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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138911
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】廃水処理システムとその運転方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20220915BHJP
   B01D 61/02 20060101ALI20220915BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20220915BHJP
   B01D 63/10 20060101ALI20220915BHJP
   B01D 63/06 20060101ALI20220915BHJP
   B01D 71/16 20060101ALI20220915BHJP
   B01D 71/56 20060101ALI20220915BHJP
   B01D 61/14 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
C02F1/44 F
B01D61/02 500
B01D61/58
B01D63/10
B01D63/06
B01D71/16
B01D71/56
B01D61/14 500
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039062
(22)【出願日】2021-03-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】594152620
【氏名又は名称】ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】浜田 敏充
(72)【発明者】
【氏名】小林 正人
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA24
4D006HA25
4D006HA61
4D006JA56Z
4D006KA52
4D006KA53
4D006KA55
4D006KA57
4D006KE12R
4D006KE16P
4D006KE16Q
4D006KE21P
4D006MC18
4D006MC54
4D006PB08
4D006PB14
(57)【要約】
【課題】含油廃水を処理するための廃水処理システムの提供。
【解決手段】含油廃水が貯水された原水タンク(1)、原水タンク(1)の含油廃水をろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過膜装置(2)、前記第1ろ過水を貯水する第1ろ過水タンク(3)、第1ろ過水タンク(3)の第1ろ過水をろ過して第2ろ過水を得る第2ろ過膜装置(4)を備えている含油廃水処理システム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含油廃水が貯水された原水タンク(1)、原水タンク(1)の含油廃水をろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過膜装置(2)、前記第1ろ過水を貯水する第1ろ過水タンク(3)、第1ろ過水タンク(3)の第1ろ過水をろ過して第2ろ過水を得る第2ろ過膜装置(4)を備えている含油廃水処理システムであって、
第1ろ過膜装置(2)がチューブラー型RO膜、チューブラー型NF膜から選ばれる分離膜を有し、第2ろ過膜装置(4)がスパイラル型RO膜を有しており、
原水タンク(1)と第1ろ過膜装置(2)が第1循環ポンプ(20)を備えた原水ライン(11)で接続され、
第1ろ過膜装置(2)と第1ろ過水タンク(3)が第1aろ過水ライン(12)で接続され、
第1ろ過膜装置(2)と原水タンク(1)が第1濃縮水ライン(13)で接続され、
原水タンク(1)、原水ライン(11)、第1ろ過膜装置(2)、第1濃縮水ライン(13)および原水タンク(1)からなる第1循環ラインを有しており、
第1ろ過水タンク(3)と第2ろ過膜装置(4)が第2循環ポンプ(21)を備えた第1bろ過水ライン(14)で接続され、
第2ろ過膜装置(4)に第2ろ過水の採水ライン(15)が接続され、
第2ろ過膜装置(4)と第1ろ過水タンク(3)が第2濃縮水ライン(16)で接続され、
第1ろ過水タンク(3)、第1bろ過水ライン(14)、第2ろ過膜装置(4)、第2濃縮水ライン(16)および第1ろ過水タンク(3)からなる第2循環ラインを有している、含油廃水処理システム。
【請求項2】
第1ろ過膜装置(2)のチューブラー型RO膜、チューブラー型NF膜から選ばれる分離膜が、酢酸セルロースからなるものであり、
第2ろ過膜装置(4)のスパイラル型RO膜が、ポリアミドからなるものである、請求項1記載の含油廃水処理システム。
【請求項3】
含油廃水が貯水された原水タンク(31)、原水タンク(31)の含油廃水をろ過して前処理水を得る前処理用ろ過膜装置(32)、前記前処理水を貯水する前処理水タンク(33)、前処理水タンク(33)の前処理水をろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過膜装置(34)、前記第1ろ過水を貯水する第1ろ過水タンク(35)、第1ろ過水タンク(35)の第1ろ過水をろ過して第2ろ過水を得る第2ろ過膜装置(36)を備えている含油廃水処理システムであって、
前処理用ろ過膜装置(32)がUF膜またはMF膜を有し、第1ろ過膜装置(34)がチューブラー型RO膜、チューブラー型NF膜から選ばれる分離膜を有し、第2ろ過膜装置(36)がスパイラル型RO膜を有しており、
原水タンク(31)と前処理用ろ過膜装置(32)が前処理用循環ポンプ(50)を備えた原水ライン(41)で接続され、
前処理用ろ過膜装置(32)と前処理水タンク(33)が第1前処理水ライン(42)で接続され、
前処理用ろ過膜装置(32)と原水タンク(31)が前処理濃縮水ライン(43)で接続され、
原水タンク(31)、原水ライン(41)、前処理用ろ過膜装置(32)、前処理濃縮水ライン(43)および原水タンク(31)からなる前処理用循環ラインを有しており、
前処理水タンク(33)と第1ろ過膜装置(34)が第1循環ポンプ(51)を備えた第2前処理水ライン(44)で接続され、
第1ろ過膜装置(34)と第1ろ過水タンク(35)が第1aろ過水ライン(45)で接続され、
第1ろ過膜装置(34)と前処理水タンク(33)が第1濃縮水ライン(46)で接続され、
前処理水タンク(33)、第2前処理水ライン(44)、第1ろ過膜装置(34)、第1濃縮水ライン(46)および前処理水タンク(33)からなる第1循環ラインを有しており、
第1ろ過水タンク(35)と第2ろ過膜装置(36)が第2循環ポンプ(52)を備えた第1bろ過水ライン(46)で接続され、
第2ろ過膜装置(36)に第2ろ過水の採水ライン(47)が接続され、
第2ろ過膜装置(36)と第1ろ過水タンク(35)が第2濃縮水ライン(48)で接続され、
第1ろ過水タンク(35)、第1bろ過水ライン(46)、第2ろ過膜装置(36)、第2濃縮水ライン(48)および第1ろ過水タンク(35)からなる第2循環ラインを有している、含油廃水処理システム。
【請求項4】
前処理用ろ過膜装置(32)がチューブラー型UF膜を有しているものであり、
第1ろ過膜装置(2)のチューブラー型RO膜、チューブラー型NF膜から選ばれる分離膜が酢酸セルロースからなるものであり、
第2ろ過膜装置(4)のスパイラル型RO膜がポリアミドからなるものである、請求項3記載の含油廃水処理システム。
【請求項5】
請求項1または2記載の廃水処理システムの運転方法であって、
第1循環ラインを使用して、
含油廃水を前記原水タンク(1)に送って貯水する廃水送水工程、
第1循環ポンプ(20)を作動させ、原水タンク(1)内の原水を原水ライン(11)により第1ろ過膜装置(2)に送ってろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過工程、
前記第1ろ過工程で得られた第1ろ過水を第1aろ過水ライン(12)により第1ろ過水タンク(3)に送って貯水する第1ろ過水の貯水工程、
前記第1ろ過工程で得られた濃縮水を第1濃縮水ライン(13)により原水タンク(1)に返送する工程を実施し、
第2循環ラインを使用して、
第2循環ポンプ(21)を作動させ、第1ろ過水タンク(3)内の第1ろ過水を第1bろ過水ライン(14)により第2ろ過膜装置(4)に送ってろ過して第2ろ過水を得る第2ろ過工程、
前記第2ろ過工程で得られた第2ろ過水を採水する採水工程、
前記第2ろ過工程で得られた濃縮水を第2濃縮水ライン(16)により第1ろ過水タンク(3)に返送する工程を実施する、含油廃水処理システムの運転方法。
【請求項6】
請求項3または4記載の廃水処理システムの運転方法であって、
前処理用循環ラインを使用して、
含油廃水を原水タンク(31)に送って貯水する廃水送水工程、
前処理用循環ポンプ(50)を作動させ、原水タンク(1)内の原水を原水ライン(41)により前処理用ろ過膜装置(32)に送って前処理水を得る前処理ろ過工程、
前記前処理ろ過工程で得られた前処理水を第1前処理水ライン(42)により前処理水タンク(33)に送って貯水する前処理水の貯水工程、
前記前処理ろ過工程で得られた濃縮水を前処理濃縮水ライン(43)により原水タンク(31)に返送する工程を実施し、
第1循環ラインを使用して、
前記第1循環ポンプ(51)を作動させ、前処理水タンク(33)内の前処理水を第2前処理水ライン(44)により第1ろ過膜装置(34)に送ってろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過工程、
前記第1ろ過工程で得られた第1ろ過水を第1aろ過水ライン(45)により第1ろ過水タンク(35)に送って貯水する第1ろ過水の貯水工程、
前記第1ろ過工程で得られた第1濃縮水を第1濃縮水ライン(46)により前処理水タンク(33)に返送する工程を実施し、
第2循環ラインを使用して、
第2循環ポンプ(52)を作動させ、第1ろ過水タンク(35)内の第1ろ過水を第1bろ過水ライン(46)により第2ろ過膜装置(36)に送ってろ過して第2ろ過水を得る第2ろ過工程、
前記第2ろ過工程で得られた第2ろ過水を採水する採水工程、
前記第2ろ過工程で得られた第2濃縮水を第2濃縮水ライン(48)により第1ろ過水タンク(35)に返送する工程を実施する、含油廃水処理システムの運転方法。
【請求項7】
前記含油廃水が、水溶性オイル、界面活性剤を含む廃水であり、CODが6000mg/L以上、BODが5000mg/L以上、n-ヘキサンが1000mg/L以上のものである、請求項5または6記載の含油廃水処理システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、含油廃水の処理をすることができる廃水処理システムとその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種分野の工場などから排出される廃水には、鉱物油、雑油、ワックス、界面活性剤、懸濁物などが含まれており、そのまま下水に流すことはできず、処理する必要がある。
【0003】
特許文献1には、含油廃水に、HLBが10~15の界面活性剤を、油分に対し2%~10%添加攪拌して水中油滴型にエマルジョン化し、次いで、このエマルジョンをセラミックフィルタで濾過すると共にその濾過水を逆浸透膜処理することを特徴とする含油廃水の処理方法の発明が記載されている(特許請求の範囲)。
前記発明によると、セラミックフィルタ及び逆浸透膜の分離能の低下を防止して長時間にわたって油分濃度及び界面活性剤濃度がlppm以下の処理水を得ることができると記載されている(段落番号0050)。
【0004】
特許文献2には、含油廃液を配管に供給又は貯留槽に貯留し、前記配管に供給又は前記貯留槽に貯留した前記廃液を、薬剤の供給による前処理により水相に溶解又は分散させ、前記前処理後の前記廃液から凝縮水と濃縮液とを得るために減圧濃縮することを特徴とする含油廃液の処理方法の発明が記載されている(特許請求の範囲)。
前記発明によると、装置の頻繁なメンテナンスが不要で、含油廃液を効率良く簡単に処理することが可能な廃液の処理方法及びその装置が提供できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-210289号公報
【特許文献2】WO2017/183236
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、含油廃水の処理をすることができる廃水処理システムとその運転方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、含油廃水が貯水された原水タンク(1)、原水タンク(1)の含油廃水をろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過膜装置(2)、前記第1ろ過水を貯水する第1ろ過水タンク(3)、第1ろ過水タンク(3)の第1ろ過水をろ過して第2ろ過水を得る第2ろ過膜装置(4)を備えている含油廃水処理システムであって、
第1ろ過膜装置(2)がチューブラー型RO膜、チューブラー型NF膜から選ばれる分離膜を有し、第2ろ過膜装置(4)がスパイラル型RO膜を有しており、
原水タンク(1)と第1ろ過膜装置(2)が第1循環ポンプ(20)を備えた原水ライン(11)で接続され、
第1ろ過膜装置(2)と第1ろ過水タンク(3)が第1aろ過水ライン(12)で接続され、
第1ろ過膜装置(2)と原水タンク(1)が第1濃縮水ライン(13)で接続され、
原水タンク(1)、原水ライン(11)、第1ろ過膜装置(2)、第1濃縮水ライン(13)および原水タンク(1)からなる第1循環ラインを有しており、
第1ろ過水タンク(3)と第2ろ過膜装置(4)が第2循環ポンプ(21)を備えた第1bろ過水ライン(14)で接続され、
第2ろ過膜装置(4)に第2ろ過水の採水ライン(15)が接続され、
第2ろ過膜装置(4)と第1ろ過水タンク(3)が第2濃縮水ライン(16)で接続され、
第1ろ過水タンク(3)、第1bろ過水ライン(14)、第2ろ過膜装置(4)、第2濃縮水ライン(16)および第1ろ過水タンク(3)からなる第2循環ラインを有している、含油廃水処理システムと、その運転方法を提供する。
【0008】
また本開示は、含油廃水が貯水された原水タンク(31)、原水タンク(31)の含油廃水をろ過して前処理水を得る前処理用ろ過膜装置(32)、前記前処理水を貯水する前処理水タンク(33)、前処理水タンク(33)の前処理水をろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過膜装置(34)、前記第1ろ過水を貯水する第1ろ過水タンク(35)、第1ろ過水タンク(35)の第1ろ過水をろ過して第2ろ過水を得る第2ろ過膜装置(36)を備えている含油廃水処理システムであって、
前処理用ろ過膜装置(32)がUF膜またはMF膜を有し、第1ろ過膜装置(34)がチューブラー型RO膜、チューブラー型NF膜から選ばれる分離膜を有し、第2ろ過膜装置(36)がスパイラル型RO膜を有しており、
原水タンク(31)と前処理用ろ過膜装置(32)が前処理用循環ポンプ(50)を備えた原水ライン(41)で接続され、
前処理用ろ過膜装置(32)と前処理水タンク(33)が第1前処理水ライン(42)で接続され、
前処理用ろ過膜装置(32)と原水タンク(31)が前処理濃縮水ライン(43)で接続され、
原水タンク(31)、原水ライン(41)、前処理用ろ過膜装置(32)、前処理濃縮水ライン(43)および原水タンク(31)からなる前処理用循環ラインを有しており、
前処理水タンク(33)と第1ろ過膜装置(34)が第1循環ポンプ(51)を備えた第2前処理水ライン(44)で接続され、
第1ろ過膜装置(34)と第1ろ過水タンク(35)が第1aろ過水ライン(45)で接続され、
第1ろ過膜装置(34)と前処理水タンク(33)が第1濃縮水ライン(46)で接続され、
前処理水タンク(33)、第2前処理水ライン(44)、第1ろ過膜装置(34)、第1濃縮水ライン(46)および前処理水タンク(33)からなる第1循環ラインを有しており、
第1ろ過水タンク(35)と第2ろ過膜装置(36)が第2循環ポンプ(52)を備えた第1bろ過水ライン(46)で接続され、
第2ろ過膜装置(36)に第2ろ過水の採水ライン(47)が接続され、
第2ろ過膜装置(36)と第1ろ過水タンク(35)が第2濃縮水ライン(48)で接続され、
第1ろ過水タンク(35)、第1bろ過水ライン(46)、第2ろ過膜装置(36)、第2濃縮水ライン(48)および第1ろ過水タンク(35)からなる第2循環ラインを有している、含油廃水処理システムと、その運転方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の廃水処理システムとその運転方法によれば、高いろ過性能を維持したまま、長期間安定した廃水処理ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態である廃水処理システムを含む廃水処理フローを示す図。
図2】本開示の廃水処理システムの第1ろ過膜装置で使用できるろ過膜エレメントの斜視図。
図3図2に示すろ過膜エレメントを複数組み合わせたろ過膜エレメントセットの平面図。
図4図3に示すろ過膜エレメントの複数本が筒状ケースハウジングに入れられたろ過膜エレメントセットの斜視図。但し、実際には見えない内部が見えるように表示している。
図5】本開示の別実施形態である廃水処理システムを含む廃水処理フローを示す図。
図6】比較例の廃水処理システムを含む廃水処理フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す第1廃水処理システム]
図1により第1廃水処理システムを説明する。
原水タンク1には、含油廃水が貯水される。原水タンク1には、必要に応じて、内部の原水温度を調節するための温度調節装置(図示していない)、温度計(図示していない)、水位計(図示していない)を備えることができる。
【0012】
含油廃水は、水溶性オイル、界面活性剤などを含む廃水であり、例えば、CODが6000mg/L以上、BODが5000mg/L以上、n-ヘキサンが1000mg/L以上の廃水である。
含油廃水は、含油排水源から含油廃水ライン10により原水タンク1に送られて貯水される。含油廃水ライン10には、金属片などの大きめの異物を取り除くためのプレフィルターを設置することもできる。
含油排水源は、各種工場などで生じた含油廃水が流入する廃水ピット(排水槽)に集められたものを使用することもできる。
廃水ピットは、砂利や砂などの沈殿物、凝集剤を添加したときの沈殿物を排出するための排出ラインが底部に接続されていてもよい。
含油廃水中の油の種類や濃度は特に限定されるものではなく、例えば、特開2003-93803号公報に記載のn-ヘキサン抽出物量と同じ成分であって、同じ濃度範囲を基準とすることができる。
廃水ピット内の含油廃水には、必要に応じて、界面活性剤、凝集剤、吸着剤から選ばれる1または2以上の薬剤を添加することもできる。
【0013】
第1ろ過膜装置2は、原水タンク1の含油廃水をろ過して第1ろ過水を得るためのものである。
原水タンク1と第1ろ過膜装置2の原水入口は、第1循環ポンプ20を備えた原水ライン11で接続されているが、必要に応じて原水タンク1と第1ろ過膜装置2の間にもプレフィルターを設置することができる。
第1ろ過膜装置2の濃縮水出口と原水タンク1は、第1濃縮水ライン13で接続されている。
原水タンク1、原水ライン11、第1ろ過膜装置2、第1濃縮水ライン13および原水タンク1からなる第1循環ラインを有している。第1循環ラインの各ラインには、必要に応じて電磁弁などの開閉弁(開閉バルブ)設置することができる。
【0014】
第1ろ過膜装置2は、分離膜としてチューブラー型RO膜、チューブラー型NF膜を含む装置が好ましく、前記チューブラー型RO膜、前記チューブラー型NF膜は酢酸セルロースからなるものが含油廃水を処理する際に処理量の低下が抑制されるためより好ましい。
チューブラー型RO膜、チューブラー型NF膜を含む第1ろ過膜装置2としては、図2図4に示す形態のものを使用することができる。
図2に示す第1ろ過膜装置2は、例えば、多孔支持管141内にチューブラー型RO膜またはチューブラー型NF膜142が配置されているろ過膜エレメント140である。
多孔支持管141は、合成樹脂(例えば繊維強化樹脂)または金属(例えばステンレス)からなるものであり、厚さ方向に貫通された多数の孔143が分散配置されている。
チューブラー型RO膜またはチューブラー型NF膜142は、不織布、紙などからなる支持管の内側にRO膜やNF膜が形成されたものでもよい。
チューブラー型RO膜またはチューブラー型NF膜142の内径は、被処理水の濃度(固形分濃度)に応じて調整することができるものであり、例えば5~15mmの範囲にすることができる。
チューブラー型RO膜またはチューブラー型NF膜142は、廃水の流路が大きいため膜が閉塞し難く、廃水の流入が膜面閉塞物を剥離する方向にも流れているため、凝集物が存在する廃水処理に適している。
【0015】
図3に示す第1ろ過膜装置2は、複数本のろ過膜エレメント140が連結されて1本になったろ過膜エレメントセット150である。
ろ過膜エレメントセット150は、直列配置されたろ過膜エレメント140のうち、隣接するろ過膜エレメント140同士がU字管151で連結されているものである。U字管151に代えて他の連結方法を使用することもできる。
ろ過膜エレメントセット150の第1端開口部150aには原水ライン11が接続され、反対側の第2端開口部150bには第1濃縮水ライン13が接続されている。
ろ過膜エレメントセット150は、例えば、2~10本のろ過膜エレメント140が直列に接続されたものにすることができる。
【0016】
図4に示す第1ろ過膜装置2は、筒状のケーシング161内にろ過膜エレメントセット150が収容され、全体として1本の管状になっているモジュール型ろ過膜エレメントセット160である。
モジュール型ろ過膜エレメントセット160は、両端面(第1端面162と第2端面163)が閉塞された筒状のケーシング161内にろ過膜エレメントセット150が巻き込まれて円柱状になった形態で収容されているものである。
筒状のケーシング161の第1端面162には、ろ過膜エレメントセット150の原水入り口163と濃縮水出口164が突き出されている。
筒状ハウジング161の側面164からは、ろ過水出口165が突き出されており、さらに図示していない通気孔が形成されている。
モジュール型ろ過膜エレメントセット160は、1または複数を組み合わせて使用することができる。
【0017】
第1ろ過水タンク3は、第1ろ過膜装置2でろ過して得られた第1ろ過水を貯水するためのものである。
第1ろ過膜装置2のろ過水出口と第1ろ過水タンク3は、第1ろ過水ライン12で接続されている。
【0018】
第2ろ過膜装置4は、第1ろ過水タンク3の第1ろ過水をろ過して第2ろ過水を得るためのものである。
第2ろ過膜装置4は、分離膜としてスパイラル型RO膜を有しているものが好ましく、前記スパイラル型RO膜がポリアミドからなるものがより好ましい。
第1ろ過水タンク3と第2ろ過膜装置4の原水入口(第1ろ過水入口)は、第2循環ポンプ21を備えた第2ろ過水ライン14で接続されている。
第2ろ過膜装置4のろ過水出口には第2ろ過水の採水ライン15が接続されており、採水ライン15は、必要に応じて第2ろ過水タンク(図示せず)に接続されていてもよい。
第2ろ過膜装置4の濃縮水出口と第1ろ過水タンク3は、第2濃縮水ライン16で接続されている。
第1ろ過水タンク3、第2ろ過水ライン14、第2ろ過膜装置4、第2濃縮水ライン16および第1ろ過水タンク3からなる第2循環ラインを有している。第2循環ラインの各ラインには、必要に応じて電磁弁などの開閉弁(開閉バルブ)設置することができる。
【0019】
図1に示す第1廃水処理システムの運転方法]
図1により廃水処理システムの運転方法の一態様を説明する。
まず、各種工場などで生じた含油廃水を原水タンク1に送って貯水する廃水送水工程を実施する。
原水タンク1に貯水する含油廃水は、必要に応じて薬剤処理することもできるが、図1に示す廃水処理システムであれば、薬剤を使用しないか、または薬剤の使用量を減少させた場合でも、再利用できる処理水が得られるような高いレベルのろ過処理をすることができる。
【0020】
次に第1循環ポンプ20を作動させ、原水タンク1内の原水(含油廃水)を原水ライン11により第1ろ過膜装置2に送ってろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過工程を実施する。
第1ろ過工程で得られた第1濃縮水は、第1濃縮水ライン13から原水タンク1に返送して、再度原水として第1ろ過工程の処理をする。
第1循環ラインを使用して、上記の第1ろ過工程を繰り返し実施する。
なお、原水タンク1に第1濃縮水を返送することで原水中の懸濁質濃度が過度になったときは、原水タンク1内の原水の一部を排出して、別途設置した濃縮水タンクに貯水することもできる。
【0021】
第1ろ過工程で得られた第1ろ過水は、第1ろ過水ライン12により第1ろ過水タンク3に送って貯水する(第1ろ過水の貯水工程)。
次に第2循環ポンプ21を作動させ、第1ろ過水タンク3内の第1ろ過水を第2ろ過水ライン14により第2ろ過膜装置4に送ってろ過して、第2ろ過水を得る第2ろ過工程を実施する。
次に第2ろ過工程で得られた第2ろ過水は、採水ライン15から採水し、必要に応じて貯水して、工業用水、中水、洗浄用水、防火用水、植木用の水、融雪用や打ち水用の水として再利用することができる。
第2ろ過工程で得られた第2濃縮水は、第2濃縮水ライン16から第1ろ過水タンク3に返送して、再度第1ろ過水として第2ろ過工程の処理をする。
第2循環ラインを使用して、上記の第2ろ過工程を繰り返し実施する。
【0022】
図5に示す第2廃水処理システム]
図5により第2廃水処理システムを説明する。
原水タンク31には、含油廃水が貯水される。原水タンク31には、必要に応じて、内部の原水温度を調節するための温度調節装置(図示していない)、温度計(図示していない)、水位計(図示していない)を備えることができる。
【0023】
含油廃水は、水溶性オイル、界面活性剤などを含む廃水であり、例えば、CODが6000mg/L以上、BODが5000mg/L以上、n-ヘキサンが1000mg/L以上の廃水である。
含油廃水は、含油排水源から含油廃水ライン40により原水タンク31に送られて貯水される。含油廃水ライン40には、金属片などの大きめの異物を取り除くためのプレフィルターを設置することもできる。
含油排水源は、各種工場などで生じた含油廃水が流入する廃水ピット(排水槽)に集められたものを使用することもできる。
廃水ピットは、底部において砂利や砂などの沈殿物、凝集剤を添加したときの沈殿物を排出するための排出ラインが接続されていてもよい。
含油廃水中の油の種類や濃度は特に限定されるものではなく、例えば、特開2003-93803号公報に記載のn-ヘキサン抽出物量と同じ成分であって、同じ濃度範囲を基準とすることができる。
廃水ピット内の含油廃水には、必要に応じて、界面活性剤、凝集剤、吸着剤から選ばれる1または2以上の薬剤を添加することもできる。
【0024】
前処理用ろ過膜装置32は、原水タンク31の含油廃水をろ過して前処理水を得るためのものである。
前処理用ろ過膜装置32は、分離膜としてUF膜またはMF膜を有しているものであり、チューブラー型UF膜が好ましい。
チューブラー型UF膜を含む前処理用ろ過膜装置32としては、第1ろ過膜装置2と同じ図2図4に示す形態のものを使用することができる。
【0025】
原水タンク31と前処理用ろ過膜装置32の原水入口は、前処理用循環ポンプ50を備えた原水ライン41で接続されている。必要に応じて、原水タンク31と前処理用ろ過膜装置32の間にもプレフィルターを設置することができる。
前処理用ろ過膜装置32の濃縮水出口と原水タンク31は、前処理濃縮水ライン43で接続されている。
原水タンク31、原水ライン41、前処理用ろ過膜装置32、前処理濃縮水ライン43および原水タンク31からなる前処理用循環ラインを有している。前処理用循環ラインの各ラインには、必要に応じて電磁弁などの開閉弁(開閉バルブ)を設置することができる。
【0026】
前処理水タンク33は、前処理用ろ過膜装置32でろ過して得られた前処理水を貯水するためのものである。
前処理用ろ過膜装置32のろ過水出口と前処理水タンク33は、第1前処理水ライン42で接続されている。
【0027】
第1ろ過膜装置34は、前処理水タンク33の前処理水をろ過して第1ろ過水を得るためのものである。
第1ろ過膜装置34は、分離膜としてチューブラー型RO膜またはチューブラー型NF膜を含む装置が好ましく、前記チューブラー型RO膜、前記チューブラー型NF膜は、酢酸セルロースからなるものがより好ましい。
チューブラー型RO膜またはチューブラー型NF膜を含む第1ろ過膜装置34としては、図2図4に示す形態のものを使用することができる。
【0028】
前処理水タンク33と第1ろ過膜装置34の原水入口は、第1循環ポンプ51を備えた第2前処理水ライン44で接続されている。
第1ろ過膜装置34の濃縮水出口と前処理水タンク33は、第1濃縮水ライン46で接続されている。
前処理水タンク33、第2前処理水ライン44、第1ろ過膜装置34、第1濃縮水ライン46および前処理水タンク33からなる第1循環ラインを有している。第1循環ラインの各ラインには、必要に応じて電磁弁などの開閉弁(開閉バルブ)を設置することができる。
【0029】
第1ろ過水タンク35は、第1ろ過膜装置34でろ過して得られた第1ろ過水を貯水するためのものである。
第1ろ過膜装置34のろ過水出口と第1ろ過水タンク35は、第1aろ過水ライン45で接続されている。
【0030】
第2ろ過膜装置36は、第1ろ過水タンク35の第1ろ過水をろ過して第2ろ過水を得るためのものである。
第2ろ過膜装置36は、分離膜としてスパイラル型RO膜を有しているものが好ましく、前記スパイラル型RO膜がポリアミドからなるものが水中不純物の阻止率が高いためより好ましい。
一方で、ポリアミドからなるスパイラル型RO膜は、特に含油廃水を処理する際に急激な処理量の低下を起こすため、前記第1ろ過膜装置34により前処理する必要がある。
第1ろ過水タンク35と第2ろ過膜装置36の原水入口は、第2循環ポンプ52を備えた第1bろ過水ライン46で接続されている。
第2ろ過膜装置36のろ過水出口には第2ろ過水の採水ライン47が接続されており、採水ライン47は、必要に応じて第2ろ過水タンク(図示せず)に接続されていてもよい。
第2ろ過膜装置36の濃縮水出口と第1ろ過水タンク35は、第2濃縮水ライン48で接続されている。
第1ろ過水タンク35、第1bろ過水ライン46、第2ろ過膜装置36、第2濃縮水ライン48および第1ろ過水タンク35からなる第2循環ラインを有している。第2循環ラインの各ラインには、必要に応じて電磁弁などの開閉弁(開閉バルブ)設置することができる。
【0031】
図5に示す第2廃水処理システムの運転方法]
図5により第2廃水処理システムの運転方法の一態様を説明する。
まず、各種工場などで生じた含油廃水を原水タンク31に送って貯水する廃水送水工程を実施する。
原水タンク31に貯水する含油廃水は、必要に応じて薬剤処理することもできるが、図5に示す廃水処理システムであれば、薬剤を使用しないか、または薬剤の使用量を減少させた場合でも、再利用できる処理水が得られるような高いレベルのろ過処理をすることができる。
【0032】
次に前処理用循環ポンプ50を作動させ、原水タンク31内の原水(含油廃水)を原水ライン41により前処理用ろ過膜装置32に送ってろ過して前処理水を得る前処理工程を実施する。
前処理工程で得られた前処理濃縮水は、前処理濃縮水ライン43から原水タンク31に返送して、再度原水として前処理工程の処理をする。
前処理用循環ラインを使用して、上記の前処理工程を繰り返し実施する。
なお、原水タンク31に第1濃縮水を返送することで原水中の懸濁質濃度が過度になったときは、原水タンク31内の原水の一部を排出して、別途設置した濃縮水タンクに貯水することもできる。
【0033】
前処理工程で得られた前処理水は、第1前処理水ライン42により前処理水タンク33に送って貯水する(前処理水の貯水工程)。
次に第1循環ポンプ51を作動させ、前処理水タンク1内の前処理水を第2前処理水ライン44により第1ろ過膜装置34に送ってろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過工程を実施する。
第1ろ過工程で得られた第1濃縮水は、第1濃縮水ライン46から前処理水タンク33に返送して、再度前処理水として第1ろ過工程の処理をする。
第1循環ラインを使用して、上記の第1ろ過工程を繰り返し実施する。
【0034】
第1ろ過工程で得られた第1ろ過水は、第1aろ過水ライン45により第1ろ過水タンク35に送って貯水する(第1ろ過水の貯水工程)。
次に第2循環ポンプ52を作動させ、第1ろ過水タンク35内の第1ろ過水を第1bろ過水ライン46により第2ろ過膜装置36に送ってろ過して第2ろ過水を得る第2ろ過工程を実施する。
次に第2ろ過工程で得られた第2ろ過水は、採水ライン47から採水し、必要に応じて貯水して、工業用水、中水、洗浄用水、防火用水、植木用の水、融雪用や打ち水用の水として再利用することができる。
第2ろ過工程で得られた第2濃縮水は、第2濃縮水ライン48から第1ろ過水タンク35に返送して、再度第1ろ過水として第2ろ過工程の処理をする。
第2循環ラインを使用して、上記の第2ろ過工程を繰り返し実施する。
【0035】
本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせなどは一例であって、本発明の開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例0036】
実施例1
図5に示す廃水処理システムにより実施した。
処理前の含油廃水は、機械加工工場から排出された切削油廃水と工程廃水が混合された液(表1~3の原水)である。
但し、表1~3の原水は、廃水を市販の孔径100umの糸巻きタイプのプレフィルターで粗濾過したものである。
【0037】
次に原水タンク1の原水を前処理用ろ過膜装置32でろ過した。
前処理用ろ過膜装置32は、分離膜としてチューブラー膜モジュールのうち含油廃水の処理に適している親水性のポリオレフィン製の膜をもつ、孔径が分画分子量2万のTU-2020-P18A(分画分子量2万)(ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製)を使用した(TB UF膜)。
前処理用ろ過膜装置32は、0.3MPa、25℃のろ過圧力で、約300分間の循環運転を行って前処理水を得た。
【0038】
次に前処理水タンク33の前処理水を第1ろ過膜装置34でろ過して第1ろ過水を得た。
第1ろ過膜装置34は、分離膜としてRO/NF膜のチューブラーモジュール(TR-70C3-P18A;酢酸セルロース製,2,000ppmNaCl溶液阻止性70%、膜面積1.6m2)(ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製)を使用した(TB RO/NF膜)。
第1ろ過膜装置34の運転条件は、入口圧力2MPa、循環流量15L/min、温度25℃、ろ過量は0.4L/min前後であり約200minで80Lの第1ろ過水を得た。
【0039】
次に第1ろ過水タンク35の第1ろ過水を第2ろ過膜装置36でろ過して第2ろ過水を得た。
第2ろ過膜装置36は、分離膜としてポリアミド複合膜からなるRO膜のスパイラルエレメント(ESPA4-2520:Hydranautics社製、膜面積1.1m2, 500ppmNaCl溶液阻止率99.0%)を使用した。
第2ろ過膜装置36の運転条件は、入口圧力0.9MPa、循環流量8L/min、液温20~25℃であり、200分の循環運転を行った。
第1ろ過膜装置34があることにより、第2ろ過膜装置36の膜交換を長期間実施しなくて済むようになった。
【0040】
【表1】
【0041】
比較例1
図6に示す比較用の廃水処理システムにより実施した。
図6の廃水処理システムは、原水タンク61,第1循環ポンプ71、チューブラー型UF膜ろ過装置62、第1ろ過水タンク63、第2循環ポンプ72、スパイラル型RO膜ろ過装置64を備えており、各装置および各タンクが各ラインで接続されているものである。
図6の比較用の廃水処理システムは、図5の排水処理システムにおいて第1ろ過装置34を含む第1循環ラインがないものである。但し、前処理用ろ過膜装置32のTB UF膜は、分画分子量は10万のものを使用した。
運転条件は、実施例1の前処理用ろ過膜装置32と第2ろ過膜装置36の運転条件と同じであった。
運転直後から第2ろ過膜装置36の処理量が低下していき、約3時間後には処理量がゼロになるほどの状況であったため、運転を停止した。
【0042】
【表2】
【0043】
比較例2
図6に示す比較用の廃水処理システムにより実施した。
前処理用ろ過膜装置32のTB UF膜として分画分子量10万のものを使用したほかは、比較例1と同様に実施した。
比較例1と同様に、運転直後から第2ろ過膜装置36の処理量が低下した。
【0044】
【表3】
【0045】
表1~表3の対比から明らかなとおり、本開示の廃水処理システムを使用すれば、汚れのひどい含油廃水であっても、工業用水、中水、洗浄用水、防火用水、植木用の水、融雪用や打ち水用の水として再利用できるレベルまで処理することができた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示の廃水処理システムとその運転方法は、各種工場や事業所などで生じる油を含む廃水の処理に利用することができ、例えば、金型に塗布した離型剤を含む含油排水であるダイキャスト排水、洗車廃水、大規模調理施設からの廃水などを処理することができる。
【符号の説明】
【0047】
1,31 原水タンク
2,34 第1ろ過膜装置
3,35 第1ろ過水タンク
4,36 第2ろ過膜装置
32 前処理用ろ過膜装置
33 前処理水タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含油廃水が貯水された原水タンク(1)、原水タンク(1)の含油廃水をろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過膜装置(2)、前記第1ろ過水を貯水する第1ろ過水タンク(3)、第1ろ過水タンク(3)の第1ろ過水をろ過して第2ろ過水を得る第2ろ過膜装置(4)を備えている含油廃水処理システムであって、
第1ろ過膜装置(2)がチューブラー型RO膜、チューブラー型NF膜から選ばれる分離膜を有し、第2ろ過膜装置(4)がスパイラル型RO膜を有しており、
第1ろ過膜装置(2)のチューブラー型RO膜、チューブラー型NF膜から選ばれる分離膜が、酢酸セルロースからなるものであり、
第2ろ過膜装置(4)のスパイラル型RO膜が、ポリアミドからなるものであり、
原水タンク(1)と第1ろ過膜装置(2)が第1循環ポンプ(20)を備えた原水ライン(11)で接続され、
第1ろ過膜装置(2)と第1ろ過水タンク(3)が第1aろ過水ライン(12)で接続され、
第1ろ過膜装置(2)と原水タンク(1)が第1濃縮水ライン(13)で接続され、
原水タンク(1)、原水ライン(11)、第1ろ過膜装置(2)、第1濃縮水ライン(13)および原水タンク(1)からなる第1循環ラインを有しており、
第1ろ過水タンク(3)と第2ろ過膜装置(4)が第2循環ポンプ(21)を備えた第1bろ過水ライン(14)で接続され、
第2ろ過膜装置(4)に第2ろ過水の採水ライン(15)が接続され、
第2ろ過膜装置(4)と第1ろ過水タンク(3)が第2濃縮水ライン(16)で接続され、
第1ろ過水タンク(3)、第1bろ過水ライン(14)、第2ろ過膜装置(4)、第2濃縮水ライン(16)および第1ろ過水タンク(3)からなる第2循環ラインを有している、含油廃水処理システム。
【請求項2】
含油廃水が貯水された原水タンク(31)、原水タンク(31)の含油廃水をろ過して前処理水を得る前処理用ろ過膜装置(32)、前記前処理水を貯水する前処理水タンク(33)、前処理水タンク(33)の前処理水をろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過膜装置(34)、前記第1ろ過水を貯水する第1ろ過水タンク(35)、第1ろ過水タンク(35)の第1ろ過水をろ過して第2ろ過水を得る第2ろ過膜装置(36)を備えている含油廃水処理システムであって、
前処理用ろ過膜装置(32)がUF膜またはMF膜を有し、第1ろ過膜装置(34)がチューブラー型RO膜、チューブラー型NF膜から選ばれる分離膜を有し、第2ろ過膜装置(36)がスパイラル型RO膜を有しており、
原水タンク(31)と前処理用ろ過膜装置(32)が前処理用循環ポンプ(50)を備えた原水ライン(41)で接続され、
前処理用ろ過膜装置(32)と前処理水タンク(33)が第1前処理水ライン(42)で接続され、
前処理用ろ過膜装置(32)と原水タンク(31)が前処理濃縮水ライン(43)で接続され、
原水タンク(31)、原水ライン(41)、前処理用ろ過膜装置(32)、前処理濃縮水ライン(43)および原水タンク(31)からなる前処理用循環ラインを有しており、
前処理水タンク(33)と第1ろ過膜装置(34)が第1循環ポンプ(51)を備えた第2前処理水ライン(44)で接続され、
第1ろ過膜装置(34)と第1ろ過水タンク(35)が第1aろ過水ライン(45)で接続され、
第1ろ過膜装置(34)と前処理水タンク(33)が第1濃縮水ライン(46)で接続され、
前処理水タンク(33)、第2前処理水ライン(44)、第1ろ過膜装置(34)、第1濃縮水ライン(46)および前処理水タンク(33)からなる第1循環ラインを有しており、
第1ろ過水タンク(35)と第2ろ過膜装置(36)が第2循環ポンプ(52)を備えた第1bろ過水ライン(46)で接続され、
第2ろ過膜装置(36)に第2ろ過水の採水ライン(47)が接続され、
第2ろ過膜装置(36)と第1ろ過水タンク(35)が第2濃縮水ライン(48)で接続され、
第1ろ過水タンク(35)、第1bろ過水ライン(46)、第2ろ過膜装置(36)、第2濃縮水ライン(48)および第1ろ過水タンク(35)からなる第2循環ラインを有している、含油廃水処理システム。
【請求項3】
前処理用ろ過膜装置(32)がチューブラー型UF膜を有しているものであり、
第1ろ過膜装置(2)のチューブラー型RO膜、チューブラー型NF膜から選ばれる分離膜が酢酸セルロースからなるものであり、
第2ろ過膜装置(4)のスパイラル型RO膜がポリアミドからなるものである、請求項記載の含油廃水処理システム。
【請求項4】
請求項1記載の廃水処理システムの運転方法であって、
第1循環ラインを使用して、
含油廃水を前記原水タンク(1)に送って貯水する廃水送水工程、
第1循環ポンプ(20)を作動させ、原水タンク(1)内の原水を原水ライン(11)により第1ろ過膜装置(2)に送ってろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過工程、
前記第1ろ過工程で得られた第1ろ過水を第1aろ過水ライン(12)により第1ろ過水タンク(3)に送って貯水する第1ろ過水の貯水工程、
前記第1ろ過工程で得られた濃縮水を第1濃縮水ライン(13)により原水タンク(1)に返送する工程を実施し、
第2循環ラインを使用して、
第2循環ポンプ(21)を作動させ、第1ろ過水タンク(3)内の第1ろ過水を第1bろ過水ライン(14)により第2ろ過膜装置(4)に送ってろ過して第2ろ過水を得る第2ろ過工程、
前記第2ろ過工程で得られた第2ろ過水を採水する採水工程、
前記第2ろ過工程で得られた濃縮水を第2濃縮水ライン(16)により第1ろ過水タンク(3)に返送する工程を実施する、含油廃水処理システムの運転方法。
【請求項5】
請求項または記載の廃水処理システムの運転方法であって、
前処理用循環ラインを使用して、
含油廃水を原水タンク(31)に送って貯水する廃水送水工程、
前処理用循環ポンプ(50)を作動させ、原水タンク(31)内の原水を原水ライン(41)により前処理用ろ過膜装置(32)に送って前処理水を得る前処理ろ過工程、
前記前処理ろ過工程で得られた前処理水を第1前処理水ライン(42)により前処理水タンク(33)に送って貯水する前処理水の貯水工程、
前記前処理ろ過工程で得られた濃縮水を前処理濃縮水ライン(43)により原水タンク(31)に返送する工程を実施し、
第1循環ラインを使用して、
前記第1循環ポンプ(51)を作動させ、前処理水タンク(33)内の前処理水を第2前処理水ライン(44)により第1ろ過膜装置(34)に送ってろ過して第1ろ過水を得る第1ろ過工程、
前記第1ろ過工程で得られた第1ろ過水を第1aろ過水ライン(45)により第1ろ過水タンク(35)に送って貯水する第1ろ過水の貯水工程、
前記第1ろ過工程で得られた第1濃縮水を第1濃縮水ライン(46)により前処理水タンク(33)に返送する工程を実施し、
第2循環ラインを使用して、
第2循環ポンプ(52)を作動させ、第1ろ過水タンク(35)内の第1ろ過水を第1bろ過水ライン(46)により第2ろ過膜装置(36)に送ってろ過して第2ろ過水を得る第2ろ過工程、
前記第2ろ過工程で得られた第2ろ過水を採水する採水工程、
前記第2ろ過工程で得られた第2濃縮水を第2濃縮水ライン(48)により第1ろ過水タンク(35)に返送する工程を実施する、含油廃水処理システムの運転方法。
【請求項6】
前記含油廃水が、水溶性オイル、界面活性剤を含む廃水であり、CODが6000mg/L以上、BODが5000mg/L以上、n-ヘキサンが1000mg/L以上のものである、請求項または記載の含油廃水処理システムの運転方法。