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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138984
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20220915BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20220915BHJP
   H03K 17/082 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H03K17/08 Z
H03K17/082
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039177
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】柴田 比佐志
(72)【発明者】
【氏名】吉野 智彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 紘生
【テーマコード(参考)】
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H740BA11
5H740BB01
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM12
5J055AX34
5J055AX55
5J055AX66
5J055BX16
5J055DX09
5J055DX52
5J055EY01
5J055EY03
5J055EY10
5J055EY12
5J055EY13
5J055EY17
5J055EZ01
5J055EZ03
5J055EZ07
5J055EZ10
5J055FX05
5J055FX13
5J055FX18
5J055FX20
5J055FX34
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX05
(57)【要約】
【課題】マスク時間の精度を向上することができる駆動回路を提供することを目的とする。
【解決手段】駆動回路は、第1ダイオードと、第1ダイオードがオフ状態の場合にオフ状態になり、第1ダイオードがオン状態の場合にオン状態になる第1トランジスタと第2トランジスタと、第1コンデンサと、スイッチング素子にパルス信号を出力するか否かを制御する制御部と、を備え、スイッチング素子がターンオン状態の場合かつスイッチング素子のコレクタ-エミッタ間電圧が第1の所定電圧値以上の場合に、第1ダイオードがオン状態になり、第1トランジスタと第2トランジスタとがオン状態になり、第1コンデンサに、電流源からの電流のチャージが開始され両端の電圧値が第1の所定電圧値より大きい第2の所定電圧値以上になったマスク時間後に異常検出信号を制御部に出力し、制御部は、異常検出信号に応じて、スイッチング素子へのパルス信号の出力を停止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子をパルス信号によって駆動する駆動回路であって、
第1ダイオードと、
前記第1ダイオードがオフ状態の場合にオフ状態になり、前記第1ダイオードがオン状態の場合にオン状態になる第1トランジスタと第2トランジスタと、
第1コンデンサと、
前記スイッチング素子に前記パルス信号を出力するか否かを制御する制御部と、
を備え、
前記スイッチング素子がターンオン状態の場合かつ前記スイッチング素子のコレクタ-エミッタ間電圧が第1の所定電圧値以上の場合に、前記第1ダイオードがオン状態になり、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとがオン状態になり、前記第1コンデンサに、電流源からの電流のチャージが開始され両端の電圧値が前記第1の所定電圧値より大きい第2の所定電圧値以上になったマスク時間後に異常検出信号を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記異常検出信号に応じて、前記スイッチング素子への前記パルス信号の出力を停止する、駆動回路。
【請求項2】
スイッチング素子をパルス信号によって駆動する駆動回路であって、
第1ダイオードと、
第1トランジスタと、
第2トランジスタと、
第1コンデンサと、
前記スイッチング素子に前記パルス信号を出力するか否かを制御する制御部と、
を備え、
前記スイッチング素子がターンオン状態の場合かつ前記スイッチング素子のコレクタ-エミッタ間電圧が第1の所定電圧値以上の場合に、前記第1ダイオードがオン状態になり、前記第1トランジスタがオフ状態になり前記第2トランジスタがオン状態になり、前記第1コンデンサに、電流源からの電流のチャージが開始され両端の電圧値が前記第1の所定電圧値より大きい第2の所定電圧値以上になったマスク時間後に異常検出信号を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記異常検出信号に応じて、前記スイッチング素子への前記パルス信号の出力を停止する、駆動回路。
【請求項3】
前記スイッチング素子がターンオン状態の場合かつ前記スイッチング素子のコレクタ-エミッタ間電圧が前記第1の所定電圧値未満の場合に、前記第1ダイオードがオフ状態になり、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとがオフ状態になり、前記第1コンデンサの電圧が、電流源からの電流を両端の電圧値が前記第1の所定電圧値と第2の所定電圧値と異なる第3の所定電圧値に達したマスク時間後に前記異常検出信号を前記制御部に出力する、
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記スイッチング素子がターンオン状態の場合かつ前記スイッチング素子のコレクタ-エミッタ間電圧が前記第1の所定電圧値未満の場合に、前記第1ダイオードと前記第2トランジスタはオフ状態になり、前記第1トランジスタがオン状態になり、前記第1コンデンサの電圧が、電流源からの電流を両端の電圧値が前記第1の所定電圧値と前記第2の所定電圧値と異なる第3の所定電圧値に達したマスク時間後に前記異常検出信号を前記制御部に出力する、
請求項2に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記第1トランジスタは、ベースが第2抵抗の一端と第3抵抗の一端に接続され、
前記第3抵抗は、他端が前記第2トランジスタのコレクタに接続され、
前記第2トランジスタは、エミッタが接地され、ベースが第4抵抗の一端と第5抵抗の一端に接続され、
前記第4抵抗は、他端が接地され、
前記第5抵抗は、他端が前記第1ダイオードのアノードに接続され、
前記第1ダイオードは、カソードが第6抵抗の一端と第2ダイオードのアノードに接続され、
前記第6抵抗は、他端が第3ダイオードのカソードと前記第1トランジスタのエミッタと前記第2抵抗の他端とに接続され、
前記第2ダイオードは、カソードが前記スイッチング素子のコレクタに接続され、
前記第3ダイオードは、アノードに前記パルス信号が入力され、
前記第1コンデンサは、一端が電流源と第4ダイオードのアノードに接続され、他端が接地され、
前記第4ダイオードは、カソードが第1抵抗の一端と前記第1トランジスタのコレクタに接続され、
前記第1抵抗は、他端が接地されている、
請求項1または請求項3に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記第1トランジスタは、ベースが第2抵抗の一端と第3抵抗の一端に接続され、エミッタが正電圧に接続され、
前記第2抵抗は、他端が前記正電圧に接続され、
前記第3抵抗は、他端が前記第2トランジスタのコレクタに接続され、
前記第2トランジスタは、エミッタが接地され、ベースが第4抵抗の一端と第5抵抗の一端に接続され、
前記第4抵抗は、他端が接地され、
前記第5抵抗は、他端が前記第1ダイオードのアノードに接続され、
前記第1ダイオードは、カソードが第6抵抗の一端と第2ダイオードのアノードに接続され、
前記第6抵抗は、他端が前記正電圧に接続され、
前記第2ダイオードは、カソードが前記スイッチング素子のコレクタに接続され、
前記第1コンデンサは、一端が電流源と第3ダイオードのアノードに接続され、他端が接地され、
前記第3ダイオードは、カソードが第1抵抗の一端と前記第1トランジスタのコレクタに接続され、
前記第1抵抗は、他端が接地されている、
請求項1または請求項3に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記第1コンデンサは、一端が電流源と第1抵抗に接続され、他端が接地され、
前記第1抵抗は、他端が前記第1トランジスタのコレクタに接続され、
前記第1トランジスタは、エミッタが接地され、ベースが第2抵抗の一端と第3抵抗の一端に接続され、
前記第3抵抗は、他端が接地され、
前記第2トランジスタは、エミッタが接地され、ベースが第4抵抗の一端と第5抵抗の一端に接続され、
前記第4抵抗は、他端が接地され、
前記第5抵抗は、他端が前記第1ダイオードのアノードに接続され、
前記第1ダイオードは、カソードが第6抵抗の一端と第2ダイオードのアノードに接続され、
前記第6抵抗は、他端が第3ダイオードのカソードと第7抵抗の一端に接続され、
前記第7抵抗は、他端が前記第2抵抗の他端と前記第2トランジスタのコレクタに接続され、
前記第2ダイオードは、カソードが前記スイッチング素子のコレクタに接続され、
前記第3ダイオードは、アノードに前記パルス信号が入力されている、
請求項2または請求項4に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記第1コンデンサは、一端が電流源と第1抵抗の一端に接続され、他端が接地され、
前記第1抵抗は、他端が前記第1トランジスタのコレクタに接続され、
前記第1トランジスタは、エミッタが接地され、ベースが第2抵抗の一端と第3抵抗の一端に接続され、
前記第3抵抗は、他端が接地され、
前記第2トランジスタは、エミッタが接地され、ベースが第4抵抗の一端と第5抵抗の一端に接続され、
前記第4抵抗は、他端が接地され、
前記第5抵抗は、他端が前記第1ダイオードのアノードに接続され、
前記第1ダイオードは、カソードが第6抵抗の一端と第2ダイオードのアノードに接続され、
前記第6抵抗は、他端が正電圧に接続され、
第7抵抗は、一端が前記正電圧に接続され、他端が前記第2抵抗の他端と前記第2トランジスタのコレクタに接続され、
前記第2ダイオードは、カソードが前記スイッチング素子のコレクタに接続されている、
請求項2または請求項4に記載の駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧、大電流をスイッチングするIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)は、接続されている負荷の短絡等によって過電流が流れることで破壊した場合に周辺機器に大きな障害を与えるため、極力破壊を避ける必要がある。このため、IGBTを駆動する駆動回路では、このような事態に備えてIGBTを保護する機能が重要となる。負荷の短絡等によって過電流が流れる異常を検出する手法としては、IGBTがON状態におけるVce(コレクタ-エミッタ間電圧)の上昇値を検出する手法がある。この従来手法では、異常検出の後、異常検出信号を送出するまでに一定の期間を設ける場合がある。この一定期間は、異常検出信号の送出を保留待機する時間であり、マスク時間と呼ばれる。マスク時間は、誤検出防止とIGBTの過負荷防止の観点から一定の精度が要求される。
【0003】
図12は、従来技術によるゲートドライバ900がIGBT912を駆動する駆動回路の回路図である。図12のように、ゲートドライバ900は、インバータ916、コンパレータ918、トランジスタQ901、および電流源Idesatを備える。電流源Idesatには、電圧Vddが供給される。また、ゲートドライバ900には、コンデンサCdesat、バッファ回路920、ダイオードDdesat、およびIGBT912が接続されている。なお、コンパレータ918の入力端の一端には基準電圧Vdesatthが入力される。また、ゲートドライバ900のOUT端子914からは、ハイレベル(VGH)とローレベル(VGL)が交互のパルス信号が入力される。
【0004】
ここで、IGBT912が、正常にオン動作とオフ動作を繰り返している場合の動作を説明する。IGBT912がオフ動作の期間、OUT端子914の出力の値がローレベルであり、ゲートドライバ900のトランジスタQ901は、オン動作してコンデンサCdesatの電荷を0に放電する。IGBT912がON動作になると、OUT端子914の値がハイレベルであるので、インバータ916を介してトランジスタQ901のベースにローレベルの信号が入力される。この結果、トランジスタQ901はオフ動作となるが、IGBT912のVce電圧が飽和電圧となるので、電流源Idesatの電流は、ダイオードDdesatを経由してIGBT912のコレクタ端子へ流れる。
【0005】
この結果、コンデンサCdesatは、電流源IdesatによるダイオードDdesatの順方向電圧とIGBT912のコレクタ-エミッタ間の飽和電圧とを和した電圧まで充電される。すなわち、コンデンサCdesatの端子間電圧は、当該飽和電圧+ダイオードDdesatの順方向電圧となる。ゲートドライバ900のDESAT端子の電圧は、基準電圧Vdesatthより低い電圧を維持するので、コンパレータ918は、その出力信号の値を反転しないため異常検出信号を出力しない。
【0006】
IGBT912に接続されている負荷に異常が発生して、IGBT912に過電流が流れ、Vce電圧が上昇してプラス側電源Vccレベルに達した場合は、ダイオードDdesatはカットオフ状態となる。そして、コンデンサCdesatには電流源Idesatの電流が流入し、コンデンサCdesatの端子間電圧が上昇して基準電圧Vdesatに達する。この結果、コンパレータ918は、出力の値を反転して異常検出信号を出力する。なお、コンパレータ918の出力信号は、コンデンサCdesatの端子間電圧が基準電圧Vdesatthにより高い場合にハイレベルとなり、これが異常検出信号を表す。また、IGBT912に接続されている負荷に異常が発生してからゲートドライバ900が異常検出信号を出力するまでのマスク時間Twが設定されている。なお、ゲートドライバ900は、この異常検出信号を外部装置(不図示)に出力する。外部装置は、入力された異常検出信号に基づいて、IGBT912のゲートの信号をローレベルになるように切り替える。マスク時間Twは、IGBT912に接続されている負荷の短絡時のインダクタンスが小さい約200(nH)の場合が約6.9(μs)であり、負荷の短絡時のインダクタンスが大きい約8(nH)の場合が約1.0(μs)である。なお、負荷短絡の場合は、ダイオードDdesatがオープン状態であり、DESAT端子からの信号がコンデンサCdesatに流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-140891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような従来の駆動回路では、短絡時の負荷条件によって誤検出防止目的のマスク時間が変化するという課題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、マスク時間の精度を向上することができる駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る駆動回路は、スイッチング素子(41)をパルス信号によって駆動する駆動回路であって、第1ダイオード(D22)と、前記第1ダイオードがオフ状態の場合にオフ状態になり、前記第1ダイオードがオン状態の場合にオン状態になる第1トランジスタ(Q21)と第2トランジスタ(Q22)と、第1コンデンサ(Cdesat)と、前記スイッチング素子に前記パルス信号を出力するか否かを制御する制御部(30)と、を備え、前記スイッチング素子がターンオン状態の場合かつ前記スイッチング素子のコレクタ-エミッタ間電圧が第1の所定電圧値以上の場合に、前記第1ダイオードがオン状態になり、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとがオン状態になり、前記第1コンデンサに、電流源からの電流のチャージが開始され両端の電圧値が前記第1の所定電圧値より大きい第2の所定電圧値以上になったマスク時間後に異常検出信号を前記制御部に出力し、前記制御部は、前記異常検出信号に応じて、前記スイッチング素子への前記パルス信号の出力を停止する。
【0011】
(2)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る駆動回路は、スイッチング素子(41)をパルス信号によって駆動する駆動回路であって、第1ダイオード(D22)と、第1トランジスタ(Q23)と、第2トランジスタ(Q22C)と、第1コンデンサ(Cdesat)と、前記スイッチング素子に前記パルス信号を出力するか否かを制御する制御部(30)と、を備え、前記スイッチング素子がターンオン状態の場合かつ前記スイッチング素子のコレクタ-エミッタ間電圧が第1の所定電圧値以上の場合に、前記第1ダイオードがオン状態になり、前記第1トランジスタがオフ状態になり前記第2トランジスタがオン状態になり、前記第1コンデンサに、電流源からの電流のチャージが開始され両端の電圧値が前記第1の所定電圧値より大きい第2の所定電圧値以上になったマスク時間後に異常検出信号を前記制御部に出力し、前記制御部は、前記異常検出信号に応じて、前記スイッチング素子への前記パルス信号の出力を停止する。
【0012】
(3)また、本発明の一態様に係る駆動回路において、前記スイッチング素子がターンオン状態の場合かつ前記スイッチング素子のコレクタ-エミッタ間電圧が前記第1の所定電圧値未満の場合に、前記第1ダイオードがオフ状態になり、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとがオフ状態になり、前記第1コンデンサの電圧が、電流源からの電流を両端の電圧値が前記第1の所定電圧値と第2の所定電圧値と異なる第3の所定電圧値に達したマスク時間後に前記異常検出信号を前記制御部に出力するようにしてもよい。
【0013】
(4)また、本発明の一態様に係る駆動回路において、前記スイッチング素子がターンオン状態の場合かつ前記スイッチング素子のコレクタ-エミッタ間電圧が前記第1の所定電圧値未満の場合に、前記第1ダイオードと前記第2トランジスタはオフ状態になり、前記第1トランジスタがオン状態になり、前記第1コンデンサの電圧が、電流源からの電流を両端の電圧値が前記第1の所定電圧値と前記第2の所定電圧値と異なる第3の所定電圧値に達したマスク時間後に前記異常検出信号を前記制御部に出力するようにしてもよい。
【0014】
(5)また、本発明の一態様に係る駆動回路において、前記第1トランジスタ(Q21)は、ベースが第2抵抗(R202)の一端と第3抵抗(R203)の一端に接続され、前記第3抵抗は、他端が前記第2トランジスタ(Q22)のコレクタに接続され、前記第2トランジスタは、エミッタが接地され、ベースが第4抵抗(R204)の一端と第5抵抗(R205)の一端に接続され、前記第4抵抗は、他端が接地され、前記第5抵抗は、他端が前記第1ダイオード(D22)のアノードに接続され、前記第1ダイオードは、カソードが第6抵抗(R206)の一端と第2ダイオード(Ddesat)のアノードに接続され、前記第6抵抗は、他端が第3ダイオード(D23)のカソードと前記第1トランジスタのエミッタと前記第2抵抗の他端とに接続され、前記第2ダイオードは、カソードが前記スイッチング素子のコレクタに接続され、前記第3ダイオードは、アノードに前記パルス信号が入力され、前記第1コンデンサ(Cdesat)は、一端が電流源(Idesat)と第4ダイオード(D21)のアノードに接続され、他端が接地され、前記第4ダイオードは、カソードが第1抵抗(R201)の一端と前記第1トランジスタのコレクタに接続され、前記第1抵抗は、他端が接地されているようにしてもよい。
【0015】
(6)また、本発明の一態様に係る駆動回路において、前記第1トランジスタ(Q21)は、ベースが第2抵抗(R202)の一端と第3抵抗(R203)の一端に接続され、エミッタが正電圧(Vcc1)に接続され、前記第2抵抗は、他端が前記正電圧に接続され、前記第3抵抗は、他端が前記第2トランジスタ(Q22)のコレクタに接続され、前記第2トランジスタは、エミッタが接地され、ベースが第4抵抗(R204)の一端と第5抵抗(R205)の一端に接続され、前記第4抵抗は、他端が接地され、前記第5抵抗は、他端が前記第1ダイオード(D22)のアノードに接続され、前記第1ダイオードは、カソードが第6抵抗(R206)の一端と第2ダイオード(Ddesat)のアノードに接続され、前記第6抵抗は、他端が前記正電圧に接続され、前記第2ダイオードは、カソードが前記スイッチング素子(41)のコレクタに接続され、前記第1コンデンサ(Cdesat)は、一端が電流源(Idesat)と第3ダイオード(D21)のアノードに接続され、他端が接地され、前記第3ダイオードは、カソードが第1抵抗(R201)の一端と前記第1トランジスタのコレクタに接続され、前記第1抵抗は、他端が接地されているようにしてもよい。
【0016】
(7)また、本発明の一態様に係る駆動回路において、前記第1コンデンサ(Cdesat)は、一端が電流源(Idesat)と第1抵抗(R211)に接続され、他端が接地され、前記第1抵抗は、他端が前記第1トランジスタ(Q23)のコレクタに接続され、前記第1トランジスタは、エミッタが接地され、ベースが第2抵抗(R212)の一端と第3抵抗(R213)の一端に接続され、前記第3抵抗は、他端が接地され、前記第2トランジスタ(Q22C)は、エミッタが接地され、ベースが第4抵抗(R204)の一端と第5抵抗(R205)の一端に接続され、前記第4抵抗は、他端が接地され、前記第5抵抗は、他端が前記第1ダイオード(D22)のアノードに接続され、前記第1ダイオードは、カソードが第6抵抗(R206)の一端と第2ダイオード(Ddesat)のアノードに接続され、前記第6抵抗は、他端が第3ダイオード(D23)のカソードと第7抵抗(R217)の一端に接続され、前記第7抵抗は、他端が前記第2抵抗の他端と前記第2トランジスタのコレクタに接続され、前記第2ダイオードは、カソードが前記スイッチング素子のコレクタに接続され、前記第3ダイオードは、アノードに前記パルス信号が入力されているようにしてもよい。
【0017】
(8)また、本発明の一態様に係る駆動回路において、前記第1コンデンサ(Cdesat)は、一端が電流源(Idesat)と第1抵抗(R211)の一端に接続され、他端が接地され、前記第1抵抗は、他端が前記第1トランジスタ(Q23)のコレクタに接続され、前記第1トランジスタは、エミッタが接地され、ベースが第2抵抗(R212)の一端と第3抵抗(R213)の一端に接続され、前記第3抵抗は、他端が接地され、
前記第2トランジスタ(Q22C)は、エミッタが接地され、ベースが第4抵抗(R204)の一端と第5抵抗(R205)の一端に接続され、前記第4抵抗は、他端が接地され、前記第5抵抗は、他端が前記第1ダイオード(Ddesat)のアノードに接続され、前記第1ダイオードは、カソードが第6抵抗(R206D)の一端と第2ダイオード(Ddesat)のアノードに接続され、前記第6抵抗は、他端が正電圧(Vcc1)に接続され、第7抵抗(R217D)は、一端が前記正電圧に接続され、他端が前記第2抵抗の他端と前記第2トランジスタのコレクタに接続され、前記第2ダイオードは、カソードが前記スイッチング素子(41)のコレクタに接続されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、マスク時間の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る駆動回路の回路図である。
図2】実施形態に係る駆動回路の動作例を示す図である。
図3】第1の実施例に係る駆動回路の回路図である。
図4】第2の実施例に係る駆動回路の回路図である。
図5】第1の実施例と第2の実施例における短絡時の負荷のインダクタンスの値が小さい場合のシミュレーション波形を示す図である。
図6】第1の実施例と第2の実施例における短絡時の負荷のインダクタンスの値が大きい場合のシミュレーション波形を示す図である。
図7】第3の実施例に係る駆動回路の回路図である。
図8】第4の実施例に係る駆動回路の回路図である。
図9】第1の実施例~第4の実施例の各素子の動作状態を示す図である。
図10】第3の実施例と第4の実施例における短絡時の負荷のインダクタンスの値が小さい場合のシミュレーション波形を示す図である。
図11】第3の実施例と第4の実施例における短絡時の負荷のインダクタンスの値が大きい場合のシミュレーション波形を示す図である。
図12】従来技術によるゲートドライバがIGBTを駆動する駆動回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る駆動回路の回路図である。図1のように、駆動回路1は、ドライバ10、DESAT(Definition of the short-circuit time)回路20、および制御部30を備える。
【0021】
ドライバ10は、トランジスタQ11、コンパレータ12、インバータ13、出力端子14、電流源Idesat、DESAT端子、OUT端子、およびGND端子を備える。
【0022】
DESAT回路20は、コンデンサCdesat(第1コンデンサ)、ダイオードD21(第4ダイオード)、トランジスタQ21(第1トランジスタ)、抵抗R201(第1抵抗)、抵抗R202(第2抵抗)、抵抗R203(第3抵抗)、トランジスタQ22(第2トランジスタ)、コンデンサC21、抵抗R204(第4抵抗)、抵抗R205(第5抵抗)、ダイオードD22(第1ダイオード)、ダイオードD23(第3ダイオード)、抵抗R206(第6抵抗)、バッファ31、ダイオードD32、およびダイオードDdesat(第2ダイオード)を備える。回路ブロック21は、ダイオードD21、トランジスタQ21、抵抗R201、抵抗R202、抵抗R203、トランジスタQ22、コンデンサC21、抵抗R204、抵抗R205、ダイオードD22、抵抗R206を備える。なお、回路ブロック21については後述する。
【0023】
なお、図1に示した回路における構成は一例であり、駆動回路1は他の部品(例えばノイズ除去用コンデンサ等)を備えていてもよい。
【0024】
駆動回路1は、スイッチング素子41を駆動する。スイッチング素子41は、例えばIGBTである。なお、スイッチング素子41は、他の電力半導体(例えばMOSFET)等であってもよい。
【0025】
ドライバ10は、スイッチング素子41を駆動する、例えばドライブIC(集積回路)である。また、ドライバ10は、スイッチング素子41に接続されている負荷に異常が発生した場合、後述するマスク時間後に異常検出信号を制御部30に出力する。そして、ドライバ10は、制御部30の制御に応じて、スイッチング素子41のゲートレベルをローレベルに切り替える。
【0026】
DESAT回路20は、負荷の短絡などで過電流が流れた際、スイッチング素子41の例えばコレクタ-エミッタ間の電圧の上昇に基づいてゲートを遮断する保護回路である。
【0027】
制御部30は、スイッチング素子41にパルス信号を出力するか否かを制御する。制御部30は、ドライバ10から異常検出信号を取得した場合、ドライバ10に対してスイッチング素子41のゲートレベルをローレベルに切り替えるように制御する。なお、制御部30は、ドライバ10が備えていてもよい。
【0028】
次に、駆動回路1の接続関係を説明する。まず、ドライバ10の接続関係を説明する。
コンパレータ12は、第1の入力端子に基準電圧Vdesatth(第2の所定電圧値)が接続され、第2の入力端子に電流源IdesatとDESAT端子とトランジスタQ11のコレクタに接続されている。なお、電流源Idesatには、電圧Vddが供給される。トランジスタQ11は、エミッタがGND端子に接続され、ベースがインバータ13の出力端子に接続されている。インバータ13は、入力端子が出力端子14とOUT端子に接続されている。出力端子14からは、ハイレベル(VGH)とローレベル(VGL)が交互のパルス信号が入力される。トランジスタQ11は、NPN型トランジスタである。
【0029】
なお、電流源Idesatから出力される電流値は、例えば数百(μA)であり、基準電圧Vdesatthの電圧値は、例えば数(V)である。また、ドライバ10のOUT端子から出力される電圧値は、例えば、VGLが0(V)であり、VGHが十数(V)である。
【0030】
次に、DESAT回路20の接続関係を説明する。
コンデンサCdesatは、一端がドライバ10のDESAT端子(電流源)とダイオードD21のアノードに接続され、他端が接地されている。ダイオードD21は、カソードが抵抗R201の一端とトランジスタQ21のコレクタに接続されている。抵抗R201は、他端が接地されている。ダイオードD23は、アノードがドライバ10のOUT端子とバッファ31の入力端子に接続されている。トランジスタQ21は、エミッタが抵抗R202の一端とダイオードD23のカソードと抵抗R206の一端に接続され、ベースが抵抗R202の他端と抵抗R203の一端に接続されている。抵抗R203は、他端がトランジスタQ22のコレクタに接続されている。
【0031】
トランジスタQ22は、エミッタが接地され、ベースがコンデンサC21の一端と抵抗R204の一端と抵抗R205の一端に接続されている。コンデンサC21の他端と抵抗R204の他端は、接地されている。抵抗R205は、他端がダイオードD22のアノードに接続されている。ダイオードD22は、カソードがダイオードD32のカソードとダイオードDdesatのアノードと抵抗R206の他端に接続されている。ダイオードD32は、アノードが接地されている。ダイオードDdesatは、カソードがスイッチング素子41のコレクタに接続されている。
【0032】
ダイオードD22は、例えばツェナーダイオードである。トランジスタQ21は、PNP型トランジスタである。トランジスタQ22は、NPN型トランジスタである。ダイオードDdesatは、例えば、複数のダイオードから構成されるダイオードアレイであってもよく、または、複数のダイオードが直列に接続されていてもよい。
【0033】
なお、ダイオードDdesatの順方向電圧VFの電圧値は、例えば約1.5(V)であり、ダイオードD22のツェナー電圧の電圧値は、例えば十数(V)である。
【0034】
スイッチング素子41は、ゲートがバッファ31の出力端子に接続され、コレクタに電源Vccが供給され、エミッタが接地されている。なお、電源Vccの電圧値は、例えば数百(V)である。
【0035】
なお、従来のDESAT回路は、図12のように、DESAT端子がコンデンサCdesatの一端と、ダイオードDdesatのアノードに直接接続されている。
【0036】
次に、駆動回路1の動作について説明する。
図2は、本実施形態に係る駆動回路の動作例を示す図である。
【0037】
ダイオードD22は、両端の電圧に基づいてスイッチング素子として動作する。抵抗R202と抵抗R203は、トランジスタQ21のベースに印加される電圧の分圧回路として動作する。抵抗R204と抵抗R205は、トランジスタQ22のベースに印加される電圧の分圧回路として動作する。抵抗R201には、ドライバ10の基準電圧Vdesatthを超えないレベルで電圧を抑える役割がある。抵抗R206には、電流が流れすぎないように制御する役割がある。トランジスタQ21とQ22は、コンデンサCdesatへの充放電を制御する。コンデンサC21は、ノイズ除去用である。
【0038】
スイッチング素子41がターンオフ(オフ制御)の期間、すなわちドライバ10のOUT端子からの出力がローレベル(VGL)の期間は、バッファ31の出力がローレベルのためスイッチング素子41がオフ状態であり、スイッチング素子41のコレクタ電圧が高電圧となる。このため、この期間、DESAT回路20は、ダイオードD22がオフ状態であり、トランジスタQ21とQ22がオフ状態である。そして、ドライバ10は、電流源IdesatからトランジスタQ11に電流が流れ、DESAT端子からDESAT回路20に出力しない。これにより、コンデンサCdesatの両端の電圧値は、約0(V)である(線g11)。なお、スイッチング素子41がターンオフ(オフ制御)の期間、ドライバ10のトランジスタQ11はオン状態である。
【0039】
このように、本実施形態では、スイッチング素子41がターンオンかつVceが第1の所定電圧値未満であり正常である場合、ダイオードD22がオフ状態になり、トランジスタQ21がオフ状態になることで、DESAT端子を0(V)にしている。なお、スイッチング素子41がターンオンかつVceが第1の所定電圧値未満であり正常である場合、ドライバ10のトランジスタQ11はオフ状態である。この結果、本実施形態によれば、コンデンサCdesatの初期電圧を0(V)に固定する。これにより、本実施形態によれば、時定数を決定するコンデンサCdesatの初期電荷をコントロールして、マスク時間の変動を低減することができる。
【0040】
スイッチング素子41がターンオン(オン制御)の期間、すなわちドライバ10のOUT端子からの出力がハイレベル(VGH)の期間は、バッファ31の出力がハイレベルのためスイッチング素子41がオン状態である。また、この期間、トランジスタQ21のエミッタと抵抗R202に電圧が印加され、ダイオードD23を介して抵抗R206に電圧が印加される。この期間、スイッチング素子41のVceが第1の所定電圧値未満であり正常である場合、DESAT回路20は、ダイオードD22がオフ状態であり、トランジスタQ21とQ22がオフ状態である。これにより、ドライバ10は、電流源Idesatから供給される電流をDESAT端子に出力する。そして、ドライバ10のDESAT端子から出力される信号が、DESAT回路20のコンデンサCdesatに、次式(1)の第3の所定電圧値までチャージされる(線g12)。
【0041】
【数1】
【0042】
なお、式(1)において、D21_VFはダイオードD21の順方向電圧VF、Idesatは電流源Idesatの電流値、R201は抵抗R201の抵抗値である。
スイッチング素子41がターンオンの期間、かつスイッチング素子41のVceが第1の所定電圧値以上に異常上昇した場合、DESAT回路20は、ダイオードDdesatのアノード側の電圧が上昇するため、ダイオードD22がオン状態になり、トランジスタQ21とQ22がオン状態になる。トランジスタQ21がオン状態になることで、ダイオードD21がオフ状態になる。そして、コンデンサCdesatは、ドライバ10のDESAT端子から出力される電流のチャージを開始し、基準電圧Vdesatth(第2の所定電圧値)以上になるとチャージ動作が停止する(線g13)。なお、スイッチング素子41がターンオンかつVceが第1の所定電圧値以上に異常上昇した場合、ドライバ10のトランジスタQ11はオフ状態である。そして、ドライバ10は、コンデンサCdesatが第3の所定電圧値に達したマスク時間Tw後、制御部30に異常検出信号を出力し、制御部30の制御に応じてスイッチング素子41のゲートレベルをローレベルに切り替える。なお、マスク時間Twは、次式(2)で決定される。また、第2の所定電圧値は、第3の所定電圧値より大きい。また、第1の所定電圧値は、スイッチング素子41の特性に基づく電圧値である。
【0043】
【数2】
【0044】
なお、式(2)において、Vdesatthは基準電圧値、D21_VFはダイオードD21順方向電圧VF、Idesatは電流源Idesatの電流値、R201は抵抗R201の抵抗値である。
式(2)のように、本実施形態によれば、一定のマスク時間Twを実現できる。また、本実施形態では、マスク時間をダイオードD21の順方向電圧VFと抵抗R201の抵抗値によって任意に選定できる。このため、ノイズ等に対する誤検出マージンをより大きくとることも可能である。これにより、本実施形態によれば、スイッチング素子41に接続されている負荷に異常が発生してからドライバ10が異常検出信号を出力するまでのマスク時間Twを一定にできる。
【0045】
ここで、ダイオードD21の役割を説明する。
図1において、トランジスタQ21がオン状態になったとき、ダイオードD21のカソード側の電圧が高くなる場合がある。この場合、ダイオードD21のカソード側の電圧が、ドライバ10のDESAT端子の耐圧を超える場合があり得る。このようにダイオードD21は、ドライバ10のDESAT端子の保護用である。なお、ドライバ10のDESAT端子の耐圧が高い場合、DESAT回路20は、ダイオードD21を備えていなくてもよい。
【0046】
以上の構成によって、本実施形態では、簡素な回路構成によって、マスク時間の精度を向上することができる。なお、シミュレーション結果については、後述する。
【0047】
<第1の実施例>
次に、第1の実施例を説明する。図3は、第1の実施例に係る駆動回路の回路図である。図3のように、駆動回路1Aは、ドライバ10、およびDESAT回路20Aを備える。
DESAT回路20Aは、コンデンサCdesat(第1コンデンサ)、ダイオードD21(第4ダイオード)、トランジスタQ21(第1トランジスタ)、抵抗R201(第1抵抗)、抵抗R202(第2抵抗)、抵抗R203(第3抵抗)、トランジスタQ22(第2トランジスタ)、抵抗R204(第4抵抗)、抵抗R205(第5抵抗)、ダイオードD22(第1ダイオード)、ダイオードD23(第3ダイオード)、抵抗R206(第6抵抗)、バッファ31、およびダイオードDdesat(第2ダイオード)を備える。
【0048】
図9は、第1の実施例~第4の実施例の各素子の動作状態を示す図である。図3の駆動回路1Aの動作は、図9の表g501のように図1の駆動回路1と同様である。
図1図3のように、DESAT回路20Aは、DESAT回路20が備えているコンデンサC21を備えていない。このようにDESAT回路20は、コンデンサC21を備えていなくてもよい。また、図3では、ダイオードDdesatを1つのダイオードで表しているが、ダイオードDdesatは、複数のダイオードで構成されていてもよい。
【0049】
<第2の実施例>
次に、第2の実施例を説明する。図4は、第2の実施例に係る駆動回路の回路図である。図4のように、駆動回路1Bは、ドライバ10、およびDESAT回路20Bを備える。
DESAT回路20Bは、コンデンサCdesat(第1コンデンサ)、ダイオードD21(第3ダイオード)、トランジスタQ21B(第1トランジスタ)、抵抗R201(第1抵抗)、抵抗R202B(第2抵抗)、抵抗R203(第3抵抗)、トランジスタQ22(第2トランジスタ)、抵抗R204(第4抵抗)、抵抗R205(第5抵抗)、ダイオードD22(第1ダイオード)、抵抗R206B(第6抵抗)、バッファ31、およびダイオードDdesat(第2ダイオード)を備える。
【0050】
図4のように、DESAT回路20Bは、図3に対してダイオードD23を備えておらず、トランジスタQ21Bのエミッタと抵抗R202B、R206Bに正電圧Vcc1が接続されている。なお、正電圧Vcc1の電圧値は、例えば十数(V)である。
【0051】
第1の実施例のDESAT回路20AはトランジスタQ21のエミッタと、抵抗R202と抵抗R206にパルス信号がハイレベルの期間に電圧が印加されたが、第2の実施例のDESAT回路20BではトランジスタQ21のエミッタと抵抗R202Bと抵抗R206Bにパルス信号のレベルにかかわらず電圧が供給される。
【0052】
図9の表g502のように、第2の実施例のDESAT回路20Bは、スイッチング素子41がターンオフの場合、ダイオードD22がオン状態であり、トランジスタQ21BとQ22がオン状態であり、ドライバ10のトランジスタQ11がオン状態である。
図9の表g502のように、第2の実施例のDESAT回路20Bは、スイッチング素子41がターンオンかつVceが第1の所定電圧値未満であり正常である場合、ダイオードD22がオフ状態であり、トランジスタQ21BとQ22がオフ状態であり、ドライバ10のトランジスタQ11がオフ状態である。そして、ドライバ10のDESAT端子から出力される信号が、DESAT回路20BのコンデンサCdesatに、式(1)の第3の所定電圧値までチャージされる。
図9の表g502のように、スイッチング素子41がターンオンかつVceが第1の所定電圧値以上に異常上昇した場合、DESAT回路20Bは、ダイオードD22がオン状態になり、トランジスタQ21BとQ22がオン状態になり、ドライバ10のトランジスタQ11がオフ状態である。そして、コンデンサCdesatは、ドライバ10のDESAT端子から出力される電流のチャージを開始し、基準電圧Vdesatth(第2の所定電圧値)以上になるとチャージ動作が停止する。そして、ドライバ10は、コンデンサCdesatが第3の所定電圧値に達したマスク時間Tw後、制御部30に異常検出信号を出力し、制御部30の制御に応じてスイッチング素子41のゲートレベルをローレベルに切り替える。なお、マスク時間Twは、式(2)で決定される。
【0053】
次に、第1の実施例と第2の実施例の構成について、波形のシミュレーション結果例を説明する。
図5は、第1の実施例と第2の実施例における短絡時の負荷のインダクタンスの値が小さい場合のシミュレーション波形を示す図である。図5において、横軸は時刻(μs)であり、縦軸は電圧値(V)と電流値(A)である。波形g101は、スイッチング素子41のコレクタに流れる電流Icの波形である。波形g102は、スイッチング素子41のゲート電圧Vgeの波形である。波形g103は、DESAT端子のVDESAT電圧の波形である。波形g104は、スイッチング素子41のコレクタ-エミッタ間電圧Vceの波形である。なお、Desaturation状態とは、スイッチング素子41が不飽和の状態である。
【0054】
図5のように、短絡時の負荷のインダクタンスの値が小さい場合のマスク時間Tw1は、約4.6(μs)である。
【0055】
図6は、第1の実施例と第2の実施例における短絡時の負荷のインダクタンスの値が大きい場合のシミュレーション波形を示す図である。図6において、横軸は時刻であり、縦軸は電圧値(V)と電流値(A)である。波形g201は、電流Icの波形である。波形g202は、ゲート電圧Vgeの波形である。波形g203は、VDESAT電圧の波形である。波形g204は、電圧Vceの波形である。
【0056】
図6のように、短絡時の負荷のインダクタンスの値が大きい場合のマスク時間Tw2は、約4.5(μs)である。
図5図6のように、第1の実施例、第2の実施例の構成によれば、負荷のインダクタンスの値が変化しても、マスク時間は同等である。
【0057】
<第3の実施例>
次に、第3の実施例を説明する。図7は、第3の実施例に係る駆動回路の回路図である。図7のように、駆動回路1Cは、ドライバ10、およびDESAT回路20Cを備える。
DESAT回路20Cは、コンデンサCdesat(第1コンデンサ)、抵抗R211(第1抵抗)、トランジスタQ23(第1トランジスタ)、抵抗R212(第2抵抗)、抵抗R213(第3抵抗)、トランジスタQ22C(第2トランジスタ)、抵抗R217(第7抵抗)、抵抗R204(第4抵抗)、抵抗R205(第5抵抗)、ダイオードD22(第1ダイオード)、ダイオードD23(第3ダイオード)、抵抗R206(第6抵抗)、バッファ31、およびダイオードDdesat(第2ダイオード)を備える。
【0058】
図7のように、DESAT回路20Cは、コンデンサCdesatは、一端が抵抗R211の一端に接続され、他端が接地されている。トランジスタQ23は、例えばNPN型であり、コレクタが抵抗R211の他端に接続され、エミッタが接地され、ベースが抵抗R212の一端と抵抗R213の一端に接続されている。抵抗R212は、他端が抵抗R217の一端とトランジスタQ22Cのコレクタに接続されている。抵抗R213は、他端が接地されている。トランジスタQ22Cは、エミッタが接地され、ベースが抵抗R204の一端と抵抗R205の一端に接続されている。抵抗R204は、他端が接地されている。抵抗R217は、他端がダイオードD23のカソードと抵抗R206の他端に接続されている。抵抗R205は、他端がダイオードD22のアノードに接続されている。ダイオードD22は、カソードが抵抗R206の一端とダイオードDdesatのアノードに接続されている。ダイオードD23は、アノードがドライバ10のOUT端子とバッファ31の入力に接続されている。ダイオードDdesatは、カソードがスイッチング素子41のコレクタに接続されている。バッファ31は、出力端子がスイッチング素子41のゲートに接続されている。
【0059】
図9の表g503のように、第3の実施例のDESAT回路20Cは、スイッチング素子41がターンオフの場合、ダイオードD22がオフ状態であり、トランジスタQ23とQ22Cがオフ状態であり、ドライバ10のトランジスタQ11がオン状態である。
図9の表g503のように、第3の実施例のDESAT回路20Cは、スイッチング素子41がターンオンかつVceが第1の所定電圧値未満であり正常である場合、ダイオードD22とトランジスタQ22Cはオフ状態になり、トランジスタQ23がオン状態になり、ドライバ10のトランジスタQ11がオフ状態になる。第3の実施例では、このようにスイッチング素子41がターンオンかつVceが第1の所定電圧値未満であり正常である場合、ダイオードD22がオフ状態になり、トランジスタQ23がオン状態になることで、DESAT端子を0(V)にしている。そして、ドライバ10のDESAT端子から出力される信号が、DESAT回路20CのコンデンサCdesatに、式(1)の第3の所定電圧値までチャージされる。
図9の表g503のように、スイッチング素子41がターンオンかつVceが第1の所定電圧値以上に異常上昇した場合、DESAT回路20Cは、ダイオードD22とトランジスタQ22Cはオン状態になり、トランジスタQ23がオフ状態になり、ドライバ10のトランジスタQ11がオフ状態になる。そして、コンデンサCdesatは、ドライバ10のDESAT端子から出力される電流のチャージを開始し、基準電圧Vdesatth(第2の所定電圧値)以上になるとチャージ動作が停止する。そして、ドライバ10は、コンデンサCdesatが第3の所定電圧値に達したマスク時間Tw後、制御部30に異常検出信号を出力し、制御部30の制御に応じてスイッチング素子41のゲートレベルをローレベルに切り替える。なお、マスク時間Twは、次式(3)で決定される。
【0060】
【数3】
【0061】
なお、式(3)において、Vdesatthは基準電圧値、Idesatは電流源Idesatの電流値、R211は抵抗R211の抵抗値である。
式(3)のように、第3の実施例のマスク時間Twは、ダイオードD21の項を含んでいたいため、第1の実施例と第2の実施例のマスク時間Twより、より精度良く設定することができる。
【0062】
<第4の実施例>
次に、第4の実施例を説明する。図8は、第4の実施例に係る駆動回路の回路図である。図8のように、駆動回路1Dは、ドライバ10、およびDESAT回路20Dを備える。
DESAT回路20Dは、コンデンサCdesat(第1コンデンサ)、抵抗R211(第1抵抗)、トランジスタQ23(第1トランジスタ)、抵抗R212(第2抵抗)、抵抗R213(第3抵抗)、トランジスタQ22C(第2トランジスタ)、抵抗R217D(第7抵抗)、抵抗R204(第4抵抗)、抵抗R205(第5抵抗)、ダイオードD22(第1ダイオード)、抵抗R206D(第6抵抗)、バッファ31、およびダイオードDdesat(第2ダイオード)を備える。
【0063】
図8のように、DESAT回路20Dは、図7に対してダイオードD23を備えておらず、抵抗R217D、R206Dに正電圧Vcc1が接続されている。
【0064】
第3の実施例のDESAT回路20Cでは抵抗R217と抵抗R206にパルス信号がハイレベルの期間に電圧が印加されたが、第4の実施例のDESAT回路20Dでは抵抗R217Dと抵抗R206Dに、パルス信号のレベルにかかわらず電圧が供給される。
図9の表g504のように、第4の実施例のDESAT回路20Dは、スイッチング素子41がターンオフの場合、ダイオードD22がオン状態であり、トランジスタQ23がオフ状態であり、トランジスタQ22Cがオン状態であり、ドライバ10のトランジスタQ11がオン状態である。
図9の表g504のように、第4の実施例のDESAT回路20Dは、スイッチング素子41がターンオンかつVceが第1の所定電圧値未満であり正常である場合、ダイオードD22とトランジスタQ22Cはオフ状態になり、トランジスタQ23がオン状態になり、ドライバ10のトランジスタQ11がオフ状態になる。第4の実施例では、このようにスイッチング素子41がターンオンかつVceが第1の所定電圧値未満であり正常である場合、ダイオードD22がオフ状態になり、トランジスタQ23がオン状態になることで、DESAT端子を0(V)にしている。そして、ドライバ10のDESAT端子から出力される信号が、DESAT回路20DのコンデンサCdesatに、式(1)の第3の所定電圧値までチャージされる。
図9の表g504のように、スイッチング素子41がターンオンかつVceが第1の所定電圧値以上に異常上昇した場合、DESAT回路20Dは、ダイオードD22とトランジスタQ22Cはオン状態になり、トランジスタQ23がオフ状態になり、ドライバ10のトランジスタQ11がオフ状態になる。そして、コンデンサCdesatは、ドライバ10のDESAT端子から出力される電流のチャージを開始し、基準電圧Vdesatth(第2の所定電圧値)以上になるとチャージ動作が停止する。そして、ドライバ10は、コンデンサCdesatが第3の所定電圧値に達したマスク時間Tw後、制御部30に異常検出信号を出力し、制御部30の制御に応じてスイッチング素子41のゲートレベルをローレベルに切り替える。なお、マスク時間Twは式(3)で決定される。第4の実施例のマスク時間Twは、ダイオードD21の項を含んでいないため、第1の実施例と第2の実施例のマスク時間Twより、より精度良く設定することができる。
【0065】
第3の実施例と第4の実施例の場合は、第1の実施例と第2の実施例が備えていたダイオードD21を備えていない。ダイオードD21が不要な理由は、第3の実施例と第4の実施例の場合は、トランジスタQ23がオン状態になったときでも、ドライバ10のDESAT端子に外部からの電圧が加わらないからである。
【0066】
次に、第3の実施例と第4の実施例の構成について、波形のシミュレーション結果例を説明する。
図10は、第3の実施例と第4の実施例における短絡時の負荷のインダクタンスの値が小さい場合のシミュレーション波形を示す図である。図10において、横軸は時刻(μs)であり、縦軸は電圧値(V)と電流値(A)である。波形g301は、電流Icの波形である。波形g302は、ゲート電圧Vgeの波形である。波形g303は、VDESAT電圧の波形である。波形g304は、電圧Vceの波形である。
【0067】
図10のように、短絡時の負荷のインダクタンスの値が小さい場合のマスク時間Tw3は、約4.7(μs)である。
【0068】
図11は、第3の実施例と第4の実施例における短絡時の負荷のインダクタンスの値が大きい場合のシミュレーション波形を示す図である。図11において、横軸は時刻(μs)であり、縦軸は電圧値(V)と電流値(A)である。波形g401は、電流Icの波形である。波形g402は、ゲート電圧Vgeの波形である。波形g403は、VDESAT電圧の波形である。波形g404は、電圧Vceの波形である。
【0069】
図11のように、短絡時の負荷のインダクタンスの値が大きい場合のマスク時間Tw4は、約4.7(μs)である。
図10図11のように、第3の実施例、第4の実施例の構成によれば、負荷のインダクタンスの値が変化しても、マスク時間は同等である。
【0070】
ここで、マスク時間の精度向上のために、例えば図1のDESAT回路20において、回路ブロック21の回路は、例えばオープンコレクタタイプのコンパレータ、抵抗、コンデンサ、ダイオードを用いて構成し、DESAT回路内で閾値電圧を作成して比較する構成も考えられる。このような回路構成では、コンパレータが、スイッチング素子のコレクタ-エミッタ間電圧と所定の閾値電圧とを比較する。しかしながら、このような回路構成では、構成部分数が多くなる。例えば、構成部品は、コンパレータが1つ、抵抗が4つ、コンデンサが3つ、およびダイオードが2つである。このような構成の回路では、構成部品数が多く、かつ回路コストが本実施形態より高い。なお、本実施形態では、ダイオードD22とトランジスタQ22が、コンパレータ的な役割を果たしている。また、本実施形態では、上述したようにダイオードD22の両端の電圧によって、DESAT回路20(20A,20B,20C,20D)を設定している。
【0071】
すなわち、本実施形態の構成によれば、このようにDESAT回路にコンパレータを用いる場合と比較して、コストを低減でき、部品点数を低減することができる。
【0072】
なお、上述した実施形態、各実施例において、スイッチング素子41のコレクタに正電圧が接続され、エミッタが接地されている構成例を説明したが、これに限らない。スイッチング素子41のコレクタには他のスイッチング素子(不図示)のエミッタが接続されていてもよく、エミッタには他のスイッチング素子のコレクタが接続されていてもよい。
【0073】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態や実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0074】
1,1A,1B,1C,1D…駆動回路、10…ドライバ、20,20A,20B,20C,20D…DESAT回路、Q11,Q21,Q22,Q21B,Q22C…トランジスタQ、12…コンパレータ、13…インバータ、14…出力端子、Idesat…電流源、Cdesat,C21…コンデンサ、D21,D22,D23,Ddesat…ダイオード、R21,R22,R23,R24,R25,R26,R22B,R26B,R201,R202,R203,R204,R204D,R26D…抵抗、30…制御部、31…バッファ、41…スイッチング素子
図1
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図12