IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本金銭機械株式会社の特許一覧

特開2022-138987物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚
<>
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図1
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図2
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図3
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図4
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図5
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図6
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図7
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図8
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図9
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図10
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図11
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図12
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図13
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図14
  • 特開-物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138987
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
B25J19/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039181
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】上溝 順亮
(72)【発明者】
【氏名】上田 貴司
(72)【発明者】
【氏名】北野 智範
(72)【発明者】
【氏名】伊尾瀬 晋
(72)【発明者】
【氏名】中谷 和好
(72)【発明者】
【氏名】江澤 良美
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS10
3C707CY15
3C707FS01
3C707FT13
3C707HS27
3C707HT11
3C707HT20
3C707KS33
3C707KS35
3C707KS36
3C707LV12
3C707MT06
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、棚に載置された物品を積み下ろす作業、あるいは、物品を棚に積み込む作業を自動的に行うことができる物品搬送ロボットシステムを提供することにある。
【解決手段】本発明に係る物品搬送ロボットシステムは、ロボットハンド100および物品載置棚200を備える。ロボットハンドは、把持部140,143を有する。把持部は、物品Bxを把持する。箱体載置棚は、物品を載置するものである。ロボットハンドは、物品載置棚に対して直線運動可能である。このロボットハンドは、物品載置棚から物品を直動して引き出し、物品載置棚に物品を直動して収納するように構成されている。物品載置棚は、棚板220および案内壁Wvを有する。棚板には、物品が載置される。案内壁は、直線運動中のロボットハンドを案内する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を把持する把持部を有するロボットハンドと、
前記ロボットハンドで把持する前記物品を載置する物品載置棚と
を備え、
前記ロボットハンドは、前記物品載置棚に対して直線運動可能であって、前物品載置棚から前記物品を直動して引き出すか押し出し、或いは前記物品載置棚に前記物品を直動して収納するように構成され、
前記物品載置棚は、前記物品を載置する棚板と、直線運動中の前記ロボットハンドを案内する案内壁とを有する、物品搬送ロボットシステム。
【請求項2】
物品を押し出す押出部と、
前記押出部で押し出す前記物品を載置する物品載置棚と
を備え、
前記押出部は、前記物品載置棚に対して直線運動可能であって、前記物品載置棚から前記物品を直動して押し出し、或いは前記物品載置棚に前記物品を直動して収納するように構成され、
前記物品載置棚は、前記物品を載置する棚板と、直線運動中の前記押出部を案内する案内壁とを有する、物品搬送ロボットシステム。
【請求項3】
直動可能である把持部を有するロボットハンドと、前記ロボットハンドを移動させる移動機構とを備える搬送装置の搬送対象となる物品を載置する物品載置棚であって、
棚板と、
前記棚板の上面から上方に向かって延びるか前記棚板の下面から下方に向かって延びており、互いに平行になるように配設される複数の案内壁と
を備える、物品載置棚。
【請求項4】
前記物品には、幅方向に延びる突起が存在し、
前記案内壁は、前記突起に接触しない間隔で設置されている
請求項3に記載の物品載置棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「鍵付きロボットアームで自動的に紙幣格納容器を開錠した後、ロボットハンド付きロボットアームで自動的に紙幣格納容器から紙幣を取り出すシステム」が提案されている(例えば、特開2020-57431号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-57431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現状、紙幣格納容器は、車輪付きの移動棚に載置された状態で人手によってシステムの設置場所まで配送された後に、人手でシステムの入口に置かれている。紙幣が収容された状態の紙幣格納容器は通常3~4kgの重さになるため、上記移動棚から紙幣格納容器を下ろす作業は比較的過酷なものとなっている。また、現状、空になった紙幣格納容器を、再度、上述の移動棚に積み込む作業も人手で行われており、この作業も比較的過酷なものとなっている。このため、最近、このような積み下ろし作業もロボットを用いることによって自動化してほしいとの要望の声が聞かれる。
【0005】
本発明の課題は、棚に載置された箱体等の物品を下ろす作業、および、箱体等の物品を棚に積み込む作業の少なくとも一方の作業を自動的に行うことができる物品搬送ロボットシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に係る物品搬送ロボットシステムは、ロボットハンドおよび物品載置棚を備える。なお、ここにいう「システム」とは、物品搬送に用いられる装置(ロボットハンド付きロボットアーム等)および棚(物品載置棚等)等のセットを意味している。また、ロボットハンドは、ロボットアームなどの搬送装置に取り付けられており、そのような搬送装置によって三次元空間を移動自在とされている。ロボットハンドは、把持部を有する。把持部は、物品を把持する。物品載置棚は、物品を載置するものである。なお、この物品は、人手もしくはロボットハンドによって物品載置棚に載置(収容)されるか、物品載置棚に載置された状態でロボットハンドにより引き出されるか押し出される。ロボットハンドは、物品載置棚に対して直線運動可能である。上述の通り、このロボットハンドは、物品載置棚から物品を直動して引き出すか押し出し、或いは物品載置棚に物品を直動して収納するように構成されている。物品載置棚は、棚板および案内壁を有する。棚板には、物品が載置される。案内壁は、直線運動中のロボットハンドを案内する。
【0007】
このため、この物品搬送ロボットシステムを用いることによって物品載置棚に載置された物品を下ろす作業、あるいは、物品を棚に積み込む作業を自動的且つスムースに行うことができる。
【0008】
本発明の第2局面に係る物品搬送ロボットシステムは、押出部および物品載置棚を備える。なお、ここにいう「システム」とは、物品搬送に用いられる装置(押出部付きロボットアーム等)および棚(物品載置棚等)等のセットを意味している。また、押出部は、ロボットアームなどの搬送装置に取り付けられており、そのような搬送装置によって三次元空間を移動自在とされている。押出部は、物品を押し出す。物品載置棚は、物品を載置するものである。なお、この物品は、人手もしくは押出部によって物品載置棚に載置(収容)されるか、物品載置棚に載置された状態で押出部により押し出される。押出部は、物品載置棚に対して直線運動可能である。上述の通り、この押出部は、物品載置棚から物品を直動して押し出し、或いは物品載置棚に物品を直動して収納するように構成されている。物品載置棚は、棚板および案内壁を有する。棚板には、物品が載置される。案内壁は、直線運動中の押出部を案内する。
【0009】
このため、この物品搬送ロボットシステムを用いることによって物品載置棚に載置された物品を下ろす作業、あるいは、物品を棚に積み込む作業を自動的且つスムースに行うことができる。
【0010】
本発明の第3局面に係る物品載置棚は、直動可能である把持部を有するロボットハンドと、前記ロボットハンドを移動させる移動機構とを備える搬送装置の搬送対象となる物品を載置する物品載置棚である。そして、この物品載置棚は、棚板および案内壁を有する。複数の案内壁は、棚板の上面から上方に向かって延びるか前記棚板の下面から下方に向かって延びている。そして、これらの案内壁は、互いに平行になるように配設されている。
【0011】
このため、この物品載置棚は、ロボットハンドに対して物品の積み下ろしをスムースに行わせることができる。
【0012】
本発明の第4局面に係る物品載置棚は、第3局面に係る物品載置棚であって、物品には、幅方向に延びる突起が存在する。また、案内壁は、突起に接触しない間隔で設置されている。
【0013】
このため、この物品載置棚は、突起付きの物品であってもロボットハンドに対して物品の積み下ろしをスムースに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドを正面側の左斜め上からみたときの斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドを背面側の右斜め上からみたときの斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドを正面側の右斜め下からみたときの斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドの左側面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドの正面図である。
図6図5のI-I断面図である。
図7図5のII-II断面図である。
図8】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドにおいて多関節伸縮リンク機構が伸びている状態の左側面図である。
図9】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドにおいて多関節伸縮リンク機構が伸び切った状態の左側面図である。
図10】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドの着脱式ぜんまいバネユニットの斜視図である。
図11】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚の正面図である。
図12】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚の右側面図である。
図13図11の囲い部分Xの拡大図である。
図14】変形例(L)に係る箱体搬送ロボットシステムの全体構成を示すイメージ図である。
図15】変形例(L)に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットアームおよび押出部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの構成>
本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムは、移動棚200に載置された取っ手付き箱体Bxを下ろす作業、あるいは、取っ手付き箱体Bxを移動棚200に積み込む作業を行うために利用され、主に、ロボットハンド100、ロボットアームRA、制御装置および移動棚200から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0016】
1.ロボットハンド
ロボットハンド100は、図1から図9に示されるように、主に、電動機110、フレーム120、リンク機構130、吸着ヘッドユニット140、着脱式ぜんまいバネユニット150、可撓チューブ160、センサ取付板170および距離センサ180から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0017】
(1)電動機
電動機110は、正逆回転可能な電動機であって、その回転軸がボールネジ115の回転軸と一致するようにボールネジ115に取り付けられている。すなわち、このボールネジ115は、電動機110の回転方向を切り換えることによって水平スライダ(後述)SHのスライド方向を切り換えることができる。なお、本実施の形態においてこの電動機110には負荷検出装置(図示せず)が接続されており、同負荷検出装置によって電動機110の負荷が検出される。
【0018】
(2)フレーム
フレーム120は、図1から図9に示されるように、主に、天板121、底板122、背面板123、後方側面板124および前方側面L字板125から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0019】
天板121は、図1等に示されるように略長方形状の板部材であってロボットハンド100の上側を覆っている。図1図4に示されるように、この天板121の前部の下側には、回転軸が後端に向かって延びるように電動機110が固定されている。また、図1および図2に示されるように天板121の長手方向の中央位置よりも僅か後側にロボットアーム取付用の金具128が装着されている。また、図3および図4等に示されるように、この天板121の裏側(下面側)にはボールネジ115が配設されている。
【0020】
底板122は、図3等に示されるように略長方形状の板部材であって、ロボットハンド100の下側を覆っている。なお、この底板122のうち前側部分122A(図1および図3参照)は、物品の載置台として機能する。また、図3等に示されるように、この底板122の略中央には長方形状の開口OPが形成されている。この開口OPは、着脱式ぜんまいバネユニット150を装着することができる大きさとされている。また、図3に示されるように、この底板122の開口OPの両側の縁部には支持爪122Bが設けられている。この支持爪122Bは、着脱式ぜんまいバネユニット150のシャフト153を着脱自在に支持するものである。また、この底板122の裏側面の前端部分および後端部分にはそれぞれ左右一対の脚LGが取り付けられており、底板122の開口OPのやや後側の裏側面にセンサ取付板170が取り付けられている。
【0021】
背面板123は、図1および図4に示されるように略長方形状の板部材であって、ロボットハンド100の背面側を覆っている。また、この背面板123の前面には後側垂直レールRVrおよび後側支持突起部123Aが形成されている。図6および図7に示されるように、この後側垂直レールRVrには、上下方向にスライド移動自在となるように後側垂直スライダSVrが取り付けられている。後側支持突起部123Aは、背面板123の前面から前方に延びる突起部位である。後述の通り、この後側支持突起部123Aには、第4リンクピンP4によって第2節K2が基端部で回動自在に取り付けられている。
【0022】
後方側面板124は、天板121および底板122を支持する支柱として機能するものであって、図1および図2に示されるように背面板123の後側に左右一対設けられている。
【0023】
前方側面L字板125は、側面視において略L字状を呈する板部材であって、図1および図4等に示されるように、ロボットハンド100の前端部の側面を覆っている。この前方側面L字板125は、図1および図4等に示されるように、主に、垂直側壁部125Aおよび水平側壁部125Bから形成されている。垂直側壁部125Aは、後方側面板124と同様、天板121および底板122を支持する支柱として機能している。一方、水平側壁部125Bは、図1等に示されるように底板122の前側部分122Aにおける側壁となり、吸着ヘッドユニット140を前方に導く案内壁として機能する。具体的には、この水平側壁部125Bの内側面に対して吸着ヘッドユニット140のガイドローラ145が接触して転がりながら吸着ヘッドユニット140を前方に導くことになる。また、図1等に示される通り、水平側壁部125Bの前部は幅方向外方に向かって僅かに開いている。これは、吸着ヘッドユニット140が引き込んでくる物品を受け入れやすいようにするためである。
【0024】
(3)リンク機構
リンク機構130は、例えば、マジックハンド等に利用される伸縮可能なレージトング式リンク機構であって、本実施の形態では図6図9に示されるように14本の節(リンク)K1~14、21本のリンクピンP1~23、後側垂直スライダSVrおよび水平スライダSHから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0025】
節(リンク)K1~14は板棒状の部材であり、リンクピンP1~23は節K1~14の基端部、中央部および先端部を軸支してリンク機構130を形成する部材である。なお、以下、節(リンク)K1~14およびリンクピンP1~23のみで構成された構造体を伸縮構造体と称することがある。また、この図中、この伸縮構造体を符号KPで示す。
【0026】
ここで、第1節K1は、第1リンクピンP1によって基端部で後側垂直スライダSVrに対して回動自在に取り付けられている(図6図9等参照)。また、この第1節K1は、第2リンクピンP2によって中央部で第2節K2の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第3リンクピンP3によって先端部で第4節K4の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。なお、図7~9等に示されるように、この第3リンクピンP3には水平スライダSHが連結されている。
【0027】
第2節K2は、第4リンクピンP4によって基端部で後側支持突起部123Aに対して回動自在に取り付けられている(図6図9等参照)。また、この第2節K2は、第2リンクピンP2によって中央部で第1節K1の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第5リンクピンP5によって先端部で第3節K3の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0028】
第3節K3は、第5リンクピンP5によって基端部で第2節K2の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第6リンクピンP6によって中央部で第4節K4の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第7リンクピンP7によって先端部で第6節K6の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0029】
第4節K4は、第3リンクピンP3によって基端部で第1節K1の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第6リンクピンP6によって中央部で第3節K3の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第8リンクピンP8によって先端部で第5節K5の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0030】
第5節K5は、第8リンクピンP8によって基端部で第4節K4の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第9リンクピンP9によって中央部で第6節K6の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第10リンクピンP10によって先端部で第8節K8の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0031】
第6節K6は、第7リンクピンP7によって基端部で第3節K3の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第9リンクピンP9によって中央部で第5節K5の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第11リンクピンP11によって先端部で第7節K7の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0032】
第7節K7は、第11リンクピンP11によって基端部で第6節K6の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第12リンクピンP12によって中央部で第8節K8の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第13リンクピンP13によって先端部で第10節K10の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0033】
第8節K8は、第10リンクピンP10によって基端部で第5節K5の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第12リンクピンP12によって中央部で第7節K7の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第14リンクピンP14によって先端部で第9節K9の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0034】
第9節K9は、第14リンクピンP14によって基端部で第8節K8の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第15リンクピンP15によって中央部で第10節K10の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第16リンクピンP16によって先端部で第12節K12の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0035】
第10節K10は、第13リンクピンP13によって基端部で第7節K7の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第15リンクピンP15によって中央部で第9節K9の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第17リンクピンP17によって先端部で第11節K11の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0036】
第11節K11は、第17リンクピンP17によって基端部で第10節K10の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第18リンクピンP18によって中央部で第12節K12の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第19リンクピンP19によって先端部で第14節K14の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0037】
第12節K12は、第16リンクピンP16によって基端部で第9節K9の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第18リンクピンP18によって中央部で第11節K11の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第20リンクピンP20によって先端部で第13節K13の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0038】
第13節K13は、第20リンクピンP20によって基端部で第12節K12の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第21リンクピンP21によって中央部で第14節K14の中央部に対して回動可能に取り付けられている(図6および図7等参照)。また、この第13節K13は、第22リンクピンP22によって先端部で吸着ヘッドユニット140の前側支持突起部146に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0039】
第14節K14は、第19リンクピンP19によって基端部で第11節K11の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第21リンクピンP21によって中央部で第13節K13の中央部に対して回動可能に取り付けられている(図6および図7等参照)。また、この第14節K14は、第23リンクピンP23によって先端部で吸着ヘッドユニット140の前側垂直スライダSVfに対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0040】
なお、上述の通りに構成された伸縮構造体KPにおいて、14本の節K1~14は、仮想の垂直面Fp(図5参照。同垂直面Fpは、図5のI-I断面と重なる面になる。)に平行な仮想面に沿って移動することになる。
【0041】
後側垂直スライダSVrは、上述の通り、背面板123の後側垂直レールRVrを上下方向にスライド可能である(図6および図7等参照)。なお、この後側垂直スライダSVrは、水平スライダSHの前進に伴って上昇し、水平スライダSHの後退に伴って下降する。
【0042】
水平スライダSHは、図6および図7等に示されるようにボールネジ115に噛み合っており、ボールネジ115が正転した場合に前進し、ボールネジ115が逆転した場合に後退する。また、この水平スライダSHは、図7~9等に示されるように第3リンクピンP3に連結されている。すなわち、この水平スライダSHが前後動することによって伸縮構造体KPが伸縮することになる。
【0043】
(4)吸着ヘッドユニット
吸着ヘッドユニット140は、図1および図5に示されるように、主に、前面パネル141、支持板142、吸着パッドユニット143、車輪144、ガイドローラ145、前側垂直レールRVf、前側垂直スライダSVfおよび前側支持突起部146から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0044】
前面パネル141は、図5に示されるように、正面視において逆凸字状を呈する板部材であって、主に、主板部141aおよび下側突起部141bから構成されている。主板部141aは、図5に示されるように正面視において略長方形状の板部位である。図5に示されるように、正面視において、主板部141aの下側部位の左右両端部には吸着パッド143bが3つずつ固定されている。なお、左右の吸着パッド143bの距離は、取っ手付き箱体Bxの取っ手TOが縦方向に向いたときにその取っ手TOと重ならず取っ手TOを挟みこむ距離とされている。また、図2図6および図7に示される通り、この主板部141aの裏側面の上部から後方に向かって前側支持突起部146が延びている。また、図8および図9に示される通り、この主板部141aの裏側面の幅方向両端部から後方に向かって支持板142が延びている。また、図6および図7に示されるように、この主板部141aの裏側面には、上下方向に沿って前側垂直レールRVfが配設されている。下側突起部141bは、図5に示されるように正面視において略正方形の板部位であって、主板部141aの下辺中央から下方に向かって延びている。この下側突起部141bには、着脱式ぜんまいバネユニット150の締結ブロック154がネジ止めされる。なお、この際用いられるネジは着脱自在なネジである。
【0045】
支持板142は、図8および図9に示されるように吸着パッドユニット143の配管ユニット143aを支持するための板部材であって、上述の通り、前面パネル141の主板部141aの裏側面の幅方向両端部から後方に向かって延びている。また、この支持板142の前側の下部には一対の車輪144が軸支されている。
【0046】
吸着パッドユニット143は、図1および図2等に示されるように、主に、配管ユニット143a、吸着パッド143bおよび弾性連接管143cから構成されている。配管ユニット143aは、1本の主管MPおよび3本の分岐管BPから構成されている。なお、主管MPは3本全ての分岐管BPと連通している。そして、図7および図8に示されるように、主管MPには基端側で可撓チューブ160と接合されており、各分岐管BPには弾性連接管143cが接合されている。そして、各弾性連接管143cの先端側に吸着パッド143bが接合されている。なお、弾性連接管143cには、コイルスプリング等の弾性部が設けられている。弾性部は、弾性連接管143cの先端部を前方に付勢している。すなわち、吸着パッド143bは、弾性連接管143cの先端部を介して前方に向かって付勢されている。このため、吸着パッド143bが物品に当接して吸着パッド143bに負荷がかかった場合、弾性連接管143cの先端部および吸着パッド143bは、弾性部の弾性力に抗して僅かに後退し、負荷がかからなくなると弾性部の弾性力によって元の位置に復帰する。吸着パッド143bは、可撓性素材から形成される伸縮可能な部材である。
【0047】
車輪144は、上述の通り、支持板142の前側の下部に軸支されている。すなわち、この車輪144の回転軸は幅方向に平行な方向に沿うことになる。この車輪144は、フレーム120の底板122の前側部分122Aの上面上を転がると共に、フレーム120の底板122の前側部分122Aの前端部を超えると移動棚200の棚板220の上を転がっていく。
【0048】
ガイドローラ145は、上下方向を回転軸とする柱状の回転体であって、上述の通り、前方側面L字板125の水平側壁部125Bの内側面に接触して転がりながら吸着ヘッドユニット140を前方に導く。また、ガイドローラ145は、移動棚200の案内板Wvの内側面に接触して転がりながら吸着ヘッドユニット140を前方に導く。
【0049】
前側垂直レールRVfは、図6および図7に示されるように、前面パネル141の裏側面において上下方向に沿って延びている。この前側垂直レールRVfには、上下方向にスライド移動自在となるように前側垂直スライダSVfが取り付けられている(図6および図7等参照)。
【0050】
前側垂直スライダSVfは、上述の通り、前側垂直レールRVfを上下方向にスライド可能である。なお、この前側垂直スライダSVfは、水平スライダSHの前進に伴って上昇し、水平スライダSHの後退に伴って下降する。また、上述の通り、この前側垂直スライダSVfには、第23リンクピンP23によって第14節K14が先端部で回動可能に取り付けられている。
【0051】
前側支持突起部146は、前面パネル141の裏側面から後方に延びる突起部位である。上述の通り、この前側支持突起部146には、第22リンクピンP22によって第13節K13が先端部で回動自在に取り付けられている。
【0052】
(5)着脱式ぜんまいバネユニット
着脱式ぜんまいバネユニット150は、図10に示されるように、主に、ぜんまいバネ151、ホルダ152、シャフト153および締結ブロック154から構成されている。ぜんまいバネ151は、従前から存在するものであって、ホルダ152に巻き付くように付勢されている。すなわち、人の手でぜんまいバネ151が延ばされた後、人の手が離されるとぜんまいバネ151はその付勢力によってホルダ152に巻き付く。ホルダ152は、ぜんまいバネ151の片端を保持する円柱状の保持部材(ボビン)である。シャフト153は、図10に示されるようにホルダ152の軸方向に沿ってホルダ152の両方向に向かって延びている。なお、このシャフト153は、上述の通り、図3に示される支持爪122Bによって着脱自在に支持される。締結ブロック154は、ぜんまいバネ151のもう片端を吸着ヘッドユニット140の前面パネル141の下側突起部141bに固定するための部材であって、上述の通り、吸着ヘッドユニット140の前面パネル141の下側突起部141bにねじ止めされる。
【0053】
(6)可撓チューブ
可撓チューブ160は、図1および図2等に示される通り、元配管SPの出口側に接合されていると共に、上述の通り、吸着パッドユニット143の主管MPの基端側に接合されている。なお、図1および図2等に示されるように、元配管SPの入口には配管口MSが接合されており、その配管口MSはフレーム120の天板121の後端部に設けられている。また、この可撓チューブ160は、図8および図9に示されているように、リンク機構130の最伸長状態時にも対応する十分な長さとされている。
【0054】
(7)センサ取付板
センサ取付板170は、上述の通り、フレーム120の底板122の開口OPのやや後側の裏側面に取り付けられており、その両端側に距離センサ180を保持している。
【0055】
(8)距離センサ
距離センサ180は、正面側に位置する物体との距離を検出するセンサであって、上述の通り、センサ取付板170の両端側に保持されている。
【0056】
2.ロボットアーム
ロボットアームRAは、特に限定されないが、例えば、既存の六軸ロボットアーム等である(図14および図15参照)。
【0057】
3.制御装置
制御装置は、ロボットハンド100およびロボットアームRAにそれぞれ通信接続されており、ロボットハンド100やロボットアームRAに対して制御信号を送ると共に、ロボットハンド100やロボットアームRAから各種信号を受信している。なお、特に、この制御装置は、ロボットハンド100の電動機110や、減圧ポンプに通信接続されており、電動機110の回転方向や減圧ポンプの発停等を制御している。
【0058】
4.移動棚
移動棚200は、取っ手付き箱体Bxを収納するためのものであって、図11図13に示されるように、底壁210、天壁230、支柱240、仕切り壁250、棚板220、案内板Wvおよび車輪Trから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0059】
底壁210および天壁230は、図11および図12に示されるように、同寸法を有する方形の板部材である。底壁210には、取っ手付き箱体Bxを載置することが可能である。
【0060】
支柱240は、図11および図12に示されるように、天壁230を支持するためのものであって、底壁210の上面の四隅から天壁230の下面の四隅まで延びている。
【0061】
仕切り壁250は、図11および図12に示されるように、底壁210、天壁230および支柱240によって囲まれる空間を、幅方向に2つに仕切るための壁であって、底壁210の幅方向中央部から天壁230の幅方向中央部まで延びている。
【0062】
棚板220は、取っ手付き箱体Bxを載置するためのものであって、図11および図12に示されるように、底壁210および天壁230とほぼ同じ奥行寸法と、底壁210および天壁230の半分程度の幅寸法とを有する方形の板部材である。棚板220は、図11および図12に示されるように、底壁210、天壁230、支柱240および仕切り壁250によって囲まれる2つの空間をそれぞれ、高さ方向に6つに仕切っている。言い換えれば、棚板220は、図11および図12に示されるように、底壁210、天壁230、支柱240および仕切り壁250によって囲まれる2つの空間にそれぞれ5つずつ配設されている。
【0063】
案内板Wvは、ロボットハンド100の吸着ヘッドユニット140を移動棚200の奥や手前へと導くためのものであって、図11に示されるように、底壁210、天壁230、支柱240、仕切り壁250および棚板220によって囲まれる12つの空間にそれぞれ6つずつ配設されている。また、案内板Wvは、図11図13に示されるように、前側案内板Wv1および後側案内板Wv2から形成されている。前側案内板Wv1は、図11図13に示されるように、底壁210および棚板220の上面の前部から垂直方向に沿って上方に延びる略矩形の壁部材であって、隣接する前側案内板Wv1と前側案内板Wv1とが平行になるように奥行方向に沿って配設されている。後側案内板Wv2は、図12に示されるように、底壁210および棚板220の上面の後部から垂直方向に沿って上方に延びる略矩形の壁部材であって、隣接する後側案内板Wv2と後側案内板Wv2とが平行になるように奥行方向に沿って配設されている。なお、図12に示されるように、前側案内板Wv1および後側案内板Wv2との間に隙間Wv3が形成されるように、前側案内板Wv1および後側案内板Wv2は一定距離離間している。
【0064】
また、案内板Wvは、図11および図13に示されるように、取っ手付き箱体Bxに形成される突起部Pr(後述)に接触しない間隔で配設されている。すなわち、図11および図13に示されるように、隣接する案内板Wvと案内板Wvとの間の幅寸法は、突起部Prを含めた取っ手付き箱体Bxの幅寸法より大きくなるように設計されている。
【0065】
車輪Trは、従前から存在するキャスター等であって、図11および図12に示されるように、底壁210の下面の四隅に取り付けられている。車輪Trによりこの移動棚200は移動可能となっている。
【0066】
なお、図11および図12に示されるように、この移動棚200には正面壁および背壁は設けられていない。このため、この移動棚200では、正面側のみならず背面側からも底壁210および棚板220に取っ手付き箱体Bxを載置することができる。
【0067】
<本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの制御例>
ここでは、移動棚200から取っ手付き箱体Bxを引き出す際のロボットハンド100、ロボットアームRAおよび制御装置の制御例、および、移動棚200に取っ手付き箱体Bxを収納する際のロボットハンド100、ロボットアームRAおよび制御装置の制御例について説明する。
【0068】
なお、上記制御例の説明の前に先ず取っ手付き箱体Bxについて簡単に説明する。取っ手付き箱体Bxは、図11図13に示されるように、略直方体形状を呈しており、底壁、天壁、前壁、背壁、右側壁および左側壁から形成されている。底壁および天壁は、同寸法を有する方形の板部材である。前壁は、取っ手付き箱体Bxの前面を構成する部位であって、底壁の前端から天壁の前端まで延びている。なお、図11図13に示されるように、前壁には取っ手TOが取り付けられている。背壁は、取っ手付き箱体Bxの背面を構成する部位であって、底壁の後端から天壁の後端まで延びている。右側壁は、取っ手付き箱体Bxの右側面を構成する矩形部位であって、底壁の右端から天壁の右端まで延びている。左側壁は、取っ手付き箱体Bxの左側面を構成する矩形部位であって、底壁の左端から天壁の左端まで延びている。なお、取っ手付き箱体Bxには、図11および図13に示されるように、右側壁および左側壁から外方(幅方向)に延びる突起部Prが形成されている。この突起部Prの下端は、図11図13に示されるように移動棚200の案内板Wvの上端より下側に位置している(言い換えれば、側面視において突起部Prの少なくとも一部が、案内板Wvに重なるように位置している。)。
【0069】
(1)移動棚から取っ手付き箱体を引き出す際のロボットハンド、ロボットアームおよび制御装置の制御例
先ず、箱体搬送ロボットシステムの使用者は、移動棚200を規定の位置に規定の向きで固定してからロボットハンド100、ロボットアームRAおよび制御装置を作動させる。ロボットハンド100、ロボットアームRAおよび制御装置が作動し始めると、初期位置で待機しているロボットハンド100が、ロボットアームRAによって、規定の高さ方向位置にまで持ち上げられると共に幅方向位置にまで移動させられながら、ロボットハンド100の正面が移動棚200の正面と対向し且つ伸縮構造体KPの構成面(仮想の垂直面Fp)が鉛直方向に平行になるように姿勢制御される。このとき、ロボットハンド100に設けられる一対の距離センサ180が、隣接する案内板Wvと案内板Wv(隣接する前側案内板Wv1と前側案内板Wv1、または、隣接する後側案内板Wv2と後側案内板Wv2)とに対向している。次に、一対の距離センサ180の検出距離の差が許容範囲に収まるように(理想的には検出距離の差が0になるように)ロボットアームRAによってロボットハンド100の姿勢が制御される(このとき、ロボットハンド100は、隣接する案内板Wvと案内板Wvとにほぼ正対している。)。次いで、ロボットハンド100の電動機110が作動し始め、リンク機構130が伸びていく。そして、吸着ヘッドユニット140が移動棚200にまで到達すると、ガイドローラ145が、隣接する案内板Wvと案内板Wvとに接触しながら、移動棚200の奥行方向に沿って吸着ヘッドユニット140を移動棚200の奥へと導く。この際、車輪144は移動棚200の底壁210または棚板220を転がっていく。そして、負荷検出装置によって検出される電動機110の負荷が閾値を超過すると、電動機110を一旦停止させると共に減圧ポンプを動作させて吸着パッド143bによって取っ手付き箱体Bxを吸着させる。その後、電動機110を逆転させて、リンク機構130を縮ませると、ガイドローラ145が、隣接する案内板Wvと案内板Wvとに接触しながら、移動棚200の奥行方向に沿って吸着ヘッドユニット140を移動棚200の手前へと導く。そして、最終的にロボットハンド100を初期状態(収縮状態)に戻させる。このとき、ロボットハンド100の底板122の前側部分122Aに取っ手付き箱体Bxが載置されている(すなわち、取っ手付き箱体Bxが、移動棚200から引き出されている。)。この状態で、ロボットアームRAがロボットハンド100を搬送先(例えば、ベルトコンベアの始発位置等)まで移動させる。ロボットアームRAによりロボットハンド100が搬送先に到達すると、ロボットハンド100の電動機110が作動し始め、リンク機構130が伸びていき、吸着ヘッドユニット140によって取っ手付き箱体Bxが搬送先に押し出される。
【0070】
(2)移動棚に取っ手付き箱体を収納する際のロボットハンド、ロボットアームおよび制御装置の制御例
先ず、箱体搬送ロボットシステムの使用者は、移動棚200を規定の位置に規定の向きで固定してからロボットハンド100、ロボットアームRAおよび制御装置を作動させる。ロボットハンド100、ロボットアームRAおよび制御装置が作動し始めると、初期位置で待機しているロボットハンド100が、ロボットアームRAによって、取っ手付き箱体Bxが置かれた箱体受取先(例えば、ベルトコンベアの終着位置等)まで移動させられる。より詳細には、「ロボットハンド100の正面が、箱体受取先に置かれた取っ手付き箱体Bxの前壁と対向し」、且つ、「ロボットハンド100の底板122の前側部分122Aに取っ手付き箱体Bxが載置された際に、ロボットハンド100の底板122の前側部分122Aと取っ手付き箱体Bxの底壁とが接触する」ように、ロボットハンド100がロボットアームRAによって移動させられる。ロボットアームRAによりロボットハンド100が箱体受取先に到達すると、ロボットハンド100の電動機110が作動し始め、リンク機構130が伸びていく。そして、吸着ヘッドユニット140が取っ手付き箱体Bxの前壁にまで到達すると、電動機110を一旦停止させると共に減圧ポンプを動作させて吸着パッド143bによって取っ手付き箱体Bxを吸着させる。その後、電動機110を逆転させて、リンク機構130を縮ませ、初期状態(収縮状態)に戻させる。このとき、ロボットハンド100の底板122の前側部分122Aに取っ手付き箱体Bxが載置されている。この状態で、ロボットアームRAがロボットハンド100を移動棚200まで移動させる。そして、ロボットハンド100が、ロボットアームRAによって、規定の高さ方向位置にまで持ち上げられると共に幅方向位置にまで移動させられながら、ロボットハンド100の正面が移動棚200の正面と対向し且つ伸縮構造体KPの構成面(仮想の垂直面Fp)が鉛直方向に平行になるように姿勢制御される。このとき、ロボットハンド100に設けられる一対の距離センサ180が、隣接する案内板Wvと案内板Wv(隣接する前側案内板Wv1と前側案内板Wv1、または、隣接する後側案内板Wv2と後側案内板Wv2)とに対向している。次に、一対の距離センサ180の検出距離の差が許容範囲に収まるように(理想的には検出距離の差が0になるように)ロボットアームRAによってロボットハンド100の姿勢が制御される(このとき、ロボットハンド100は、隣接する案内板Wvと案内板Wvとにほぼ正対している。)。次いで、ロボットハンド100の電動機110が作動し始め、リンク機構130が伸びていく。そして、吸着ヘッドユニット140および取っ手付き箱体Bxが移動棚200にまで到達すると、ガイドローラ145が、隣接する案内板Wvと案内板Wvとに接触しながら、移動棚200の奥行方向に沿って吸着ヘッドユニット140および取っ手付き箱体Bxを移動棚200の奥へと導く。この際、車輪144は移動棚200の底壁210または棚板220を転がっていく。そして、負荷検出装置によって検出される電動機110の負荷が閾値を超過すると、電動機110を一旦停止させると共に減圧ポンプを停止させて、吸着パッド143bから取っ手付き箱体Bxを放させる。これにより、取っ手付き箱体Bxを移動棚200に収納することができる。その後、電動機110を逆転させて、リンク機構130を縮ませると、ガイドローラ145が、隣接する案内板Wvと案内板Wvとに接触しながら、移動棚200の奥行方向に沿って吸着ヘッドユニット140を移動棚200の手前へと導く。そして、最終的に、ロボットハンド100を初期状態(収縮状態)に戻させ、ロボットハンド100が、ロボットアームRAによって、初期位置まで移動させられる。
【0071】
なお、以上のロボットアームRAおよびロボットハンド100の動作は全て、ロボットアームRAおよびロボットハンド100に通信接続される制御装置によって実現される。
【0072】
<本実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの特徴>
(1)
本実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムでは、移動棚200は、取っ手付き箱体Bxを載置するための底壁210および棚板220と、ロボットハンド100の吸着ヘッドユニット140を移動棚200の奥や手前へ導くための案内板Wvとを有している。案内板Wvは、底壁210および棚板220の上面から垂直方向に沿って上方に延びると共に、隣接する案内板Wvと案内板Wvとが平行になるように奥行方向に沿って配設されている。また、ロボットハンド100は、移動棚200に載置された取っ手付き箱体Bxを吸着パッド143bによって吸着した後、電動機110を逆転させてリンク機構130を縮ませ、隣接する案内板Wvと案内板Wvとにガイドローラ145を接触させながら、移動棚200の奥行方向に沿って吸着ヘッドユニット140を移動棚200の手前へと導き、取っ手付き箱体Bxを移動棚200から引き出すことができる。あるいは、ロボットハンド100の底板122の前側部分122Aに取っ手付き箱体Bxが載置された状態で、ロボットハンド100は、電動機110を作動させてリンク機構130を伸ばし、隣接する案内板Wvと案内板Wvとにガイドローラ145を接触させながら、移動棚200の奥行方向に沿って吸着ヘッドユニット140および取っ手付き箱体Bxを移動棚200の奥へと導き、吸着パッド143bから取っ手付き箱体Bxを放して取っ手付き箱体Bxを移動棚200に収納することができる。このため、この箱体搬送ロボットシステムを用いることによって、移動棚200に載置された取っ手付き箱体Bxを下ろす作業、あるいは、取っ手付き箱体Bxを移動棚200に積み込む作業を自動的且つスムースに行うことができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムでは、移動棚200の案内板Wvは、取っ手付き箱体Bxの突起部Prに接触しない間隔で配設されている。このため、この箱体搬送ロボットシステムを用いることによって、突起部Prが形成された取っ手付き箱体Bxであってもロボットハンド100に対して取っ手付き箱体Bxの積み下ろしをスムースに行わせることができる。
【0074】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムではロボットアームRAにロボットハンド100が連結されていたが、ロボットハンド100は、フレーム式の移動機構に連結されていてもよい。また、ロボットハンド100は、常に、伸縮構造体KPの構成面(仮想の垂直面Fp)が鉛直方向に平行になるように取り付けられてもよい。
【0075】
(B)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンド100では駆動源として電動機110が採用されると共に伸縮構造体KPの伸縮を実現する機構としてボールネジ115および水平スライダSHから成る機構が採用されたが、(i)駆動源および伸縮機構としてエアシリンダや油圧シリンダ等が採用されてもよいし、(ii)駆動源として電動機が採用されると共に伸縮構造体KPの伸縮を実現する機構としてラック・アンド・ピニオン機構が採用されてもよいし、(iii)駆動源として電動機が採用されると共に伸縮構造体KPの伸縮を実現する機構として株式会社椿本チエイン製のジップチェーンアクチュエータ(登録商標)が採用されてもよいし、(iv)駆動源として電動機が採用されると共に伸縮構造体KPの伸縮を実現する機構としてSERAPID社製のROLLBEAMが採用されてもよい。
【0076】
(C)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンド100では伸び切った伸縮構造体KPを初期の収縮状態に戻すことを目的として着脱式ぜんまいバネユニット150が設けられていたが、同目的を達成する他の手段として(i)コイルバネが採用されてもよいし、(ii)電動機、ワイヤおよびクラッチ等から成る機構が採用されてもよい。かかる場合、伸縮構造体KPが伸びる際にワイヤが繰り出され、伸縮構造体KPが縮む際に電動機によってワイヤが巻き取られる。
【0077】
(D)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンド100では物品の把持手段として吸着パッドユニット143が採用されたが、これに代えて二指ハンドや五指ハンド等の指付ハンドユニットや、チャックユニット等が採用されもよい。
【0078】
(E)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンド100では電動機110、前側支持突起部146および後側支持突起部123Aが上側に配設されていたが、電動機110、前側支持突起部146および後側支持突起部123Aは下側(例えば、底板122の下側等)に配設されてもよい。かかる場合、前側垂直スライダSVfおよび後側垂直スライダSVrの初期位置(収縮状態にあるときの位置)は、前側垂直レールRVfおよび後側垂直レールRVrの上端位置であり、前側垂直スライダSVfおよび後側垂直スライダSVrは、水平スライダSHの前進に伴って下降し、水平スライダSHの後退に伴って上昇する。
【0079】
(F)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚200では底壁210、天壁230および支柱240によって囲まれる空間を仕切り壁250が幅方向に2つに仕切っていたが、仕切り壁250は設けられなくてもよい。かかる場合、底壁210、天壁230および支柱240によって囲まれる空間が幅方向に仕切られない。または、仕切り壁250が2つ以上設けられてもよい。かかる場合、かかる場合、底壁210、天壁230および支柱240によって囲まれる空間が幅方向に3つ以上に仕切られる。
【0080】
(G)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚200では底壁210、天壁230、支柱240および仕切り壁250によって囲まれる2つの空間に棚板220がそれぞれ5つずつ配設されていたが、これらの空間に配設される棚板220の数は取っ手付き箱体Bxの高さに応じて適宜調整されてもよい。
【0081】
(H)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚200では案内板Wvが底壁210および棚板220の上面から垂直方向に沿って上方に延びていたが、案内板Wvが天壁230および棚板220の下面から垂直方向に沿って下方に延びていてもよい。かかる場合、取っ手付き箱体Bxの突起部Prの上端がこの案内板Wvの下端より上側に位置することが好ましい。
【0082】
(I)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚200では、案内板Wvは前側案内板Wv1および後側案内板Wv2から形成され、前側案内板Wv1および後側案内板Wv2との間に隙間Wv3が形成されるように前側案内板Wv1および後側案内板Wv2は一定距離離間していたが、前側案内板Wv1および後側案内板Wv2との間に隙間Wv3は形成されなくてもよい。すなわち、前側案内板Wv1および後側案内板Wv2が連結していてもよい。
【0083】
(J)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚200に載置される取っ手付き箱体Bxには右側壁および左側壁から外方に延びる突起部Prが形成されていたが、突起部Prは右側壁および左側壁のいずれか一方から外方に延びていてもよい。
【0084】
(K)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚200では底壁210、天壁230、支柱240、仕切り壁250および棚板220によって囲まれる12つの空間に、案内板Wvがそれぞれ6つずつ配設されていたが、これらの空間に配設される案内板Wvの数は取っ手付き箱体Bxの幅(突起部Prを含む)に応じて適宜調整されてもよい。
【0085】
(L)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムでは、移動棚200の底壁210または棚板220に載置された取っ手付き箱体Bxは、ロボットハンド100の吸着パッド143bによって吸着され、移動棚200から引き出されていた。しかし、取っ手付き箱体Bxは、押出部400によって移動棚200から押し出されてもよい。以下、図14および図15を参照して、移動棚200の後側に取っ手付き箱体Bxを押し出す際の押出部400、ロボットアームRAおよび制御装置の制御例について説明する。
【0086】
なお、上記制御例を説明する前に、この変形例に係る箱体搬送ロボットシステム2と、先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムとの相違点について述べる。(i)箱体搬送ロボットシステム2では、図14に示されるように、移動棚200の棚板220の後側(取っ手付き箱体Bxが移動棚200の前側に押し出される場合、移動棚200の棚板220の前側)に箱体受取板270が配設されている。この箱体受取板270は、移動棚200から押し出された取っ手付き箱体Bxを受け取るためのものであって、移動棚200に取り付けられたり、リフト(図示せず)等に載置されたりする。(ii)そして、箱体搬送ロボットシステム2では、図14および図15に示されるように、ロボットアームRAの先端にロボットハンド100ではなく押出部400が連結されている。押出部400は、図15に示されるように、主に、本体壁410、前側垂直壁420、後側垂直壁430、シリンダ機構440、箱体当接部450、連結部460および距離センサ(図示せず)から構成されている。本体壁410は、図15に示されるように、略長方形状の板部材である。前側垂直壁420は、図15に示されるように、略台形状の板部材であって、本体壁410に垂直になるように本体壁410の前端から延びている。後側垂直壁430は、図15に示されるように、略台形状の板部材であって、本体壁410に垂直になるように本体壁410の後端から前側垂直壁420と同一方向に延びている。なお、後側垂直壁430にはロッド挿通孔(図示せず)が形成されている。シリンダ機構440は、移動棚200の奥行方向に沿って箱体当接部450を移動させるためのもの(例えば、エアシリンダ機構や油圧シリンダ機構等)であって、図15に示されるように、本体壁410の長手方向に沿って延びている。シリンダ機構440は、図15に示されるように、主に、ロッドカバー部441およびロッド(図示せず)から構成されている。ロッドカバー部441は、ロッドを収容するためのものである。また、図15に示されるように、ロッドカバー部441は前側垂直壁420および後側垂直壁430の間に配設されており、ロッドカバー部441の一方の端部が前側垂直壁420に取り付けられ、ロッドカバー部441のもう一方の端部が後側垂直壁430に取り付けられている。ロッドは、後側垂直壁430のロッド挿通孔を通ってロッドカバー部441に収容されている。ロッドの少なくとも一部がロッドカバー部441に収容される範囲内において、ロッドはロッドカバー部441の長手方向に沿って(すなわち、移動棚200の奥行方向に沿って)移動可能である。なお、このシリンダ機構440は制御装置に通信接続されており、制御装置によってロッドの移動等が制御されている。箱体当接部450は、移動棚200から取っ手付き箱体Bxを押し出すためのものであって、図15に示されるように、略円柱形状を呈しており、シリンダ機構440のロッドの端部に取り付けられている。すなわち、ロッドが移動棚200の奥行方向に沿って移動する際、箱体当接部450も移動棚200の奥行方向に沿って移動することになる。連結部460は、図15に示されるように、押出部400をロボットアームRAに連結させる部位であって、例えば、フランジ等である。距離センサ(図示せず)は、正面側に位置する物体との距離を検出するセンサであって、例えば本体壁410の両端側に保持されている。なお、この押出部400の本体壁410および箱体当接部450の少なくとも一方に、先の実施の形態に係るロボットハンド100のガイドローラ145が取り付けられるのが好ましい。
【0087】
先ず、箱体搬送ロボットシステムの使用者は、図14に示されるように、移動棚200を規定の位置に規定の向きで固定してから箱体搬送ロボットシステム作動させる。箱体搬送ロボットシステムが作動し始めると、初期位置で待機している押出部400が、ロボットアームRAによって、規定の高さ方向位置にまで持ち上げられると共に移動棚200の幅方向位置にまで移動させられながら、押出部400の箱体当接部450が移動棚200の正面と対向するように姿勢制御される。なお、ロボットアームRAは、ベルトコンベアCoによって移動棚200の幅方向に沿って移動可能であり(図14参照)、軸を中心に押出部400を旋回させることができる(図15参照)。押出部400が姿勢制御されたとき、押出部400の距離センサが、隣接する移動棚200の前側案内板Wv1と前側案内板Wv1(取っ手付き箱体Bxが移動棚200前側に押し出される場合、隣接する移動棚200の後側案内板Wv2と後側案内板Wv2)とに対向している。次に、距離センサの検出距離の差が許容範囲に収まるように(理想的には検出距離の差が0になるように)ロボットアームRAによって押出部400の姿勢が制御される(このとき、押出部400は、隣接する移動棚200の前側案内板Wv1と前側案内板Wv1とにほぼ正対している。)。次いで、押出部400のシリンダ機構440が作動し始め、ロッドおよび箱体当接部450が、移動棚200にまで到達して移動棚200の奥行方向に沿って移動棚200の奥へと移動する。これにより、移動棚200の底壁210または棚板220に載置された取っ手付き箱体Bxに箱体当接部450が当接した後、取っ手付き箱体Bxを移動棚200の後側に押し出すことができる。そして、箱体受取板270が、移動棚200から押し出された取っ手付き箱体Bxを受け取ることになる。その後、押出部400のシリンダ機構440が作動し始め、ロッドおよび箱体当接部450が、移動棚200の奥行方向に沿って移動棚200の手前へと移動する。そして、最終的に押出部400を初期状態(図15)に戻させる。
【0088】
なお、この変形例に係る箱体搬送ロボットシステム2では、箱体当接部450は略円柱形状を呈していたが、箱体当接部450の形状は略円柱形状に限定されない。
【0089】
なお、上記各変形例(A)~(L)は、単独で適用されてもよいし、組み合わせて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
100 ロボットハンド
140 吸着ヘッドユニット(把持部)
143 吸着パッドユニット(把持部)
200 移動棚(箱体載置棚)
220 棚板
400 押出部
Bx 取っ手付き箱体(箱体)
Pr 突起部(突起)
Wv 案内板(案内壁)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を把持する把持部と、被ガイド部とを有するロボットハンドと、
前記ロボットハンドで把持する前記物品を載置する物品載置棚と
を備え、
前記ロボットハンドは、前記物品載置棚に対して直線運動可能であって、前記物品載置棚から前記物品を直動して引き出すか押し出し、或いは前記物品載置棚に前記物品を直動して収納するように構成され、
前記物品載置棚は、前記物品を載置する棚板と、直線運動中の前記ロボットハンドを案内する案内壁とを有し、
前記直線運動中の前記ロボットハンドは、前記案内壁に前記被ガイド部が接触しながら案内される、
物品搬送ロボットシステム。
【請求項2】
被ガイド部を有し、物品を押し出す押出部と、
前記押出部で押し出す前記物品を載置する物品載置棚と
を備え、
前記押出部は、前記物品載置棚に対して直線運動可能であって、前記物品載置棚から前記物品を直動して押し出し、或いは前記物品載置棚に前記物品を直動して収納するように構成され、
前記物品載置棚は、前記物品を載置する棚板と、直線運動中の前記押出部を案内する案内壁とを有し、
前記直線運動中の前記押出部は、前記案内壁に前記被ガイド部が接触しながら案内される、
物品搬送ロボットシステム。
【請求項3】
直動可能である把持部と被ガイド部とを有するロボットハンドと、前記ロボットハンドを移動させる移動機構とを備える搬送装置の搬送対象となる物品を載置する物品載置棚であって、
棚板と、
前記棚板の上面から上方に向かって延びるか前記棚板の下面から下方に向かって延びており、互いに平行になるように配設される複数の案内壁と
を備え、
前記案内壁は、前記被ガイド部に接触されながら前記ロボットハンドを案内する、
物品載置棚。
【請求項4】
前記物品には、幅方向に延びる突起が存在し、
前記案内壁は、前記突起に接触しない間隔で設置されている
請求項3に記載の物品載置棚。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送ロボットシステムおよび物品載置棚に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「鍵付きロボットアームで自動的に紙幣格納容器を開錠した後、ロボットハンド付きロボットアームで自動的に紙幣格納容器から紙幣を取り出すシステム」が提案されている(例えば、特開2020-57431号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-57431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現状、紙幣格納容器は、車輪付きの移動棚に載置された状態で人手によってシステムの設置場所まで配送された後に、人手でシステムの入口に置かれている。紙幣が収容された状態の紙幣格納容器は通常3~4kgの重さになるため、上記移動棚から紙幣格納容器を下ろす作業は比較的過酷なものとなっている。また、現状、空になった紙幣格納容器を、再度、上述の移動棚に積み込む作業も人手で行われており、この作業も比較的過酷なものとなっている。このため、最近、このような積み下ろし作業もロボットを用いることによって自動化してほしいとの要望の声が聞かれる。
【0005】
本発明の課題は、棚に載置された箱体等の物品を下ろす作業、および、箱体等の物品を棚に積み込む作業の少なくとも一方の作業を自動的に行うことができる物品搬送ロボットシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に係る物品搬送ロボットシステムは、ロボットハンドおよび物品載置棚を備える。なお、ここにいう「システム」とは、物品搬送に用いられる装置(ロボットハンド付きロボットアーム等)および棚(物品載置棚等)等のセットを意味している。また、ロボットハンドは、ロボットアームなどの搬送装置に取り付けられており、そのような搬送装置によって三次元空間を移動自在とされている。ロボットハンドは、把持部と、被ガイド部とを有する。把持部は、物品を把持する。物品載置棚は、物品を載置するものである。なお、この物品は、人手もしくはロボットハンドによって物品載置棚に載置(収容)されるか、物品載置棚に載置された状態でロボットハンドにより引き出されるか押し出される。ロボットハンドは、物品載置棚に対して直線運動可能である。上述の通り、このロボットハンドは、物品載置棚から物品を直動して引き出すか押し出し、或いは物品載置棚に物品を直動して収納するように構成されている。物品載置棚は、棚板および案内壁を有する。棚板には、物品が載置される。案内壁は、直線運動中のロボットハンドを案内する。また、直線運動中のロボットハンドは、案内壁に被ガイド部が接触しながら案内される。
【0007】
このため、この物品搬送ロボットシステムを用いることによって物品載置棚に載置された物品を下ろす作業、あるいは、物品を棚に積み込む作業を自動的且つスムースに行うことができる。
【0008】
本発明の第2局面に係る物品搬送ロボットシステムは、押出部および物品載置棚を備える。なお、ここにいう「システム」とは、物品搬送に用いられる装置(押出部付きロボットアーム等)および棚(物品載置棚等)等のセットを意味している。また、押出部は、ロボットアームなどの搬送装置に取り付けられており、そのような搬送装置によって三次元空間を移動自在とされている。押出部は、被ガイド部を有し、物品を押し出す。物品載置棚は、物品を載置するものである。なお、この物品は、人手もしくは押出部によって物品載置棚に載置(収容)されるか、物品載置棚に載置された状態で押出部により押し出される。押出部は、物品載置棚に対して直線運動可能である。上述の通り、この押出部は、物品載置棚から物品を直動して押し出し、或いは物品載置棚に物品を直動して収納するように構成されている。物品載置棚は、棚板および案内壁を有する。棚板には、物品が載置される。案内壁は、直線運動中の押出部を案内する。また、直線運動中の押出部は、案内壁に被ガイド部が接触しながら案内される。
【0009】
このため、この物品搬送ロボットシステムを用いることによって物品載置棚に載置された物品を下ろす作業、あるいは、物品を棚に積み込む作業を自動的且つスムースに行うことができる。
【0010】
本発明の第3局面に係る物品載置棚は、直動可能である把持部と被ガイド部とを有するロボットハンドと、前記ロボットハンドを移動させる移動機構とを備える搬送装置の搬送対象となる物品を載置する物品載置棚である。そして、この物品載置棚は、棚板および案内壁を有する。複数の案内壁は、棚板の上面から上方に向かって延びるか前記棚板の下面から下方に向かって延びている。そして、これらの案内壁は、互いに平行になるように配設されている。また、案内壁は、被ガイド部に接触されながらロボットハンドを案内する。
【0011】
このため、この物品載置棚は、ロボットハンドに対して物品の積み下ろしをスムースに行わせることができる。
【0012】
本発明の第4局面に係る物品載置棚は、第3局面に係る物品載置棚であって、物品には、幅方向に延びる突起が存在する。また、案内壁は、突起に接触しない間隔で設置されている。
【0013】
このため、この物品載置棚は、突起付きの物品であってもロボットハンドに対して物品の積み下ろしをスムースに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドを正面側の左斜め上からみたときの斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドを背面側の右斜め上からみたときの斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドを正面側の右斜め下からみたときの斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドの左側面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドの正面図である。
図6図5のI-I断面図である。
図7図5のII-II断面図である。
図8】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドにおいて多関節伸縮リンク機構が伸びている状態の左側面図である。
図9】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドにおいて多関節伸縮リンク機構が伸び切った状態の左側面図である。
図10】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンドの着脱式ぜんまいバネユニットの斜視図である。
図11】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚の正面図である。
図12】本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚の右側面図である。
図13図11の囲い部分Xの拡大図である。
図14】変形例(L)に係る箱体搬送ロボットシステムの全体構成を示すイメージ図である。
図15】変形例(L)に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットアームおよび押出部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの構成>
本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムは、移動棚200に載置された取っ手付き箱体Bxを下ろす作業、あるいは、取っ手付き箱体Bxを移動棚200に積み込む作業を行うために利用され、主に、ロボットハンド100、ロボットアームRA、制御装置および移動棚200から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0016】
1.ロボットハンド
ロボットハンド100は、図1から図9に示されるように、主に、電動機110、フレーム120、リンク機構130、吸着ヘッドユニット140、着脱式ぜんまいバネユニット150、可撓チューブ160、センサ取付板170および距離センサ180から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0017】
(1)電動機
電動機110は、正逆回転可能な電動機であって、その回転軸がボールネジ115の回転軸と一致するようにボールネジ115に取り付けられている。すなわち、このボールネジ115は、電動機110の回転方向を切り換えることによって水平スライダ(後述)SHのスライド方向を切り換えることができる。なお、本実施の形態においてこの電動機110には負荷検出装置(図示せず)が接続されており、同負荷検出装置によって電動機110の負荷が検出される。
【0018】
(2)フレーム
フレーム120は、図1から図9に示されるように、主に、天板121、底板122、背面板123、後方側面板124および前方側面L字板125から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0019】
天板121は、図1等に示されるように略長方形状の板部材であってロボットハンド100の上側を覆っている。図1図4に示されるように、この天板121の前部の下側には、回転軸が後端に向かって延びるように電動機110が固定されている。また、図1および図2に示されるように天板121の長手方向の中央位置よりも僅か後側にロボットアーム取付用の金具128が装着されている。また、図3および図4等に示されるように、この天板121の裏側(下面側)にはボールネジ115が配設されている。
【0020】
底板122は、図3等に示されるように略長方形状の板部材であって、ロボットハンド100の下側を覆っている。なお、この底板122のうち前側部分122A(図1および図3参照)は、物品の載置台として機能する。また、図3等に示されるように、この底板122の略中央には長方形状の開口OPが形成されている。この開口OPは、着脱式ぜんまいバネユニット150を装着することができる大きさとされている。また、図3に示されるように、この底板122の開口OPの両側の縁部には支持爪122Bが設けられている。この支持爪122Bは、着脱式ぜんまいバネユニット150のシャフト153を着脱自在に支持するものである。また、この底板122の裏側面の前端部分および後端部分にはそれぞれ左右一対の脚LGが取り付けられており、底板122の開口OPのやや後側の裏側面にセンサ取付板170が取り付けられている。
【0021】
背面板123は、図1および図4に示されるように略長方形状の板部材であって、ロボットハンド100の背面側を覆っている。また、この背面板123の前面には後側垂直レールRVrおよび後側支持突起部123Aが形成されている。図6および図7に示されるように、この後側垂直レールRVrには、上下方向にスライド移動自在となるように後側垂直スライダSVrが取り付けられている。後側支持突起部123Aは、背面板123の前面から前方に延びる突起部位である。後述の通り、この後側支持突起部123Aには、第4リンクピンP4によって第2節K2が基端部で回動自在に取り付けられている。
【0022】
後方側面板124は、天板121および底板122を支持する支柱として機能するものであって、図1および図2に示されるように背面板123の後側に左右一対設けられている。
【0023】
前方側面L字板125は、側面視において略L字状を呈する板部材であって、図1および図4等に示されるように、ロボットハンド100の前端部の側面を覆っている。この前方側面L字板125は、図1および図4等に示されるように、主に、垂直側壁部125Aおよび水平側壁部125Bから形成されている。垂直側壁部125Aは、後方側面板124と同様、天板121および底板122を支持する支柱として機能している。一方、水平側壁部125Bは、図1等に示されるように底板122の前側部分122Aにおける側壁となり、吸着ヘッドユニット140を前方に導く案内壁として機能する。具体的には、この水平側壁部125Bの内側面に対して吸着ヘッドユニット140のガイドローラ145が接触して転がりながら吸着ヘッドユニット140を前方に導くことになる。また、図1等に示される通り、水平側壁部125Bの前部は幅方向外方に向かって僅かに開いている。これは、吸着ヘッドユニット140が引き込んでくる物品を受け入れやすいようにするためである。
【0024】
(3)リンク機構
リンク機構130は、例えば、マジックハンド等に利用される伸縮可能なレージトング式リンク機構であって、本実施の形態では図6図9に示されるように14本の節(リンク)K1~14、21本のリンクピンP1~23、後側垂直スライダSVrおよび水平スライダSHから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0025】
節(リンク)K1~14は板棒状の部材であり、リンクピンP1~23は節K1~14の基端部、中央部および先端部を軸支してリンク機構130を形成する部材である。なお、以下、節(リンク)K1~14およびリンクピンP1~23のみで構成された構造体を伸縮構造体と称することがある。また、この図中、この伸縮構造体を符号KPで示す。
【0026】
ここで、第1節K1は、第1リンクピンP1によって基端部で後側垂直スライダSVrに対して回動自在に取り付けられている(図6図9等参照)。また、この第1節K1は、第2リンクピンP2によって中央部で第2節K2の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第3リンクピンP3によって先端部で第4節K4の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。なお、図7~9等に示されるように、この第3リンクピンP3には水平スライダSHが連結されている。
【0027】
第2節K2は、第4リンクピンP4によって基端部で後側支持突起部123Aに対して回動自在に取り付けられている(図6図9等参照)。また、この第2節K2は、第2リンクピンP2によって中央部で第1節K1の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第5リンクピンP5によって先端部で第3節K3の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0028】
第3節K3は、第5リンクピンP5によって基端部で第2節K2の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第6リンクピンP6によって中央部で第4節K4の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第7リンクピンP7によって先端部で第6節K6の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0029】
第4節K4は、第3リンクピンP3によって基端部で第1節K1の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第6リンクピンP6によって中央部で第3節K3の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第8リンクピンP8によって先端部で第5節K5の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0030】
第5節K5は、第8リンクピンP8によって基端部で第4節K4の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第9リンクピンP9によって中央部で第6節K6の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第10リンクピンP10によって先端部で第8節K8の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0031】
第6節K6は、第7リンクピンP7によって基端部で第3節K3の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第9リンクピンP9によって中央部で第5節K5の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第11リンクピンP11によって先端部で第7節K7の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0032】
第7節K7は、第11リンクピンP11によって基端部で第6節K6の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第12リンクピンP12によって中央部で第8節K8の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第13リンクピンP13によって先端部で第10節K10の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0033】
第8節K8は、第10リンクピンP10によって基端部で第5節K5の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第12リンクピンP12によって中央部で第7節K7の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第14リンクピンP14によって先端部で第9節K9の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0034】
第9節K9は、第14リンクピンP14によって基端部で第8節K8の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第15リンクピンP15によって中央部で第10節K10の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第16リンクピンP16によって先端部で第12節K12の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0035】
第10節K10は、第13リンクピンP13によって基端部で第7節K7の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第15リンクピンP15によって中央部で第9節K9の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第17リンクピンP17によって先端部で第11節K11の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0036】
第11節K11は、第17リンクピンP17によって基端部で第10節K10の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第18リンクピンP18によって中央部で第12節K12の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第19リンクピンP19によって先端部で第14節K14の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0037】
第12節K12は、第16リンクピンP16によって基端部で第9節K9の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第18リンクピンP18によって中央部で第11節K11の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第20リンクピンP20によって先端部で第13節K13の基端部に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0038】
第13節K13は、第20リンクピンP20によって基端部で第12節K12の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第21リンクピンP21によって中央部で第14節K14の中央部に対して回動可能に取り付けられている(図6および図7等参照)。また、この第13節K13は、第22リンクピンP22によって先端部で吸着ヘッドユニット140の前側支持突起部146に対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0039】
第14節K14は、第19リンクピンP19によって基端部で第11節K11の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第21リンクピンP21によって中央部で第13節K13の中央部に対して回動可能に取り付けられている(図6および図7等参照)。また、この第14節K14は、第23リンクピンP23によって先端部で吸着ヘッドユニット140の前側垂直スライダSVfに対して回動可能に取り付けられている(図6図9等参照)。
【0040】
なお、上述の通りに構成された伸縮構造体KPにおいて、14本の節K1~14は、仮想の垂直面Fp(図5参照。同垂直面Fpは、図5のI-I断面と重なる面になる。)に平行な仮想面に沿って移動することになる。
【0041】
後側垂直スライダSVrは、上述の通り、背面板123の後側垂直レールRVrを上下方向にスライド可能である(図6および図7等参照)。なお、この後側垂直スライダSVrは、水平スライダSHの前進に伴って上昇し、水平スライダSHの後退に伴って下降する。
【0042】
水平スライダSHは、図6および図7等に示されるようにボールネジ115に噛み合っており、ボールネジ115が正転した場合に前進し、ボールネジ115が逆転した場合に後退する。また、この水平スライダSHは、図7~9等に示されるように第3リンクピンP3に連結されている。すなわち、この水平スライダSHが前後動することによって伸縮構造体KPが伸縮することになる。
【0043】
(4)吸着ヘッドユニット
吸着ヘッドユニット140は、図1および図5に示されるように、主に、前面パネル141、支持板142、吸着パッドユニット143、車輪144、ガイドローラ145、前側垂直レールRVf、前側垂直スライダSVfおよび前側支持突起部146から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0044】
前面パネル141は、図5に示されるように、正面視において逆凸字状を呈する板部材であって、主に、主板部141aおよび下側突起部141bから構成されている。主板部141aは、図5に示されるように正面視において略長方形状の板部位である。図5に示されるように、正面視において、主板部141aの下側部位の左右両端部には吸着パッド143bが3つずつ固定されている。なお、左右の吸着パッド143bの距離は、取っ手付き箱体Bxの取っ手TOが縦方向に向いたときにその取っ手TOと重ならず取っ手TOを挟みこむ距離とされている。また、図2図6および図7に示される通り、この主板部141aの裏側面の上部から後方に向かって前側支持突起部146が延びている。また、図8および図9に示される通り、この主板部141aの裏側面の幅方向両端部から後方に向かって支持板142が延びている。また、図6および図7に示されるように、この主板部141aの裏側面には、上下方向に沿って前側垂直レールRVfが配設されている。下側突起部141bは、図5に示されるように正面視において略正方形の板部位であって、主板部141aの下辺中央から下方に向かって延びている。この下側突起部141bには、着脱式ぜんまいバネユニット150の締結ブロック154がネジ止めされる。なお、この際用いられるネジは着脱自在なネジである。
【0045】
支持板142は、図8および図9に示されるように吸着パッドユニット143の配管ユニット143aを支持するための板部材であって、上述の通り、前面パネル141の主板部141aの裏側面の幅方向両端部から後方に向かって延びている。また、この支持板142の前側の下部には一対の車輪144が軸支されている。
【0046】
吸着パッドユニット143は、図1および図2等に示されるように、主に、配管ユニット143a、吸着パッド143bおよび弾性連接管143cから構成されている。配管ユニット143aは、1本の主管MPおよび3本の分岐管BPから構成されている。なお、主管MPは3本全ての分岐管BPと連通している。そして、図7および図8に示されるように、主管MPには基端側で可撓チューブ160と接合されており、各分岐管BPには弾性連接管143cが接合されている。そして、各弾性連接管143cの先端側に吸着パッド143bが接合されている。なお、弾性連接管143cには、コイルスプリング等の弾性部が設けられている。弾性部は、弾性連接管143cの先端部を前方に付勢している。すなわち、吸着パッド143bは、弾性連接管143cの先端部を介して前方に向かって付勢されている。このため、吸着パッド143bが物品に当接して吸着パッド143bに負荷がかかった場合、弾性連接管143cの先端部および吸着パッド143bは、弾性部の弾性力に抗して僅かに後退し、負荷がかからなくなると弾性部の弾性力によって元の位置に復帰する。吸着パッド143bは、可撓性素材から形成される伸縮可能な部材である。
【0047】
車輪144は、上述の通り、支持板142の前側の下部に軸支されている。すなわち、この車輪144の回転軸は幅方向に平行な方向に沿うことになる。この車輪144は、フレーム120の底板122の前側部分122Aの上面上を転がると共に、フレーム120の底板122の前側部分122Aの前端部を超えると移動棚200の棚板220の上を転がっていく。
【0048】
ガイドローラ145は、上下方向を回転軸とする柱状の回転体であって、上述の通り、前方側面L字板125の水平側壁部125Bの内側面に接触して転がりながら吸着ヘッドユニット140を前方に導く。また、ガイドローラ145は、移動棚200の案内板Wvの内側面に接触して転がりながら吸着ヘッドユニット140を前方に導く。
【0049】
前側垂直レールRVfは、図6および図7に示されるように、前面パネル141の裏側面において上下方向に沿って延びている。この前側垂直レールRVfには、上下方向にスライド移動自在となるように前側垂直スライダSVfが取り付けられている(図6および図7等参照)。
【0050】
前側垂直スライダSVfは、上述の通り、前側垂直レールRVfを上下方向にスライド可能である。なお、この前側垂直スライダSVfは、水平スライダSHの前進に伴って上昇し、水平スライダSHの後退に伴って下降する。また、上述の通り、この前側垂直スライダSVfには、第23リンクピンP23によって第14節K14が先端部で回動可能に取り付けられている。
【0051】
前側支持突起部146は、前面パネル141の裏側面から後方に延びる突起部位である。上述の通り、この前側支持突起部146には、第22リンクピンP22によって第13節K13が先端部で回動自在に取り付けられている。
【0052】
(5)着脱式ぜんまいバネユニット
着脱式ぜんまいバネユニット150は、図10に示されるように、主に、ぜんまいバネ151、ホルダ152、シャフト153および締結ブロック154から構成されている。ぜんまいバネ151は、従前から存在するものであって、ホルダ152に巻き付くように付勢されている。すなわち、人の手でぜんまいバネ151が延ばされた後、人の手が離されるとぜんまいバネ151はその付勢力によってホルダ152に巻き付く。ホルダ152は、ぜんまいバネ151の片端を保持する円柱状の保持部材(ボビン)である。シャフト153は、図10に示されるようにホルダ152の軸方向に沿ってホルダ152の両方向に向かって延びている。なお、このシャフト153は、上述の通り、図3に示される支持爪122Bによって着脱自在に支持される。締結ブロック154は、ぜんまいバネ151のもう片端を吸着ヘッドユニット140の前面パネル141の下側突起部141bに固定するための部材であって、上述の通り、吸着ヘッドユニット140の前面パネル141の下側突起部141bにねじ止めされる。
【0053】
(6)可撓チューブ
可撓チューブ160は、図1および図2等に示される通り、元配管SPの出口側に接合されていると共に、上述の通り、吸着パッドユニット143の主管MPの基端側に接合されている。なお、図1および図2等に示されるように、元配管SPの入口には配管口MSが接合されており、その配管口MSはフレーム120の天板121の後端部に設けられている。また、この可撓チューブ160は、図8および図9に示されているように、リンク機構130の最伸長状態時にも対応する十分な長さとされている。
【0054】
(7)センサ取付板
センサ取付板170は、上述の通り、フレーム120の底板122の開口OPのやや後側の裏側面に取り付けられており、その両端側に距離センサ180を保持している。
【0055】
(8)距離センサ
距離センサ180は、正面側に位置する物体との距離を検出するセンサであって、上述の通り、センサ取付板170の両端側に保持されている。
【0056】
2.ロボットアーム
ロボットアームRAは、特に限定されないが、例えば、既存の六軸ロボットアーム等である(図14および図15参照)。
【0057】
3.制御装置
制御装置は、ロボットハンド100およびロボットアームRAにそれぞれ通信接続されており、ロボットハンド100やロボットアームRAに対して制御信号を送ると共に、ロボットハンド100やロボットアームRAから各種信号を受信している。なお、特に、この制御装置は、ロボットハンド100の電動機110や、減圧ポンプに通信接続されており、電動機110の回転方向や減圧ポンプの発停等を制御している。
【0058】
4.移動棚
移動棚200は、取っ手付き箱体Bxを収納するためのものであって、図11図13に示されるように、底壁210、天壁230、支柱240、仕切り壁250、棚板220、案内板Wvおよび車輪Trから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0059】
底壁210および天壁230は、図11および図12に示されるように、同寸法を有する方形の板部材である。底壁210には、取っ手付き箱体Bxを載置することが可能である。
【0060】
支柱240は、図11および図12に示されるように、天壁230を支持するためのものであって、底壁210の上面の四隅から天壁230の下面の四隅まで延びている。
【0061】
仕切り壁250は、図11および図12に示されるように、底壁210、天壁230および支柱240によって囲まれる空間を、幅方向に2つに仕切るための壁であって、底壁210の幅方向中央部から天壁230の幅方向中央部まで延びている。
【0062】
棚板220は、取っ手付き箱体Bxを載置するためのものであって、図11および図12に示されるように、底壁210および天壁230とほぼ同じ奥行寸法と、底壁210および天壁230の半分程度の幅寸法とを有する方形の板部材である。棚板220は、図11および図12に示されるように、底壁210、天壁230、支柱240および仕切り壁250によって囲まれる2つの空間をそれぞれ、高さ方向に6つに仕切っている。言い換えれば、棚板220は、図11および図12に示されるように、底壁210、天壁230、支柱240および仕切り壁250によって囲まれる2つの空間にそれぞれ5つずつ配設されている。
【0063】
案内板Wvは、ロボットハンド100の吸着ヘッドユニット140を移動棚200の奥や手前へと導くためのものであって、図11に示されるように、底壁210、天壁230、支柱240、仕切り壁250および棚板220によって囲まれる12つの空間にそれぞれ6つずつ配設されている。また、案内板Wvは、図11図13に示されるように、前側案内板Wv1および後側案内板Wv2から形成されている。前側案内板Wv1は、図11図13に示されるように、底壁210および棚板220の上面の前部から垂直方向に沿って上方に延びる略矩形の壁部材であって、隣接する前側案内板Wv1と前側案内板Wv1とが平行になるように奥行方向に沿って配設されている。後側案内板Wv2は、図12に示されるように、底壁210および棚板220の上面の後部から垂直方向に沿って上方に延びる略矩形の壁部材であって、隣接する後側案内板Wv2と後側案内板Wv2とが平行になるように奥行方向に沿って配設されている。なお、図12に示されるように、前側案内板Wv1および後側案内板Wv2との間に隙間Wv3が形成されるように、前側案内板Wv1および後側案内板Wv2は一定距離離間している。
【0064】
また、案内板Wvは、図11および図13に示されるように、取っ手付き箱体Bxに形成される突起部Pr(後述)に接触しない間隔で配設されている。すなわち、図11および図13に示されるように、隣接する案内板Wvと案内板Wvとの間の幅寸法は、突起部Prを含めた取っ手付き箱体Bxの幅寸法より大きくなるように設計されている。
【0065】
車輪Trは、従前から存在するキャスター等であって、図11および図12に示されるように、底壁210の下面の四隅に取り付けられている。車輪Trによりこの移動棚200は移動可能となっている。
【0066】
なお、図11および図12に示されるように、この移動棚200には正面壁および背壁は設けられていない。このため、この移動棚200では、正面側のみならず背面側からも底壁210および棚板220に取っ手付き箱体Bxを載置することができる。
【0067】
<本発明の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの制御例>
ここでは、移動棚200から取っ手付き箱体Bxを引き出す際のロボットハンド100、ロボットアームRAおよび制御装置の制御例、および、移動棚200に取っ手付き箱体Bxを収納する際のロボットハンド100、ロボットアームRAおよび制御装置の制御例について説明する。
【0068】
なお、上記制御例の説明の前に先ず取っ手付き箱体Bxについて簡単に説明する。取っ手付き箱体Bxは、図11図13に示されるように、略直方体形状を呈しており、底壁、天壁、前壁、背壁、右側壁および左側壁から形成されている。底壁および天壁は、同寸法を有する方形の板部材である。前壁は、取っ手付き箱体Bxの前面を構成する部位であって、底壁の前端から天壁の前端まで延びている。なお、図11図13に示されるように、前壁には取っ手TOが取り付けられている。背壁は、取っ手付き箱体Bxの背面を構成する部位であって、底壁の後端から天壁の後端まで延びている。右側壁は、取っ手付き箱体Bxの右側面を構成する矩形部位であって、底壁の右端から天壁の右端まで延びている。左側壁は、取っ手付き箱体Bxの左側面を構成する矩形部位であって、底壁の左端から天壁の左端まで延びている。なお、取っ手付き箱体Bxには、図11および図13に示されるように、右側壁および左側壁から外方(幅方向)に延びる突起部Prが形成されている。この突起部Prの下端は、図11図13に示されるように移動棚200の案内板Wvの上端より下側に位置している(言い換えれば、側面視において突起部Prの少なくとも一部が、案内板Wvに重なるように位置している。)。
【0069】
(1)移動棚から取っ手付き箱体を引き出す際のロボットハンド、ロボットアームおよび制御装置の制御例
先ず、箱体搬送ロボットシステムの使用者は、移動棚200を規定の位置に規定の向きで固定してからロボットハンド100、ロボットアームRAおよび制御装置を作動させる。ロボットハンド100、ロボットアームRAおよび制御装置が作動し始めると、初期位置で待機しているロボットハンド100が、ロボットアームRAによって、規定の高さ方向位置にまで持ち上げられると共に幅方向位置にまで移動させられながら、ロボットハンド100の正面が移動棚200の正面と対向し且つ伸縮構造体KPの構成面(仮想の垂直面Fp)が鉛直方向に平行になるように姿勢制御される。このとき、ロボットハンド100に設けられる一対の距離センサ180が、隣接する案内板Wvと案内板Wv(隣接する前側案内板Wv1と前側案内板Wv1、または、隣接する後側案内板Wv2と後側案内板Wv2)とに対向している。次に、一対の距離センサ180の検出距離の差が許容範囲に収まるように(理想的には検出距離の差が0になるように)ロボットアームRAによってロボットハンド100の姿勢が制御される(このとき、ロボットハンド100は、隣接する案内板Wvと案内板Wvとにほぼ正対している。)。次いで、ロボットハンド100の電動機110が作動し始め、リンク機構130が伸びていく。そして、吸着ヘッドユニット140が移動棚200にまで到達すると、ガイドローラ145が、隣接する案内板Wvと案内板Wvとに接触しながら、移動棚200の奥行方向に沿って吸着ヘッドユニット140を移動棚200の奥へと導く。この際、車輪144は移動棚200の底壁210または棚板220を転がっていく。そして、負荷検出装置によって検出される電動機110の負荷が閾値を超過すると、電動機110を一旦停止させると共に減圧ポンプを動作させて吸着パッド143bによって取っ手付き箱体Bxを吸着させる。その後、電動機110を逆転させて、リンク機構130を縮ませると、ガイドローラ145が、隣接する案内板Wvと案内板Wvとに接触しながら、移動棚200の奥行方向に沿って吸着ヘッドユニット140を移動棚200の手前へと導く。そして、最終的にロボットハンド100を初期状態(収縮状態)に戻させる。このとき、ロボットハンド100の底板122の前側部分122Aに取っ手付き箱体Bxが載置されている(すなわち、取っ手付き箱体Bxが、移動棚200から引き出されている。)。この状態で、ロボットアームRAがロボットハンド100を搬送先(例えば、ベルトコンベアの始発位置等)まで移動させる。ロボットアームRAによりロボットハンド100が搬送先に到達すると、ロボットハンド100の電動機110が作動し始め、リンク機構130が伸びていき、吸着ヘッドユニット140によって取っ手付き箱体Bxが搬送先に押し出される。
【0070】
(2)移動棚に取っ手付き箱体を収納する際のロボットハンド、ロボットアームおよび制御装置の制御例
先ず、箱体搬送ロボットシステムの使用者は、移動棚200を規定の位置に規定の向きで固定してからロボットハンド100、ロボットアームRAおよび制御装置を作動させる。ロボットハンド100、ロボットアームRAおよび制御装置が作動し始めると、初期位置で待機しているロボットハンド100が、ロボットアームRAによって、取っ手付き箱体Bxが置かれた箱体受取先(例えば、ベルトコンベアの終着位置等)まで移動させられる。より詳細には、「ロボットハンド100の正面が、箱体受取先に置かれた取っ手付き箱体Bxの前壁と対向し」、且つ、「ロボットハンド100の底板122の前側部分122Aに取っ手付き箱体Bxが載置された際に、ロボットハンド100の底板122の前側部分122Aと取っ手付き箱体Bxの底壁とが接触する」ように、ロボットハンド100がロボットアームRAによって移動させられる。ロボットアームRAによりロボットハンド100が箱体受取先に到達すると、ロボットハンド100の電動機110が作動し始め、リンク機構130が伸びていく。そして、吸着ヘッドユニット140が取っ手付き箱体Bxの前壁にまで到達すると、電動機110を一旦停止させると共に減圧ポンプを動作させて吸着パッド143bによって取っ手付き箱体Bxを吸着させる。その後、電動機110を逆転させて、リンク機構130を縮ませ、初期状態(収縮状態)に戻させる。このとき、ロボットハンド100の底板122の前側部分122Aに取っ手付き箱体Bxが載置されている。この状態で、ロボットアームRAがロボットハンド100を移動棚200まで移動させる。そして、ロボットハンド100が、ロボットアームRAによって、規定の高さ方向位置にまで持ち上げられると共に幅方向位置にまで移動させられながら、ロボットハンド100の正面が移動棚200の正面と対向し且つ伸縮構造体KPの構成面(仮想の垂直面Fp)が鉛直方向に平行になるように姿勢制御される。このとき、ロボットハンド100に設けられる一対の距離センサ180が、隣接する案内板Wvと案内板Wv(隣接する前側案内板Wv1と前側案内板Wv1、または、隣接する後側案内板Wv2と後側案内板Wv2)とに対向している。次に、一対の距離センサ180の検出距離の差が許容範囲に収まるように(理想的には検出距離の差が0になるように)ロボットアームRAによってロボットハンド100の姿勢が制御される(このとき、ロボットハンド100は、隣接する案内板Wvと案内板Wvとにほぼ正対している。)。次いで、ロボットハンド100の電動機110が作動し始め、リンク機構130が伸びていく。そして、吸着ヘッドユニット140および取っ手付き箱体Bxが移動棚200にまで到達すると、ガイドローラ145が、隣接する案内板Wvと案内板Wvとに接触しながら、移動棚200の奥行方向に沿って吸着ヘッドユニット140および取っ手付き箱体Bxを移動棚200の奥へと導く。この際、車輪144は移動棚200の底壁210または棚板220を転がっていく。そして、負荷検出装置によって検出される電動機110の負荷が閾値を超過すると、電動機110を一旦停止させると共に減圧ポンプを停止させて、吸着パッド143bから取っ手付き箱体Bxを放させる。これにより、取っ手付き箱体Bxを移動棚200に収納することができる。その後、電動機110を逆転させて、リンク機構130を縮ませると、ガイドローラ145が、隣接する案内板Wvと案内板Wvとに接触しながら、移動棚200の奥行方向に沿って吸着ヘッドユニット140を移動棚200の手前へと導く。そして、最終的に、ロボットハンド100を初期状態(収縮状態)に戻させ、ロボットハンド100が、ロボットアームRAによって、初期位置まで移動させられる。
【0071】
なお、以上のロボットアームRAおよびロボットハンド100の動作は全て、ロボットアームRAおよびロボットハンド100に通信接続される制御装置によって実現される。
【0072】
<本実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの特徴>
(1)
本実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムでは、移動棚200は、取っ手付き箱体Bxを載置するための底壁210および棚板220と、ロボットハンド100の吸着ヘッドユニット140を移動棚200の奥や手前へ導くための案内板Wvとを有している。案内板Wvは、底壁210および棚板220の上面から垂直方向に沿って上方に延びると共に、隣接する案内板Wvと案内板Wvとが平行になるように奥行方向に沿って配設されている。また、ロボットハンド100は、移動棚200に載置された取っ手付き箱体Bxを吸着パッド143bによって吸着した後、電動機110を逆転させてリンク機構130を縮ませ、隣接する案内板Wvと案内板Wvとにガイドローラ145を接触させながら、移動棚200の奥行方向に沿って吸着ヘッドユニット140を移動棚200の手前へと導き、取っ手付き箱体Bxを移動棚200から引き出すことができる。あるいは、ロボットハンド100の底板122の前側部分122Aに取っ手付き箱体Bxが載置された状態で、ロボットハンド100は、電動機110を作動させてリンク機構130を伸ばし、隣接する案内板Wvと案内板Wvとにガイドローラ145を接触させながら、移動棚200の奥行方向に沿って吸着ヘッドユニット140および取っ手付き箱体Bxを移動棚200の奥へと導き、吸着パッド143bから取っ手付き箱体Bxを放して取っ手付き箱体Bxを移動棚200に収納することができる。このため、この箱体搬送ロボットシステムを用いることによって、移動棚200に載置された取っ手付き箱体Bxを下ろす作業、あるいは、取っ手付き箱体Bxを移動棚200に積み込む作業を自動的且つスムースに行うことができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムでは、移動棚200の案内板Wvは、取っ手付き箱体Bxの突起部Prに接触しない間隔で配設されている。このため、この箱体搬送ロボットシステムを用いることによって、突起部Prが形成された取っ手付き箱体Bxであってもロボットハンド100に対して取っ手付き箱体Bxの積み下ろしをスムースに行わせることができる。
【0074】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムではロボットアームRAにロボットハンド100が連結されていたが、ロボットハンド100は、フレーム式の移動機構に連結されていてもよい。また、ロボットハンド100は、常に、伸縮構造体KPの構成面(仮想の垂直面Fp)が鉛直方向に平行になるように取り付けられてもよい。
【0075】
(B)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンド100では駆動源として電動機110が採用されると共に伸縮構造体KPの伸縮を実現する機構としてボールネジ115および水平スライダSHから成る機構が採用されたが、(i)駆動源および伸縮機構としてエアシリンダや油圧シリンダ等が採用されてもよいし、(ii)駆動源として電動機が採用されると共に伸縮構造体KPの伸縮を実現する機構としてラック・アンド・ピニオン機構が採用されてもよいし、(iii)駆動源として電動機が採用されると共に伸縮構造体KPの伸縮を実現する機構として株式会社椿本チエイン製のジップチェーンアクチュエータ(登録商標)が採用されてもよいし、(iv)駆動源として電動機が採用されると共に伸縮構造体KPの伸縮を実現する機構としてSERAPID社製のROLLBEAMが採用されてもよい。
【0076】
(C)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンド100では伸び切った伸縮構造体KPを初期の収縮状態に戻すことを目的として着脱式ぜんまいバネユニット150が設けられていたが、同目的を達成する他の手段として(i)コイルバネが採用されてもよいし、(ii)電動機、ワイヤおよびクラッチ等から成る機構が採用されてもよい。かかる場合、伸縮構造体KPが伸びる際にワイヤが繰り出され、伸縮構造体KPが縮む際に電動機によってワイヤが巻き取られる。
【0077】
(D)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンド100では物品の把持手段として吸着パッドユニット143が採用されたが、これに代えて二指ハンドや五指ハンド等の指付ハンドユニットや、チャックユニット等が採用されもよい。
【0078】
(E)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムのロボットハンド100では電動機110、前側支持突起部146および後側支持突起部123Aが上側に配設されていたが、電動機110、前側支持突起部146および後側支持突起部123Aは下側(例えば、底板122の下側等)に配設されてもよい。かかる場合、前側垂直スライダSVfおよび後側垂直スライダSVrの初期位置(収縮状態にあるときの位置)は、前側垂直レールRVfおよび後側垂直レールRVrの上端位置であり、前側垂直スライダSVfおよび後側垂直スライダSVrは、水平スライダSHの前進に伴って下降し、水平スライダSHの後退に伴って上昇する。
【0079】
(F)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚200では底壁210、天壁230および支柱240によって囲まれる空間を仕切り壁250が幅方向に2つに仕切っていたが、仕切り壁250は設けられなくてもよい。かかる場合、底壁210、天壁230および支柱240によって囲まれる空間が幅方向に仕切られない。または、仕切り壁250が2つ以上設けられてもよい。かかる場合、底壁210、天壁230および支柱240によって囲まれる空間が幅方向に3つ以上に仕切られる。
【0080】
(G)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚200では底壁210、天壁230、支柱240および仕切り壁250によって囲まれる2つの空間に棚板220がそれぞれ5つずつ配設されていたが、これらの空間に配設される棚板220の数は取っ手付き箱体Bxの高さに応じて適宜調整されてもよい。
【0081】
(H)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚200では案内板Wvが底壁210および棚板220の上面から垂直方向に沿って上方に延びていたが、案内板Wvが天壁230および棚板220の下面から垂直方向に沿って下方に延びていてもよい。かかる場合、取っ手付き箱体Bxの突起部Prの上端がこの案内板Wvの下端より上側に位置することが好ましい。
【0082】
(I)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚200では、案内板Wvは前側案内板Wv1および後側案内板Wv2から形成され、前側案内板Wv1および後側案内板Wv2との間に隙間Wv3が形成されるように前側案内板Wv1および後側案内板Wv2は一定距離離間していたが、前側案内板Wv1および後側案内板Wv2との間に隙間Wv3は形成されなくてもよい。すなわち、前側案内板Wv1および後側案内板Wv2が連結していてもよい。
【0083】
(J)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚200に載置される取っ手付き箱体Bxには右側壁および左側壁から外方に延びる突起部Prが形成されていたが、突起部Prは右側壁および左側壁のいずれか一方から外方に延びていてもよい。
【0084】
(K)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムの移動棚200では底壁210、天壁230、支柱240、仕切り壁250および棚板220によって囲まれる12つの空間に、案内板Wvがそれぞれ6つずつ配設されていたが、これらの空間に配設される案内板Wvの数は取っ手付き箱体Bxの幅(突起部Prを含む)に応じて適宜調整されてもよい。
【0085】
(L)
先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムでは、移動棚200の底壁210または棚板220に載置された取っ手付き箱体Bxは、ロボットハンド100の吸着パッド143bによって吸着され、移動棚200から引き出されていた。しかし、取っ手付き箱体Bxは、押出部400によって移動棚200から押し出されてもよい。以下、図14および図15を参照して、移動棚200の後側に取っ手付き箱体Bxを押し出す際の押出部400、ロボットアームRAおよび制御装置の制御例について説明する。
【0086】
なお、上記制御例を説明する前に、この変形例に係る箱体搬送ロボットシステム2と、先の実施の形態に係る箱体搬送ロボットシステムとの相違点について述べる。(i)箱体搬送ロボットシステム2では、図14に示されるように、移動棚200の棚板220の後側(取っ手付き箱体Bxが移動棚200の前側に押し出される場合、移動棚200の棚板220の前側)に箱体受取板270が配設されている。この箱体受取板270は、移動棚200から押し出された取っ手付き箱体Bxを受け取るためのものであって、移動棚200に取り付けられたり、リフト(図示せず)等に載置されたりする。(ii)そして、箱体搬送ロボットシステム2では、図14および図15に示されるように、ロボットアームRAの先端にロボットハンド100ではなく押出部400が連結されている。押出部400は、図15に示されるように、主に、本体壁410、前側垂直壁420、後側垂直壁430、シリンダ機構440、箱体当接部450、連結部460および距離センサ(図示せず)から構成されている。本体壁410は、図15に示されるように、略長方形状の板部材である。前側垂直壁420は、図15に示されるように、略台形状の板部材であって、本体壁410に垂直になるように本体壁410の前端から延びている。後側垂直壁430は、図15に示されるように、略台形状の板部材であって、本体壁410に垂直になるように本体壁410の後端から前側垂直壁420と同一方向に延びている。なお、後側垂直壁430にはロッド挿通孔(図示せず)が形成されている。シリンダ機構440は、移動棚200の奥行方向に沿って箱体当接部450を移動させるためのもの(例えば、エアシリンダ機構や油圧シリンダ機構等)であって、図15に示されるように、本体壁410の長手方向に沿って延びている。シリンダ機構440は、図15に示されるように、主に、ロッドカバー部441およびロッド(図示せず)から構成されている。ロッドカバー部441は、ロッドを収容するためのものである。また、図15に示されるように、ロッドカバー部441は前側垂直壁420および後側垂直壁430の間に配設されており、ロッドカバー部441の一方の端部が前側垂直壁420に取り付けられ、ロッドカバー部441のもう一方の端部が後側垂直壁430に取り付けられている。ロッドは、後側垂直壁430のロッド挿通孔を通ってロッドカバー部441に収容されている。ロッドの少なくとも一部がロッドカバー部441に収容される範囲内において、ロッドはロッドカバー部441の長手方向に沿って(すなわち、移動棚200の奥行方向に沿って)移動可能である。なお、このシリンダ機構440は制御装置に通信接続されており、制御装置によってロッドの移動等が制御されている。箱体当接部450は、移動棚200から取っ手付き箱体Bxを押し出すためのものであって、図15に示されるように、略円柱形状を呈しており、シリンダ機構440のロッドの端部に取り付けられている。すなわち、ロッドが移動棚200の奥行方向に沿って移動する際、箱体当接部450も移動棚200の奥行方向に沿って移動することになる。連結部460は、図15に示されるように、押出部400をロボットアームRAに連結させる部位であって、例えば、フランジ等である。距離センサ(図示せず)は、正面側に位置する物体との距離を検出するセンサであって、例えば本体壁410の両端側に保持されている。なお、この押出部400の本体壁410および箱体当接部450の少なくとも一方に、先の実施の形態に係るロボットハンド100のガイドローラ145が取り付けられるのが好ましい。
【0087】
先ず、箱体搬送ロボットシステムの使用者は、図14に示されるように、移動棚200を規定の位置に規定の向きで固定してから箱体搬送ロボットシステム作動させる。箱体搬送ロボットシステムが作動し始めると、初期位置で待機している押出部400が、ロボットアームRAによって、規定の高さ方向位置にまで持ち上げられると共に移動棚200の幅方向位置にまで移動させられながら、押出部400の箱体当接部450が移動棚200の正面と対向するように姿勢制御される。なお、ロボットアームRAは、ベルトコンベアCoによって移動棚200の幅方向に沿って移動可能であり(図14参照)、軸を中心に押出部400を旋回させることができる(図15参照)。押出部400が姿勢制御されたとき、押出部400の距離センサが、隣接する移動棚200の前側案内板Wv1と前側案内板Wv1(取っ手付き箱体Bxが移動棚200前側に押し出される場合、隣接する移動棚200の後側案内板Wv2と後側案内板Wv2)とに対向している。次に、距離センサの検出距離の差が許容範囲に収まるように(理想的には検出距離の差が0になるように)ロボットアームRAによって押出部400の姿勢が制御される(このとき、押出部400は、隣接する移動棚200の前側案内板Wv1と前側案内板Wv1とにほぼ正対している。)。次いで、押出部400のシリンダ機構440が作動し始め、ロッドおよび箱体当接部450が、移動棚200にまで到達して移動棚200の奥行方向に沿って移動棚200の奥へと移動する。これにより、移動棚200の底壁210または棚板220に載置された取っ手付き箱体Bxに箱体当接部450が当接した後、取っ手付き箱体Bxを移動棚200の後側に押し出すことができる。そして、箱体受取板270が、移動棚200から押し出された取っ手付き箱体Bxを受け取ることになる。その後、押出部400のシリンダ機構440が作動し始め、ロッドおよび箱体当接部450が、移動棚200の奥行方向に沿って移動棚200の手前へと移動する。そして、最終的に押出部400を初期状態(図15)に戻させる。
【0088】
なお、この変形例に係る箱体搬送ロボットシステム2では、箱体当接部450は略円柱形状を呈していたが、箱体当接部450の形状は略円柱形状に限定されない。
【0089】
なお、上記各変形例(A)~(L)は、単独で適用されてもよいし、組み合わせて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
100 ロボットハンド
140 吸着ヘッドユニット(把持部)
143 吸着パッドユニット(把持部)
145 ガイドローラ(被ガイド部)
200 移動棚(箱体載置棚)
220 棚板
400 押出部
Bx 取っ手付き箱体(箱体)
Pr 突起部(突起)
Wv 案内板(案内壁)