IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーティーエム アーゲーの特許一覧

特開2022-13888ハンドルバープロテクタを有するオートバイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013888
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】ハンドルバープロテクタを有するオートバイ
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/00 20200101AFI20220111BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20220111BHJP
   B62J 45/40 20200101ALI20220111BHJP
   B62J 50/22 20200101ALI20220111BHJP
【FI】
B62J45/00
B62J23/00 B
B62J45/40
B62J50/22
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021109183
(22)【出願日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】A 50555/2020
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(71)【出願人】
【識別番号】516256272
【氏名又は名称】ケーティーエム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】KTM AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン プライス
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス オット
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容易にアクセス可能であり、他方では外部の影響に対して保護されており、同時に様々なデータを検出するために有利な条件を提供する、通信ユニットを備えた車両を提供する。
【解決手段】車両、特にオートバイであって、フレームと、2つのハンドルバーグリップ3a,3bを備えたハンドルバー2と、車両に関するデータを検出するための少なくとも1つのセンサおよび検出したデータを伝達するためのインタフェースを備えた通信ユニットと、を有している、車両であって、ハンドルバープロテクタ5が設けられており、ハンドルバープロテクタ5が、ハンドルバーグリップ3a,3bの間に、好適には中心に配置されており、通信ユニットが、ハンドルバープロテクタ5の下側に、または少なくとも部分的にまたは完全にハンドルバープロテクタ5内に配置されている、車両。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、特にオートバイであって、フレームと、2つのハンドルバーグリップ(3a,3b)を備えたハンドルバー(2)と、前記車両(1)に関するデータを検出するための少なくとも1つのセンサ(15)および検出した前記データを伝達するためのインタフェース(17)を備えた通信ユニット(4)と、を有している、車両において、
ハンドルバープロテクタ(5)が設けられており、前記ハンドルバープロテクタ(5)が、前記ハンドルバーグリップ(3a,3b)の間に、好適には中心に配置されており、前記通信ユニット(4)が、前記ハンドルバープロテクタ(5)の下側に、または少なくとも部分的にまたは完全に前記ハンドルバープロテクタ(5)内に配置されていることを特徴とする、車両。
【請求項2】
前記ハンドルバープロテクタ(5)が切欠き(6)を有しており、該切欠き(6)内に前記通信ユニット(4)が配置可能である、請求項1記載の車両。
【請求項3】
保持装置(12)が設けられており、該保持装置(12)により、前記通信ユニット(4)および/または前記ハンドルバープロテクタ(5)が保持され、前記保持装置(12)が前記ハンドルバー(2)に取り付けられている、請求項1または2の少なくともいずれか1項記載の車両。
【請求項4】
前記通信ユニット(4)が、前記センサにより検出された前記データを保存するメモリを有している、請求項1から3までの少なくともいずれか1項記載の車両。
【請求項5】
前記通信ユニット(4)が、前記車両(1)に関するデータを検出するために複数のセンサを有しており、特にGPSセンサ、加速度センサ、温度センサおよび/または傾斜角センサを有している、請求項1から4までの少なくともいずれか1項記載の車両。
【請求項6】
前記通信ユニット(4)が、車両状態に関するデータを受信するための受信装置を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の車両。
【請求項7】
前記通信ユニット(4)が、特に検出および/または受信した前記データに基づいて統計を作成する計算ユニット(18)を有している、請求項1から6までの少なくともいずれか1項記載の車両。
【請求項8】
前記インタフェース(17)が、特にW-Lan標準および/またはBluetooth(登録商標)標準にしたがってデータをワイヤレスに伝達するために構成されている、請求項1から7までの少なくともいずれか1項記載の車両。
【請求項9】
前記通信ユニット(4)が、遠隔通信機能を備えた送信装置を有している、請求項1から8までの少なくともいずれか1項記載の車両。
【請求項10】
前記通信ユニット(4)が制御装置(19)を有しており、該制御装置(19)により、少なくとも1つの車両パラメータを調節可能である、請求項1から9までの少なくともいずれか1項記載の車両。
【請求項11】
前記インタフェース(17)が、データまたは制御命令を受信するように構成されている、かつ/またはデータおよび/または制御命令を受信する受信装置が設けられている、請求項1から10までの少なくともいずれか1項記載の車両。
【請求項12】
前記通信ユニット(4)が、前記少なくとも1つのセンサ(15)によるデータ検出を開始および/または停止するためのスイッチに接続可能であるか、またはそのようなスイッチを有している、請求項1から11までの少なくともいずれか1項記載の車両。
【請求項13】
前記通信ユニット(4)が、特に照明装置の形態のディスプレイ(8)に接続可能であるか、またはディスプレイ(8)を有しており、該ディスプレイ(8)により、前記通信ユニット(4)の運転状態を表示可能である、請求項1から12までの少なくともいずれか1項記載の車両。
【請求項14】
前記ハンドルバープロテクタ(5)が、運転者を保護するために緩衝性の材料、特に発泡材を含んでいる、請求項1から13までの少なくともいずれか1項記載の車両。
【請求項15】
前記緩衝性の材料が、前記ハンドルバープロテクタ(5)の上側部分を形成し、該上側部分が、組み付けられた状態で、前記運転者に面しており、前記上側部分が、好適には、たとえば硬質プラスチックから製造されたより硬い下側部分に、好適には着脱可能にまたは開放可能に結合可能である、請求項14記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特にオートバイであって、フレームと、2つのハンドルバーグリップを備えたハンドルバーと、車両に関するデータを検出する少なくとも1つのセンサおよび検出されたデータを伝達するためのインタフェースを備えた通信ユニットとを有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両において、たとえば車両の位置および速度、加速度、傾斜角、周辺温度等に関する特定のデータを走行中に検出し、記録し、次いでコンピュータ、タブレットまたはスマートフォンにおいて図式解析することが通常になってきた。このことは特に、たとえばオートバイまたは(電動)自転車のような、趣味で運転される車両に当てはまる。
【0003】
この目的のために通信ユニットが設けられており、通信ユニット内には、車両に関する特定のデータを検出するための複数のセンサが配置されている。これらのデータは、場合によっては、通信ユニット内での保存後に、インタフェースを介して、データの図式解析が行われる機器に伝達される。
【0004】
特に自転車では、このような通信ユニットはしばしば自転車コンピュータ内に組み込まれており、この自転車コンピュータは操舵輪に取り付けられる。この場合に不都合であるのは、たとえば、転倒時に通信ユニットが保護されておらず、したがって、損傷する危険に著しくさらされていることである。
【0005】
この理由から、オートバイでは、通信ユニットはしばしばオートバイの内部に配置されている。これにより、損傷に対する良好な保護が提供される。このことは、特に、側方のパネル部分がオートバイの内部部品を保護している場合に当てはまる。しかしこの配置において不都合であるのは、通信ユニットを、オートバイの内部に位置する配置時に取り囲んでいる金属製の構成部材が、特にGPS受信を著しく困難にすることである。さらに、たとえば温度のような別のデータは、近傍に位置するエンジンの排熱に基づいて全く検出することができない。最終的に、通信ユニットは、このような配置ではアクセスが困難であるので、修理または交換は多大な手間をかけないとできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の欠点を回避し、一方では容易にアクセス可能であり、他方では外部の影響に対して保護されており、同時に様々なデータを検出するために有利な条件を提供する、通信ユニットを備えた車両を構成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1記載の特徴を備えた車両により解決される。本発明の別の有利な構成は、従属請求項に定義されている。
【0008】
本発明は、車両、特にオートバイであって、フレームと、2つのハンドルバーグリップを備えたハンドルバーと、通信ユニットとを備え、一方のハンドルバーグリップが、ハンドルバーの右側に配置されており、もう一方のハンドルバーグリップが、ハンドルバーの左側に配置されている車両に関する。しばしばCCU(コネクティビティコントロールユニット)としても知られている通信ユニットは、車両に関するデータを検出する少なくとも1つのセンサと、検出されたデータを伝達するインタフェースとを有している。センサは、たとえばGPSセンサ、傾斜角を測定するセンサ(傾斜角の代わりに、回転数に基づいて測定することができる)、加速度センサ、温度センサおよび磁界センサならびに空気圧および空気湿度等を測定するセンサ等であってよい。この場合、通信ユニットに接続されており、ハンドルバープロテクタにより保護されているセンサは、本発明の意図において、通信ユニットに所属するものと見なすことができる。さらに、車両の他の箇所に配置された別のセンサのデータを通信ユニットによって受信し処理できることも規定されていてよい。好適には、通信ユニットは、車両に関するデータを検出するための複数のセンサを有している。
【0009】
したがって、インタフェースは、検出したデータを、データを保存しかつ/または好適には図式的に処理する装置へと伝達する働きをする。この場合、データの伝達は、たとえばBluetooth(登録商標)またはW-Lanによって無線でまたは有線で行うことができる。この場合、インタフェースは、適切な接続部、たとえばUSB、USB-C等を有している。インタフェースが、たとえばCAN-バス線路の形態のデータ線路に接続するように構成されていることも考えられ、データ線路を介してデータおよび/または制御命令が伝送される。
【0010】
本発明に係るハンドルバープロテクタは、車両の運転者用の保護装置である。転倒時に、このようなハンドルバープロテクタは、特に運転者の胸領域を、大抵は金属から成る固いハンドルバー部分への衝突から保護する。ハンドルバーバークランプへの衝突は特に重大な結果となり得る。この理由から、ハンドルバープロテクタは、しばしばハンドルバークランプ上に配置されている。
【0011】
保護作用の改善のために、ハンドルバープロテクタは、緩衝性の材料、特に発泡材を含んでいてよく、この緩衝性の材料によって衝撃を特に良好に受け止めることができる。このような発泡材を含むハンドルバープロテクタは、ハンドルバークッションとしても知られている。発泡材は、たとえば熱可塑性ポリウレタンまたは熱可塑性エラストマ、たとえば熱可塑性コポリエステルエラストマであってよい。
【0012】
ハンドルバープロテクタ、特にハンドルバークッションは、好適には硬質プラスチックから成るシェルを有していてよい。このシェルは、緩衝性の材料の周囲に配置されている。硬質プラスチックは、たとえば、硬成分、たとえばポリアミド、たとえばAkromid(登録商標)の種類のポリアミドを備えた熱可塑性エラストマ、たとえば熱可塑性コポリエステルエラストマであってよい。緩衝性の材料として使用すべき発泡材も、使用すべき硬質プラスチックも、先行技術において自体公知である。
【0013】
ハンドルバープロテクタが、緩衝性の材料、たとえば発泡材から製造された上側部材を有していることも考えられる。この上側部材は、組み付けられた状態で運転者に面している。
【0014】
上側部分は、たとえばやはり硬質プラスチックから製造されたより硬い下側部分に、好適には着脱可能または開放可能に結合可能であってよい。
【0015】
より硬い材料から製造された下側部分は、好適にはハンドルバーに取り付けられていてよい。下側部分のより硬い材料は、ハンドルバーとのより安定的な結合の利点を有している。ハンドルバープロテクタの上側部分と下側部分との間の結合部は、たとえば係止結合部の形態で実現することができ、上側部分は、付加的にまたは代替的に、下側部分に旋回可能に支承されていてよい。
【0016】
本発明によれば、ハンドルバープロテクタは、ハンドルバーグリップの間に配置されており、通信ユニットは、ハンドルバープロテクタの下側に、または少なくとも部分的に、好適には完全にハンドルバープロテクタの内側に配置されていることが規定されている。ハンドルバープロテクタの内側または下側の配置は、一方では転倒時またはその他の外的影響からの通信ユニットの保護を生じさせる。ハンドルバープロテクタがハンドルバー領域に配置されているので、通信ユニットは、さらにGPSセンサがGPS信号の受信のための最適な条件を提供し、傾斜角の改善された検出と、この領域に熱を排出する構成部材が配置されていないことによる周辺温度の測定とを可能にする箇所に位置決めされている。特に、ハンドルバー領域における配置時には、オートバイの内部に配置する場合よりも、GPSセンサのアンテナを大きく構成することもできる。
【0017】
本発明に係る車両は、オートバイであってよく、特にエンデューロオートバイが適している。なぜならば、エンデューロの使用時には、転倒の危険は特に大きく、したがってハンドルバープロテクタ、特にハンドルバークッションの配置が特に有意であるからである。しかし、本発明は、自転車、特に電動アシスト自転車または2つのハンドルバーグリップを備えた1つのハンドルバーを備えた4輪車両、たとえばクアッドまたはスキードゥ(Skidoo)にも使用することができる。
【0018】
1つの好適な実施形態では、ハンドルバープロテクタ、好適には通信ユニットが、ハンドルバーグリップの間に中心に配置されている。このことは、特に傾斜角を測定するための理想的な配置を保証する。この場合、中心とは、ハンドルバープロテクタが、左側のハンドルバーグリップと右側のハンドルバーグリップとの間で中央に、つまりハンドルバーにおいて対称的に配置されていることを意味している。さらに、ハンドルバープロテクタをハンドルバーグリップの間に中心に配置した場合、アンテナを有するGPSセンサは、通信ユニット内で特に良好に位置決めされている。なぜならば、アンテナは、最適な受信のためにできるだけ水平に配置されていることが望ましいからである。
【0019】
本発明の好適な実施形態では、ハンドルバープロテクタが切欠きを有している。切欠き内に、通信ユニットが配置可能である。ハンドルバープロテクタは、通信ユニットを、配置された状態において、完全にまたは少なくとも部分的に取り囲む。保護キャップが設けられていてもよく、この保護キャップを介して、切欠きにアクセス可能である。特に、発泡材から成るハンドルバープロテクタまたは発泡材から成る上側部分を備えたハンドルバープロテクタでは、切欠きが発泡材内に配置されていてよい。場合によっては、好適には硬質プラスチックから成るカバーまたはこのような材料から製造された下側部分が設けられていてよい。カバーは、1つの実施形態では保護キャップとして形成されている。
【0020】
特に、単線車両、特にオートバイでは、構成部材を配置するために僅かなスペースしかない。切欠きがハンドルバープロテクタ内に設けられていることにより、既存のスペースは極めて良好に利用され、通信ユニットの配置によって、別の構成部材のために提供されるべきスペースは使用されない。
【0021】
通信ユニットが、発泡材を備えたハンドルバープロテクタ内に少なくとも部分的に配置されている場合、通信ユニットを少なくとも部分的に、好適には完全に取り囲む発泡材が通信ユニットを振動から切り離すという別の利点が生じる。このことは、1つまたは複数のセンサの機能にとって有利であることが判った。
【0022】
通信ユニットは、オートバイに直接に、または保持装置を介して取り付けられている。特に、ハンドルバープロテクタ内に配置されている場合には、ハンドルバープロテクタまたはハンドルバープロテクタの部分も、通信ユニットのための保持装置と見なすことができる。
【0023】
本発明の別の実施形態では、保持装置が設けられている。保持装置により、通信ユニットおよび/またはハンドルバープロテクタが保持される。保持装置自体は、ハンドルバーに取り付けられている。
【0024】
好適には、通信ユニットはメモリを有している。このメモリにより、センサによって検出されたデータを保存することができる。メモリは、たとえばSSDメモリのような、自体先行技術から公知のメモリである。原則的には、センサにより検出されたデータを、インタフェースを介して直接に、かつメモリ内への保存なしに伝達することも考えられる。
【0025】
本発明の1つの別の実施形態では、通信ユニットが、車両状態に関するデータを受信するための受信装置を有している。これらのデータは、たとえば車両の、対応する送信装置を備えた制御ユニットから提供される。この場合、これらのデータを、たとえばBluetooth(登録商標)によりワイヤレスに、またはケーブル接続により受信装置に伝達することができる。受信装置は、インタフェース内に統合されているか、またはインタフェースに接続可能であってよい。たとえば、現在の速度、タイヤ圧、タンク充填度、オイル温度または冷却水温度、現在設定されているギア、またはたとえばキャブレタの開口のデータによって、現在要求されている出力が、受信装置により伝達される。これらのデータは、次いで同様にインタフェースを介して、場合によってはメモリ内での保存後に伝達され、図式解析されることができる。
【0026】
1つの実施形態では、通信ユニット自体が、特に検出および/または受信したデータに基づいて表を作成するための計算ユニットを有している。このことは、特に、インタフェースが、特にW-Lanおよび/またはBluetooth(登録商標)による、データのワイヤレスの伝達のために構成されている場合に有意である。この場合、計算ユニットにより処理されたデータを、スマートフォンにおいて直接に表示することができる。直接に車両のディスプレイユニットにおける表示も、インタフェースから伝達されるデータを受信するための対応する受信ユニットを車両が備えている限り、可能である。
【0027】
1つの別の実施形態では、通信ユニットが、遠隔通信機能を備えた送信装置を有している。これにより、センサにより検出されたデータから事故が推論される場合に、送信装置を介して救急信号が送信される。この場合、場合によっては同時にGPSデータを伝達することができる。このことは、車両が盗難された場合にも当てはまる。通信ユニットは、車両を発見するための追跡装置として働くことができる。
【0028】
本発明の1つの別の実施形態では、通信ユニットが制御装置を有している。この制御装置により、特定の車両パラメータが調節可能である。これらのパラメータは、たとえばエンジンの調整および/または設定に関し、または電子的に調節可能な車両の場合、たとえばスプリングストラットまたはサスペンションフォークのような、個別のばねエレメントおよび緩衝エレメントの調整に関する。
【0029】
好適には、インタフェース自体が、データまたは制御命令を受信するように構成されていることが規定されている。付加的にまたは代替的に、データおよび/または制御命令を受信する別個の受信装置が通信ユニット内に設けられていてよい。受信したデータまたは制御命令は、次いで制御ユニットへ転送することができ、制御ユニットは、特定のパラメータの調節を実行する。このことは、個別の車両パラメータを外部で、たとえばスマートフォンにおいて入力することができ、次いで通信ユニットを介して車両制御装置に転送することができるという利点を有している。
【0030】
本発明の1つの別の実施形態では、通信ユニットが、少なくとも1つのセンサによるデータ検出を開始および/または停止するためのスイッチに接続可能であるか、またはこのようなスイッチを有している。接続は、たとえばW-LanまたはBluetooth(登録商標)を介してワイヤレスに行うことができる。この場合、データ検出の開始はスマートフォン上のアプリを介して開始することができる。
【0031】
本発明の別の実施形態では、通信ユニットがディスプレイに接続可能であるか、またはディスプレイを有しており、ディスプレイにより、通信ユニットの運転状態、たとえばセンサにより現在データが検出されているか否かを表示可能である。ディスプレイへの接続も、たとえばW-LanまたはBluetooth(登録商標)を介してワイヤレスに行うことができる。これにより、ディスプレイが、車両の中央のディスプレイユニットに統合されていることも可能である。ディスプレイは、照明装置、たとえばLEDランプであってよく、センサの様々な運転状態がたとえば色を介して表示される。したがって、緑の照明は、データが検出されることを示すことができる。黄色は、データがインタフェースを介して伝達されることを示すことができる。点滅信号は、たとえば、受信したGPS信号が弱い等を示すことができる。
【0032】
本発明の別の利点および詳細を、以下の図面に基づき様々な実施例のために検討する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1a】ハンドルバープロテクタを備えたオートバイの側面図である
図1b】ハンドルバープロテクタを備えたオートバイを後ろから見た図である。
図1c】ハンドルバープロテクタを備えたオートバイを上から見た図である。
図2a図1bの詳細図である。
図2b図1cの詳細図である。
図3】通信ユニットを備えた、開放した状態でハンドルバープロテクタを示す図である。
図4a】ハンドルバープロテクタを下から見た図である。
図4b】ハンドルバープロテクタを後ろから見た図である。
図4c】ハンドルバープロテクタを上から見た図である。
図4d】ハンドルバープロテクタの側面図である。
図5a】ハンドルバープロテクタを取り付けるための分解図である。
図5b】ハンドルバープロテクタを取り付けるための分解図である。
図6】通信ユニットの構造に関する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1a~図1cには、エンデューロ(耐久)オートバイの形態の車両が側面図、背面図、上面図で図示されている。発泡材から製造された本発明によるハンドルバープロテクタ5は、ハンドルバーグリップ3aおよび3bの間の中心で操舵輪2に取り付けられ、ハンドルバークランプ13を覆っている。ハンドルバークランプ13は、通常は鋼から製造されているので、たとえばハンドルバークランプ13への胸領域での衝突はしばしば重大な結果を引き起こす。これに対して、ハンドルバープロテクタ5への衝突は、通常、あまり重大な結果を引き起こさない。
【0035】
図2aおよび図2bは、図1bおよび図1cに示した部分Aおよび部分Bを詳細図で図示している。この場合、少なくとも部分的に発泡材から製造されたハンドルバープロテクタ5がハンドルバークランプ13を覆っていることを確認することができる。LEDリングの形態のディスプレイ8は、ハンドルバープロテクタ5の切欠き6内に配置された通信ユニット4の運転状態を表示するために役立つ。たとえば、所定の色のLEDリングの照明は、GPSログインがアクティブであることを示す。当然ながら、ディスプレイ8が別の形状および構成を有していてもよい。
【0036】
図3には、本発明に係るハンドルバープロテクタ5が開放した状態で図示されている。ハンドルバープロテクタ5の下側部分5bの切欠き6内に配置された通信ユニット4を確認可能であり、この通信ユニット4は、この実施形態では、電流線路9に、通信ユニット4内に配置された受信装置および送信装置を介して接続されている。なぜならば、電流線路9は、一方では車両1のバッテリに接続可能であり、通信ユニット4への給電に役立ち、他方では、デジタル式の入力部および出力部の間のデータ伝達のために役立つ別のケーブルを有しているからである。特に、この実施例では、電流線路9がCANバスデータ線路を有している。全体的に、電流線路9内に含まれるケーブルを介して、車両1に関するパラメータおよび制御命令が、車両1の様々な部分に送信され、それらの部分によって受信される。この実施例では、電流線路9の他にデータ線路10が設けられている。このデータ線路10は高速データ線路であってよく、たとえば、通信ユニット4または制御装置19または車両1の別の制御機器を読み取る働きをし、かつ/またはこれらの装置のための設定やファームウェア更新のためのソフトウェアをインストールするために使用することができる。
【0037】
通信ユニット4は、プラスチックから成るホルダ14内に配置されている。ホルダ14自体は、係止エレメント7に係合している。係止エレメント7は、ハンドルバープロテクタ5の下側部分5b内に配置されている。係止エレメント7は、ハンドルバープロテクタ5内に通信ユニット4を取り付ける働きをする。当然ながら、ハンドルバー2におけるハンドルバープロテクタ5の取付けのためのように、通信ユニット4のための様々な取付け可能性を想定することができる。示されたバリエーションは、単に例示的な実施形態である。
【0038】
示された実施形態では、保持装置12に配置された開口11を確認することができる。保持装置12は、ハンドルバープロテクタ5の下側部分5bの下面に配置され、この実施形態では、ハンドルバー2におけるハンドルバープロテクタ5の取付けと、車両1におけるハンドルバー2の位置固定の働きもする。開口11内にねじ12cが挿入され、このねじ12cにより、保持装置12がハンドルバー2に取り付けられる。
【0039】
図4a~図4dは、ハンドルバープロテクタ5を備えた本発明に係る車両1のハンドルバー2を、底面図、背面図、上面図および側面図で示している。見やすさの理由から、保持装置12の、ハンドルバープロテクタ5をハンドルバー2に取り付ける部分のみが図示されている。図4aに示した底面図では、保持装置12の、ハンドルバー2の円筒形の中心部分に配置され、ハンドルバー2を位置固定するために形成されている部分12bに、複数の開口11を確認することができる。ハンドルバープロテクタ5の下側部分5b自体が、部分12bに取り付けられる。このために、この実施例では、ハンドルバープロテクタ5の下側部分5bおよび保持装置の部分12bの側方の孔が機能する。下側部分5および保持装置を、次いでこの孔内に挿入されるねじによって結合させることができる。
【0040】
図4bおよび図4cでは、特にディスプレイ8を確認することができる。ディスプレイ8は、通信ユニット4の運転状態を表示する働きをする。ハンドルバープロテクタ5の上側部分5aは、転倒時に車両1の運転者のための緩衝エレメントとして働き、この目的のために発泡材から製造されている。この実施例では、上側部分5aは、下側部分5bに旋回可能に取付け可能である。下側部分5bにおける上側部分5aの支承および取付けのために、特定の支承手段および取付け手段、たとえば係止エレメント16が設けられていてよい。代替的に、ハンドルバープロテクタ5は一体的に製造されていてもよい。通信ユニット4が、一体的なハンドルバープロテクタ5において、ハンドルバープロテクタ5内に配置されている場合、通信ユニット4を、製造プロセス中にハンドルバープロテクタ5内に配置することができる。しかし、開放可能なハンドルバープロテクタ5も可能であり、この開放可能なハンドルバープロテクタ5では、下側部分5bに統合的に結合された上側部分5aが回転可能に支承されており、これによりハンドルバープロテクタ5の内部に自由にアクセス可能にすることができる。
【0041】
ハンドルバープロテクタ5の下側部分5bは、同様に、たとえば上述した発泡材から製造されていてよい。しかし、安定性の理由から、好適には、下側部分5bを硬い材料、たとえば上述の硬質プラスチックから製造することが規定されている。このことは、ハンドルバー2におけるハンドルバープロテクタ5の取付けの安定性を高める。この実施形態では、切欠き6が、ハンドルバープロテクタ5の下側部分5bに配置されている。付加的にまたは代替的に、別の切欠きがハンドルバープロテクタ5の上側部分5aに配置されていてもよい。
【0042】
図4a~図4dの実施例では、ハンドルバープロテクタ5の上側部分5aを、それ自体独立したハンドルバープロテクタ5と見なすこともできる。この場合、通信ユニット4は、ハンドルバープロテクタ5の下側に配置されている。保持装置12を含む下側部分5bは、この場合、ハンドルバープロテクタ5のための保持装置と見なすことができる。
【0043】
図5aは、ハンドルバープロテクタ5が取り付けられるハンドルバー2を含む、ハンドルバープロテクタ5の重要な構成部材の分解図を背面図および側面図で示している。保持装置12は、2つのエレメント12aから成っている。これらのエレメント12aは、ハンドルバー2の下面に配置され、保持装置の、ハンドルバー2の上面に配置された部分12bと一緒にハンドルバー2を車両1のフレームに位置固定するように形成されている。この目的のために、部分12bの開口11および部分12aの対応する開口内に挿入することができる取付け手段12cが機能する。部分12bには、さらに側方の孔が設けられている。この側方の孔は、ハンドルバープロテクタ5の下側部分5bの側方の孔に対応する。部分12bおよび下側部分5bの側方の孔内に、ねじ(図5bでは、部分12bの右隣に図示されている)を挿入することができるので、ハンドルバープロテクタ5の下側部分5bが保持装置12の部分12bに取り付けられる。さらに、下側部分5bをケーブルバインダ(図示せず)によって付加的にハンドルバー2に取り付けることが規定されていてよい。この目的のために、対応する開口が下側部分5bに設けられている。
【0044】
下側部分5bは、別の係止エレメント7を有している。この係止エレメント7は、通信ユニット4のホルダ14の対応する切欠き内に係合することができる。これにより、通信ユニット4が、下側部分5bに配置された切欠き6内に取り付けられる。ハンドルバープロテクタ5の上側部分5aも係止エレメント16を有しており、これらの係止エレメント16により、上側部分5aを、下側部分5bに着脱可能かつ旋回可能に取付け可能である。左側に配置されている係止エレメント16は回転軸線として働き、結合された状態で、下側部分5bの対応する溝内に支承されている。右側に配置された係止エレメント16は係止突起として働き、結合された状態で、下側部分5bに設けられた突出するエッジに係合する。下側部分5bを上側部分5aに着脱可能に取り付けることが規定されていてよい。下側部分5bを単に旋回可能に形成し、しかし着脱不能に形成することが規定されていてもよい。この場合、右側に図示されたエレメント16が、下側部分5b内に回転可能に支承された回転軸線を形成することができる。
【0045】
部分12bの右隣に図示されたねじは、部分12bおよび下側部分5bの側方の孔内に挿入され、これによりハンドルバープロテクタ5の下側部分5bが保持装置12の部分12bに取り付けられる。
【0046】
図6は、本発明に係る通信ユニット4の構造を模式図で示している。通信ユニット4は車両1に関するデータを検出するためのセンサ15を有している。センサ15は、たとえば車両1のGPSデータを検出するためのセンサ15、加速度センサ等であってよい。特にGPS信号の検出は、ハンドルバー2に設けられた通信ユニット4におけるセンサ15の位置決めによって、著しく容易になる。通信ユニット4は、さらにインタフェース17を有している。このインタフェース17は、データ線路9を介してデータおよび/または制御命令を車両1に伝達するか、または車両1から受信することができる。これらのデータおよび制御命令の伝達は、たとえばW-LanまたはBluetooth(登録商標)を介してワイヤレスに行うことができる。インタフェース17は、受信装置および/または送信装置として構成されていてよい。
【0047】
通信ユニット4は、さらに計算ユニット18および制御装置19を有している。計算ユニット18は、センサ15によって検出されるかまたはインタフェース17によって受信されたデータを処理する働きをする。制御装置19は、場合によっては検出または受信したデータに基づいて制御命令を生成する働きをし、この場合、制御命令は、インタフェース17を介して車両1に伝達される。
【0048】
さらに、通信ユニット4は、通信ユニット4の機能状態を表示するためのディスプレイ8を有している。
【符号の説明】
【0049】
1 車両
2 ハンドルバー
3a,3b ハンドルバーグリップ
4 通信ユニット
5 ハンドルバープロテクタ
5a,5b ハンドルバープロテクタの上側部分および下側部分
6 切欠き
7 係止エレメント
8 ディスプレイ
9 電流線路
10 データ線路
11 保持装置の開口
12 保持装置
12a~12c 保持装置のエレメント
13 ハンドルバークランプ
14 ホルダ
15 センサ
16 ホルダのための係止エレメント
17 インタフェース
18 計算ユニット
19 制御装置
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図6
【外国語明細書】