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  • 特開-対象物移動装置及びバイク 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138954
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】対象物移動装置及びバイク
(51)【国際特許分類】
   B62J 17/086 20200101AFI20220915BHJP
   F16C 29/02 20060101ALI20220915BHJP
   F16H 21/16 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B62J17/086
F16C29/02
F16H21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039132
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 英一
(72)【発明者】
【氏名】唐木 正和
【テーマコード(参考)】
3J062
3J104
【Fターム(参考)】
3J062AA09
3J062AB27
3J062AC07
3J062CB02
3J062CB14
3J062CB32
3J104AA41
3J104EA10
(57)【要約】
【課題】本発明によれば、対象物移動部の動きを規制する部材を用いることなく移動対象物の移動方向を転換することができる対象物移動装置及びバイクを提供する。
【解決手段】対象物移動装置は、モータの回転を伝達する回転軸周りに回転可能な回転部材の回転運動を直線運動に変換する変換部と、前記変換部に接続され、移動対象物を進退移動させる対象物移動部と、前記移動対象物の移動方向に延伸し、前記対象物移動部の移動を案内するガイドレールと、を備え、前記対象物移動部は、前記モータの第1回転方向への回転に従って進退移動を繰り返す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転を伝達する回転軸周りに回転可能な回転部材の回転運動を直線運動に変換する変換部と、
前記変換部に接続され、移動対象物を進退移動させる対象物移動部と、
前記移動対象物の移動方向に延伸し、前記対象物移動部の移動を案内するガイドレールと、
を備え、
前記対象物移動部は、前記モータの第1回転方向への回転に従って進退移動を繰り返す、対象物移動装置。
【請求項2】
前記変換部は、
前記モータの回転により前記回転軸周りに回転するアームと、
前記対象物移動部が進退移動する方向と垂直な方向に延伸する溝を有し、前記アームの突起が前記溝に嵌まり込む可動レールと、
を備える、請求項1に記載の対象物移動装置。
【請求項3】
前記変換部は、
前記モータの回転により前記回転軸周りに回転するアームと、
一端が前記アーム上の前記回転軸から離れた位置に接続され、他端が前記対象物移動部に接続されるロッド部と、
を備える、請求項1に記載の対象物移動装置。
【請求項4】
前記移動対象物は、ウインドウスクリーンである、請求項1から3の何れか一項に記載の対象物移動装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の対象物移動装置を備えたバイク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物移動装置及びバイクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バイクに搭載されているウインドウスクリーンの位置を調節する調節装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されている調節装置は、移動対象物であるウインドウスクリーンが固定されているスライダと、スライダの移動を案内するガイドレールと、スライダを進退移動させるためのギヤードケーブルと、ギヤードケーブルを駆動するモータとを備えている。
【0004】
ギヤードケーブルは、外周面にラックギアが形成されているケーブルである。当該ラックギアに駆動機構内のピニオンギアが噛み合い、モータの回転によりピニオンギアが回転することによってギヤードケーブルが進退移動し、ギヤードケーブルに連結されたスライダが進退移動する。
【0005】
すなわち、モータが第1回転方向へ回転するとウインドウスクリーンが上昇し、モータが第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転するとウインドウスクリーンが下降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-082810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている調節装置は、移動対象物の移動方向を転換する際、対象物移動部であるスライダの上下の動きを規制する部材を、ガイドレールの上端と下端に設ける必要がある。このため、装置を構成する部品の数が多くなり、装置の構造が複雑になるとともに、装置全体の寸法が大型化し得るという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、対象物移動部の動きを規制する部材を用いることなく移動対象物の移動方向を転換することができる対象物移動装置及びバイクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の対象物移動装置は、モータの回転を伝達する回転軸周りに回転可能な回転部材の回転運動を直線運動に変換する変換部と、前記変換部に接続され、移動対象物を進退移動させる対象物移動部と、前記移動対象物の移動方向に延伸し、前記対象物移動部の移動を案内するガイドレールと、を備え、前記対象物移動部は、前記モータの第1回転方向への回転に従って進退移動を繰り返す。
【0010】
本発明のバイクは、上記の対象物移動装置を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、対象物移動部の動きを規制する部材を用いることなく移動対象物の移動方向を転換することができる対象物移動装置及びバイクを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る対象物移動装置1の構成例を示す図
図2】可動レール40の斜視図
図3】本発明の実施の形態2に係る対象物移動装置1Aの構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る対象物移動装置1の構成例を示す図である。
【0015】
(対象物移動装置1)
対象物移動装置1は、バイクのウインドウスクリーンを移動させるウインドウレギュレータ等に適用される。バイクは、オートバイ、水上バイク、雪上バイクなどである。ウインドウスクリーンは、バイクの走行風による搭乗者の負担を軽減するとともに、バイクの走行安定性を保つための機構である。
【0016】
本発明の実施の形態では、対象物移動装置1による移動対象物を、取付部材60に取り付けられるウインドウスクリーンとしている。適用例がバイクのウインドウスクリーンの場合、取付部材60の移動方向は、ウインドウスクリーンの昇降方向を基準として規定される上下方向である。
【0017】
対象物移動装置1は、モータ10、駆動部20、キャリア部材50、取付部材60、ガイドレール70、ベース部材80、固定部材90、及びガイド部材100を備えている。
【0018】
(モータ10)
モータ10は、対象物移動装置1の移動対象物を駆動するための回転電機である。モータ10は、駆動部20に接続されている。モータ10は、例えば不図示のモータ制御部によって、その回転量及び回転速度が制御される。
【0019】
(駆動部20)
駆動部20は、モータ10の回転力により回転アーム30を回転させる機構である。駆動部20は、ハウジング21と、ハウジング21に収納されている不図示の減速機構と、回転軸22とを備えている。
【0020】
ハウジング21は、例えばネジ止めにより、ベース部材80に固定される。減速機構は、モータ10の回転力を減速して回転軸22に伝達するためのウォームギヤ、ウォームホイールなどを組み合わせた機構である。回転軸22には、回転アーム30が接続されている。
【0021】
(ガイド部材100)
ガイド部材100は、回転アーム30の回転運動を直線運動に変換する変換部の一例である。ガイド部材100は、回転アーム30及び可動レール40を備えている。
【0022】
(回転アーム30)
回転アーム30は、回転軸22とともに回転可能な回転部材の一例である。
【0023】
回転アーム30は、回転軸22から可動レール40に向かって延伸する柱状の部材である。回転アーム30の一端部は、回転軸22に固定されている。回転アーム30の他端部は、突起31を介して、可動レール40に接続されている。回転アーム30の可動レール40への接続構造に関しては後述する。
【0024】
なお、回転軸22に接続される部材は、柱状の回転アーム30に限定されず、回転軸22周りに回転可能な回転部材であればよく、例えば円盤状の部材でもよい。
【0025】
(可動レール40)
図2を参照して可動レール40の構成について説明する。図2は可動レール40の斜視図である。
【0026】
可動レール40は、断面がC字形状の柱状の部材である。可動レール40には、キャリア部材50が進退移動する方向SD2と垂直な方向SD1に延伸している溝41が形成されている。
【0027】
溝41には、図1に示される回転アーム30の突起31が擦動可能な状態で嵌め込まれる。
【0028】
(キャリア部材50)
図1の説明に戻ると、キャリア部材50は、ガイド部材100の可動レール40に接続され、移動対象物を進退移動させる対象物移動部の一例である。
【0029】
キャリア部材50は、可動レール40を挟むように、左右に離れて一対設けられている。キャリア部材50は、可動レール40に対してネジ止めにより固定されている。
【0030】
キャリア部材50は、ガイドレール70に進退移動が可能な状態で接続されている。キャリア部材50のガイドレール70側とは反対側の面には、取付部材60が固定されている。
【0031】
(取付部材60)
取付部材60は、不図示のウインドウスクリーンをキャリア部材50に取り付ける部材である。
【0032】
取付部材60は、例えばネジ止めにより、キャリア部材50に固定されている。不図示のウインドウスクリーンは、例えばネジ止めにより、取付部材60に固定される。
【0033】
なお、実施の形態1に係る対象物移動装置1は、不図示のウインドウスクリーンを取付部材60に固定するように構成されているが、取付部材60を省略して、キャリア部材50に不図示のウインドウスクリーンを直接固定するように構成してもよい。
【0034】
(ガイドレール70)
ガイドレール70は、キャリア部材50の移動を案内する部材である。ガイドレール70は、ベース部材80に対して左右に離れて一対設けられている。一対のガイドレール70は、固定部材90を介して、ベース部材80に固定されている。
【0035】
(固定部材90)
固定部材90は、ベース部材80にガイドレール70を固定する部材である。固定部材90は、例えばL字形状に折り曲げられている金属製の部材である。
【0036】
次に対象物移動装置1の動作を説明する。
【0037】
不図示のモータ制御部の制御によって、モータ10が第1回転方向RDに回転を開始すると、モータ10の回転力が、駆動部20を介して、回転アーム30に伝達される。
【0038】
回転アーム30が回転すると、回転アーム30の突起31は、可動レール40の溝41に案内されて、キャリア部材50が進退移動する方向SD2と垂直な方向SD1に進退移動する。これにより、回転アーム30の回転運動は、直線運動に変換され、可動レール40が進退移動する。
【0039】
従って、モータ10の第1回転方向RDへの回転に従って、可動レール40に接続されているキャリア部材50及び取付部材60は、ガイドレール70に案内されて延伸方向に進退移動を繰り返す。
【0040】
以上に説明したように本発明の実施の形態1に係る対象物移動装置1は、モータ10の第1回転方向RDへの回転に従ってキャリア部材50が進退移動を繰り返すように構成することで、可動レール40の動きを規制する規制部材を用いることなく、移動対象物の移動方向を転換することができる。
【0041】
従って、対象物移動装置1の構造が簡素化されるとともに、対象物移動装置1全体の寸法を小型化することが可能になり、対象物移動装置1が搭載されるバイクなどの設計の自由度を向上させることができる。
【0042】
また、係る対象物移動装置1は、モータ10の第1回転方向RDへの回転に従って進退移動を繰り返す構成を採用することによって、モータ10の回転方向を変えることなく移動対象物を進退移動させることができる。
【0043】
このため、上記の規制部材がある装置のように、規制部材によって可動レール40の動きが規制されることによりモータ10に流れる拘束電流の値が大きくなることを防止できる。従って、定格が小さい小型のモータ10、駆動回路などを用いることができる。その結果、対象物移動装置1の小型化が可能であるとともに、対象物移動装置1の信頼性が向上する。
【0044】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2に係る対象物移動装置1Aの構成例を示す図である。図3において、図1に示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0045】
(対象物移動装置1A)
対象物移動装置1Aは、モータ10、駆動部20、キャリア部材50、取付部材60A、ガイドレール70、ベース部材80、固定部材90、及びガイド部材100Aを備えている。
【0046】
(ガイド部材100A)
ガイド部材100Aは、回転アーム30の回転運動を直線運動に変換する変換部の一例である。
【0047】
ガイド部材100Aは、回転アーム30、回転軸32、クランクアーム110、回転軸33及び接続部材120を備えている。
【0048】
(回転アーム30)
回転アーム30の一端部は、回転軸22に固定されている。回転アーム30の他端部は、回転軸32を介して、クランクアーム110に回転可能に接続されている。
【0049】
(クランクアーム110)
クランクアーム110は、一端が回転アーム30上の回転軸22から離れた位置に接続され、他端が対象物移動部に接続されるロッド部の一例である。
【0050】
当該対象物移動部は、移動対象物を進退移動させるキャリア部材50、及び取付部材60Aを含む。
【0051】
クランクアーム110の一端は、回転軸32を介して回転アーム30に接続されている。クランクアーム110の他端は、回転軸33を介して接続部材120に接続されている。クランクアーム110のストローク量SLは、接続部材120の上死点から下死点までの移動距離に等しい。
【0052】
(接続部材120)
接続部材120は、クランクアーム110を取付部材60Aに接続する部材である。接続部材120は、取付部材60Aに対してネジ止めにより固定されている。
【0053】
(取付部材60A)
取付部材60Aは、不図示のウインドウスクリーンをキャリア部材50に取り付ける部材である。
【0054】
取付部材60Aは、例えばネジ止めにより、キャリア部材50に固定されている。不図示のウインドウスクリーンは、例えばネジ止めにより、取付部材60Aに固定されている。
【0055】
次に対象物移動装置1Aの動作を説明する。
【0056】
不図示のモータ駆動部の制御によって、モータ10が第1回転方向RDに回転を開始すると、モータ10の回転力が、駆動部20を介して、回転アーム30に伝達される。
【0057】
回転アーム30が回転すると、回転アーム30の回転力は、回転軸32、クランクアーム110、回転軸33、接続部材120の順で伝達される。
【0058】
これにより、回転アーム30の回転運動は、接続部材120に接続されている取付部材60Aと、取付部材60Aに接続されているキャリア部材50とが進退移動する直線運動に変換される。
【0059】
従って、キャリア部材50は、モータ10の第1回転方向RDへの回転に伴って、ガイドレール70に案内されてガイドレール70の延伸方向に進退移動を繰り返す。
【0060】
以上に説明したように本発明の実施の形態2に係る対象物移動装置1Aは、モータ10の第1回転方向RDへの回転に従ってキャリア部材50が進退移動を繰り返すように構成することで、可動レール40の動きを規制する規制部材を用いることなく、移動対象物の移動方向を転換することができる。
【0061】
また、実施の形態2に係る対象物移動装置1Aでは、クランクアーム110を用いてキャリア部材50を駆動することができるため、モータ10の配置場所から離れた位置にガイドレール70などを配置できる。
【0062】
このため、実施の形態1に係る対象物移動装置1と同様の効果に加えて、対象物移動装置1が搭載されるバイクの設計の自由度をより一層向上させることができるという効果を得ることができる。
【0063】
なお、例えば、以下のような態様も本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0064】
(1)対象物移動装置は、モータの回転を伝達する回転軸周りに回転可能な回転部材の回転運動を直線運動に変換する変換部と、前記変換部に接続され、移動対象物を進退移動させる対象物移動部と、前記移動対象物の移動方向に延伸し、前記対象物移動部の移動を案内するガイドレールと、を備え、前記対象物移動部は、前記モータの第1回転方向への回転に従って進退移動を繰り返す。
【0065】
(2)前記変換部は、前記モータの回転により前記回転軸周りに回転するアームと、前記対象物移動部が進退移動する方向と垂直な方向に延伸する溝を有し、前記アームの突起が前記溝に嵌まり込む可動レールと、を備える。
【0066】
(3)前記変換部は、前記モータの回転により前記回転軸周りに回転するアームと、
一端が前記アーム上の前記回転軸から離れた位置に接続され、他端が前記対象物移動部に接続されるロッド部と、を備える。
【0067】
(4)前記移動対象物は、ウインドウスクリーンである。
【0068】
(5)バイクは、上記の対象物移動装置を備える。
【0069】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、本開示に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る対象物移動装置及びバイクは、対象物移動部の動きを規制する部材を用いることなく移動対象物の移動方向を転換することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 対象物移動装置
1A 対象物移動装置
10 モータ
20 駆動部
21 ハウジング
22 回転軸
30 回転アーム
31 突起
32 回転軸
33 回転軸
40 可動レール
41 溝
50 キャリア部材
60 取付部材
60A 取付部材
70 ガイドレール
80 ベース部材
90 固定部材
100 ガイド部材
100A ガイド部材
110 クランクアーム
120 接続部材
RD 第1回転方向
SD1 方向
SD2 方向
SL ストローク量
図1
図2
図3