(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138885
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】通知システム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20220915BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H02J13/00 301J
H02J3/14 130
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039006
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】595153527
【氏名又は名称】恒栄電設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 永治
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】中根 正信
(72)【発明者】
【氏名】田熊 大貴
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064BA04
5G064BA07
5G064CB08
5G064DA07
5G066AA09
5G066HA13
5G066HA17
(57)【要約】
【課題】様々な状況において状況に適した電力使用状況を通知することができる通知システムを提供する。
【解決手段】通知システム1は、接続装置6と、少なくとも複数の需要家3の電力使用状況を監視する監視装置7と、複数の需要家3に対して電力使用状況を音により通知する通知装置9と、を備える。監視装置7は、複数の需要家3の使用電力量から演算した電力使用状況に応じて第1通知データを生成して通知装置9へ送信する。通知装置9は、記憶装置を含み、記憶装置に記憶された複数種類の音データの中から第1通知データに応じた音を選択して出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力使用状況を通知する通知システムであって、
前記通知システムは、
発電事業者の第1電力系統と、複数の需要家を電力線で繋ぐ第2電力系統との間を接続する接続装置と、
少なくとも前記複数の需要家の電力使用状況を監視する監視装置と、
前記複数の需要家に対して電力使用状況を音により通知する通知装置と、を備え、
前記監視装置は、前記複数の需要家の使用電力量から演算した電力使用状況に応じて第1通知データを生成して前記通知装置へ送信し、
前記通知装置は、記憶装置を含み、前記記憶装置に記憶された複数種類の音データの中から前記第1通知データに応じた音を選択して出力する、通知システム。
【請求項2】
前記第1通知データは、通知スケジュールに関するデータを含み、
前記通知装置は、前記記憶装置に記憶された通知スケジュールに応じた通知タイミングで音を出力する、請求項1に記載の通知システム。
【請求項3】
前記第1通知データは、通知音量に関するデータを含み、
前記通知装置は、前記記憶装置に記憶された通知音量により音を出力する、請求項1または請求項2に記載の通知システム。
【請求項4】
前記第1通知データは、通知範囲に関するデータを含み、
前記通知装置は、前記記憶装置に記憶された通知範囲に対して音を出力する、請求項1または請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項5】
前記第2電力系統には、蓄電池および発電設備が設けられ、
前記接続装置は、前記第1電力系統において停電が発生した際に前記第1電力系統から前記第2電力系統を切り離し、前記蓄電池および前記発電設備の少なくとも一方からの電力を前記複数の需要家に供給し、
前記監視装置は、前記蓄電池の放電電力量、前記発電設備の発電電力量、天気情報、前記需要家の過去の使用電力量の少なくとも1つに基づいて前記蓄電池が基準値以下となるまでの時刻を予測し、前記予測された時刻に応じて第2通知データを生成して前記通知装置へ送信し、
前記通知装置は、前記記憶装置に記憶された前記音データの中から前記第2通知データに応じた音を選択して出力する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項6】
前記監視装置は、前記第1電力系統における停電の発生中において前記蓄電池の残量を監視し、前記残量に応じて第3通知データを生成して前記通知装置へ送信し、
前記通知装置は、前記記憶装置に記憶された前記音データの中から前記第3通知データに応じた音を選択して出力する、請求項5に記載の通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力使用状況を通知する通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許第5377087号公報(特許文献1)には、停電発生時に特定のエリアに対して停電情報を音声により出力するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているシステムは、停電発生時を含む様々な状況における電力使用状況を通知することは考慮されていなかった。
【0005】
本開示の目的は、様々な状況において状況に適した電力使用状況を通知することができる通知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の通知システムは、電力使用状況を通知する通知システムである。通知システムは、発電事業者の第1電力系統と、複数の需要家を電力線で繋ぐ第2電力系統との間を接続する接続装置と、複数の需要家の電力使用状況を監視する監視装置と、複数の需要家に対して電力使用状況を音により通知する通知装置と、を備える。監視装置は、少なくとも複数の需要家の使用電力量から演算した電力使用状況に応じて第1通知データを生成して通知装置へ送信する。通知装置は、記憶装置を含み、記憶装置に記憶された複数種類の音データの中から第1通知データに応じた音を選択して出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、様々な状況において状況に適した電力使用状況を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】監視装置で実行される処理を示すフローチャートである。
【
図3】再エネ使用率目標達成についての通知データ作成処理を示すフローチャートである。
【
図4】電力量と再エネ使用率との関係を示すグラフである。
【
図5】節電要請についての通知データ作成処理を示すフローチャートである。
【
図6】電力量と蓄電池残量との関係を示すグラフである。
【
図7】デマンド警報についての通知データ作成処理を示すフローチャートである。
【
図8】電力量とデマンド警報通知との関係を示すグラフである。
【
図9】停電時の電力使用状況についての通知データ作成処理を示すフローチャートである。
【
図10】停電時の電力量予測と蓄電池残量予測との関係を示すグラフである。
【
図11】停電時の蓄電池残量についての通知データ作成処理を示すフローチャートである。
【
図12】蓄電池残量と通知タイミングとの関係を示すグラフである。
【
図13】監視装置が生成する通知データの一例を示す表である。
【
図14】通知装置で実行される処理を示すフローチャートである。
【
図15】音声メッセージについて説明するための図である。
【
図16】実施の形態2に係る通知システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されている。
【0010】
[実施の形態1]
図1は、通知システム1の全体構成を示す図である。実施の形態1の通知システム1は、発電事業者である一般送配電事業者系統2に電力線で繋がる自営線区域系統10において用いられるシステムである。通知システム1は、接続装置6と、監視装置7と、需要家3と、通知装置9と、蓄電装置4と、発電設備5とを含む。なお、本実施の形態における「一般送配電事業者系統2」および「自営線区域系統10」は、本開示における「第1電力系統」および「第2電力系統」にそれぞれ対応する。
【0011】
接続装置6は、開閉器6aと、電力センサ6bと、系統保護装置6cとを含む。接続装置6は、一般送配電事業者系統2と自営線区域系統10との間を接続または遮断する。開閉器6aは、一般送配電事業者系統2と自営線区域系統10との電力を接続または遮断する遮断器である。電力センサ6bは、一般送配電事業者系統2から自営線区域系統10が買電する電力量を測るセンサである。系統保護装置6cは、異常発生時(過電流、過電圧、過負荷等)に系統を保護するために開閉器6aに対し一般送配電事業者系統2と、自営線区域系統10との間での電力供給を停止する信号を開閉器6aへ送信する。
【0012】
需要家3は、開閉器3aと、電力センサ3bと、変圧器3cと、一般負荷3dと、特定負荷3eとを含む。需要家3は、受変電設備を備え、電気の供給を受けて使用している者を指す。以下では、需要家3が備える設備一式を含めて需要家として説明する。
図1では、需要家3が2つのみ記載されているが、需要家3は1つあるいは3つ以上あってもよく適宜変更可能である。
【0013】
開閉器3aは、自営線区域系統10と需要家3との間を接続または遮断する遮断器である。電力センサ3bは、需要家3が使用した電力量を測るセンサである。変圧器3cは、自営線区域系統10から供給された電圧を各需要家3が使用できる電圧に変換する装置である。一般負荷3dは、停電時に電力が供給されない装置である。特定負荷3eは、停電時においても電力が供給される装置である。
【0014】
通知装置9は、需要家3の居住空間に配置され、様々な状況において状況に適した電力使用状況を音により通知する装置である。通知装置9は、CPU9a(Central Processing Unit)と、記憶装置としてのメモリ9b(ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory))と、各種信号を入力するための入出力装置等を含んで構成される。CPU9aは、監視装置7からの送信データに基づいてROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。
【0015】
蓄電装置4は、開閉器4aと、変圧器4bと、蓄電池制御ユニット4cと、蓄電池4dとを含む。蓄電装置4は、電気を蓄えることのできる装置であり、以下では、蓄電池4dを含む装置全体を含めて蓄電池として説明する。
図1では、蓄電装置4が1つのみの場合を説明するが、蓄電装置4は2つ以上あってもよい。
【0016】
開閉器4aは、自営線区域系統10と蓄電装置4との間を接続または遮断する遮断器である。変圧器4bは、自営線区域系統10と蓄電装置4との間で使用できる電圧に変換する装置である。蓄電池制御ユニット4cは、蓄電池4dを制御する装置である。蓄電池4dは、充電と放電とが可能な電池である。
【0017】
発電設備5は、開閉器5aと、変圧器5bと、パワーコンディショナ5cと、ソーラーパネル5dとを含む。発電設備5は、電気を発電できる装置であり、以下では、ソーラーパネル5dを含む装置全体を含めて発電設備として説明する。
図1では、発電設備5が1つのみの場合を説明するが、発電設備5は2つ以上あってもよい。発電設備5は、ソーラ以外の発電(火力、風力、水力、潮力、自家発電機等)でもよい。
【0018】
開閉器5aは、自営線区域系統10と発電設備5との間を接続または遮断する遮断器である。変圧器5bは、自営線区域系統10と発電設備5との間で使用できる電圧に変換する装置である。パワーコンディショナ5cは、ソーラーパネル5dを制御する装置である。ソーラーパネル5dは、太陽光を用いて発電する装置である。
【0019】
監視装置7は、各設備から送信される情報およびインターネット8から得られる情報に基づいて各設備に設けられた各機器を制御する装置である。監視装置7は、CPU7aと、記憶装置としてのメモリ7b(ROMおよびRAM)と、各種信号を入力するための図示しない入出力装置等を含んで構成される。CPU7aは、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されるプログラムは、監視装置7の処理手順が記されたプログラムである。監視装置7は、これらのプログラムに従って、各機器の制御を実行する。この制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0020】
監視装置7は、監視装置7が受信する情報である取得データに応じた通知データを作成する。監視装置7は、取得データとして、少なくとも接続装置6からの一般送配電事業者系統2から自営線区域系統10が買電する買電電力量情報と、需要家3が使用する使用電力量情報と、蓄電装置4からの充電電力量情報と、蓄電装置4からの放電電力量情報と、蓄電池4dの蓄電池残量情報と、発電設備5からの発電電力量情報と、インターネット8からの天気予報情報および日射量情報とを取得する。
【0021】
図2は、監視装置7で実行される処理を示すフローチャートである。監視装置7は、まずステップS(以下、単に「S」と示す)1において各種電力量等のデータを取得する。次いで、監視装置7は、取得データに応じた通知データ作成処理を実行する(S2)。通知データ作成処理の詳細は後述する。次いで、監視装置7は、作成した通知データを通知装置9へ出力し、処理を終了する。
【0022】
図3、
図4により再生可能エネルギー(以下、再エネと称する)に関する通知データ作成処理について説明する。
図3は、再エネ使用率目標達成についての通知データ作成処理を示すフローチャートである。
図4は、電力量と再エネ使用率との関係を示すグラフである。実施の形態1おける再エネは、太陽光を用いるソーラーパネル5dによって生成されるが、風力、潮力等の他のエネルギーであってもよい。
【0023】
図3に示すように、監視装置7は、S11において需要家3の使用電力量情報、買電電力量情報、発電電力量情報を取得する。監視装置7は、買電電力量が予め定められた基準となる低いレベル(LL(Low‐Level))以下であるか否かを判定する(S12)。監視装置7は、買電電力量がLLを超過していると判定した場合(S12のNO)、再エネ使用率目標未達成であるというデータを作成し(S16)、リターンする。
【0024】
監視装置7は、買電電力量がLL以下であると判定した場合(S12のYES)、再エネ使用率を演算する(S13)。再エネ使用率は、
図4(A)に示す需要家使用電力量に対して、
図4(C)の発電電力量から
図4(B)の買電電力量を引いた電力量の割合から算出される。
図4(D)に示すように、再エネ使用率が予め定められた目標値以上となる期間がメロディー通知域となる期間である。
【0025】
監視装置7は、S14において再エネ使用率が予め定められた目標値以上であるか否かを判定する。監視装置7は、再エネ使用率が目標値未満であると判定した場合(S14のNO)、再エネ使用率目標未達成であるというデータを作成し(S16)、リターンする。
【0026】
監視装置7は、
図3に示す処理を実行することにより、再エネ使用率の目標値に達成した再エネ使用率目標値達成メロディーの通知データを生成する。これにより、再エネ使用率が目標値に達した状況に応じたデータ生成が可能となる。
【0027】
監視装置7は、S14において再エネ使用率が目標値以上であると判定した場合(S14のYES)、再エネ使用率目標値達成メロディーの通知データを生成し(S15)、リターンする。
【0028】
図5、
図6により節電要請に関する通知データ作成処理について説明する。
図5は、節電要請についての通知データ作成処理を示すフローチャートである。
図6は、電力量と蓄電池残量との関係を示すグラフである。
【0029】
図5に示すように、監視装置7は、S21において需要家3の使用電力量情報、買電電力量情報、発電電力量情報、蓄電池電力量情報、蓄電池残量情報を取得する。監視装置7は、需要家3の使用電力量が
図6(A)に示すような予め定められたピークカット値以上であるか否かを判定する(S22)。ピークカット値とは、需要家3全体の使用電力量が最も多い値となる場合に使用電力を削減する基準となる値である。監視装置7は、使用電力量がピークカット値未満と判定した場合(S22のNO)、S24の処理へ移行する。
【0030】
監視装置7は、使用電力量がピークカット値以上であると判定した場合(S22のYES)、ピークカット中メロディーの通知データを生成する(S23)。次いで、監視装置7は、蓄電池残量が予め定められた基準となる低いレベル(LL(Low‐Level))+α以下であるか否かを判定する(S24)。監視装置7は、蓄電池残量がLL+αより大きいと判定した場合(S24のNO)、リターンする。
【0031】
監視装置7は、蓄電池残量がLL+α以下であると判定した場合(S24のYES)、節電要請メロディーの通知データを生成し(S25)、リターンする。節電要請通知は、
図6(B)の買電電力量が一定であり、
図6(C)の発電電力量が低下し、
図6(D)の蓄電池全力量が放電されることにより、
図6(E)に示す蓄電池残量がLL+αとなったタイミングで通知されるように設定されている。
図6(A),(E)に示すように、節電要請通知は、蓄電池残量がLL以下となるよりも手前のタイミングで通知されるため、蓄電池残量が低いレベルとなるよりも早い段階で需要家3に節電要請を通知することができる。
【0032】
図7、
図8によりデマンド警報に関する通知データ作成処理について説明する。
図7は、デマンド警報についての通知データ作成処理を示すフローチャートである。
図8は、電力量とデマンド警報通知との関係を示すグラフである。
【0033】
図7に示すように、監視装置7は、S31において需要家3の使用電力量情報を取得する。監視装置7は、需要家3の使用電力量が
図8に示すような予め定められたデマンド設定値以上であるか否かを判定する(S32)。デマンド設定値とは、需要家3の合計の最大需要電力に対して、予め設定された需要時間(例えば、30分間)における平均電力値である。監視装置7は、使用電力量がデマンド設定値未満と判定した場合(S32のNO)、リターンする。
【0034】
監視装置7は、使用電力量がデマンド設定値以上であると判定した場合(S32のYES)、デマンド警報メロディーの通知データを生成し(S33)、リターンする。
図8に示すように、デマンド警報通知は、需要家使用電力が最大となるよりも手前のタイミングで通知されるため、早い段階で需要家3に節電要請を通知することができる。
【0035】
図9、
図10により停電時の電力使用状況に関する通知データ作成処理について説明する。
図9は、停電時の電力使用状況についての通知データ作成処理を示すフローチャートである。
図10は、停電時の電力量予測と蓄電池残量予測との関係を示すグラフである。
【0036】
図9に示すように、監視装置7は、S41において過去の実績における需要家3の使用電力量情報、蓄電池残量情報、インターネット8からの天気予報情報、日射量予測情報を取得する。監視装置7は、取得した情報を基に
図10(A)に示す需要家使用電力量、
図10(B)に示す発電電力量、
図10(C)に示す蓄電池電力量を予測し、予測した値に基づいて
図10(D)に示す蓄電池残量予測を演算する(S42)。
【0037】
次いで、監視装置7は、蓄電池残量の予測値が予め定められた基準となる低いレベル(LL(Low‐Level))以下であるか否かを判定する(S43)。監視装置7は、蓄電池残量予測がLL以下であると判定した場合(S43のYES)、節電要請メロディーの通知データを生成し(S44)、リターンする。監視装置7は、蓄電池残量予測がLLより大きいと判定した場合(S43のNO)、通常使用可メロディーの通知データを生成し(S45)、リターンする。
【0038】
監視装置7は、停電時の自立運転状態において
図9に示す処理を実行する。監視装置7は、例えば、朝の時間帯に蓄電池残量を予測し、一日を通して通常に電気使用が可能な場合は通常使用可メロディーの通知データを生成し、電力が不足する予測をした場合は節電要請メロディーの通知データを生成する。これにより、予測に応じた適切なデータ生成が可能となる。
【0039】
図11、
図12により停電時の蓄電池残量に関する通知データ作成処理について説明する。
図11は、停電時の蓄電池残量についての通知データ作成処理を示すフローチャートである。
図12は、蓄電池残量と通知タイミングとの関係を示すグラフである。
【0040】
図11に示すように、S51において監視装置7は、蓄電池残量情報を取得する。
図12に示すように、蓄電値残量は、通知データの生成条件として、L1、L2の2つの値が設定されている。L1は、L2よりも大きい値である。
【0041】
監視装置7は、S52において蓄電池残量がL2以下であるか否かを判定する。監視装置7は、蓄電池残量がL2以下であると判定した場合(S52のYES)、電気使用自粛メロディーの通知データを生成し(S53)、リターンする。
【0042】
監視装置7は、蓄電池残量がL2より大きいと判定した場合(S53のNO)、蓄電池残量がL1以下であるか否かを判定する(S54)。監視装置7は、蓄電池残量がL1以下であると判定した場合(S54のYES)、節電要請メロディーの通知データを生成し(S55)、リターンする。監視装置7は、蓄電池残量がL1より大きいと判定した場合(S54のNO)、リターンする。
【0043】
監視装置7は、停電時の自立運転状態において
図11に示す処理を実行する。監視装置7は、蓄電池残量を監視しており、蓄電池残量がL1となり蓄電池残量に未だ余裕がある場合は節電要請メロディーの通知データを生成し、蓄電池残量がL2となり蓄電池残量に余裕が無くなってきた場合は電気使用自粛メロディーの通知データを生成する。これにより、蓄電池残量に応じた適切なデータ生成が可能となる。
【0044】
図13は、監視装置7が生成する通知データの一例を示す表である。
図13に示すように、通知データには、データの種類を示す情報と、通知スケジュールの情報と、音色の情報と、音量の情報と、通知範囲の情報とが含まれる。データの種類を示す情報は、監視装置7により生成されたデータの種類を示す情報である。通知スケジュールの情報は、音を通知する期間とタイミングとを示す情報である。音色の情報は、出力する音の音色を示す情報であり、メロディー、音楽等の種類に関する情報を含む。音量の情報は、出力する音量を示す情報である。通知範囲の情報は、出力する音の通知範囲を示す情報であり、いずれの範囲の需要家3へ音を通知するかの情報を含む。
【0045】
例えば、監視装置7は、通知データAを生成する際は、通知スジェジュールが無し、音色が無音、音量が無し、通知範囲が無しというデータ、通知スケジュールがA1、音色がA1、音量がA1、通知範囲がA1というデータ、通知スケジュールがA2、音色がA2、音量がA2、通知範囲がA2というデータ等の中からいずれか1つのデータを生成する。
【0046】
なお、通知スケジュールが設定されていないデータは、
図3のS16で生成されるような音による通知がされない再エネ使用率目標未達成のデータである。通知システム1では、
図13の表に基づいた通知スケジュール、音色、音量、通知範囲により音が出力される。
【0047】
図14は、通知装置9で実行される処理を示すフローチャートである。通知装置9は、まずS61において通知データを受信したか否かを判定する。通知装置9は、S61において通知データを受信していないと判定した場合(S61のNO)、処理を終了する。
【0048】
通知装置9は、S61において通知データを受信したと判定した場合(S61のYES)、通知データに基づいて通知タイミングを設定する(S62)。次いで、通知装置9は、通知データに基づいて音色を設定する(S63)。次いで、通知装置9は、通知データに基づいて通知音量を設定する(S64)。次いで、通知装置9は、通知データに基づいて通知範囲を設定する(S65)。次いで、通知装置9は、各設定に応じた音声メッセージを含む音を出力し(S66)、処理を終了する。
【0049】
通知装置9は、記憶装置に記憶された複数種類の音データの中から通知データに応じた音を選択してS66の処理において音を出力する。なお、音声メッセージは、出力されない場合があってもよい。
【0050】
図15は、音声メッセージついて説明するための図である。通知装置9からは、音とともに音声メッセージも出力される。
図15に示すように、監視装置7側で通知データが出力される際、通知装置9側では2回の音の通知タイミングに合わせて音が出力される。
【0051】
音声メッセージの通知タイミングは、音の通知タイミングと開始タイミングが同じである。音声メッセージの通知タイミングに合わせて音の出力期間よりも短い期間音声メッセージが出力される。音声メッセージとしては、例えば、「蓄電池の残量が**%以下になりました。節電にご協力下さい。」という音声が出力される。
【0052】
[まとめ]
本開示は、電力使用状況を通知する通知システム1に関する。通知システム1は、一般送配電事業者系統2の第1電力系統と、複数の需要家3を電力線で繋ぐ第2電力系統との間を接続する接続装置6と、少なくとも複数の需要家3の電力使用状況を監視する監視装置7と、複数の需要家3に対して電力使用状況を音により通知する通知装置9と、を備える。監視装置7は、複数の需要家3の使用電力量から演算した電力使用状況に応じて第1通知データを生成して通知装置9へ送信する。通知装置9は、記憶装置を含み、記憶装置に記憶された複数種類の音データの中から第1通知データに応じた音を選択して出力する。
【0053】
このような構成を備えることによって、通知システム1では、電力使用状況に応じて通知データを生成し、その通知データに応じた音を出力するため、様々な状況において状況に適した電力使用状況を通知することができる。
【0054】
好ましくは、第1通知データは、通知スケジュールに関するデータを含む。通知装置9は、記憶装置に記憶された通知スケジュールに応じた通知タイミングで音を出力する。
【0055】
このような構成を備えることによって、通知装置9は、適切な通知タイミングで音を出力することができる。
【0056】
好ましくは、第1通知データは、通知音量に関するデータを含む。通知装置9は、記憶装置に記憶された通知音量により音を出力する。
【0057】
このような構成を備えることによって、通知装置9は、適切な通知音量で音を出力することができる。
【0058】
好ましくは、第1通知データは、通知範囲に関するデータを含む。通知装置9は、記憶装置に記憶された通知範囲に対して音を出力する。
【0059】
このような構成を備えることによって、通知装置9は、適切な通知範囲に音を出力することができる。
【0060】
好ましくは、第2電力系統には、蓄電装置4および発電設備5が設けられている。接続装置6は、第1電力系統において停電が発生した際に第1電力系統から第2電力系統を切り離し、蓄電装置4および発電設備5の少なくとも一方からの電力を複数の需要家3に供給する。監視装置7は、蓄電装置4の放電電力量、発電設備5の発電電力量、天気情報、需要家3の過去の使用電力量の少なくとも1つに基づいて蓄電装置4が基準値以下となるまでの時刻を予測し、予測された時刻に応じて第2通知データを生成して通知装置9へ送信する。通知装置9は、記憶装置に記憶された音データの中から第2通知データに応じた音を選択して出力する。
【0061】
このような構成を備えることによって、通知装置9は、蓄電装置4が基準値であるLL以下となるまでの時刻を予測して生成される節電要請メロディーの通知データに応じた音を出力するため、停電発生時の状況に適した電力使用状況を通知することができる。
【0062】
好ましくは、監視装置7は、第1電力系統における停電の発生中において蓄電装置4の残量を監視し、残量に応じて第3通知データを生成して通知装置9へ送信する。通知装置9は、記憶装置に記憶された音データの中から第3通知データに応じた音を選択して出力する。
【0063】
このような構成を備えることによって、通知装置9は、蓄電装置4の残量に応じて生成される節電要請メロディーの通知データまたは電気使用自粛メロディーの通知データに応じた音を出力するため、停電発生時の状況に適した電力使用状況を通知することができる。
【0064】
[実施の形態2]
図16は、実施の形態2に係る通知システム1Aの全体構成を示す図である。通知システム1Aでは、第1自営線区域系統10Aと、第2自営線区域系統10Bとが設けられている。このように、自営線区域系統は、2つ以上設けられるようにしてもよい。第1自営線区域系統10Aと、第2自営線区域系統10Bとは、一般送配電事業者系統2の送電網を使用する託送という形で接続される。
図16の第2自営線区域系統10Bでは、接続装置6、監視装置7以外の構成については記載を省略している。なお、第2自営線区域系統10Bについては、第1自営線区域系統10Aと同様の構成であってもよいし、需要家、蓄電装置、発電設備が個別に接続されるようにしてもよい。
【0065】
通知システム1Aでは、平常時において、第1自営線区域系統10Aと、第2自営線区域系統10Bとの間で蓄電装置4、発電設備5の電力融通ができるようになっている。通知システム1Aでは、監視装置7が別々に設けられ、各監視装置7同士においてデータのやり取りが可能となっている。なお、1つの監視装置7で複数の自営線区域系統を監視するようにしてもよい。通知システム1Aは、このような構成を備えることで自由度を持たせた設計において電力使用状況を通知することができる。
【0066】
[変形例]
需要家3は、学校、郵便局、警察署、消防署、市役所、区役所、病院、駅、公園等の公共的な機関であればよい。需要家3は、一般家庭、マンション、スーパー等が含まれていてもよい。
【0067】
通知システム1は、家庭向けのHEMS(Home Energy Management System)、オフィスビル向けのBEMS(Building Energy Management System)、工場向けのFEMS(Factory Energy Management System)等のエネルギー管理システムに用いられてもよい。
【0068】
通知システム1は、音の通知とともに画面上において電力の使用状況を通知するようにしてもよい。
【0069】
通知装置9が出力する音は、状況により音色を変化させるものではなく、曲のテンポを変更するものでもよい。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1 通知システム、2 一般送配電事業者系統、3 需要家、3a,4a,5a,6a 開閉器、3b,6b 電力センサ、3c,4b,5b 変圧器、3d 一般負荷、3e 特定負荷、4 蓄電装置、4c 蓄電池制御ユニット、4d 蓄電池、5 発電設備、5c パワーコンディショナ、5d ソーラーパネル、6 接続装置、6c 系統保護装置、7 監視装置、8 インターネット、9 通知装置、10 自営線区域系統。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力使用状況を通知する通知システムであって、
前記通知システムは、
発電事業者の第1電力系統と、複数の需要家を電力線で繋ぐ第2電力系統との間を接続する接続装置と、
少なくとも前記複数の需要家の電力使用状況を監視する監視装置と、
前記複数の需要家に対して電力使用状況を音により通知する通知装置と、を備え、
前記監視装置は、前記複数の需要家の使用電力量から演算した電力使用状況に応じて第1通知データを生成して前記通知装置へ送信し、
前記第1通知データは、電力使用状況に応じて複数のデータの組合せのパターンが異なり、
前記通知装置は、記憶装置を含み、前記記憶装置に記憶された複数種類の音データの中から電力使用状況に応じて生成された一のパターンの前記第1通知データに応じた音を選択して出力する、通知システム。
【請求項2】
電力使用状況を通知する通知システムであって、
前記通知システムは、
発電事業者の第1電力系統と、複数の需要家を電力線で繋ぐ第2電力系統との間を接続する接続装置と、
少なくとも前記複数の需要家の電力使用状況を監視する監視装置と、
前記複数の需要家に対して電力使用状況を音により通知する通知装置と、を備え、
前記監視装置は、前記複数の需要家の使用電力量から演算した電力使用状況に応じて第1通知データを生成して前記通知装置へ送信し、
前記通知装置は、記憶装置を含み、前記記憶装置に記憶された複数種類の音データの中から前記第1通知データに応じた音を選択して出力し、
前記第1通知データに応じた音には、音と音声メッセージとが含まれており、
前記通知装置は、音の出力期間が音声メッセージの出力期間よりも長くなるように出力する、通知システム。
【請求項3】
電力使用状況を通知する通知システムであって、
前記通知システムは、
発電事業者の第1電力系統と、複数の需要家を電力線で繋ぐ第2電力系統との間を接続する接続装置と、
少なくとも前記複数の需要家の電力使用状況を監視する監視装置と、
前記複数の需要家に対して電力使用状況を音により通知する通知装置と、を備え、
前記監視装置は、前記複数の需要家の使用電力量、買電電力量、および発電電力量から再生可能エネルギーの使用率を演算し、前記使用率が予め定められた目標値以上の場合は、達成に応じた第1通知データを生成して前記通知装置へ送信し、前記使用率が予め定められた目標値未満の場合は、未達成に応じた前記第1通知データを生成して前記通知装置へ送信し、
前記通知装置は、記憶装置を含み、前記記憶装置に記憶された複数種類の音データの中から前記第1通知データに応じた音を選択して出力する、通知システム。
【請求項4】
前記第1通知データは、通知スケジュールに関するデータを含み、
前記通知装置は、前記記憶装置に記憶された通知スケジュールに応じた通知タイミングで音を出力する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項5】
前記第1通知データは、通知音量に関するデータを含み、
前記通知装置は、前記記憶装置に記憶された通知音量により音を出力する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項6】
前記第1通知データは、通知範囲に関するデータを含み、
前記通知装置は、前記記憶装置に記憶された通知範囲に対して音を出力する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項7】
前記第2電力系統には、蓄電池および発電設備が設けられ、
前記接続装置は、前記第1電力系統において停電が発生した際に前記第1電力系統から前記第2電力系統を切り離し、前記蓄電池および前記発電設備の少なくとも一方からの電力を前記複数の需要家に供給し、
前記監視装置は、前記蓄電池の放電電力量、前記発電設備の発電電力量、天気情報、過去の使用電力量の少なくとも1つに基づいて前記蓄電池が基準値以下となるまでの時刻を予測し、前記予測された時刻に応じて第2通知データを生成して前記通知装置へ送信し、
前記通知装置は、前記記憶装置に記憶された前記音データの中から前記第2通知データに応じた音を選択して出力する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項8】
前記監視装置は、前記第1電力系統における停電の発生中において前記蓄電池の残量を監視し、前記残量に応じて第3通知データを生成して前記通知装置へ送信し、
前記通知装置は、前記記憶装置に記憶された前記音データの中から前記第3通知データに応じた音を選択して出力する、請求項7に記載の通知システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の通知システムは、電力使用状況を通知する通知システムである。通知システムは、発電事業者の第1電力系統と、複数の需要家を電力線で繋ぐ第2電力系統との間を接続する接続装置と、少なくとも複数の需要家の電力使用状況を監視する監視装置と、複数の需要家に対して電力使用状況を音により通知する通知装置と、を備える。監視装置は、少なくとも複数の需要家の使用電力量から演算した電力使用状況に応じて第1通知データを生成して通知装置へ送信する。第1通知データは、電力使用状況に応じて複数のデータの組合せのパターンが異なる。通知装置は、記憶装置を含み、記憶装置に記憶された複数種類の音データの中から電力使用状況に応じて生成された一のパターンの第1通知データに応じた音を選択して出力する。