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  • 特開-ペン消毒装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138940
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ペン消毒装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039111
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】510289412
【氏名又は名称】有限会社イグレック
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】山田 龍治
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA06
4C058AA24
4C058BB06
4C058EE26
4C058KK02
4C058KK23
(57)【要約】
【課題】一回使用するごとに消毒することを可能とするペン消毒装置を提供することである。
【解決手段】ペン消毒装置10は、所定の長さを有するペン部2を複数積み重ねるためのスタック部8を有する筐体部12と、スタック部8内で積み重ねられた複数のペン部2に紫外線を照射する照射部14と、を備え、筐体部12は、天井部側に設けられ消毒前のペン部2を投入するための投入口部13と、底面部側に設けられ紫外線によって消毒されたペン部2を取り出すための取出口部16とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の長さを有するペン部を複数積み重ねるためのスタック部を有する筐体部と、
前記スタック部内で積み重ねられた複数の前記ペン部に紫外線を照射する照射部と、
を備え、
前記筐体部は、天井部側に設けられ消毒前の前記ペン部を投入するための投入口部と、底面部側に設けられ前記紫外線によって消毒された前記ペン部を取り出すための取出口部とを備えることを特徴とするペン消毒装置。
【請求項2】
請求項1に記載のペン消毒装置において、
前記スタック部は、複数の前記ペン部が鉛直方向に沿って積層されるような溝部を有することを特徴とするペン消毒装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のペン消毒装置において、
前記取出口部は、
前記筐体部の正面部の前記底面側に設けられる開口部と、
前記開口部において設けられ、先端部から基端部にわたって前記ペン部が露出された状態で前記ペン部を挟持する挟持部とを有することを特徴とするペン消毒装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のペン消毒装置において、
前記取出口部は、
前記筐体部の正面部の前記底面側に設けられ、前記ペン部の最大の断面積以上の孔面積の開口を有する開口部と、
前記ペン部に対し、前記ペン部の先端部または基端部のいずれか一方側の端部から他方側の端部まで前記開口部から排出されるように送り出す押出部とを備えることを特徴とするペン消毒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペン消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食店などにおいて、タブレット端末を使用したセルフオーダーシステムが導入されつつある。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、入力装置が載置されて入力装置を消毒する紫外線を遮蔽するとともに入力装置を操作するための開口部が配置される載置部と、開口部に近接する人物を検出するセンサと、載置部に配置されてセンサの検出結果に基づいて紫外線を入力装置に照射する紫外線光源とを具備する消毒装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-124281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セルフオーダーシステムは、タブレット端末を手で操作することにより、注文を行っているが、近年の新型コロナウイルス感染症の影響により、他人が触ったタブレット端末の画面を手で操作するのは避けたいという人が多い。
【0006】
これに対し、静電容量式タッチペンを使うとタブレット端末の画面に直接触れる必要はないが、自分専用の静電容量式タッチペンを持っていない人が多数である。また、他人が使った静電容量式タッチペンを使うのは避けたいという人も多い。
【0007】
本発明の目的は、一回使用するごとに消毒することを可能とするペン消毒装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るペン消毒装置は、所定の長さを有するペン部を複数積み重ねるためのスタック部を有する筐体部と、前記スタック部内で積み重ねられた複数の前記ペン部に紫外線を照射する照射部と、を備え、前記筐体部は、天井部側に設けられ消毒前の前記ペン部を投入するための投入口部と、底面部側に設けられ前記紫外線によって消毒された前記ペン部を取り出すための取出口部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るペン消毒装置において、前記スタック部は、複数の前記ペン部が鉛直方向に沿って積層されるような溝部を有することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るペン消毒装置において、前記取出口部は、前記筐体部の正面部の前記底面側に設けられる開口部と、前記開口部において設けられ、先端部から基端部にわたって前記ペン部が露出された状態で前記ペン部を挟持する挟持部とを有することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るペン消毒装置において、前記取出口部は、前記筐体部の正面部の前記底面側に設けられ、前記ペン部の最大の断面積以上の孔面積の開口を有する開口部と、
前記ペン部に対し、前記ペン部の先端部または基端部のいずれか一方側の端部から他方側の端部まで前記開口部から排出されるように送り出す押出部とを備えることを特徴とするが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一回使用するごとにペン部を消毒することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る第一実施形態のペン消毒装置を示す図である。
図2】本発明に係る第一実施形態のペン消毒装置において、筐体部を分解した様子を示す図である。
図3】本発明に係る第二実施形態のペン消毒装置を示す図である。
図4】本発明に係る第二実施形態のペン消毒装置において、筐体部を分解した様子を示す図である。
図5】本発明に係る第二実施形態のペン消毒装置において、押出部によりペン部を送り出している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0015】
図1は、本発明に係る第一実施形態のペン消毒装置10を示す図である。図2は、本発明に係る第一実施形態のペン消毒装置10において、筐体部12を分解した様子を示す図である。
【0016】
ペン消毒装置10は、セルフオーダーシステムのタブレット端末の画面に接触して操作を行うためのペン部2を消毒する機能を有する。ペン消毒装置10は、筐体部12と、照射部14とを備えている。
【0017】
セルフオーダーシステムのタブレット端末は、例えば、飲食店などにおいて、飲食物を注文するために、客が自らの手でタブレット端末の画面を操作するための端末である。
【0018】
ペン部2は、セルフオーダーシステムのタブレット端末を操作するためのペンデバイスである。ペン部2の動作原理は、大きく分けて2つ存在し、導電式のペンと、静電容量式のペンがある。
【0019】
導電式(導電ゴム・導電繊維方式)のペンは、ペン先に電気伝導効率の高い導体を使用し、静電気を通すことで信号を入力する。ペン先の形状は、網状の金属やスポンジのような形を有している。静電容量方式では、充電や電池により発生する静電気をタッチパネルに伝えることで、信号を入力する。ペン先は、硬めで、1.5~2mm程度の太さが一般的である。
【0020】
筐体部12は、図1,2に示されるように、箱型形状を有している。筐体部12は、所定の長さを有するペン部2を複数積み重ねるためのスタック部18を有する。筐体部12は、投入口部13と、取出口部16とを備えている。
【0021】
照射部14は、スタック部18内で積み重ねられた複数のペン部2に紫外線を照射する機能を有する。照射部14は、紫外線を多く放射するように形成されたランプであり、水銀蒸気中の放電により、253.7nmのスペクトルを出す。紫外線の光化学作用、殺菌作用、紅斑作用を利用する多くの分野で用いられている。なお、ここでは、照射部14は、100~280nmの所謂UVCと呼ばれる紫外線を用いるものとして説明したが、その他の紫外線、例えば、UVBを用いてもよい。
【0022】
圧力10-2mmHg程度の低圧水銀放電は主として253.7nmの紫外線を放射するので、石英ガラスまたは紫外線透過ガラスで放電管をつくり、殺菌ランプとして、投入口部13から投入されたペン部2に付着した菌の殺菌に用いられる。
【0023】
図2に示されるように、筐体部12内のスタック部18には、溝部19内に紫外線を照射する複数の照射部14が設けられている。ここでは、図2に示されるように、4行×4列に所定の間隔をおいて配置された照射部14が配置されている。これにより、スタック部18の溝部19内に積層されたペン部2に紫外線が照射されることで殺菌される。
【0024】
スタック部18は、複数のペン部2が鉛直方向に沿って積層されるような溝部19を有する。溝部19は、図2に示されるように、ペン部2の長さ方向に直交する断面の直径よりも若干大きい溝幅を有し、筐体部12の天井部側の投入口部13に連通され天井部側から底面部側に向かって真っすぐな溝が形成され、底面部側で湾曲して筐体部12の正面側に向かい取出口部16と連通される。
【0025】
投入口部13は、天井部側に設けられ消毒前のペン部2を投入するための開口部を有している。投入口部13の開口部は、筐体部12の天井面においてペン部2を投入するために形成された長方形の開口である。開口の長手方向の長さは、ペン部2の長さよりも若干大きく、開口の短手方向の長さは、溝部19の溝幅とほぼ同じである。
【0026】
取出口部16は、底面部側に設けられ紫外線によって消毒されたペン部2を取り出すための開口部15と、挟持部17とを備えている。
【0027】
開口部15は、筐体部12の正面部の底面側に設けられる開口である。開口の長手方向の長さは、ペン部2の長さよりも若干大きく、開口の短手方向の長さは、溝部19の溝幅とほぼ同じである。また、開口の中央部は、図1に示されるように、ペン部2を指で取り出しやすいように上下方向に凹部形成されている。
【0028】
挟持部17は、開口部15において設けられ、図1に示されるように先端部から基端部にわたってペン部2が露出された状態でペン部2を挟持する。挟持部17の構造は、様々存在するが、一例として、線接触でペン部2の胴体部を挟持する一対の突起部を有するものとして説明するが、もちろん、その他の構造を有してもよい。
【0029】
続いて、上記構成のペン消毒装置10の作用について説明する。近年、飲食店などにおいて、タブレット端末を手で操作することにより注文を行うセルフオーダーシステムが採用されている。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、他人が触ったタブレット端末の画面を手で操作するのは避けたいという人が増えている。
【0030】
タブレット端末に直接触れることを避けるためには、静電容量式タッチペンを使うという手法があるが、自分専用の静電容量式タッチペンを持っていない人も多く、他人が使った静電容量式タッチペンを使うのは避けたいという人が多いという課題がある。このような課題に対して、本発明に係る実施形態のペン消毒装置10は顕著な効果を発揮する。
【0031】
ペン部2は、セルフオーダーシステムのタブレット端末を操作するための静電容量式又は導電式のペンデバイスであるため、タブレット端末の画面に直接触れることなく、操作することが出来る。
【0032】
また、一度、使用したペン部2は、筐体部12の投入口部13に投入することでスタック部18内に積み重ねられる。そして、スタック部18内では複数の照射部14によりペン部2に対して紫外線が照射されて殺菌される。その後、消毒されたペン部2が取出口部16側に移動していくことなる。
【0033】
取出口部16では、ペン部2が先端部から基端部にわたってペン部2が露出された状態でペン部2が挟持されている。この露出されたペン部2を取り出すと、重力にしたがってスタック部18内の次のペン部2が取出口部16に移動して露出した状態で挟持されるようになる。
【0034】
ペン消毒装置10によれば、飲食店の利用客が取出口部16から取り出した消毒済みのペン部2を使ってタブレット端末を操作して注文を行った後に投入口部13に投入するだけで、仮に当該利用客の使用によってペン部2に菌が付着した場合であってもスタック部18内で照射される紫外線により殺菌される。
【0035】
このように、ペン消毒装置10によれば、一度使用した後の消毒前のペン部2を投入口部13に投入したものが取出口部16から取り出される先入れ先出し方式で殺菌されるため、一回の使用ごとに殺菌することができ、利用客は清潔なペン部2を使用することができるという顕著な効果を奏する。
【0036】
図3は、本発明に係る第二実施形態のペン消毒装置11を示す図である。図4は、本発明に係る第二実施形態のペン消毒装置11において、筐体部22を分解した様子を示す図である。
【0037】
図5は、本発明に係る第二実施形態のペン消毒装置11において、押出部30によりペン部2を送り出している様子を示す図である。
【0038】
ペン消毒装置11は、ペン消毒装置10と同様に、セルフオーダーシステムのタブレット端末の画面に接触して操作を行うためのペン部2を消毒する機能を有しているため、以下では、相違点を中心に説明する。
【0039】
ペン消毒装置11は、図4に示されるように、複数のスタック部28(図4の例では、7つのスタック部28)が設けられており、各溝部29内にペン部2が積層されて形成される列が複数存在する。図4で示される例では、7列存在する。
【0040】
ペン消毒装置11は、ペン消毒装置10と同様に、天井面に形成される投入口部から消毒前のペン部2を投入し、スタック部28内に積層される。また、取出口部25は、ペン消毒装置10とは異なるため、具体的に説明する。
【0041】
図3に示されるように、筐体部22の正面側には複数の円形の取出口部25(図3の例では7つの取出口部25)が形成されている。複数の取出口部25は、ペン部2の最大の断面積以上の孔面積の開口を有する。また、図5に示されるように、筐体部22内の底面には、ペン部2を送り出すための押出部30が形成されている。
【0042】
筐体部22内の底面には押出部30が移動するための案内溝31が形成されており、押出部30は案内溝31に沿って移動可能である。そして、図5に示されるように、ペン部2の基端部を押出部30の立壁部が押し付けることで、ペン部2の先端部側から基端部側までペン部2が取出口部25から排出される。
【0043】
続いて、ペン消毒装置11の作用について説明する。ペン消毒装置11は、ペン消毒装置10と同様に一度使用したペン部2を投入口部から投入し、スタック部28内で消毒されたペン部2が取出口部25から先入れ先出し方式で取り出すことができる装置であるため、ペン部2と同様の効果を奏する。また、ペン消毒装置11は、複数のスタック部28(図2の例では、7つのスタック部28)が形成されているため、一度に多くのペン部2を消毒して取り出すことが出来る。
【0044】
ペン消毒装置11は、押出部30により、ペン部2が送り出されるものとして説明したが、押出部30によってペン部2の一部が送り出され、客が取出口部25からペン部2の先端部が突出するような構成にしてもよい。また、この突出したペン部2を取り出した際に、これを自動的に検出して、次のペン部2の先端部が再び取出口部25から突出されるような構成にしてもよい。この際、例えば、図3に示されるように、7本のペン部2のうち、複数本のペン部2が取り出されたときには、抜き取られた場所に対応する押出部30が自動的に移動し、次のペン部2が自動的に送り出される。
【0045】
なお、ここでは、ペン消毒装置10,11が消毒する対象として、タブレット端末を操作するためのペン部2(タッチペン)であるものとして説明したが、その他のスティック状の部材、例えば、お箸などを消毒する装置として機能させてもよい。
【符号の説明】
【0046】
2 ペン部、8 スタック部、10,11 ペン消毒装置、12 筐体部、13 投入口部、14 照射部、15 開口部、16 取出口部、17 挟持部、18 スタック部、19 溝部、22 筐体部、25 取出口部、28 スタック部、29 溝部、30 押出部、31 案内溝。
図1
図2
図3
図4
図5