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特開2022-139217スロープ信号生成回路、PWM信号生成回路、表示装置、及び、スロープ信号生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139217
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】スロープ信号生成回路、PWM信号生成回路、表示装置、及び、スロープ信号生成方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 4/56 20060101AFI20220915BHJP
   H03K 7/08 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H03K4/56
H03K7/08 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039496
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山下 淳一
(72)【発明者】
【氏名】河江 大輔
(57)【要約】
【課題】高精度なスロープ信号を生成することが可能なスロープ信号生成回路、PWM信号生成回路、表示装置、及び、スロープ信号生成方法を提供すること。
【解決手段】一実施の形態に係るスロープ信号生成回路は、少なくとも第1モード及び第2モードを含む動作モードのうち前記第1モードにおいて、第1基準電位と第2基準電位との電位差を積分し、且つ、第2モードにおいて、第1モードにおける積分結果と第3基準電位との電位差を積分してスロープ信号を出力する、積分回路を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1モード及び第2モードを含む動作モードのうち前記第1モードにおいて、第1基準電位と第2基準電位との電位差を積分し、且つ、前記第2モードにおいて、前記第1モードにおける積分結果と第3基準電位との電位差を積分してスロープ信号を出力する、積分回路を備えた、
スロープ信号生成回路。
【請求項2】
前記積分回路は、
前記第1モードにおいて、前記第1基準電位と前記第2基準電位との電位差を積分する第1積分器と、
前記第1モードにおける前記第1積分器の積分結果を固定させる出力固定部と、
前記第2モードにおいて、前記出力固定部によって固定された前記第1積分器の積分結果と、前記第3基準電位と、の電位差を積分して前記スロープ信号を出力する第2積分器と、
を備えた、
請求項1に記載のスロープ信号生成回路。
【請求項3】
前記第1基準電位をV1、前記第2基準電位をV2、前記第3基準電位をV3、前記第1モードにおける前記第1積分器の積分結果をVout1とすると、V1<V2<Vout1<V3が成り立つように構成されている、
請求項2に記載のスロープ信号生成回路。
【請求項4】
前記第1基準電位をV1、前記第2基準電位をV2、前記第3基準電位をV3、前記第1モードにおける前記第1積分器の積分結果をVout1とすると、V1>V2>Vout1>V3が成り立つように構成されている、
請求項2に記載のスロープ信号生成回路。
【請求項5】
前記第1積分器は、
前記第1基準電位が反転入力端子に入力され、前記第2基準電位が非反転入力端子に入力され、出力端子から前記第1積分器の出力信号を出力する、第1増幅器と、
前記第1基準電位が供給される第1基準電位端子と、前記第1増幅器の反転入力端子と、の間に設けられた第1抵抗素子と、
前記第1増幅器の出力端子及び反転入力端子の間に設けられた第1容量素子と、
を有し、
前記出力固定部は、
前記第1基準電位端子と、前記第2基準電位が供給される第2基準電位端子と、の間に設けられ、前記第1モードにおいてオフし、前記第2モードにおいてオンする、第1スイッチ素子を有し、
前記第2積分器は、
前記出力固定部によって固定された前記第1積分器の積分結果が反転入力端子に入力され、前記第3基準電位が非反転入力端子に入力され、出力端子から前記スロープ信号を出力する、第2増幅器と、
前記第1増幅器の出力端子と、前記第2増幅器の反転入力端子と、の間に設けられた第2抵抗素子と、
前記第2増幅器の出力端子及び反転入力端子の間に設けられた第2容量素子と、
を有する、
請求項2~4の何れか一項に記載のスロープ信号生成回路。
【請求項6】
前記第1抵抗素子及び前記第2抵抗素子は、同一チップ内において同じ材料を用いて構成され、
前記第1容量素子及び前記第2容量素子は、同一チップ内において同じ材料を用いて構成されている、
請求項5に記載のスロープ信号生成回路。
【請求項7】
前記第1抵抗素子及び前記第2抵抗素子のそれぞれの抵抗値が実質的に同一であり、
前記第1容量素子及び前記第2容量素子のそれぞれの容量値が実質的に同一であり、
前記第1基準電位をV1、前記第2基準電位をV2、前記第3基準電位をV3,第2前記第1抵抗素子及び前記第2抵抗素子のそれぞれの抵抗値をR0、前記第1容量素子及び前記第2容量素子のそれぞれの容量値をC0、前記第1モードにおける前記第1積分器による積分期間をt1とすると、t1は、下記式
【数10】

が成り立つように調整されている、
請求項5又は6に記載のスロープ信号生成回路。
【請求項8】
前記積分回路は、
前記第1モードにおいて、前記第1基準電位を選択して第1出力端子から出力し、且つ、前記第2基準電位を選択して第2出力端子から出力し、前記第2モードにおいて、保持電位を選択して前記第1出力端子から出力し、且つ、前記第3基準電位を選択して前記第2出力端子から出力する、選択回路と、
前記選択回路の前記第1出力端子の出力電位と、前記選択回路の前記第2出力端子の出力電位と、の電位差を積分し、前記スロープ信号として出力する、積分器と、
前記第1モードにおける前記積分器の積分結果を前記保持電位として保持する保持回路と、
を備えた、
請求項1に記載のスロープ信号生成回路。
【請求項9】
前記第1基準電位をV1、前記第2基準電位をV2、前記第3基準電位をV3、前記第1モードにおける前記積分器の積分結果をVout1とすると、V1<V2<Vout1<V3が成り立つように構成されている、
請求項8に記載のスロープ信号生成回路。
【請求項10】
前記第1基準電位をV1、前記第2基準電位をV2、前記第3基準電位をV3、前記第1モードにおける前記積分器の積分結果をVout1とすると、V1>V2>Vout1>V3が成り立つように構成されている、
請求項8に記載のスロープ信号生成回路。
【請求項11】
前記積分器は、
前記選択回路の第1出力端子の出力電位が反転入力端子に入力され、前記選択回路の第2出力端子の出力電位が非反転入力端子に入力され、出力端子から前記積分器の出力信号を出力する、第1増幅器と、
前記選択回路の第1出力端子と、前記第1増幅器の反転入力端子と、の間に設けられた抵抗素子と、
前記第1増幅器の出力端子及び反転入力端子の間に設けられた容量素子と、
を有する、
請求項8~10の何れか一項に記載のスロープ信号生成回路。
【請求項12】
前記保持回路は、
前記第1モードにおける前記積分器の積分結果が非反転入力端子に入力され、当該保持回路の出力電位が反転入力端子に入力された、第2増幅器を有する、
請求項11に記載のスロープ信号生成回路。
【請求項13】
前記第1基準電位をV1、前記第2基準電位をV2、前記第3基準電位をV3,第2前記抵抗素子の抵抗値をR0、前記容量素子の容量値をC0、前記第1モードにおける前記積分器による積分期間をt1とすると、t1は、下記式
【数11】

が成り立つように調整されている、
請求項11又は12に記載のスロープ信号生成回路。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載のスロープ信号生成回路と、
前記スロープ信号生成回路によって生成されたスロープ信号を用いて、外部入力信号に応じたPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成するPWM信号生成回路と、
を備えた、
PWM信号生成回路。
【請求項15】
発光素子と、
前記発光素子をPWM(Pulse Width Modulation)信号によって駆動する画素回路と、
を備えた表示装置であって、
前記画素回路は、
請求項1~13の何れか一項に記載のスロープ信号生成回路と、
前記スロープ信号生成回路によって生成されたスロープ信号を用いて、映像信号に応じた前記PWM信号を生成するPWM信号生成回路と、
を有する、
表示装置。
【請求項16】
積分回路を用いたスロープ信号生成方法であって、
前記積分回路を用いて、第1基準電位と第2基準電位との電位差を積分し、
前記第1基準電位と第2基準電位との電位差を積分した結果を保持し、
前記積分回路を用いて、保持された積分結果と、第3基準電位と、の電位差を積分してスロープ信号を出力する、
スロープ信号生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロープ信号生成回路、PWM信号生成回路、表示装置、及び、スロープ信号生成方法に関し、例えば高精度なスロープ信号を生成することが可能なスロープ信号生成回路、PWM信号生成回路、表示装置、及び、スロープ信号生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、OLED(Organic Light Emitting Diode)や微小なLED(以下、マイクロLEDと称す)等の自発光型の発光素子を2次元マトリックス状に実装した表示装置の開発が進んでいる。ここで、発光素子としてマイクロLEDが用いられている場合、発光のカラーシフト抑止の観点から、発光素子の階調表現はPWM(Pulse Width Modulation)駆動によって行われることが多い。PWM駆動では、映像信号と、のこぎり波や三角波状の電圧信号であるスロープ信号と、を比較することによって生成された、映像信号に応じたパルス幅のPWM信号、を用いて発光素子の駆動が行われる。したがって、発光素子を精度良く発光させるためには、高精度なスロープ信号が用いられる必要がある。
【0003】
スロープ信号を生成するスロープ信号生成回路に関する技術は、例えば、特許文献1及び非特許文献1に開示されている。特許文献1には、定電流源及び容量素子によって構成された、スロープ波を生成するスロープ波生成器が開示されている。また、非特許文献1には、オペアンプ、抵抗素子及び容量素子によって構成された、三角波を生成する積分回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-211509号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】indexpro, "アナログ回路設計 オペアンプの応用-積分回路", [online], [2021年2月4日検索], <URL: https://www.indexpro.co.jp/article/detail/11/13>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、関連技術の構成では、抵抗素子の抵抗値のばらつきや、容量素子の容量値のばらつきにより、スロープ信号の波形の傾きにばらつきが発生してしまうとう課題があった。つまり、関連技術の構成では、高精度なスロープ信号を生成することができない、という課題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高精度なスロープ信号を生成することが可能なスロープ信号生成回路、PWM信号生成回路、表示装置、及び、スロープ信号生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るスロープ信号生成回路は、少なくとも第1モード及び第2モードを含む動作モードのうち前記第1モードにおいて、第1基準電位と第2基準電位との電位差を積分し、且つ、前記第2モードにおいて、前記第1モードにおける積分結果と第3基準電位との電位差を積分してスロープ信号を出力する、積分回路を備える。このスロープ信号生成回路は、積分回路の構成要素である抵抗素子の抵抗値のばらつきや、積分回路の構成要素である容量素子の容量値のばらつきによる、第1モードにおける積分結果のばらつきを、第2モードでの積分において相殺させることができるため、スロープ信号のばらつきを抑制することができる。つまり、このスロープ信号生成回路は、高精度なスロープ信号を生成することができる。
【0009】
本発明の一態様に係るスロープ信号生成方法は、積分回路を用いたスロープ信号生成方法であって、前記積分回路を用いて、第1基準電位と第2基準電位との電位差を積分し、前記第1基準電位と第2基準電位との電位差を積分した結果を保持し、前記積分回路を用いて、保持された積分結果と、第3基準電位と、の電位差を積分してスロープ信号を出力する。このスロープ信号生成方法は、積分回路の構成要素である抵抗素子の抵抗値のばらつきや、積分回路の構成要素である容量素子の容量値のばらつきによる、第1モードにおける積分結果のばらつきを、第2モードでの積分において相殺させることができるため、スロープ信号のばらつきを抑制することができる。つまり、このスロープ信号生成方法は、高精度なスロープ信号を生成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、高精度なスロープ信号を生成することが可能なスロープ信号生成回路、PWM信号生成回路、表示装置、及び、スロープ信号生成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係るスロープ信号生成回路の構成例を示す回路図である。
図2図1に示すスロープ信号生成回路の動作を示すタイミングチャートである。
図3】比較例に係るスロープ信号生成回路の構成例を示す回路図である。
図4図1に示すスロープ信号生成回路におけるRCばらつきとスロープ信号の電位のばらつきとの関係を示す図である。
図5図1に示すスロープ信号生成回路の適用事例を示す図である。
図6図1に示すスロープ信号生成回路の適用事例を示す図である。
図7図1に示すスロープ信号生成回路の変形例を示す回路図である。
図8図7に示すスロープ信号生成回路の動作を示すタイミングチャートである。
図9】実施の形態2に係るスロープ信号生成回路の構成例を示す回路図である。
図10図9に示すスロープ信号生成回路の動作を示すタイミングチャートである。
図11図9に示すスロープ信号生成回路の第1変形例を示す回路図である。
図12図11に示すスロープ信号生成回路の動作を示すタイミングチャートである。
図13図9に示すスロープ信号生成回路の第2変形例を示す回路図である。
図14図13に示すスロープ信号生成回路の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係るスロープ信号生成回路1の構成例を示す回路図である。
スロープ信号生成回路1は、緩やかに立ち上がり急峻に立ち下がるノコギリ波状のスロープ信号を生成する積分回路である。ここで、スロープ信号生成回路1は、積分回路の構成要素である抵抗素子の抵抗値のばらつきや、積分回路の構成要素である容量素子の容量値のばらつきによる、第1モードにおける積分結果のばらつきを、第2モードでの積分において相殺させることができるため、スロープ信号のばらつきを抑制することができる。つまり、スロープ信号生成回路1は、高精度なスロープ信号を生成することができる。以下、具体的に説明する。
【0013】
図1に示すように、スロープ信号生成回路1は、積分器(第1積分器)11と、積分器(第2積分器)12と、スイッチSW13,SW14,SW15と、を備える。積分器11は、オペアンプ(増幅器)A11と、抵抗素子R11と、容量素子C11と、スイッチSW11と、を有する。積分器12は、オペアンプ(増幅器)A12と、抵抗素子R12と、容量素子C12と、スイッチSW12と、を有する。
【0014】
本実施の形態では、スイッチSW11~SW15が何れもNチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。従って、スイッチSW11~SW15は、制御信号の電位(ゲート電位)がHレベルの場合にオンし、Lレベルの場合にオフする。
【0015】
積分器11において、抵抗素子R11は、積分器11の一方の入力端子(ノードN13)と、オペアンプA11の反転入力端子(-端子)と、の間に設けられている。容量素子C11は、オペアンプA11の出力端子と、オペアンプA11の反転入力端子と、の間に設けられている。スイッチSW11は、容量素子C11に並列に設けられ、制御信号Setに応じてオンオフを切り替える。オペアンプA11の非反転入力端子(+端子)は、積分器11の他方の入力端子(ノードN14)に接続されている。オペアンプA11の出力端子は、積分器11の出力端子(ノードN11)に接続されている。
【0016】
積分器12において、抵抗素子R12は、積分器12の一方の入力端子(ノードN15)と、オペアンプA12の反転入力端子(-端子)と、の間に設けられている。容量素子C12は、オペアンプA12の出力端子と、オペアンプA12の反転入力端子と、の間に設けられている。スイッチSW12は、容量素子C12に並列に設けられ、制御信号Set2_(Set2の反転信号)に応じてオンオフを切り替える。オペアンプA12の非反転入力端子(+端子)は、積分器12の他方の入力端子(ノードN16)に接続されている。オペアンプA12の出力端子は、積分器12の出力端子(ノードN12)に接続されている。また、積分器12の出力端子(ノードN12)は、スロープ信号生成回路1の出力端子(以下、出力端子Vout2と称す)に接続されている。
【0017】
スイッチSW13は、積分器11の一方の入力端子(ノードN13)と、基準電位V1が供給される基準電位端子(以下、基準電位端子V1と称す)と、の間に設けられ、制御信号Set1に応じてオンオフを切り替える。スイッチSW14は、積分器11の一方の入力端子(ノードN13)と、積分器11の他方の入力端子(ノードN14)と、の間に設けられ、制御信号Set1_(Set1の反転信号)に応じてオンオフを切り替える。積分器11の他方の入力端子(ノードN14)には、基準電位V2が供給される基準電位端子(以下、基準電位端子V2と称する)が接続されている。
【0018】
スイッチSW15は、積分器11の出力端子(ノードN11)と、積分器12の入力端子(ノードN15)と、の間に設けられ、制御信号Set2に応じてオンオフを切り替える。
【0019】
ここで、基準電位V1,V2,V3は、基準電位V1~V3及び積分器11の積分結果(到達電位)Vout1の間にV1<V2<Vout1<V3の関係が成り立つように調整されている。図1の例では、基準電位V1が1.7Vに調整され、基準電位V2が1.8Vに調整され、積分器11の積分結果が1.9±0.01Vであることを考慮して、基準電位V3が2.0Vに調整されている。
【0020】
また、抵抗素子R11,R12は、同じチップ内で同じ材料を用いて構成されている。そのため、抵抗素子R11,R12のそれぞれのばらつきの傾向は実質的に同一となっている。また、本実施の形態では、抵抗素子R11,R12のそれぞれの抵抗値が実質的に同一である場合を例に説明する。
【0021】
同様に、容量素子C11,C12は、同じチップ内で同じ材料を用いて構成されている。そのため、容量素子C11,C12のそれぞれのばらつきの傾向は実質的に同一となっている。また、本実施の形態では、容量素子C11,C12のそれぞれの容量値が実質的に同一である場合を例に説明する。
【0022】
(スロープ信号生成回路1の動作)
続いて、図2を用いて、スロープ信号生成回路1の動作を説明する。
図2は、スロープ信号生成回路1の動作を示すタイミングチャートである。なお、図2には、ノコギリ波一周期分のスロープ信号の波形が示されている。
【0023】
まず、動作モードが初期化モードに設定される。初期化モードでは、積分器11,12の初期化が行われる。
【0024】
具体的には、初期化モードでは、制御信号Set1がLレベル、制御信号Set2がLレベル、制御信号SetがHレベルに設定される(時刻t10)。それにより、スイッチSW11はオンし、スイッチSW12はオンし、スイッチSW13はオフし、スイッチSW14はオンし、スイッチSW15はオフする。
【0025】
それにより、積分器11,12は、互いに分離され、且つ、初期化された状態となる。図2の例では、積分器11の出力電位Vout1(及び、2つの入力端子の電位)は、基準電位V2と同じ1.8Vを示し、積分器12の出力電位Vout2(及び、2つの入力端子の電位)は、基準電位V3と同じ2.0Vを示す。
【0026】
その後、動作モードが初期化モードから第1モードに移行する。第1モードでは、積分器11による積分が行われる(時刻t11~t12)。
【0027】
具体的には、まず、制御信号Set1がLレベルからHレベルに切り替わり、制御信号SetがHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t11)。それにより、スイッチSW11はオンからオフに切り替わり、スイッチSW12はオン状態を維持し、スイッチSW13はオフからオンに切り替わり、スイッチSW14はオンからオフに切り替わり、スイッチSW15はオフ状態を維持する。
【0028】
それにより、積分器11は、積分可能な状態となり、一方の入力端子(ノードN13)に入力された基準電位V1と、他方の入力端子(ノードN14)に入力された基準電位V2と、の電位差を積分して、出力電位Vout1として出力し始める。ここで、出力電位Vout1は、第1モードにおいて単調増加する。
【0029】
それに対し、積分器12は、積分器11と分離され、且つ、初期化された状態のままでる。したがって、積分器12の出力電位Vout2は、基準電位V3と同じ2.0Vを示したままである。
【0030】
積分器11の出力電位Vout1が単調増加して最大値に到達すると、積分器11による積分が完了し、動作モードが第1モードから第2モードに移行する。第2モードでは、積分器11による積分結果(到達電位)に保持された状態で、積分器12による積分が行われる(時刻t12~t13)。
【0031】
具体的には、制御信号Set1がHレベルからLレベルに切り替わり、制御信号Set2がLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t12)。それにより、スイッチSW11はオフ状態を維持し、スイッチSW12はオンからオフに切り替わり、スイッチSW13はオンからオフに切り替わり、スイッチSW14はオフからオンに切り替わり、スイッチSW15はオフからオンに切り替わる。
【0032】
それにより、積分器11は、スイッチSW14(出力固定部)がオンして2つの入力端子同士が短絡するため、出力電位Vout1を、第1モードにおける積分結果(到達電位)に固定させる。ここで、出力電位Vout1は、理想的には1.9Vを示すが、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきにより、例えば±10%程度ばらついている。つまり、出力電位Vout1は、1.89V~1.91Vの範囲でばらついている。
【0033】
それに対し、積分器12は、積分器11と連結され、且つ、積分可能な状態となる。それにより、積分器12は、一方の入力端子(ノードN15)に入力された出力電位Vout1(第1モードにおける積分器11の積分結果)と、他方の入力端子(ノードN16)に入力された基準電位V3と、の電位差を積分して、出力電位Vout2として出力し始める。ここで、出力電位Vout2は、第2モードにおいて単調増加する。
【0034】
この出力電位Vout2は、スロープ信号として、外部出力端子Vout2からスロープ信号生成回路1の外部に出力される。
【0035】
ここで、積分器12は、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきによる積分器11の出力電位Vout1のばらつきを、抵抗素子R12の抵抗値のばらつきや容量素子C12の容量値のばらつきによって相殺させるように負帰還動作するため、出力電位Vout2(即ち、スロープ信号)のばらつきを抑制することができる(詳細は後述)。
【0036】
積分器12の出力電位Vout2が単調増加して所定値に到達すると、積分器12による積分が完了し、動作モードが第2モードから初期化モードに移行する。初期化モードでは、既に説明したとおり、積分器11,12の初期化が行われる。
【0037】
具体的には、制御信号Set2がHレベルからLレベルに切り替わり、制御信号SetがLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t13)。それにより、スイッチSW11はオフからオンに切り替わり、スイッチSW12はオフからオンに切り替わり、スイッチSW13はオフ状態を維持し、スイッチSW14はオン状態を維持し、スイッチSW15はオンからオフに切り替わる。
【0038】
それにより、積分器11の出力電位Vout1は、基準電位V2と同じ1.8Vまで急峻に立ち下がり、積分器12の出力電位Vout2(即ち、スロープ信号)は、基準電位V3と同じ2.0Vまで急峻に立ち下がる。
【0039】
スロープ信号生成回路1は、このような動作を繰り返すことにより、緩やかに立ち上がり急峻に立ち下がるノコギリ波状のスロープ信号を生成する。
【0040】
ここで、抵抗素子R11,R12は、同じチップ内で同じ材料を用いて構成されている。そのため、抵抗素子R11,R12のそれぞれのばらつきの傾向は実質的に同一となっている。また、抵抗素子R11,R12のそれぞれの抵抗値は実質的に同一となっている。そのため、抵抗素子R11,R12のそれぞれの抵抗値をR0、容量素子C11,C12のそれぞれの容量値をC0、第1モードにおける積分器11による積分期間(時刻t11~t12)をt1、第2モードにおける積分器12による積分期間(t12~t13)、kを抵抗素子及び容量素子のばらつき係数、出力電位Vout1をVout1、出力電位Vout2をVout2とすると、Vout1、Vout2は、それぞれ以下の式(1)及び式(2)のように表すことができる。
【0041】
【数1】
【0042】
【数2】
【0043】
式(1)及び式(2)を参照すると、例えば、抵抗素子の抵抗値R0及び容量素子の容量値C0が理想値よりも10%小さい場合、Vout1は理想電位1.9Vよりも大きな1.91V程度を示すが、基準電位V3(=2.0V)と出力電位Vout1(=1.91V)の電位差が、理想状態よりも0.01V小さな0.09Vになるため、出力電位Vout2は、ばらつきが抑えられて理想電位に近づく。また、抵抗素子の抵抗値R0及び容量素子の容量値C0が理想値よりも10%大きい場合、Vout1は理想電位1.9Vよりも小さな1.89V程度を示すが、基準電位V3(=2.0V)と出力電位Vout1(=1.89V)の電位差が、理想状態よりも0.01V大きな0.11Vになるため、出力電位Vout2は、ばらつきが抑えられて理想電位に近づく。
【0044】
さらに詳しく説明すると、式(1)を式(2)に代入すると、Vout2は以下の式(3)のように表すことができる。
【0045】
【数3】
【0046】
ここで、第1モードにおける積分器11による積分期間t1を以下の式(4)のように調整すると、Vout2は、以下の式(5)のように表すことができる。
【0047】
【数4】
【0048】
【数5】
【0049】
式(5)を変形すると、Vout2は、以下の式(6)のように表すことができる。
【0050】
【数6】
【0051】
式(6)を変形すると、Vout2は、以下の式(7)のように表すことができる。
【0052】
【数7】
【0053】
k<<1とすると、Vout2は、一次近似することにより、以下の式(8)のように表すことができる。
【0054】
【数8】
【0055】
式(8)を変形すると、Vout2は、以下の式(9)のように表すことができる。
【0056】
【数9】
【0057】
式(9)を見ても分かるように、出力電位Vout2(即ち、スロープ信号)は、ばらつき係数kに依存しない。即ち、スロープ信号生成回路1は、抵抗素子R11,R12の抵抗値のばらつきや容量素子C11,C12の容量値のばらつきに依存せずに、高精度なスロープ信号を生成することができる。
【0058】
図3は、比較例に係るスロープ信号生成回路50の構成例を示す回路図である。図3に示すように、スロープ信号生成回路50は、スロープ信号生成回路1の構成要素のうち前段の積分器11のみを備え、当該積分器11の出力電位Vout1をスロープ信号として出力している。ここで、出力電位Vout1は、上述の式(1)のように表すことができる。
【0059】
式(1)を見てもわかるように、スロープ信号生成回路50の出力電位は、ばらつき係数kに依存する。即ち、スロープ信号生成回路50では、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきに依存して、スロープ信号の電位がばらついてしまう。
【0060】
図4は、スロープ信号生成回路1におけるRCばらつき(抵抗素子及び容量素子のばらつき)とスロープ信号の電位のばらつきと、の関係を示す図である。なお、図3には、比較のため、スロープ信号生成回路50におけるRCばらつきとスロープ信号の電位のばらつきとの関係も示されている。
【0061】
図4を見ても分かるように、スロープ信号生成回路50では、RCばらつきが大きくなるほど、スロープ信号の電位のばらつきが大きくなっているのに対し、本実施の形態にかかるスロープ信号生成回路1では、RCばらつきに関わらず、スロープ信号の電位のばらつきが小さく抑えられている。
【0062】
このように、本実施の形態に係るスロープ信号生成回路1は、2段の積分器11,12を備え、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきによる積分器11の出力電位Vout1のばらつきを、積分器12による積分時に、抵抗素子R12の抵抗値のばらつきや容量素子C12の容量値のばらつきによって相殺させることができるため、スロープ信号(出力電位Vout2)のばらつきを抑制することができる。つまり、本実施の形態に係るスロープ信号生成回路1は、高精度なスロープ信号を生成することができる。
【0063】
(スロープ信号生成回路1の適用事例)
ところで、近年では、OLED(Organic Light Emitting Diode)や微小なLED(以下、マイクロLEDと称す)等の自発光型の発光素子を2次元マトリックス状に実装した表示装置の開発が進んでいる。ここで、発光素子としてマイクロLEDが用いられている場合、発光のカラーシフト抑止の観点から、発光素子の階調表現はPWM(Pulse Width Modulation)駆動によって行われることが多い。PWM駆動では、映像信号と、のこぎり波や三角波状の電圧信号であるスロープ信号と、を比較することによって生成された、映像信号に応じたパルス幅のPWM信号、を用いて発光素子の駆動が行われる。したがって、発光素子を精度良く発光させるためには、高精度なスロープ信号が用いられる必要がある。
【0064】
そこで、例えば、スロープ信号生成回路1によって生成されたスロープ信号は、上述のような表示装置において、自発光型の発光素子を駆動するためのPWM信号の生成に用いられる。それにより、表示装置は、高品質な映像を表示させることができる。
【0065】
なお、スロープ信号生成回路1は、自発光型の発光素子を駆動する画素回路(駆動回路)の外部に設けられていてもよいが、パネル内部での波形遅延やトランジェント劣化を防ぐため、画素回路に内蔵されても良い。以下、スロープ信号生成回路1が画素回路に内蔵される場合の例について説明する。
【0066】
図5は、スロープ信号生成回路1が適用される表示装置100の概要を示す図である。
図5に示すように、表示装置100のパネル部分には、複数の自発光型の発光素子が二次元マトリックス状に配置されている。なお、図5の例では、各発光素子がマイクロLEDであるものとする。また、図5の例では、12個の発光素子D1~D12に対して1個の画素回路10が配置されている。つまり、1個の画素回路10は、12個の発光素子D1~D12のPWM駆動を行う。
【0067】
図6は、画素回路10の構成例を示すブロック図である。画素回路10は、マイクロコントローラ(μIC)とも称し、ここでは12個の発光素子D1~D12のPWM駆動を行う。
【0068】
具体的には、画素回路10は、スロープ信号生成回路1と、12個の発光素子D1~D12に対応する12個のPWM信号生成回路20_1~20_12と、を備える。各PWM信号生成回路20_1~20_12は、映像信号と、スロープ信号生成回路1によって生成されたスロープ信号と、を比較することによって、映像信号に応じたパルス幅のPWM信号を生成する。PWM信号生成回路20_1~20_12によって生成されたPWM信号は、それぞれ発光素子D1~D12に供給される。それにより、各発光素子D1~D12は映像信号に応じた輝度で発光する。
【0069】
ここで、スロープ信号生成回路1は、既に説明したように、RCばらつきに関わらず、高精度なスロープ信号を生成することができる。そのため、各発光素子D1~D12は高精度に発光することができる。
【0070】
さらに、複数の画素回路10のそれぞれに設けられた複数のスロープ信号生成回路1のRCばらつきが異なる場合でも、各スロープ信号生成回路1は、RCばらつきに関わらず、高精度なスロープ信号を生成することができる。そのため、表示装置100は、二次元マトリックス状に配置された複数の発光素子を高精度に発光させることができる。つまり、表示装置100は、高品質な映像を表示させることができる。
【0071】
(スロープ信号生成回路1の変形例)
図7は、スロープ信号生成回路1の変形例をスロープ信号生成回路1aとして示す回路図である。スロープ信号生成回路1は、緩やかに立ち上がり急峻に立ち下がるノコギリ波状のスロープ信号を生成していた。それに対し、スロープ信号生成回路1aは、緩やかに立ち下がり急峻に立ち上がるノコギリ波状のスロープ信号を生成する。
【0072】
具体的には、基準電位V1,V2,V3は、基準電位V1~V3及び積分器11の積分結果(到達電位)Vout1の間にV1>V2>Vout1>V3の関係が成り立つように調整されている。図7の例では、基準電位V1が3.3Vに調整され、基準電位V2が3.2Vに調整され、積分器11の積分結果が3.1±0.01Vであることを考慮して、基準電位V3が3.0Vに調整されている。
【0073】
スロープ信号生成回路1aのその他の構成については、スロープ信号生成回路1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0074】
(スロープ信号生成回路1aの動作)
続いて、図8を用いて、スロープ信号生成回路1aの動作を説明する。
図8は、スロープ信号生成回路1の動作を示すタイミングチャートである。なお、図8には、ノコギリ波1周期分のスロープ信号の波形が示されている。
【0075】
まず、動作モードが初期化モードに設定される。初期化モードでは、積分器11,12の初期化が行われる。
【0076】
具体的には、初期化モードでは、制御信号Set1がLレベル、制御信号Set2がLレベル、制御信号SetがHレベルに設定される(時刻t20)。それにより、スイッチSW11はオンし、スイッチSW12はオンし、スイッチSW13はオフし、スイッチSW14はオンし、スイッチSW15はオフする。
【0077】
それにより、積分器11,12は、互いに分離され、且つ、初期化された状態となる。図2の例では、積分器11の出力電位Vout1(及び、2つの入力端子の電位)は、基準電位V2と同じ3.2Vを示し、積分器12の出力電位Vout2(及び、2つの入力端子の電位)は、基準電位V3と同じ3.0Vを示す。
【0078】
その後、動作モードが初期化モードから第1モードに移行する。第1モードでは、積分器11による積分が行われる(時刻t21~t22)。
【0079】
具体的には、まず、制御信号Set1がLレベルからHレベルに切り替わり、制御信号SetがHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t21)。それにより、スイッチSW11はオンからオフに切り替わり、スイッチSW12はオン状態を維持し、スイッチSW13はオフからオンに切り替わり、スイッチSW14はオンからオフに切り替わり、スイッチSW15はオフ状態を維持する。
【0080】
それにより、積分器11は、積分可能な状態となり、一方の入力端子(ノードN13)に入力された基準電位V1と、他方の入力端子(ノードN14)に入力された基準電位V2と、の電位差を積分して、出力電位Vout1として出力し始める。ここで、出力電位Vout1は、第1モードにおいて単調減少する。
【0081】
それに対し、積分器12は、積分器11と分離され、且つ、初期化された状態のままでる。したがって、積分器12の出力電位Vout2は、基準電位V3と同じ3.0Vを示したままである。
【0082】
積分器11の出力電位Vout1が単調減少して最小値に到達すると、積分器11による積分が完了し、動作モードが第1モードから第2モードに移行する。第2モードでは、積分器11による積分結果(到達電位)に保持された状態で、積分器12による積分が行われる(時刻t22~t23)。
【0083】
具体的には、制御信号Set1がHレベルからLレベルに切り替わり、制御信号Set2がLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t22)。それにより、スイッチSW11はオフ状態を維持し、スイッチSW12はオンからオフに切り替わり、スイッチSW13はオンからオフに切り替わり、スイッチSW14はオフからオンに切り替わり、スイッチSW15はオフからオンに切り替わる。
【0084】
それにより、積分器11は、スイッチSW14(出力固定部)がオンして2つの入力端子同士が短絡するため、出力電位Vout1を、第1モードにおける積分結果(到達電位)に固定させる。ここで、出力電位Vout1は、理想的には3.1Vを示すが、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきにより、例えば±10%程度ばらついている。つまり、出力電位Vout1は、3.09V~3.11Vの範囲でばらついている。
【0085】
それに対し、積分器12は、積分器11と連結され、且つ、積分可能な状態となる。それにより、積分器12は、一方の入力端子(ノードN15)に入力された出力電位Vout1(第1モードにおける積分器11の積分結果)と、他方の入力端子(ノードN16)に入力された基準電位V3と、の電位差を積分して、出力電位Vout2として出力し始める。ここで、出力電位Vout2は、第2モードにおいて単調減少する。
【0086】
この出力電位Vout2は、スロープ信号として、外部出力端子Vout2からスロープ信号生成回路1の外部に出力される。
【0087】
ここで、積分器12は、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきによる積分器11の出力電位Vout1のばらつきを、抵抗素子R12の抵抗値のばらつきや容量素子C12の容量値のばらつきによって相殺させるように負帰還動作するため、出力電位Vout2(即ち、スロープ信号)のばらつきを抑制することができる。
【0088】
積分器12の出力電位Vout2が単調減少して所定値に到達すると、積分器12による積分が完了し、動作モードが第2モードから初期化モードに移行する。初期化モードでは、既に説明したとおり、積分器11,12の初期化が行われる。
【0089】
具体的には、制御信号Set2がHレベルからLレベルに切り替わり、制御信号SetがLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t23)。それにより、スイッチSW11はオフからオンに切り替わり、スイッチSW12はオフからオンに切り替わり、スイッチSW13はオフ状態を維持し、スイッチSW14はオン状態を維持し、スイッチSW15はオンからオフに切り替わる。
【0090】
それにより、積分器11の出力電位Vout1は、基準電位V2と同じ3.2Vまで急峻に立ち上がり、積分器12の出力電位Vout2(即ち、スロープ信号)は、基準電位V3と同じ3.0Vまで急峻に立ち上がる。
【0091】
スロープ信号生成回路1は、このような動作を繰り返すことにより、緩やかに立ち下がり急峻に立ち上がるノコギリ波状のスロープ信号を生成する。
【0092】
このように、本実施の形態に係るスロープ信号生成回路1aは、2段の積分器11,12を備え、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきによる積分器11の出力電位Vout1のばらつきを、積分器12による積分時に、抵抗素子R12の抵抗値のばらつきや容量素子C12の容量値のばらつきによって相殺させることができるため、スロープ信号(出力電位Vout2)のばらつきを抑制することができる。つまり、本実施の形態に係るスロープ信号生成回路1aは、高精度なスロープ信号を生成することができる。
【0093】
<実施の形態2>
図9は、実施の形態2に係るスロープ信号生成回路2の構成例を示す回路図である。
スロープ信号生成回路2は、緩やかに立ち上がり急峻に立ち下がるノコギリ波状のスロープ信号を生成する積分回路である。ここで、スロープ信号生成回路1は、積分回路の構成要素である抵抗素子の抵抗値のばらつきや、積分回路の構成要素である容量素子の容量値のばらつきによる、第1モードにおける積分結果のばらつきを、第2モードでの積分において相殺させることができるため、スロープ信号のばらつきを抑制することができる。つまり、スロープ信号生成回路1は、高精度なスロープ信号を生成することができる。以下、具体的に説明する。
【0094】
図9に示すように、スロープ信号生成回路2は、積分器21と、保持回路22と、選択回路23と、スイッチSW24と、を備える。積分器21は、オペアンプ(増幅器)A21と、抵抗素子R21と、容量素子C21と、スイッチSW21と、を有する。保持回路22は、オペアンプ(増幅器)A22と、容量素子C22と、スイッチSW22と、を有する。選択回路23は、スイッチSW31~SW34を有する。
【0095】
本実施の形態では、スイッチSW21,SW22,SW24,SW31~SW33が何れもNチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。従って、スイッチSW21,SW22,SW24,SW31~SW33は、制御信号の電位(ゲート電位)がHレベルの場合にオンし、Lレベルの場合にオフする。
【0096】
積分器21において、抵抗素子R21は、積分器21の一方の入力端子(ノードN23)と、オペアンプA21の反転入力端子(-端子)と、の間に設けられている。容量素子C21は、オペアンプA21の出力端子と、オペアンプA21の反転入力端子と、の間に設けられている。スイッチSW21は、容量素子C21に並列に設けられ、制御信号Resに応じてオンオフを切り替える。オペアンプA21の非反転入力端子(+端子)は、積分器21の他方の入力端子(ノードN24)に接続されている。オペアンプA21の出力端子は、積分器21の出力端子(ノードN21)に接続されている。また、積分器21の出力端子(ノードN21)は、スロープ信号生成回路2の出力端子(以下、出力端子Voutと称す)に接続されている。
【0097】
保持回路22において、スイッチSW22は、保持回路22の入力端子(ノードN21)と、オペアンプA22の非反転入力端子(+端子)と、の間に設けられ、制御信号Set1に応じてオンオフを切り替える。容量素子C22は、オペアンプA11の非反転入力端子と、接地電圧端子と、の間に設けられている。オペアンプA22の反転入力端子(-端子)は、オペアンプA22の出力端子に接続されている。オペアンプA22の出力端子は、保持回路22の出力端子(ノードN22)に接続されている。
【0098】
選択回路23において、スイッチSW31は、基準電位V1が供給される基準電位端子(以下、基準電位端子V1と称す)と、選択回路23の一方の出力端子(ノードN23)と、の間に設けられ、制御信号Set1に応じてオンオフを切り替える。スイッチSW32は、保持回路22の出力端子(ノードN22)と、選択回路23の一方の出力端子(ノードN23)と、の間に設けられ、制御信号Set2に応じてオンオフを切り替える。スイッチSW33は、基準電位V2が供給される基準電位端子(以下、基準電位端子V2と称す)と、選択回路23の他方の出力端子(ノードN24)と、の間に設けられ、制御信号Set1に応じてオンオフを切り替える。スイッチSW34は、基準電位V3が供給される基準電位端子(以下、基準電位端子V3と称す)と、選択回路23の他方の出力端子(ノードN24)と、の間に設けられ、制御信号Set2に応じてオンオフを切り替える。選択回路23の一方の出力端子は、ノードN23を介して、積分器21の一方の入力端子に接続されている。選択回路23の他方の出力端子は、ノードN24を介して、積分器21の他方の入力端子に接続されている。
【0099】
スイッチSW24は、積分器21の出力端子(ノードN21)と、基準電位端子V3と、の間に設けられ、制御信号Setに応じてオンオフを切り替える。
【0100】
ここで、第1モードにおける積分器21の積分結果(到達電位)VoutをVout1とすると、基準電位V1,V2,V3は、基準電位V1~V3及びVout1の間にV1<V2<Vout1<V3の関係が成り立つように調整されている。図9の例では、基準電位V1が1.7Vに調整され、基準電位V2が1.8Vに調整され、第1モードにおける積分器21の積分結果Vout1が1.9±0.01Vであることを考慮して、基準電位V3が2.0Vに調整されている。
【0101】
(スロープ信号生成回路2の動作)
続いて、図10を用いて、スロープ信号生成回路2の動作を説明する。
図10は、スロープ信号生成回路2の動作を示すタイミングチャートである。なお、図10には、ノコギリ波一周期分のスロープ信号の波形が示されている。
【0102】
まず、動作モードが初期化モードに設定される。初期化モードでは、積分器21の初期化が行われる(時刻t30~t32)。
【0103】
具体的には、まず、制御信号SetがHレベル、制御信号ResがLレベル、制御信号Set1がLレベル、制御信号Set2がLレベルに設定される(時刻t30)。それにより、スイッチSW21はオフし、スイッチSW22はオフし、スイッチSW24はオンし、スイッチSW31,SW33はオフし、スイッチSW32,SW34はオフする。それにより、積分器21の出力電位Voutは基準電圧V3と同じ2.0Vを示す。
【0104】
その後、制御信号SetがHレベルからLレベルに切り替わり、制御信号ResがLレベルからHレベルに切り替わり、制御信号Set1がLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t31)。それにより、スイッチSW21はオフからオンに切り替わり、スイッチSW22はオフからオンに切り替わり、スイッチSW24はオンからオフに切り替わり、スイッチSW31,SW33はオフからオンに切り替わる。一方、スイッチSW32,SW34はオフ状態を維持する。
【0105】
それにより、選択回路23は、一方の出力端子から基準電位V1を出力し、他方の出力端子から基準電位V2を出力する。選択回路23の一方の出力端子から出力された基準電位V1は、ノードN23を介して、積分器21の一方の入力端子に入力される。選択回路23の他方の出力端子から出力された基準電位V3は、ノードN24を介して、積分器21の他方の入力端子に入力される。ここで、スイッチSW21がオン状態であるため、積分器21の出力電位Voutは、基準電位V2と同じ1.8Vを示す。そのため、保持回路22の出力電位Vbufも1.8Vを示す。
【0106】
その後、動作モードが初期化モードから第1モードに移行する。第1モードでは、積分器21による1回目の積分が行われる(時刻t32~t33)。
【0107】
具体的には、制御信号ResがHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t32)。それにより、スイッチSW21がオンからオフに切り替わる。一方、スイッチSW22,SW31,SW33はオン状態を維持し、スイッチSW24,SW32,SW34はオフ状態を維持する。
【0108】
それにより、積分器21は、積分可能な状態となり、一方の入力端子(ノードN23)に入力された基準電位V1と、他方の入力端子(ノードN24)に入力された基準電位V2と、の電位差を積分して、出力電位Voutとして出力し始める。ここで、出力電位Voutは、第1モードにおいて単調増加する。そのため、保持回路22の出力電位VbufもVoutと同じく第1モードにおいて単調増加する。
【0109】
積分器21の出力電位Voutが単調増加して第1モードにおける最大値に到達すると、積分器21による積分が完了し、動作モードが第1モードから準備モードに移行する。準備モードでは、積分器21による2回目の積分の準備が行われる(時刻t33~t35)。
【0110】
具体的には、まず、制御信号Set1がHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t33)。それにより、スイッチSW22がオンからオフに切り替わり、スイッチSW31,SW33がオンからオフに切り替わる。一方、スイッチSW21,SW24,SW32,SW34は何れもオフ状態を維持する。
【0111】
それにより、選択回路23の2つの出力端子はオープン状態となる。そのため、積分器21の出力電位Voutは、第1モードにおける積分器21の積分結果(Vout1)に固定された状態となる。また、このとき、保持回路22は、第1モードにおける積分器21の積分結果(Vout1)を保持して、出力電位Vbufとして出力する。
【0112】
ここで、第1モードにおける積分器21の積分結果(Vout1)は、理想的には1.9Vを示すが、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきにより、例えば±10%程度ばらついている。つまり、第1モードにおける積分器21の積分結果(Vout1)は、1.89V~1.91Vの範囲でばらついている。そのため、保持回路22の出力電位Vbufも、1.89V~1.91Vの範囲でばらついている。
【0113】
その後、制御信号ResがLレベルからHレベルに切り替わり、制御信号Set2がLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t34)。それにより、スイッチSW21がオフからオンに切り替わり、スイッチSW32,SW34がオフからオンに切り替わる。一方、スイッチSW22,SW24,SW31,SW33はオフ状態を維持する。
【0114】
それにより、選択回路23は、一方の出力端子から電位Vbuf(第1モードにおける積分器21の積分結果)を出力し、他方の出力端子から基準電位V3を出力する。選択回路23の一方の出力端子から出力された電位Vbufは、ノードN23を介して、積分器21の一方の入力端子に入力される。選択回路23の他方の出力端子から出力された基準電位V3は、ノードN24を介して、積分器21の他方の入力端子に入力される。ここで、スイッチSW21がオン状態であるため、積分器21の出力電位Voutは、基準電位V3と同じ2.0Vを示す。一方、保持回路22は、スイッチSW22がオフ状態を維持しているため、第1モードにおける積分器21の積分結果を、出力電位Vbufとして出力し続けている。つまり、保持回路22は、1.89V~1.91Vの範囲でばらついている出力電位Vbufを出力し続けている。
【0115】
その後、動作モードが準備モードから第2モードに移行する。第2モードでは、積分器21による2回目の積分が行われる(時刻t35~t36)。
【0116】
具体的には、制御信号ResがHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t35)。それにより、スイッチSW21がオンからオフに切り替わる。一方、スイッチSW32,SW34はオン状態を維持し、スイッチSW22,SW24,SW31,SW33はオフ状態を維持する。
【0117】
それにより、積分器21は、積分可能な状態となり、一方の入力端子(ノードN23)に入力された電位Vbufと、他方の入力端子(ノードN24)に入力された基準電位V3と、の電位差を積分して、出力電位Voutとして出力し始める。ここで、出力電位Voutは、第2モードにおいて単調増加する。
【0118】
この出力電位Voutは、スロープ信号として、外部出力端子Voutからスロープ信号生成回路2の外部に出力される。
【0119】
ここで、積分器21は、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきによる1回目の積分結果(Vout1)のばらつきを、2回目の積分時に、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきによって相殺させるように負帰還動作するため、第2モードにおける出力電位Voutのばらつきを抑制することができる。
【0120】
積分器21の出力電位Voutが単調増加して所定値に到達すると、積分器21による積分が完了し、動作モードが第2モードから初期化モードに移行する。初期化モードでは、既に説明したとおり、積分器21の初期化が行われる。
【0121】
具体的には、制御信号SetがLレベルからHレベルに切り替わり、制御信号Set2がHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t36)。それにより、スイッチSW24はオフからオンに切り替わり、スイッチSW32,SW34はオンからオフに切り替わる。一方、スイッチSW21,SW22,SW31,SW33はオフ状態を維持する。
【0122】
それにより、積分器21の出力電位Voutは、基準電位V3と同じ2.0Vまで急峻に立ち下がる。
【0123】
スロープ信号生成回路2は、このような動作を繰り返すことにより、緩やかに立ち上がり急峻に立ち下がるノコギリ波状のスロープ信号を生成する。
【0124】
このように、本実施の形態に係るスロープ信号生成回路2は、1個の積分器21を用いて2段階に分けて積分を行うことにより、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきによる1回目の積分結果のばらつきを、2回目の積分時に、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきによって相殺させる。それにより、本実施の形態に係るスロープ信号生成回路2は、スロープ信号生成回路1よりもさらにスロープ信号のばらつきを抑制することができる。つまり、本実施の形態に係るスロープ信号生成回路2は、より高精度なスロープ信号を生成することができる。
【0125】
また、本実施の形態に係るスロープ信号生成回路2は、スロープ信号生成回路1と比較して、抵抗素子及び容量素子の数を減らすことができるため、回路規模を低減させることができる。
【0126】
(スロープ信号生成回路2の第1変形例)
図11は、スロープ信号生成回路2の第1変形例をスロープ信号生成回路2aとして示す回路図である。スロープ信号生成回路2aは、スロープ信号生成回路2と比較して、スイッチSW24を備えない。また、スイッチSW34は、制御信号Set2の代わりに制御信号Set3に応じてオンオフを切り替える。
【0127】
図12は、スロープ信号生成回路2aの動作を示すタイミングチャートである。以下では、スロープ信号生成回路2と異なる部分についてのみ説明する。
【0128】
初期化モードの前半(時刻t30~t31)では、制御信号ResがHレベルに設定され、制御信号Set3がHレベルに設定される。それにより、スイッチSW21がオンし、スイッチSW34がオンする。それにより、基準電位V3がオン状態のスイッチSW34,SW21を介して積分器21の出力端子に伝搬するため、積分器21の出力電位Voutは、基準電位V3と同じ2.0Vを示す。スロープ信号生成回路2aの時刻t31以降の動作は、スロープ信号生成回路2の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0129】
スロープ信号生成回路2aは、スロープ信号生成回路2と同等の効果を奏することができる。また、スロープ信号生成回路2aは、スイッチSW24を削減することができる。
【0130】
(スロープ信号生成回路2の第2変形例)
図13は、スロープ信号生成回路2の第2変形例をスロープ信号生成回路2bとして示す回路図である。スロープ信号生成回路2は、緩やかに立ち上がり急峻に立ち下がるノコギリ波状のスロープ信号を生成していた。それに対し、スロープ信号生成回路2bは、緩やかに立ち下がり急峻に立ち上がるノコギリ波状のスロープ信号を生成する。
【0131】
具体的には、第1モードにおける積分器21の積分結果(到達電位)VoutをVout1とすると、基準電位V1,V2,V3は、基準電位V1~V3及びVout1の間にV1>V2>Vout1>V3の関係が成り立つように調整されている。図12の例では、基準電位V1が3.3Vに調整され、基準電位V2が3.2Vに調整され、第1モードにおける積分器21の積分結果Vout1が3.1±0.01Vであることを考慮して、基準電位V3が3.0Vに調整されている。
【0132】
スロープ信号生成回路2bのその他の構成については、スロープ信号生成回路2の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0133】
(スロープ信号生成回路2bの動作)
続いて、図14を用いて、スロープ信号生成回路2bの動作を説明する。
図14は、スロープ信号生成回路2bの動作を示すタイミングチャートである。なお、図14には、ノコギリ波1周期分のスロープ信号の波形が示されている。
【0134】
まず、動作モードが初期化モードに設定される。初期化モードでは、積分器21の初期化が行われる(時刻t40~t42)。
【0135】
具体的には、まず、制御信号SetがHレベル、制御信号ResがLレベル、制御信号Set1がLレベル、制御信号Set2がLレベルに設定される(時刻t40)。それにより、スイッチSW21はオフし、スイッチSW22はオフし、スイッチSW24はオンし、スイッチSW31,SW33はオフし、スイッチSW32,SW34はオフする。それにより、積分器21の出力電位Voutは基準電圧V3と同じ3.0Vを示す。
【0136】
その後、制御信号SetがHレベルからLレベルに切り替わり、制御信号ResがLレベルからHレベルに切り替わり、制御信号Set1がLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t41)。それにより、スイッチSW21はオフからオンに切り替わり、スイッチSW22はオフからオンに切り替わり、スイッチSW24はオンからオフに切り替わり、スイッチSW31,SW33はオフからオンに切り替わる。一方、スイッチSW32,SW34はオフ状態を維持する。
【0137】
それにより、選択回路23は、一方の出力端子から基準電位V1を出力し、他方の出力端子から基準電位V2を出力する。選択回路23の一方の出力端子から出力された基準電位V1は、ノードN23を介して、積分器21の一方の入力端子に入力される。選択回路23の他方の出力端子から出力された基準電位V3は、ノードN24を介して、積分器21の他方の入力端子に入力される。ここで、スイッチSW21がオン状態であるため、積分器21の出力電位Voutは、基準電位V2と同じ3.2Vを示す。そのため、保持回路22の出力電位Vbufも3.2Vを示す。
【0138】
その後、動作モードが初期化モードから第1モードに移行する。第1モードでは、積分器21による1回目の積分が行われる(時刻t42~t43)。
【0139】
具体的には、制御信号ResがHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t42)。それにより、スイッチSW21がオンからオフに切り替わる。一方、スイッチSW22,SW31,SW33はオン状態を維持し、スイッチSW24,SW32,SW34はオフ状態を維持する。
【0140】
それにより、積分器21は、積分可能な状態となり、一方の入力端子(ノードN23)に入力された基準電位V1と、他方の入力端子(ノードN24)に入力された基準電位V2と、の電位差を積分して、出力電位Voutとして出力し始める。ここで、出力電位Voutは、第1モードにおいて単調減少する。そのため、保持回路22の出力電位VbufもVoutと同じく第1モードにおいて単調減少する。
【0141】
積分器21の出力電位Voutが単調減少して第1モードにおける最小値に到達すると、積分器21による積分が完了し、動作モードが第1モードから準備モードに移行する。準備モードでは、積分器21による2回目の積分の準備が行われる(時刻t43~t45)。
【0142】
具体的には、まず、制御信号Set1がHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t43)。それにより、スイッチSW22がオンからオフに切り替わり、スイッチSW31,SW33がオンからオフに切り替わる。一方、スイッチSW21,SW24,SW32,SW34は何れもオフ状態を維持する。
【0143】
それにより、選択回路23の2つの出力端子はオープン状態となる。そのため、積分器21の出力電位Voutは、第1モードにおける積分器21の積分結果(Vout1)に固定された状態となる。また、このとき、保持回路22は、第1モードにおける積分器21の積分結果(Vout1)を保持して、出力電位Vbufとして出力する。
【0144】
ここで、第1モードにおける積分器21の積分結果(Vout1)は、理想的には3.1Vを示すが、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきにより、例えば±10%程度ばらついている。つまり、第1モードにおける積分器21の積分結果(Vout1)は、3.09V~3.11Vの範囲でばらついている。そのため、保持回路22の出力電位Vbufも、3.09V~3.11Vの範囲でばらついている。
【0145】
その後、制御信号ResがLレベルからHレベルに切り替わり、制御信号Set2がLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t44)。それにより、スイッチSW21がオフからオンに切り替わり、スイッチSW32,SW34がオフからオンに切り替わる。一方、スイッチSW22,SW24,SW31,SW33はオフ状態を維持する。
【0146】
それにより、選択回路23は、一方の出力端子から電位Vbuf(第1モードにおける積分器21の積分結果)を出力し、他方の出力端子から基準電位V3を出力する。選択回路23の一方の出力端子から出力された電位Vbufは、ノードN23を介して、積分器21の一方の入力端子に入力される。選択回路23の他方の出力端子から出力された基準電位V3は、ノードN24を介して、積分器21の他方の入力端子に入力される。ここで、スイッチSW21がオン状態であるため、積分器21の出力電位Voutは、基準電位V3と同じ3.0Vを示す。一方、保持回路22は、スイッチSW22がオフ状態を維持しているため、第1モードにおける積分器21の積分結果を、出力電位Vbufとして出力し続けている。つまり、保持回路22は、3.09V~3.11Vの範囲でばらついている出力電位Vbufを出力し続けている。
【0147】
その後、動作モードが準備モードから第2モードに移行する。第2モードでは、積分器21による2回目の積分が行われる(時刻t45~t46)。
【0148】
具体的には、制御信号ResがHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t35)。それにより、スイッチSW21がオンからオフに切り替わる。一方、スイッチSW32,SW34はオン状態を維持し、スイッチSW22,SW24,SW31,SW33はオフ状態を維持する。
【0149】
それにより、積分器21は、積分可能な状態となり、一方の入力端子(ノードN23)に入力された電位Vbufと、他方の入力端子(ノードN24)に入力された基準電位V3と、の電位差を積分して、出力電位Voutとして出力し始める。ここで、出力電位Voutは、第2モードにおいて単調減少する。
【0150】
この出力電位Voutは、スロープ信号として、外部出力端子Voutからスロープ信号生成回路2の外部に出力される。
【0151】
ここで、積分器21は、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきによる1回目の積分結果(Vout1)のばらつきを、2回目の積分時に、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきによって相殺させるように負帰還動作するため、第2モードにおける出力電位Voutのばらつきを抑制することができる。
【0152】
積分器21の出力電位Voutが単調減少して所定値に到達すると、積分器21による積分が完了し、動作モードが第2モードから初期化モードに移行する。初期化モードでは、既に説明したとおり、積分器21の初期化が行われる。
【0153】
具体的には、制御信号SetがLレベルからHレベルに切り替わり、制御信号Set2がHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t46)。それにより、スイッチSW24はオフからオンに切り替わり、スイッチSW32,SW34はオンからオフに切り替わる。一方、スイッチSW21,SW22,SW31,SW33はオフ状態を維持する。
【0154】
それにより、積分器21の出力電位Voutは、基準電位V3と同じ3.0Vまで急峻に立ち上がる。
【0155】
スロープ信号生成回路2bは、このような動作を繰り返すことにより、緩やかに立ち下がり急峻に立ち上がるノコギリ波状のスロープ信号を生成する。
【0156】
このように、本実施の形態に係るスロープ信号生成回路2bは、1個の積分器21を用いて2段階に分けて積分を行うことにより、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきによる1回目の積分結果のばらつきを、2回目の積分時に、抵抗素子R11の抵抗値のばらつきや容量素子C11の容量値のばらつきによって相殺させる。それにより、本実施の形態に係るスロープ信号生成回路2bは、スロープ信号生成回路1aよりもさらにスロープ信号のばらつきを抑制することができる。つまり、本実施の形態に係るスロープ信号生成回路2bは、より高精度なスロープ信号を生成することができる。
【0157】
また、本実施の形態に係るスロープ信号生成回路2bは、スロープ信号生成回路1aと比較して、抵抗素子及び容量素子の数を減らすことができるため、回路規模を低減させることができる。
【符号の説明】
【0158】
1 スロープ信号生成回路
1a スロープ信号生成回路
2 スロープ信号生成回路
2a スロープ信号生成回路
10 画素回路
11 積分器
12 積分器
20_1~20_12 PWM信号生成回路
21 積分器
22 保持回路
23 選択回路
100 表示装置
A11 オペアンプ
A12 オペアンプ
A21 オペアンプ
A22 オペアンプ
C11 容量素子
C12 容量素子
C21 容量素子
C22 容量素子
D1~D12 発光素子(ダイオード)
R11 抵抗素子
R12 抵抗素子
R21 抵抗素子
SW11~SW15 スイッチ
SW21,SW22 スイッチ
SW31~SW34 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14