
例えば、判定情報321は、画像特徴量及び磁場吸着事故履歴の有無の対応が登録されたデータベースである。換言すれば、判定情報321は、過去に磁場吸着事故が発生したと報告されている磁性体の画像データベースである。ここで、判定情報321は、例えば国内外の各種のMRI装置に関して発生した磁場吸着事故の事例データを収集することにより生成され得る。判定情報321は、製造企業ごとに用意されてもよいし、設置場所ごとに用意されてもよいし、磁力の大きさ等の任意の諸元値ごとに用意されてもよい。また、例えば、演算機能312において、処理回路31は、磁性体情報に基づいて判定情報321を参照することにより、撮影室内への立ち入りの可否を算出する。一例として、処理回路31は、抽出された画像特徴量の示す磁性体M1に関して磁場吸着事故履歴があるとき、撮影室の全体を吸引領域R11として算出する。また、処理回路31は、抽出された画像特徴量の示す磁性体M1に関して磁場吸着事故履歴がないとき、撮影室の全体を非吸引領域R12として算出する。なお、磁場吸着事故履歴は、磁場吸着事故の有無に限らず、磁場吸着事故の程度を示す情報であっても構わない。この場合、処理回路31は、磁場吸着事故履歴の示す磁場吸着事故の程度に応じて撮影室のうちの吸引領域R11及び非吸引領域R12を算出してもよい。
【0054】
このように、実施形態に係る情報処理システム1において、検出装置50は、磁性体M1を検出し、検出された磁性体M1に関する磁性体情報を出力する。一例として、光学カメラ51は、磁性体M1を撮像し、撮像により得られた磁性体M1の画像データを磁性体情報として出力する。また、情報処理装置30の処理回路31は、磁性体情報と、撮影室に配置されたMRI装置10が発生する静磁場の強度分布とに基づいて、吸引領域R11及び非吸引領域R12を算出する。一例として、処理回路31は、画像特徴量、磁気特性量及び質量の対応が登録された判定情報321と、光学カメラ51からの画像データに対する画像認識で得られた画像特徴量とを用いて、吸引領域R11及び非吸引領域R12を算出する。また、表示装置70は、情報処理装置30により算出された吸引領域R11及び非吸引領域R12のうち少なくとも一方の領域(表示対象の領域)を表示する。一例として、プロジェクタ71は、撮影室の床面等の対応する位置に表示対象の領域を示す画像を投影する。
【0055】
この構成によれば、MRI装置10が発生する静磁場による影響がある領域を、撮影室内に表示することができる。したがって、作業者(サービス担当者)は、例えばMRI装置10が起動している状態など、励磁環境下の撮影室において据付や各種のサービス作業を行う場合に、磁場吸着が発生しない領域、すなわち磁性体M1を把持して立ち入ることができる領域や磁性体M1を載置することができる領域を容易に把握することができる。これにより、磁場環境下の撮影室における安全性を向上することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
ここでは、主として第1の実施形態との相違点を説明する。
図6は、第2の実施形態に係る情報処理システム1により実行される処理の概要を説明するための図である。
【0057】
図6に示すように、本実施形態に係る検出装置50は、通過する磁性体M1の磁気特性量を測定する磁性体検出器52を含む。磁性体検出器52は、撮影室の入口近傍に配置される。磁性体検出器52は、
図6に示すように、磁場発生部521及び磁場検出部522を有する。磁性体検出器52は、例えば磁場発生部521及び磁場検出部522の間に磁場発生部521により形成される磁性体検知領域の磁場変化を磁場検出部522によって検出する。この場合、検出装置50は、磁性体M1の通過に伴う磁場変化の測定値、すなわち磁束密度変化量の測定値を磁性体情報として出力する。ここで、磁束密度変化量は、磁気特性量の一例である。
【0058】
図6に示すように、本実施形態に係る表示装置70は、撮影室における表示対象の領域に対応する範囲に照明光を照射する光源装置72を含む。光源装置72は、1又は2以上の光源を有する。光源装置72は、光源からの光を偏向したり収束させたりする光学系をさらに有していても構わない。光源装置72は、点灯する光源を選択したり、光学系を駆動したりすることにより、撮影室における照明光の照射範囲を変更可能である。ここで、撮影室における表示対象の領域に対応する範囲とは、例えば撮影室の床面上の範囲であるが、MRI装置10の寝台121の天板122上の範囲であってもよいし、撮影室内に配置されている各種の医用装置の装置上の範囲であってもよい。例えば、光源装置72からの照明光が、撮影室の床面上と、天板122上とに亘って照射される場合もあり得る。
【0059】
ここで、本実施形態に係る判定情報321は、磁束密度変化量及び質量の対応が登録されたデータベースである。また、演算機能312において、処理回路31は、磁束密度変化量の測定値に基づいて判定情報321を参照することにより、吸引領域R11及び非吸引領域R12を算出する。具体的には、処理回路31は、判定情報321及び磁束密度変化量(磁気特性量)の測定値を用いて磁性体M1の質量を推定する。処理回路31は、磁束密度変化量の測定値と、推定された磁性体M1の質量とに基づいて静磁場による磁性体M1の吸引力を推定する。処理回路31は、推定された吸引力に応じて吸引領域R11及び非吸引領域R12を算出する。
【0060】
この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
(第3の実施形態)
ここでは、主として第2の実施形態との相違点を説明する。
図7は、第3の実施形態に係る情報処理システム1により実行される処理の概要を説明するための図である。
図7に示すように、本実施形態に係る検出装置50は、磁性体M1の質量を測定する質量測定器53を含む。この場合、検出装置50は、磁性体M1の質量の測定値を磁性体情報として出力する。なお、本実施形態に係る表示装置70のプロジェクタ71は、第1の実施形態のプロジェクタ71と同様であるとする。ここで、演算機能312において、処理回路31は、質量の測定値に基づいて判定情報321を参照することにより、吸引領域R11及び非吸引領域R12を算出する。具体的には、処理回路31は、判定情報321及び質量の測定値を用いて磁性体M1の磁気特性量(例えば磁化率)を推定する。処理回路31は、質量の測定値と、推定された磁気特性量とに基づいて静磁場による磁性体M1の吸引力を推定する。処理回路31は、推定された吸引力に応じて吸引領域R11及び非吸引領域R12を算出する。この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
(第4の実施形態)
ここでは、主として第1の実施形態との相違点を説明する。
図8は、第4の実施形態に係る情報処理システム1により実行される処理の概要を説明するための図である。
図8は、MRI装置10と、寝台121の天板122上に載置された被検体Pと、当該被検体PにラインLで接続された状態で撮影室内に配置される医療装置M2とを例示する。医療装置M2は、例えば点滴台、人工呼吸器、心電図などの医療装置である。ここで、医療装置M2は、磁性体を含む。つまり、本実施形態に係る技術に上述の各実施形態に係る技術を適用する場合、本実施形態に係る医療装置M2は、上述の各実施形態に係る磁性体M1に相当する。
【0063】
本実施形態に係る検出装置50の光学カメラ51は、第1の実施形態の光学カメラ51と同様であるとする。ただし、本実施形態に係る光学カメラ51は、寝台121の天板122上に載置された被検体P及び医療装置M2を撮像する。したがって、本実施形態に係る検出装置50は、被検体P及び医療装置M2の画像データを磁性体情報として出力する。
【0064】
なお、本実施形態に係る表示装置70のプロジェクタ71は、第1の実施形態のプロジェクタ71と同様であるとする。
【0065】
ここで、本実施形態に係る判定情報321は、医療装置M2の許容磁場強度の情報をさらに含む。医療装置M2の許容磁場強度の情報とは、磁気データや電子機器に対する電磁気学的な影響の観点から医療装置M2に対して許容される磁場強度であるとする。
【0066】
取得機能311において、処理回路31は、MRI装置10からの被検体Pの撮像部位の情報と、記憶回路32からの医療装置M2の許容磁場強度の情報とをさらに取得する。
【0067】
演算機能312において、処理回路31は、検出装置50からの被検体P及び医療装置M2の画像データに対して画像認識を行う。処理回路31は、当該画像認識により被検体P及び医療装置M2を接続するラインLの長さを特定する。また、処理回路31は、当該画像認識により被検体PへのラインLの接続箇所を特定する。処理回路31は、当該画像認識により寝台121(天板122)の長手方向における被検体Pの向き(磁石架台111への挿入方向)を特定する。また、処理回路31は、当該画像認識により寝台121(天板122)における被検体Pの体位を特定する。
【0068】
また、演算機能312において、処理回路31は、撮像部位の情報に基づいて、現在の位置からの撮影時の寝台移動距離を算出する。また、処理回路31は、被検体P及び医療装置M2の画像データに対する画像認識により特定された上述の情報と、医療装置M2の許容磁場強度の情報と、算出された寝台移動距離とに基づいて、危険領域R21及び安全領域R22を算出する。
【0069】
ここで、危険領域R21とは、上述の各実施形態と同様にして算出された吸引領域R11を含む領域である。また、危険領域R21とは、上述の各実施形態と同様にして算出された非吸引領域R12のうち、寝台121の移動に伴い被検体Pが移動してもMRI装置10による撮影時にラインLによる接続が切れる可能性がある領域R12bをさらに含む領域である。また、安全領域R22とは、上述の各実施形態と同様にして算出された非吸引領域R12のうち、寝台121(天板122)の移動に伴い被検体Pが移動してもMRI装置10による撮影時にラインLによる接続が切れる可能性がない領域R12aである。
【0070】
表示制御機能313において、処理回路31は、危険領域R21及び安全領域R22のうち少なくとも一方の領域、すなわち表示対象の領域(
図8では安全領域R22)をディスプレイ34に表示(出力)する。
【0071】
また、通信機能314において、処理回路31は、被検体Pの撮像部位の情報を、例えばMRI装置10からさらに受信する。また、処理回路31は、演算機能312により算出された危険領域R21及び安全領域R22のうち少なくとも一方の領域を表示対象の領域(
図8では安全領域R22)としてMRI装置10のディスプレイ145や表示装置70に送信(出力)する。
【0072】
この構成によれば、磁性体を含む点滴台・人工呼吸器・心電図などの医療装置M2をラインLにより患者に接続した状態や留置した状態のままMRI装置10により検査を行う場合に、医療装置M2を配置可能な安全領域R22を撮影室内に表示することができる。したがって、医師や技師、看護師などのMRI装置10による検査の担当者は、磁場吸着が発生しない非吸引領域R12であって、医療装置M2と被検体Pとの接続(ラインL)が途切れず、かつ、医療装置M2に磁気データや電子機器に対する電磁気学的な影響が発生しない領域R12aを容易に把握することができる。これにより、磁場環境下の撮影室における安全性を向上することができる。
【0073】
(第5の実施形態)
ここでは、主として第4の実施形態との相違点を説明する。
図9は、第5の実施形態に係る情報処理システム1により実行される処理の概要を説明するための図である。
【0074】
本実施形態に係る表示装置70は、表示対象の領域を示す画像を表示するディスプレイである。表示装置70は、例えば撮影室に隣接する操作室に配置されているディスプレイ(図示しない)である。なお、本実施形態に係る表示装置70としては、MRI装置10のディスプレイ145や情報処理装置30のディスプレイ34を利用することもできる。あるいは、情報処理装置30のディスプレイ34を操作室に配置することもできる。なお、本実施形態に係る検出装置50の光学カメラ51は、第4の実施形態の光学カメラ51と同様であるとする。ここで、表示制御機能313又は通信機能314において、処理回路31は、演算機能312により算出された危険領域R21及び安全領域R22のうち少なくとも一方の領域、すなわち表示対象の領域を表示装置70のディスプレイに出力(表示)する。
【0075】
図10は、第5の実施形態に係る処理において表示される表示画面900の一例である。
図10に示すように、表示装置70は、表示画面900を表示する。表示画面900は、磁石架台111を示す表示G111と、寝台121の天板122を示す表示G122と、危険領域R21及び安全領域R22のうち少なくとも一方の領域を示す表示とを含む。
図10は、危険領域R21を示す表示GR21と、安全領域R22を示す表示GR22とを例示する。この構成であっても、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
なお、上述の各実施形態に係る情報処理システム1において、吸引領域R11、非吸引領域R12、危険領域R21及び安全領域R22の各領域は、他の実施形態に係る情報処理システム1における各領域の表示方法と任意に組み合わせることができる。
【0077】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、ASIC、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)等の回路を意味する。PLDは、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)を含む。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムが保存された記憶回路は、コンピュータ読取可能な非一時的記録媒体である。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0078】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、磁場環境下の撮影室における安全性を向上することができる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
1 情報処理システム
10 MRI装置
121 寝台
122 天板
145 ディスプレイ(表示部)
30 情報処理装置(演算部)
31 処理回路
311 取得機能(取得部)
312 演算機能(演算部)
313 表示制御機能(出力部)
314 通信機能(取得部,出力部)
32 記憶回路
321 判定情報
33 入力インタフェース
34 ディスプレイ(表示部)
35 通信回路
50 検出装置(検出部)
51 光学カメラ
52 磁性体検出器
53 質量測定器
70 表示装置(表示部)
71 プロジェクタ
72 光源装置