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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139245
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/16 20060101AFI20220915BHJP
   G11C 13/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G11C11/16 240
G11C13/00 270F
G11C13/00 480J
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039536
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】須之内 一正
(72)【発明者】
【氏名】小瀬木 淳一
(57)【要約】
【課題】 リーク電流を的確に制御することが可能な記憶装置を提供する。
【解決手段】 実施形態に係る記憶装置は、第1の方向に延伸する複数の第1の配線10と、第2の方向に延伸する複数の第2の配線20と、第1の配線と第2の配線との間に接続され、抵抗変化記憶素子40を含む複数のメモリセル30と、第1の配線に電圧を供給する第1の駆動回路と、第2の配線に電圧を供給する第2の駆動回路とを備え、第1の駆動回路は、選択されたメモリセルに接続された選択された第1の配線に電圧V1を印加し、第2の駆動回路は、選択されたメモリセルに接続された選択された第2の配線に電圧V1よりも低い電圧V2を印加し、第1の駆動回路は、選択された第1の配線以外の非選択の第1の配線に、(V1+V2)/2とV2との間の電圧を印加し、第2の駆動回路は、選択された第2の配線以外の非選択の第2の配線に、V1と(V1+V2)/2との間の電圧を印加する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延伸する複数の第1の配線と、
前記第1の方向と交差する第2の方向に延伸する複数の第2の配線と、
前記複数の第1の配線と前記複数の第2の配線との間に接続され、それぞれが抵抗変化記憶素子を含む複数のメモリセルと、
前記複数の第1の配線に電圧を供給する第1の駆動回路と、
前記複数の第2の配線に電圧を供給する第2の駆動回路と、
を備える記憶装置であって、
前記第1の駆動回路は、選択されたメモリセルに接続された選択された第1の配線に電圧V1を印加し、
前記第2の駆動回路は、前記選択されたメモリセルに接続された選択された第2の配線に前記電圧V1よりも低い電圧V2を印加し、
前記第1の駆動回路は、前記選択された第1の配線以外の非選択の第1の配線に、(V1+V2)/2とV2との間の電圧を印加し、
前記第2の駆動回路は、前記選択された第2の配線以外の非選択の第2の配線に、V1と(V1+V2)/2との間の電圧を印加する
ことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
前記非選択の第1の配線に印加される電圧は、前記非選択の第1の配線の位置に応じて設定され、
前記非選択の第2の配線に印加される電圧は、前記非選択の第2の配線の位置に応じて設定される
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項3】
前記非選択の第1の配線に印加される電圧を(V1+V2)/2-Voffsetaとし、前記非選択の第2の配線に印加される電圧を(V1+V2)/2+Voffsetbとし(ただし、Voffseta及びVoffsetbはいずれも正の値)、
前記第2の駆動回路から遠くに位置する非選択の第1の配線に対するVoffsetaの値の方が、前記第2の駆動回路の近くに位置する非選択の第1の配線に対するVoffsetaの値よりも小さく、
前記第1の駆動回路から遠くに位置する非選択の第2の配線に対するVoffsetbの値の方が、前記第1の駆動回路の近くに位置する非選択の第2の配線に対するVoffsetbの値よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項4】
前記第1の配線は、前記第1の配線が配列された方向で複数のグループにグループ分けされ、前記非選択の第1の配線に印加される電圧は、前記第1の配線のグループ毎に設定され、
前記第2の配線は、前記第2の配線が配列された方向で複数のグループにグループ分けされ、前記非選択の第2の配線に印加される電圧は、前記第2の配線のグループ毎に設定される
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項5】
前記非選択の第1の配線に印加される電圧を(V1+V2)/2-Voffsetaとし、前記非選択の第2の配線に印加される電圧を(V1+V2)/2+Voffsetbとし(ただし、Voffseta及びVoffsetbはいずれも正の値)、
前記第2の駆動回路から遠い第1の配線のグループに含まれる非選択の第1の配線に対するVoffsetaの値の方が、前記第2の駆動回路から近い第1の配線のグループに含まれる非選択の第1の配線に対するVoffsetaの値よりも小さく、
前記第1の駆動回路から遠い第2の配線のグループに含まれる非選択の第2の配線に対するVoffsetbの値の方が、前記第1の駆動回路から近い第2の配線のグループに含まれる非選択の第2の配線に対するVoffsetbの値よりも小さい
ことを特徴とする請求項4に記載の記憶装置。
【請求項6】
前記電圧V1の値及び前記電圧V2の値は、前記選択されたメモリセルの位置に応じて設定され、
前記非選択の第1の配線に印加される電圧及び前記非選択の第2の配線に印加される電圧は、前記選択されたメモリセルの位置に応じて設定される
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項7】
前記電圧V1の値は、前記選択されたメモリセルの位置が前記第1の駆動回路から遠い場合の方が前記第1の駆動回路から近い場合よりも高く、
前記電圧V2の値は、前記選択されたメモリセルの位置が前記第2の駆動回路から遠い場合の方が前記第2の駆動回路から近い場合よりも低い
ことを特徴とする請求項6に記載の記憶装置。
【請求項8】
前記非選択の第1の配線に印加される電圧を(V1+V2)/2-Voffsetaとし、前記非選択の第2の配線に印加される電圧を(V1+V2)/2+Voffsetbとし(ただし、Voffseta及びVoffsetbはいずれも正の値)、
前記Voffsetaの値は、前記選択されたメモリセルの位置が前記第2の駆動回路から遠い場合の方が前記第2の駆動回路から近い場合よりも大きく、
前記Voffsetbの値は、前記選択されたメモリセルの位置が前記第1の駆動回路から遠い場合の方が前記第1の駆動回路から近い場合よりも大きい
ことを特徴とする請求項7に記載の記憶装置。
【請求項9】
前記電圧V1の値及び前記電圧V2の値は、前記選択されたメモリセルの位置に応じて設定され、
前記メモリセルが配列されたアレイ領域は複数のサブアレイ領域を含み、前記非選択の第1の配線に印加される電圧及び前記非選択の第2の配線に印加される電圧は、前記選択されたメモリセルが位置するサブアレイ領域の位置に応じて設定される
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項10】
前記電圧V1の値は、前記選択されたメモリセルの位置が前記第1の駆動回路から遠い場合の方が前記第1の駆動回路から近い場合よりも高く、
前記電圧V2の値は、前記選択されたメモリセルの位置が前記第2の駆動回路から遠い場合の方が前記第2の駆動回路から近い場合よりも低い
ことを特徴とする請求項9に記載の記憶装置。
【請求項11】
前記非選択の第1の配線に印加される電圧を(V1+V2)/2-Voffsetaとし、前記非選択の第2の配線に印加される電圧を(V1+V2)/2+Voffsetbとし(ただし、Voffseta及びVoffsetbはいずれも正の値)、
前記Voffsetaの値は、前記選択されたメモリセルが位置するサブアレイ領域が前記第2の駆動回路から遠い場合の方が前記第2の駆動回路から近い場合よりも大きく、
前記Voffsetbの値は、前記選択されたメモリセルが位置するサブアレイ領域が前記第1の駆動回路から遠い場合の方が前記第1の駆動回路から近い場合よりも大きい
ことを特徴とする請求項10に記載の記憶装置。
【請求項12】
前記抵抗変化記憶素子は、磁気抵抗効果素子である
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項13】
前記複数のメモリセルのそれぞれは、前記抵抗変化記憶素子に対して直列に接続されたスイッチング素子をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項14】
前記スイッチング素子は、非線形な電流-電圧特性を有する2端子型のスイッチング素子である
ことを特徴とする請求項13に記載の記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に磁気抵抗効果素子等の抵抗変化記憶素子が集積化された記憶装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8792266号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リーク電流の低減化を図ることが可能な記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る記憶装置は、第1の方向に延伸する複数の第1の配線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に延伸する複数の第2の配線と、前記複数の第1の配線と前記複数の第2の配線との間に接続され、それぞれが抵抗変化記憶素子を含む複数のメモリセルと、前記複数の第1の配線に電圧を供給する第1の駆動回路と、前記複数の第2の配線に電圧を供給する第2の駆動回路と、を備える記憶装置であって、前記第1の駆動回路は、選択されたメモリセルに接続された選択された第1の配線に電圧V1を印加し、前記第2の駆動回路は、前記選択されたメモリセルに接続された選択された第2の配線に前記電圧V1よりも低い電圧V2を印加し、前記第1の駆動回路は、前記選択された第1の配線以外の非選択の第1の配線に、(V1+V2)/2とV2との間の電圧を印加し、前記第2の駆動回路は、前記選択された第2の配線以外の非選択の第2の配線に、V1と(V1+V2)/2との間の電圧を印加する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る記憶装置の全体的な概略構成を示したブロック図である。
図2A】第1の実施形態に係る記憶装置のメモリセルアレイ部の構成を模式的に示した斜視図である。
図2B】第1の実施形態に係る記憶装置のメモリセルアレイ部の変形例の構成を模式的に示した斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る記憶装置の磁気抵抗効果素子の構成を模式的に示した断面図である。
図4】第1の実施形態に係る記憶装置のセレクタの構成を模式的に示した断面図である。
図5】第1の実施形態に係る記憶装置のセレクタの電流-電圧特性を模式的に示した図である。
図6】第1の実施形態に係る記憶装置の動作を説明するための図である。
図7】第2の実施形態及び第3の実施形態に係る記憶装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0008】
(実施形態1)
図1は、第1の実施形態に係る不揮発性の記憶装置の全体的な概略構成を示したブロック図である。なお、以下の説明では、記憶装置として磁気記憶装置を例に説明する。
【0009】
本実施形態の磁気記憶装置は、メモリセルアレイ部100と、ワード線(WL)駆動回路(第1の駆動回路)200と、ビット線(BL)駆動回路(第2の駆動回路)300とを備えている。
【0010】
図2Aは、メモリセルアレイ部100の構成を模式的に示した斜視図である。
【0011】
メモリセルアレイ部100は、半導体基板(図示せず)を含む下地領域(図示せず)上に設けられており、複数のワード線(第1の配線)10と、複数のワード線10と交差する複数のビット線(第2の配線)20と、複数のワード線10と複数のビット線20との間に接続された複数のメモリセル30とを備えている。
【0012】
なお、図に示されたX方向(第1の方向)、Y方向(第2の方向)及びZ方向(第3の方向)は、互いに交差する方向である。より具体的には、X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交している。
【0013】
ワード線10及びビット線20は、メモリセル30に対して書き込み或いは読み出しを行う際にメモリセル30に対して所定の信号を供給するものである。なお、図2Aでは、ワード線10が下層側に位置し、ビット線20が上層側に位置しているが、ワード線10が上層側に位置し、ビット線20が下層側に位置していてもよい。
【0014】
メモリセル30は、不揮発性の抵抗変化記憶素子である磁気抵抗効果素子40と、磁気抵抗効果素子40に対して直列に接続されたセレクタ(スイッチング素子)50とを含んでいる。
【0015】
なお、図2Aでは、磁気抵抗効果素子40が下層側に位置し、セレクタ50が上層側に位置しているが、図2Bに示すように、磁気抵抗効果素子40が上層側に位置し、セレクタ50が下層側に位置していてもよい。
【0016】
図3は、磁気抵抗効果素子40の構成を模式的に示した断面図である。
【0017】
本実施形態では、磁気抵抗効果素子40として、MTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子を用いる。磁気抵抗効果素子40は、記憶層(第1の磁性層)41と、参照層(第2の磁性層)42と、トンネルバリア層(非磁性層)43とを含んでいる。
【0018】
記憶層41は、可変の磁化方向を有する強磁性層である。可変の磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わることを意味する。記憶層41は、例えば、コバルト(Co)、鉄(Fe)及びボロン(B)を含有するCoFeB層で形成されている。
【0019】
参照層42は、固定された磁化方向を有する強磁性層である。固定された磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わらないことを意味する。参照層42は、例えば、コバルト(Co)、鉄(Fe)及びボロン(B)を含有するCoFeB層と、コバルト(Co)と、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)及びパラジウム(Pd)から選択された所定元素との超格子層とで構成されている。
【0020】
トンネルバリア層43は、記憶層41と参照層42との間に設けられた絶縁層であり、例えば、マグネシウム(Mg)及び酸素(O)を含有するMgO層で形成されている。
【0021】
記憶層41の磁化方向が参照層42の磁化方向に対して平行である場合には、磁気抵抗効果素子40は相対的に抵抗が低い低抵抗状態であり、記憶層41の磁化方向が参照層42の磁化方向に対して反平行である場合には、磁気抵抗効果素子40は相対的に抵抗が高い高抵抗状態である。したがって、磁気抵抗効果素子40は、抵抗状態(低抵抗状態、高抵抗状態)に応じて、2値データを記憶することが可能である。また、磁気抵抗効果素子40には、書き込み電流の方向に応じて、低抵抗状態又は高抵抗状態を設定することが可能である。
【0022】
本実施形態の磁気抵抗効果素子40は、STT(Spin Transfer Torque)型の磁気抵抗効果素子であり、垂直磁化を有している。すなわち、記憶層41の磁化方向は記憶層41の膜面に対して垂直であり、参照層42の磁化方向は参照層42の膜面に対して垂直である。
【0023】
なお、図3に示した磁気抵抗効果素子40は、記憶層41が下層側に位置し、参照層42が上層側に位置するボトムフリー型の構造を有しているが、記憶層41が上層側に位置し、参照層42が下層側に位置するトップフリー型の構造を有する磁気抵抗効果素子を用いてもよい。
【0024】
図4は、セレクタ50の構成を模式的に示した断面図である。
【0025】
セレクタ50は、下部電極51と、上部電極52と、下部電極51と上部電極52との間に設けられたセレクタ材料層(スイッチング材料層)53とを含んでいる。セレクタ50は、非線形な電流-電圧特性を有する2端子型のスイッチング素子であり、2端子間に印加される電圧が閾値未満の場合には高抵抗状態、例えば電気的に非導通状態であり、2端子間に印加される電圧が閾値以上の場合には低抵抗状態、例えば電気的に導通状態となる。なお、線形な電流-電圧特性を有する2端子型のスイッチング素子を適用しても同様な効果を得ることができる。
【0026】
図5は、セレクタ50の電流-電圧特性の一例を模式的に示した図である。セレクタ50は、2端子間の電圧が閾電圧Vthに達すると、2端子間の電圧はホールド電圧Vholdまで低下し、電流が急激に増加する特性を有している。
【0027】
第1の配線10と第2の配線20との間に所定電圧以上の電圧を印加することで、セレクタ50がオン状態(導通状態)となり、セレクタ50に直列に接続された磁気抵抗効果素子40に対して書き込み或いは読み出しを行うことが可能となる。
【0028】
次に、本実施形態に係る記憶装置の動作を主として図6を参照して説明する。なお、ここでは、説明を簡単化するため、書き込み動作を例に説明する。
【0029】
書き込み動作を行うときには、ワード線駆動回路200からワード線WL(図2A及び図2Bのワード線10に対応)に所定の電圧を供給し(所定の電圧を出力し)、ビット線駆動回路300からビット線BL(図2A及び図2Bのビット線20に対応)に所定の電圧を供給する(所定の電圧を出力する)。
【0030】
具体的には、ワード線駆動回路200は、選択されたメモリセルMCSに接続された選択されたワード線WLSに、電圧V1を印加する。また、ビット線駆動回路300は、選択されたメモリセルMCSに接続された選択されたビット線BLSに、電圧V1よりも低い電圧V2を印加する。
【0031】
また、ワード線駆動回路200は、選択されたワード線WLS以外の非選択のワード線WLNに、(V1+V2)/2とV2との間の電圧を印加する。また、ビット線駆動回路300は、選択されたビット線BLS以外の非選択のビット線BLNに、V1と(V1+V2)/2との間の電圧を印加する。
【0032】
より具体的には、ワード線駆動回路200は、非選択のワード線WLNに、電圧(V1+V2)/2-Voffsetaを印加し、ビット線駆動回路300は、非選択のビット線BLNに、電圧(V1+V2)/2+Voffsetbを印加する。ただし、Voffseta及びVoffsetbは、いずれも正の値である。
【0033】
このように、ワード線駆動回路200からワード線WLに印加される電圧を設定し、ビット線駆動回路200からビット線BLに印加される電圧を設定することにより、書き込み電圧(書き込み電流)が適切に制御された書き込み動作を行うことが可能である。
【0034】
ここでは、説明の簡単化のため、ワード線駆動回路200から出力された電圧がワード線WL等で電圧の低下を生じることなくメモリセルに印加され、ビット線駆動回路300から出力された電圧がビット線BL等で電圧の低下を生じることなくメモリセルに印加されるものとする。
【0035】
一般的な書き込み動作では、上述した実施形態の場合と同様に、選択されたワード線WLSに電圧V1が印加され、選択されたビット線BLSに電圧V2が印加される。一方、非選択のワード線WLN及び非選択のビット線BLNにはいずれも、電圧(V1+V2)/2が印加される。
【0036】
したがって、選択されたワード線WLSと選択されたビット線BLSとの間に接続された選択されたメモリセルMCSには、V1-V2の大きさの電圧が印加される。また、選択されたワード線WLSと非選択のビット線BLNとの間に接続されたメモリセル及び非選択のワード線WLSと選択されたビット線BLNとの間に接続されたメモリセル(以下の説明では、便宜上、これらのメモリセルを、半選択のメモリセルと言う場合もある)には、いずれも(V1-V2)/2の大きさの電圧が印加される。
【0037】
上述したことからわかるように、半選択のメモリセルには、選択されたメモリセルに印加される電圧の1/2の電圧が印加されることになる。そのため、半選択のメモリセルにリーク電流が流れ、適切な書き込み動作が阻害されるおそれがある。
【0038】
これに対して、本実施形態では、選択されたワード線WLSと非選択のビット線BLNとの間の半選択のメモリセルには、V1-{(V1+V2)/2+Voffsetb}の電圧、すなわち(V1-V2)/2-Voffsetbの電圧が印加される。また、非選択のワード線WLSと選択されたビット線BLNとの間の半選択のメモリセルには、{(V1+V2)/2-Voffseta}-V2の電圧、すなわち(V1-V2)/2-Voffsetaの電圧が印加される。したがって、いずれの場合にも、半選択のメモリセルには、選択されたメモリセルに印加される電圧(V1-V2)の1/2の電圧よりも小さな電圧が印加されることになる。
【0039】
以上のように、本実施形態では、半選択のメモリセルに印加される電圧の大きさを低減することができ、半選択のメモリセルに流れるリーク電流を低減することができる。したがって、本実施形態では、リーク電流を的確に制御することが可能となり、消費電流を低減することが可能となる。
【0040】
なお、非選択のワード線WLNと非選択のビット線BLNとの間に接続された非選択のメモリセルにも、選択されたメモリセルに印加される電圧(V1-V2)の1/2の電圧よりも小さな電圧が印加されるように、非選択のワード線WLNに印加される電圧及び非選択のビット線BLNに印加される電圧を設定することが好ましい。
【0041】
(実施形態2)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、基本的な事項は第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。
【0042】
図7は、本実施形態に係る記憶装置の動作を説明するための図である。なお、本実施形態でも、説明を簡単化するため、書き込み動作を例に説明する。
【0043】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、ワード線駆動回路200は選択されたワード線WLSに電圧V1を印加し、ビット線駆動回路300は選択されたビット線BLSに電圧V1よりも低い電圧V2を印加する。
【0044】
また、第1の実施形態と同様に、ワード線駆動回路200は、非選択のワード線WLNに、(V1+V2)/2とV2との間の電圧を印加し、ビット線駆動回路300は、非選択のビット線BLNに、V1と(V1+V2)/2との間の電圧を印加する。
【0045】
より具体的には、第1の実施形態と同様に、ワード線駆動回路200は、非選択のワード線WLNに、電圧(V1+V2)/2-Voffsetaを印加し、ビット線駆動回路300は、非選択のビット線BLNに、電圧(V1+V2)/2+Voffsetbを印加する。
【0046】
上述した第1の実施形態では、Voffsetaの値及びVoffsetbの値はいずれも固定値であったが、本実施形態では、Voffsetaの値は非選択のワード線WLNの位置(ワード線WLが配列された方向の位置)に応じて変化し、Voffsetbの値は非選択のビット線BLNの位置(ビット線BLが配列された方向の位置)に応じて変化する。すなわち、本実施形態では、非選択のワード線WLNに印加される電圧は非選択のワード線WLNの位置(ワード線WLが配列された方向の位置)に応じて設定され、非選択のビット線BLNに印加される電圧は非選択のビット線BLNの位置(ビット線BLが配列された方向の位置)に応じて設定される。
【0047】
具体的には、ビット線駆動回路300から遠くに位置する非選択のワード線WLNに対するVoffsetaの値の方が、ビット駆動回路300の近くに位置する非選択のワード線WLNに対するVoffsetaの値よりも小さくなるようにする。また、ワード線駆動回路200から遠くに位置する非選択のビット線BLNに対するVoffsetbの値の方が、ワード線駆動回路200の近くに位置する非選択のビット線BLNに対するVoffsetbの値よりも小さくなるようにする。
【0048】
通常、ワード線駆動回路200から出力された電圧は、ワード線WLの抵抗成分等により、ワード線駆動回路200から離れるにしたがって低下する。すなわち、ワード線駆動回路200からの距離が遠いほど、ワード線WLの電圧低下量は増加する。そこで、本実施形態では、ワード線駆動回路200からの距離が遠いほど、Voffsetbの値を減少させるようにしている。ビット線駆動回路300についても同様であり、本実施形態では、ビット線駆動回路300からの距離が遠いほど、Voffsetaの値を減少させるようにしている。
【0049】
このような電圧印加動作より、半選択のメモリセルに印加される電圧を低減及び均一化することが可能であり、半選択のメモリセルの位置に依存せずに、半選択のメモリセルのリーク電流の低減及び均一化をはかることが可能である。
【0050】
図7に示した例では、ワード線WLは、ワード線WLが配列された方向で複数のグループにグループ分けされている。具体的には、ワード線WLは、サブアレイ領域A11~A41のグループ、サブアレイ領域A12~A42のグループ、サブアレイ領域A13~A43のグループ、及びサブアレイ領域A14~A44のグループにグループ分けされている。そして、非選択のワード線WLNに印加される電圧は、ワード線WLのグループ毎に異なった値に設定される。
【0051】
同様に、ビット線BLは、ビット線BLが配列された方向で複数のグループにグループ分けされている。具体的には、ビット線BLは、サブアレイ領域A11~A14のグループ、サブアレイ領域A21~A24のグループ、サブアレイ領域A31~A34のグループ、及びサブアレイ領域A41~A44のグループにグループ分けされている。そして、非選択のビット線BLNに印加される電圧は、ビット線BLのグループ毎に異なった値に設定される。
【0052】
より具体的には、ビット線駆動回路300から遠いワード線WLのグループに含まれる非選択のワード線WLに対するVoffsetaの値の方が、ビット駆動回路300から近いワード線WLのグループに含まれる非選択のワード線WLに対するVoffsetaの値よりも小さい。また、ワード駆動回路200から遠いビット線BLのグループに含まれる非選択のビット線BLに対するVoffsetbの値の方が、ワード線駆動回路200から近いビット線BLのグループに含まれる非選択のビット線BLに対するVoffsetb値よりも小さい。
【0053】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、半選択のメモリセルには、選択されたメモリセルに印加される電圧(V1-V2)の1/2の電圧よりも小さな電圧が印加される。したがって、本実施形態でも、半選択のメモリセルに印加される電圧の大きさを低減させることができ、半選択のメモリセルに流れるリーク電流を低減することができる。その結果、リーク電流を的確に制御することが可能となり、消費電流を低減することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態では、非選択のワード線WLNに印加される電圧は非選択のワード線WLNの位置に応じて設定され、非選択のビット線BLNに印加される電圧は非選択のビット線BLNの位置に応じて設定される。これにより、半選択のメモリセルでのリーク電流の低減及び均一化をはかることが可能となる。
【0055】
(実施形態3)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、基本的な事項は第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。
【0056】
図7は、本実施形態に係る記憶装置の動作を説明するための図である。なお、本実施形態でも、説明を簡単化するため、書き込み動作を例に説明する。
【0057】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、ワード線駆動回路200は選択されたワード線WLSに電圧V1を印加し、ビット線駆動回路300は選択されたビット線BLSに電圧V1よりも低い電圧V2を印加する。
【0058】
また、第1の実施形態と同様に、ワード線駆動回路200は、非選択のワード線WLNに、(V1+V2)/2とV2との間の電圧を印加し、ビット線駆動回路300は、非選択のビット線BLNに、V1と(V1+V2)/2との間の電圧を印加する。
【0059】
より具体的には、第1の実施形態と同様に、ワード線駆動回路200は、非選択のワード線WLNに、電圧(V1+V2)/2-Voffsetaを印加し、ビット線駆動回路300は、非選択のビット線BLNに、電圧(V1+V2)/2+Voffsetbを印加する。
【0060】
上述した第1の実施形態では、選択されたワード線WLSに印加される電圧V1及び選択されたビット線BLSに印加される電圧V2はいずれも固定値であったが、本実施形態では、電圧V1の値及び電圧V2の値は、選択されたメモリセルMCSの位置に応じて設定される(変化する)。
【0061】
また、本実施形態では、非選択のワード線WLNに印加される電圧及び非選択のビット線BLNに印加される電圧は、選択されたメモリセルMCSの位置に応じて設定される。基本的には、非選択のワード線WLNに印加される電圧は非選択のワード線WLNの位置によらず一定であり、非選択のビット線BLNに印加される電圧は非選択のビット線BLNの位置によらず一定である。すなわち、非選択のワード線WLNに印加される電圧及び非選択のビット線BLNに印加される電圧はそれぞれ選択されたメモリセルMCSの位置に応じて変化するが、アレイ領域全体ではそれぞれ一定である。ただし、第2の実施形態の方法を加味して、非選択のワード線WLNに印加される電圧及び非選択のビット線BLNに印加される電圧を、非選択のワード線WLNの位置及び非選択のビット線BLNの位置に応じて変化させてもよい。
【0062】
具体的には、電圧V1の値は、選択されたメモリセルMCSの位置がワード線駆動回路200から遠い場合の方が、ワード線駆動回路300から近い場合よりも高い。また、電圧V2の値は、選択されたメモリセルMCSの位置がビット駆動回路300から遠い場合の方が、ビット駆動回路300から近い場合よりも低い。
【0063】
より具体的には、Voffsetaの値は、選択されたメモリセルMCSの位置がビット駆動回路300から遠い場合の方が、ビット線駆動回路300から近い場合よりも大きい。また、Voffsetbの値は、選択されたメモリセルMCSの位置がワード線駆動回路200から遠い場合の方が、ワード線駆動回路200から近い場合よりも大きい。
【0064】
ワード線駆動回路200から出力された電圧は、ワード線WLの抵抗成分等によってワード線駆動回路200から離れるにしたがって低下する。ワード線駆動回路200から選択されたメモリセルMCSまでの距離が遠いほど、電圧低下量は増加する。そのため、本実施形態では、電圧低下量を加味して、選択されたワード線WLから選択されたメモリセルMCSに本来印加すべき電圧よりも高い電圧を、選択されたワード線駆動回路200から選択されたワード線WLに出力する。すなわち、ワード線駆動回路200から選択されたメモリセルMCSまでの距離が遠いほど、高い電圧をワード線駆動回路200から選択されたワード線WLSに出力する。これにより、選択されたワード線WLSから選択されたメモリセルMCSに本来印加すべき電圧に対応した電圧を、選択されたワード線WLSから選択されたメモリセルMCSに印加することができる。
【0065】
同様に、ビット線駆動回路300から選択されたメモリセルMCSまでの距離が遠いほど、低い電圧をビット線駆動回路300から選択されたビット線BLSに出力する。これにより、選択されたビット線BLSから選択されたメモリセルMCSに本来印加すべき電圧に対応した電圧を、選択されたビット線BLSから選択されたメモリセルMCSに印加することができる。
【0066】
上述したように、本実施形態では、選択されたワード線WLSから選択されたメモリセルMCSに本来印加すべき電圧よりも高い電圧が、ワード線駆動回路200から選択されたワード線WLSに印加される。そのため、本実施形態では、半選択のメモリセルに印加される電圧の増加を抑制するため、Voffsetbの値を増加させるようにしている。また、ワード線駆動回路200から選択されたワード線WLSに印加される電圧は、選択されたメモリセルMCSの位置に応じて変化するため、Voffsetbの値も選択されたメモリセルMCSの位置に応じて変化させている。すなわち、ビット線駆動回路300から非選択のビット線BSNに印加する電圧を、選択されたメモリセルMCSの位置に応じて変化させている。ビット線駆動回路300から選択されたビット線BLSに印加する電圧及びワード線駆動回路200から非選択のワード線WLNに印加する電圧についても同様である。このような電圧印加動作より、半選択のメモリセルでのリーク電流の低減及び均一化をはかることが可能となる。
【0067】
図7に示した例では、メモリセルが配列されたアレイ領域が複数のサブアレイ領域A11~A44を含み、非選択のワード線WLNに印加される電圧及び非選択のビット線BLNに印加される電圧は、選択されたメモリセルMCSが位置するサブアレイ領域A11~A44の位置に応じて設定される。
【0068】
具体的には、Voffsetaの値は、選択されたメモリセルMCSが位置するサブアレイ領域A11~A44がビット線駆動回路300から遠い場合の方がビット線駆動回路300から近い場合よりも大きい。また、Voffsetbの値は、選択されたメモリセルMCSが位置するサブアレイ領域A11~A44がワード線駆動回路200から遠い場合の方がワード線駆動回路200から近い場合よりも大きい。
【0069】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、半選択のメモリセルには、選択されたメモリセルに印加される電圧(V1-V2)の1/2の電圧よりも小さな電圧が印加される。したがって、本実施形態でも、半選択のメモリセルに印加される電圧の大きさを低減させることができ、半選択のメモリセルに流れるリーク電流を低減することができる。その結果、リーク電流を的確に制御することが可能となり、消費電流を低減することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態では、選択されたメモリセルMCSの位置に応じて、非選択のワード線WLN及び非選択のビット線BLNに印加する電圧を設定することにより、半選択のメモリセルでのリーク電流の低減及び均一化をはかることが可能となる。
【0071】
なお、上述した第1~第3の実施形態では、書き込み動作について説明したが、読み出し動作についても同様の動作を適用することが可能であり、同様の効果を奏することが可能である。
【0072】
また、上述した第1~第3の実施形態では、抵抗変化記憶素子として磁気抵抗効果素子を用いて説明したが、PCM(Phase Change Memory)素子等の他の抵抗変化記憶素子を用いることも可能である。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
10…ワード線(第1の配線) 20…ビット線(第2の配線)
30…メモリセル
40…磁気抵抗効果素子
41…記憶層 42…参照層 43…トンネルバリア層
50…セレクタ
51…下部電極 52…上部電極 53…セレクタ材料層
100…メモリセルアレイ部
200…ワード線駆動回路(第1の駆動回路)
300…ビット線駆動回路(第2の駆動回路)
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7