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特開2022-138919温度算出装置、温度算出方法、プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138919
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】温度算出装置、温度算出方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/48 20220101AFI20220915BHJP
【FI】
G01J5/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039074
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 幸治
【テーマコード(参考)】
2G066
【Fターム(参考)】
2G066BA14
2G066BC15
2G066CA02
(57)【要約】
【課題】 熱画像から対象者周辺の温度を算出可能な温度算出装置を提供する。
【解決手段】 本発明の温度算出装置10において、画像取得部11は、測定対象範囲を撮像した熱画像を取得し、前記熱画像は、複数の区画に分割されており、前記区画毎の温度を示す区画温度情報と紐づけられており、抽出部13は、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出し、温度算出部14は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも1つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像取得部、抽出部、及び温度算出部を含み、
前記画像取得部は、測定対象範囲を撮像した熱画像を取得し、
前記熱画像は、複数の区画に分割されており、前記区画毎の温度を示す区画温度情報と紐づけられており、
前記抽出部は、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出部は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも1つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、温度算出装置。
【請求項2】
前記抽出部は、前記熱画像の区画うち最上部の列から前記特定の区画を抽出する、請求項1記載の温度算出装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記熱画像から少なくとも4つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出部は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が最大値である区画と、前記温度が最小値である区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、請求項1又は2記載の温度算出装置。
【請求項4】
前記温度算出部は、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が高い順に予め設定した数に入る区画と、前記温度が低い順に予め設定した数に入る区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、請求項3記載の温度算出方法。
【請求項5】
前記抽出部は、予め設定した下記条件(1)~(5)の少なくとも一つの条件に従い、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出する、請求項1から4のいずれか一項に記載の温度算出装置。
(1)前記温度が予め設定した温度の範囲外である区画を除く
(2)前記特定の区画として、前記熱画像の四隅の区画のうち少なくとも1つの区画を含む
(3)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画の下方向にある区画を除く
(4)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画から、予め設定した区画数以上離れている区画を前記特定の区画として抽出する
(5)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画を除く
【請求項6】
前記温度算出部は、前記区画温度情報に基づき、前記熱画像に含まれる測定対象者の表面温度を算出する、請求項1から5のいずれか一項に記載の温度算出装置。
【請求項7】
さらに、補正部を含み、
前記補正部は、算出した前記測定対象範囲の温度を用いて、算出した前記測定対象者の表面温度を補正する、請求項6記載の温度算出装置。
【請求項8】
さらに、記録部、検出部、及び認証部を含み、
前記記録部は、登録者の顔に関する顔情報を含む登録者情報を記録し、
前記画像取得部は、さらに、前記熱画像に対応する実写画像を取得し、
前記検出部は、前記実写画像から測定対象者の顔を検出し、
前記認証部は、検出した前記測定対象者の顔と前記登録者の顔とを照合し、一致する場合に、前記測定対象者を前記登録者として認証する、請求項1から7のいずれか一項に記載の温度算出装置。
【請求項9】
画像取得工程、抽出工程、及び温度算出工程を含み、
前記画像取得工程は、測定対象範囲を撮像した熱画像を取得し、
前記熱画像は、複数の区画に分割されており、前記区画毎の温度を示す区画温度情報と紐づけられており、
前記抽出工程は、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出工程は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも1つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、温度算出方法。
【請求項10】
コンピュータに、画像取得手順、抽出手順、及び温度算出手順を含む手順を実行させるためのプログラム:
前記画像取得手順は、測定対象範囲を撮像した熱画像を取得し、
前記熱画像は、複数の区画に分割されており、前記区画毎の温度を示す区画温度情報と紐づけられており、
前記抽出手順は、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出手順は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも1つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度算出装置、温度算出方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
健康管理のため、体温を測定することが重要である。体温の測定には、サーモグラフィカメラを用いて、非接触にて対象者の表面温度を測定する技術がある。例えば、特許文献1には、取得した赤外線画像データを温度リファレンスの温度データを用いて補正する技術が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007-516018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のように、非接触にて対象者の表面温度を測定する場合、室温や外気温等の外部環境が、熱画像が示す温度データに影響して、正確な表面温度を測定できない。また、特許文献1の技術では、温度リファレンスシステムといった特殊な装置が必要という問題や、前記特殊な装置自体が前記外部環境の影響を受けて、適切な温度リファレンスを提供できないという問題がある。そのため、熱画像から外部環境、すなわち、対象者周辺の温度を算出する技術が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、熱画像から対象者周辺の温度を算出可能な温度算出装置、温度算出方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の温度算出装置は、
画像取得部、抽出部、及び温度算出部を含み、
前記画像取得部は、測定対象範囲を撮像した熱画像を取得し、
前記熱画像は、複数の区画に分割されており、前記区画毎の温度を示す区画温度情報と紐づけられており、
前記抽出部は、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出部は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも1つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、装置である。
【0007】
本発明の温度算出方法は、
画像取得工程、抽出工程、及び温度算出工程を含み、
前記画像取得工程は、測定対象範囲を撮像した熱画像を取得し、
前記熱画像は、複数の区画に分割されており、前記区画毎の温度を示す区画温度情報と紐づけられており、
前記抽出工程は、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出工程は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも1つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱画像から対象者周辺の温度を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1の温度算出装置の一例の構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態1の温度算出装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態1の温度算出装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、抽出部により、4つの区画を前記特定の区画として抽出した一例を示す模式図である。
図5図5は、抽出部により、前記熱画像の最上部の列を前記特定の区画として抽出した一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の温度算出装置において、例えば、
前記抽出部は、前記熱画像の区画うち最上部の列から前記特定の区画を抽出する、という態様であってもよい。
【0011】
本発明の温度算出装置において、例えば、
前記抽出部は、前記熱画像から少なくとも4つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出部は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が最大値である区画と、前記温度が最小値である区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、という態様であってもよい。
【0012】
本発明の温度算出装置において、例えば、
前記温度算出部は、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が高い順に予め設定した数に入る区画と、前記温度が低い順に予め設定した数に入る区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、という態様であってもよい。
【0013】
本発明の温度算出装置において、例えば、
前記温度算出部は、少なくとも2つ以上の特定の区画の各温度の平均値を算出し、前記平均値を前記測定対象範囲の温度とする、という態様であってもよい。
【0014】
本発明の温度算出装置において、例えば、
前記抽出部は、予め設定した下記条件(1)~(5)の少なくとも一つの条件に従い、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出する、という態様であってもよい。
(1)前記温度が予め設定した温度の範囲外である区画を除く
(2)前記特定の区画として、前記熱画像の四隅の区画のうち少なくとも1つの区画を含む
(3)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画の下方向にある区画を除く
(4)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画から、予め設定した区画数以上離れている区画を前記特定の区画として抽出する
(5)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画を除く
【0015】
本発明の温度算出装置において、例えば、
前記温度算出部は、前記区画温度情報に基づき、前記熱画像に含まれる測定対象者の表面温度を算出する、という態様であってもよい。
【0016】
本発明の温度算出装置は、例えば、
さらに、補正部を含み、
前記補正部は、算出した前記測定対象範囲の温度を用いて、算出した前記測定対象者の表面温度を補正する、という態様であってもよい。
【0017】
本発明の温度算出装置は、例えば、
さらに、記録部、検出部、及び認証部を含み、
前記記録部は、登録者の顔に関する顔情報を含む登録者情報を記録し、
前記画像取得部は、さらに、前記熱画像に対応する実写画像を取得し、
前記検出部は、前記実写画像から測定対象者の顔を検出し、
前記認証部は、検出した前記測定対象者の顔と前記登録者の顔とを照合し、一致する場合に、前記測定対象者を前記登録者として認証する、という態様であってもよい。
【0018】
本発明の温度算出方法において、例えば、
前記抽出工程は、前記熱画像の区画うち最上工程の列から前記特定の区画を抽出する、という態様であってもよい。
【0019】
本発明の温度算出方法において、例えば、
前記抽出工程は、前記熱画像から少なくとも4つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出工程は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が最大値である区画と、前記温度が最小値である区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、という態様であってもよい。
【0020】
本発明の温度算出方法において、例えば、
前記温度算出工程は、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が高い順に予め設定した数に入る区画と、前記温度が低い順に予め設定した数に入る区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、という態様であってもよい。
【0021】
本発明の温度算出方法において、例えば、
前記温度算出工程は、少なくとも2つ以上の特定の区画の各温度の平均値を算出し、前記平均値を前記測定対象範囲の温度とする、という態様であってもよい。
【0022】
本発明の温度算出方法において、例えば、
前記抽出工程は、予め設定した下記条件(1)~(5)の少なくとも一つの条件に従い、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出する、という態様であってもよい。
(1)前記温度が予め設定した温度の範囲外である区画を除く
(2)前記特定の区画として、前記熱画像の四隅の区画のうち少なくとも1つの区画を含む
(3)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画の下方向にある区画を除く
(4)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画から、予め設定した区画数以上離れている区画を前記特定の区画として抽出する
(5)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画を除く
【0023】
本発明の温度算出方法において、例えば、
前記温度算出工程は、前記区画温度情報に基づき、前記熱画像に含まれる測定対象者の表面温度を算出する、という態様であってもよい。
【0024】
本発明の温度算出方法は、例えば、
さらに、補正工程を含み、
前記補正工程は、算出した前記測定対象範囲の温度を用いて、算出した前記測定対象者の表面温度を補正する、という態様であってもよい。
【0025】
本発明の温度算出方法は、例えば、
さらに、記録工程、検出工程、及び認証工程を含み、
前記記録工程は、登録者の顔に関する顔情報を含む登録者情報を記録し、
前記画像取得工程は、さらに、前記熱画像に対応する実写画像を取得し、
前記検出工程は、前記実写画像から測定対象者の顔を検出し、
前記認証工程は、検出した前記測定対象者の顔と前記登録者の顔とを照合し、一致する場合に、前記測定対象者を前記登録者として認証する、という態様であってもよい。
【0026】
本発明のプログラムは、本発明の方法の各工程を、手順として、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0027】
本発明の記録媒体は、本発明のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0028】
次に、本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0029】
[実施形態1]
図1は、本実施形態の温度算出装置10の一例の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本装置10は、画像取得部11、抽出部13、及び温度算出部14を含む。また、本装置10は、任意の構成として、さらに、検出部12、記録部15、認証部16、及び補正部17等を含んでもよい。本装置10は、例えば、熱画像から測定対象者の表面温度を測定する装置内の装置であってもよい。
【0030】
本装置10は、例えば、前記各部を含む1つの装置でもよいし、前記各部が、通信回線網を介して接続可能な装置でもよい。また、本装置10は、前記通信回線網を介して、後述する外部装置と接続可能である。前記通信回線網は、特に制限されず、公知のネットワークを使用でき、例えば、有線でも無線でもよい。前記通信回線網は、例えば、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、SAN(Storage Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)、LPWA(Low Power Wide Area)、L5G(ローカル5G)、等があげられる。無線通信としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ローカル5G、LPWA等が挙げられる。前記無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、インフラストラクチャ(infrastructure通信)、アクセスポイントを介した間接通信等であってもよい。本装置10は、例えば、システムとしてサーバに組み込まれていてもよい。また、本装置10は、例えば、本発明のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。さらに、本装置10は、例えば、前記各部のうち少なくとも一つがサーバ上にあり、その他の前記各部が端末上にあるような、クラウドコンピューティングやエッジコンピューティング等の形態であってもよい。
【0031】
図2に、本装置10のハードウエア構成のブロック図を例示する。本装置10は、例えば、中央処理装置(CPU、GPU等)101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置105、表示装置106、通信デバイス107、撮像装置108等を含む。本装置10の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0032】
中央処理装置101は、本装置10の全体の制御を担う。本装置10において、中央処理装置101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、中央処理装置101が、画像取得部11、抽出部13、及び温度算出部14として機能する。また、中央処理装置101は、例えば、検出部12、記録部15、認証部16、及び補正部17等としても機能する。
【0033】
バス103は、例えば、外部装置とも接続できる。前記外部装置は、例えば、外部記憶装置(外部データベース等)、プリンター、外部入力装置、外部表示装置、外部撮像装置等があげられる。本装置10は、例えば、バス103に接続された通信デバイス107により、外部ネットワーク(前記通信回線網)に接続でき、外部ネットワークを介して、他の装置と接続することもできる。
【0034】
メモリ102は、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。中央処理装置101が処理を行う際には、例えば、後述する記憶装置104に記憶されている本発明のプログラム等の種々の動作プログラムを、メモリ102が読み込み、中央処理装置101は、メモリ102からデータを受け取って、プログラムを実行する。前記メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリ102は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。
【0035】
記憶装置104は、例えば、前記メインメモリ(主記憶装置)に対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。前述のように、記憶装置104には、本発明のプログラムを含む動作プログラムが格納されている。記憶装置104は、例えば、記録媒体と、記録媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置104は、例えば、記録媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)、及びソリッドステートドライブ(SSD)であってもよい。
【0036】
本装置10において、メモリ102及び記憶装置104は、ログ情報、外部データベース(図示せず)や外部の装置から取得した情報、本装置10によって生成した情報、本装置10が処理を実行する際に用いる情報等の種々の情報を記憶することも可能である。なお、少なくとも一部の情報は、例えば、メモリ102及び記憶装置104以外の外部サーバに記憶されていてもよいし、複数の端末にブロックチェーン技術等を用いて分散して記憶されていてもよい。また、メモリ102及び記憶装置104は、例えば、記録部15が記録した各種情報を記憶してもよい。
【0037】
本装置10は、例えば、さらに、入力装置105、及び表示装置106を含んでもよい。入力装置105は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等である。表示装置106は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等が挙げられる。
【0038】
撮像装置108は、例えば、熱画像を撮像する装置(サーモグラフィカメラ等)や実写画像を撮像する装置(カメラ等)等である。前記熱画像を撮像する装置と前記実写画像を撮像する装置とは、例えば、撮像レンズを共有していてもよい。前記撮像レンズから入射した光は可視光と赤外線とに分解されて、可視光が前記実写画像を撮像する装置に入射され、赤外線は前記熱画像を撮像する装置に入射される。なお、熱画像を撮像する装置は、共有の前記撮像レンズとは別の専用の撮像レンズを備えてもよい。
【0039】
つぎに、本実施形態の温度算出方法の一例を、図3のフローチャートに基づき説明する。本実施形態の温度算出方法は、例えば、図1の温度算出装置10を用いて、次のように実施する。なお、本実施形態の温度算出方法は、図1の温度算出装置10の使用には限定されない。また、図3においてかっこで示した工程は、任意の工程である。
【0040】
まず、画像取得部11により、測定対象範囲を撮像した熱画像を取得する(S11、画像取得工程)。前記熱画像とは、例えば、測定対象範囲の温度の分布を表す複数の画素から構成される画像であり、赤外線画像やサーモグラフィ等ともいう。前記実写画像とは、例えば、可視光が撮像装置108に入射されて撮像した画像である。前記熱画像は、複数の区画に分割されており、前記区画毎の温度を示す区画温度情報と紐づけられている。前記熱画像は、例えば、前記画素毎に複数の区画に分割されていてもよい。後述するように、画像取得部11は、例えば、前記工程(S11)において、さらに、前記熱画像に対応する実写画像を取得してもよい。「前記熱画像に対応する前記実写画像」とは、例えば、同一方向を撮像した画像であり、同じ画角であってもよい。前記取得の手法は、特に制限されず、例えば、前記通信回線網を介して、外部の撮像装置等から前記熱画像及び前記実写画像を取得してもよいし、撮像装置108が撮像した画像を取得してもよい。
【0041】
次に、抽出部13により、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出する(S13、抽出工程)。抽出部13が抽出する区画は、少なくとも1つ以上であればよく、4つ以上抽出してもよい。抽出部13が抽出する区画の上限は、特に制限されない。
【0042】
抽出部13は、例えば、予め設定した下記条件(1)~(5)の少なくとも一つの条件に従い、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出してもよい。
(1)前記温度が予め設定した温度の範囲外である区画を除く
(2)前記特定の区画として、前記熱画像の四隅の区画のうち少なくとも1つの区画を含む
(3)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画の下方向にある区画を除く
(4)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画から、予め設定した区画数以上離れている区画を前記特定の区画として抽出する
(5)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画を除く
【0043】
上記条件(1)において、前記温度の範囲は、特に制限されず、任意に設定可能である。このように、前記温度の範囲外である区画を前記抽出の候補から除外することで、前記測定対象範囲内に存在する温熱源(例えば、火等)や冷熱源(例えば、氷等)等があったとしても、後述の温度算出部14によって、より正確に前記測定対象範囲の温度を算出することができる。
【0044】
上記条件(2)において、前記熱画像の四隅とは、例えば、前記熱画像の横方向をX軸、縦方向をY軸として、前記区画の位置情報を(X、Y)としたとき、Xの値が最大となる区画、Xの値が最小となる区画、Yの値が最大となる区画、及びYの値が最小となる区画の4つである。この場合、抽出部13は、例えば、前記特定の区画として、前記熱画像の四隅の区画のうち少なくとも1つの区画を抽出すればよく、例えば、2つでもよいし、3つでもよいし、4つであってもよい。前記四隅の区画のうち、2つの区画を抽出する場合、例えば、前記2つの区画は、対角の関係であってもよいし、同一線上にあってもよい。前記実現画像の中央部分には、前記測定対象者が写っていることが多い。そのため、このように、前記熱画像の四隅の区画のうち少なくとも1つの区画を前記特定の区画として抽出することで、前記測定対象者が発する熱に影響を受けることなく、後述の温度算出部14によって、より正確に前記測定対象範囲の温度を算出することができる。また、例えば、前記熱画像の四隅の区画のうち少なくとも2つの区画を前記特定の区画として抽出することで、前記特定の区画間に一定の距離ができ、互いに干渉することがないため、より正確に前記測定対象範囲の温度を算出することができる。前記熱画像の四隅の区画のうち3つの区画や4つの区画を前記特定の区画として抽出した場合も同様である。
【0045】
上記条件(3)における「測定対象者の顔の位置と対応する区画の下方向にある区画」について、前記熱画像の横方向をX軸、縦方向をY軸として、前記区画の位置情報を(X、Y)としたときを例に挙げて説明する。「測定対象者の顔の位置と対応する区画の下方向にある区画」とは、例えば、前記測定対象者の顔の位置と対応する区画の最大値のXと、最小値のXとの間のXの値を有し、且つ、前記測定対象者の顔の位置と対応する区画の最小値のYよりも低いYの値を有する区画である。なお、前記測定対象者の顔の位置は、例えば、後述の検出部12によって、前記実写画像から検出され得るが、これに限定されない(以下、上記条件(4)及び上記条件(5)において同様)。すなわち、後述の検出部12は、例えば、前記工程(S13)の前に、前記測定対象者の顔の位置を検出してもよい(S12、検出工程)。これにより、例えば、前記測定対象者が着ている服の温度を示す区画を抽出することなく、後述の温度算出部14によって、より正確に前記測定対象範囲の温度を算出することができる。
【0046】
上記条件(4)において、前記予め設定した区画数とは、特に制限されず、任意に設定できる。また、例えば、前記区画数に加えて、方向を設定してもよい。具体的には、例えば、「左右いずれか一方の方向に5区画」等と設定してもよい。これにより、前記測定対象者が発する熱に影響を受けることなく、後述の温度算出部14によって、より正確に前記測定対象範囲の温度を算出することができる。
【0047】
上記条件(5)によれば、前記測定対象者が発する熱に影響を受けることなく、後述の温度算出部14によって、より正確に前記測定対象範囲の温度を算出することができる。
【0048】
抽出部13は、例えば、前記熱画像の区画うち最上部の列から前記特定の区画を抽出してもよい。具体的に、抽出部13は、例えば、前記最上部の列のうち一部の区画を前記特定の区画を抽出してもよいし、前記最上部の列の全ての区画を前記特定の区画として抽出してもよい。前記特定の区画として抽出される一部の区画には、例えば、前記熱画像に含まれる測定対象者の位置と対応する区画が除かれる。
【0049】
そして、温度算出部14により、前記区画温度情報に基づき、少なくとも1つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出し(S14a、温度算出工程)、終了する(END)。具体的に、温度算出部14は、例えば、少なくとも2つ以上の特定の区画の各温度の平均値を算出し、前記平均値を前記測定対象範囲の温度としてもよい。また、抽出部13が少なくとも4つ以上の特定の区画を抽出した場合、温度算出部14は、例えば、前記区画温度情報に基づき、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が最大値である区画と、前記温度が最小値である区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出してもよい。このように、前記特定の区画から、前記温度が最大値である区画と、前記温度が最小値である区画とを除くことで、誤差を小さくすることができ、より正確に前記測定対象範囲の温度を算出することができる。
【0050】
さらに、抽出部13が少なくとも4つ以上の特定の区画を抽出した場合、温度算出部14は、例えば、前記工程(S14a)において、前記区画温度情報に基づき、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が高い順に予め設定した数に入る区画と、前記温度が低い順に予め設定した数に入る区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出してもよい。各前記予め設定した数は、特に制限されず、例えば、全体の区画数に対する比率(例えば、全体の30%等)として設定されていてもよい。例えば、各前記予め設定した数として、「全体の区画数の30%」が設定されていた場合、温度算出部14は、前記温度の高さが上位30%に入る区画と下位30%に入る区画とを除いた残りの40%の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する。これにより、障害物(例えば、測定対象者等)による誤差をより小さくすることができ、より正確に前記測定対象範囲の温度を算出することができる。
【0051】
さらに、温度算出部14は、例えば、前記区画温度情報に基づき、前記熱画像に含まれる測定対象者の表面温度を算出してもよい(S14b、温度算出工程)。前記測定対象者の表面温度を算出するアルゴリズムは、特に制限されず、例えば、公知の技術を用いることができる。これにより、前記測定対象者の表面温度を測定することができる。前記工程(S14b)は、例えば、図3に示すように、前記工程(S14a)の後に実行してもよいし、前に実行してもよいし、並行して処理してもよい。なお、前記測定対象者は、例えば、後述の検出部12によって、前記実写画像から検出されるが、これに限定されない。すなわち、後述の検出部12は、例えば、前記工程(S14b)の前に、前記測定対象者を検出してもよい(S12)。
【0052】
本装置10は、前述のように、例えば、さらに、補正部17を含んでもよい。補正部17は、例えば、前記工程(S14b)の後に、算出した前記測定対象範囲の温度を用いて、算出した前記測定対象者の表面温度を補正する(S17、補正工程)。前記補正に関するアルゴリズムは、特に制限されず、例えば、公知の技術を用いることができる。これにより、正確に前記測定対象者の表面温度を測定することができる。
【0053】
本装置10は、前述のように、例えば、さらに、記録部15、検出部12、及び認証部16を含んでもよい。この場合、画像取得部11は、例えば、前記工程(S11)において、前述のように、さらに、前記実写画像を取得してもよい。検出部12は、例えば、前記工程(S11)の後、前記実写画像から測定対象者の顔を検出する(S12)。前記実写画像から前記測定対象者の顔を検出するアルゴリズムは、特に制限されず、例えば、公知の技術を用いることができる。一方で、記録部15は、例えば、予め、登録者の顔に関する顔情報を含む登録者情報を記憶する処理を実行する(S15、記録工程)。記録部15は、例えば、メモリ102及び記憶装置104に前記登録者情報を記憶させてもよいし、外部のデータベースやサーバに前記登録者情報を記憶させてもよい。認証部16は、例えば、前記工程(S12)及び前記工程(S15)の後に、検出した前記測定対象者の顔と前記登録者の顔とを照合し、一致する場合に、前記測定対象者を前記登録者として認証する(S16、認証工程)。そして、少なくとも前記工程(S14a)及び前記工程(S16)を実行した後に終了する(END)。一方で、一致しない場合は、例えば、前記測定対象者を前記登録者と認証せず、終了する(END)。前記照合及び前記認証に関するアルゴリズムは、特に制限されず、例えば、公知の技術を用いることができる。これにより、例えば、前記測定対象範囲の温度の測定(算出)及び前記測定対象者の表面温度の測定に加えて、顔認証を行うことができる。
【0054】
本実施形態によれば、例えば、前記特定の区画を抽出することで、熱画像から測定対象範囲(例えば、対象者の周辺等)の温度を算出することができる。また、本実施形態によれば、例えば、測定対象範囲の温度を算出することで、前記非接触にて測定対象者の表面温度を正確に測定することができる。さらに、本実施形態によれば、例えば、前記測定対象者の顔認証を行うことができる。
【0055】
[実施形態2]
本発明を適用して、室温を測定する一例を説明する。なお、本発明は、室内に限らず、屋外であっても同様に適用可能である。
【0056】
図4(A)~(C)は、抽出部13により、4つの区画(A~D区画、若しくは、D区画に代えてD’区画)を前記特定の区画として抽出した例である。図4(A)~(C)の上部に、画像取得部11が取得した前記実写画像の一例を示す。図4(A)において、前記測定対象者は、前記実写画像の中央部分に位置しており、図4(B)及び(C)において、前記測定対象者は、D区画と重なるように位置している。前記熱画像は、複数の区画に分割されており、前記区画毎の温度を示す区画温度情報と紐づけられている点を除き、前記実写画像と同じ画角であるとする。図中の前記実写画像において、説明のため、A~D区画及びD’区画に対応する位置を一点鎖線の枠にて示し、A~D区画及びD’区画以外の区画は省略する図4(A)及び(B)の下部に、A~D区画及びD’区画の温度を記載する。
【0057】
図4(A)に示す例では、抽出部13により、前記熱画像の四隅の区画(A~D区画)を前記特定の区画として抽出している。このA~D区画のうち、A区画の温度が最大であり、D区画の温度が最小である。この場合、温度算出部14は、A区画とD区画とを除く、B区画とC区画との温度の平均値を算出し、前記平均値を室温とする。
【0058】
図4(B)に示す例では、抽出部13により、前記熱画像の四隅の区画(A~D区画)を前記特定の区画として抽出している。このA~D区画のうち、D区画の温度が最大であり、C区画の温度が最小である。この場合、温度算出部14は、C区画とD区画とを除く、A区画とB区画との温度の平均値を算出し、前記平均値を室温とする。
【0059】
図4(C)に示す例では、抽出部13により、図4(B)に示す例とは異なり、前記測定対象者の顔の位置と対応するD区画に代えて、前記測定対象者の顔の位置と対応せず、且つ前記測定対象者の顔の位置から離れているD’区画を含む4つの区画(A~C区画、及びD’区画)を前記特定の区画として抽出している。このA~D’区画のうち、A区画の温度が最大であり、C区画の温度が最小である。この場合、温度算出部14は、A区画とC区画とを除く、B区画とD’区画との温度の平均値を算出し、前記平均値を室温とする。
【0060】
特許文献1等の技術により測定対象者の表面温度の測定を行う場合は、画角の中央に測定対象者の顔が位置する熱画像を取得することがある。そこで、本実施形態のように、前記熱画像の四隅の区画を用いることで、障害物(前記測定対象者や火等が発する熱や、氷等)の影響を受けることなく、正確に、測定対象範囲の温度を測定することができる。また、仮に、四隅に測定対象者が位置する熱画像を取得した場合であっても、温度が最大値である区画と、温度が最小値である区画とを除いたり、前記測定対象者の顔と離れている区画を用いたりして、前記測定対象範囲(室温)の温度を算出することで、前記障害物の誤差を小さくすることができる。また、障害物(前記測定対象者や火等が発する熱や、氷等)による影響を小さくすることができる。
【0061】
図5(A)及び(B)は、抽出部13により、前記熱画像の最上部の列を前記特定の区画として抽出した例である。図5(A)及び(B)に、画像取得部11が取得した前記実写画像の一例を示す。図5(A)において、前記測定対象者は、前記実写画像の中央部分に位置しており、図5(B)において、前記測定対象者は、顔の上部が見切れるように位置している。前記熱画像は、複数の区画に分割されており、前記区画毎の温度を示す区画温度情報と紐づけられている点を除き、前記実写画像と同じであるとする。図中の前記実写画像において、説明のため、前記特定の区画に対応する位置を一点鎖線の枠にて示し、前記特定の区画以外は省略する。図5(A)の下部に、各区画の温度を記載する。
【0062】
図5(A)に示す例では、抽出部13により、前記最上部の列の全ての区画(合計160個の区画)を前記特定の区画として抽出している。本例において、例えば、温度算出部14における各前記予め設定した数として、「全体の区画数の30%」が設定されていたとする。この場合、温度算出部14は、これら160個の区画のうち、前記温度の高さが上位30%に入る区画(すなわち、前記温度の高さが上位48個の区画)と下位30%に入る区画(すなわち、前記温度の高さが下位48個の区画)とを除いた残りの40%の前記特定の区画(すなわち、64個の区画)における各温度の平均値を算出し、前記平均値を室温とする。
【0063】
図5(B)に示す例では、抽出部13により、前記最上部の列のうち一部の区画を前記特定の区画として抽出している。具体的に、図5(B)において、抽出部13は、前記一部の区画として、前記測定対象者の顔の位置と対応する区画以外の区画を前記特定の区画として抽出している。温度算出部14における処理は、例えば、図5(A)と同様である。
【0064】
このように、前記熱画像の最上部の列を前記特定の区画として抽出することで、例えば、障害物(前記測定対象者や火等が発する熱や、氷等)の影響を受けることなく、正確に、測定対象範囲の温度を測定することができる。また、仮に、前記熱画像の最上部に測定対象者が位置する熱画像を取得した場合であっても、前記特定の区画から前記測定対象者が位置する区画を除き、前記測定対象範囲(室温)の温度を算出することで、前記障害物の誤差を小さくすることができる。
【0065】
[実施形態3]
本実施形態のプログラムは、本発明の方法の各工程を、手順として、コンピュータに実行させるためのプログラムである。本発明において、「手順」は、「処理」と読み替えてもよい。また、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク等が挙げられる。
【0066】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0067】
<付記>
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
画像取得部、抽出部、及び温度算出部を含み、
前記画像取得部は、測定対象範囲を撮像した熱画像を取得し、
前記熱画像は、複数の区画に分割されており、前記区画毎の温度を示す区画温度情報と紐づけられており、
前記抽出部は、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出部は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも1つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、温度算出装置。
(付記2)
前記抽出部は、前記熱画像の区画うち最上部の列から前記特定の区画を抽出する、付記1記載の温度算出装置。
(付記3)
前記抽出部は、前記熱画像から少なくとも4つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出部は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が最大値である区画と、前記温度が最小値である区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、付記1又は2記載の温度算出装置。
(付記4)
前記温度算出部は、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が高い順に予め設定した数に入る区画と、前記温度が低い順に予め設定した数に入る区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、付記3記載の温度算出方法。
(付記5)
前記温度算出部は、少なくとも2つ以上の特定の区画の各温度の平均値を算出し、前記平均値を前記測定対象範囲の温度とする、付記1から4のいずれかに記載の温度算出装置。
(付記6)
前記抽出部は、予め設定した下記条件(1)~(5)の少なくとも一つの条件に従い、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出する、付記1から5のいずれかに記載の温度算出装置。
(1)前記温度が予め設定した温度の範囲外である区画を除く
(2)前記特定の区画として、前記熱画像の四隅の区画のうち少なくとも1つの区画を含む
(3)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画の下方向にある区画を除く
(4)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画から、予め設定した区画数以上離れている区画を前記特定の区画として抽出する
(5)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画を除く
(付記7)
前記温度算出部は、前記区画温度情報に基づき、前記熱画像に含まれる測定対象者の表面温度を算出する、付記1から6のいずれかに記載の温度算出装置。
(付記8)
さらに、補正部を含み、
前記補正部は、算出した前記測定対象範囲の温度を用いて、算出した前記測定対象者の表面温度を補正する、付記7記載の温度算出装置。
(付記9)
さらに、記録部、検出部、及び認証部を含み、
前記記録部は、登録者の顔に関する顔情報を含む登録者情報を記録し、
前記画像取得部は、さらに、前記熱画像に対応する実写画像を取得し、
前記検出部は、前記実写画像から測定対象者の顔を検出し、
前記認証部は、検出した前記測定対象者の顔と前記登録者の顔とを照合し、一致する場合に、前記測定対象者を前記登録者として認証する、付記1から8のいずれかに記載の温度算出装置。
(付記10)
画像取得工程、抽出工程、及び温度算出工程を含み、
前記画像取得工程は、測定対象範囲を撮像した熱画像を取得し、
前記熱画像は、複数の区画に分割されており、前記区画毎の温度を示す区画温度情報と紐づけられており、
前記抽出工程は、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出工程は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも1つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、温度算出方法。
(付記11)
前記抽出工程は、前記熱画像の区画うち最上工程の列から前記特定の区画を抽出する、付記10記載の温度算出方法。
(付記12)
前記抽出工程は、前記熱画像から少なくとも4つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出工程は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が最大値である区画と、前記温度が最小値である区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、付記10又は11記載の温度算出方法。
(付記13)
前記温度算出工程は、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が高い順に予め設定した数に入る区画と、前記温度が低い順に予め設定した数に入る区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、付記12記載の温度算出方法。
(付記14)
前記温度算出工程は、少なくとも2つ以上の特定の区画の各温度の平均値を算出し、前記平均値を前記測定対象範囲の温度とする、付記10から13のいずれかに記載の温度算出方法。
(付記15)
前記抽出工程は、予め設定した下記条件(1)~(5)の少なくとも一つの条件に従い、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出する、付記10から14のいずれかに記載の温度算出方法。
(1)前記温度が予め設定した温度の範囲外である区画を除く
(2)前記特定の区画として、前記熱画像の四隅の区画のうち少なくとも1つの区画を含む
(3)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画の下方向にある区画を除く
(4)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画から、予め設定した区画数以上離れている区画を前記特定の区画として抽出する
(5)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画を除く
(付記16)
前記温度算出工程は、前記区画温度情報に基づき、前記熱画像に含まれる測定対象者の表面温度を算出する、付記10から15のいずれかに記載の温度算出方法。
(付記17)
さらに、補正工程を含み、
前記補正工程は、算出した前記測定対象範囲の温度を用いて、算出した前記測定対象者の表面温度を補正する、付記16記載の温度算出方法。
(付記18)
さらに、記録工程、検出工程、及び認証工程を含み、
前記記録工程は、登録者の顔に関する顔情報を含む登録者情報を記録し、
前記画像取得工程は、さらに、前記熱画像に対応する実写画像を取得し、
前記検出工程は、前記実写画像から測定対象者の顔を検出し、
前記認証工程は、検出した前記測定対象者の顔と前記登録者の顔とを照合し、一致する場合に、前記測定対象者を前記登録者として認証する、付記10から17のいずれかに記載の温度算出方法。
(付記19)
コンピュータに、画像取得手順、抽出手順、及び温度算出手順を含む手順を実行させるためのプログラム:
前記画像取得手順は、測定対象範囲を撮像した熱画像を取得し、
前記熱画像は、複数の区画に分割されており、前記区画毎の温度を示す区画温度情報と紐づけられており、
前記抽出手順は、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出手順は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも1つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する。
(付記20)
前記抽出手順は、前記熱画像の区画うち最上手順の列から前記特定の区画を抽出する、付記19記載のプログラム。
(付記21)
前記抽出手順は、前記熱画像から少なくとも4つ以上の特定の区画を抽出し、
前記温度算出手順は、前記区画温度情報に基づき、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が最大値である区画と、前記温度が最小値である区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、付記19又は20記載のプログラム。
(付記22)
前記温度算出手順は、少なくとも4つ以上の前記特定の区画のうち、前記温度が高い順に予め設定した数に入る区画と、前記温度が低い順に予め設定した数に入る区画とを除いた少なくとも2つ以上の前記特定の区画における各温度を用いて、前記測定対象範囲の温度を算出する、付記21記載のプログラム。
(付記23)
前記温度算出手順は、少なくとも2つ以上の特定の区画の各温度の平均値を算出し、前記平均値を前記測定対象範囲の温度とする、付記19から22のいずれかに記載のプログラム。
(付記24)
前記抽出手順は、予め設定した下記条件(1)~(5)の少なくとも一つの条件に従い、前記熱画像の各区画から少なくとも1つ以上の特定の区画を抽出する、付記19から23のいずれかに記載のプログラム。
(1)前記温度が予め設定した温度の範囲外である区画を除く
(2)前記特定の区画として、前記熱画像の四隅の区画のうち少なくとも1つの区画を含む
(3)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画の下方向にある区画を除く
(4)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画から、予め設定した区画数以上離れている区画を前記特定の区画として抽出する
(5)前記熱画像に含まれる測定対象者の顔の位置と対応する区画を除く
(付記25)
前記温度算出手順は、前記区画温度情報に基づき、前記熱画像に含まれる測定対象者の表面温度を算出する、付記19から24のいずれかに記載のプログラム。
(付記26)
さらに、補正手順を含み、
前記補正手順は、算出した前記測定対象範囲の温度を用いて、算出した前記測定対象者の表面温度を補正する、付記25記載のプログラム。
(付記27)
さらに、記録手順、検出手順、及び認証手順を含み、
前記記録手順は、登録者の顔に関する顔情報を含む登録者情報を記録し、
前記画像取得手順は、さらに、前記熱画像に対応する実写画像を取得し、
前記検出手順は、前記実写画像から測定対象者の顔を検出し、
前記認証手順は、検出した前記測定対象者の顔と前記登録者の顔とを照合し、一致する場合に、前記測定対象者を前記登録者として認証する、付記19から26のいずれかに記載のプログラム。
(付記28)
付記19から27のいずれかに記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、前記特定の区画を抽出することで、熱画像から対象者周辺(測定対象範囲)の温度を算出することができる。このため、本発明は、例えば、非接触にて対象者の表面温度を測定する分野において有用である。
【符号の説明】
【0069】
10 温度算出装置
11 画像取得部
12 検出部
13 抽出部
14 温度算出部
15 記録部
16 認証部
17 補正部
101 中央処理装置
102 メモリ
103 バス
104 記憶装置
105 入力装置
106 表示装置
107 通信デバイス

図1
図2
図3
図4
図5