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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139021
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】方形状飯塊
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20220915BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
A23L7/10 E
A23L7/10 F
B65D65/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039222
(22)【出願日】2021-03-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2021年2月17日~2021年2月19日にデリカテッセン・トレードショー2021にて展示し、公開した。 [刊行物等] 2020年12月3日より動画投稿サイトに紹介動画を投稿し、公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】000236746
【氏名又は名称】不二精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】青木 太志
【テーマコード(参考)】
3E086
4B023
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD02
3E086BA02
3E086BA15
3E086BB51
3E086CA01
3E086CA02
4B023LC08
4B023LE11
4B023LE15
4B023LP18
4B023LP19
(57)【要約】
【課題】従来、具材が視認可能なおにぎりは丸型の飯塊にくぼみを設けそのくぼみに具材を埋め込むことで形成していたが、このような形状の場合では具材の大きさや種類に制限が多く、また、繊細な盛り付けが行えず高い美観を得られるものではなかった。そのため、具材の大きさや種類の制限を少なく、かつ繊細な盛り付けを行え高い美観が得られる飯塊を提供する。
【解決手段】本発明は、具材を内部中央の方形空間部中に収納し全体を包装シートで包装したことを特徴とする方形状飯塊に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
具材を内部中央の方形空間部中に収納し全体を包装シートで包装したことを特徴とする方形状飯塊。
【請求項2】
請求項1の具材を収納した方形状飯塊の包装シートを開封自在に包装した包装シート構造において、
包装シート本体は、方形状飯塊の上面から両側面を介して方形状飯塊の下面で折り返して重複させる上側面包被部と、
方形状飯塊の前後端面部において左右側面シートを折り込んで前後端の下面を折り返して一体溶着した前後端部包被部と、
より構成し、
しかも、包装シート本体の上面に切り裂き用帯体を溶着重複し、
方形状飯塊の一側面から他側面に伸延した帯体の先端部につまみ片を伸延し、
包装シート本体に溶着した帯体を介してつまみ片から包装シート本体を引き裂き、
方形状飯塊を具材と共に露出するように構成した方形状飯塊。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具材を内部中央の方形空間部に収納し全体を包装シートで包装した方形状飯塊に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で、具材を収納した米飯塊を包装シートで包装した製品は様々存在する。例えば略三角形状に米飯を形成したおにぎりや略丸形状に米飯形成したおにぎり等がある。
【0003】
しかしながら、現在販売されている多くのおにぎりは、具材を内部に包み込み形成されているため、外部から中身の具材を視認することができず、包装シートにかかれた文字や写真で消費者は製品を選ぶ場合が多かった。
【0004】
一方で、包装シート越しであっても、味の違いを視認することで見分けられる製品も存在する。
例えば、炊き込みご飯や混ぜ込みご飯等の米飯と具材とを混在させた製品であったり、丸形状のおにぎりの略中央部分に若干のくぼみを形成し、そのくぼみに具材を埋め込んだ製品であったりと様々な形態が存在する。
【0005】
他方では、容器中に米飯を投入し加熱を加えることで形を維持できるように形成した、お椀状の米飯塊に具材を盛り付けることを目的とした成形容器が存在する。
【0006】
上述したように具材が米飯に包まれずに露出した状態であれば、製品とした場合に具材を視認することができ、消費者へ視覚的に魅力を伝えることができる利点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、米飯と具材を混在させた製品では、具材の大きさを細かくすることが必要であり、それを可能とする具材に限定される虞がある。
【0008】
また、くぼみに具材を埋め込む製品では、丸形状のおにぎりとしているためくぼみ形状も自然と丸形状が基本となり、細かい具材や略円形状の具材は埋め込むことで外的な美観を両立することができる。
しかしながら、具材が大きい場合や略円形状以外の場合では、おにぎりの外観が丸形状で、くぼみも丸形状であることから視覚的に米飯部分と具材との均衡をとることが難しく外的な美観を得ることが困難である。
【0009】
また、椀状に形成した米飯塊を器として、内部に具材を収納した場合では、具材の収納空間が大きく確保され、高い外的美観を得ることができる。
しかしながら、上述した成形容器は、家庭で使用されることを想定しており、成形に熱を加える必要がある点や具材収納空間が大きくおにぎりのように手で持って気軽に食べることができなかった。
更には、製品として陳列する際に、具材を視認できる形態とするために米飯塊の下部で包装シートを溶着またはテープ等の接着材を用いて接着する必要があるが、米飯塊を椀状としているため、形状が複雑であり製品とする際の包装が容易に行えない虞がある。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、具材を内部中央の方形空間部中に収納し全体を包装シートで包装したことにより上記課題を解決した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来の課題を解決するために、方形状飯塊は具材を内部中央の方形空間部中に収納し全体を包装シートで包装したことに特徴を有する。
【0012】
また、具材を収納した方形状飯塊の包装シートを開封自在に包装した包装シート構造において、包装シート本体は、方形状飯塊の上面から両側面を介して方形状飯塊の下面で折り返して重複させる上側面包被部と、方形状飯塊の前後端面部において左右側面シートを折り込んで前後端の下面を折り返して一体溶着した前後端部包被部と、より構成し、しかも、包装シート本体の上面に切り裂き用帯体を溶着重複し、方形状飯塊の一側面から他側面に伸延した帯体の先端部につまみ片を伸延し、包装シート本体に溶着した帯体を介してつまみ片から包装シート本体を引き裂き、方形状の飯塊を具材と共に露出するように構成したことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、方形状の飯塊は具材を内部中央の方形空間部中に収納し全体を包装シートで包装したことにより、具材を収納する空間を広く確保することができ、収納する具材の大きさや形状に限定されず様々な種類の製品を製造可能とする効果がある。
【0014】
また、収納空間を方形状としていることで、収納する具材の大きさや形状に限定されず配置することが可能となり、高い外的美観を得られる効果がある。
【0015】
また、飯塊の形状を方形状としていることで、消費者に弁当容器を想起させ、収納する具材によっては、小さく手軽に喫食することが可能な弁当と云う個性的な美観を奏することができ消費者の注意を惹く効果がある。
【0016】
また、飯塊を方形状としていることで、包装シートで包装する際に比較的容易な形状であり、自動包装化することが可能となる効果がある。
【0017】
請求項2の発明によれば、包装シート本体に溶着した帯体と該帯体の先端部につまみ片を伸延していることで、消費者はつまみ片を引くことで帯体に沿って包装シート本体を容易に引裂き開封することが可能となる効果がある。
【0018】
また、包装シート本体を方形状飯塊の上面から包装を行うことで、消費者が中身を視認できる構成となり、方形状飯塊の高い美観を妨げることなく包装を行うことが可能となる効果がある。
【0019】
また、帯体に沿って包装シートが引き裂かれ開封されることで、方形状の飯塊と具材の露出する割合を調節することが可能となり、方形状飯塊に収納する具材に合わせ開封幅を広くし喫食しやすい形状と残存する包皮部分を壁とし具材の落下を防ぐ構成とを適宜選択することが可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明にかかる包装シートに包装された方形状飯塊の全体像を示す模式的斜視図である。
図2】本発明にかかる方形状飯塊の構成を示す模式的斜視図である。
図3】本発明にかかる方形状飯塊の具体的な寸法を示す模式的説明図である。
図4】本発明にかかる包装シートを示す模式的斜視図である。
図5】本発明にかかる方形状飯塊を包装シートによって包装する過程を示した模式的斜視図である。
図6】本発明にかかる包装シートの分解状態を示す模式的分解斜視図である。
図7】本発明にかかる方形状飯塊の開封状態を示す模式的斜視図である。
図8】本発明にかかる方形状飯塊の他の実施例を示す模式的斜視図である。
図9】本発明にかかる方形状飯塊の包装シートに関する他の実施例を示す模式的斜視図である。
図10】本発明にかかる方形状飯塊の包装シートに関する他の実施例を示す模式的斜視図である。
図11】本発明にかかる方形状飯塊に浸潤防止シートを備えた他の実施例を示す模式的分解斜視図である。
図12】本発明にかかる方形状飯塊に浸潤防止シートを備えた他の実施例を示す模式的断面図である。
図13】本発明にかかる方形状飯塊の形状に関する他の実施例を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の要旨は、方形状に形成した飯塊において、具材を内部中央の方形空間部中に収納し全体を包装シートで包装したことにある。
【0022】
また、具材を収納した方形状飯塊の包装シートを開封自在に包装した包装シート構造において、包装シート本体は、方形状飯塊の上面から両側面を介して方形状飯塊の下面で折り返して重複させる上側面包被部と、方形状飯塊の前後端面部において左右側面シートを折り込んで前後端の下面を折り返して一体溶着した前後端部包被部と、より構成し、しかも、包装シート本体の上面に切り裂き用帯体を溶着重複し、方形状飯塊の一側面から他側面に伸延した帯体の先端部につまみ片を伸延し、包装シート本体に溶着した帯体を介してつまみ片から包装シート本体を引き裂き、方形状の飯塊を具材と共に露出するように構成したことにも特徴を有する。
【0023】
[1.本発明に係る方形状飯塊の構成について]
以下、本発明に係る方形状飯塊の実施例を図面に基づいて詳説する。
図1図3は本発明の方形状飯塊を説明する説明図であり、それぞれ図1は方形状飯塊の全体像を示す模式的斜視図、図2は飯塊本体の構成を示す模式的斜視図、図3は方形状飯塊の具体的な寸法を示す模式的説明図である。
【0024】
本発明にかかる方形状飯塊1は、図1及び図2に示すように、主に米飯を方形箱型に形成しており、上部に設けた方形空間部Sに具材2を収納し、さらに開封自在に形成した包装シート3により包装している。
【0025】
方形状飯塊1は、図2に示すように、全体を方形箱型に形成し、平面視方形状の底部11と、底部11の一縁に延設した正面視方形状の前壁部12と、前壁部12に対向し同一形状とした後壁部13と、前壁部12の右側縁と後壁部13の左側縁とに介在した方形状の右壁部14と、右壁部14に対向し同一形状とした左壁部15と、より構成される。
また、底部11及び各壁部12~15によって形成される上部開口の空間を方形空間部Sとし、後述する具材2を収納する機能を有している。
【0026】
より具体的には、図3に示すように、前壁部12及び後壁部13の幅員Aは60mm~80mm、右壁部14及び左壁部15の幅員Bは80mm~100mm、各壁部12~15の高さCは30mm~40mm、各壁部12~15の厚みDは8mm~10mm、底部11の高さcは10mm~20mmとしている。
【0027】
方形状飯塊1の形成に際しては、型に入れた米飯に対して圧力を加えることにより手で持ち上げた際に型崩れしない硬さとなるように形成する。
【0028】
方形状飯塊1に設けた方形空間部Sは、例えば焼肉や鳥そぼろ等弁当の具材2を収納することができ、すなわち方形状飯塊1は具材2を収納する容器として機能する。
【0029】
方形状飯塊1を容器として具材2を収納する構成とすることで、具材2と米飯を同時に喫食が可能となり、紙やプラスチックの容器からなる弁当よりも手軽に喫食が可能となる。
また、具材2を方形空間部Sに収納することで、手軽に具材2と米飯を喫食できるおにぎりでは成し得なかった具材の繊細な盛り付けを可能としている。
【0030】
さらに方形状飯塊1は、圧力によって形成することで容器として機能しているため、方形空間部Sに一定の深さを有し、かつ高密度で多少の液体であれば液漏れしないため、例えば親子丼の具材のような出汁を含んだものでも収納可能としている。
【0031】
また、方形状飯塊1は、全体を方形箱型とし、さらに方形状の具材収納部である方形空間部Sを有しているため、具材2の収納空間を広く設けることができ、具材2の種類や大きさ等に細かい制限が少なく盛り付けが容易となる効果がある。
【0032】
上述してきたように、方形状飯塊1は、方形箱型に形成した米飯を容器として具材2を盛り付けるため、基本的な具入りおにぎりと異なり具材2を視認することができ、さらに方形状飯塊1の外観と合わせ弁当のような外観を有することで高い美観が得られ、消費者に対して目を惹く効果を奏することができる。
【0033】
方形状飯塊1は、主に米飯を形成するとしているが、特に米に限定されるものではなくオオムギやアワといったその他の穀物でもよく、米に他の具材を混ぜ込んだ炊き込みご飯や他の穀物を米と炊き込んだ雑穀米でもよい。
【0034】
[2.本発明にかかる包装シートの構成について]
以下、本発明にかかる包装シートについて図面に基づいて詳説する。
図4図6及び図7は本発明にかかる包装シートの構成を示す説明図であり、それぞれ図4は本発明にかかる包装シートの構成を示す全体斜視図、図6は包装シートの構成を示す模式的分解斜視図、図7は包装シートの開封状態を示す模式的斜視図である。また、図5は包装シートによって包装する過程を示した模式的斜視図である。
【0035】
包装シート3は、図1に示すように、方形状飯塊1の上面から両側面、すなわち左右壁部14,15を介して方形状飯塊1の下面で折り返して重複させる上側面包被部41と、方形状飯塊1の前後端面部、すなわち前後壁部12,13において左右側面シート422を折り込んで前後端の下面を折り返して一体溶着した前後端部包被部42と、より構成している。
【0036】
包装シート3は、図4に示すように、方形状のシート部材であり、透明な樹脂製フィルムから形成される。
【0037】
包装シート3は、図5に示すように、方形状飯塊1の上面から全体を巻き込むようにして方形状飯塊1の下面で包装シート3の四方縁部を重複し一体溶着して包装している。
【0038】
上側面包被部41は、方形状飯塊1の上面から左右壁部14,15を介して下面で折り返して重複させた重複部分と方形状飯塊1との接地面とを指し、上側面包被部41によって方形状飯塊1の上面、すなわち方形空間部Sに収納された具材2が視認できる面と、左右壁部14,15を包装シート3によって覆うことができる。
また、方形状飯塊1の下面はこのとき右壁部14を介して折り返した面と、左壁部15を折り返した面との2つの面が重複した状態となる。
【0039】
前後端部包被部42は、包装シート3の上述した上側面包被部41以外の部分を指し、方形状飯塊1の上面から前後壁部12,13を介して下面で折り返して重複させることで、上側面包被部41と合わせて方形状飯塊1の全面を覆うことができる。
【0040】
したがって、包装シート3は、上側面包被部41により方形状飯塊1の上面と左右壁部14,15を被覆し、前後端部包被部42により方形状飯塊1の前後壁部12,13を被覆する。
また、方形状飯塊1の下面は、上側面包被部41と前後端部包被部42とを折り返し重複させることで被覆することができる構成としている。
【0041】
上述した包装形態を実現する具体的な包装手順としては、図5(a)に示すように、まず始めに方形状飯塊1の上方から包装シート3を覆いかぶせる。
次の手順としては、図5(b)に示すように、包装シート3を方形状飯塊1の左右壁部14,15に沿うように下方へ折り曲げる。
【0042】
このとき包装シート3は、断面コの字状をしており、方形状飯塊1の上面と接している部分と、方形状飯塊1の左右壁部14,15に接している部分と、左右壁部14,15に接している部分から下方へ延出され垂れ下がった部分と、が上側面包被部41となり、その他の部分が前後端部包被部42となる。
すなわち前後端部包被部42は、図5(b)における方形状飯塊1の前後に延出する断面コの字状に表された部分となる。
【0043】
次の手順としては、図5(c)に示すように、左右側面シート421をコの字状の内側すなわち前後壁部14,15の中心方向へ向けて折り込みながら前後端部包被部42全体を下方へ折り曲げる。
上述した左右側面シート421とは、上側面包被部41の左右壁部14,15と接している部分を前後方向に延出した部分のことを指している。
【0044】
最後の手順としては、上側面包被部41の左右壁部14,15に接している部分から下方へ延出され垂れ下がった部分と、前後端部包被部42の前後壁部12,13に接している部分から下方へ延出され垂れ下がった部分と、を方形状飯塊1の下面方向へ折返し、すべてを重複溶着することで、図5(d)に示すように、上述した包装形態とすることができる。
【0045】
包装シート3の構成としてより詳しくは、図4及び図6に示すように、方形状の樹脂フィルムからなるシート本体31と、シート本体31の裏面、すなわち包装時に方形状飯塊1と接する面側に溶着した引裂き帯体32と、引裂き帯体32を横断しシート本体31と一体に形成したコの字状キリトリ線33と、シート本体31の表面でコの字状キリトリ線33の上から貼着したつまみ片34と、より構成している。
【0046】
シート本体31は、方形状の透明な樹脂製フィルムから形成されている。
この樹脂製フィルムは、例えば2軸延伸ポリプロピレンフィルムのような透明度が高く引裂きが容易なフィルムを使用する。
【0047】
引裂き帯体32は、帯状の透明な樹脂フィルム、例えばシート本体31と同じ素材から形成されている。
また、引裂き帯体32は、シート本体31の裏面側、すなわち包装時に方形状飯塊1と接する面側に熱溶着することでシート本体31と一体としている。
【0048】
熱溶着面は、実施例では、帯の両縁部のみを溶着しているが、シート本体31と引裂き帯体32とを一体とできればよく、帯全体を熱溶着してもよい。
【0049】
引裂き帯体32は、後述するコの字状キリトリ線33を起点としてシート本体31を引き裂く際に、ガイドとして機能し、シート本体31を帯状に引裂くことができる効果がある。
【0050】
コの字状キリトリ線33は、シート本体31と一体に溶着した引裂き帯体32の中途部に横断するように形成した切込み又は小孔からなる横断部331と横断部331の両端部から同一方向に直交するように、すなわち横断部331と合わせてコの字状となるように形成した切込み又は小孔からなる引裂き誘導部332とからなる。
【0051】
シート本体31及び引裂き帯体32は共に引裂き容易な樹脂フィルムとしているものの、フィルムの縁部を引っ張っても容易に引裂けず、引裂くためには起点となる切れ目が必要となる。
【0052】
上述したコの字状キリトリ線33は、シート本体31を引き裂くための起点として形成される。
すなわち、コの字状キリトリ線33の横断部331を破いて引裂き誘導部332側へ引くことで、コの字状にフィルムが裂け、このコの字状の裂け目を起点としてシート本体31が引裂けるように構成されている。
【0053】
つまみ片34は、片側に接着面を有した方形状のシールやテープ等からなり、シート本体31の表面側で、かつコの字状キリトリ線33を覆うようにして貼着される。
すなわち、コの字状キリトリ線33が引裂き帯体32の先端部となり、その先端部を延伸するようにつまみ片34が貼着される。
そうすることで、つまみ片34をシート本体31から剥がすとコの字状キリトリ線33が破断し、つまみ片34をつまんで引くことで引裂き帯体32に沿ってシート本体31を引き裂くことができる。
【0054】
つまみ片34は、方形状に限らずコの字状キリトリ線33を覆うことができればどのような形状でもよい。
また、片側全てを接着面としてもよいが一部非接着の部分を備え、より開封を容易にすることも考えられる。
また、つまみ片34は必ずしもシート本体31と別部材でなくてもよく、例えば左右側面シート422を折り込んだ前後壁部12,13の一番表層のシートにキリトリ線を設けた、すなわちシート本体31を引裂き帯体32の先端部分から延伸させた形状としてもよい。
【0055】
引裂き帯体32は、図1及び図7に示すように、包装した際に方形状飯塊1の上面を縦断又は横断するようにシート本体31と溶着され、つまみ片34は前後壁部12,13又は左右壁部14,15のいずれかに位置するように包装される。
【0056】
開封に際しては、上述したように、つまみ片34を開封口としてコの字状キリトリ線33を破断させ、シート本体31を引裂き帯体32に沿って引裂いて行う。
本実施例では、引裂き帯体32の幅員を方形状空間Sの幅員となるようにしているため、図7に示すように、方形空間部Sに収納した具材2ごと方形状飯塊1の上面部分を広く露出させることができる。
【0057】
喫食の際には、方形状飯塊1の上面露出部分から箸を用いて喫食する方法と前後壁部12,13又は左右壁部14,15のいずれかを方形状飯塊1の下方へ捲り、おにぎりのように直に喫食する方法とが考えられる。
【0058】
方形状飯塊1は、上述してきたように方形空間部Sに具材2を収納しているため、おにぎりのように直に喫食する場合、各壁部12~15により具材2が支えられ多少傾けたとしてもこぼれ落ちることなく喫食することが可能となる効果がある。
【0059】
包装シート3は、方形状飯塊1の下面にて四方縁を一体溶着しており、シート本体31の透明度と合わせ、具材2を盛り付けた方形状飯塊1の姿を包装状態で視認することができ、例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケット等に陳列されたときに高い美観を損なわず、視覚的に消費者の購買意欲をそそる効果が期待できる。
【0060】
[3.他の実施例について]
以下、本発明にかかる方形状飯塊の他の実施例について図面に基づいて詳説する。
図8~13は方形状飯塊の他の実施例を示す模式的斜視図である。図8図10は包装シートに設けた引裂き帯体に関する他の実施例を示す説明図である。図11及び図12は方形状飯塊と具材との間に浸潤防止シートを設けた状態を示す説明図である。図13は方形状飯塊の形状に関する他の実施例を示す模式的斜視図である。
【0061】
本発明にかかる方形状飯塊1の他の実施例としては、図8に示すように、包装シート3に設けた引裂き帯体32の幅員を狭くしたものが考えられる。
【0062】
この実施例では、開封した際に方形状飯塊1の上面部分の露出を狭くすることができる。
換言するならば、開封時において包装シート3で覆われた部分を多くすることができる。
このような構成とすることで、おにぎりのように直に喫食する際に、具材が包装シート3で保護され喫食に時間を要する際により衛生的に喫食できると共に、具材2がこぼれ落ちるのをより防止することができる効果がある。
【0063】
その他の実施例としては、図9に示すように、引裂き帯体32を方形状飯塊1に対して横断するように設けることも考えられる。
【0064】
上述してきた実施例では、方形状飯塊1を縦断、すなわち図面上で方形状飯塊1の上面における対向する長辺を分けるように引裂き帯32体を形成している。
こうすることで、開封時には方形状飯塊1の上面において短い辺側を露出することができ、片手で喫食する際のハンドリング性や喫食のしやすさを向上することができる効果がある。
【0065】
また、その他の実施例としては、図10に示すように、引裂き帯体32の幅員を狭くすると共に、方形状飯塊1の各壁部12~15のいずれかに寄せた位置に溶着することが考えられる。
【0066】
この実施例では、開封時により狭い範囲の露出が可能となり、おにぎりのように直に喫食する際に残存する包装シート3部分が図7に示した実施例と同様に衛生面と具材2の保護に機能するとともに、ハンドリングできる範囲が広くなりより喫食しやすくなる効果がある。
また、引裂き帯体32によりシート本体31を引き裂いたとき、残存した包装シート3の片側が方形状飯塊1の上面を覆う部分面積を狭くすることができ、方形状飯塊1の下面側へ捲る際に方形状飯塊1に引っかからず捲りやすくなる効果がある。
【0067】
また、その他の実施例としては、図11及び図12に示すように、方形状飯塊1と具材2との間に浸潤防止シート5を設けたものが考えられる。
【0068】
浸潤防止シート5は、方形状のシート部材であり、包装シート3のシート本体31と同じ2軸延伸ポリプロピレンフィルム等の透明な樹脂フィルムによって形成される。
【0069】
浸潤防止シート5は、樹脂フィルムから形成されているため、水分を吸うことが無いため、方形状飯塊1と具材2との間に設けることで、具材2からの水分、例えば具材2を親子丼の具材としたときの出汁を受け止め方形状飯塊1への浸潤を防止することができる。
そうすることで、水分を含むことで方形状飯塊1が脆くなることを防ぐ効果がある。
【0070】
また、この浸潤防止シート5は、単に方形状飯塊1と具材2との間に挿し込むような構成として、開封後に浸潤防止シート5を横方向に引き抜くようにして喫食するようにしてもよいし、包装シート3に1辺を溶着させ、包装シート3を引き裂いて喫食時に捲る際に一緒に引っ張られて引き抜きを補助するような構成としてもよい。
【0071】
包装シート3と浸潤防止シート5とを溶着一体とした場合には、浸潤防止シート5がバラけることが無いため、屋外での喫食時にゴミをまとめることが容易となる効果も期待できる。
【0072】
また、他の実施例としては、図13に示すように、方形状飯塊1に設ける方形空間部Sを複数としたものであり、2種類以上の具材2をそれぞれの第一収納空間部S1と第二収納部S2とに分けて収納することが可能となる。
すなわち、方形状飯塊1に収納する具材2を複数とし、更に複数の味が混ざらないようにすることができる。
さらに、2つ以上の味を1つの方形状飯塊1によって味わうことができるだけでなく、より盛り付けの幅が広がり、方形状飯塊1ならではの独自の高い美観を有することができる効果がある。
【0073】
また、図面上では、2つの収納空間部S1,S2を備えると共に、同じ大きさの空間としているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて3つ4つと方形空間部Sを備えるものとしてもよいし、空間の大きさも大きいものと小さいものとを混在させてもよい。
そうすることで、具材2を複数収納した、例えば幕の内弁当のような盛り付けが可能となり、主菜を収納する空間を大きく副菜を収納する空間を小さくといった、食事のバランスを考えた盛り付けを可能とすることができる。
【0074】
以上、上述した各種効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0075】
1 方形状飯塊
11 底部
12 前壁部
13 後壁部
14 右壁部
15 左壁部
S 方形空間部
2 具材
3 包装シート
31 シート本体
32 引裂き帯体
33 コの字状キリトリ線
331 横断部
332 引裂き誘導部
34 つまみ片
41 上側面包被部
42 前後端部包被部
421 方形筒状部
422 左右側面シート
5 浸潤防止シート
S1 第一収納空間部
S2 第二収納空間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13