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  • 特開-ダブルロックモーターの駆動回路 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139075
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ダブルロックモーターの駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/68 20060101AFI20220915BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220915BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H02P5/68
H02J7/00 302D
H02J1/00 309S
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039303
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 克
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 興一
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
5H572
【Fターム(参考)】
5G165BB07
5G165MA10
5G165NA10
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA04
5G503DA07
5G503DA08
5G503DA13
5H572AA03
5H572BB07
5H572CC01
5H572DD07
5H572EE04
5H572FF06
5H572HA05
5H572HA09
5H572HC02
5H572HC08
5H572JJ03
(57)【要約】
【課題】ブラシモーターの長寿命化が図れるダブルロックモーター駆動回路を提供する。
【解決手段】第1ハーフブリッジ回路15と第2ハーフブリッジ回路16の2つによるHブリッジ回路とリレー回路20とによってダブルロックモーター駆動回路を構成する。このようにリレー回路20を用いることで、リーク電流の発生を抑制でき、ドアロックモーターM1やダブルロックモーターM2の停止中にこれらに微少電流が流れることを抑制することが可能となる。したがって、ドアロックモーターM1やダブルロックモーターM2を構成するブラシモーターのブラシ接点が摩耗することを抑制でき、接点不良の発生を抑制できて、ブラシモーターの長寿命化を図ることが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1モーター(M1)と第2モーター(M2)の駆動に用いられるダブルロックモーター駆動回路であって、
半導体スイッチング素子で構成された第1スイッチ(SW1)、第2スイッチ(SW2)、第3スイッチ(SW3)および第4スイッチ(SW4)を備え、直列接続された前記第1スイッチおよび前記第3スイッチによる第1ハーフブリッジ回路(15)と直列接続された前記第2スイッチおよび前記第4スイッチによる第2ハーフブリッジ回路(16)とが並列接続されたHブリッジ回路を含むブリッジ回路部(10)と、
前記第2モーターの他端に接続される固定接点(21c)と第1可動接点(21a)および第2可動接点(21b)を有するリレースイッチ(21)と、該リレースイッチが前記第1可動接点と前記第2可動接点のいずれに接続されるかを制御するコイル(22)と、を有するリレー回路(20)と、を有し、
前記ブリッジ回路部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのハイサイド側に繋がり電源(2)からの電源供給が行われるハイサイド端子(11)と、前記第3スイッチと前記第4スイッチのローサイド側に繋がるローサイド端子(12)と、前記第1ハーフブリッジ回路における前記第1スイッチと前記第3スイッチとの間の中間電位点と繋がる第1出力端子(13)と、前記第2ハーフブリッジ回路における前記第2スイッチと前記第4スイッチとの間の中間電位点と繋がる第2出力端子(14)を有し、前記第1出力端子に前記第1モーターの一端が接続されると共に、前記第2出力端子に前記第1モーターの他端および前記第2モーターの一端が接続され、
前記リレー回路は、前記第1可動接点がハイサイド端子に接続され、前記第2可動接点がローサイド端子に接続される、ダブルロックモーター駆動回路。
【請求項2】
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、前記第4スイッチおよび前記リレー回路における前記コイルへの通電を制御する制御部(3)を有している、請求項1に記載のダブルロックモーター駆動回路。
【請求項3】
前記ブリッジ回路部と前記制御部は、同じ電子制御装置に備えられている、請求項2に記載のダブルロックモーター駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重にドアの施開錠を行うための2つのモーターの駆動を制御するダブルロックモーター駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、2つのモーターの駆動を3つのハーフブリッジ回路を備えた駆動回路で制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この駆動回路は、図3に示す回路構成とされる。すなわち、上アームのスイッチJSW1、JSW2、JSW5と下アームのスイッチJSW3、JSW4、JSW6を1つずつ直列接続したハーフブリッジ回路J1~J3を3つ並列接続した構成とされる。3つのうちの2つのハーフブリッジ回路J1、J2における上アームと下アームの中間電位点の間に一方のモーターJM1が接続され、残りの1つを含む3つのうちの2つのハーフブリッジ回路J2、J3における上アームと下アームの中間電位点の間に他方のモーターJM2が接続される。そして、各ハーフブリッジ回路J1~J3の上アームのスイッチJSW1~JSW3が電源J4のハイサイド側に接続され、下アームのスイッチJSW4~JSW6が電源J4のローサイド側や接地電位点に接続された回路構成とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-313533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した駆動回路では、上アームおよび下アームのスイッチJSW1~JSW6として半導体スイッチング素子、例えばMOSFETを用いている。このため、スイッチJSW1~JSW6がオフ状態であっても、電圧が印加された瞬間にモーターJM1、JM2に微小電流が流れる。例えば、スイッチJSW2、JSW3をオンさせ、他のスイッチJSW1、JSW4~JSW6をオフ状態としてモーターJM1を作動させる場合、スイッチJSW2から2つのモーターJM1、JM2に同じ電圧が与えられる。このとき、スイッチJSW6のリーク電流によってモーターJM2にも微小電流が流れる。
【0005】
一般に、車載モーター等ではブラシモーターが用いられる。ブラシモーターでは、作動時にブラシ接点が摩耗するという課題がある。このため、上記のように、モーターJM2を作動させようとしていない状況なのにモーターJM2に微小電流が流れると、ブラシ接点が摩耗していき、接点不良が発生してモーターJM2が作動しなくなることが懸念される。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、ブラシモーターの長寿命化が図れるダブルロックモーター駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、第1モーター(M1)と第2モーター(M2)の駆動に用いられるダブルロックモーター駆動回路であって、半導体スイッチング素子で構成された第1スイッチ(SW1)、第2スイッチ(SW2)、第3スイッチ(SW3)および第4スイッチ(SW4)を備え、直列接続された第1スイッチおよび第3スイッチによる第1ハーフブリッジ回路(15)と直列接続された第2スイッチおよび第4スイッチによる第2ハーフブリッジ回路(16)とが並列接続されたHブリッジ回路を含むブリッジ回路部(10)と、第2モーターの他端に接続される固定接点(21c)と第1可動接点(21a)および第2可動接点(21b)を有するリレースイッチ(21)と、該リレースイッチが第1可動接点と第2可動接点のいずれに接続されるかを制御するコイル(22)と、を有するリレー回路(20)と、を有している。そして、ブリッジ回路は、第1スイッチと第2スイッチのハイサイド側に繋がり電源(2)からの電源供給が行われるハイサイド端子(11)と、第3スイッチと第4スイッチのローサイド側に繋がるローサイド端子(12)と、第1ハーフブリッジ回路における第1スイッチと第3スイッチとの間の中間電位点と繋がる第1出力端子(13)と、第2ハーフブリッジ回路における第2スイッチと第4スイッチとの間の中間電位点と繋がる第2出力端子(14)を有し、第1出力端子に第1モーターの一端が接続されると共に、第2出力端子に第1モーターの他端および第2モーターの一端に接続され、リレー回路は、第1可動接点がハイサイド端子に接続され、第2可動接点がローサイド端子に接続される。
【0008】
このように、第1ハーフブリッジ回路と第2ハーフブリッジ回路の2つによるHブリッジ回路とリレー回路とによってダブルロックモーター駆動回路を構成している。つまり、従来使用していた3つ目のハーフブリッジ回路の1つをメカリレーによって構成されたリレー回路に代えている。このようにリレー回路を用いることで、リーク電流の発生を抑制でき、第1モーターや第2モーターの停止中にこれらに微少電流が流れることを抑制することが可能となる。したがって、第1モーターや第2モーターを構成するブラシモーターのブラシ接点が摩耗することを抑制でき、接点不良の発生を抑制できて、ブラシモーターの長寿命化を図ることが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ、第4スイッチおよびリレー回路におけるコイルへの通電を制御する制御部(3)を有している。このように、ダブルロックモーター駆動回路に制御部を含めた構成とすることもできる。この場合、請求項3に記載の発明のように、ブリッジ回路部と制御部を同じ電子制御装置に備えた構成とすることができる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態にかかるダブルロックモーター駆動回路の回路構成を示した図である。
図2A】シングルロック動作の際の電流経路を示した図である。
図2B】ダブルロック動作の際の電流経路を示した図である。
図2C】ダブルロックリリース動作の際の電流供給を示した図である。
図2D】全アンロック動作の際の電流供給を示した図である。
図3】従来の駆動回路の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態にかかるダブルロックモーター駆動回路について説明する。本実施形態のダブルロックモーター駆動回路は、車両に搭載され、車両におけるドアの施開錠(ロック/アンロックとも言う)を行うものとして使用される。一般的には、ドアのロックは一重で良いが、より防犯性を高めるためには二重に行うのが好ましい。ダブルロックモーター駆動回路は、このドアの二重のロックを制御するものである。
【0014】
図1は、本実施形態のダブルロックモーター駆動回路の回路構成を示した図である。図1に示すように、ダブルロックモーター駆動回路1は、ブリッジ回路部10とリレー回路20とを有した構成とされている。そして、ダブルロックモーター駆動回路1は、電源2からの電源供給に基づいて、第1モーターに相当するドアロックモーターM1と第2モーターに相当するダブルロックモーターM2の駆動を制御する。ブリッジ回路部10やリレー回路20は制御部3によって制御され、制御部3からの制御信号に基づいてドアロックモーターM1やダブルロックモーターM2が駆動されるようになっている。
【0015】
ブリッジ回路部10は、電源2のハイサイド側に接続されるハイサイド端子11とローサイド側や接地電位点に接続されるローサイド端子12、ドアロックモーターM1やダブルロックモーターM2に接続される第1出力端子13、第2出力端子14を備える。また、ブリッジ回路部10は、上アームの第1スイッチSW1および第2スイッチSW2と、下アームの第3スイッチSW3および第4スイッチSW4を備えている。
【0016】
第1スイッチSW1と第3スイッチSW3とが直列接続されて第1ハーフブリッジ回路15が構成されていると共に、第2スイッチSW2と第4スイッチSW4とが直列接続されて第2ハーフブリッジ回路16が構成されている。また、第1ハーフブリッジ回路15と第2ハーフブリッジ回路16とが並列接続されることでHブリッジ回路が構成されている。第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との間がハイサイド端子11に繋がり、第3スイッチSW3と第4スイッチSW4との間がローサイド端子12に繋がっている。また、第1ハーフブリッジ回路15の中間電位点に第1出力端子13が繋がり、第2ハーフブリッジ回路16の中間電位点に第2出力端子14が繋がっている。そして、ドアロックモーターM1の一端が第1出力端子13に接続され、他端が第2出力端子14に接続されている。さらに、ダブルロックモーターM2の一端が第2出力端子14に接続され、他端がリレー回路20における後述するリレースイッチ21の固定接点21cに接続されている。
【0017】
第1スイッチSW1~第4スイッチSW4は、半導体スイッチング素子、ここではMOSFETによって構成されており、ゲート電極へのゲート電圧の印加に基づいてオンオフ動作を行う。第1スイッチSW1~第4スイッチSW4それぞれのゲート電圧については、制御部3が出力する制御信号の1つとして印加されるようになっており、第1スイッチSW1~第4スイッチSW4が独立してオンオフ制御されるようになっている。
【0018】
リレー回路20は、メカリレーによって構成され、リレースイッチ21とコイル22を有し、リレースイッチ21の一方の可動接点21aが電源2のハイサイド側に接続され、他方の可動接点21bが電源のローサイド側に接続されている。そして、上記したように、リレースイッチ21の固定接点21cがダブルロックモーターM2の一端に接続される。リレー回路20におけるコイル22への通電のオンオフについても、制御部3が出力する制御信号の1つに基づいて行われるようになっている。例えば、リレースイッチ21は、コイル22の非通電時には可動接点21bに接続され、コイル22の通電時に可動接点21aに接続されるようになっている。なお、可動接点21aが第1可動接点、可動接点21bが第2可動接点に相当する。
【0019】
ドアロックモーターM1は、ドアの一重目の施開錠を行うためのものである。ドアロックモーターM1は、例えばユーザが図示しないリモートキーを用いて施錠もしくは開錠操作を行った場合に、電源2からの電源供給に基づいて駆動されることで、ドアの図示しない第1の鍵のロックもしくはアンロックを行う。ドアロックモーターM1は、第1の鍵をロックするときには一方向に電流が流されることで正転回転させられ、第1の鍵をアンロックするときには逆方向に電流が流されることで逆転回転させられる。
【0020】
ダブルロックモーターM2は、ドアロックモーターM1によるドアの一重目の施開錠に加えて、ドアの二重目の施開錠を行うものであり、防犯性を高めるためのものである。ダブルロックモーターM2は、例えばユーザが図示しないリモートキーを用いて施錠もしくは開錠操作を行った場合に、電源2からの電源供給に基づいて駆動されることで、ドアの図示しない第2の鍵のロックもしくはアンロックを行う。ダブルロックモーターM2は、第2の鍵をロックするときには一方向に電流が流されることで正転回転させられ、第2の鍵をアンロックするときには逆方向に電流が流されることで逆転回転させられる。
【0021】
制御部3は、ブリッジ回路部10およびリレー回路20を制御することでドアロックモーターM1およびダブルロックモーターM2の駆動を制御する。制御部3は、例えばCPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータなどで構成される。ここでは、制御部3およびブリッジ回路部10を別構成として示してあるが、これらを1つの電子制御装置(ECU)、例えばボデーECUなどによって構成することができる。
【0022】
続いて、このように構成されたダブルロックモーター駆動回路の作動について説明する。
【0023】
(1)停止動作
アイドリング時などには、制御部3からドアロックモーターM1およびダブルロックモーターM2を停止させるための制御信号が出力される。具体的には、制御部3は、ブリッジ回路部10については、第1スイッチSW1をオフ、第2スイッチSW2をオフ、第3スイッチSW3をオン、第4スイッチSW4をオンすべくゲート電圧を制御する。また、制御部3は、リレー回路20については、リレースイッチ21をGND側の可動接点21bに接続すべくコイル22への通電をオフする。
【0024】
これにより、電源2からドアロックモーターM1およびダブルロックモーターM2への電源供給路が行われず、ドアロックモーターM1およびダブルロックモーターM2の両端がGNDに接続された状態になる。したがって、ドアロックモーターM1およびダブルロックモーターM2の駆動が停止される。
【0025】
(2)ドアロック動作
例えば、ユーザがリモートキーを用いてドアのロック操作を行うと、制御部3からドアのロック動作を行わせるための制御信号が出力される。ここでは、ドアロック動作をシングルロック動作とダブルロック動作の2段階の動作で行っている。シングルロック動作は、ドアロックモーターM1を駆動して一重にドアを施錠する動作である。ダブルロック動作は、ドアロックモーターM1に加えてダブルロックモーターM2を駆動して二重にドアを施錠する動作である。ダブルロック動作については、シングルロック動作に続いて順に行われる作動とされる。
【0026】
(2-1)シングルロック動作
シングルロック動作時には、制御部3は、ブリッジ回路部10については、第1スイッチSW1をオフ、第2スイッチSW2をオン、第3スイッチSW3をオン、第4スイッチSW4をオフすべくゲート電圧を制御する。また、制御部3は、リレー回路20については、リレースイッチ21を電源側の可動接点21aに接続すべくコイル22への通電をオンする。
【0027】
これにより、図2Aに示すように、電源2からハイサイド端子11→第2スイッチSW2→ドアロックモーターM1→第3スイッチSW3を通じる経路で電流供給が行われ、ドアロックモーターM1が正転回転させられる。また、ダブルロックモーターM2に関しては、両端に電源電圧が印加されることになるため、駆動が停止された状態となる。
【0028】
このようにして、ドアロックモーターM1が駆動され、ダブルロックモーターM2が駆動停止されるため、ドアロックモーターM1の駆動に基づいて第1の鍵が施錠され、ドアを一重で施錠するシングルロック動作が行われる。
【0029】
(2-2)ダブルロック動作
ダブルロック動作時には、制御部3は、ブリッジ回路部10については、第1スイッチSW1をオン、第2スイッチSW2をオン、第3スイッチSW3をオフ、第4スイッチSW4をオフすべくゲート電圧を制御する。また、制御部3は、リレー回路20については、リレースイッチ21をGND側の可動接点21bに接続すべくコイル22への通電をオフする。
【0030】
これにより、図2Bに示すように、電源2からハイサイド端子11→第2スイッチSW2→ダブルロックモーターM2→リレー回路20を通じる経路で電流供給が行われ、ダブルロックモーターM2が正転回転させられる。また、ドアロックモーターM1については、シングルロック動作時に既に駆動済みで、第1の鍵によってドアが一重で施錠されている状態となっている。このため、ダブルロックモーターM2が駆動されることで第2の鍵が施錠され、ドアを二重で施錠するダブルロック動作が行われる。
【0031】
(3)ドアアンロック動作
例えば、ユーザがリモートキーを用いてドアのアンロック操作を行うと、制御部3からドアのアンロック動作を行わせるための制御信号が出力される。ここでは、ドアのアンロック動作をダブルロックリリース動作と全アンロック動作の2段階の動作で行っている。ダブルロックリリース動作は、ダブルロックモーターM2を駆動して二重の施錠を一重に切り替える動作である。全アンロック動作は、ダブルロックモーターM2に加えてドアロックモーターM1を駆動してドアを完全に開錠する動作である。全アンロック動作については、ダブルロックリリース動作に続いて順に行われる作動とされる。
【0032】
(3-1)ダブルロックリリース動作
ダブルロックリリース動作時には、制御部3は、ブリッジ回路部10については、第1スイッチSW1をオフ、第2スイッチSW2をオフ、第3スイッチSW3をオン、第4スイッチSW4をオンすべくゲート電圧を制御する。また、制御部3は、リレー回路20については、リレースイッチ21を電源側の可動接点21aに接続すべくコイル22への通電をオンする。
【0033】
これにより、図2Cに示すように、電源2からリレー回路20→ダブルロックモーターM2→第2出力端子14→第4スイッチSW4を通じる経路で電流供給が行われ、ダブルロックモーターM2が逆転回転させられる。また、ドアロックモーターM1については、両端が共にGND接続されることから停止した状態のままとなる。このため、ダブルロックモーターM2の駆動に基づいて第2の鍵が開錠されると、ドアの施錠が二重から一重に切り替わる。このようにして、ダブルロックリリース動作が行われる。
【0034】
(3-2)全アンロック動作
全アンロック動作時には、制御部3は、ブリッジ回路部10については、第1スイッチSW1をオン、第2スイッチSW2をオフ、第3スイッチSW3をオフ、第4スイッチSW4をオンすべくゲート電圧を制御する。また、制御部3は、リレー回路20については、リレースイッチ21をGND側の可動接点21bに接続すべくコイル22への通電をオフする。
【0035】
これにより、図2Dに示すように、電源2からハイサイド端子11→第1スイッチSW1→ドアロックモーターM1→第4スイッチSW4を通じる経路で電流供給が行われ、ドアロックモーターM1が逆転回転させられる。また、ダブルロックモーターM2については、ダブルロックリリース動作時に既に駆動済みで、第2の鍵が開錠されてドアの施錠が一重分のみの状態となっている。このため、ドアロックモーターM1の駆動に基づいて第1の鍵も開錠されると、ドアが完全に開錠される。このようにして、全アンロック動作が行われる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態では、第1ハーフブリッジ回路15と第2ハーフブリッジ回路16の2つによるHブリッジ回路とリレー回路20とによってダブルロックモーター駆動回路を構成されている。つまり、従来使用していた3つ目のハーフブリッジ回路の1つをメカリレーによって構成されたリレー回路20に代えている。このようにリレー回路20を用いることで、リーク電流の発生を抑制でき、ドアロックモーターM1やダブルロックモーターM2の停止中にこれらに微少電流が流れることを抑制することが可能となる。したがって、ドアロックモーターM1やダブルロックモーターM2を構成するブラシモーターのブラシ接点が摩耗することを抑制でき、接点不良の発生を抑制できて、ブラシモーターの長寿命化を図ることが可能となる。
【0037】
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0038】
例えば、上記実施形態では、ブリッジ回路部10と制御部3とが同じボデーECU内に配置されることを例に挙げているが、同じECU内に備えられていなくても良く、別々になっていても良い。
【0039】
また、上記実施形態では、ドアロック動作をシングルロック動作とダブルロック動作に分けて2段階で行われるようにしているが、初めからドアロックモーターM1とダブルロックモーターM2を同時に駆動して二重に施錠するようにしても良い。同様に、ドアアンロック動作をダブルロックリリース動作と全アンロック動作に分けて2段階で行われるようにしているが、初めからドアロックモーターM1とダブルロックモーターM2を同時に駆動して開錠するようにしても良い。
【0040】
また、上記実施形態では、ドアロックモーターM1とダブルロックモーターM2の両方を駆動するダブルロックモーター駆動回路として説明したが、これをドアロックモーターM1のみの駆動に用いることもできる。例えば、防犯性を高めるために二重にドアを施開錠できるシステムにおいて、ダブルロックモーター駆動回路が適用されるが、必ずしも二重にドアを施開錠できるシステムが要求される訳ではない。このため、上記実施形態で説明したダブルロックモーター駆動回路を一重にドアの施開錠を行うシステムにも適用することで、より汎用性を高める。具体的には、ダブルロックモーターM2が備えられない場合には、図1に示す回路構成に対してリレー回路20を取り付けないようにする。これにより、より汎用性を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
1…ダブルロックモーター駆動回路、2…電源、3…制御部、10…ブリッジ回路部、11…ハイサイド端子、12…ローサイド端子、13…第1出力端子、14…第2出力端子、15…第1ハーフブリッジ回路、16…第2ハーフブリッジ回路、20…リレー回路、21…リレースイッチ、22…コイル、SW1~SW4…第1~第4スイッチ、M1…ロックモーター、M2…ダブルロックモーター
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3