(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139134
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】レンジフードの吸排気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039385
(22)【出願日】2021-03-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】518350749
【氏名又は名称】山口 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】山口 明彦
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BH10
3L058BK01
(57)【要約】
【課題】吸気筒の縁部において生じる吸引方向と逆向きの流れを極力なくすことにより、排気効率の向上を図ることのできるレンジフードの吸排気装置を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】レンジフード1回りの空間に連通された吸気筒4と、この吸気筒を、この吸気筒の周りに環状の気密な送風路Aを形成して取り囲む排気筒5と、送風路内にその圧縮空気を供給する送風機6とを備え、吸気筒の下流側の端部が全周に亘って排気筒から離間させられていることにより、送風路に排気筒内へ連通された環状の噴出口Bが形成され、吸気筒の下流側の端部が全周に亘って漸次排気筒の内壁に近づくように形成されていることにより、噴出口を吐出部とした環状の絞り部Cが形成され、この絞り部に、送風路に供給される圧縮空気を噴出口へ導く導風板7が設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンジフード回りの空間に連通された吸気筒と、この吸気筒を、この吸気筒の周りに環状の気密な送風路を形成して取り囲む排気筒と、前記送風路内に圧縮空気を供給する送風機とを備え、前記吸気筒の下流側の端部が全周に亘って前記排気筒から離間させられていることにより、前記送風路に前記排気筒内へ連通された環状の噴出口が形成され、前記吸気筒の下流側の端部が全周に亘って漸次前記排気筒の内壁に近づくように形成されていることにより、前記噴出口を吐出部とした環状の絞り部が形成され、この絞り部に、前記送風路に供給される圧縮空気を前記噴出口へ導く導風板が設けられていることを特徴とするレンジフードの吸排気装置。
【請求項2】
前記導風板が前記噴出口に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレンジフードの吸排気装置。
【請求項3】
前記導風板が前記排気筒の中心軸線に沿って設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載のレンジフードの吸排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに係わり、特に、レンジフード回りの気体を吸引して外気へ排出する吸排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レンジフードは、室内と室外とを連通するように設けられた排気筒の途中に排気ファンを設け、この排気ファンによって、その下流側と上流側との間に圧力差を生じさせることにより、排気筒内に室内の空気を吸引するとともに室外へ排気するようにしている。
【0003】
このようなレンジフードにおいては、吸引された室内の空気が送風ファンを通過させられる。
【0004】
ここで、キッチンでの使用を目的としたレンジフードにおいては、吸引される室内の空気に調理中に発生する油が含まれて、この油を含んだ空気が排気ファンによって吸引排気される。
【0005】
このように油を含んだ空気が排気ファンを通過させられると、油が排気ファンに付着して汚れの原因となり、また、付着した油によって排気ファンや排気筒内壁に埃が捕獲されて蓄積されることにより、排気筒に詰まりを生じさせ、あるいは、排気ファンの排気効率を低下させてしまうことがある。
【0006】
そこで、本発明者は、室内空間に連通させられた吸気筒と、この吸気筒の下流側の端部を、環状の隙間を形成しつつ覆う外筒と、隙間に排気用の圧縮空気を送り込む送風ファンとによって構成したレンジフードを提案した(特許文献1)。
【0007】
この技術は、排気用の圧縮空気を環状の隙間から吸気筒の排気側端部の前方に向けて噴射することにより、吸気筒の前方に負圧領域を形成し、この負圧により、吸気筒内の空気を吸引するとともに外筒内に送り込んで室外へ排気するようにしたものである。
【0008】
これによって、排気ファンを空気の排出経路から排除してその汚染を防止するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した先の出願において、排気量を増加させるための諸改善を行なった結果、上記構成では排気量増加の効果が頭打ちであるとの結果となった。
【0011】
そして、その原因が、環状の隙間から吸気筒の排気側端部の前方に向けて噴射する圧縮空気が吸気筒の縁部において乱れて、吸引方向と逆向きの流れが生じ、この逆向きの流れが、吸気筒からの空気の吸引量を阻害していることが、排気量の増加を阻害していることを知見した。
【0012】
本発明は、前述した知見に基づきなされたもので、吸気筒の縁部において生じる吸引方向と逆向きの流れを極力なくすことにより、排気効率の向上を図ることができるレンジフードの吸排気装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のレンジフードの吸排気装置は、前述した課題を解決するために、レンジフード回りの空間に連通された吸気筒と、この吸気筒を、この吸気筒の周りに環状の気密な送風路を形成して取り囲む排気筒と、前記送風路内にその圧縮空気を供給する送風機とを備え、前記吸気筒の下流側の端部が全周に亘って前記排気筒から離間させられていることにより、前記送風路に前記排気筒内へ連通された環状の噴出口が形成され、前記吸気筒の下流側の端部が全周に亘って漸次前記排気筒の内壁に近づくように形成されていることにより、前記噴出口を吐出部とした環状の絞り部が形成され、この絞り部に、前記送風路に供給される圧縮空気を前記噴出口へ導く導風板が設けられていることを特徴とする。
【0014】
このような構成とすることにより、送風路に送り込まれた圧縮空気は、送風路内を吸気筒の外周周りを循環するように移動させられるとともに、絞り部を経て噴出口へ向けて移動させられて、この噴出口から排気筒の内壁に沿うように噴出される。
【0015】
そして、圧縮空気は、絞り部において加速されつつ噴出口から排気筒の内壁に沿うように噴出され、これによって、吸気筒の前方に負圧領域が形成される。
【0016】
このように、圧縮空気が排気筒内の吸気筒の前方に負圧領域が形成されると、この負圧により、吸気筒内の空気が排気筒内に吸引されて、噴出口から噴出される圧縮空気とともに排気筒を経て排気される。
【0017】
ここで、噴出口へ向けて移動する圧縮空気は、導風板によって、給気管および排気筒の軸線方向に沿うように誘導され、噴出口の縁部とほぼ直交するように噴出される。
【0018】
このように、圧縮空気が噴出口の縁部とほぼ直交するように噴出されると、噴出口へ送り込まれる圧縮空気が整流されて噴出口縁部の内側に回り込むことが抑制される。
【0019】
したがって、噴出口縁部の内側において、吸気筒内の空気の流れに逆行する空気の流れの発生が抑制され、吸気筒から排気筒へ吸引される空気の流れが円滑に行なわれる。
この結果、レンジフード外側の空気の排出効率が向上する。
【0020】
前記導風板は、前記噴出口に沿って複数設けることができる。
【0021】
このような構成とすることにより、送風路に送り込まれる圧縮空気を吸気筒周りの複数箇所において噴出口の縁部と直交する方向に誘導して、これによって奏される整流作用を吸気筒周りにおいて均一に生じさせることができる。
【0022】
したがって、前記導風板は、排気筒や吸気筒の中心軸線にほぼ沿うように設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明のレンジフードの吸排気装置によれば、吸気筒の縁部において生じる吸引方向と逆向きの流れを極力なくすことにより、排気効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態を示す外観斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態を示す要部の縦断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態を示す要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
これらの図において、符号1は、本実施形態に係わる吸排気装置が適用されたレンジフードを示し、符号2は本実施形態の吸排気装置を示す。
【0026】
前記レンジフード1は、
図1および
図3に示すように、外気吸引口3aが形成された基体3を備え、この基体3に外気吸引口3aを覆うように本実施形態の吸排気装置2が組み込まれている。
【0027】
本実施形態の吸排気装置2は、
図3に示すように、レンジフード1回りの空間に連通された吸気筒4と、この吸気筒4を、この吸気筒4の周りに環状の気密な送風路Aを形成して取り囲む排気筒5と、送風路A内に圧縮空気を供給する送風機6とを備え、吸気筒4の下流側の端部が全周に亘って排気筒5から離間させられていることにより、送風路Aに排気筒5内へ連通された環状の噴出口Bが形成され、吸気筒4の下流側の端部が全周に亘って漸次排気筒5の内壁に近づくように形成されていることにより、噴出口Bを吐出部とした環状の絞り部Cが形成され、この絞り部Cに、送風路Aに供給される圧縮空気を噴出口Bへ導く導風板7が設けられている構成となっている。
【0028】
本実施形態においては、導風板7が噴出口Bに沿って複数設けられており(
図3参照)、かつ、吸気筒4および排気筒5の中心軸線に沿うように設けられている。
【0029】
前記基体3には、外気吸引口3aを覆うように多数の貫通孔8aが形成されたフィルタ8が着脱可能に装着されている。
【0030】
このように構成された本実施形態のレンジフード1の吸排気装置2によれば、送風機6の起動により送風路Aに送り込まれた圧縮空気は、
図4に(イ)で示すように、送風路A内を吸気筒4の外周周りを循環するように移動させられるとともに、
図4に(ロ)で示すように、絞り部Cを経て噴出口Bへ向けて移動させられて、この噴出口Bから排気筒5の内壁に沿うように噴出される(
図3参照)。
【0031】
そして、圧縮空気は、絞り部Cにおいて加速されつつ噴出口Bから排気筒5の内壁に沿うように噴出され、これによって、吸気筒4の前方に、
図3に示すように、圧力P2で示す負圧領域が形成される。
【0032】
この負圧領域の圧力P2は、レンジフード1の外側の空気圧P1よりも遙かに低い圧力となされる。
【0033】
このように、圧縮空気が排気筒5内の吸気筒4の前方に負圧領域が形成されると、この負圧により、吸気筒4内の空気が排気筒5内に吸引されるとともに、噴出口Bから噴出される圧縮空気とともに排気筒5を経て排気される。
【0034】
ここで、噴出口Bへ向けて移動する圧縮空気は、導風板7によって、給気管および4排気筒5の軸線方向に沿うように誘導され、噴出口Bの縁部とほぼ直交するように噴出される。
【0035】
このように、圧縮空気が噴出口Bの縁部とほぼ直交するように噴出されると、噴出口Bへ送り込まれる圧縮空気が整流されて噴出口B縁部の内側に回り込むことが抑制される。
【0036】
したがって、噴出口B縁部の内側において、吸気筒4内の空気の流れに逆行する空気の流れの発生が抑制され、吸気筒4から排気筒5へ吸引される空気の流れが円滑に行なわれる。
この結果、レンジフード外側の空気の排気効率が向上する。
【0037】
ここで、導風板7が、噴出口Bに沿って複数設けられていることにより、送風路Aに送り込まれる圧縮空気が吸気筒4周りの複数箇所において噴出口Bの縁部と直交する方向に誘導され、これによって奏される整流作用を吸気筒4周りにおいて均一に生じさせることができる。
この結果、レンジフード1の排気効率を大幅に向上させることができる。
【0038】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 レンジフード
2 吸排気装置
3 基体
3a 外気吸引口
4 吸気筒
5 排気筒
6 送風機
7 導風板
A 送風路
B 噴出口
C 絞り部
【手続補正書】
【提出日】2021-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンジフード回りの空間に連通された吸気筒と、この吸気筒を、この吸気筒の周りに環状の気密な送風路を形成して取り囲む排気筒と、前記送風路内に圧縮空気を供給する送風機とを備え、前記吸気筒の下流側の端部が全周に亘って前記排気筒から離間させられていることにより、前記送風路に前記排気筒内へ連通された環状の噴出口が形成され、前記吸気筒の下流側の端部が全周に亘って漸次前記排気筒の内壁に近づくように形成されていることにより、前記噴出口を吐出部とした環状の絞り部が形成され、この絞り部に、前記送風路に供給される圧縮空気を前記噴出口へ導く導風板が設けられ、この導風板が前記噴出口に沿って複数設けられているとともに、前記排気筒の中心軸線に沿って設けられていることを特徴とするレンジフードの吸排気装置。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンジフード回りの空間に連通された吸気筒と、この吸気筒を、この吸気筒の周りに環状の気密な送風路を形成して取り囲む排気筒と、前記送風路内に圧縮空気を供給する送風機とを備え、前記吸気筒の下流側の端部が全周に亘って前記排気筒から離間させられていることにより、前記送風路に前記排気筒内へ連通された環状の噴出口が形成され、前記吸気筒の下流側の端部が全周に亘って漸次前記排気筒の内壁に近づくように形成されていることにより、前記噴出口を吐出部とした環状の絞り部が形成され、この絞り部に、前記送風路に供給される圧縮空気を前記噴出口へ導く導風板が設けられ、この導風板が前記噴出口に沿って複数設けられているとともに、前記噴出口の縁部から前記排気筒の中心軸線に沿って設けられていることを特徴とするレンジフードの吸排気装置。