(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139271
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】保持具および包装済物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65B 53/02 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
B65B53/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039569
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽田 繁
(72)【発明者】
【氏名】竹柴 寿夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 康裕
(57)【要約】
【課題】長手状で自立しない対象物に対して包装材を容易に装着することができる保持具および包装済物品の製造方法を提供する。
【解決手段】保持具101は、第1端1aおよび第2端1bを有し、第2端1bから第1端1aに向かう向きに、長手状の対象物を案内して、筒状部分を有する包装材を前記対象物に被せるための保持具であって、第2端1bから第1端1aまで長手状に延在し、前記対象物を載せて案内するための平坦な底面2と、底面2の幅方向の両端からそれぞれ立ち上がり、前記対象物を案内する側面3a,3bとを備える。第1端1aから近い部分においては、側面3a,3bの上端の高さが第1端1aに近づくにつれて徐々に低くなっているテーパ部が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端および第2端を有し、前記第2端から前記第1端に向かう向きに、長手状の対象物を案内して、筒状部分を有する包装材を前記対象物に被せるための保持具であって、
前記第2端から前記第1端まで長手状に延在し、前記対象物を載せて案内するための平坦な底面と、
前記底面の幅方向の両端からそれぞれ立ち上がり、前記対象物を案内する側面とを備え、
前記第1端から近い部分においては、前記側面の上端の高さが前記第1端に近づくにつれて徐々に低くなっているテーパ部が設けられている、保持具。
【請求項2】
前記第2端から近い部分においては、前記側面の上端から幅方向に広がるように連なる斜面をさらに備える、請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記包装材が前記保持具の前記第1端から被せられて前記第2端に向かって進行する際に、前記包装材の前記第2端に最も近い端が当接することによって、前記包装材の前記保持具に対する一定以上の相対的な移動が抑制されるように、前記側面から外側に向かって突出するストッパ部を備える、請求項1または2に記載の保持具。
【請求項4】
前記テーパ部の前記第2端に近い側の端と前記ストッパ部との間に、前記側面の上端の高さが一定であるストレート部を含む、請求項3に記載の保持具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の保持具に前記対象物を設置する工程と、
前記包装材を供給して、前記包装材を前記第1端から前記第2端に向かって相対的に進行させることによって、前記筒状部分を少なくとも前記テーパ部に被せる工程と、
前記保持具に設置された前記対象物を前記底面に沿って前記第1端に向けて移動させることによって、前記対象物を前記包装材の前記筒状部分の内部に挿入する工程と、
前記対象物に前記包装材が被さった状態で、前記対象物および前記包装材を前記第1端から前記保持具の外へ押し出す工程とを含む、包装済物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持具および包装済物品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品を包装する方法のひとつとして、シュリンクフィルムすなわち熱収縮性フィルムを用いる方法が知られている。筒状の熱収縮性フィルムを容器の外周に装着する方法が、特開平9-58627号公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
台紙に筒状のシュリンクフィルムが固着されたものに対して物品を挿入するための、物品挿入ユニットなるものが、特開2012-232751号公報(特許文献2)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-58627号公報
【特許文献2】特開2012-232751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シュリンクフィルムによる包装対象としては、さまざまな物品が考えられる。たとえば歯ブラシをシュリンクフィルムで包装することが考えられる。歯ブラシの場合、長手状であって、かつ、自立しないので、ボトルのように立てておいて上から筒状のシュリンクフィルムを被せるという方法は採用することができない。しかも、歯ブラシの種類によって、歯ブラシの形状は少しずつ異なる。異なる種類の歯ブラシに対しても容易に対応できることが求められる。
【0006】
包装材としての筒状のシュリンクフィルムを対象物に装着しようとする場合、装着直前の時点において包装材の中心と対象物の中心とを合わせることが求められる。これは、歯ブラシに限らず、長手状で自立しない対象物の全般に関してあてはまることである。
【0007】
そこで、本発明は、長手状で自立しない対象物に対して包装材を容易に装着することができる保持具および包装済物品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に基づく保持具は、第1端および第2端を有し、上記第2端から上記第1端に向かう向きに、長手状の対象物を案内して、筒状部分を有する包装材を上記対象物に被せるための保持具であって、上記第2端から上記第1端まで長手状に延在し、上記対象物を載せて案内するための平坦な底面と、上記底面の幅方向の両端からそれぞれ立ち上がり、上記対象物を案内する側面とを備える。上記第1端から近い部分においては、上記側面の上端の高さが上記第1端に近づくにつれて徐々に低くなっているテーパ部が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保持部の溝状部に対象物を容易に安定して保持することができるので、対象物は確実に包装材の内側に挿入され、したがって、長手状で自立しない対象物に対して包装材を容易に装着することができる保持具を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に基づく実施の形態1における保持具の平面図である。
【
図2】本発明に基づく実施の形態1における保持具の側面図である。
【
図3】
図2におけるIII-III線に関する矢視断面図である。
【
図4】
図2におけるIV-IV線に関する矢視断面図である。
【
図5】本発明に基づく実施の形態1における保持具によって扱う対象物の側面図である。
【
図6】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法のフローチャートである。
【
図7】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第1の工程を行なった直後の状態の平面図である。
【
図8】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第1の工程を行なった直後の状態の側面図である。
【
図9】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第1の工程を行なった直後の状態の正面図である。
【
図10】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第2の工程を開始した時点での様子の平面図である。
【
図11】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第2の工程を開始した時点での様子の側面図である。
【
図12】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第2の工程を終了した時点での様子の平面図である。
【
図13】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第2の工程を終了した時点での様子の側面図である。
【
図14】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第3の工程の途中の時点での様子の平面図である。
【
図15】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第3の工程を終了した時点での様子の平面図である。
【
図16】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第4の工程の途中の時点での様子の平面図である。
【
図17】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第4の工程を終了した時点での様子の平面図である。
【
図18】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第4の工程までを行なったことによって得られるものの平面図である。
【
図19】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の第4の工程までを行なって、さらに包装材を熱によって収縮させた後に得られるものの平面図である。
【
図20】本発明に基づく実施の形態1における包装済物品の製造方法の一部の工程で用いる機構の変形例を示す説明図である。
【
図21】本発明に基づく実施の形態2における保持具の平面図である。
【
図22】本発明に基づく実施の形態2における保持具の側面図である。
【
図23】本発明に基づく実施の形態3における製造ラインの平面図である。
【
図24】本発明に基づく実施の形態4における保持具の平面図である。
【
図25】
図24におけるXXV-XXV線に関する矢視断面図である。
【
図26】本発明に基づく実施の形態4における保持具で、プッシャが対象物および包装材を押す様子の説明図である。
【
図28】参考技術における保持具の第1の側面図である。
【
図30】参考技術における保持具の第2の側面図である。
【
図31】
図27におけるXXXI-XXXI線に関する矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
(構成)
図1~
図5を参照して、本発明に基づく実施の形態1における保持具について説明する。本実施の形態における保持具101の平面図を
図1に示す。保持具101の側面図を
図2に示す。
図2におけるIII-III線に関する矢視断面図を
図3に示す。
図2におけるIV-IV線に関する矢視断面図を
図4に示す。保持具101によって扱う対象物5を
図5に示す。本実施の形態においては、対象物5は、歯ブラシである。これは、あくまで一例であり、対象物5は、歯ブラシ以外の物品であってもよい。
【0012】
図1に示すように、保持具101は、第1端1aおよび第2端1bを有する。保持具101は、第2端1bから第1端1aに向かう向きに、長手状の対象物5を案内して、筒状部分を有する包装材を対象物5に被せるための保持具である。保持具101は、第1端1aから第2端1bまで長手状に延在し、対象物5を載せて案内するための平坦な底面2と、底面2の幅方向の両端からそれぞれ立ち上がり、対象物5を案内する側面3a,3bとを備える。第1端1aから近い部分においては、側面3a,3bの上端の高さが第1端1aに近づくにつれて徐々に低くなっているテーパ部12が設けられている。
【0013】
図2に示すように、テーパ部12に隣接するようにストレート部13が設けられている。ストレート部13においては、側面3a,3bの上端の高さは一定となっている。
【0014】
包装材は、保持具101に対して、保持具101の第1端1aの側から被せられる。保持具101のストレート部13よりも第2端1b側には、側面3a,3bの上端から幅方向に広がるように連なる斜面4a,4bが設けられている。斜面4a,4bをなすように張り出した部分の最も第1端1aに近い端は、ストッパ部14となっている。ストッパ部14は、包装材の端が当接して止まるためのものである。
【0015】
図5に示すように、対象物5は、柄5aと、ヘッド5bと、カバー5cとを備える。カバー5cは、ヘッド5bに被せられている。カバー5cは着脱可能である。
【0016】
(作用・効果)
本実施の形態では、保持具101には、テーパ部12が設けられているので、包装材を保持具101に容易に被せることができる。保持具101は、底面2および2つの側面3a,3bに挟まれた溝状部を有するので、この溝状部に対象物5を容易に安定して保持することができる。対象物5は、底面2および側面3a,3bに案内されて第1端1aの方へと誘導されるので、対象物5は確実に包装材の内側に挿入される。
【0017】
こうして、本実施の形態では、長手状で自立しない対象物に対して包装材を容易に装着することができる保持具を実現することができる。この保持具を用いた作業手順については、後述する。
【0018】
本実施の形態で示したように、第2端1bから近い部分においては、側面3a,3bの上端から幅方向に広がるように連なる斜面4a,4bをさらに備えることが好ましい。この構成を採用することにより、対象物を上方から側面3a,3bの間へ挿入しやすくなる。
【0019】
本実施の形態で示したように、包装材が保持具101の第1端1aから被せられて第2端1bに向かって進行する際に、前記包装材の第2端1bに最も近い端が当接することによって、前記包装材の保持具101に対する一定以上の相対的な移動が抑制されるように、側面3a,3bから外側に向かって突出するストッパ部14を備えることが好ましい。このようなストッパ部14を備えることによって、包装材を保持具101に被せる際に、包装材が第2端1bに向かって必要以上に進みすぎることを防止することができる。本実施の形態では、斜面4a,4bをなすように張り出した部分の端がストッパ部14を兼ねているが、斜面4a,4bとは別に、何らかの突起を、側面3a,3bから外側に向かって突出するように設けておいてこの突起をストッパ部としてもよい。
【0020】
本実施の形態で示したように、テーパ部12の第2端1bに近い側の端とストッパ部14との間に、側面3a,3bの上端の高さが一定であるストレート部13を含むことが好ましい。ストレート部13の存在は必須ではないが、このようにストレート部13を設けておくことによって、保持具101に包装材を被せた際に、包装材の姿勢を安定させることができる。
【0021】
図2においては、第2端1b近傍において保持具101の側壁に円形の開口部が設けられている。このような開口部は、あってもなくてもよい。
【0022】
(包装済物品の製造方法)
保持具101を用いて行なう包装材の装着方法は、結果物として、包装済物品を得るものであるので、包装済物品の製造方法として把握することができる。本実施の形態における包装済物品の製造方法について、説明する。この製造方法のフローチャートを
図6に示す。
【0023】
本実施の形態における包装済物品の製造方法は、上述の保持具に前記対象物を設置する工程S1と、前記包装材を供給して、前記包装材を前記第1端から前記第2端に向かって相対的に進行させることによって、前記筒状部分を少なくとも前記テーパ部に被せる工程S2と、前記保持具に設置された前記対象物を前記底面に沿って前記第1端に向けて移動させることによって、前記対象物を前記包装材の前記筒状部分の内部に挿入する工程S3と、前記対象物に前記包装材が被さった状態で、前記対象物および前記包装材を前記第1端から前記保持具の外へ押し出す工程S4とを含む。
【0024】
この製造方法の各工程について、図面を参照しつつ、以下に説明する。
まず、工程S1として、保持具101に対象物5を設置する。ここでは、保持具101の側面3a,3bの間に向かって上方から対象物5を挿入すればよい。この作業は、手作業で行なってもよく、機械で自動的に行なってもよい。工程S1を行なった直後の状態の平面図、側面図、正面図を、
図7、
図8、
図9にそれぞれ示す。対象物5は、底面2に横たわっている。
【0025】
次に、工程S2について、
図10~
図13を参照して説明する。
図10に示すように、包装材6を供給する。
図10は工程S2を開始した時点での様子の平面図である。
図11は、
図10に対応する側面図である。包装材6を第1端1aから第2端1bに向かって相対的に進行させる。包装材6は、筒状部分を有する。包装材6の全体が筒状であってもよい。包装材6の一部のみが筒状であってもよい。
図10に示す包装材6は、保持具101に近い側の端6dおよび保持具101から遠い側の端6eを有する。端6dは開放されている。端6eは、開放されていてもよく、閉鎖されていてもよい。端6eが閉鎖されている場合には、包装材6は袋状であるといえる。ここでは、端6eは閉鎖されているものとして、説明を続ける。
【0026】
図10および
図11に示すように、包装材6を第1端1aから第2端1bに向かって相対的に進行させることによって、
図12および
図13に示すように、筒状部分を少なくともテーパ部12に被せる。筒状部分は、テーパ部12に被せるだけでなく、ストレート部13にも被さってよい。包装材6を第2端1bに向かって進行させる際には、筒状部分の端がストッパ部14に当接するまで包装材6を進行させてよい。ここでは、包装材6は不透明であるものとして図示しているが、包装材6は透明なものであってもよい。
【0027】
図12は、工程S2を終了した時点での様子の平面図である。
図13は、
図12に対応する側面図である。
図13に示すように、包装材6は、テーパ部12だけでなくストレート部13にも被さっている。包装材6の端6dは、ストッパ部14に当接しているので、包装材6は、これ以上は第2端1bに向かって進行しない。
図12および
図13に示すように、第1端1aが包装材6の内部に収まっている。すなわち、テーパ部12とストレート部13とを合わせた長さよりも包装材6の筒状部の長さの方が長い。ここで示す例では、ストレート部13があることによって、包装材6は安定して保持される。
【0028】
工程S3として、保持具101に設置された対象物5を底面2に沿って第1端1aに向けて移動させることによって、対象物5を包装材6の筒状部分の内部に挿入する。工程S3の途中の時点での様子を
図14に示す。ここでは、プッシャ7によって対象物5を押している。対象物5は、プッシャ7に押されることによって包装材6の筒状部分の内部へと挿入されている。工程S3を終えた時点での様子を
図15に示す。ここで示す例では、対象物5の全体が包装材6の内部に収まっている。これはあくまで一例である。たとえば対象物5の一部のみを包装すべきである場合には、対象物5の一部のみを包装材6の内部に収めた時点で工程S3を終了することもありうる。
【0029】
工程S4として、
図16に示すように、対象物5に包装材6が被さった状態で、対象物5および包装材6を第1端1aから保持具101の外へ押し出す。ここでも、プッシャ7が用いられる。工程S4を終えた時点では、
図17に示すようになる。この時点で、
図18に示すようなものが得られる。ここで終了してもよいが、さらにシュリンクさせてもよい。すなわち、熱風を吹き付けることによって、包装材6を収縮させてもよい。包装材6を収縮させた場合、
図19に示すように、包装材6が対象物5に密着したものが得られる。
図19に示されるものは、この製造方法によって得られる包装済物品である。
【0030】
ここでは、工程S3,S4を行なう際に、保持具101の長手方向に沿って延在する棒状のプッシャ7を用いたが、これはあくまで一例である。押すための手段は、このような形態の部材に限られない。たとえば
図20に示すようなプッシャ8も考えられる。プッシャ8は、保持具101の長手方向に垂直な方向に延在する棒状の部分を含む部材である。プッシャ8の棒状の部分は、保持具101の上側から下に向かって突出しており、保持具101に収まっている対象物5を第1端1aに向かって押すことができる。
【0031】
(実施の形態2)
(構成)
図21~
図22を参照して、本発明に基づく実施の形態2における保持具について説明する。本実施の形態における保持具102の平面図を
図21に示す。保持具102の側面図を
図22に示す。保持具102の基本的な構成は、実施の形態1で説明した保持具101と同様である。
【0032】
図21に示すように、保持具102は、第1端1aに近いところに尖鋭部15を備える。上から見たとき、尖鋭部15においては、片側を斜めにそぎ落としたような形状となっている。尖鋭部15においては、底面2は、先端に向かうにつれて細くなっている。
【0033】
(作用・効果)
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施の形態における保持具102では、尖鋭部15を備えるので、テーパ部12が包装材6の筒状部分の内側に入り込みやすく、その結果、包装材6を被せる作業を円滑に行なうことができる。
【0034】
なお、本実施の形態で示した保持具102では、上から見たとき、尖鋭部15は、片側から斜めにそぎ落としたような形状となっているが、両方の側から斜めにそぎ落としたような形状となっていてもよい。
【0035】
(実施の形態3)
(構成)
図23を参照して、保持具102が用いられる製造ラインについて説明する。保持具102は、実施の形態2で説明したものである。
図23は、製造ラインの平面図である。
【0036】
コンベア21に複数の保持具102が保持されてエンドレス状に搬送されている。保持具は「バケット」とも呼ばれる。コンベア21の経路の途中に向かって側方から対向するように包装材供給装置23が配置されている。包装材供給装置23は、包装材6となるべき筒状のフィルム材料のロールを保持し、このロールからフィルム材料を送り出して一定長さごとに切断する。さらに、包装材供給装置23は、切断済みのフィルム材料の一端を封止することによって袋状にする機能を備えていてもよい。ここでは、包装材6は、一端が閉じられた袋状のものであるものとして説明を続ける。
【0037】
包装材供給装置23からコンベア21に向かって、包装材6が供給される。包装材供給装置23から出た包装材6を保持具102に向かって搬送する機構は図示省略されている。包装材6は、保持具102の先端に被せられる。包装材6を保持具102に被せるための機構としては、公知技術を採用することができる。
【0038】
保持具102は、コンベア21によって矢印93の向きに搬送される。矢印93の向きに移動しつつ、包装材6は、保持具102の先端に被せられる。その後、対象物5は図中上向きに押されて、包装材6の内側に挿入される。
図23においては、対象物5を押すためのプッシャは図示省略されている。プッシャとしては、これまでに説明したようなプッシャ7,8のような機構を用いることができる。プッシャ8は、たとえば、一定のベルトによってエンドレス状に走行されるものであってもよい。複数のプッシャ8が等間隔に配置されたエンドレス状のベルト(図示せず)を用意して、このベルトをコンベア21の進行方向に対して斜めに交差するように走行させれば、プッシャ8が徐々に前進して対象物5を押し進めるようにすることが可能である。
【0039】
コンベア21と平行してコンベア22が配置されている。コンベア22は、矢印95のように折り返してエンドレス状に送られている。図示しないプッシャによって保持具102から完全に押し出された対象物5および包装材6は、コンベア22の上に載る。こうして、対象物5および包装材6は、コンベア22によって矢印96の向きに搬送される。加熱装置24を通過する。加熱装置24は、シュリンクトンネルとも呼ばれる装置である。加熱装置24の内部では、包装材6に対する熱風の吹き付けが行なわれる。
【0040】
なお、コンベア22が加熱装置24に進入する前の、コンベア22の経路の途中の位置に、対象物5および包装材6の位置を整えるためのポジショナと呼ばれる装置(図示せず)が設けられていてもよい。ポジショナが設置されている場合には、ポジショナによってコンベア22の幅方向に関する対象物5および包装材6の位置が調整される。
【0041】
一方、対象物5および包装材6を排出して空になった保持具102は、さらにコンベア21によって搬送される。コンベア21は矢印94のように折り返す。
【0042】
(作用・効果)
本実施の形態では、保持具102を用いて効率良く作業を進めることができる。これにより、包装済物品を効率良く製造することができる。
【0043】
なお、
図23に示した例では、保持具102の先端の尖鋭部15(
図21参照)は、コンベア21の進行方向の後ろ側が斜めにそぎ落とされたような形状となっている。尖鋭部15として、片側を斜めにそぎ落としたような形状とする場合には、コンベア21の進行方向前側よりも後ろ側を斜めにそぎ落とされたような形状とすることが好ましい。こうすることによって、包装材6を保持具102に被せやすくなる。
【0044】
(実施の形態4)
(構成)
図24~
図26を参照して、本発明に基づく実施の形態4における保持具について説明する。本実施の形態における保持具103の平面図を
図24に示す。
図24におけるXXV-XXV線に関する矢視断面図を
図25に示す。保持具103の基本的な構成は、実施の形態1で説明した保持具101と同様である。
【0045】
保持具103は、底面2の中央にスリット16を有する。スリット16は、底面2の長手形状に沿って設けられている。
【0046】
保持具103においては、
図26に示すようなプッシャ9を用いることができる。
図26においては、保持具103は図示省略されている。プッシャ9は、上下方向に延在する棒状の部材である。プッシャ9は、スリット16を通って保持具103より下側にまで延在している。プッシャ9は、対象物5および包装材6を一括して矢印92の向きに押すことができる。
【0047】
(作用・効果)
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施の形態における保持具103においては、スリット16が設けられているので、プッシャ9を採用することができる。プッシャ9を用いることとすれば、包装材6の端6dのうち対象物5より上側にある部分と下側にある部分との両方を確実に押すことができるので、好ましい。
【0048】
なお、ここまでの各実施の形態で説明した保持具は、金属製であってよい。保持具は、たとえば金属板を折り曲げて作成されたものであってよい。
【0049】
なお、上記実施の形態のうち複数を適宜組み合わせて採用してもよい。
(参考技術)
以下では、
図27~
図31を参照して、参考技術について説明する。参考技術における保持具201の平面図を
図27に示す。保持具201の側面図を
図28に示す。保持具201の下面図を
図29に示す。
図27における左側から見たところを
図30に示す。
図27におけるXXXI-XXXI線に関する矢視断面図を
図31に示す。保持具201は、
図30に示されるように、第1部材251、第2部材252および第3部材253を重ね合わせてボルト261で固定した構造を備える。
【0050】
図28おいて破線で示されているように、第1部材251は、浅い溝を有する。この溝は、
図27および
図28に示すように、底面2および側面3a,3bを有する。この溝は、対象物5を載せて誘導するためのものである。第1部材251の溝の
図28における左端の面と、第2部材251の側面とが同一平面上に連なることによって、
図28に示すように、壁面252aが形成されている。第3部材253は、張出部253aを備えている。
図27および
図28に示されるように、張出部253aは、壁面252aより張り出している。
【0051】
第3部材253は第1部材251および第2部材252に比べて薄い部材となっている。第3部材253はU字形状を有している。第3部材253に囲まれた部分は、スリットとなっている。
図27においては、第3部材253に形成されたスリットを通じて対象物5の全体が見えている。
図27では、対象物5のさらに奥に底面2も見えている。対象物5は、
図27における紙面手前側から奥側に向けて、第3部材253に形成されたスリットを通じて挿入されることによって、保持具201に搭載される。
【0052】
第3部材253に対しては、複数のボルト262によって第4部材254が固定されている。ここで示す例では、4本のポルト262が用いられている。第1部材251に対しては、複数のボルト263によって第5部材255が固定されている。ここで示す例では、4本のポルト263が用いられている。第4部材254および第5部材255は、薄い金属板によって形成されており、容易に弾性変形可能である。第4部材254は、先端部254aと、根元部254bとを備える。第5部材255は、先端部255aと、根元部255bとを備える。先端部254a,254bは、
図27および
図29に示すように先端にいくにつれて幅が狭くなっていることが好ましい。ボルト262は、第4部材254の根元部254bを固定している。ボルト263は、第5部材255の根元部255bを固定している。第4部材254と第5部材255とは平行ではなく、先端部254a,255aに近づくにつれて互いの間隔が狭くなるように配置されている。先端部254a,255aは、互いに接触していてもよいが、ここで示す例では互いにわずかに離隔している。
【0053】
図28および
図31に示されるように、第1部材251と第3部材253との間には、スリット271が形成されている。
図28においては、スリット271を通じて対象物5の大部分が見えている。スリット271に棒状の部材を挿入して
図28における右側に移動させることによって、保持具201に搭載された対象物5を、
図28における右側に押し出すことができる。
【0054】
参考技術に基づく保持具201は、以下のように用いることができる。まず、第1の工程として、第3部材253のスリットを通じて、保持具201に対象物5を搭載する。対象物5は、第1部材251に設けられた溝の底面2に載置される。対象物5は、側面3a,3bによって誘導されると共に、第3部材253によっても拘束されているので、溝からずれることはない。
【0055】
第2の工程として、先端部254a,255aを、筒状または袋状の包装材6に対して相対的に挿入する。包装材6は、第4部材254および第5部材255の大部分を覆うように被せられる。第1の工程と第2の工程とは、いずれを先に行なってもよく、同時に行なってもよい。
【0056】
第3の工程として、スリット271を通じて棒状の部材を挿入して、対象物5を
図28における右側に押し出す。対象物5は、ある程度進行した後に第4部材254および第5部材255に接触するが、第4部材254および第5部材255を押し広げる。第4部材254および第5部材255は、対象物5によって押し広げられることによって、ほぼ平行な状態になる。この状態で、対象物5は、包装材6の内側に入り込む。引き続き、対象物5の
図28における左端を右に向かって押し続けることによって、対象物5は、保持具201から離脱し、保持具201に包装材6が被さった状態のものが得られる。
【0057】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0058】
1a 第1端、1b 第2端、2 底面、3a,3b 側面、4a,4b 斜面、5 対象物、5a 柄、5b ヘッド、5c カバー、6 包装材、6d,6e 端、7,8,9 プッシャ、12 テーパ部、13 ストレート部、14 ストッパ部、15 尖鋭部、16 スリット、21 (保持具を搬送する)コンベア、22 (包装材が被さった対象物を搬送する)コンベア、23 包装材供給装置、24 加熱装置、91,92,93,94,95,96,97 矢印、101,102,103,201 保持具、251 第1部材、252 第2部材、252a 壁面、253 第3部材、253a 張出部、254 第4部材、254a,255a 先端部、254b,255b 根元部、255 第5部材、261,262,263 ボルト、271 スリット。