IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社岡本工作機械製作所の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置の製造方法及び製造装置 図1
  • 特開-半導体装置の製造方法及び製造装置 図2
  • 特開-半導体装置の製造方法及び製造装置 図3
  • 特開-半導体装置の製造方法及び製造装置 図4
  • 特開-半導体装置の製造方法及び製造装置 図5
  • 特開-半導体装置の製造方法及び製造装置 図6
  • 特開-半導体装置の製造方法及び製造装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139255
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220915BHJP
   B24B 1/04 20060101ALI20220915BHJP
   B24B 9/00 20060101ALI20220915BHJP
   B24B 7/22 20060101ALI20220915BHJP
   B24B 53/12 20060101ALI20220915BHJP
   B24B 53/04 20120101ALI20220915BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H01L21/304 621E
B24B1/04 C
B24B9/00 601H
B24B7/22 Z
B24B53/12 Z
B24B53/04
B24B49/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039546
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】391011102
【氏名又は名称】株式会社岡本工作機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】山本 栄一
(72)【発明者】
【氏名】坂東 翼
(72)【発明者】
【氏名】三井 貴彦
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C047
3C049
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA08
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB73
3C034BB93
3C034CA05
3C034CA22
3C034CB08
3C034DD10
3C034DD20
3C043CC04
3C043CC12
3C043DD02
3C043DD04
3C043DD14
3C043EE04
3C047BB04
3C047BB10
3C047EE06
3C047EE09
3C049AA03
3C049AA04
3C049AA18
3C049AA19
3C049AC01
3C049AC02
3C049BA01
3C049BA09
3C049BC03
3C049CB02
5F057AA12
5F057AA20
5F057AA23
5F057AA32
5F057BA11
5F057CA21
5F057DA17
5F057EB20
5F057EB30
5F057FA46
5F057GA11
5F057GB02
5F057GB12
(57)【要約】
【課題】安定したトリミング形状が得られ、高機能な半導体デバイスウェーハを高歩留まりで加工することができる半導体装置の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】半導体デバイスウェーハ30をチャック機構12に取り付けるチャッキング工程と、次いで、チャック機構によって半導体デバイスウェーハ30を水平回転させると共に超音波を印加した縦型スピンドル15により回転ブレード17を水平回転させて半導体デバイスウェーハ30の外周端部34を回転ブレード17でトリミングして溝35を形成するエッジトリミング工程と、次いで、水平回転する半導体デバイスウェーハ30の一主面を水平回転するカップといしで研削して半導体デバイスウェーハ30を薄層化する薄層化工程と、を具備し、エッジトリミング工程において、水平回転している回転ブレード17の先端形状をブレード成形用といし40で修正する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスウェーハをチャック機構に取り付けるチャッキング工程と、
前記チャッキング工程の後に、前記チャック機構によって前記半導体デバイスウェーハを水平回転させると共に超音波を印加した縦型スピンドルにより回転ブレードを水平回転させて前記半導体デバイスウェーハの外周端部を前記回転ブレードでトリミングして前記外周端部に溝を形成するエッジトリミング工程と、
前記エッジトリミング工程の後に、水平回転する前記半導体デバイスウェーハの一主面を水平回転するカップといしで研削して前記半導体デバイスウェーハを薄層化する薄層化工程と、を具備し、
前記エッジトリミング工程において、水平回転している前記回転ブレードの先端形状をブレード成形用といしで修正することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記エッジトリミング工程において、トリミングされた前記溝の形状を検出し、その形状が規定値内となるよう、前記回転ブレードの前記先端形状を前記ブレード成形用といしで修正することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記エッジトリミング工程において、前記溝の形状に対して平行光を投射し前記平行光の影の形状を観察して前記溝の形状が検出されることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ブレード成形用といしの支持角度を調整しながら前記回転ブレードの前記先端形状を修正することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体デバイスウェーハを吸着して水平回転させるチャック機構と、
前記チャック機構に吸着されて水平回転する前記半導体デバイスウェーハの外周端部を縦型スピンドルによって水平回転してトリミングして前記外周端部に溝を形成する回転ブレードと、
前記縦型スピンドルに超音波を印加する超音波振動装置と、
水平回転している前記回転ブレードの先端に当接して前記回転ブレードの先端形状を修正するブレード成形用といしと、を具備することを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項6】
トリミングされた前記溝の形状を検出する観察手段と、を具備し、
前記観察手段で検出された前記溝の形状に基づいて前記ブレード成形用といしによる前記回転ブレードの先端形状の修正が行われることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び製造装置に関し、特に、半導体デバイスウェーハの薄層化に先立ちウェーハエッジのトリミングを行うことで、半導体デバイスウェーハの薄層化時の欠け(チッピング)を抑制できる半導体装置の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造では、半導体デバイスウェーハを、より薄くパッケージングすることが要求されている。半導体デバイスウェーハの薄層化は、固定砥粒といしを用いた研削加工によって行われる。半導体デバイスウェーハを薄層化する工程において、ウェーハエッジにチッピングが生ずると、半導体デバイスチップの歩留まりが低下して問題となる。そこで、半導体デバイスウェーハのチッピングを抑制するために、薄層化のための研削加工の前に、ウェーハエッジのトリミング(面取り)を行うことが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、カップホイール型のダイヤモンド研削といしを用いて半導体基板のエッジ研削加工(面取り加工)を行うことが開示されている。同文献のエッジ研削加工では、水平回転している半導体基板に対して、水平回転するダイヤモンド研削といしを利用している。具体的には、半導体基板の外周縁部の垂直面に対して、ダイヤモンド研削といしの外周縁部の垂直面が重なり合うように、水平回転するダイヤモンド研削といしを上方から下降させて、半導体基板のエッジ面への研削切り込みが行われる。
【0004】
また、特許文献2には、水平軸によって垂直回転するダイヤモンド製のエッジ研削といし車を用いた半導体基板のエッジ研削工程が開示されている。同文献のエッジ研削工程では、垂直回転するエッジ研削といし車を下降させて、水平回転する半導体基板の外周縁を所望の厚さに減少させる。
【0005】
また、特許文献3には、Y軸方向(水平方向)に沿って配置されたスピンドルによってダイヤモンドホイールを垂直回転させて、ダイヤモンドホイールの外周面を水平回転する半導体ウェーハの外周部分に当接させて研削する端部研削装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、チャック機構によって半導体デバイスウェーハを水平回転させると共に超音波を印加した縦型スピンドルにより回転ブレードを水平回転させて半導体デバイスウェーハの周側面を回転ブレードでトリミングする技術が開示されている。
【0007】
また、半導体デバイスウェーハのデバイス面に研削保護層としてBGテープ(Back Grind Tape)を貼り付けることや、半導体デバイスウェーハのデバイス面に樹脂を介してサポートウェーハを形成する方式であるWSS(Wafer Support System)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009-39808号公報
【特許文献2】特開2011-142201号公報
【特許文献3】特開平9-216152号公報
【特許文献4】特開2020-31106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の如く、半導体装置の分野では、半導体デバイスウェーハの更なる薄層化が求められており、それを実現するために半導体デバイスウェーハのチッピングを防ぐ高精度なトリミング技術が求められている。
【0010】
しかしながら、上記した従来技術には、半導体デバイスウェーハの欠けを抑制する高精度且つ高効率なエッジトリミング工程を実現するために改善すべき問題点があった。
【0011】
具体的には、上記した従来技術のようにカップホイール型のダイヤモンド研削といしによりエッジをトリミングする方法では、加工速度が遅く生産性に欠けるという問題点があった。また、カップホイール型のダイヤモンド研削といしが摩耗することにより、トリミング底面の垂直性が崩れテーパ形状になるという欠点があった。
【0012】
また、垂直回転するダイヤモンドブレードを水平回転する半導体デバイスウェーハのエッジ部に押し当ててトリミングを行う方法では、ダイヤモンドブレードと半導体デバイスウェーハが線接触であることから、半導体デバイスウェーハへのせん断応力が大きいという欠点がある。
【0013】
そのため、WSSによって半導体デバイスウェーハのデバイス面に樹脂を介してサポートウェーハを形成する方式では、WSSの貼り合わせが完全でないと、ダイヤモンドブレードによるせん断応力によって半導体デバイスウェーハやWSSに新たな欠陥が生ずることがあった。
【0014】
また、半導体デバイスウェーハのデバイス面のエッジ部をダイヤモンドブレードで除去する方法では、デバイス面の外周に段差が形成された状態でBGテープの貼り付けやWSSによるサポートウェーハの形成が行われるので、薄層化工程時に半導体デバイスウェーハの厚さにばらつきが生じ易い。
【0015】
また、上記の半導体デバイスウェーハのデバイス面をトリミングする方法では、加工し難い金属や絶縁膜を介して、その下方にあるシリコン(Si)等の半導体ウェーハを除去しなくてはならないので、ダイヤモンドブレードの摩耗が大きくなる。
【0016】
また、上記の半導体デバイスウェーハのデバイス面をトリミングする方法では、デバイス面に飛散したゴミや汚染が付着し易いため、精密洗浄が必要になる等、プロセスコストが増大するという問題点がある。
【0017】
また、特許文献4に開示された従来技術のように、超音波を印加した縦型スピンドルで水平回転する回転ブレードを用いて水平回転する半導体デバイスウェーハの周側面をトリミングする方法は、高速度且つ高精度なトリミングが可能である。しかしながら、量産技術として実用化を図るためには、高精度、高品質なトリミング形状及びトリム面性状が安定して得られる高歩留まりの加工技術が求められている。
【0018】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、安定したトリミング形状とトリム面性状が得られ、高機能な半導体デバイスウェーハを高歩留まりで加工することができる生産性に優れた半導体装置の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体デバイスウェーハをチャック機構に取り付けるチャッキング工程と、前記チャッキング工程の後に、前記チャック機構によって前記半導体デバイスウェーハを水平回転させると共に超音波を印加した縦型スピンドルにより回転ブレードを水平回転させて前記半導体デバイスウェーハの外周端部を前記回転ブレードでトリミングして前記外周端部に溝を形成するエッジトリミング工程と、前記エッジトリミング工程の後に、水平回転する前記半導体デバイスウェーハの一主面を水平回転するカップといしで研削して前記半導体デバイスウェーハを薄層化する薄層化工程と、を具備し、前記エッジトリミング工程において、水平回転している前記回転ブレードの先端形状をブレード成形用といしで修正することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の半導体装置の製造装置は、半導体デバイスウェーハを吸着して水平回転させるチャック機構と、前記チャック機構に吸着されて水平回転する前記半導体デバイスウェーハの外周端部を縦型スピンドルによって水平回転してトリミングして前記外周端部に溝を形成する回転ブレードと、前記縦型スピンドルに超音波を印加する超音波振動装置と、水平回転している前記回転ブレードの先端に当接して前記回転ブレードの先端形状を修正するブレード成形用といしと、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、半導体デバイスウェーハをチャック機構に取り付けるチャッキング工程が実行された後に、チャック機構によって半導体デバイスウェーハを水平回転させると共に超音波を印加した縦型スピンドルにより回転ブレードを水平回転させて半導体デバイスウェーハの外周端部を回転ブレードでトリミングして外周端部に溝を形成するエッジトリミング工程が行われる。そして、エッジトリミング工程の後に、水平回転する半導体デバイスウェーハの一主面を水平回転するカップといしで研削して半導体デバイスウェーハを薄層化する薄層化工程が実行される。このような工程により、半導体デバイスウェーハのデバイス面の表面に形成された金属膜や絶縁膜等の各種被膜に影響されることなく半導体デバイスウェーハの外周端部をトリミングすることができる。エッジトリミング工程では、回転ブレードは、超音波を印加した縦型スピンドルによって水平回転するので、高速度且つ高精度なトリミングが可能である。そして、エッジトリミング工程において、水平回転している回転ブレードの先端形状は、ブレード成形用といしで好適な形状に修正される。これにより、半導体デバイスウェーハには安定したトリミング形状とトリム面性状が得られ、高機能な半導体デバイスウェーハを高歩留まりで加工することができる。即ち、従来技術では得られない優れた生産性が得られる。具体的には、厚さ20μm以下の極薄化された半導体デバイスウェーハを高歩留まりに量産することができる。
【0022】
また、本発明の半導体装置の製造方法によれば、前記エッジトリミング工程において、トリミングされた前記溝の形状を検出し、その形状が規定値内となるよう、前記回転ブレードの前記先端形状が前記ブレード成形用といしで修正されても良い。これにより、連続した効率的なトリミング加工により、高精度で正確なトリミング形状が得られる。
【0023】
また、本発明の半導体装置の製造方法によれば、前記エッジトリミング工程において、前記溝の形状に対して平行光を投射し前記平行光の影の形状を観察して前記溝の形状が検出されても良い。これにより、半導体デバイスウェーハのトリミングされた溝の形状を効率良く高精度に検出することができ、高精度で安定した形状及び面性状の溝を高効率に加工することができる。
【0024】
また、本発明の半導体装置の製造方法によれば、前記ブレード成形用といしの支持角度を調整しながら前記回転ブレードの前記先端形状が修正されても良い。これにより、回転ブレードの先端形状を常に好適な状態に維持することができ、高精度なトリミング加工を連続して効率良く行うことができる。具体的には、半導体デバイスウェーハの外周端部に、好適な角度で傾斜するトリミング面を形成することができる。
【0025】
また、本発明の半導体装置の製造装置によれば、半導体デバイスウェーハを吸着して水平回転させるチャック機構と、前記チャック機構に吸着されて水平回転する前記半導体デバイスウェーハの外周端部を縦型スピンドルによって水平回転してトリミングして前記外周端部に溝を形成する回転ブレードと、前記縦型スピンドルに超音波を印加する超音波振動装置と、水平回転している前記回転ブレードの先端に当接して前記回転ブレードの先端形状を修正するブレード成形用といしと、を具備する。このような構成により、半導体デバイスウェーハの外周端部をトリミングする回転ブレードの先端形状を常に好適な状態に維持して、高精度且つ高効率なトリミング加工を連続して実行することができる。よって、高機能な最先端の半導体デバイスウェーハについての高歩留まり製造が実現し、生産性が向上する。
【0026】
また、本発明の半導体装置の製造装置によれば、トリミングされた前記溝の形状を検出する観察手段を具備し、前記観察手段で検出された前記溝の形状に基づいて前記ブレード成形用といしによる前記回転ブレードの先端形状の修正が行われても良い。このような構成により、半導体デバイスウェーハの外周端部のトリミング状況を常に正確に把握することができる。よって、回転ブレードの先端形状が常に好適な状態になるようブレード成形用といしで先端形状を正確に修正することができる。その結果、高精度且つ高効率なトリミング加工が連続して実行され、半導体デバイスウェーハ製造の歩留まりが高められる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造装置を示す平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造装置のエッジトリミング装置を示す正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造装置のエッジトリミング装置を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造装置の画像データの撮像データを示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図であり、図5(a)は、チャッキング工程で半導体デバイスウェーハが準備される状態、図5(b)は、エッジトリミング工程でトリミングが行われている状態、図5(c)は、エッジトリミング工程が完了した状態、図5(d)は、薄層化工程で薄層化が行われた状態を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るトリミング面の近傍を示す図であり、図6(a)は、エッジトリミング工程が完了した状態、図6(b)は、薄層化工程で薄層化が行われた状態を示す図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図であり、図7(a)は、チャッキング工程で半導体デバイスウェーハが準備される状態、図7(b)は、エッジトリミング工程でトリミングが行われている状態、図7(c)は、エッジトリミング工程が完了した状態、図7(d)は、薄層化工程で薄層化が行われた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を図面に基づき詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造装置1を示す平面図であり、エッジトリミング装置10が組み込まれた全自動研削装置の概略構成を示している。
【0030】
図1を参照して、製造装置1は、半導体デバイスウェーハ30(図2参照)のチャッキング工程からエッジトリミング工程、薄層化工程、洗浄工程までの一連の工程を自動で行う装置である。
【0031】
製造装置1は、半導体デバイスウェーハ30を搬送する搬送ロボット21と、各工程を実行するスタンバイテーブル22、超音波トリミングテーブル23、粗研削テーブル25、仕上げ研削テーブル27及び洗浄ユニット29と、を有する。
【0032】
そして、製造装置1は、半導体デバイスウェーハ30をスタンバイテーブル22、超音波トリミングテーブル23、粗研削テーブル25及び仕上げ研削テーブル27に90度インデックスする90度割り出しテーブル20を有する。
【0033】
スタンバイテーブル22は、半導体デバイスウェーハ30のチャッキング工程を実行するテーブルである。加工対象である半導体デバイスウェーハ30は、先ず、搬送ロボット21によってスタンバイテーブル22に搬送される。そして、スタンバイテーブル22にて、半導体デバイスウェーハ30のチャッキング工程が実行される。
【0034】
超音波トリミングテーブル23は、半導体デバイスウェーハ30のエッジトリミング工程を実行するテーブルである。スタンバイテーブル22におけるチャッキング工程の後、90度割り出しテーブル20にて90度時計方向にインデックスし、超音波トリミングテーブル23にて半導体デバイスウェーハ30のエッジトリミング工程が実行される。具体的には、超音波が印加された状態で水平回転するエッジトリミング装置10の回転ブレード17によって、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34(図2参照)の一部が研削される。
【0035】
また、製造装置1は、半導体デバイスウェーハ30のトリミング形状を正確に検出して評価する観察手段としての撮像装置45を備えている。撮像装置45は、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34近傍を撮像し、エッジトリミング工程によって外周端部34に形成された溝35(図2参照)の形状情報を画像データ49(図4参照)として正確に取得する。これにより、高精度なトリミングが実現する。
【0036】
粗研削テーブル25及び仕上げ研削テーブル27は、半導体デバイスウェーハ30の薄層化工程を実行するテーブルである。粗研削テーブル25の上方には、半導体デバイスウェーハ30の上面を粗研削する粗研削ヘッド26が、仕上げ研削テーブル27の上面には、半導体デバイスウェーハ30の上面を仕上げ研削する仕上げ研削ヘッド28が設けられている。
【0037】
超音波トリミングテーブル23にてエッジトリミング工程が完了した半導体デバイスウェーハ30は、90度割り出しテーブル20によって更に90度時計方向にインデックスされる。そして、粗研削テーブル25にて、粗研削ヘッド26による薄層化の粗研削が行われる。
【0038】
そして、粗研削テーブル25にて粗研削された半導体デバイスウェーハ30は、90度割り出しテーブル20で仕上げ研削テーブル27にインデックスされ、仕上げ研削ヘッド28によって最終厚さに仕上げ研削される。
【0039】
仕上げ研削テーブル27で薄層化工程が終了した半導体デバイスウェーハ30は、90度割り出しテーブル20にてスタンバイテーブル22に戻された後、搬送ロボット21によって洗浄ユニット29に送られる。そして、洗浄ユニット29では、半導体デバイスウェーハ30を洗浄する洗浄工程が行われる。
【0040】
なお、図1に示した製造装置1は、本発明の実施形態の一例に過ぎない。例えば、エッジトリミング装置10のみが図1に示す製造装置1から分離され、単独の全自動トリミング装置とされても良い。
【0041】
また、図1において洗浄ユニット29が配置されている部分にエッジトリミング装置10が設けられ、粗研削テーブル25や仕上げ研削テーブル27の研削ステージと分離されたエッジトリミング装置10付き自動研削装置であっても良い。
【0042】
図2は、エッジトリミング装置10の概略構成を示す正面図である。
図2を参照して、エッジトリミング装置10は、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34をトリミングする装置である。
【0043】
エッジトリミング装置10は、半導体デバイスウェーハ30を支持して水平回転させる真空チャック11と、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34を研削する回転ブレード17と、回転ブレード17を支持する縦型スピンドル15と、縦型スピンドル15に超音波を印加する超音波振動装置16と、を有する。
【0044】
真空チャック11は、半導体デバイスウェーハ30をチャッキングするチャック機構を構成する。真空チャック11は、その回転軸が略垂直になるように水平回転自在に設けられている。真空チャック11の上面には、支持基板13等によって形成される保持層を介して半導体デバイスウェーハ30が取り付けられ、半導体デバイスウェーハ30は、真空チャック11等のチャック機構と共に水平回転する。
【0045】
回転ブレード17は、例えば、ダイヤモンドといしをビトリファイドボンドで固定したダイヤモンドといしブレードである。回転ブレード17は、中心部が縦型スピンドル15によって支持されて水平回転し、先端、即ち外周といし面18、が半導体デバイスウェーハ30の外周端部34に当接可能な位置に設けられている。
【0046】
縦型スピンドル15は、回転ブレード17を支える回転軸である。縦型スピンドル15は、回転軸が垂直方向に延在し、水平回転可能に設けられている。縦型スピンドル15は、図示しない駆動装置によって回転駆動され、それにより、回転ブレード17が水平回転する。
【0047】
縦型スピンドル15及び回転ブレード17は、半導体デバイスウェーハ30に向かって水平方向に移動自在に設けられている。これにより、真空チャック11に保持され水平回転する半導体デバイスウェーハ30に対して、水平回転する回転ブレード17を接近させ、回転ブレード17の外周といし面18を半導体デバイスウェーハ30の外周端部34に押し付けることができる。そして、回転ブレード17の外周といし面18で半導体デバイスウェーハ30の外周端部34を高精度に研削して所望の平均深さD(図4参照)でトリミング面36を形成することができる。
【0048】
なお、上記のように水平回転する半導体デバイスウェーハ30の外周端部34に水平回転する回転ブレード17の外周といし面18を押し付けてトリミングを行うために、半導体デバイスウェーハ30を保持する真空チャック11が水平方向に移動可能であっても良い。
【0049】
また、回転ブレード17または真空チャック11は、上下方向に移動自在であっても良い。これにより、半導体デバイスウェーハ30に対する回転ブレード17の上下方向の位置を変えてトリミングを繰り返し実行することができる。そして、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34に対して上下方向の所望の範囲についてトリミング面36を形成することができる。
【0050】
また、縦型スピンドル15は、回転ブレード17の上方及び下方において軸受19によって軸支されている。このように縦型スピンドル15が上下の2箇所で軸支されていることにより、回転ブレード17の回転振れが抑えられ、回転精度が向上し、精度の良い精密なトリミング加工が可能となる。
【0051】
軸受19として、例えば、玉軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受等の一般的なメカニカルベアリングが採用されても良い。また、回転ブレード17の上方及び下方に設けられる軸受19の少なくとも一方は、軸受19と縦型スピンドル15との間に空気膜を形成し非接触で縦型スピンドル15を軸支するエアベアリングでも良い。軸受19としてエアベアリングが用いられることにより、回転ブレード17は、低摩擦で高精度に保持され高速回転する。よって、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34を高精度にトリミング加工することができる。
【0052】
特に、回転ブレード17の下方に設けられる軸受19としてエアベアリングが採用されることにより、加工水の飛散による劣化が抑制され、軸受19及び縦型スピンドル15の高寿命化を図ることができる。
【0053】
超音波振動装置16は、縦型スピンドル15に超音波を印加する装置である。超音波振動装置16によって縦型スピンドル15に超音波が印加されることにより、回転ブレード17に超音波が印加され、回転ブレード17が回転半径方向に超音波振動する。これにより、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34を高速度且つ高精度にトリミングすることが可能となる。また、回転ブレード17に超音波が印加されることにより、回転ブレード17の摩耗が少なくなり、半導体デバイスウェーハ30のトリミングされた外周端部34近傍の崩れが抑えられる。
【0054】
エッジトリミング装置10には、回転ブレード17の先端形状を修正するブレード成形用といし40が設けられている。ブレード成形用といし40は、例えば、ダイヤモンドといしをビトリファイドボンドで固定したブレード成形用ダイヤモンドといしである。
【0055】
ブレード成形用といし40は、傾き調整機構41によって傾き調整自在に支持されている。具体的には、回転ブレード17の先端に接触するブレード成形用といし40のといし面は、略垂直な状態から傾斜した状態に調整可能である。即ち、ブレード成形用といし40は、傾き調整機構41に支持され、略水平方向に延在する傾き調整機構41の支持軸42を中心として回動自在である。
【0056】
ブレード成形用といし40のといし面は、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34から離れた回転ブレード17の先端、即ち回転ブレード17の外周といし面18、に接触する。これにより、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34をトリミングするエッジトリミング工程において、水平回転する回転ブレード17の先端は、ブレード成形用といし40のといし面に当接し、トリミングに適した形状に修正される。即ち、エッジトリミング工程において、水平回転する回転ブレード17の先端は、ブレード成形用といし40のといし面に接触して研削される。
【0057】
このような構成により、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34をトリミングする回転ブレード17の先端形状は常に好適な状態に維持され、高精度且つ高効率なトリミング加工を連続して実行することができる。よって、高機能な最先端の半導体デバイスウェーハ30について、高歩留まり製造が実現し生産性が向上する。
【0058】
図3は、エッジトリミング装置10の概略構成を示す平面図である。
図3に示すように、エッジトリミング装置10は、トリミングされた溝35の形状を検出する観察手段としての撮像装置45を備えている。撮像装置45は、光を照射する光源46と、光源46からの光を受ける受光素子47と、受光素子47の光学データを解析する画像解析装置48と、を有する。
【0059】
光源46は、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34のトリミング状態を検出するための光を照射する。詳しくは、光源46は、平行光源であって、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34近傍に平行光の一部が接するよう光を照射する。即ち、光源46は、半導体デバイスウェーハ30の側方から、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34の端部近傍に向かって略水平方向に平行光を発する。
【0060】
受光素子47は、光源46から発せられた光を受けるように、光源46に対向するよう設けられている。よって、光源46から発せられる平行光は、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34近傍を通過し、受光素子47に受光される。
【0061】
受光素子47は、画像解析装置48に接続されている。画像解析装置48は、受光素子47で受信した光学データを解析し、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34の状態を画像データ49(図4参照)として解析する。
【0062】
図4は、図3に示す撮像装置45の画像データ49を示す図である。
図4に示すように、撮像装置45によって、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34の形状が正確に撮像される。そして、撮像装置45で検出された半導体デバイスウェーハ30の溝35の形状に基づいて、ブレード成形用といし40(図2参照)による回転ブレード17(図2参照)の先端形状の修正が行われる。
【0063】
このような構成により、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34のトリミング状況が常に正確に把握される。よって、回転ブレード17の先端形状が常に好適な状態になるよう、ブレード成形用といし40で回転ブレード17の先端形状を正確に修正することができる。
【0064】
例えば、撮像装置45により、トリミング工程における半導体デバイスウェーハ30の溝35の平均深さD、即ちトリミング面36の平均深さD、を連続して正確に検出することができる。これにより、製造装置1は、正確な平均深さDの溝35を形成することができる。
【0065】
また、撮像装置45により、溝35のトリミング面36の傾き、即ち傾斜角度A、を正確に検出することができる。これにより、トリミング面36の傾斜角度Aが、下限傾斜角度A1よりも小さい場合または上限傾斜角度A2よりも大きい場合には、回転ブレード17の、先端形状、即ち外周といし面18(図2参照)、の傾きを修正することができる。
【0066】
具体的には、図2を参照して、傾き調整機構41でブレード成形用といし40の支持角度を調整し、ブレード成形用といし40で回転ブレード17の先端形状をトリミングして好適な傾きに修正することができる。
【0067】
そして、図4を参照して、トリミング面36の傾斜角度Aを、下限傾斜角度A1よりも大きく上限傾斜角度A2よりも小さい好適な角度として、半導体デバイスウェーハ30のトリミング工程を進めることができる。
【0068】
このように、撮像装置45で検出されたトリミング面36の形状情報に基づいて回転ブレード17の先端形状を常に好適な傾斜角度Aに維持して、高精度なトリミング加工を連続して効率良く行うことができる。そして、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34に、好適な角度で傾斜するトリミング面36を形成することができる。
【0069】
次に、図5から図7を参照して、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法について詳細に説明する。
図5は、半導体装置の製造方法を示す図であり、図5(a)は、チャッキング工程で半導体デバイスウェーハ30が準備される状態、図5(b)は、エッジトリミング工程でトリミングが行われている状態、図5(c)は、エッジトリミング工程が完了した状態、図5(d)は、薄層化工程で薄層化が行われた状態を示す図である。
【0070】
図5(a)を参照して、半導体デバイスウェーハ30は、半導体デバイス層31が形成されたシリコンウェーハであり、その大きさは、例えば、直径300mm、厚さ775μmである。
【0071】
チャッキング工程では、半導体デバイスウェーハ30のデバイス面32には、WSSの方式により、シリコーン系樹脂から形成される貼り合わせ樹脂層12を介してシリコン系若しくはガラス系のサポートウェーハである支持基板13が張り合わされる。貼り合わせ樹脂層12の厚みは、例えば、40μmであり、支持基板13の厚みは、例えば、750μmである。
【0072】
次いで、図5(b)に示すように、半導体デバイスウェーハ30は、デバイス面32を下にして、貼り合わせ樹脂層12及び支持基板13を介して真空チャック11に保持される。
【0073】
そして、超音波トリミングテーブル23(図1参照)において、エッジトリミング工程が実行される。エッジトリミング工程では、半導体デバイスウェーハ30は真空チャック11によって水平回転し、同じく水平回転する超音波が印加された回転ブレード17の外周といし面18が半導体デバイスウェーハ30の外周端部34に押し当てられる。これにより、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34がトリミングされ溝35が形成される。
【0074】
なお、回転ブレード17によって、外周端部34と共に貼り合わせ樹脂層12の上部が研削されても良い。これにより、半導体デバイスウェーハ30のチッピングを抑制する効果を高めることができる。
【0075】
ここで、回転ブレード17は、例えば、直径100mm、外周といし面18は、例えば、厚さ0.15mmである。回転ブレード17のダイヤモンドといしの粒度は、♯240から♯8000が好ましく、更に好ましくは、♯1000から♯3000、最も好ましくは、♯2000である。
【0076】
また、エッジトリミング工程における回転ブレード17の回転数は、8000から12000min-1が好ましく、半導体デバイスウェーハ30の回転数は、250から350min-1が好ましく、縦型スピンドル15の水平移動速度は、0.3から0.7mm/minが好ましい。
【0077】
例えば、回転ブレード17の回転数を10000min-1、半導体デバイスウェーハ30の回転数を300min-1、縦型スピンドル15の水平移動速度を0.5mm/minとして3分間トリミングが行われ、外周端部34から平均深さD(図4参照)が1.5mmとなるまでトリミング面36の加工が行われる。前記条件のトリミングにより表面粗さ15から20nm(Ra)の半導体デバイスウェーハ30が得られる。
【0078】
前述のとおり、エッジトリミング工程では、超音波を印加した縦型スピンドル15により回転ブレード17を水平回転させるので、従来技術のカップホイール型のダイヤモンド研削といし等によるトリミングに比べて、高速度且つ高精度なトリミングが行われる。また、水平回転する回転ブレード17に超音波が印加されることにより、回転ブレード17の摩耗が少なくなり、トリミングされた外周端部34近傍の崩れを抑えることができる。
【0079】
ここで、超音波振動装置16から縦型スピンドル15に印加される超音波の周波数は、例えば、16から1000kHzである。これにより、半導体デバイスウェーハ30に好適なトリミング性能が得られる。
【0080】
また、半導体デバイスウェーハ30は、デバイス面32を下にして真空チャック11に保持された状態で、水平回転する超音波が印加された回転ブレード17でトリミングされるので、デバイス面32が汚染されない。これにより、精密洗浄が不要となり半導体装置の低コスト化が実現する。また、デバイス面32の表面に形成された金属膜や絶縁膜等の各種被膜に影響されることなく半導体デバイスウェーハ30の外周端部34をトリミングすることができる。
【0081】
エッジトリミング工程により、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34には溝35が形成され、溝35の内部にトリミング面36が形成される。具体的には、回転ブレード17の外周といし面18近傍は、半導体デバイスウェーハ30よりも薄い。そのため、図5(c)に示すように、トリミング面36は外周端部34から凹み、外周端部34には半導体デバイスウェーハ30の回転方向に延在する円周状の凹部である溝35が形成される。
【0082】
エッジトリミング工程により半導体デバイスウェーハ30の外周端部34に溝35が形成されることにより、半導体デバイスウェーハ30の裏面33の汚染も少なくすることができる。よって、次の薄層化工程において、精密な薄層化加工が可能となる。
【0083】
エッジトリミング工程において、撮像装置45(図3参照)によって、半導体デバイスウェーハ30のトリミングされた溝35の形状に対して平行光が投射され、平行光の影の形状が解析され、溝35の形状が正確に検出される。これにより、半導体デバイスウェーハ30のトリミングされた溝35の形状を効率良く高精度に検出することができる。
【0084】
そして、トリミングされた溝35の形状が撮像装置45で検出されたら、その画像データ49(図4参照)において溝35の形状が規定値内となるよう、回転ブレード17の先端形状がブレード成形用といし40で修正される。これにより、連続した効率的なトリミング加工により、高精度で正確なトリミング形状が得られる。よって、高精度で安定した形状及び面性状の溝35を高効率に加工することができる。
【0085】
エッジトリミング工程が実行された後、粗研削テーブル25(図1参照)及び仕上げ研削テーブル27(図1参照)において、順次、薄層化工程が実行される。薄層化工程では、図示しないカップといしによって、半導体デバイスウェーハ30は、一主面である裏面33が研削されて、図3(d)に示すように、薄層化される。
【0086】
薄層化工程で用いられるカップといしは、例えば、粒度♯240から♯8000のダイヤモンド砥粒を使用したカップホイール型といしである。粗研削では、カップといしの砥粒を大きく、回転数を低くし、仕上げ研削では、カップといしの砥粒を小さく、回転数を高くして研削が行われても良い。
【0087】
エッジトリミング工程の後に薄層化工程が実行されることにより、厚さばらつきのない薄層化が可能となり、高平坦に薄層化された半導体デバイスウェーハ30が得られる。また、チャック機構として、貼り合わせ樹脂層12を介した支持基板13の貼り付けによって、デバイス面32を保持する構成を利用することができるので、薄層化工程において、半導体デバイスウェーハ30の厚さばらつきが生じない。また、支持基板13によってデバイス面32が保護されているため、デバイス面32の汚染やごみ付着の問題がない。
【0088】
図6は、半導体デバイスウェーハ30のトリミング面36の近傍を示す図であり、図6(a)は、エッジトリミング工程が完了した状態、図6(b)は、薄層化工程で薄層化が行われた状態を示す図である。
【0089】
図6(a)及び図6(b)に示すように、外周端部34に形成される溝35のトリミング面36は、上部の径が下部の径よりも小さい略円錐台状に形成されても良い。具体的には、デバイス面32と傾斜したトリミング面36とのなす角は、70から90度、好ましくは約80度である。このように上部の径が小さくなるよう傾斜したトリミング面36が形成されることにより、半導体デバイスウェーハ30のチッピングを更に減らすことができる。
【0090】
前述のとおり、エッジトリミング工程においては、撮像装置45(図3参照)で得られる溝35形状の正確なデータに基づき、ブレード成形用といし40(図2参照)の支持角度が調整され回転ブレード17(図2参照)の先端形状が修正される。これにより、回転ブレード17の先端形状が常に好適な傾斜状態に維持され、高精度なトリミング加工が連続して効率良く行われる。つまり、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34に、好適な角度で傾斜するトリミング面36が形成される。
【0091】
図7は、半導体装置の製造方法の他の例を示す図であり、図7(a)は、チャッキング工程で半導体デバイスウェーハ30が準備される状態、図7(b)は、エッジトリミング工程でトリミングが行われている状態、図7(c)は、エッジトリミング工程が完了した状態、図7(d)は、薄層化工程で薄層化が行われた状態を示す図である。なお、既に説明した実施形態と同一若しくは同様の作用、効果を奏する構成要素については、同一の符号を付している。
【0092】
図7(a)を参照して、チャッキング工程では、半導体デバイスウェーハ30のデバイス面32は、BGテープである保護テープ14が貼り付けられる。保護テープ14としては、例えば、リンテック株式会社製のUVテープE8180、厚さ180μmが使用される。
【0093】
そして、図7(b)に示すように、半導体デバイスウェーハ30は、デバイス面32を下にして、保護テープ14を介して真空チャック11に保持される。
次いで、エッジトリミング工程では、半導体デバイスウェーハ30は、超音波が印加され水平回転する回転ブレード17によってトリミングされ、外周端部34には、図7(c)に示すように、トリミング面36を有する溝35が形成される。
【0094】
エッジトリミング工程が実行された後には、裏面33を研削する薄層化工程が実行され、図7(d)に示すように、高平坦に薄層化された厚さばらつきの少ない半導体デバイスウェーハ30が得られる。
【0095】
以上説明の如く、本実施形態に係る製造方法によれば、チャッキング工程が実行された後に、半導体デバイスウェーハ30の外周端部34に溝35を形成するエッジトリミング工程が行われる。そして、エッジトリミング工程の後に、半導体デバイスウェーハ30を薄層化する薄層化工程が実行される。
【0096】
このような工程により、半導体デバイスウェーハ30のデバイス面32の表面に形成された金属膜や絶縁膜等の各種被膜に影響されることなく半導体デバイスウェーハ30の外周端部34をトリミングすることができる。エッジトリミング工程では、回転ブレード17は、超音波を印加した縦型スピンドル15によって水平回転するので、高速度且つ高精度なトリミングが可能である。
【0097】
そして、エッジトリミング工程において、水平回転している回転ブレード17の先端形状は、ブレード成形用といし40で好適な形状に修正される。これにより、半導体デバイスウェーハ30には安定したトリミング形状とトリム面性状が得られ、高機能な半導体デバイスウェーハ30を高歩留まりで加工することができる。即ち、従来技術では得られない優れた生産性が得られる。例えば、厚さ20μm以下の極薄化された半導体デバイスウェーハ30を高歩留まりに量産することができる。
【0098】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 製造装置
10 エッジトリミング装置
11 真空チャック
12 貼り合わせ樹脂層
13 支持基板
14 保護テープ
15 縦型スピンドル
16 超音波振動装置
17 回転ブレード
18 外周といし面
19 軸受
20 90度割り出しテーブル
21 搬送ロボット
22 スタンバイテーブル
23 超音波トリミングテーブル
25 粗研削テーブル
26 粗研削ヘッド
27 仕上げ研削テーブル
28 仕上げ研削ヘッド
29 洗浄ユニット
30 半導体デバイスウェーハ
31 半導体デバイス層
32 デバイス面
33 裏面
34 外周端部
35 溝
36 トリミング面
40 ブレード成形用といし
41 傾き調整機構
42 支持軸
45 撮像装置
46 光源
47 受光素子
48 画像解析装置
49 画像データ
A 傾斜角度
A1 下限傾斜角度
A2 下限傾斜角度
D 平均深さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7