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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138849
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】電源制御装置及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038958
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小田 洋祐
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA20
5H730AS05
5H730BB13
5H730DD04
5H730EE19
5H730FD01
5H730FF01
5H730XX03
5H730XX13
5H730XX23
5H730XX33
5H730XX42
(57)【要約】
【課題】入力電圧の低下等によって変換回路から出力される出力電圧が低下する場合、負荷に供給する電圧を速やかに低下させることが可能な電源制御装置を提供すること。
【解決手段】入力電圧を直流の出力電圧に変換して出力経路に出力する変換回路と、前記出力経路に直列に挿入されたロードスイッチと、前記変換回路と前記ロードスイッチとの間で前記出力経路に並列に接続されたコンデンサと、前記出力電圧が設定電圧を超えるとアクティブになり前記設定電圧よりも低下すると非アクティブになるパワーグッド信号を出力するパワーグッド回路と、を備え、前記ロードスイッチは、前記パワーグッド信号が非アクティブになると前記出力経路を遮断し、前記パワーグッド信号がアクティブになると前記出力経路を接続する、電源制御装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を直流の出力電圧に変換して出力経路に出力する変換回路と、
前記出力経路に直列に挿入されたロードスイッチと、
前記変換回路と前記ロードスイッチとの間で前記出力経路に並列に接続されたコンデンサと、
前記出力電圧が設定電圧を超えるとアクティブになり前記設定電圧よりも低下すると非アクティブになるパワーグッド信号を出力するパワーグッド回路と、を備え、
前記ロードスイッチは、前記パワーグッド信号が非アクティブになると前記出力経路を遮断し、前記パワーグッド信号がアクティブになると前記出力経路を接続する、電源制御装置。
【請求項2】
前記パワーグッド回路は、前記出力電圧が前記設定電圧を超えてから前記パワーグッド信号をアクティブにするタイミングを遅らせる、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記パワーグッド回路は、前記出力電圧が前記設定電圧を超えてから所定の電圧範囲内の状態が継続すると、前記パワーグッド信号をアクティブにする、請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記設定電圧を第1設定電圧とし、前記第1設定電圧よりも高い設定電圧を第2設定電圧とするとき、
前記所定の電圧範囲は、前記第1設定電圧から前記第2設定電圧までの範囲である、請求項3に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記出力電圧は、前記第1設定電圧よりも高く且つ前記第2設定電圧よりも低い基準電圧に追従するようにフィードバック制御される、請求項4に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記パワーグッド信号が非アクティブになると、前記ロードスイッチに対して前記コンデンサとは反対側で前記出力経路に接続された容量成分を放電させる放電回路を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の電源制御装置。
【請求項7】
前記ロードスイッチに対して前記コンデンサとは反対側で前記出力経路に接続された容量成分は、前記コンデンサよりも小さな容量を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電源制御装置。
【請求項8】
前記パワーグッド回路は、前記出力経路に抵抗を介してプルアップされたオープンドレイン出力部を有し、前記パワーグッド信号を前記オープンドレイン出力部から出力する、請求項1から7のいずれか一項に記載の電源制御装置。
【請求項9】
前記変換回路は、前記パワーグッド回路を備える集積回路であり、
前記抵抗は、前記集積回路に外付けされた素子である、請求項8に記載の電源制御装置。
【請求項10】
前記ロードスイッチは、前記出力経路の接続時に前記出力経路に流れる電流を制限するソフトスタート回路を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の電源制御装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の電源制御装置と、前記ロードスイッチを介して供給される電圧で動作する負荷とを備える、電子装置。
【請求項12】
前記ロードスイッチは、前記出力経路を遮断することで、前記ロードスイッチを介して供給される電圧を前記負荷のリセット電圧よりも低下させる、請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
前記負荷は、前記入力電圧の供給源を有する機器から検出されたデータを電子装置外部に送信する通信回路を備える、請求項11又は12に記載の電子装置。
【請求項14】
前記機器は、工作機械である、請求項13に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源制御装置及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御回路に対して入力する電源電圧が動作保証電圧であることを示すパワーグッド信号を生成する回路を備えた電源回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、制御回路は、パワーグッド信号を受けると、全体をリセットし、イニシャライズ処理を行って動作を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-68351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、一比較形態に係る電源回路の構成例を示す図である。図1に示す電源回路101は、入力電圧Vinに基づいて、負荷回路104に供給する電圧(この例では、出力電圧Vout)を生成する。電源回路101は、入力電圧Vinを出力電圧Voutに変換して出力経路106に出力する変換回路102と、変換回路102と負荷回路104との間で出力経路106に並列に接続されたコンデンサ107とを備える。
【0005】
このような電源回路101では、入力電圧Vinの低下等によって変換回路102から出力される出力電圧Voutが低下する場合、負荷回路104に供給する電圧は、コンデンサ107の存在により比較的ゆっくりと低下する。そのため、入力電圧Vinの瞬断等によって変換回路102から出力される出力電圧Voutが一時的に低下する場合、負荷回路104に供給する電圧は、零ボルト付近まで十分に低下しないうちに中途半端な電圧で上昇に転じることがある。負荷回路104に供給する電圧がそのような中途半端な電圧で低下から上昇に転じると、負荷回路104のパワーオンリセットが正常動作しないなど、負荷回路104に動作不良が生ずるおそれがある。
【0006】
本開示は、入力電圧の低下等によって変換回路から出力される出力電圧が低下する場合、負荷に供給する電圧を速やかに低下させることが可能な電源制御装置、及び当該電源制御装置を備える電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
入力電圧を直流の出力電圧に変換して出力経路に出力する変換回路と、
前記出力経路に直列に挿入されたロードスイッチと、
前記変換回路と前記ロードスイッチとの間で前記出力経路に並列に接続されたコンデンサと、
前記出力電圧が設定電圧を超えるとアクティブになり前記設定電圧よりも低下すると非アクティブになるパワーグッド信号を出力するパワーグッド回路と、を備え、
前記ロードスイッチは、前記パワーグッド信号が非アクティブになると前記出力経路を遮断し、前記パワーグッド信号がアクティブになると前記出力経路を接続する、電源制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、入力電圧の低下等によって変換回路から出力される出力電圧が低下する場合、負荷に供給される電圧を速やかに低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一比較形態に係る電源回路の構成例を示す図である。
図2】一実施形態に係る電源制御装置を備える電子装置の構成例を示す図である。
図3】一実施形態に係る電源制御装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図4】一実施形態に係る電源制御装置を備える電子装置の具体的な構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図2は、一実施形態に係る電源制御装置を備える電子装置の構成例を示す図である。図2に示す電子装置200は、電子装置200の外部から供給される入力電圧Vinで動作する装置であり、電源制御装置1及び負荷回路4を備える。
【0012】
電源制御装置1は、入力電圧Vinに基づいて、負荷回路4に供給する電圧(この例では、電圧Vout2)を生成する回路であり、生成した電圧Vout2を負荷回路4に供給する。負荷回路4は、電源制御装置1から供給される電圧Vout2で動作する負荷の一例である。電圧Vout2は、負荷回路4が動作するための電源電圧である。電源制御装置1は、例えば、変換回路2、ロードスイッチ3、コンデンサ7及びパワーグッド回路5を備える。
【0013】
変換回路2は、入力電圧Vinを直流の出力電圧Vout1に変換して出力経路6に出力する。例えば、変換回路2は、直流の入力電圧Vinを直流の出力電圧Vout1に変換し、直流の出力電圧Vout1を出力経路6に出力するDC/DCコンバータである(DC:Direct Current)。変換回路2は、入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutを生成する降圧回路でも、入力電圧Vinよりも高い出力電圧Voutを生成する昇圧回路でも、降圧と昇圧の両方の機能を有する昇降圧回路でもよい。変換回路2は、入力電圧Vinから、目標の電圧値に追従する出力電圧Voutを生成するレギュレータでもよい。入力電圧Vinが交流電圧の場合、変換回路2は、交流の入力電圧Vinを直流の出力電圧Vout1に変換し、直流の出力電圧Vout1を出力経路6に出力するAC/DCコンバータであってもよい(AC:Alternative Current)。
【0014】
ロードスイッチ3は、出力経路6に直列に挿入された状態で配置されている。ロードスイッチ3は、変換回路2と負荷回路4とを結ぶ電力供給ラインである出力経路6の接続と遮断を切り替える。
【0015】
コンデンサ7は、変換回路2とロードスイッチ3との間で出力経路6に並列に接続された容量素子である。この例では、コンデンサ7は、出力経路6に電気的に接続された一端と、グランド(GND)に電気的に接続された他端とを有する。コンデンサ7は、出力電圧Voutを平滑化し、その具体例として、電解コンデンサなどが挙げられる。
【0016】
パワーグッド回路5は、出力電圧Vout1が設定電圧(以下、"設定電圧Vs"ともいう)を超えるとアクティブになり設定電圧Vsよりも低下すると非アクティブになるパワーグッド信号PGを出力する。設定電圧Vsは、ヒステリシスを有してもよいし、ヒステリシスのない電圧でもよい。パワーグッド回路5は、変換回路2とは別体の回路でも、変換回路2に設けられた回路でもよい。
【0017】
ロードスイッチ3は、パワーグッド信号PGの論理に基づいて、コンデンサ7と負荷回路4との間において出力経路6の遮断と接続を切り替える。ロードスイッチ3は、パワーグッド信号PGが非アクティブになると出力経路6を遮断し、パワーグッド信号PGがアクティブになると出力経路6を接続する(出力経路6の遮断を解除する)。
【0018】
図3は、一実施形態に係る電源制御装置の動作例を示すタイミングチャートである。図3は、図2に示す電源制御装置1において、入力電圧Vinが直流の電源電圧Vdcの場合を例示する。また、図3は、パワーグッド信号PGがハイアクティブの信号(ローレベルが非アクティブ、ハイレベルがアクティブを表す信号)である場合を例示する。次に、図2及び図3を参照して、電源制御装置1の動作例について説明する。
【0019】
パワーグッド回路5は、出力電圧Vout1が設定電圧Vsを超えると、パワーグッド信号PGをアクティブ(ハイレベル)とし、出力電圧Vout1が設定電圧Vsよりも低下すると、パワーグッド信号PGを非アクティブ(ローレベル)とする。
【0020】
出力電圧Vout1がタイミングt1で設定電圧Vsよりも低下すると、パワーグッド信号PGは非アクティブになるので、出力経路6は、コンデンサ7と負荷回路4との間でロードスイッチ3のオフにより遮断される。これにより、コンデンサ7及び変換回路2から負荷回路4へのエネルギーの供給は、遮断されるので、負荷回路4に供給する電圧Vout2は、低下時間tdで速やかに低下する。つまり、低下時間tdを短縮できる。その後、出力電圧Vout1が低下から上昇に転じて設定電圧Vsよりも上昇すると、パワーグッド信号PGはアクティブになるので、出力経路6は、コンデンサ7と負荷回路4との間でロードスイッチ3のオンにより接続される。これにより、負荷回路4に供給する電圧Vout2は、出力電圧Vout1に略等しくなるように上昇し始める。
【0021】
したがって、電源制御装置1によれば、電源電圧Vdcの瞬断などによって、出力電圧Vout1が零ボルト付近まで十分に低下しないうちに中途半端な電圧Vhで上昇に転じても、電圧Vout2を零ボルト付近まで十分に低下させることができる。その結果、例えば、ロードスイッチ3を介して負荷回路4に供給する電圧Vout2を、負荷回路4の最低動作電圧VPDRよりも低いリセット電圧Vm以下に低下させることができる(VPDR>Vh>Vm>0)。これにより、負荷回路4の次回起動時のパワーオンリセットが正常に働き、負荷回路4の動作を正常に再開できる。
【0022】
なお、最低動作電圧VPDRとは、負荷回路4に供給する電圧Vout2の低下により負荷回路4の動作が停止する電圧をいう。リセット電圧Vmとは、負荷回路4に供給する電圧Vout2の低下により動作が停止した負荷回路4が、Vout2の上昇により負荷回路4の動作が正常に再開するために必要な電圧(例えば、負荷回路4のリセットがかかる電圧)をいう。
【0023】
パワーグッド回路5は、出力電圧Vout1が設定電圧Vsを超えてからパワーグッド信号PGをアクティブにするタイミングを遅延時間trだけ遅らせてもよい。これにより、低下時間tdが長くなっても、電圧Vout2がリセット電圧Vm以下まで低下する時間を確保できるので、負荷回路4の動作を正常に再開できる。例えば、パワーグッド回路5は、出力電圧Vout1が設定電圧Vsを超えてから所定の電圧範囲(以下、"電圧範囲A"ともいう)内の状態が遅延時間tr以上継続すると、パワーグッド信号PGをアクティブにする。例えば、設定電圧Vsを第1設定電圧Vs1、第1設定電圧Vs1よりも高い設定電圧を第2設定電圧Vs2とするとき、電圧範囲Aは、第1設定電圧Vs1から第2設定電圧Vs2までの範囲である。なお、電圧範囲Aは、上限値である第2設定電圧Vs2の無い範囲でもよい。
【0024】
図4は、一実施形態に係る電源制御装置を備える電子装置の具体的な構成例を示す図である。図4は、図2に示す電子装置200の構成例をより詳細に示す。電子装置200は、入力電圧Vinの一例である直流電圧Vdcで動作する装置であり、電源制御装置1及び負荷回路4を備える。電源制御装置1は、例えば、変換回路2、ロードスイッチ3、コンデンサC2及びパワーグッド回路5を備える。コンデンサC2は、上述のコンデンサ7に対応する。図4は、変換回路2及びロードスイッチ3が集積回路の場合を例示する。変換回路2は、パワーグッド回路5を備える集積回路である。
【0025】
変換回路2は、入力される直流電圧Vdcを直流の出力電圧Vout1に変換し、直流の出力電圧Vout1を出力経路6に出力するDC/DCコンバータである。電源電圧Vdcは、コンデンサC1によって平滑化されて変換回路2に入力される。
【0026】
変換回路2は、入力電圧Vinを降圧するため、スイッチQ1、スイッチQ2、インダクタL1及び変換制御回路10を備える。インダクタL1は、ハイサイドのスイッチQ1とローサイドのスイッチQ2との中間接続点と、コンデンサC2の一端と出力経路6との接続点との間に直列に接続されている。
【0027】
変換制御回路10は、出力電圧Vout1を基準電圧Vref1に追従するように、スイッチQ1及びスイッチQ2のスイッチングを制御する。変換制御回路10は、コンパレータ11、コントロールロジック12及びゲートドライブ13を有する。コンパレータ11は、出力電圧Vout1の検出値が入力される非反転入力部と、基準電圧Vref1が入力される反転入力部とを有する。コントロールロジック12は、出力電圧Vout1と基準電圧Vref1との大小比較の結果をコンパレータ11から取得することで、出力電圧Vout1を基準電圧Vref1に追従させるためのパルス幅変調信号を生成する。ゲートドライブ13は、コントロールロジック12により生成されたパルス幅変調信号に従って、出力電圧Vout1を基準電圧Vref1に追従するように、スイッチQ1及びスイッチQ2の各ゲートを駆動する。
【0028】
変換制御回路10は、パワーグッド信号PGを生成するパワーグッド回路5を備える。パワーグッド信号PGは、図4に示す例では、出力電圧Vout1がレギュレーション電圧範囲内にあるか否かを表す論理信号である。レギュレーション電圧範囲は、上述の電圧範囲Aの一例である。パワーグッド回路5は、出力電圧Vout1がレギュレーション電圧範囲内にある場合、アクティブレベル(この例では、ハイレベル)のパワーグッド信号PGを出力する。一方、パワーグッド回路5は、出力電圧Vout1がレギュレーション電圧外にある場合、非アクティブレベル(この例では、ローレベル)のパワーグッド信号PGを出力する。
【0029】
出力電圧Vout1は、レギュレーション電圧範囲内の基準電圧Vref1に追従するように変換制御回路10のコントロールロジック12によりフィードバック制御される。そのため、基準電圧Vref1は、基準電圧Vref3よりも高く設定され、且つ、基準電圧Vref2よりも低く設定される。つまり、レギュレーション電圧範囲が上述の電圧範囲Aに対応する場合、基準電圧Vref3は、上述の第1設定電圧Vs1に対応し、基準電圧Vref2は、上述の第2設定電圧Vs2に対応する。
【0030】
パワーグッド回路5は、例えば、コンパレータ14、コンパレータ15、論理和回路16及びスイッチQ4を有する。コンパレータ14は、出力電圧Vout1の検出値が入力される非反転入力部と、基準電圧Vref2が入力される反転入力部とを有し、その比較結果を論理和回路16に出力する。コンパレータ15は、出力電圧Vout1の検出値が入力される反転入力部と、基準電圧Vref3が入力される非反転入力部とを有し、その比較結果を論理和回路16に出力する。論理和回路16の出力は、スイッチQ4に入力される。スイッチQ4は、抵抗19を介して出力経路6にプルアップされている。抵抗19は、変換回路2に外付けされた素子である。
【0031】
パワーグッド回路5がこのような構成を有することで、論理和回路16は、出力電圧Vout1がレギュレーション電圧範囲(基準電圧Vref3よりも高く基準電圧Vref2よりも低い範囲)内にある場合、ローレベルの信号を出力する。これにより、スイッチQ4はオフとなるので、パワーグッド信号PGはハイレベルとなる。一方、論理和回路16は、出力電圧Vout1がレギュレーション電圧範囲外にある場合(レギュレーション電圧範囲よりも低い又は高い場合)、ハイレベルの信号を出力する。これにより、スイッチQ4はオンとなるので、パワーグッド信号PGはローレベルとなる。
【0032】
パワーグッド回路5は、図4に示す例では、出力経路6に抵抗19を介してプルアップされたスイッチQ4を有し、パワーグッド信号PGをスイッチQ4から出力する。スイッチQ4は、オープンドレイン出力部の一例であり、より具体的には、Nチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。スイッチQ4が抵抗19を介して出力経路6にプルアップされているので、スイッチQ4が抵抗19を介して例えば直流電圧Vdcにプルアップされる不図示の形態に比べて、パワーグッド信号PGの誤出力を防止できる。直流電圧Vdcが変動しても、変換回路2により安定した出力電圧Vout1が出力経路6に印加されるからである。
【0033】
パワーグッド回路5は、遅延時間tr(図3参照)を生成するグリッチフィルタ等のフィルタ17を備えてもよい。フィルタ17は、例えば、論理和回路16とスイッチQ4との間に配置されている。
【0034】
図4において、ロードスイッチ3は、スイッチ制御回路20及びスイッチQ3を備える。スイッチ制御回路20は、パワーグッド信号PGの論理に応じて、スイッチQ3をオン又はオフに制御する。スイッチ制御回路20は、例えば、コントロールロジック21とゲートドライブ22を有する。コントロールロジック21は、パワーグッド信号PGの論理に応じたスイッチ制御信号をゲートドライブ22に出力し、ゲートドライブ22は、当該スイッチ制御信号に従ってスイッチQ3のゲートをオン又はオフに駆動する。
【0035】
スイッチQ3は、例えば、Nチャネル型のMOSFETである。スイッチ制御回路20は、スイッチQ3をオンにすることで、出力経路6を接続し、スイッチQ3をオフにすることで、出力経路6を遮断する。ダイオードD1は、スイッチQ3の寄生ダイオード、又は、スイッチQ3に並列に外付けされたダイオードである。
【0036】
電子装置200は、ロードスイッチ3のスイッチQ3に対してコンデンサC2とは反対側で出力経路6に並列に接続された容量成分C3を有してもよい。容量成分C3は、ロードスイッチ3と負荷回路4との間に接続されたコンデンサ素子でもよいし、負荷回路4の負荷容量でもよいし、その両方でもよい。
【0037】
出力電圧Vout2の低下時間td(図3参照)は、容量成分C3の容量が大きいほど長くなる。したがって、低下時間tdを短縮する上で、容量成分C3は、できるだけ小さいことが好ましく、例えば、コンデンサC2よりも小さな容量を有することが好ましい。負荷回路4は、スイッチQ3のオン状態ではコンデンサC2と接続されるので、容量成分C3の容量が比較的小さくても、負荷回路4に供給する電圧Vout2は、コンデンサC2によって平滑化可能である。
【0038】
ロードスイッチ3は、出力経路6の接続時に出力経路6に流れる電流を制限するソフトスタート回路を備えてもよい。ソフトスタート回路を備えることで、出力経路6の接続時に瞬間的に容量成分C3に流れる突入電流を抑制できる。図4に示す例では、スイッチQ3がNチャネル型のMOSFETであるので、ソフトスタート回路は、スイッチQ3のゲートとグランドとの間に接続されるコンデンサC4を有する。
【0039】
なお、図4には示されていないが、スイッチQ3がPチャネル型のMOSFETの場合、ソフトスタート回路は、スイッチQ3のゲートとソースの間に接続されるコンデンサを有することで、突入電流を抑制できる。
【0040】
電源制御装置1は、パワーグッド信号PGが非アクティブになると、容量成分C3を放電させる放電回路24を備えてもよい。これにより、容量成分C3を自然放電させる場合に比べて、低下時間td(図3参照)を更に短縮できる。図4に示す例では、放電回路24は、スイッチQ3と負荷回路4との間に配置された回路であり、抵抗R1とスイッチQ5との直列回路を出力経路6とグランドとの間に有する。スイッチQ5は、例えば、Nチャネル型のMOSFETである。
【0041】
コントロールロジック21は、パワーグッド信号PGがアクティブの期間では、バッファ23を介してスイッチQ5をオフさせる。これにより、容量成分C3は放電回路24により放電されないので、負荷回路4に十分な電圧Vout2を供給できる。一方、コントロールロジック21は、パワーグッド信号PGが非アクティブの期間では、バッファ23を介してスイッチQ5をオンさせる。これにより、容量成分C3は放電回路24により放電されるので、電圧Vout2を速やかに零ボルト付近まで低下させることができる。
【0042】
なお、放電回路24は、ロードスイッチ3に設けられた回路でもよいし、ロードスイッチ3の外部回路でもよい。抵抗R1は、ロードスイッチ3の内部抵抗でも外部抵抗でもよい。
【0043】
負荷回路4は、例えば、マイコン8と、通信回路9を有するモジュールである。マイコン8は、通信回路9の動作を制御する。通信回路9は、電子装置200の不図示の外部装置との間で所定のデータを所定の通信方式で通信する。通信方式は、特に限定されないが、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy(商標又は登録商標))などがある。
【0044】
通信回路9は、例えば、直流電圧Vdcの供給源を有する不図示の外部機器から検出されたデータ(例えば、外部機器の動作状態を示すデータ)を電子装置200の不図示の外部装置に送信する。外部装置の具体例として、ゲートウェイ、サーバなどがある。本実施形態に係る電子装置200は、パワーグッド回路5及びロードスイッチ3を備えることで、不図示の外部機器から供給される直流電圧Vdcに瞬断等が生じても、マイコン8及び通信回路9の動作を正常に再開できる。よって、例えば、通信回路9は、直流電圧Vdcに瞬断等が生じても、当該データを不図示の外部装置に誤送信することを防止できる。
【0045】
外部機器の具体例として、金属等の材料に切断等の加工を施すための工作機械がある。工作機械から供給される直流電圧Vdcは、瞬断等の変動が生じやすい。そのため、電子装置200が工作機械から直流電圧Vdcを受ける形態において、パワーグッド回路5及びロードスイッチ3を備えることは、マイコン8及び通信回路9の動作不良を防止する点で特に有利である。
【0046】
以上、実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 電源制御装置
2 変換回路
3 ロードスイッチ
4 負荷回路
5 パワーグッド回路
6 出力経路
7 コンデンサ
8 マイコン
9 通信回路
10 変換制御回路
17 フィルタ
19 抵抗
20 スイッチ制御回路
24 放電回路
101 電源回路
200 電子装置
C2 コンデンサ
C3 容量成分
PG パワーグッド信号
図1
図2
図3
図4