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  • 特開-杭頭補強筋位置の墨出し支援方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139041
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】杭頭補強筋位置の墨出し支援方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/12 20060101AFI20220915BHJP
   E02D 5/34 20060101ALI20220915BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20220915BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
E02D27/12 Z
E02D5/34 A
G06T19/00 600
G09G5/00 550C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039250
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】松窪 つむみ
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 直輝
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭祐
【テーマコード(参考)】
2D041
2D046
5B050
5C182
【Fターム(参考)】
2D041BA19
2D041BA36
2D046CA04
5B050AA10
5B050BA09
5B050BA11
5B050DA04
5B050EA09
5B050EA19
5B050EA27
5B050FA02
5B050FA05
5C182AB35
5C182BA14
5C182BA56
5C182CB12
(57)【要約】
【課題】杭打ち後の杭頭に対して梁主筋との干渉が回避された好適な杭頭補強筋位置の墨出しを容易に行えるようにする。
【解決手段】複数の杭頭補強筋が溶接接合される杭頭3Aに対する杭頭補強筋位置の墨出しを支援する杭頭補強筋位置の墨出し支援方法において、仮想情報を現実空間に基準ポイントPを一致させて重畳させた状態で投影して複合現実を構築するMRデバイス1を使用し、仮想情報として、杭打ち後に実測した杭頭3Aに対する杭頭補強筋の配置を示す杭頭補強筋配置図の図面データをMRデバイス1に取り込み、MRデバイス1にて、現実空間の杭頭3A上に杭頭補強筋配置図を投影する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の杭頭補強筋が溶接接合される杭頭に対する杭頭補強筋位置の墨出しを支援する杭頭補強筋位置の墨出し支援方法であって、
仮想情報を現実空間に基準ポイントを一致させて重畳させた状態で投影して複合現実を構築するMRデバイスを使用し、
前記仮想情報として、杭打ち後に実測した前記杭頭に対する前記杭頭補強筋の配置を示す杭頭補強筋配置図の図面データを前記MRデバイスに取り込み、当該MRデバイスにて、前記現実空間の前記杭頭上に前記杭頭補強筋配置図を投影する杭頭補強筋位置の墨出し支援方法。
【請求項2】
前記杭頭の中心位置が前記基準ポイントに設定されている請求項1に記載の杭頭補強筋位置の墨出し支援方法。
【請求項3】
前記杭頭補強筋配置図には、前記杭頭に接合される鉄筋コンクリート梁に使用する複数の梁主筋の配置が含まれている請求項1又は2に記載の杭頭補強筋位置の墨出し支援方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の杭頭補強筋が溶接接合される杭頭に対する杭頭補強筋位置の墨出しを支援する杭頭補強筋位置の墨出し支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術としては、例えば、地中梁主筋のピッチ及び直径に合わせて所要数で平行に併設される定規用棒体と、定規用棒体の両端部側において定規用棒体に対して直交する姿勢で定規用棒体の下側に当接させて対向配置されるレールと、レールと定規用棒体とを連結して位置固定する固定手段とから構成されたコンクリート杭の補強筋取付用定規を使用して、コンクリート杭に対する杭頭補強筋の位置を規定することにより、杭頭補強筋が地中梁主筋と干渉しないようにする杭頭補強筋の取付方法がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
又、例えばMicrosoft社のHololens(登録商標)などのように実用化されているMRデバイスを用いて、建築物の設計図(図面データ)を現実空間と等倍にスケーリングした後に現実空間に重畳して表示する図面投影システムを提供することにより、従来では、紙の図面とレーザ計測器とを用いて行われていた墨出し工程などの効率化を図れるようにするものがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-163893号公報
【特許文献2】特許6438995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、地中梁主筋のピッチ及び直径に合わせて補強筋取付用定規における定規用棒体の位置調整や交換を行う手間などが生じることから、作業性の面で改善の余地がある。
【0006】
特許文献2に記載の技術では、建築物の設計図(図面データ)を現実空間と等倍にスケーリングした後に現実空間に重畳して表示することが記載されているが、現場に打ち込まれた杭の杭頭に対して杭頭補強筋位置の墨出しを行う場合の具体的な方法が記載されていないことから、杭打ち後の杭頭に対して梁主筋との干渉が回避された好適な杭頭補強筋位置の墨出しを行なえるようにする上において改善の余地がある。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、杭打ち後の杭頭に対して梁主筋との干渉が回避された好適な杭頭補強筋位置の墨出しを容易に行える杭頭補強筋位置の墨出し支援方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、複数の杭頭補強筋が溶接接合される杭頭に対する杭頭補強筋位置の墨出しを支援する杭頭補強筋位置の墨出し支援方法であって、
仮想情報を現実空間に基準ポイントを一致させて重畳させた状態で投影して複合現実を構築するMRデバイスを使用し、
前記仮想情報として、杭打ち後に実測した前記杭頭に対する前記杭頭補強筋の配置を示す杭頭補強筋配置図の図面データを前記MRデバイスに取り込み、当該MRデバイスにて、前記現実空間の前記杭頭上に前記杭頭補強筋配置図を投影する点にある。
【0009】
本構成によると、杭頭補強筋位置の墨出しを行う場合には、MRデバイスを使用することにより、仮想情報である杭頭補強筋配置図を現実空間の杭頭上に投影した状態で見ることができ、これにより、光波測量機などを用いることなく、梁主筋との干渉が回避された好適な杭頭補強筋位置の墨出しを、一人作業にて容易に短時間で行うことができる。
しかも、現実空間の杭頭上に投影される杭頭補強筋配置図は、杭打ち後に実測した杭頭に対する杭頭補強筋の配置図であることから、杭頭に対する杭頭補強筋位置の墨出しを杭の施工誤差を考慮した状態で好適に行うことができる。
その結果、杭の施工誤差を考慮した上で梁主筋との干渉が回避された好適な杭頭補強筋位置の墨出しを一人作業で効率良く行うことができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記杭頭の中心位置が前記基準ポイントに設定されている点にある。
【0011】
本構成によると、杭頭補強筋は杭頭の外周部に溶接接合されるものであることから、杭頭の中心位置を基準ポイントに設定することにより、杭頭補強筋の位置が基準ポイントから遠くなることに起因して生じる現実空間における杭頭の位置と仮想情報である各杭頭補強筋の位置とのズレを一律に抑制することができる。
その結果、杭の施工誤差を考慮した上で梁主筋との干渉が回避された好適な杭頭補強筋位置の墨出しを精度良く行うことができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記杭頭補強筋配置図には、前記杭頭に接合される鉄筋コンクリート梁に使用する複数の梁主筋の配置が含まれている点にある。
【0013】
本構成によると、杭頭補強筋位置の墨出しを行う場合には、MRデバイスを使用して、現実空間の杭頭上に投影された仮想情報である杭頭補強筋配置図を見ることにより、現実空間の杭頭上に投影された杭頭補強筋の位置が、各梁主筋との干渉が回避された好適な位置であることを容易に視認することができ、杭頭補強筋位置の墨出しを的確に行うことができる。
その結果、杭頭補強筋位置の墨出しを一人作業で的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】杭頭補強筋位置の墨出し支援方法でのMRデバイスによる基準ポイントの設定方法を示す斜視図
図2】杭頭補強筋位置の墨出し支援方法で構築される複合現実の一例を示す斜視図
図3】杭頭補強筋位置の墨出し支援方法を利用した杭頭補強筋位置の墨出し作業での作業工程の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、MRデバイスとしてMicrosoft社のHoloLens(登録商標)を使用して、複数の杭頭補強筋が溶接接合される杭頭に対する杭頭補強筋位置の墨出しを支援する形態を例示する。
尚、MRデバイスとして、HoloLens以外に、MagicLeap社のMagicLeap(登録商標)などを使用することができる。
【0016】
図1~2に示すように、MRデバイス1(HoloLens)は、透過型のヘッドマウントディスプレイで、予めインストールされた複合現実(MR:Mixed Reality)構築用のアプリケーションソフトウェアを使用することにより、仮想情報を現実空間に原寸大で基準ポイントPを一致させて重畳させた状態で投影した複合現実(MR:Mixed Reality)を構築することができる。
【0017】
図1に示すように、現実空間である建築現場の地盤2には、鋼管を外殻とするSC杭(鋼管コンクリート杭)3が打ち込まれており、SC杭3は、その頭部である杭頭3Aの外周部に、杭頭3Aから上方に延びる複数の杭頭補強筋(図示せず)を溶接接合することにより、杭頭3Aに接合される鉄筋コンクリート梁である基礎梁(図示せず)を含む基礎との一体化を好適に行うことができる。杭頭3Aの中心部には、杭頭3Aの中心位置(杭芯位置)を基準ポイントPに設定するためのマーカ4が設置されている。
尚、本実施形態ではSC杭3を例示しているが、これに限らず、例えば鋼管杭などであってもよい。
【0018】
図示は省略するが、MRデバイス1には、仮想情報として、杭打ち後に実測した各杭頭3Aに対する各杭頭補強筋の配置を示す杭頭補強筋配置図の図面データが取り込まれている。杭頭補強筋配置図には、各杭頭3Aに対する各杭頭補強筋の配置に加えて、各杭頭3Aに建て込まれる各柱の配置や、各杭頭3Aに接合される各基礎梁に使用する複数の梁主筋の配置などが含まれている。杭頭補強筋配置図においては、杭打ち後の実測値に基づく各杭頭3Aに対する各杭頭補強筋の配置が各梁主筋と干渉しない適切な位置に設定されている。
尚、図面データには、2DCADデータ、3DCADデータ、及び、BIM(Building Information Modeling)データ、などを使用することができる。
【0019】
MRデバイス1には、作業者(ユーザ)の視線Ls(図1参照)を計測するアイトラッキングセンサや、カラー映像を取得して画像認識などの画像処理を行うカメラ、などが備えられており、作業者は、図1に示すように、マーカ認識用の所定の操作を行いながら、墨出し対象の杭頭3Aの中心位置に設置されたマーカ4を目視して、杭頭3Aの中心位置に視線Lsを合わせることにより、その杭頭3Aの中心位置を基準ポイントPに設定することができる。そして、このようにして基準ポイントPを設定することにより、図2に示すように、原寸大の杭頭補強筋配置図を墨出し対象の杭頭3A上に基準ポイントPである杭頭3Aの中心位置を一致させて重畳させた状態で投影することが可能になり、この投影により、杭頭補強筋の墨出しに適した杭頭補強筋墨出し用の複合現実を構築することができる。
【0020】
図2には、墨出し対象の杭頭3A上に杭頭補強筋配置図を投影して構築された杭頭補強筋墨出し用の複合現実の一例が示されている。図2に示すように、本実施形態で例示する杭頭補強筋墨出し用の複合現実においては、現実空間の杭頭3A上に、杭頭3Aに対する各杭頭補強筋の配置を示す杭頭補強筋モデル5と、杭頭3Aに建て込まれる柱の配置を示す柱モデル6と、各梁主筋のうちの最下位の各梁主筋の水平方向での配置を示す梁主筋モデル7とが、杭頭レベルで平面的に投影されている。図2で例示する複合現実においては、現実空間の地盤1や杭頭3Aなどが実線で示されており、仮想情報である杭頭補強筋モデル5と柱モデル6と梁主筋モデル7とが二点鎖線で示されている。
尚、本実施形態においては、杭頭補強筋墨出し用の複合現実として、仮想情報である杭頭補強筋モデル5と柱モデル6と梁主筋モデル7とが、現実空間の杭頭3A上に杭頭レベルで平面的に投影されたものを例示しているが、これに限らず、仮想情報である杭頭補強筋モデル5と柱モデル6と梁主筋モデル7とが、現実空間の杭頭3A上に立体的に投影されるものであってもよい。
又、仮想情報の梁主筋モデル7として、各梁主筋のうちの最下位の各梁主筋のみが現実空間の杭頭3A上に投影されたものを例示しているが、これに限らず、例えば全ての梁主筋が現実空間の杭頭3A上に投影されるものであってもよい。
【0021】
以下、図3に示すフローチャートに基づいて、建築現場にて所定数のSC杭3が打ち込まれた後に、本実施形態で例示する杭頭補強筋位置の墨出し支援方法を利用して行われる杭頭補強筋位置の墨出し作業での作業工程の一例を説明する。
【0022】
杭頭補強筋位置の墨出し作業では、先ず、建築現場に打ち込まれた各SC杭3の位置を実測する杭位置実測工程を行い(ステップ#1)、杭位置実測工程で得た各SC杭3の実測値に基づいて、各杭頭3Aに接合される基礎梁の各梁主筋との干渉が回避されるように設定された各杭頭3Aに対する各杭頭補強筋の配置などを示す杭頭補強筋配置図を、CADやBIMなどが備えられたパーソナルコンピュータなどを使用して作成する杭頭補強筋配置図作成工程を行う(ステップ#2)。
【0023】
次に、作成した杭頭補強筋配置図の図面データを無線通信又は外付けストレージなどを使用してMRデバイス1に取り込む杭頭補強筋配置図取り込み工程を行い(ステップ#3)、杭頭補強筋配置図が取り込まれたMRデバイス1を使用して、墨出し対象の杭頭3Aと杭頭補強筋配置図との基準ポイントPを一致させて、原寸大の杭頭補強筋配置図を墨出し対象の杭頭3A上に重畳して投影させた杭頭補強筋墨出し用の複合現実を構築する複合現実構築工程を行う(ステップ#4)。
【0024】
そして、構築された杭頭補強筋墨出し用の複合現実を利用して、墨出し対象の杭頭3A上に投影された各杭頭補強筋モデル5と各梁主筋モデル7との位置関係から、各杭頭補強筋モデル5の配置が各梁主筋との干渉が回避された好適な位置であることを視認しながら、墨出し対象の杭頭3Aに対して各杭頭補強筋モデル5が投影された位置に墨出しする杭頭補強筋位置墨出し工程を行う(ステップ#5)。
【0025】
その後、今回の墨出し対象の杭頭3Aに対する各杭頭補強筋位置の墨出しが終了すると、作業者は、次の墨出し対象の杭頭3Aまで移動し、墨出し対象の杭頭3Aが変わるごとに前述した複合現実構築工程(ステップ#4)と杭頭補強筋位置墨出し工程(ステップ#5)とを行って、全ての杭頭3Aに対する各杭頭補強筋位置の墨出しが終了するまで繰り返す。
【0026】
以上の通り、本発明に基づく杭頭補強筋位置の墨出し支援方法を利用すると、各杭頭3Aに対して各杭頭補強筋位置の墨出しを行う場合には、MRデバイス1を使用することにより、仮想情報である杭頭補強筋配置図を現実空間の杭頭3A上に投影した状態で見ることができ、これにより、光波測量機などを用いることなく、各梁主筋との干渉が回避された好適な各杭頭補強筋位置の墨出しを、一人作業にて容易に短時間で行うことができる。
しかも、現実空間の杭頭3A上に投影される杭頭補強筋配置図は、杭打ち後に実測した各杭頭3Aに対する各杭頭補強筋の配置図であることから、各杭頭3Aに対する各杭頭補強筋位置の墨出しをSC杭3の施工誤差を考慮した状態で好適に行うことができる。
その結果、SC杭3の施工誤差を考慮した上で各梁主筋との干渉が回避された好適な各杭頭補強筋位置の墨出しを一人作業で効率良く行うことができる。
【0027】
又、各杭頭補強筋は杭頭3Aの外周部に溶接接合されるものであることから、杭頭3Aの中心位置を基準ポイントPに設定することにより、杭頭補強筋の位置が基準ポイントPから遠くなることに起因して生じる現実空間における杭頭3Aの位置と仮想情報である各杭頭補強筋の位置とのズレを一律に抑制することができる。
その結果、SC杭3の施工誤差を考慮した上で各梁主筋との干渉が回避された好適な各杭頭補強筋位置の墨出しを精度良く行うことができる。
【0028】
しかも、杭頭補強筋配置図には、杭頭3Aに接合される基礎梁に使用する複数の梁主筋の配置が含まれていることから、各杭頭補強筋位置の墨出しを行う場合には、MRデバイス1を使用して、現実空間の杭頭3A上に投影された杭頭補強筋配置図を見ることにより、現実空間の杭頭3A上に投影された各杭頭補強筋(杭頭補強筋モデル5)の位置が、各梁主筋(梁主筋モデル7)との干渉が回避された好適な位置であることを容易に視認することができ、各杭頭補強筋位置の墨出しを的確に行うことができる。
その結果、各杭頭補強筋位置の墨出しを一人作業で的確に行うことができる。
【0029】
〔別実施形態〕
本発明の別実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、上記の実施形態や他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0030】
(1)上記の実施形態においては、杭頭補強筋位置の墨出し支援方法として、墨出し対象の杭頭3Aの中心位置を基準ポイントPに設定して杭頭3Aごとに杭頭補強筋墨出し用の複合現実を構築するものを例示したが、これに限らず、杭頭補強筋の位置が基準ポイントPから遠くなることに起因して生じる現実空間における杭頭3Aの位置と仮想情報である各杭頭補強筋の位置とのズレが、杭頭3Aに対する各杭頭補強筋の溶接接合に支承を来すことのない程度に低い場合には、例えば、所定範囲の杭打ち領域の中心位置を基準ポイントPに設定して、所定範囲の杭打ち領域ごとに杭頭補強筋墨出し用の複合現実を構築するものであってもよい。
この場合、墨出し対象の杭頭3Aの中心位置を基準ポイントPに設定して杭頭3Aごとに杭頭補強筋墨出し用の複合現実を構築する場合に比較して、杭頭補強筋墨出し用の複合現実を構築する回数を削減することができ、よって、杭頭補強筋位置の墨出し作業にかかる所要時間を短くすることができる。
【0031】
(2)上記の実施形態においては、墨出し対象の杭頭3A上に投影される杭頭補強筋配置図として、杭頭3Aに接合される基礎梁(鉄筋コンクリート梁)に使用する複数の梁主筋の配置などを含むものを例示したが、これに限らず、杭頭3Aに溶接接合される各杭頭補強筋の配置のみを示すものであってもよい。
又、杭頭補強筋配置図が複数の梁主筋の配置などを含むものであったとしても、墨出し対象の杭頭3A上に杭頭補強筋配置図を投影する際には、杭頭3Aに溶接接合される各杭頭補強筋の配置のみが墨出し対象の杭頭3A上に投影されるようにしてもよく、あるいは、墨出し対象の杭頭3A上に、杭頭3Aに溶接接合される各杭頭補強筋の配置のみが投影される状態と、各杭頭補強筋の配置に加えて杭頭3Aに接合される基礎梁に使用する複数の梁主筋の配置などが投影される状態とに選択可能に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 MRデバイス
3A 杭頭
P 基準ポイント

図1
図2
図3