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  • 特開-スイッチギア 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138866
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】スイッチギア
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/16 20060101AFI20220915BHJP
   H02B 3/00 20060101ALI20220915BHJP
   H01R 4/64 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H02B1/16 Z
H02B3/00 K
H01R4/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038979
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】弁理士法人小竹アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】間野 康生
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA01
5G016CE03
(57)【要約】
【課題】断路器と遮断器との間の導体にアースフックを取り付けることができるようにする。
【解決手段】スイッチギア1の断路器3と遮断器4は、第2導体8を介して接続されている。遮断器4は、箱2の内部に固定された遮断器固定部4aと、遮断器固定部4aから分離して箱2の外に引き出し可能になっている遮断器可動部4bと、を有している。第2導体8は、遮断器可動部4bの引き出し方向を前方側とし、この前方側と反対の方向を後方側とすると、後方側の面12にアースフック取付端子13が固定されている。アースフック取付端子13は、第2導体8の後方側の面12から後方側へ向けて突出する基部と、基部の先端側から起立する起立部と、を有している。起立部は、箱2の後方側から差し入れたアースフック16の先端の把持金具17で把持される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地された金属製の箱の中に断路器と遮断器とが収納されたスイッチギアにおいて、
前記断路器は、受電側端子に第1導体を介して接続され、
前記断路器と前記遮断器は、第2導体を介して接続され、
前記遮断器は、配電側端子に第3導体を介して接続されており、前記箱の内部に固定された状態で設置される遮断器固定部と、前記遮断器固定部から分離して前記箱の外に引き出し可能になっている遮断器可動部と、を有し、
前記第2導体は、前記遮断器可動部の引き出し方向を前方側とし、この前方側と反対の方向を後方側とすると、前記後方側の面にアースフック取付端子が固定され、
前記アースフック取付端子は、前記第2導体の前記後方側の面から前記後方側へ向けて突出する基部と、前記基部の先端側から起立し且つ前記第2導体から離れて位置する起立部と、を有し、
前記起立部は、前記箱の前記後方側から差し入れたアースフックの先端の把持金具で把持されるようになっている、
ことを特徴とするスイッチギア。
【請求項2】
アースフック取付端子は、前記基部と前記起立部とで略L字形状になっており、
前記起立部は、前記基部から上方へ向かって延びている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチギア。
【請求項3】
前記第3導体は、前記遮断器の前記後方側に位置し且つ前記アースフック取付端子よりも前記後方側に位置する一部分が前記アースフックの差し入れスペースを確保できるように取り外し可能になっており、
前記第3導体の前記一部分と前記遮断器との間には、隔離板が前記箱に対して着脱可能に取り付けられ、
前記隔離板は、前記アースフックの先端の把持金具で前記アースフック取付端子の起立部を把持する場合に、前記箱から取り外される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチギア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、母線連絡断路器(以下、断路器と略称する)と母線連絡遮断器(以下、遮断器と略称する)の間の導体にアースフックを取り付けることができるようにしたスイッチギアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4に示すように、スイッチギア100は、接地された金属製の箱101の中に断路器102と遮断器103が収納されており、遮断器103の点検時に、断路器102を開いて遮断器103側への通電を遮断した後、遮断器103を構成する遮断器固定部103aと遮断器可動部103bとを分離し、遮断器可動部103bを箱101の外に引き出して、遮断器固定部103aと遮断器可動部103bとの間に十分なスペースを確保し、遮断器固定部103a及び遮断器可動部103bを点検していた(特許文献1参照)。
【0003】
この遮断器103の点検は、断路器102と遮断器103との間の導体104にアースフックを取り付けるようになっておらず、断路器102と遮断器103との間の導体104をアースフックを介して接地させることができなかったため、作業者の感電事故を防止する観点から、作業者の目視のみで実施されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-271737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遮断器103の点検時には、作業者の目視による点検のみならず、作業者の手による掃除やグリースの塗布等の保全作業も同時に行うことが望ましいが、断路器102と遮断器103の間の導体104が接地されていなかったため、作業者の感電防止の観点から、作業者の手による保全作業を実施できなかった。
【0006】
そこで、本発明は、断路器と遮断器との間の導体にアースフックを取り付けることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、接地された金属製の箱2の中に断路器3と遮断器4とが収納されたスイッチギア1に関するものである。この発明において、前記断路器3は、受電側端子6に第1導体5を介して接続されている。また、前記断路器3と前記遮断器4は、第2導体8を介して接続されている。また、前記遮断器4は、配電側端子11に第3導体10を介して接続されており、前記箱2の内部に固定された状態で設置される遮断器固定部4aと、前記遮断器固定部4aから分離して前記箱2の外に引き出し可能になっている遮断器可動部4bと、を有している。また、前記第2導体8は、前記遮断器可動部4bの引き出し方向を前方側とし、この前方側と反対の方向を後方側とすると、前記後方側の面12にアースフック取付端子13が固定されている。また、前記アースフック取付端子13は、前記第2導体8の前記後方側の面12から前記後方側へ向けて突出する基部14と、前記基部14の先端側から起立し且つ前記第2導体8から離れて位置する起立部15と、を有している。そして、前記起立部15は、前記箱2の前記後方側から差し入れたアースフック16の先端の把持金具17で把持されるようになっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るスイッチギアは、断路器と遮断器との間の第2導体に固定したアースフック取付端子にアースフックを取り付けることができ、断路器と遮断器との間の第2導体をアースフックを介して接地できるため、断路器により回路を開いた後、遮断器の保全作業を作業者の手で行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るスイッチギアを示す図であり、図1(a)は後方側の扉を開いた状態で第3導体を見た図であり、図1(b)はスイッチギアの全体構成図である。
図2】本発明に係るスイッチギアのアースフック取付端子にアースフックを取り付けた状態を示す図である。
図3図3(a)はアースフックの先端の把持金具の平面図、図3(b)はアースフックの先端の把持金具とアースフック取付端子との関係を示す平面図、図3(c)はアースフックの先端の把持金具とアースフック取付端子との関係を示す側面図(図3(b)の矢印A方向から見た図)である。
図4】従来のスイッチギアの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳述する。
【0011】
図1は、本実施例に係るスイッチギア1を示す図である。なお、図1(a)は、後方側の扉25を開いた状態で第3導体10を見た図である。また、図1(b)は、スイッチギア1の全体構成図である。
【0012】
この図1に示すように、本実施例に係るスイッチギア1は、接地された金属製の箱2の中に断路器3と遮断器4とが収納されている。
【0013】
断路器3は、第1導体5を介して受電側端子6に接続されており、第1導体5が充電部になっている。この断路器3は、ブレード7を開くことにより、第1導体5から第2導体8への通電を遮断するようになっている。そして、断路器3と遮断器4との間には平板状の第2導体8が配置されており、この第2導体8が断路器3と遮断器4とを接続している。
【0014】
遮断器4は、第3導体10を介して配電側端子11に接続されており、過電流や短絡電流などの事故電流を遮断するようになっている。この遮断器4は、箱2の内部に固定された状態で設置される遮断器固定部4aと、遮断器固定部4aから分離して箱2の外に引き出すことが可能な遮断器可動部4bと、を有している。なお、本実施例のスイッチギア1において、遮断器可動部4bの引き出し方向を前方側(図1(b)の箱2の右側を前方側)とし、この前方側と反対の方向を後方側(図1(b)の箱2の左側を後方側)とする。
【0015】
第2導体8は、第1導体(充電部)5から離れて位置し且つ箱2内を上下方向に沿って延びる直立部分8aの後方側の面12(以下、背面12と略称する)に、アースフック取付端子13が溶接等によって固定されている。
【0016】
図1(b)、図2、及び図3に示すように、アースフック取付端子13は、導電性部材で形成されており、第2導体8の直立部分8aの背面12から後方側へ向けて突出する基部14と、基部14の先端側から起立し且つ第2導体8の直立部分8aから離れて位置する起立部15と、を有している。基部14は、第2導体8の背面12に固定するための平板状の台座部分14aを一体に有しており、その台座部分14aが第2導体8の背面12に容易に且つ確実に固定される。また、起立部15は、箱2の後方側から箱2の内部に差し入れたアースフック16の先端の把持金具17で把持されるようになっている。
【0017】
また、図1(b)、図2、及び図3に示すように、アースフック取付端子13は、基部14と起立部15とで略L字形状になっている。そして、丸棒状の起立部15は、基部14から上方へ向かって延びており、アースフック16の把持金具17の開閉爪18を閉じた際に、把持金具17の固定部分20と開閉爪18との間に形作られる略楕円状のスペース21に収容され、且つ、把持金具17の固定部分20と開閉爪18とによって挟むように把持される。
【0018】
図1及び図2に示すように、第3導体10は、遮断器4の後方側に位置し且つアースフック取付端子13よりも後方側に位置する短冊状の一部分10aが第3導体10の平板状の他部分10bにボルト等の締結手段によって固定されており、その一部分10aがアースフック16の差し入れスペース22を確保できるように第3導体10の他部分10bから取り外せるようになっている。
【0019】
また、図1及び図2に示すように、第3導体10の一部分10aと遮断器4との間には、隔離板23が箱2に対して着脱可能に取り付けられている。そして、隔離板23は、アースフック16の先端の把持金具17でアースフック取付端子13の起立部15を把持する場合に、箱2から取り外され、アースフック16の把持金具17がアースフック取付端子13の近傍位置に差し入れられることを可能にする。
【0020】
図3に示すように、アースフック16は、先端側に把持金具17が取り付けられている。把持金具17は、操作棒24に固定された固定部分20と、この固定部分20に開閉可能に取り付けられた開閉爪18と、を有している。そして、把持金具17は、作業者によって操作棒24が回動操作されることによって開閉爪18が開閉され、固定部分20と開閉爪18との間にアースフック取付端子13の起立部15を把持するようになっている。
【0021】
図1及び図2に示すように、遮断器4の点検作業を行う場合には、断路器3のブレード7を開くことにより、第1導体5から第2導体8への通電を遮断した後、箱2の後方側の扉25を開き、第3導体10の一部分10aを第3導体10の他部分10bから取り外し、第3導体10と遮断器4との間に位置する隔離板23を箱2から取り外す。その後、アースフック16は、把持金具17側から箱2の内部に差し入れられ、把持金具17が第3導体10の一部分10aを第3導体10の他部分10bから取り外すことによって生じた差し入れスペース22及び隔離板23を箱2から取り外すことにより生じたスペースを通過させられて、把持金具17が第2導体8の背面12側に固定されたアースフック取付端子13の起立部15に引っ掛けられるようにして係合された後、把持金具17がアースフック取付端子13の起立部15を強く把持する。その結果、アースフック16は、図2に示すように、アースフック取付端子13に取り付けられた姿勢を安定して維持でき、アースフック取付端子13から容易に離脱するようなことがない。その後、第2導体8の接地は、アースフック16の把持金具17から延びるアース線26が箱2のアース用端子27に接続されることによって完了する。
【0022】
なお、図2に示すように、第3導体10の一部分10aは、3相の第3導体10間のスペース又は第3導体10と箱2とのスペースから隔離板23を取り除くことができ、3相の第3導体10間のスペースからアースフック16の把持金具17をアースフック取付端子13まで差し入れることができる場合、第3導体10の他部分10bから取り外す必要がない。
【0023】
以上のように、本実施例のスイッチギア1は、断路器3と遮断器4との間の第2導体8に固定したアースフック取付端子13にアースフック16を取り付けることができ、断路器3と遮断器4との間の第2導体8をアースフック16を介して接地できるため、断路器3により回路を開いた後、遮断器4の保全作業を作業者の手で行うことが可能になる。
【0024】
なお、アースフック取付端子13は、起立部15が上下方向に沿って延びる上記実施例に限定されず、例えば、起立部15が基部14から斜め上方に向かって延びるようになっていてもよい。このように、アースフック取付端子13は、起立部15が基部14から斜め上方に向かって延びるように構成されても、把持金具17が起立部15と第2導体8とのスペース内に保持され、且つ、把持金具17の下方への移動が基部14によって阻止されるため、把持金具17が起立部15から抜け落ちるようなことがない。
【符号の説明】
【0025】
1……スイッチギア、2……箱、3……断路器、4……遮断器、5……第1導体、6……受電側端子、8……第2導体、10……第3導体、11……配電側端子、12……面、13……アースフック取付端子、14……基部、15……起立部、16……アースフック、17……把持金具
図1
図2
図3
図4