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特開2022-139048レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物、並びにレーザー溶着成形品及びチューブコネクター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139048
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物、並びにレーザー溶着成形品及びチューブコネクター
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20220915BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20220915BHJP
   B29C 65/16 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K7/14
B29C65/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039260
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】UBE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】須原 貞義
(72)【発明者】
【氏名】福井 康治
【テーマコード(参考)】
4F211
4J002
【Fターム(参考)】
4F211AA29
4F211AB12A
4F211AG08
4F211AH11
4F211TA01
4F211TC11
4F211TD07
4F211TN27
4J002CL011
4J002CL031
4J002DK008
4J002DL008
4J002EQ017
4J002ES007
4J002EU056
4J002EU057
4J002EU107
4J002FA048
4J002FD018
4J002FD096
4J002FD097
4J002GB01
4J002GC00
4J002GG01
4J002GK01
4J002GL00
4J002GM00
4J002GN00
4J002GT00
(57)【要約】
【課題】レーザー透過性が高く、燃料及びアルコール溶出性が低いレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物、並びにそれを用いたレーザー溶着成形品及びチューブコネクターを提供する。
【解決手段】本発明に係るレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と、着色剤としてのペリレン顔料とを含有する。本発明に係るレーザー溶着成形品は、上記のレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物を含む。本発明に係るチューブコネクターは、上記のレーザー溶着品を用いたものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂と、着色剤としてのペリレン顔料とを含有する
レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
さらに、着色剤としてのアゾ顔料を含有する
請求項1に記載のレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
前記着色剤の含有率が0.01~1重量%である
請求項1又は2に記載のレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、補強材を含有する
請求項1~3のいずれか1項に記載のレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物。
【請求項5】
前記補強材が、ガラス繊維である
請求項4に記載のレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物を含むレーザー溶着成形品。
【請求項7】
請求項6に記載のレーザー溶着成形品を用いたチューブコネクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光を照射することにより樹脂部材同士を溶着させるレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物、並びにそれを用いたレーザー溶着成形品及びチューブコネクターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、軽量化及び低コスト化等の観点より、自動車部品、電気部品等の各種分野の部品を樹脂化して樹脂成形品とすることが頻繁に行われている。そして、樹脂成形品は、高生産性化等の観点から、樹脂成形品を予め複数の樹脂部材に分割して成形し、これらの樹脂部材を互いに接合して製造する手段が採られることが多くなっている。この樹脂部材の接合においては、接着剤による接合、ボルトなどによる機械的接合などが行われてきた。しかしながら、接着剤ではその接着強度が、また、ボルトなどによる機械的接合では、費用、締結の手間、重量増が問題となっている。一方、レーザー溶着、熱板溶着などの外部加熱溶着、振動溶着、超音波溶着などの摩擦熱溶着に関しては短時間で接合が可能であり、また、接着剤や金属部品を使用しないので、それにかかるコストや重量増、環境汚染等の問題が発生しないことから、これらの方法による組立が増えてきている。
【0003】
外部加熱溶着のひとつであるレーザー溶着は、レーザー光に対して透過性のある透過樹脂材と、レーザー光に対して透過性のない非透過樹脂材とを重ね合わせた後、透過樹脂材側からレーザー光を照射することにより、透過樹脂材と非透過樹脂材との当接面同士を加熱溶融させて両者を一体的に接合する方法であり、三次元接合が可能、非接触加工、バリ発生が無いなどの利点を利用して、幅広い分野に広がりつつある溶着法である。このレーザー溶着法では、透過樹脂材内を透過する際のレーザー光のエネルギーロスが大きければ、非透過樹脂材及び透過樹脂材の接合面における加熱溶融が不十分となり、十分な溶着強度を達成することができないため、レーザー透過側の樹脂部材には、ある程度レーザーを透過することが要求される。
【0004】
特許文献1には、ポリアミドなどの樹脂と、アントラキノン染料などのレーザー光線透過性着色剤とを含み、0.5~1.2の透過率比を有するレーザー光線を透過するのに適切な樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004-517995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、染料を用いた樹脂組成物の場合は燃料及びアルコールへの溶出が起きることから、特にアルコールを含む燃料系部品へ適用することは難しかった。
【0007】
そこで、本発明は、レーザー透過性が高く、燃料及びアルコール溶出性が低いレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物、並びにそれを用いたレーザー溶着成形品及びチューブコネクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリアミド樹脂と、着色剤としてのペリレン顔料とを含有するレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物である。
【0009】
本発明は、上記のレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物を含むレーザー溶着成形品である。
【0010】
本発明は、上記のレーザー溶着品を用いたチューブコネクターである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、レーザー透過性が高く、燃料及びアルコール溶出性が低いレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物、並びにそれを用いたレーザー溶着成形品及びチューブコネクターを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<ポリアミド樹脂>
本発明において使用されるポリアミド樹脂は、ラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩を原料として、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法で重合又は共重合することにより得られる。
【0013】
ラクタムとしては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドンなどが挙げられる。アミノカルボン酸としては、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0014】
また、ナイロン塩を構成するジアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、2-/3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3-/1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-/1,4-シクロヘキサンジメチルアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(イソホロンジアミン)、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;m-/p-キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0015】
一方、ナイロン塩を構成するジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3-/1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン-4,4’-ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-/2,6-/2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0016】
ポリアミド樹脂において、これらラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩から誘導される単一重合体又は共重合体を各々単独又は混合物の形で用いることができる。
【0017】
本発明において使用されるポリアミド樹脂の具体例としては、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリウンデカンラクタム(ポリアミド11)、ポリドデカンラクタム(ポリアミド12)、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンウンデカミド(ポリアミド611)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ポリアミドMXD8)、ポリメタキシリレンアゼラミド(ポリアミドMXD9)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカミド(ポリアミドMXD12)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンテレフタラミド(ポリアミドPACMT)、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンイソフタラミド(ポリアミドPACMI)、ポリビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)やこれらの原料モノマーを用いたポリアミド共重合体などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0018】
得られるフィルムの耐熱性、機械的強度、透明性、経済性、入手の容易さ等を考慮して、ポリアミド樹脂は、カプロラクタムから誘導される単位(カプロラクタム単位)、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸から誘導される単位(ヘキサメチレンアジパミド単位)、及びドデカンラクタムから誘導される単位(ドデカラクタム単位)よりなる群より選ばれる少なくとも1種から構成される単独重合体あるいは共重合体であることが好ましい。具体的には、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体(ポリアミド6とポリアミド66の共重合体、以下、共重合体は同様に記載)、ポリアミド6/69共重合体、ポリアミド6/610共重合体、ポリアミド6/611共重合体、ポリアミド6/612共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体、ポリアミド6/6T共重合体、ポリアミド6/6I共重合体、ポリアミド6/IPD6共重合体、ポリアミド6/IPDT共重合体、ポリアミド66/6T共重合体、ポリアミド66/6I共重合体、ポリアミド6T/6I共重合体、ポリアミド66/6T/6I共重合体、ポリアミドMXD6からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/IPD6共重合体、ポリアミド6/IPDT共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ポリアミド6、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがさらに好ましい。
【0019】
JIS K-6920に準じて測定したポリアミド樹脂の相対粘度は、2.0~5.0であることが好ましく、2.5~4.5であることがより好ましい。ポリアミド樹脂の相対粘度が前記の下限値以上であれば、得られるポリアミドフィルムの機械的性質が良好になる。一方、ポリアミド樹脂の相対粘度が前記の上限値以下であれば、溶融時の粘度が低くなり、フィルムの成形が容易となる。
【0020】
該ポリアミド樹脂は、前記ポリアミド樹脂の原料を、アミン類の存在下に、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合する事により製造される。あるいは、重合後、アミン類の存在下に、溶融混練することにより製造される。このように、アミン類は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、フィルム製膜時の溶融安定性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。
【0021】
上記アミン類としてはモノアミン、ジアミン、ポリアミンなどが挙げられる。また、アミン類の他に、必要に応じて、モノカルボン酸、ジカルボン酸等のカルボン酸類を添加しても良い。これら、アミン類、カルボン酸類は、同時に添加しても、別々に添加しても良い。また、下記例示のアミン類、カルボン酸類は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0022】
添加するモノアミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシレンアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;ベンジルアミン、β-フエニルメチルアミン等の芳香族モノアミン;N,N-ジメチルアミン、N,N-ジエチルアミン、N,N-ジプロピルアミン、N,N-ジブチルアミン、N,N-ジヘキシルアミン、N,N-ジオクチルアミン等の対称第二アミン;N-メチル-N-エチルアミン、N-メチル-N-ブチルアミン、N-メチル-N-ドデシルアミン、N-メチル-N-オクタデシルアミン、N-エチル-N-ヘキサデシルアミン、N-エチル-N-オクタデシルアミン、N-プロピル-N-ヘキサデシルアミン、N-プロピル-N-ベンジルアミン等の混成第二アミンなどが挙げられる。
【0023】
添加するジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、2-/3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-/2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3-/1,4-シクロヘキサンジメチルアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;m-/p-キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンなどが挙げられる。
【0024】
添加するポリアミンは、一級アミノ基(-NH)及び/又は二級アミノ基(-NH-)を複数有する化合物であればよく、例えば、ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどが挙げられる。活性水素を備えたアミノ基は、ポリアミンの反応点である。
【0025】
ポリアルキレンイミンは、エチレンイミンやプロピレンイミン等のアルキレンイミンをイオン重合させる方法、或いは、アルキルオキサゾリンを重合させた後、該重合体を部分加水分解又は完全加水分解させる方法等で製造される。ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、或いは、エチレンジアミンと多官能化合物との反応物などが挙げられる。ポリビニルアミンは、例えば、N-ビニルホルムアミドを重合させてポリ(N-ビニルホルムアミド)とした後、該重合体を塩酸等の酸で部分加水分解又は完全加水分解することにより得られる。ポリアリルアミンは、一般に、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合させた後、塩酸を除去することにより得られる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリアルキレンイミンが好ましい。
【0026】
ポリアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2-ブチレンイミン、2,3-ブチレンイミン、1,1-ジメチルエチレンイミン等の炭素数2~8アルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる単独重合体や共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンイミンがより好ましい。ポリアルキレンイミンは、アルキレンイミンを原料として、これを開環重合させて得られる1級アミン、2級アミン及び3級アミンを含む分岐型ポリアルキレンイミン、あるいはアルキルオキサゾリンを原料とし、これを重合させて得られる1級アミンと2級アミンのみを含む直鎖型ポリアルキレンイミン、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。さらに、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、ビスアミノプロピルエチレンジアミン等を含むものであってもよい。ポリアルキレンイミンは、通常、含まれる窒素原子上の活性水素原子の反応性に由来して、第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基や第2級アミノ基(イミノ基)を有する。
【0027】
ポリアルキレンイミン中の窒素原子数は、特に制限はないが、4~3,000であることが好ましく、8~1,500であることがより好ましく、11~500であることがさらに好ましい。また、ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、100~20,000であることが好ましく、200~10,000であることがより好ましく、500~8,000であることがさらに好ましい。
【0028】
一方、添加するカルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイン酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカ二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカ二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセン二酸、ドコサン二酸、ジグリコール酸、2,2,4-/2,4,4-トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、m-/p-キシリレンジカルボン酸、1,4-/2,6-/2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0029】
従って、ポリアミド樹脂製造時の生産性を落とさずに、ジアミン及び/又はポリアミンを重合時に添加することが好ましく、ゲル発生抑制という観点から、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、及びポリアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を添加することがより好ましい。
【0030】
また、ポリアミド樹脂は、末端基濃度の異なる2種類以上のポリアミド樹脂の混合物でも構わない。この場合、ポリアミド樹脂混合物の末端アミノ基濃度、末端基カルボキシル濃度は、混合物を構成するポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度及びその配合割合により決まる。
【0031】
ポリアミド樹脂については、さらに、JIS K-6920に規定する低分子量物の含有量の測定方法に準じて測定した水抽出量は1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。水抽出量が前記の値を超えると、ダイ付近へのオリゴマー成分の付着が著しく、これら付着物によるダイラインやフィッシュアイの発生により外観不良が生じ易い。さらに、ポリアミド樹脂は、オレフィン樹脂と比較して吸湿性が大きく、吸湿したものを使用すると、原料を溶融押出しする際、加水分解が起こるためオリゴマーが発生し、フィルム製造が困難となるので事前に乾燥し、水分含有率が0.1質量%以下とすることが好ましい。
【0032】
<着色剤>
本発明において使用される着色剤は、少なくとも、ペリレン顔料を含む。本発明において使用される着色剤は、さらに、アゾ顔料を含むことが好ましい。
【0033】
ペリレン顔料とは、分子内にペリレン構造を有する顔料である。ペリレン顔料としては、C.I.ピグメントレッド123、149、178、179、189、190、224等のペリレン系赤色顔料;C.I.ピグメントバイオレット29等のペリレン系紫色顔料;C.I.ピグメントブラウン26等のペリレン系茶色顔料;C.I.ピグメントブラック31、32等のペリレン系黒色顔料が挙げられる。なかでも、発色性の観点から、ペリレン系黒色顔料が好ましい。
【0034】
着色剤中のペリレン顔料の含有率は、20重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましい。着色剤は全てペリレン顔料でも構わない(含有率:100重量%)が、着色剤中のペリレン顔料の含有率を80重量%以下とすることもできる。
【0035】
アゾ顔料とは、分子内にアゾ基を有する顔料である。アゾ顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、8112、114、146、147、151、170、184、187、188、193、210、245、253、258、266、267、268、269等のアゾ系赤色顔料;C.I.ピグメントイエロー1、2、3、5、6、10、12、13、14、17、49、55、60、63、65、73、74、75、81、83、87、90、93、94、95、97、98、106、111、113、114、116、120、121、124、126、127、128、130、133、136、151、152、154、156、165、166、167、168、169、170、171、172、174、175、176、180、181、188、194等のアゾ系黄色顔料が挙げられる。なかでも、耐熱性および非溶出特性の観点から、アゾ系黄色顔料が好ましい。
【0036】
着色剤中のアゾ顔料の含有率は、60重量%以下であることが好ましく、45重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることがさらに好ましい。着色剤はアゾ顔料を含まなくても構わない(含有率:0重量%)が、着色剤中のアゾ顔料の含有率を10重量%以上とすることもできる。
【0037】
着色剤は、その他の顔料及び/又は染料を含むこともできる。その他の顔料としては、アゾメチン顔料、アントラキノン顔料、アントロン顔料、キサンテン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、インジゴイド顔料、ペリノン顔料、インジゴイド顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料;亜鉛華、鉛白、リトポン、沈降性硫酸バリウムおよびバライト粉、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、ウルトラマリン青、プロシア青等の無機顔料が挙げられる。その他の染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、反応染料、含金染料、スレン染料、バット染料が挙げられる。着色剤中のその他の顔料及び/又は染料の含有率は、10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。
【0038】
<補強材>
本発明において好適に使用される補強材としては、各種繊維が挙げられる。本発明において好適に使用される繊維としては、ボロン繊維、ガラス繊維が挙げられる。なかでも、赤外線透過率の観点から、ガラス繊維が好ましい。
【0039】
ガラス繊維として使用されるものは、Aガラス、Cガラス、Eガラス、Mガラス、Qガラス、Rガラス、Sガラス、Tガラスなどの種々のグレードのガラス繊維が挙げられる。この中でもEガラスを円形または平坦な断面を持つ繊維状物としたものが、一般的に広く使用されている。
【0040】
<レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物>
本発明のレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物は、前述のポリアミド樹脂と、前述の着色剤とを含む。すなわち、本発明のレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物は、少なくとも、ポリアミド樹脂と、着色剤としてのペリレン顔料とを含む。本発明のレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物は、さらに、着色剤としてのアゾ顔料を含むことが好ましく、また補強材を含むことが好ましい。
【0041】
レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物中の着色剤の含有率は、0.01~1重量%であることが好ましい。着色剤の含有率を0.01重量部以上とすることで、分散不良等に伴う色ムラの発生確率を下げることができ、着色剤の含有率を1%以下とすることで、引張強度をはじめとする各種物性の低下を抑えることができる。レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物中の着色剤の含有率は、0.02~0.5重量%であることがより好ましく、0.03~0.2重量%であることがさらに好ましい。
【0042】
レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物中の補強材の含有率に関しては、補強材/レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物の容積比が0.98未満であることが望ましい。補強材/レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物の容積比を0.98未満とすることで、射出時の成形難、成形品外観不良、物性(強度)低下を抑えることができる。
【0043】
レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物は、本発明の特性を損なわない範囲内で、前述のポリアミド樹脂と、前述の着色剤と、前述の補強材以外の成分を含むこともできる。具体的には、ポリアミド樹脂組成物に通常配合される各種の添加剤及び改質剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、フィラー、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、結晶核剤、離型剤、可塑剤、架橋剤、発泡剤、着色剤(顔料、染料等)等を添加することができ、その添加方法に特に制限がなく、従来から知られている各種の方法を採用することができる。例えば、ドライブレンドする方法、必要に応じて配合される他の成分と共に、溶融混練する方法等により添加することができる。溶融混練は、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を使用して行うことができる。レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物中のその他の成分の含有率は、10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。
【0044】
<レーザー溶着成形品>
本発明のレーザー溶着成形品は、上述したレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物を含むものであり、より具体的には、レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物を用いて複数の部品をレーザー溶着することで得られる成形品である。各部品は、レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物を用いて形成してもよい。
【0045】
レーザー溶着は接合強度が高く、更に意匠性の自由度が高いことや溶着部の外観が綺麗であるという利点を生かして自動車部品、医療部品、電子部品などの加工に使用されている。
【0046】
レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物を用いたレーザー溶着成形品は、従来ポリアミド樹脂組成物の成形品が用いられてきた各種成形品、シート、フィルム、パイプ、チューブ、モノフィラメント、繊維、容器等として自動車部材、コンピューター及び関連機器、光学機器部材、電気・電子機器、情報・通信機器、精密機器、土木・建築用品、医療用品、家庭用品など広範な用途に使用できる。とりわけ、チューブコネクターのような気密性を求められる物やスマートキーのような電気基板を内蔵する小物部品に好適である。
【実施例0047】
本発明の実施例及び比較例として、以下に示す方法でレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物を製造し、以下に示す評価を行った。
【0048】
<着色剤マスターバッチの製造>
表1に記載された各成分を配合した着色剤マスターバッチMB-1~MB-5を製造した。なお、ポリアミド樹脂としては、98%硫酸相対粘度1.99のポリアミド12(PA12)及び98%硫酸相対粘度2.47のポリアミド6(PA6)を用い、着色剤としては、ペリレン顔料(BASF製、商品名:Lumogen(登録商標) Black Presentation 2J)及びアゾ顔料(BASF製、商品名:Paliotol(登録商標) Yw K1800)を用い、それ以外に顔料をポリアミド樹脂中に均一に分散させる為にモンタン酸Wax(クラリアントケミカルズ製、商品名:Licowax(登録商標) OPP)を用いた。
【0049】
【表1】
【0050】
<実施例1>
98%硫酸相対粘度1.99のポリアミド12(PA12)を68.5重量部と、着色剤マスターバッチMB-1を1重量部と、ポリオキシジアミン(HUNTSMAN製、商品名:JEFFAMINE(登録商標) D-2000)0.5重量部をあらかじめ混ぜ合わせたものを2軸押出混錬機にトップフィードして投入し、ガラス繊維(日本電気硝子製、商品名:T-249H)30重量部を混錬機の中程からサイドフィードして混合した。得られた混合物を混錬機ノズルから得られる混合物を直径2~3mmになるように冷却しながら伸ばしてひも状のストランドを得、得られたストランドをさらに長さ3~4mmになるように切断することで評価用ペレットを得た。
【0051】
<実施例2>
ポリアミド12の配合量を61.5重量部とし、98%硫酸相対粘度4.36のポリアミド6/66共重合体(6/66共重合PA)を7重量部用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
【0052】
<実施例3>
ポリアミド12の配合量を47.5重量部とし、98%硫酸相対粘度4.36のポリアミド6/66共重合体(6/66共重合PA)を21重量部用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
【0053】
<実施例4~5>
ポリアミド6/66共重合体の代わりに、98%硫酸相対粘度2.22のポリアミド6/12共重合体(6/12共重合PA)を用いたこと以外は、実施例2~3と同様に実施した。
【0054】
<実施例6~7>
ポリアミド6/66共重合体の代わりに、98%硫酸相対粘度4.07のポリアミド6/66/12共重合体(6/66/12共重合PA)を用いたこと以外は、実施例2~3と同様に実施した。
【0055】
<実施例8~11>
着色剤マスターバッチMB-1の代わりに、着色剤マスターバッチMB-2~MB-5を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
【0056】
<比較例1>
着色剤マスターバッチMB-1の代わりに、黒色染料系着色剤マスターバッチ(オリヱント化学工業製、商品名:eBIND(登録商標) LTW-8621C)を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
【0057】
<比較例2>
着色剤マスターバッチMB-1の代わりに、98%硫酸相対粘度2.47のポリアミド6にカーボンブラック及びニグロシンを配合した黒色マスターバッチを作製し用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
【0058】
<比較例3>
着色剤マスターバッチMB-1の代わりに、98%硫酸相対粘度1.86のポリアミド12にカーボンブラックを配合した黒色マスターバッチを作製し用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
【0059】
<レーザー透過性評価>
実施例及び比較例で得られた評価用ペレットを用いて、レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物のレーザー透過性を評価した。具体的には、評価用ペレットを射出成形機を用いて幅50×長さ50mm×厚み3mmとした平板状物を成形し、得られた試験片に波長860nmの近赤外線を試験片に対し垂直に照射してその透過量を計測した。なお、試験片が無い状態を100%として透過率を求めた。得られた結果より、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
○:透過率15%以上
×:透過率15%未満
【0060】
<燃料及びアルコール溶出性評価>
実施例及び比較例で得られた評価用ペレットを用いて、レーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物の燃料及びアルコールに対する溶出性を評価した。具体的には、評価用ペレット2gを濃度99.0%以上のエタノール溶液、模擬ガソリン、模擬軽油50mlに入れて23℃を維持した状態で静置し(これを原液とする。)、10日後の各溶液の色をカラーメーターを用いて原液との色の違いを比較して評価を行った。得られた結果より、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
なし:原液との色の違いがない。(溶液に着色剤が溶けていない)
あり:原液との色の違いがある。(溶液に着色剤が溶けている)
【0061】
【表2】
【0062】
以上のとおり、本発明のレーザー溶着用ポリアミド樹脂組成物(実施例1~11)は、レーザー透過性が高く、燃料及びアルコール溶出性が低いことが分かった。