(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139232
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20220915BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B41J2/165 501
B41J2/165 203
B41J2/14 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039518
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】太田 晶子
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA23
2C056EB07
2C056EB29
2C056EB30
2C056EB40
2C056EB59
2C056EC54
2C056FA04
2C056HA05
2C056KB16
2C057AF72
2C057AG29
2C057AG68
2C057AL25
2C057AL40
2C057AR20
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】静電容量と比較する為にメモリに記憶させる閾値を削減することができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は複数のマニホールド、ノズル、圧電体、個別電極及び共通電極を備えるヘッドと、コンデンサの静電容量を検出する検出回路と、共通電極に設けられた接続端子と、ノズルと、接続端子及びノズルの間の距離に応じてノズルに割り当てられるグループを示すグループ識別子との対応関係を示す第1テーブルと、グループ識別子と閾値との対応関係を示す第2テーブルとを記憶する記憶部と、制御部とを備え、検出回路によって検出され、所定のグループ識別子が割り当てられたノズルに対応するコンデンサの静電容量に基づいて導出される値が閾値以上であるか否かを判定する判定処理と、判定処理にて値が閾値以上であると判定した場合に、所定のグループ識別子に対応するノズルに対して不吐出を解消する不吐出解消処理とを実行する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が通流する複数のマニホールドと、該マニホールドに沿って並んだノズルを有するノズル列と、圧電体と、該圧電体に設けられ、前記ノズルに対応する個別電極及び共通電極とを備えるヘッドと、
前記個別電極、共通電極及び圧電体によって構成されたコンデンサの静電容量を検出する検出回路と、
前記共通電極に設けられ、外部端子に接続する接続端子と、
前記ノズルと、前記接続端子と前記ノズルとの間の距離に応じて前記ノズルに割り当てられるグループを示すグループ識別子との対応関係と、前記グループ識別子と閾値との対応関係とを記憶する記憶部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記検出回路によって検出され、前記グループ識別子のうち所定のグループ識別子が割り当てられたノズルに対応する前記コンデンサの静電容量に基づいて導出される値が、前記所定のグループ識別子に対応する閾値以上であるか否かを判定する判定処理と、
該判定処理にて、前記値が前記閾値以上であると判定した場合に、前記所定のグループ識別子に対応する前記ノズルに対して、不吐出を解消する不吐出解消処理と
を実行する
印刷装置。
【請求項2】
前記マニホールドは、前記液体が供給される始端部と、前記ノズルへの前記液体の供給が終了する終端部とを有し、
前記グループは、前記接続端子と前記ノズルとの間の距離及び前記始端部と前記終端部との間における前記ノズルの位置に応じて、前記ノズルに割り当てられ、
前記閾値の数は前記グループの数以下である
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記接続端子との間の距離が第1距離である前記ノズルと、前記接続端子との間の距離が前記第1距離よりも長い第2距離である前記ノズルとに、同じグループを割り当てる
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記複数のマニホールドは、第1マニホールド及び第2マニホールドを含み、
前記第1及び第2マニホールドは、前記液体が供給される始端部と、前記ノズルへの前記液体の供給が終了する終端部とを有し、
前記第1マニホールド及び前記第2マニホールドに交差する方向において、前記第1マニホールドと前記接続端子との間の距離は、前記第2マニホールドと前記接続端子との間の距離よりも長く、
前記第1マニホールドにて前記終端部よりも前記始端部に近い部分に位置する前記ノズルと、前記第2マニホールドにて前記始端部よりも前記終端部に近い部分に配置される前記ノズルとに、同じグループを割り当てる
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記複数のマニホールドは、第3マニホールド、第4マニホールド及び第5マニホールドを含み、
前記第3マニホールド、第4マニホールド及び第5マニホールドそれぞれは、前記液体が供給される始端部と、前記ノズルへの前記液体の供給が終了する終端部とを有し、
前記第3マニホールド及び前記第4マニホールドは直線的に延び且つ隣り合っており、
前記第5マニホールドは前記第3マニホールド及び前記第4マニホールドから離れており、
前記第3マニホールド及び前記第4マニホールドの始端部は同じ側に位置し、
前記第3マニホールド及び前記第4マニホールドの終端部は同じ側に位置し、
前記第3マニホールド及び前記第4マニホールドに交差する方向において、前記第3マニホールド及び前記第4マニホールドと前記接続端子との間の距離は、前記第5マニホールドよりも長く、
前記第3マニホールド及び前記第4マニホールドにて前記終端部よりも前記始端部に近い部分に位置する前記ノズルと、前記第5マニホールドにて前記始端部よりも前記終端部に近い部分に配置される前記ノズルとに、第1グループを割り当て、
前記第3マニホールド及び前記第4マニホールドにて前記始端部よりも前記終端部に近い部分に配置される前記ノズルと、前記第5マニホールドにて前記終端部よりも前記始端部に近い部分に位置する前記ノズルとに、第2グループを割り当てる
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記複数のマニホールドの内、前記第5マニホールドは前記接続端子に最も近い位置に配置され、
前記第5マニホールドにて前記始端部よりも前記終端部に近い部分に位置する前記ノズルに前記第1グループを割り当て、
前記第5マニホールドにて前記終端部よりも前記始端部に近い部分に位置する前記ノズルに前記第2グループを割り当てる
請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記複数のマニホールドは、前記第3マニホールド及び前記第4マニホールドに交差する方向において、前記第3マニホールド又は前記第4マニホールドと、前記第5マニホールドとの間に位置する第6マニホールド及び第7マニホールドを含み、
前記第6マニホールド及び前記第7マニホールドそれぞれは、前記液体が供給される始端部と、前記ノズルへの前記液体の供給が終了する終端部とを有し、
前記第6マニホールド及び前記第7マニホールドは、前記第3マニホールド及び前記第4マニホールドに平行に延び、
前記第6マニホールド及び前記第7マニホールドの始端部は同じ側に位置し、
前記第6マニホールド及び前記第7マニホールドの終端部は同じ側に位置し、
前記第6マニホールドにて前記終端部よりも前記始端部に近い部分に位置する前記ノズルと、前記第7マニホールドにて前記始端部よりも前記終端部に近い部分に配置される前記ノズルとに、第3グループを割り当て、
前記第6マニホールドにて前記始端部よりも前記終端部に近い部分に配置される前記ノズルと、前記第7マニホールドにて前記終端部よりも前記始端部に近い部分に位置する前記ノズルとに、第4グループを割り当てる
請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記複数のマニホールドは、第8マニホールド、第9マニホールド及び第10マニホールドを含み、
前記第8マニホールド及び前記第9マニホールドそれぞれは、前記液体が供給される始端部と、前記ノズルへの前記液体の供給が終了する終端部とを有し、
前記第8マニホールド及び前記第9マニホールドは直線的に延び且つ隣り合っており、
前記第10マニホールドは前記第8マニホールド及び前記第9マニホールドから離れており、
前記第8マニホールド及び前記第9マニホールドに交差する方向において、前記第8マニホールド及び前記第9マニホールドと前記接続端子との間の距離は、前記第10マニホールドよりも長く、
前記第8マニホールド及び前記第9マニホールドにて前記終端部よりも前記始端部に近い部分に位置する前記ノズルに、第5グループを割り当て、
前記第8マニホールド及び前記第9マニホールドにて前記始端部よりも前記終端部に近い部分に配置される前記ノズルに、第6グループを割り当てる
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記複数のマニホールドの内、前記第10マニホールドは前記接続端子に最も近い位置に配置され、
前記第10マニホールドは前記液体が供給される始端部と、前記ノズルへの前記液体の供給が終了する終端部とを有し、
前記第10マニホールドにて前記始端部よりも前記終端部に近い部分に位置する前記ノズルに前記第5グループを割り当て、
前記第10マニホールドにて前記終端部よりも前記始端部に近い部分に位置する前記ノズルに前記第6グループを割り当てる
請求項8に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記複数のマニホールドは、前記第8マニホールド及び前記第9マニホールドに交差する方向において、前記第8マニホールド又は前記第9マニホールドと、前記第10マニホールドとの間に位置する第11マニホールド及び第12マニホールドを含み、
前記第11マニホールド及び前記第12マニホールドそれぞれは、前記液体が供給される始端部と、前記ノズルへの前記液体の供給が終了する終端部とを有し、
前記第11マニホールド及び前記第12マニホールドは、前記第8マニホールド及び前記第9マニホールドに平行に延び、
前記第11マニホールドの始端部及び前記第12マニホールドの終端部は同じ側に位置し、
前記第11マニホールドの終端部及び前記第12マニホールドの始端部は同じ側に位置し、
前記第11マニホールドにて前記終端部よりも前記始端部に近い部分に位置する前記ノズルと、前記第12マニホールドにて前記始端部よりも前記終端部に近い部分に位置する前記ノズルとに、第7グループを割り当て、
前記第11マニホールドにて前記始端部よりも前記終端部に近い部分に配置される前記ノズルと、前記第12マニホールドにて記終端部よりも前記始端部に近い部分に位置する前記ノズルとに、第8グループを割り当てる
請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記複数のマニホールドは第13マニホールドを含み、
前記第13マニホールドは、前記液体が供給される始端部と、前記ノズルへの前記液体の供給が終了する終端部とを有し、
前記第13マニホールドは、直線的な第1部分と、該第1部分に平行かつ直線的な第2部分と、前記第1部分及び第2部分それぞれの一端部を連結する連結部とを有し、
前記第1部分及び第2部分それぞれの一端部は、前記第1部分及び第2部分の長手方向にて同じ側に配置されており、
前記第1部分の他端部は前記始端部を構成し、
前記第2部分の他端部は前記終端部を構成し、
前記第1部分における前記連結部よりも前記始端部に近い部分に位置する前記ノズルと、前記第2部分における前記連結部よりも前記終端部に近い部分に位置する前記ノズルとに第9グループを割り当て、
前記第1部分における前記始端部よりも前記連結部に近い部分に位置する前記ノズルと、前記第2部分における前記終端部よりも前記連結部に近い部分に位置する前記ノズルとに第10グループを割り当てる
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記複数のマニホールドは、前記第13マニホールドの隣に位置する第14マニホールドを含み、
前記第14マニホールドは、前記液体が供給される始端部と、前記ノズルへの前記液体の供給が終了する終端部とを有し、
前記第14マニホールドは、直線的な第3部分と、該第3部分に平行な直線的な第4部分と、前記第3部分及び前記第4部分それぞれの一端部を連結する連結部とを有し、
前記第3部分及び前記第4部分それぞれの一端部は、前記第3部分及び前記第4部分の長手方向にて同じ側に配置されており、
前記第3部分の他端部は前記始端部を構成し、
前記第4部分の他端部は前記終端部を構成し、
前記第1部分~前記第4部分に交差する方向において、前記第13マニホールド及び前記第14マニホールドと前記接続端子との間の距離は、他の前記複数のマニホールドよりも長く、
前記第13マニホールドに位置する前記ノズル、及び前記第14マニホールドに位置する前記ノズルに、異なるグループが割り当てられる
請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記複数のマニホールドは第15マニホールド及び第16マニホールドを含み、
前記第15マニホールド及び前記第16マニホールドそれぞれは、前記液体が供給される始端部と、前記ノズルへの前記液体の供給が終了する終端部とを有し、
前記第15マニホールドは、直線的な第5部分と、該第5部分に平行な直線的な第6部分と、前記第5部分及び第6部分それぞれの一端部を連結する連結部とを有し、
前記第5部分及び第6部分それぞれの一端部は、前記第5部分及び第6部分の長手方向にて同じ側に配置されており、
前記第5部分の他端部は前記始端部を構成し、
前記第6部分の他端部は前記終端部を構成し、
前記第16マニホールドは、直線的な第7部分と、該第7部分に平行な直線的な第8部分と、前記第7部分及び第8部分それぞれの一端部を連結する連結部とを有し、
前記第7部分及び第8部分それぞれの一端部は、前記第7部分及び第8部分の長手方向にて同じ側に配置されており、
前記第7部分の他端部は前記始端部を構成し、
前記第8部分の他端部は前記終端部を構成し、
前記第15マニホールド及び前記第16マニホールドは、それぞれ、第1区分~第4区分を含む複数の区分に分割され、
前記第15マニホールドの第1区分に位置する前記ノズルと、前記第16マニホールドの第1区分以外のいずれかの区分に位置する前記ノズルとに第11グループが割り当てられ、
前記第15マニホールドの第2区分に位置する前記ノズルと、前記第16マニホールドの第2区分以外のいずれかの区分に位置する前記ノズルとに第12グループが割り当てられ、
前記第15マニホールドの第3区分に位置する前記ノズルと、前記第16マニホールドの第3区分以外のいずれかの区分に位置する前記ノズルとに第13グループが割り当てられ、
前記第15マニホールドの第4区分に位置する前記ノズルと、前記第16マニホールドの第4区分以外のいずれかの区分に位置する前記ノズルとに第14グループが割り当てられる
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記複数のマニホールドは第17マニホールドを含み、
前記第17マニホールドは、前記液体が供給される始端部と、前記ノズルへの前記液体の供給が終了する終端部とを有し、
前記第17マニホールドは、直線的な第9部分と、該第9部分に平行な直線的な第10部分と、前記第9部分及び第10部分それぞれの一端部を連結する連結部とを有し、
前記第9部分及び第10部分それぞれの一端部は、前記第9部分及び第10部分の長手方向にて同じ側に配置されており、
前記第9部分の他端部は前記始端部を構成し、
前記第10部分の他端部は前記終端部を構成し、
前記第17マニホールドは複数の区分に分割され、
前記第17マニホールドの一区分に位置する前記ノズルと、前記一区分とは異なる他区分に位置する前記ノズルとに同じグループが割り当てられる
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項15】
前記複数のマニホールドは第18マニホールド及び第19マニホールドを含み、
前記第18マニホールド及び前記第19マニホールドそれぞれは、前記液体が供給される始端部と、前記ノズルへの前記液体の供給が終了する終端部とを有し、
前記第18マニホールドは、直線的な第11部分と、該第11部分に平行な直線的な第12部分と、前記第11部分及び第12部分それぞれの一端部を連結する連結部とを有し、
前記第11部分及び第12部分それぞれの一端部は、前記第11部分及び第12部分の長手方向にて同じ側に配置されており、
前記第11部分の他端部は前記始端部を構成し、
前記第12部分の他端部は前記終端部を構成し、
前記第19マニホールドは、直線的な第13部分と、該第13部分に平行な直線的な第14部分と、前記第13部分及び第14部分それぞれの一端部を連結する連結部とを有し、
前記第13部分及び第14部分それぞれの一端部は、前記第13部分及び第14部分の長手方向にて同じ側に配置されており、
前記第13部分の他端部は前記始端部を構成し、
前記第14部分の他端部は前記終端部を構成し、
前記第11部分~前記第14部分に交差する方向において、前記第18マニホールドと前記接続端子との間の距離は、他の前記複数のマニホールドよりも長く、前記第19マニホールドと前記接続端子との間の距離は、他の前記複数のマニホールドよりも短く、
前記第18マニホールド及び前記第19マニホールドは、それぞれ、複数の区分に分割され、
前記第18マニホールドのいずれかの区分に位置する前記ノズルと、前記第19マニホールドのいずれかの区分に位置する前記ノズルとに、同じ前記グループが割り当てられる
請求項1に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ノズルから液体を吐出して印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電体を駆動させて、ノズルからインクを吐出させるインクジェットプリントヘッドが提案されている。インクジェットプリントヘッドは圧電体の静電容量を検出し、インクの温度を測定する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電容量が予め定めた閾値よりも大きい場合、即ち、温度が高い場合、ノズルが詰まり、インクが吐出できていないおそれがある。各ノズルについて、インクの不吐出が発生しているか否か判断する為には、各ノズルに対応した閾値をメモリに記憶させる必要がある。しかし、多数のノズルそれぞれに対応した閾値を記憶させた場合、メモリの容量を圧迫する。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、静電容量と比較する為にメモリに記憶させる閾値を削減することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る印刷装置は、液体が通流する複数のマニホールドと、該マニホールドに沿って並んだノズルを有するノズル列と、圧電体と、該圧電体に設けられ、前記ノズルに対応する個別電極及び共通電極とを備えるヘッドと、前記個別電極、共通電極及び圧電体によって構成されたコンデンサの静電容量を検出する検出回路と、前記共通電極に設けられ、外部端子に接続する接続端子と、前記ノズルと、前記接続端子と前記ノズルとの間の距離に応じて前記ノズルに割り当てられるグループを示すグループ識別子との対応関係を示す第1テーブルと、前記グループ識別子と閾値との対応関係を示す第2テーブルとを記憶する記憶部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記検出回路によって検出され、前記グループ識別子のうち所定のグループ識別子が割り当てられたノズルに対応する前記コンデンサの静電容量に基づいて導出される値が、前記所定のグループ識別子に対応する閾値以上であるか否かを判定する判定処理と、該判定処理にて、前記値が前記閾値以上であると判定した場合に、前記所定のグループ識別子に対応する前記ノズルに対して、不吐出を解消する不吐出解消処理とを実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態に係る印刷装置にあっては、共通電極に外部端子に接続される接続端子が設けられている。共通電極に流れる電流は接続端子に向けて流れる。共通電極において、電流は接続端子に集中する。そのため、共通電極において、接続端子に近づくに従って、温度は上昇する。印刷装置においては、接続端子とノズルとの間の距離に応じて、各ノズルにグループが割り当てられる。各グループに一つの閾値を対応させる。一つのグループに対して、一つの閾値が対応するので、各ノズルに対して閾値を設定する必要はなく、閾値を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る印刷装置を略示する平面図である。
【
図2】サブタンク及びインクジェットヘッド間のインクの流れを説明する説明図である。
【
図3】インクジェットヘッドの略示部分拡大断面図である。
【
図6】共通電極及び第2共通電極の略示平面図である
【
図7】マニホールド、ノズル及び接続端子を示す模式的平面図である。
【
図10】制御装置による印刷処理を説明するフローチャートである。
【
図11】制御回路による不吐出検出処理を説明するフローチャートである。
【
図12】実施の形態2に係るマニホールド、ノズル及び接続端子を示す模式的平面図である。
【
図13】実施の形態3に係るマニホールド、ノズル及び接続端子を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る印刷装置を示す図面に基づいて説明する。
図1は、印刷装置を略示する平面図、
図2は、サブタンク及びインクジェットヘッド間のインクの流れを説明する説明図である。以下の説明では、
図1に示す前後左右を使用する。前後方向は搬送方向に対応し、左右方向は走査方向に対応する。また
図1の表側が上側に対応し、裏側が下側に対応し、上下も使用する。
【0010】
図1に示すように、印刷装置1は、プラテン2と、インク吐出装置3と、搬送ローラ4、5等を備える。プラテン2の上面には、記録媒体である記録用紙200が載置される。インク吐出装置3は、プラテン2に載置された記録用紙200に対してインクを吐出して画像を記録する。インク吐出装置3は、キャリッジ6と、サブタンク7と、四つのインクジェットヘッド8と、循環ポンプ10等を備える。
【0011】
プラテン2の上側には、キャリッジ6を案内する左右に延びた2本のガイドレール11、12が設けられている。キャリッジ6には、左右に延びた無端ベルト13が連結されている。無端ベルト13は、キャリッジ駆動モータ14によって駆動される。無端ベルト13の駆動によって、キャリッジ6は、ガイドレール11、12に案内され、プラテン2に対向する領域において、走査方向に往復移動される。
【0012】
ガイドレール11、12の間に、キャップ20及びフラッシング受け21が設けられている。キャップ20及びフラッシング受け21は、インク吐出装置3よりも下側に配置されている。キャップ20はガイドレール11、12の右端部に配置され、フラッシング受け21はガイドレール11、12の左端部に配置されている。つまり、キャリッジ6は、キャップ20とフラッシング受け21との間でインクジェットヘッド8を移動させる。なお、キャップ20及びフラッシング受け21は、左右逆に配置されてもよい。
【0013】
サブタンク7及び四つのインクジェットヘッド8はキャリッジ6に搭載され、キャリッジ6と共に走査方向に往復移動する。サブタンク7はカートリッジホルダ15とチューブ17を介して接続されている。カートリッジホルダ15には、一又は複数色(本実施例においては4色)のインクカートリッジ16が装着される。4色としては、例えばブラック、イエロー、シアン及びマゼンタが挙げられる。
【0014】
サブタンク7の内部には、四つのインク室19が形成されている。四つのインク室19には、四つのインクカートリッジ16から供給された4色のインクがそれぞれ貯留される。
【0015】
四つのインクジェットヘッド8は、サブタンク7の下側において、走査方向に並んでいる。各インクジェットヘッド8の下面には、複数のノズル80が形成されている。
図2に示すように、一つのインクジェットヘッド8は、1色のインクに対応し、一つのインク室19に接続されている。すなわち、四つのインクジェットヘッド8は、4色のインクにそれぞれ対応し、四つのインク室19にそれぞれ接続されている。
【0016】
インクジェットヘッド8の上面には、インク供給口8aと、インク排出口8bとが設けられている。インク供給口8a及びインク排出口8bは、チューブ等を介してインク室19に接続されている。インク供給口8a及びインク室19の間には、循環ポンプ10が介装されている。
【0017】
循環ポンプ10は、例えばチューブをロータでしごくことによって、チューブ内の液体を押し出すチューブポンプである。循環ポンプ10は、インク室19のインクをインクジェットヘッド8に送り込む。
【0018】
循環ポンプ10によってインク室19から送出されたインクは、インク供給口8aを通ってインクジェットヘッド8に流入し、ノズル80から吐出される。ノズル80から吐出されないインクは、インク排出口8bを通って、インク室19に戻る。インクは、インク室19及びインクジェットヘッド8の間を循環する。なお循環ポンプ10に代えて、他の循環の為の動力源、例えばサブタンク7内に圧縮空気を送り込み、インクをインクジェットヘッド8に送り込む装置を使用してもよい。四つのインクジェットヘッド8は、キャリッジと共に走査方向に移動しながら、サブタンク7から供給された4色のインクを記録用紙200に吐出する。
【0019】
図1に示すように、搬送ローラ4は、プラテン2よりも搬送方向上流側(後側)に配置されている。搬送ローラ5は、プラテン2よりも搬送方向下流側(前側)に配置されている。二つの搬送ローラ4、5は、モータ(図示略)によって、同期して駆動する。二つの搬送ローラ4、5は、プラテン2に載置された記録用紙200を、走査方向と直交する搬送方向に搬送する。印刷装置1は制御装置50を備える。制御装置50は、CPU又はロジック回路(例えばFPGA)、不揮発性メモリ及びRAM等の記憶部50a等を備える。制御装置50は、外部装置100から印刷ジョブを受信して、記憶部50aに記憶する。また、記憶部50aは、後述する第1テーブル、第2テーブルを記憶する。制御装置50は、印刷ジョブに基づいて、インク吐出装置3及び搬送ローラ4等の駆動を制御し、印刷処理を実行する。
【0020】
図3は、インクジェットヘッド8の略示部分拡大断面図である。インクジェットヘッド8は、複数の圧力室81を備える。複数の圧力室81は、複数の圧力室列を構成する。圧力室81の上側には振動板82が形成されている。振動板82の上側には、層状の圧電体83が形成されている。各圧力室81の上側であって、圧電体83と振動板82との間に第1共通電極84が形成されている。各圧力室81の上側であって、圧電体83の上面に個別電極85が形成されている。個別電極85と第1共通電極84とは圧電体83を挟んで上下に対向する。
【0021】
圧電体83の内部に第2共通電極86が設けられている。第2共通電極86は各圧力室81の上側に配置されている。第2共通電極86は個別電極85と対向し、第1共通電極84とは対向しない。第1共通電極84は、個別電極85と対向し、第2共通電極86とは対向しない位置に配置されている。
【0022】
圧力室81の下側にマニホールド87aが形成されている。マニホールド87aは前後に延びる。マニホールド87aは、前端部と、後端部とを有する。マニホールド87aの前端部はインク供給口8aに連通され、後端部はインク排出口8bに連通される。マニホールド87aは液体供給路82cを介して圧力室81に連通される。
【0023】
各圧力室81の下部にノズルプレート87が設けられている。ノズルプレート87には、上下に貫通した複数のノズル80が形成されている。各ノズル80は、各圧力室81の下側に配置されている。上下に延びた連絡路82aを介して、圧力室81とノズル80とが連通される。複数のノズル80は、第1ノズル列80a及び第2ノズル列80b(
図7参照)を含む複数のノズル列を構成する。ノズル列は圧力室列に沿って延びる。第1共通電極84は第1ノズル列80a及び第2ノズル列80bに亘って配置されている。
【0024】
第1共通電極84はCOM端子、本実施例ではグランドに接続される。個別電極85は、スイッチ制御部67に接続される。個別電極85にHIgh又はLow電圧が印加され、圧電体83が変形し、振動板82が振動する。振動板82の振動によって、ノズル80を介して、圧力室81からインクが吐出される。振動板82、圧電体83、第1共通電極84、個別電極85及び第2共通電極86はアクチュエータ88を構成する。
【0025】
図4は、印刷装置1のブロック図である。印刷装置1は、AC電源61に接続されるAC/DCコンバータ62を備える。AC/DCコンバータ62は交流電圧を直流電圧に変換し、DC/DCコンバータ63に出力する。DC/DCコンバータ63は電圧を変更し、スイッチ制御部(SW制御部)67に出力する。例えば、DC/DCコンバータ63には42Vの電圧が入力され、DC/DCコンバータ63は3.3V又は5.5Vの電圧を出力する。DC/DCコンバータ63の出力電圧は、制御回路64、検出回路65及びスイッチ制御部67に供給される。3.3V又は5.5Vの電圧は、制御回路64、検出回路65及びスイッチ制御部67の駆動電圧である。
【0026】
スイッチ制御部67は、複数の第nスイッチ67(n)(n=1、2、・・・)と、検出用スイッチ67aとを備える。スイッチ制御部67はスイッチング回路を構成する。第nスイッチ67(n)及び検出用スイッチ67aは、例えばアナログスイッチICによって構成される。各第nスイッチ67(n)の一端及び検出用スイッチ67aの一端は、共通バスを介して個別電極85に接続される。
【0027】
複数の第nスイッチ67(n)の他端は、複数の第n波形生成部66(n)(n=1、2、・・・)にそれぞれ接続される。即ち、第1スイッチ67(1)は第1波形生成部66(1)に接続され、第2スイッチ67(2)は第2波形生成部66(2)に接続され、第nスイッチ67(n)は第n波形生成部66(n)に接続される。
AC/DCコンバータ62は交流電圧を直流電圧に変換し、第2DC/DCコンバータ68に出力する。第2DC/DCコンバータ68は、第n波形生成部66(n)それぞれにVCOM電圧を出力し、また第2共通電極86にVCOM電圧を出力する。
【0028】
個別電極85、第1共通電極84、及び圧電体83によって第1コンデンサ89aが構成されている。個別電極85、第2共通電極86、及び圧電体83によって第2コンデンサ89bが構成されている。
【0029】
検出用スイッチ67aの他端は、検出回路65の端子31(
図5参照)に接続される。検出回路65は、アクチュエータ88の静電容量、換言すれば、第1コンデンサ89a及び第2コンデンサ89bの静電容量を検出する。印刷装置1は制御回路64を備える。制御回路64は、CPU、RAM、及び記憶部64a等を備える。CPUに代えて、ロジック回路(例えばFPGA)を備えてもよい。記憶部64aは、例えば、書き換え可能な不揮発性メモリ、ハードディスク等である。制御回路64は、スイッチ制御部67に、第nスイッチ67(n)及び検出用スイッチ67aの接続又は切断を行わせる。制御回路64は、各第n波形生成部66(n)に駆動波形を出力させる。各第n波形生成部66(n)は、それぞれ異なる波形を出力する。制御回路64は検出回路65に前記静電容量を検出させる。制御回路64は、第2DC/DCコンバータ68に電圧値を指示する。第2DC/DCコンバータ68は、指示された電圧値に対応した電圧を出力する。
制御回路64は記憶部64aを備える。記憶部64aには、後述する第1テーブル(
図8参照)及び第2テーブル(
図9参照)が記憶される。
【0030】
アクチュエータ88を駆動させる場合について説明する。例えば、第1波形生成部66(1)が生成する駆動波形によって、アクチュエータ88を駆動させる場合、制御回路64は、スイッチ制御部67に、第1スイッチ67(1)のみを接続させ、第1波形生成部66(1)からアクチュエータ88に駆動波形を出力させる。このとき、全ての他のスイッチ、即ち、第2スイッチ67(2)、第3スイッチ67(3)、・・・、第nスイッチ67(n)、及び検出用スイッチ67aは切断されている。なお、第2波形生成部66(2)、第3波形生成部66(3)、・・・、又は第n波形生成部66(n)が生成する駆動波形によって、アクチュエータ88を駆動させる場合も同様に処理する。
【0031】
前記静電容量の検出を行う為の回路動作について説明する。制御回路64は、スイッチ制御部67に、検出用スイッチ67aのみを接続させる。検出回路65は、例えば前記静電容量に充電及び放電を行い、静電容量を測定する。このとき、全ての第nスイッチ67(n)、即ち、第1スイッチ67(1)、第2スイッチ67(2)、・・・、第nスイッチ67(n)は切断されている。
【0032】
図5は、検出回路65の回路図である。検出回路65は、クラップ型発振回路30を備える。クラップ型発振回路30はインダクタ32を備える。インダクタ32の一端は端子31に接続される。端子31は検出用スイッチ67aの他端に接続される。インダクタ32の他端はFET33のゲートに接続される。FET33のドレインは電源37の正極に接続される。FET33のソースは抵抗36を介してグランドに接続される。電源37の負極はグランドに接続される。なおFET33はスイッチング素子の一例であり、FETに代えてトランジスタを使用してもよい。
【0033】
クラップ型発振回路30は二つのコンデンサ34、35を備える。二つのコンデンサ34、35は直列に接続されている。一方のコンデンサ34はFET33のゲートに接続される。他方のコンデンサ35はグランドに接続される。クラップ型発振回路30は抵抗38を備える。抵抗38の一端はFET33のゲートに接続され、他端はグランドに接続される。FET33と抵抗36との間、及び、二つのコンデンサ34、35の間から波形信号が出力される。
【0034】
検出回路65は、波形整形回路40、ANDゲート41、基準発振回路42、分周回路43、計数回路44及び記憶部45を備える。波形整形回路40、ANDゲート41、基準発振回路42、分周回路43及び計数回路44は、ダイレクト・カウント方式の周波数カウンタを構成する。波形整形回路40は、FET33と抵抗36との間、及び、二つのコンデンサ34、35の間に接続され、前記波形信号が波形整形回路40に入力される。
【0035】
波形整形回路40は入力された波形信号を整形して、ANDゲート41に出力する。例えば矩形のパルス波にして出力する。基準発振回路42はクロック信号を生成し、分周回路43に出力する。分周回路43は、入力されたクロック信号を分周してANDゲート41に出力する。例えば、分周されたクロック信号のHighの時間が測定時間になる。ANDゲート41は、前記測定時間の間に波形整形回路40から入力されたパルス波を計数回路44に出力する。計数回路44は、入力されたパルス波のパルス数をカウントし、パルス波の数を測定時間で除して、クラップ型発振回路30から出力された波形信号の周波数F1を導出する。即ち、第1コンデンサ89a及び第2コンデンサ89bからの波形信号の周波数F1を導出する。例えば、計数回路44に入力されたパルス数が10000個であり、測定時間が1msである場合、10000/0.001=10MHzの周波数が導出される。
【0036】
記憶部45は、第1コンデンサ89a及び第2コンデンサ89bからの波形信号の基準周波数F0と、第1コンデンサ89a及び第2コンデンサ89bの基準合成容量C0と、を対応させて記憶している。計数回路44は、周波数F1と基準周波数F0との差分を演算する。計数回路44は、周波数の差分F1-F0から、第1コンデンサ89a及び第2コンデンサ89bの合成容量C1と、前記基準合成容量C0との差分C1-C0を演算し、差分C1-C0と基準合成容量C0とを加算し、合成容量C1を求める。
【0037】
周波数の差分F1-F0と、静電容量の差分C1-C0とは対応し、アクチュエータ88の温度変化量と、静電容量の差分C1-C0とは対応する。即ち、周波数の差分F1-F0と、アクチュエータ88の温度変化量とは対応する。したがって、周波数の差分F1-F0からアクチュエータ88の温度変化量を求めることができる。
【0038】
図6は、第1共通電極84及び第2共通電極86の略示平面図である。第1共通電極84は2個の本流電極90、90を備える。2個の本流電極90、90は前後方向に離れている。本流電極90は帯状をなし、左右方向に延びる。各本流電極90の一端部はCOM電極に接続される。各本流電極90の一端部は接続端子90aを構成する。各本流電極90の他端部は連結部93を介して連結される。
【0039】
本流電極90には、複数の支流電極91が接続される。支流電極91は帯状をなし、前後方向に延びる。複数の支流電極91は左右方向に略等間隔を空けて並ぶ。即ち、第1共通電極84は櫛歯状をなす。本実施例においては、一例として、一つの本流電極90に6個の支流電極91が接続されているが、支流電極91の数は6個に限定されない。以下、6個の支流電極91を、それぞれ、第1支流電極91(1)、第2支流電極91(2)、第3支流電極91(3)、第4支流電極91(4)、第5支流電極91(5)、第6支流電極91(6)とも称する。第1支流電極91(1)~第6支流電極91(6)は、本流電極90の他端部(連結部93に最も近い部分)から本流電極90の一端部(COM電極に最も近い部分)に向けて、順に並ぶ。
【0040】
第2共通電極86は1個の本流電極94と、複数の支流電極95とを備える。本流電極94は帯状をなし、左右方向に延びる。本流電極94は、前後方向において、第1共通電極84の本流電極90に対向するように、本流電極90から離れた位置に配置されている。本流電極94の一端部はVCOM電極に接続される。各本流電極94の一端部は接続端子94aを構成する。各支流電極95は帯状をなし、本流電極94から前後方向に延びる。複数の支流電極95は、複数の支流電極91と交互になるように、左右方向に略等間隔を空けて並ぶ。
【0041】
図7は、マニホールド87a、ノズル80及び接続端子90a、94aを示す模式的平面図である。複数のマニホールド87aは、複数の支流電極91に沿って延びる。マニホールド87aの右側に第1ノズル列80aが前後に延び、マニホールド87aの左側に第2ノズル列80bが前後に延びる。第1支流電極91(1)~第6支流電極91(6)に沿う6個のマニホールド87aをそれぞれ、第1マニホールド87a(1)~第6マニホールド87a(6)とも称する。第1共通電極84の右側及び左側それぞれに、第1マニホールド87a(1)~第6マニホールド87a(6)が設けられており、合計12個のマニホールド87aが設けられている。第1共通電極84の左右方向中央部において、2個の第1マニホールド87a(1)が左右に隣り合っており、第1共通電極84の左右方向両端部に、2個の第6マニホールド87a(6)がそれぞれ位置する。
【0042】
各マニホールド87aには前側から後側に向けてインク(液体)が流れる。マニホールド87aの前端部は液体が供給される始端部を構成し、後端部はノズルへの液体の供給が終了し、インク排出口8bへマニホールド87aからインクが排出される終端部を構成する。即ち、各マニホールド87aの始端部は同じ側に位置し、各マニホールド87aの終端部は同じ側に位置する。インクには、マニホールド87a内を移動している間に、アクチュエータ88の動作によって生じた熱が付与される。そのため、後端部に向かうに従って、インクの温度は上昇する。
【0043】
第1共通電極84において、各支流電極91を流れる電流は本流電極90にて合流し、接続端子90aに向かう。そのため、接続端子90aに向かうに従って、第1共通電極84の温度は高くなる。第2共通電極86において、各支流電極95を流れる電流は本流電極94にて合流し、接続端子94aに向かう。そのため、接続端子94aに向かうに従って、第2共通電極86の温度は高くなる。
【0044】
したがって、ノズル80の温度は、マニホールド87aの終端側に配置されている場合、始端側に配置されている場合よりも低くなり、接続端子90a、94aの近くに配置されている場合、接続端子90a、94aから遠い位置に配置されている場合よりも高くなる。
【0045】
図7に示すように、各ノズル80には、グループ識別子G(1)~G(6)が付与されている。同じグループ識別子が付与されたノズル80は同じグループに属する。各グループの複数のノズル80の平均温度又は合計温度が同程度になるように、グループ分けは行われる。
【0046】
グループ識別子G(1)に属するノズル80には、接続端子90a、94aに最も近い位置に配置されたマニホールド87a、即ち2個の第6マニホールド87a(6)に設けられたノズル80であって、インク排出口8b側、即ち終端側部分に位置するノズル80(以下、第1温度ノズル)と、接続端子90a、94aから最も遠い位置に配置されたマニホールド87a、即ち2個の第1マニホールド87a(1)に設けられたノズル80であって、インク供給口8a側、即ち始端側部分に位置するノズル80(以下、第12温度ノズル)とが含まれる。第1温度ノズルは最も温度の高い領域に配置されたノズル80であり、第12温度ノズルは最も温度の低い領域に配置されたノズル80である。なお、本実施例においては、マニホールド87aに設けられたノズル80の内、インク供給口8a側の半分のノズルを始端側部分に位置するノズル80とし、インク排出口8b側の半分のノズルを終端側部分に位置するノズル80とする。
【0047】
グループ識別子G(2)に属するノズル80には、2個の第6マニホールド87a(6)に設けられたノズル80であって、始端側部分に位置するノズル80(以下、第2温度ノズル)と、2個の第1マニホールド87a(1)に設けられたノズル80であって、終端側部分に位置するノズル80(以下、第11温度ノズル)とが含まれる。第2温度ノズルは第1温度ノズルの次に温度の高い領域に配置されたノズル80であり、第11温度ノズルは第12温度ノズルの次に温度の低い領域に配置されたノズル80である。
【0048】
グループ識別子G(3)に属するノズル80には、2番目に接続端子90a、94aに近いマニホールド87a、即ち2個の第5マニホールド87a(5)に設けられたノズル80であって、終端側部分に位置するノズル80(以下、第3温度ノズル)と、接続端子90a、94aから2番目に遠い位置に配置されたマニホールド87a、即ち2個の第2マニホールド87a(2)に設けられたノズル80であって、始端側部分に位置するノズル80(以下、第10温度ノズル)とが含まれる。第3温度ノズルは第2温度ノズルの次に温度の高い領域に配置されたノズル80であり、第10温度ノズルは第11温度ノズルの次に温度の低い領域に配置されたノズル80である。
【0049】
グループ識別子G(4)に属するノズル80には、2個の第5マニホールド87a(5)に設けられたノズル80であって、始端側部分に位置するノズル80(以下、第4温度ノズル)と、2個の第2マニホールド87a(2)に設けられたノズル80であって、終端側部分に位置するノズル80(以下、第9温度ノズル)とが含まれる。第4温度ノズルは第3温度ノズルの次に温度の高い領域に配置されたノズル80であり、第9温度ノズルは第10温度ノズルの次に温度の低い領域に配置されたノズル80である。
【0050】
グループ識別子G(5)に属するノズル80には、3番目に接続端子90a、94aに近いマニホールド87a、即ち2個の第4マニホールド87a(4)に設けられたノズル80であって、終端側部分に位置するノズル80(以下、第5温度ノズル)と、接続端子90a、94aから3番目に遠い位置に配置されたマニホールド87a、即ち2個の第3マニホールド87a(3)に設けられたノズル80であって、始端側部分に位置するノズル80(以下、第8温度ノズル)とが含まれる。第5温度ノズルは第4温度ノズルの次に温度の高い領域に配置されたノズル80であり、第8温度ノズルは第9温度ノズルの次に温度の低い領域に配置されたノズル80である。
【0051】
グループ識別子G(6)に属するノズル80には、2個の第4マニホールド87a(5)に設けられたノズル80であって、始端側部分に位置するノズル80(以下、第6温度ノズル)と、2個の第3マニホールド87a(3)に設けられたノズル80であって、終端側部分に位置するノズル80(以下、第7温度ノズル)とが含まれる。第6温度ノズルは第5温度ノズルの次に温度の高い領域に配置されたノズル80であり、第7温度ノズルは第8温度ノズルの次に温度の低い領域に配置されたノズル80である。つまり、グループ識別子G(1)~G(6)は、接続端子90a、94aとノズル80との間の距離、マニホールド87aの前端部とマニホールド87aの後端部との間におけるノズル80の位置に応じて、ノズル80に割り当てられている。
【0052】
温度分布の関係は、例えば、第1温度ノズル>第2温度ノズル>第3温度ノズル>第4温度ノズル>第5温度ノズル>第6温度ノズル>第7温度ノズル>第8温度ノズル>第9温度ノズル>第10温度ノズル>第11温度ノズル>第12温度ノズルである。
【0053】
図8は、第1テーブルの一例を示す概念図、
図9は、第2テーブルの一例を示す概念図である。
図8において、N1(n)~N12(n)(n=1、2、・・・)は第1温度ノズル~第12温度ノズルのノズルアドレスを示す。
図8に示すように、このようにして、第1温度ノズルと第12温度ノズルとを組み合わせて同じグループに所属させ、第2温度ノズルと第11温度ノズルとを組み合わせて同じグループに所属させ、第3温度ノズルと第10温度ノズルとを組み合わせて同じグループに所属させ、第4温度ノズルと第9温度ノズルとを組み合わせて同じグループに所属させ、第5温度ノズルと第8温度ノズルとを組み合わせて同じグループに所属させ、第6温度ノズルと第7温度ノズルとを組み合わせて同じグループに所属させることによって、各グループのノズル80の平均温度又は合計温度が同程度になる。そのため、
図9に示すように、各グループに対して設定された閾値はいずれも同じ値Tとすることができ、閾値の数を最小にすることができる。
【0054】
図10は、制御装置50による印刷処理を説明するフローチャートである。制御装置50は外部装置100から印刷ジョブを受信したか否か判定する(S1)。印刷ジョブを受信していない場合(S1:NO)、制御装置50はステップS1に処理を戻す。印刷ジョブを受信した場合(S1:YES)、制御装置50はフラッシング処理を実行する(S2)。フラッシング処理は、印刷目的以外でノズル80からインクを吐出する処理であり、フラッシング受け21にて実行される。
【0055】
次に制御装置50は、制御回路64に不吐出検出処理を実行させる(S3)。不吐出検出処理の詳細は後述する。次に制御装置50は、1印刷タスクを実行する(S4)。印刷タスクは、印刷ジョブを構成する単位である。具体的には、インクジェットヘッド8が右又は左に記録用紙200の左右幅分移動する間に行う液体吐出処理である。次に制御装置50は、1印刷タスクが完了したか否か判定する(S5)。1印刷タスクが完了していない場合(S5:NO)、ステップS5に処理を戻す。1印刷タスクが完了した場合(S5:YES)、制御装置50は、印刷ジョブが完了したか否か判定する(S6)。
【0056】
印刷ジョブが完了した場合(S6:YES)、制御装置50は印刷処理を終了する。印刷ジョブが完了していない場合(S6:NO)、制御装置50は2印刷タスクが完了したか否か判定する(S7)。2印刷タスクが完了した場合(S7:YES)、制御装置50はフラッシング処理を行うタイミングであるか否か判定する(S8)。フラッシング処理はノズル80のメンテナンスの為に、定期的に実行される。フラッシング処理を行うタイミングである場合(S8:YES)、制御装置50は、フラッシング処理を実行する(S9)。制御装置50は不吐出検出処理を実行し(S10)、ステップS4に処理を戻す。
【0057】
ステップS8において、フラッシング処理を行うタイミングでない場合(S8:NO)、制御装置50は不吐出検出処理を実行し(S15)、ステップS4に処理を戻す。
【0058】
ステップS7において、2印刷タスクが完了していない場合(S7:NO)、制御装置50はフラッシング処理を行うタイミングであるか否か判定する(S11)。フラッシング処理を行うタイミングである場合(S11:YES)、制御装置50はフラッシング処理を実行し(S12)、ステップS4に処理を戻す。
【0059】
ステップS11において、フラッシング処理を行うタイミングでない場合(S11:NO)、制御装置50は、非吐出フラッシング処理を実行するタイミングであるか否か判定する(S13)。非吐出フラッシング処理は、液体の吐出を行わずに、ノズル80の乾燥を防止する為の処理であり、詳細には、圧電体83を僅かに変形させて、液体の表面(メニスカス)を揺らす処理である。非吐出フラッシング処理は定期的に実行される。非吐出フラッシング処理を実行するタイミングである場合(S13:YES)、制御装置50は非吐出フラッシング処理を実行し(S14)、ステップS4に処理を戻す。非吐出フラッシング処理を実行するタイミングでない場合(S13:NO)、制御装置50は、ステップS4に処理を戻す。
【0060】
図11は、制御回路64による不吐出検出処理を説明するフローチャートである。上述のステップS3、S10、S15において、制御装置50は、制御回路64に不吐出検出処理を実行させる。制御回路64は第2DC/DCコンバータ68に、VCOM電圧を0Vに設定させる(S21)。制御回路64は静電容量を検出するグループを指定し(S22)、指定したグループに所属する全ノズル80の静電容量を検出する(S23)。
【0061】
例えば、制御回路64はグループ識別子G(1)を指定し、第1テーブルを参照して、グループ識別子G(1)に所属するノズル80、即ち、ノズルアドレスN1(n)及びN12(n)のノズル80を確認する。制御回路64は、ノズルアドレスN1(n)のノズル80に対応するスイッチ制御部67の検出用スイッチ67aを接続し、静電容量C(1)を検出する。また、ノズルアドレスN12(n)のノズル80に対応するスイッチ制御部67の検出用スイッチ67aを接続し、静電容量C(N)を検出する。そして、静電容量C(1)及びC(N)を合成する。
【0062】
制御回路64は、検出した静電容量が閾値以上であるか否か判定する(S24)。制御回路64は、第2テーブルを参照し、検出した静電容量と、指定されたグループ識別子に対応する閾値Tとを比較し、静電容量が閾値以上であるか否か判定する。例えば、静電容量C(1)及びC(N)の合成容量と、閾値Tとを比較し、合成容量が閾値T以上であるか否か判定する。
【0063】
検出した静電容量が閾値以上である場合(S24:YES)、制御回路64は、吸引処理を実行し(S26)、不吐出検出処理を終了する。検出した静電容量が閾値以上でない場合(S24:NO)、制御回路64は全グループに対し、静電容量の検出が完了したか否か判定する(S25)。全グループに対し、静電容量の検出が完了していない場合(S25:NO)、制御回路64はステップS22に処理を戻す。全グループに対し、静電容量の検出が終了した場合(S25:YES)、制御回路64は不吐出検出処理を終了する。
【0064】
なお制御回路64が不吐出検出処理を実行しているが、制御装置50がスイッチ制御部67及び検出回路65を直接制御し、不吐出検出処理を実行してもよい。
【0065】
実施の形態1に係る印刷装置1にあっては、第1共通電極84及び第2共通電極86に外部端子に接続される接続端子90a、94aが設けられている。第1共通電極84及び第2共通電極86に流れる電流は接続端子90a、94aに向けて流れる。第1共通電極84及び第2共通電極86において、電流は接続端子90a、94aに集中する。そのため、第1共通電極84及び第2共通電極86の電流が集中する部分で発熱し、その熱がノズル80の近傍へと伝熱する。つまり、第1共通電極84及び第2共通電極86において、接続端子90a、94aに近づくに従って、温度は上昇する。印刷装置1においては、接続端子90a、94aとノズル80との間の距離に応じて、各ノズル80にグループが割り当てられる。各グループに一つの閾値を対応させる。一つのグループに対して、一つの閾値が対応するので、各ノズル80に対して閾値を設定する必要はなく、閾値を削減することができる。
【0066】
マニホールド87aの始端部側におけるノズル80の温度は終端部側におけるノズル80の温度よりも低い。印刷装置1においては、マニホールド87aにおけるノズル80の位置に応じて、各ノズル80にグループが割り当てられ、各グループに閾値が対応する。閾値の数はグループの数以下にして、閾値を削減する。
【0067】
接続端子90a、94aとの間の距離が第1距離であるノズル80と、接続端子90a、94aとの間の距離が第1距離よりも長い第2距離であるノズル80とに、同じグループを割り当てる。例えば、第12温度ノズルと第1温度ノズルとに同じグループ識別子G(1)を割り当て、第11温度ノズルと第2温度ノズルとに同じグループ識別子G(2)を割り当てて、各グループにおけるノズル80の平均温度又は合計温度を同程度にして、閾値の共通化を図ることができる。
【0068】
例えば、第1マニホールド87a(1)及び第6マニホールド87a(6)に交差する方向において、第1マニホールド87a(1)と接続端子90a、94aとの間の距離は、第6マニホールド87a(6)と接続端子90a、94aとの間の距離よりも長く、第1マニホールド87a(1)にて終端部よりも始端部に近い部分に位置するノズル80と、第6マニホールドにて始端部よりも終端部に近い部分に配置されるノズル80とに、同じグループ識別子G(1)を割り当てる。そのため、インクの温度が高い終端部のノズルと、インクの温度が低い始端部のノズルとを組み合わせて、各グループにおけるノズル80の平均温度又は合計温度を同程度にして、閾値の共通化を図ることができる。
【0069】
左右方向中央部に位置する2個の第1マニホールド87a(1)において、終端部よりも始端部に近い部分に位置するノズルにグループ識別子G(1)を割り当て、前記2個の第1マニホールド87a(1)において、始端部よりも終端部に近い部分に配置されるノズル80に、グループ識別子G(2)を割り当てる。同様な温度領域のノズル80を同じグループにすることができる。
【0070】
第6マニホールド87a(6)は接続端子90a、94aに最も近い位置に配置され、第6マニホールド87a(6)にて始端部よりも終端部に近い部分に位置するノズルにグループ識別子G(1)を割り当て、第6マニホールド87a(6)にて終端部よりも始端部に近い部分に位置するノズルにグループ識別子G(2)を割り当てる。各グループにおけるノズル80の平均温度又は合計温度を同程度にして、閾値の共通化を図ることができる。
【0071】
第2マニホールド87a(2)にて終端部よりも始端部に近い部分に位置するノズル80と、第5マニホールド87a(5)にて始端部よりも終端部に近い部分に配置されるノズル80に、グループ識別子G(3)を割り当てる。
また第2マニホールド87a(2)にて始端部よりも終端部に近い部分に位置するノズルと、第5マニホールド87a(5)にて終端部よりも始端部に近い部分に配置されるノズル80に、グループ識別子G(4)を割り当てる。
また第3マニホールド87a(3)にて終端部よりも始端部に近い部分に位置するノズル80と、第4マニホールド87a(4)にて始端部よりも終端部に近い部分に配置されるノズル80とに、グループ識別子G(5)を割り当てる。
また第3マニホールド87a(3)にて始端部よりも終端部に近い部分に位置するノズル80と、第4マニホールド87a(4)にて終端部よりも始端部に近い部分に配置されるノズル80とに、グループ識別子G(6)を割り当てる。
【0072】
なお
図9の第2テーブルにおいて、閾値は1個であったが、複数の閾値を第2テーブルに設定してもよい。またマニホールド87aをインク排出口8bに接続させずに、即ちインクを循環させずに、インクがマニホールド87a内に滞留するように構成してもよい。
【0073】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図12は、マニホールド87a、ノズル80及び接続端子90a、94aを示す模式的平面図である。実施の形態2においては、第1共通電極84の右側半分に配置された第1マニホールド87a(1)、第3マニホールド87a(3)及び第5マニホールド87a(5)の後端部がインク供給口8aに連通され、前端部がインク排出口8bに連通される。また第1共通電極84の右側半分に配置された第2マニホールド87a(2)第4マニホールド87a(4)及び第6マニホールド87a(6)の前端部がインク供給口8aに連通され、後端部がインク排出口8bに連通される。
【0074】
第1共通電極84の左側半分に配置された第1マニホールド87a(1)、第3マニホールド87a(3)及び第5マニホールド87a(5)の前端部がインク供給口8aに連通され、後端部がインク排出口8bに連通される。また第1共通電極84の左側半分に配置された第2マニホールド87a(2)、第4マニホールド87a(4)及び第6マニホールド87a(6)の後端部がインク供給口8aに連通され、前端部がインク排出口8bに連通される。つまり、第2マニホールド87a(2)~第5マニホールド87a(5)は、第1マニホールド87a(1)に交差する方向において、第1マニホールド87a(1)と第6マニホールド87a(6)との間に位置する。
第2マニホールド87a(2)~第5マニホールド87a(5)は、第1マニホールド87a(1)及び第6マニホールド87a(6)に平行に延びる。第2マニホールド87a(2)の始端部及び第3マニホールド87a(3)の終端部は同じ側に位置し、第2マニホールド87a(2)の終端部及び第3マニホールド87a(3)の始端部は同じ側に位置する。第4マニホールド87a(4)の始端部及び第5マニホールド87a(5)の終端部は同じ側に位置し、第4マニホールド87a(4)の終端部及び第5マニホールド87a(5)の始端部は同じ側に位置する。
【0075】
グループ識別子G(1)に属するノズル80には、接続端子90a、94aに最も近い位置に配置されたマニホールド87a、即ち2個の第6マニホールド87a(6)に設けられたノズル80であって、インク排出口8b側、即ち終端側部分に位置するノズル80(第1温度ノズル)と、接続端子90a、94aから最も遠い位置に配置されたマニホールド87a、即ち2個の第1マニホールド87a(1)に設けられたノズル80であって、インク供給口8a側、即ち始端側部分に位置するノズル80(第12温度ノズル)とが含まれる。
【0076】
グループ識別子G(2)に属するノズル80には、2個の第6マニホールド87a(6)に設けられたノズル80であって、始端側部分に位置するノズル80(第2温度ノズル)と、2個の第1マニホールド87a(1)に設けられたノズル80であって、終端側部分に位置するノズル80(第11温度ノズル)とが含まれる。第2温度ノズルは第1温度ノズルの次に温度の高い領域に配置されたノズル80であり、第11温度ノズルは第12温度ノズルの次に温度の低い領域に配置されたノズル80である。
【0077】
グループ識別子G(3)に属するノズル80には、2番目に接続端子90a、94aに近いマニホールド87a、即ち2個の第5マニホールド87a(5)に設けられたノズル80であって、始端側部分に位置するノズル80(第3温度ノズル)と、接続端子90a、94aから2番目に遠い位置に配置されたマニホールド87a、即ち2個の第2マニホールド87a(2)に設けられたノズル80であって、終端側部分に位置するノズル80(第10温度ノズル)とが含まれる。第3温度ノズルは第2温度ノズルの次に温度の高い領域に配置されたノズル80であり、第10温度ノズルは第11温度ノズルの次に温度の低い領域に配置されたノズル80である。
【0078】
グループ識別子G(4)に属するノズル80には、2個の第5マニホールド87a(5)に設けられたノズル80であって、終端側部分に位置するノズル80(第4温度ノズル)と、2個の第2マニホールド87a(2)に設けられたノズル80であって、始端側部分に位置するノズル80(第9温度ノズル)とが含まれる。第4温度ノズルは第3温度ノズルの次に温度の高い領域に配置されたノズル80であり、第9温度ノズルは第10温度ノズルの次に温度の低い領域に配置されたノズル80である。
【0079】
グループ識別子G(5)に属するノズル80には、右側の第4マニホールド87a(4)に設けられたノズル80であって、終端側部分に位置するノズル80(第5温度ノズル)と、右側の第3マニホールド87a(3)に設けられたノズル80であって、始端側部分に位置するノズル80(第5温度ノズル)と、左側の第4マニホールド87a(4)に設けられたノズル80であって、始端側部分に位置するノズル80(第8温度ノズル)と、左側の第3マニホールド87a(3)に設けられたノズル80であって、終端側部分に位置するノズル80(第8温度ノズル)とが含まれる。第5温度ノズルは第4温度ノズルの次に温度の高い領域に配置されたノズル80であり、第8温度ノズルは第9温度ノズルの次に温度の低い領域に配置されたノズル80である。
【0080】
グループ識別子G(6)に属するノズル80には、グループ識別子G(5)に属するノズル80には、右側の第4マニホールド87a(4)に設けられたノズル80であって、始端側部分に位置するノズル80(第6温度ノズル)と、右側の第3マニホールド87a(3)に設けられたノズル80であって、終端側部分に位置するノズル80(第6温度ノズル)と、左側の第4マニホールド87a(4)に設けられたノズル80であって、終端側部分に位置するノズル80(第7温度ノズル)と、左側の第3マニホールド87a(3)に設けられたノズル80であって、始端側部分に位置するノズル80(第7温度ノズル)とが含まれる。第6温度ノズルは第5温度ノズルの次に温度の高い領域に配置されたノズル80であり、第7温度ノズルは第8温度ノズルの次に温度の低い領域に配置されたノズル80である。
【0081】
実施の形態2に係る印刷装置1にあっては、隣接する2個のマニホールド87aはインクの流れる方向が逆になるので、複数のマニホールド87a全体として、インクの温度ムラによる影響を抑制することができる。左右に隣接する2個の第1マニホールド87a(1)において、終端部よりも始端部に近い部分に配置されるノズル80に第1グループ識別子G(1)が割り当てられ、始端部よりも終端部に近い部分に配置されるノズル80に第2グループ識別子G(2)が割り当てられる。
【0082】
接続端子90a、94aに最も近い第6マニホールド87a(6)において、始端部よりも終端部に近い部分に配置されるノズル80に第1グループ識別子G(1)が割り当てられ、終端部よりも始端部に近い部分に配置されるノズル80に第2グループ識別子G(2)が割り当てられる。接続端子90a、94aからの距離に応じて、ノズル80にグループが割り当てられる。例えば、接続端子90a、94aに最も近い第6マニホールド87a(6)に配置されるノズル80と、接続端子90a、94aから最も遠い第1マニホールド87a(1)に配置されるノズル80とを同じグループに配置させることによって、各グループにおけるノズル80の平均温度又は合計温度を同程度にして、閾値の共通化を図ることができる。
【0083】
第5マニホールド87a(5)にて終端部よりも始端部に近い部分に位置するノズル80と、第2マニホールド87a(2)にて始端部よりも終端部に近い部分に位置するノズル80とに、第3グループ識別子G(3)を割り当て、第5マニホールド87a(5)にて始端部よりも終端部に近い部分に配置されるノズル80と、第2マニホールド87a(2)にて終端部よりも始端部に近い部分に位置するノズル80とに、第4グループ識別子G(4)を割り当てる。各グループにおけるノズル80の平均温度又は合計温度を同程度にして、閾値の共通化を図ることができる。
【0084】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図13は、マニホールド87a、ノズル80及び接続端子90a、94aを示す模式的平面図である。
【0085】
実施の形態3において、第1共通電極84の右側に第7マニホールド87a(7)~第9マニホールド87a(9)を備える。左右方向において、第7マニホールド87a(7)は接続端子90a、94aから最も遠い位置に配置され、第9マニホールド87a(9)は接続端子90a、94aに最も近い位置に配置され、第8マニホールド87a(8)は第7マニホールド87a(7)と第9マニホールド87a(9)との間に配置される。
【0086】
第7マニホールド87a(7)は、前後に延びる直線的な第1部分87bと、該第1部分87bに平行且つ直線的な第2部分87dと、第1部分87b及び第2部分87dそれぞれの後端部を連結する連結部87cとを備える。第1部分87b及び第2部分87dそれぞれの後端部は、第1部分87b及び第2部分87dの長手方向にて同じ側に配置されている。第2部分87dは第1部分87bの左隣に配置されている。第2部分87dの前端部はインク供給口8aに連通され、第1部分87bの前端部はインク排出口8bに連通される。第8マニホールド87a(8)及び第9マニホールド87a(9)も、第7マニホールド87a(7)と同様に第1部分87bと、第2部分87dと、連結部87cとを備える。
【0087】
第1共通電極84の左側に第10マニホールド87a(10)~第12マニホールド87a(12)を備える。左右方向において、第10マニホールド87a(10)は接続端子90a、94aから最も遠い位置に配置され、第12マニホールド87a(12)は接続端子90a、94aに最も近い位置に配置され、第11マニホールド87a(11)は第10マニホールド87a(10)と第12マニホールド87a(12)との間に配置される。第10マニホールド87a(10)~第12マニホールド87a(12)も、第7マニホールド87a(7)と同様に第1部分87bと、第2部分87dと、連結部87cとを備える。
【0088】
第1共通電極84の右側において、グループ識別子G(1)に属するノズル80には、第9マニホールド87a(9)の第2部分87dにおける連結部87cよりも終端部に近い部分に位置するノズル80と、第7マニホールド87a(7)の第1部分87bにおける連結部87cよりも始端部に近い部分に位置するノズル80とが含まれる。
【0089】
グループ識別子G(2)に属するノズル80には、第9マニホールド87a(9)の第2部分87dにおける終端部よりも連結部87cに近い部分に位置するノズル80と、第7マニホールド87a(7)の第1部分87bにおける始端部よりも連結部87cに近い部分に位置するノズル80とが含まれる。
【0090】
グループ識別子G(3)に属するノズル80には、第9マニホールド87a(9)の第1部分87bにおける連結部87cよりも始端部に近い部分に位置するノズル80と、第7マニホールド87a(7)の第2部分87dにおける連結部87cよりも終端部に近い部分に位置するノズル80とが含まれる。
【0091】
グループ識別子G(4)に属するノズル80には、第9マニホールド87a(9)の第1部分87bにおける始端部よりも連結部87cに近い部分に位置するノズル80と、第7マニホールド87a(7)の第2部分87dにおける終端部よりも連結部87cに近い部分に位置するノズル80とが含まれる。
【0092】
グループ識別子G(5)に属するノズル80には、第8マニホールド87a(8)の第1部分87bにおける連結部87cよりも始端部に近い部分に位置するノズル80と、第8マニホールド87a(7)の第2部分87dにおける連結部87cよりも終端部に近い部分に位置するノズル80とが含まれる。
【0093】
グループ識別子G(6)に属するノズル80には、第8マニホールド87a(8)の第1部分87bにおける始端部よりも連結部87cに近い部分に位置するノズル80と、第8マニホールド87a(7)の第2部分87dにおける終端部よりも連結部87cに近い部分に位置するノズル80とが含まれる。
【0094】
第1共通電極84の左側において、グループ識別子g(1)に属するノズル80には、第10マニホールド87a(10)の第2部分87dにおける連結部87cよりも終端部に近い部分に位置するノズル80と、第12マニホールド87a(12)の第1部分87bにおける連結部87cよりも始端部に近い部分に位置するノズル80とが含まれる。
【0095】
グループ識別子g(2)に属するノズル80には、第10マニホールド87a(10)の第2部分87dにおける終端部よりも連結部87cに近い部分に位置するノズル80と、第12マニホールド87a(12)の第1部分87bにおける始端部よりも連結部87cに近い部分に位置するノズル80とが含まれる。
【0096】
グループ識別子g(3)に属するノズル80には、第10マニホールド87a(10)の第1部分87bにおける連結部87cよりも始端部に近い部分に位置するノズル80と、第12マニホールド87a(7)の第2部分87dにおける連結部87cよりも終端部に近い部分に位置するノズル80とが含まれる。
【0097】
グループ識別子g(4)に属するノズル80には、第10マニホールド87a(10)の第1部分87bにおける連結部87cよりも始端部に近い部分に位置するノズル80と、第12マニホールド87a(12)の第2部分87dにおける連結部87cよりも終端部に近い部分に位置するノズル80とが含まれる。
【0098】
グループ識別子g(5)に属するノズル80には、第11マニホールド87a(11)の第1部分87bにおける連結部87cよりも始端部に近い部分に位置するノズル80と、第11マニホールド87a(11)の第2部分87dにおける連結部87cよりも終端部に近い部分に位置するノズル80とが含まれる。
【0099】
グループ識別子g(6)に属するノズル80には、第11マニホールド87a(11)の第1部分87bにおける始端部よりも連結部87cに近い部分に位置するノズル80と、第11マニホールド87a(11)の第2部分87dにおける終端部よりも連結部87cに近い部分に位置するノズル80とが含まれる。
【0100】
実施の形態3に係る印刷装置1にあっては、第8マニホールド87a(8)の第1部分87bにおける連結部87cよりも始端部に近い部分に位置するノズル80と、第8マニホールド87a(7)の第2部分87dにおける連結部87cよりも終端部に近い部分に位置するノズル80とに、同じグループ識別子G(5)が割り当てられる。即ち、第8マニホールド87a(8)における第1部分87b及び第2部分87dの後側部分に配置されたノズル80にグループ識別子G(5)が割り当てられる。
また第11マニホールド87a(11)の第1部分87bにおける連結部87cよりも始端部に近い部分に位置するノズル80と、第11マニホールド87a(11)の第2部分87dにおける連結部87cよりも終端部に近い部分に位置するノズル80とに、同じグループ識別子g(5)が割り当てられる。即ち、第11マニホールド87a(11)における第1部分87b及び第2部分87dの後側部分に配置されたノズル80にグループ識別子g(5)が割り当てられる。
インクの温度が高い終端部のノズルと、インクの温度が低い始端部のノズルとを組み合わせて、各グループにおけるノズル80の平均温度又は合計温度を同程度にして、閾値の共通化を図ることができる。
【0101】
第7マニホールド87a(7)に位置するノズル80と、第10マニホールド87a(10)に位置するノズル80に、異なるグループが割り当てられる。このようにして、各グループにおけるノズル80の平均温度又は合計温度を同程度にして、閾値の共通化を図ることができる。
【0102】
第7マニホールド87a(7)は、第1部分87bの始端に近い部分(第1区分)、第1部分87bの連結部87cに近い部分(第2区分)、第2部分87dの終端に近い部分(第3区分)、及び第2部分87dの連結部87cに近い部分(第4区分)に分割される。第9マニホールド87a(9)は、第1部分87bの始端に近い部分(第1区分)、第1部分87bの連結部87cに近い部分(第2区分)、第2部分87dの終端に近い部分(第3区分)、及び第2部分87dの連結部87cに近い部分(第4区分)に分割される。第7マニホールド87a(7)の第1区分に位置するノズルと、第9マニホールド87a(9)の第3区分に位置するノズルとにグループ識別子G(1)が割り当てられ、第7マニホールド87a(7)の第2区分に位置するノズルと、第9マニホールド87a(9)の第4区分に位置するノズルとにグループ識別子G(2)が割り当てられ、第7マニホールド87a(7)の第3区分に位置するノズルと、第9マニホールド87a(9)の第1区分に位置するノズルとにグループ識別子G(3)が割り当てられ、第7マニホールド87a(7)の第4区分に位置するノズルと、第9マニホールド87a(9)の第2区分に位置するノズルとにグループ識別子G(4)が割り当てられる。第10マニホールド87a(10)及び第12マニホールド87a(12)も同様である。
【0103】
第8マニホールド87a(8)は、上述の第1区分から第4区分に分割される。第8マニホールド87a(8)の第1区分に位置するノズル80と、第3区分に位置するノズル80とに同じグループ識別子G(5)が割り当てられ、第2区分に位置するノズル80と、第4区分に位置するノズル80とに同じグループ識別子G(6)が割り当てられる。第11マニホールド87a(11)も同様である。
【0104】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
実施の形態1では、
図9に示すように、各グループに対して設定された閾値はいずれも同じ値Tとしていたが、これに限られない。各グループに対して設定された閾値を異ならせてもよい。また、全グループのうち複数のグループで閾値を共有させて、閾値の数が全グループの数よりも少なくなるようにしてもよい。
【0105】
実施の形態1では、記憶部50aは、第1テーブル、第2テーブルを記憶していたが、これに限られない。記憶部50aは、テーブルを一つ記憶しており、そのテーブルに、第1温度ノズルと第12温度ノズルとを組み合わせて同じグループに所属させ、かつ、閾値T1を対応付けて記憶させる。また、第2温度ノズルと第11温度ノズルとを組み合わせて同じグループに所属させ、かつ、閾値T2を対応付けて記憶させる。また、第3温度ノズルと第10温度ノズルとを組み合わせて同じグループに所属させ、かつ、閾値T3を対応付けて記憶させる。また、第4温度ノズルと第9温度ノズルとを組み合わせて同じグループに所属させ、かつ、閾値T4を対応付けて記憶させる。第5温度ノズルと第8温度ノズルとを組み合わせて同じグループに所属させ、かつ、閾値T5を対応付けて記憶させる。また、第6温度ノズルと第7温度ノズルとを組み合わせて同じグループに所属させ、かつ、閾値T6を対応付けて記憶させる。
【0106】
実施の形態1では、マニホールド87aの前端部はインク供給口8aに連通され、後端部はインク排出口8bに連通されていたが、これに限られない。マニホールド87aの後端部はインク排出口8bに連通されておらず、行き止まりとなっていてもよい。このようなインクジェットヘッド8においても、印刷装置1では、接続端子90a、94aとノズル80との間の距離に応じて、各ノズル80にグループが割り当てられ、各グループに一つの閾値を対応させることで、一つのグループに対して、一つの閾値が対応する。また、全グループに一つの閾値が対応してもよい。マニホールド87aの後端部はインク排出口8bに連通されたときと同様に、各ノズル80に対して閾値を設定する必要はなく、閾値を削減することができる。なお、循環ポンプ10等は不要となる。
【符号の説明】
【0107】
1 印刷装置
8 インクジェットヘッド
80 ノズル
83 圧電体
84 第1共通電極
85 個別電極
86 第2共通電極
87a マニホールド
89a 第1コンデンサ
89b 第2コンデンサ
90a、94a 接続端子
50a 記憶部
64 制御回路
65 検出回路