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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138916
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】磁気メモリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8239 20060101AFI20220915BHJP
   H01L 43/02 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H01L27/105 447
H01L43/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039069
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】上田 善寛
(72)【発明者】
【氏名】下村 尚治
(72)【発明者】
【氏名】近藤 剛
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA11
4M119BB01
4M119CC10
4M119DD05
4M119DD24
4M119DD35
4M119DD45
4M119DD55
4M119EE05
4M119EE14
4M119EE17
4M119EE21
4M119HH01
5F092AC12
5F092AD26
5F092BB21
5F092BB33
5F092BB41
5F092BB57
5F092BC15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高集積化が可能な磁気メモリを提供する。
【解決手段】磁気メモリにおいて、メモリセル10は、x方向およびx方向に交差するy方向を含む面に沿って延びたプレート電極PLと、x方向に沿って延びたビット線BLと、ビット線に電気的に接続された第1端部12a及びプレート電極に電気的に接続された第2端部12bを有し、第1端部から第2端部に向かうz方向に沿って延びる第1磁性部材12と、第1磁性部材の第1端部に電気的に接続された非磁性導電層13並びに非磁性導電層15と電気的に接続された第1磁気抵抗素子14と、z方向に延びるチャネル層18a及びチャネル層の少なくとも一部を覆うゲート電極部SGを備えたトランジスタ18と、制御回路100と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む面に沿って延びた電極と、
前記第1方向に沿って延びた第1配線と、
前記第1配線に電気的に接続された第1部分および前記電極に電気的に接続された第2部分を含む第1磁性部材であって、前記第1部分から前記第2部分に向かう第3方向に沿って延び前記第3方向は前記第1方向および前記第2方向に交差する、前記第1磁性部材と、
前記第1磁性部材の前記第1部分に電気的に接続された第1端子と、第2端子と、を備えた第1磁気抵抗素子と、
前記第3方向に延びる第1チャネル層と、前記第1チャネル層の少なくとも一部を覆う第1ゲート電極部と、を備えた第1トランジスタであって、前記第1チャネル層の一端が前記第1磁気抵抗素子の前記第2端子に電気的に接続され、前記第1チャネル層の他端が前記第1配線に電気的に接続された、前記第1トランジスタと、
前記電極と前記第1磁性部材の前記第2部分との間に配置された第2配線と、
前記第1ゲート電極部、前記電極、前記第1配線、および前記第2配線に電気的に接続された制御回路と、
を備えた磁気メモリ。
【請求項2】
前記第3方向に沿って延び前記電極と前記第1磁性部材の前記第2部分とを接続する第1非磁性体部と、前記第2配線の一部を取り囲む第1磁性体部と、を更に備えた請求項1記載の磁気メモリ。
【請求項3】
前記第1磁性部材は筒状の形状を有し、
前記第1非磁性体部は前記電極に接続する一端と、前記第1磁性部材の前記第2部分に接続する他端とを有し、前記他端は前記第1磁性部材の内側に位置する請求項2記載の磁気メモリ。
【請求項4】
前記第1方向に沿って延び前記制御回路に電気的に接続された第3配線と、
前記第3配線に電気的に接続された第1部分および前記電極に電気的に接続された第2部分を含み前記第3方向に沿って延びた第2磁性部材と、
前記第2磁性部材の前記第1部分に電気的に接続された第1端子と、第2端子と、を備えた第2磁気抵抗素子と、
前記第3方向に延びる第2チャネル層と、前記第2チャネル層の少なくとも一部を覆う第2ゲート電極部と、を備えた第2トランジスタであって、前記第2チャネル層の一端が前記第2磁気抵抗素子の前記第2端子に電気的に接続され、前記第2チャネル層の他端が前記第3配線に電気的に接続された、前記第2トランジスタと、
前記第1ゲート電極部および前記第2ゲート電極部を含み、前記制御回路に電気的に接続された第4配線と、
を備え、
前記第2配線は、前記電極と前記第2磁性部材の前記第2部分との間に配置された、請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気メモリ。
【請求項5】
前記第1配線に電気的に接続された第1部分および前記電極に電気的に接続された第2部分を含み前記第3方向に沿って延びた第3磁性部材と、
前記第3磁性部材の前記第1部分に電気的に接続された第1端子と、第2端子と、を備えた第3磁気抵抗素子と、
前記第3方向に延びる第3チャネル層と、前記第3チャネル層の少なくとも一部を覆う第3ゲート電極部と、を備えた第3トランジスタであって、前記第3チャネル層の一端が前記第3磁気抵抗素子の前記第2端子に電気的に接続され、前記第3チャネル層の他端が前記第1配線に電気的に接続された前記第3トランジスタと、
前記第3ゲート電極部を含み、前記制御回路に電気的に接続された第5配線と、
前記電極と前記第3磁性部材の前記第2部分との間に配置され前記制御回路に電気的に接続された第6配線と、
を備えた請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気メモリ。
【請求項6】
第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む面に沿って延びた電極と、
前記第1方向に沿って延びた第1配線と、
前記第1配線に電気的に接続された第1部分および前記電極に電気的に接続された第2部分を含む第1磁性部材であって、前記第1部分から前記第2部分に向かう第3方向に沿って延び前記第3方向は前記第1方向および前記第2方向に交差する、前記第1磁性部材と、
前記第1磁性部材の前記第1部分に電気的に接続された第1端子と、第2端子と、を備えた第1磁気抵抗素子と、
前記第3方向に延びる第1チャネル層と、前記第1チャネル層の少なくとも一部を覆う第1ゲート電極部と、を備えた第1トランジスタであって、前記第1チャネル層の一端が前記第1磁気抵抗素子の前記第2端子に電気的に接続され、前記第1チャネル層の他端が前記第1配線に電気的に接続された第1トランジスタと、
前記電極と前記第1磁性部材の前記第2部分との間に配置された第2配線と、
前記第1方向および前記第2方向を含む前記面に沿って延び前記電極に接続された第1部分と、前記第1部分と前記第1磁性部材の前記第2部分とを接続する第2部分とを含む第2磁性部材と、
前記第1ゲート電極部、前記電極、前記第1配線、および前記第2配線に電気的に接続された制御回路と、
を備えた磁気メモリ。
【請求項7】
前記第1配線に電気的に接続された第1部分および前記電極に電気的に接続された第2部分を含み前記第3方向に沿って延びた第3磁性部材と、
前記第3磁性部材の前記第1部分に電気的に接続された第1端子と、第2端子と、を備えた第2磁気抵抗素子と、
前記第3方向に沿って延びた第2チャネル層と、前記第2チャネル層の少なくとも一部を覆う第2ゲート電極部と、を備えた第2トランジスタであって、前記第2チャネル層の一端が前記第2磁気抵抗素子の前記第2端子に電気的に接続され、前記第2チャネル層の他端が前記第1配線に電気的に接続された前記第2トランジスタと、
前記電極と前記第3磁性部材の前記第2部分との間に配置され前記制御回路に電気的に接続された第3配線と、
を備え、前記第2磁性部材は、前記第2磁性部材の前記第1部分と前記第3磁性部材の前記第2部分とを接続する第3部分を更に備え、前記第2ゲート電極部は前記制御回路に電気的に接続される、請求項6記載の磁気メモリ。
【請求項8】
前記第2磁性部材の前記第1部分は、前記第3方向から見たときに前記電極と同じ形状を有する請求項6または7に記載の磁気メモリ。
【請求項9】
前記第3方向に沿って延び前記第1磁性部材によって取り囲まれる非磁性絶縁体部を更に備え、
前記第1磁性部材は、前記第1部分と前記第2部分との間に前記第3方向に沿って配列されかつそれぞれ前記非磁性絶縁体部を取り囲む第3乃至第6部分を備え、前記第4部分は前記第3部分と前記第6部分との間に位置し、前記第5部分は前記第4部分と前記第6部分との間に位置し、前記第3方向に沿いかつ前記第1磁性部材と前記非磁性絶縁体部とを含む断面において、前記第3方向に垂直な方向における前記第3部分の第1端部と第2端部との間の長さを第1距離とし、前記第3方向に垂直な方向における前記第4部分の第3端部と第4端部との間の長さを第2距離とし、前記第3方向に垂直な方向における前記第5部分の第5端部と第6端部との間の長さを第3距離とし、前記第3方向に垂直な方向における前記第6部分の第7端部と第8端部との間の長さを第4距離とした場合に、前記第1距離および前記第3距離は前記第2距離および前記第4距離よりも大きい、請求項1乃至8のいずれかに記載の磁気メモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
磁性部材に電流(シフト電流)を流すことにより磁性部材の磁壁を移動(シフト)させる磁気メモリが知られている。磁性部材が複数個設けられている場合は、各磁性部材の片方の側に書き込み部および読み出し部の両方が設けられており、高集積化することが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許明細書第10460783号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、高集積化が可能な磁気メモリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の磁気メモリは、第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む面に沿って延びた電極と、前記第1方向に沿って延びた第1配線と、前記第1配線に電気的に接続された第1部分および前記電極に電気的に接続された第2部分を含む第1磁性部材であって、前記第1部分から前記第2部分に向かう第3方向に沿って延び前記第3方向は前記第1方向および前記第2方向に交差する、前記第1磁性部材と、前記第1磁性部材の前記第1部分に電気的に接続された第1端子と、第2端子と、を備えた第1磁気抵抗素子と、前記第3方向に延びる第1チャネル層と、前記第1チャネル層の少なくとも一部を覆う第1ゲート電極部と、を備えた第1トランジスタであって、前記第1チャネル層の一端が前記第1磁気抵抗素子の前記第2端子に電気的に接続され、前記第1チャネル層の他端が前記第1配線に電気的に接続された、前記第1トランジスタと、前記電極と前記第1磁性部材の前記第2部分との間に配置された第2配線と、前記第1ゲート電極部、前記電極、前記第1配線、および前記第2配線に電気的に接続された制御回路と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態による磁気メモリのメモリセルを示す断面図。
図2】各実施形態の磁性部材の形状を説明する断面図。
図3】第2実施形態による磁気メモリを示す斜視図。
図4】第2実施形態の変形例による磁気メモリの磁性部材の平面配置を示す図。
図5】第2実施形態の変形例の磁気メモリを示す斜視図。
図6】第3実施形態による磁気メモリを示す断面図。
図7】第4実施形態による磁気メモリの示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
第1実施形態による磁気メモリについて図1を参照して説明する。第1実施形態の磁気メモリは、少なくとも1つのメモリセルを有し、このメモリセルの構成を図1に示す。このメモリセル10は、磁性部材(MML(Magnetic Memory Line))12と、非磁性導電層13と、磁気抵抗素子14と、非磁性導電層15と、縦型薄膜トランジスタ(VTFT(Vertical Thin Film Transistor))18と、非磁性導電層19と、非磁性導電体30と、ヨーク40と、ビット線BLと、プレート電極PLと、フィールドラインFLと、を備えている。ここで、プレート電極PLは図1でx方向およびy方向を含む平面に沿って延びており、プレート電極PLのx方向の長さはフィールドラインFLのx方向の長さよりも大きい。
【0009】
磁性部材12は、第1端部12aおよび第2端部12bを有し、第1端部12aから第2端部12bに沿った第1方向(z方向)に沿って延びた垂直磁性材料から構成され、筒状形状を有している。例えば、磁性部材12は、z方向に垂直な平面で切断した場合の断面における外側の形状が円、楕円、または多角形のいずれかとなるようにすることができる。なお、磁性部材12は、垂直磁性部材から構成されているので、磁化容易軸はz方向に垂直な方向である。したがって、磁性部材12は磁化方向が径方向になり、外向きの磁化方向または内向きの磁化方向を有する。磁性部材12の中には絶縁体部35が配置されている。すなわち、磁性部材12は絶縁体部35の外周を取り囲むように設けられている。
【0010】
図1では、磁性部材12は、第1端部12aから第2端部12bに向かって直線状に延びた形状であるように示しているが、実際は、図2に示すように、z方向に沿って配列された複数の領域12cを備え、これらの領域12cの間には、磁性部材12の外表面に配列された縊れ部12dが位置する。また、これらの領域12cは、少なくとも1つの磁区を有する。磁性部材12は、第1端部12aと第2端部12bとの間に駆動電流(シフト電流)が供給されると、磁性部材12の磁壁がz方向に沿って移動し、駆動電流が供給されない状態では縊れ部12dに磁壁が停止する。磁性部材12は、第1端部12aがビット線BLに電気的に接続され、第2端部12bがプレート電極PLに電気的に接続される。ここで、本明細書では、「AがBに電気的に接続される」とは、AとBが直接に接続されてもよいし、導電体、抵抗変化部(磁気抵抗素子等を含む。)、スイッチング部(例えば、セレクタ、トランジスタ等)等を介して間接的に接続されてもよいことを意味する。
【0011】
また、磁性部材12においては、図2に示すように、領域12c1、縊れ部12d1、領域12c2、縊れ部12d2がz方向に沿って配置されている。領域12c1のz方向に平行な平面で切断した断面におけるx方向における領域12c1の端部12c1aと端部12c1bとの間の長さ(直径)をd1とし、縊れ部12d1のz方向に平行な平面で切断した断面におけるx方向における縊れ部12d1の端部12d1aと端部12d1bとの間の長さ(直径)をd2とし、領域12c2のz方向に平行な平面で切断した断面におけるx方向における領域12c2の端部12c2aと端部12c2bとの間の長さ(直径)をd3とし、縊れ部12d2のz方向に平行な平面で切断した断面におけるx方向における縊れ部12d2の端部12d2aと端部12d2bとの間の長さ(直径)をd4とした場合に、以下の条件
d1>d2,d4、
d3>d2,d4、
を満たしている。
【0012】
また、磁性部材12は、第1端部12aにおいてはz方向に交差する面、例えば直交する平面に沿って延びたフランジ部12eが設けられ、第2端部12bにおいてはz方向に交差する面、例えば直交する平面に沿って延びたフランジ部12fが設けられている。フランジ部12e、12fは磁性部材12と同じ垂直磁性材料から構成される。磁性部材12の第1端部12aはフランジ部12eおよび非磁性導電層13を介して磁気抵抗素子14に電気的に接続される。なお、非磁性導電層13は、削除してもよい。この場合、磁性部材12の第1端部12aはフランジ部12eを介して磁気抵抗素子14に電気的に接続される。
【0013】
磁気抵抗素子14は、磁性部材12に書き込まれた情報を読み出すものであって、例えばMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子が用いられる。以下、磁気抵抗素子14がMTJ素子であるとして説明する。MTJ素子14は、磁化方向が可変のフリー層(磁化自由層)14aと、磁化方向が固定された固定層(磁化固定層)14cと、フリー層14aと固定層14cとの間に配置された非磁性絶縁層(トンネルバリア層)14bと、を備えている。MTJ素子14においては、フリー層14aは、非磁性導電層13を介して磁性部材12の第1端部12aに電気的に接続され、固定層14cはビット線BLに電気的に接続される。ここで、「磁化方向が可変である」とは、後述する読み出し動作において、磁性部材12からの漏れ磁場によって磁化方向が変化可能であることを意味し、「磁化方向が固定である」とは、磁性部材12からの漏れ磁場によって磁化方向が変化しないことを意味する。
【0014】
縦型薄膜トランジスタ18は、一端が非磁性導電層15を介して磁気抵抗素子14の固定層14cに電気的に接続され、他端が非磁性導電層19を介してビット線BLに電気的に接続され、z方向に延びたチャネル層18aと、このチャネル層18aを囲む、或いは挟むように配置されたゲート電極部SGと、を備えている。すなわち、ゲート電極部はチャネル層の少なくとも一部を覆っている。チャネル層18aは例えば結晶シリコンから構成される。ゲート電極部SGは、y方向に沿って延びる。
【0015】
また、磁性部材12の第2端子12bは、非磁性導電体30を介してプレート電極PLに電気的に接続される。非磁性導電体30は一端が磁性部材12の第2端部12bの内側に位置する。
【0016】
フィールドラインFLは、y方向に沿って延び、第2端部12bのフランジ部12fとプレート電極PLとの間に配置される。このフィールドラインFLを取り囲むようにヨーク40が配置される。ヨーク40は、第1部分40a、第2部分40b、第3部分40c、および第4部分40dを備え、フィールドラインFLに電流を流した際に生じる磁場を強める磁気回路を形成する。
【0017】
ヨーク40の第1部分40aは、フィールドラインFLの上面の一部分と非磁性導電体30と反対側の側面とを覆うように配置される。第2部分40bは、フィールドラインFLおよび磁性部材12のフランジ部12fの下方に配置されるとともに磁性部材12の第2端部12bを取り囲むように配置される。第3部分40cは、フランジ部12fの上面でかつ非磁性導電体30の一端を覆うように配置される。すなわち、磁性部材12の第2端部12bの内側に位置する非磁性導電体30の一端を覆っているため、この覆っている部分は第2端部12bの内側に配置される。第4部分40dは第3部分40cに接続し、かつフィールドラインFLの非磁性導電体30側の側面とフィールドラインFLの上面の一部分を覆うように配置される。
【0018】
プレート電極PLおよびビット線BLならびにフィールドラインFLは制御回路100に電気的に接続される。
【0019】
次に、第1実施形態の磁気メモリにおけるデータの書き込み動作および読み出し動作について説明する。
【0020】
(書き込み動作)
まず、本実施形態の磁気メモリの書き込み動作について説明する。
【0021】
メモリセル10への書き込みは、制御回路100を用いてフィールドラインFLに互いに逆方向の書き込み電流を流す。例えば、メモリセル10に書き込みを行う場合は、まず、フィールドラインFLに書き込み電流を流す。このとき、図1において手前から奥行き方向にフィールドラインFLに書き込み電流を流すと、フィールドラインFLの周りには時計方向の電流磁場が発生する。この電流磁場により、フィールドラインFLを取り囲んでいるヨーク40にも磁場が誘導される。この書き込み電流により、フィールドラインFLの下方に位置する磁性部材12のフランジ部12fに書き込み電流に対応した情報(磁化方向)が書き込まれる。このときの書き込まれる情報(磁化方向)は、x-y平面に沿った方向でかつ磁性部材12の外周から内周に向かう方向の磁化方向となる。
【0022】
これに対して、フィールドラインFLに流す書き込み電流の向きを上述の説明とは逆方向にすると、メモリセル10の磁性部材12に書き込まれる情報(磁化方向)は、x-y平面に沿った方向でかつ磁性部材12の内周から外周に向かう方向の磁化方向となる。
【0023】
このような書き込み動作を行うことにより、磁性部材12の上部(第2端部12b)に情報が書き込まれる。続いて、縦型薄膜トランジスタ18のゲート電極部SGに制御回路100によって電圧を印加し、縦型薄膜トランジスタ18をオン状態にする。この状態において、制御回路100によってビット線BLとプレート電極PLとの間に、磁性部材12の磁壁を移動させるシフト電流を流し、書き込まれた情報を下方に移動させて記憶領域に格納する(シフト動作)。なお、シフト電流の方向の極性は、磁性部材12の材料等に応じて決まる。このようにして、書き込み情報が磁性部材12の記憶領域に格納される。
【0024】
(読み出し動作)
次に読み出し動作について説明する。メモリセル10から情報を読み出す場合は、まず、縦型薄膜トランジスタ18のゲート電極部SGに制御回路100から電圧を供給し、縦型薄膜トランジスタ18をオン状態にする。読み出したい情報がメモリセル10の磁性部材12の最下部、すなわちMTJ素子14に最も近い領域に位置しているときは、磁性部材12の最下部に記憶された情報に対応して、この情報からの漏れ磁場によりMTJ素子14のフリー層14aの磁化方向も変化しているので、ビット線BLと、プレート電極PLとの間に読み出し電流を制御回路100を用いて供給して、MTJ素子14からの情報を読み出す。この読み出し情報は、MTJ素子14の抵抗状態に対応する。MTJ素子14の抵抗状態が高い場合は、例えば、MTJ素子14のフリー層14aと固定層14cの磁化方向が互いに異なっている状態(例えば、反平行状態)に対応し、MTJ素子14の抵抗状態が低い場合はMTJ素子14のフリー層14aと固定層14cの磁化方向が同じ状態(平行状態)に対応する。
【0025】
読み出したい情報がメモリセル10の磁性部材12の最下部に存在しない場合は、制御回路100を用いてビット線BLとプレート電極PLとの間にシフト電流を供給し、読み出したい情報を磁性部材12の最下部に位置するように移動させる。その後、上述した読み出し動作を行うことにより情報を読み出すことができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によれば、磁性部材12は、第1端部12aが磁気抵抗素子14に電気的に接続され第2端部12bがプレート電極PLに電気的に接続されているので、磁性部材12を高集積化して配列することが可能となる。また、本実施形態においては、メモリセル10を選択する選択素子として縦型薄膜トランジスタ18が用いられている。このため、選択素子として二端子スイッチング素子を用いた場合に比べて、スイッチング素子で必要なホールド電流が不要となり、読み出し電流の値とシフト電流の値との間のマージンを拡大することができる。
【0027】
(第2実施形態)
第2実施形態による磁気メモリを図3に示す。この第2実施形態の磁気メモリは、2行2列のマトリクス状に配置されたメモリセル1011~1022を備えている。各メモリセル10ij(i、j=1,2)は、磁性部材12ijと、磁気抵抗素子14ijと、縦型薄膜トランジスタ18ijと、備えている。各磁性部材12ij(i、j=1,2)は、第1実施形態の磁性部材12と同じ構成を有し、各磁気抵抗素子14ij(i、j=1,2)は、第1実施形態の磁気抵抗素子14と同じ構成を有し、各縦型薄膜トランジスタ18ij(i、j=1,2)は、第1実施形態の縦型薄膜トランジスタ18と同じ構成を有している。すなわち、各メモリセル10ij(i、j=1,2)は、第1実施形態のメモリセル10と同じ構成を有している。なお、本実施形態では、メモリセル1011~1022は、2行2列のアレイ状に配置されたが、m、nを自然数とした場合にm行n列のアレイ状に配置されてもよい。
【0028】
各磁性部材12ij(i,j=1,2)は、図1に示す場合と同様に、第1端部12aが磁気抵抗素子14ijのフリー層14aに電気的に接続され、第2端部12bがプレート電極PLに電気的に接続されている。このプレート電極PLは、各メモリセル10ij(i,j=1,2)に対して共有される。各磁気抵抗素子14ij(ij=1,2)は固定層14cが縦型薄膜トランジスタ18ijの一端に電気的に接続される。各縦型薄膜トランジスタ18ij(ij=1,2)の他端はこれに対応するビット線BLに電気的に接続される。ビット線BL,BLはx方向に沿って延びている。また、各縦型薄膜トランジスタ18ij(ij=1,2)は、図1に示す場合と同様に、ゲート電極部SGを有している。これらのゲート電極部SG、SGは、y方向に沿って延びている。また、メモリセル1011、1021に対して共通のフィールドラインFLが設けられ、メモリセル1012、1022に対して共通のフィールドラインFLが設けられている。これらのフィールドラインFL、FLは、y方向に沿って延びている。各フィールドラインFLj(j=1,2)には図1に示す第1実施形態の場合と同様に、図示しないヨーク40によって覆われている。プレート電極PL、ビット線BL,BL、ゲート電極部SG,SG、およびフィールドラインFL,FLは制御回路100に電気的に接続される。
【0029】
このように構成された第2実施形態の磁気メモリにおける書き込み動作は、第1実施形態で説明した書き込み動作と同様に行われる。例えば、メモリセル1011に情報の書き込みを行う場合は、対応するフィールドラインFLに制御回路100から書き込み電流を供給することにより行われる。読み出し動作は、以下のように行われる。情報を読み出すメモリセルが例えばメモリセル1011の場合は、まず、メモリセル1011に属する縦型薄膜トランジスタ1811のゲート電極部SGに制御回路100から電圧を供給し、縦型薄膜トランジスタ1811をオン状態にする。その後は、メモリセル1011に対応するビット線BL1とプレート電極PLとの間に制御回路100からシフト電流を供給し、情報を磁性部材12の第1端部12aの近傍の領域に移動させる。その後に、メモリセル1011に対応するビット線BL1とプレート電極PLとの間に制御回路100から読み出し電流を供給し、読み出しを行う。
【0030】
このように構成された第2実施形態の磁気メモリにおいては、第1実施形態と同様に、各磁性部材12ij(i,j=1,2)は、第1端部12aが磁気抵抗素子14に電気的に接続され第2端部12bがプレート電極PLに電気的に接続されているので、磁性部材12ij(i,j=1,2)を高集積化して配列することが可能となる。また、本実施形態においては、メモリセル10ij(i,j=1,2)を選択する選択素子として縦型薄膜トランジスタ18が用いられている。このため、選択素子として二端子スイッチング素子を用いた場合に比べて、スイッチング素子で必要なホールド電流が不要となり、読み出し電流の値とシフト電流の値との間のマージンを拡大することができる。
【0031】
なお、第2実施形態においては、磁性部材1211~1222の配置は、図4に示すように、第1行に配列される磁性部材1211,1212と、第2行に配列される磁性部材1221,1222とが稠密となるように配置されることが好ましい。すなわち、m、nを自然数とした場合、第m+1行第n列の磁性部材12m+1nが、第m行第n列の磁性部材12mnと第m行第n+1列の磁性部材12mn+1との間に対応する第m+1行の位置に配置されることが好ましい。このように、複数の磁性部材が稠密に配置されることにより、より高集積化することが可能になる。
【0032】
このように、複数の磁性部材12を稠密に配列した場合の本実施形態の変形例による磁気メモリの斜視図を図5に示す。この変形例の磁気メモリは、4行4列に配置された磁性部材12を備えている。この変形例の磁気メモリは第2実施形態の磁気メモリよりも、より高集積化することができる。また、第2実施形態の磁気メモリと同様に、読み出し電流の値とシフト電流の値との間のマージンを拡大することができる。
【0033】
(第3実施形態)
第3実施形態による磁気メモリを図6に示す。この第3実施形態の磁気メモリは少なくとも1つのメモリセル10Aを備え、このメモリセル10Aは、第1実施形態のメモリセル10において、フィールドラインFLを覆うヨーク40と、非磁性導電体30と、非磁性導電層13と、を削除するとともに、新たにヨーク50を設けた構成を備えている。
【0034】
メモリセル10Aは、磁性部材12と、磁気抵抗素子14と、非磁性導電層15と、縦型薄膜トランジスタ18と、非磁性導電層19と、ビット線BLと、ヨーク50と、プレート電極PLと、フィールドラインFLと、を備えている。
【0035】
このヨーク50は、図1に示すプレート電極PLと同じ形状の第1部分50aと、この第1部分50aとメモリセル10Aの磁性部材12の第2端部12bおよびフランジ12fとを電気的に接続する第2部分50bと、を備えている。第1部分50aは、プレート電極PLの直下でかつ接するように配置される。
【0036】
非磁性部材12は、第1端部12aがフランジ部12eを介して磁気抵抗素子14のフリー層14aに電気的に接続される。磁気抵抗素子14の固定層14cは非磁性導電層15を介して縦型薄膜トランジスタ18の一端に電気的に接続される。縦型薄膜トランジスタ18は、他端が非磁性導電層19を介してビット線BLに電気的に接続される。ビット線BLはx方向に沿って延び、縦型トランジスタ18のゲート電極部SGはy方向に沿って延び、シールドラインFLはy方向に沿って延びている。
【0037】
このように構成された磁気メモリにおける書き込み動作は、図1で説明した第1実施形態の磁気メモリの場合と同様にして行う。フィールドラインFLに制御回路100から書き込み電流を供給した場合、フィールドラインFLの周囲に電流磁場が発生するとともにこの電流磁場はヨーク50によって強められ、磁性部材12の第2端部12bに情報が書き込まれる。読み出し動作は、図1で説明した第1実施形態の磁気メモリの場合と同様にして行う。
【0038】
この第3実施形態の磁気メモリにおいては、第1実施形態と同様に、磁性部材12は、第1端部12aが磁気抵抗素子14に電気的に接続され第2端部12bはプレート電極PLに電気的に接続されているので、磁性部材12を高集積化して配列することが可能となる。また、本実施形態においては、メモリセル10Aを選択する選択素子として縦型薄膜トランジスタ18が用いられている。このため、選択素子として二端子スイッチング素子を用いた場合に比べて、スイッチング素子で必要なホールド電流が不要となり、読み出し電流の値とシフト電流の値との間のマージンを拡大することができる。
【0039】
(第4実施形態)
第4実施形態による磁気メモリについて図7を参照して説明する。この第4実施形態の磁気メモリは、m、nを自然数としたとき、m行n列に配列されたメモリセルを備えている。これらのメモリセルは図6に示すメモリセル10Aと同じ構成を備えている。
【0040】
この第4実施形態の磁気メモリをある行、例えば第1行に沿って切断した断面を図7に示す。図7に示すように、第4実施形態の磁気メモリは第1行に4個のメモリセル10A~10Aを備えている。各メモリセル10A(i=1,・・・,4)は、磁性部材12と、磁気抵抗素子14と、縦型薄膜トランジスタ18と、非磁性導電層19と、ヨーク50と、フィールドラインFLと、プレート電極PLと、を備えている。また、ヨーク50は、プレート電極PLと同じ形状の例えば軟磁性部材から構成される第1部分50aと、例えば軟磁性部材から構成される第2部分50~50と、を備えている。第2部分50b(i=1,・・・,4)は、メモリセル10Aに対応して設けられ、第1部分50aと対応するメモリセル10Aの磁性部材12とを電気的に接続する。
【0041】
各磁性部材12(i=1,・・・,4)は、図6に示す第3実施形態の場合と同様に、第1端部12aがフランジ部12eを介して磁気抵抗素子14の一端(例えば、図6に示すフリー層14a)に電気的に接続され、第2端部12bがフランジ部12fを介してヨーク50の対応する第2部分50bに電気的に接続される。磁気抵抗素子14(i=1,・・・,4)は、他端(図6に示す固定層14c)が非磁性導電層15を介して縦型薄膜トランジスタ18の一端に電気的に接続される。各磁性部材12(i=1,・・・,4)は、筒内に絶縁体部35が配置される。隣り合う磁性部材間には絶縁膜38が設けられている。
【0042】
縦型薄膜トランジスタ18(i=1,・・・,4)は、他端が非磁性導電層19を介してビット線BLに電気的に接続される。なお、ビット線BLは、メモリセルの各行に対応して設けられ、各行のメモリセルは、ビット線BLを共有する。また、縦型薄膜トランジスタのゲート電極部SGは、図3に示す第2実施形態の場合と同様に、各列のメモリセルに対して共有される。
【0043】
また、各メモリセル10A(i=1,・・・,4)に対応してフィールドラインFLが設けられる。各フィールドラインFL(i=1,・・・,4)は、対応するメモリセル10Aの磁性部材12のフランジ部12fと、ヨーク50aとの間に配置される。
【0044】
このように構成されたメモリセル10A(i=1,・・・,4)に情報を書き込む場合は、対応するフィールドラインFLに書き込み電流を制御回路100から供給することにより行う。書き込まれた情報をシフトさせるシフト動作および情報の読み出し動作は第3実施形態で説明した方法と同様に行う。
【0045】
このように構成された第4実施形態の磁気メモリにおいては、第3実施形態と同様に、磁性部材12(i=1,・・・,4)は、第1端部12aが磁気抵抗素子14に電気的に接続され第2端部12bはプレート電極PLに電気的に接続されているので、磁性部材12を高集積化して配列することが可能となる。また、本実施形態においては、メモリセル10Aを選択する選択素子として縦型薄膜トランジスタ18が用いられている。このため、選択素子として二端子スイッチング素子を用いた場合に比べて、スイッチング素子で必要なホールド電流が不要となり、読み出し電流の値とシフト電流の値との間のマージンを拡大することができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0047】
10,1011~1022,10A・・・メモリセル、12,121~124・・・磁性部材(MML)、12a,12a~12a・・・第1端部、12b,12b~12b・・・第2端部、12c・・・領域、12d・・・縊れ部、13・・・非磁性導電層、14・・・磁気抵抗素子、14a・・・フリー層(磁化自由層)、14b・・・非磁性絶縁層(トンネルバリア層)、14c・・・固定層(磁化固定層)、15・・・非磁性導電層、18・・・縦型薄膜トランジスタ、19・・・非磁性導電層、30・・・非磁性導電体、35・・・絶縁体部、38・・・絶縁膜、40・・・ヨーク、40a・・・第1部分、40b・・・第2部分、40c・・・第3部分、40d・・・第4部分、BL・・・ビット線、PL・・・プレート電極、SG・・・ゲート電極部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7