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  • 特開-空気浄化装置 図1
  • 特開-空気浄化装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139354
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/014 20060101AFI20220915BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20220915BHJP
   F24F 8/15 20210101ALI20220915BHJP
【FI】
A61L9/014
F24F7/06 A
F24F8/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039687
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】洞田 浩文
(72)【発明者】
【氏名】市原 真希
(72)【発明者】
【氏名】鹿毛 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】並木 哲
【テーマコード(参考)】
3L058
4C180
【Fターム(参考)】
3L058BA01
3L058BD00
3L058BG03
4C180AA02
4C180AA16
4C180BB06
4C180BB08
4C180BB11
4C180CC04
4C180CC15
4C180EA14X
4C180EA26X
4C180EA36X
4C180EB30Y
4C180HH05
(57)【要約】
【課題】室内を漂う不要物質を効率的に低減することを課題とする。
【解決手段】室内を漂う不要物質を低下させる空気浄化装置1であって、室内の空気を循環させる送風機2と、送風機2の吹出口から排出された空気が流通する排気流路3と、建材から発生する不要物質を除去する吸着剤5と、を備え、排気流路3は、少なくとも一部に通気素材を有するカバー4で覆われており、吸着剤5は、カバー4の内部に設置されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気を循環させる送風機と、
前記送風機の吹出口から排出された空気が流通する排気流路と、
建材から発生する不要物質を除去する吸着剤と、を備え、
前記排気流路は、少なくとも一部に通気素材を有するカバーで覆われており、
前記吸着剤は、前記カバーの内部に設置されていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項2】
前記カバーの内部には、前記吸着剤が載置される棚板を複数段備えた台座が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば美術館や博物館のように文化財を収蔵、展示する施設では、コンクリート躯体や内装材から放出される不要物質(アンモニア、ホルムアルデヒド等)が文化財に影響を及ぼさないよう対策を講じる場合がある。
このような対策として、展示ケース内の空気を吸引機によって吸引し、フィルタに通過させることで、空気中に含まれる不要物質を除去する方法が行われている(例えば引用文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-075239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
供用後の室内において不要物質の濃度を低減するためには、建材(コンクリート躯体や内装材など)から放出される不要物質を工事段階から除去、低減させることが好ましい。しかしながら、引用文献1の空気清浄機は、美術品の展示ケースなど閉じられた狭い空間に設置することを想定したものであるため、工事中の室内など仕切等の少ない大きな空間(開放的な空間)では不要物質を効率よく除去できない虞がある。また、室内に外気を導入すると、室内の湿度が高まり、結露が発生する虞がある。
このような観点から、本発明は、室内を漂う不要物質を効率的に低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明の空気浄化装置は、室内の空気を循環させる送風機と、前記送風機の吹出口から排出された空気が流通する排気流路と、建材から発生する不要物質を除去する吸着剤と、を備え、前記排気流路は、少なくとも一部に通気素材を有するカバーで覆われており、前記吸着剤は、前記カバーの内部に設置されていることを特徴とする。
かかる空気浄化装置によれば、送風機から排出された空気をカバーで覆われた排気流路に供給するので、吸着剤を室内に置いただけの場合に比べて、空気に含まれる不要物質と吸着剤との接触効率が高まる。また、室内の空気を循環させる送風機を使用するので、工事中の室内など仕切等の少ない大きな空間でも、効率よく空気を排気流路に供給することができる。
また、建設工事により発生する粉塵で目詰まりが生じ難い素材(不織布やメッシュ材)でカバーを形成すれば、浄化能力(空気の循環量)が低減することを避けながら浄化運転ができる。そのため、工事段階で発生する不要物質を効率的に低減することができる。
【0006】
また、前記カバーの内部には、前記吸着剤が載置される棚板を複数段備えた台座が配置されていることを特徴とする。
かかる空気浄化装置によれば、吸着剤と空気との接触面を立体的に拡大することができるため、より効率的に不要物質を低減することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る空気浄化装置によれば、室内を漂う不要物質を効率的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る空気浄化装置を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係るに使用する台座を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本発明は、下記の実施形態のみに限定されるものではない。
(空気浄化装置)
空気浄化装置1は、例えば美術館や博物館等の室内の不要物質を低減させるための装置である。不要物質とは、例えばアンモニアや、ホルムアルデヒド等である。空気浄化装置1は、図1に示すように送風機2と、排気流路3と、排気流路3を覆うカバー4と、吸着剤5とを備えている。
送風機2は、空気の流れを発生させる装置である。送風機2は、室内の空気を吸引口2bから筒体2aへ取り込み、排気口2cから排出する。ここでは、不図示のモーターと羽根車を組み合わせた送風機を用いるが、これに限定されるものでない。
排気流路3は、送風機2から排出された空気が流れる流路である。また。排気流路3は、カバー4によって覆われている。カバー4は、送風機2の排気口2cに取り付けられる。カバー4は、有底筒状を呈する。送風機2から吹き出た空気は、カバー4によって覆われた排気流路3を通過して外部へと排出される。カバー4は、例えば建設工事により発生する粉塵で目詰まりが生じ難い素材(不織布やメッシュ材)である。本実施形態では、カバー4は、排気口2c側に取り付けられているが、吸引口2b側に取り付けてもよい。
吸着剤5としては例えば、ゼオライト、活性炭、消臭剤等を用いる。吸着剤5は、不要物質の性質に合わせて適宜変更することが好ましい。
図2に示すように、排気流路3には、台座6を配置することが好ましい。本実施形態の台座6は、上下に間隔を空けて配置された複数段の棚板を有し、各棚板上に吸着剤5が載置されている。複数段の棚板は、複数の支柱によって支持されている。棚板は、平板でもよいし、メッシュ材でもよい。なお、台座6は省略してもよい。
【0010】
(評価試験)
室内のアンモニア濃度の低減効果を評価する試験を行った。評価試験は、気温20-22℃、湿度40-55%の条件で行った。また、吸着剤5としては、粒状パルプに硫酸第二鉄を組み合わせガス吸着および分解する材料(日本製紙パリピア株式会社製フレッシュパール)を使用した。
表1に測定結果を示す。表中の実施例は、空気浄化装置1の評価試験の結果である。空気浄化装置1を使用前の室内のアンモニア濃度30ppmであった。1時間経過後に室内のアンモニア濃度は、25ppmに低下し、測定から2時間後には、20ppmまで低下した。
【0011】
【表1】
【0012】
(比較例1)
次に比較例1について説明する。比較例1は、室内に吸着剤を設置せず、送風機2のみを運転した場合の評価結果である。アンモニアの初期濃度が45ppmであったが、それ以外の条件は、評価試験と同様である。
【0013】
表1に示すように室内のアンモニア濃度は、測定開始から45ppmを維持し続け、低下することはなかった。
【0014】
(比較例2)
次に比較例2について説明する。比較例2では、送風機2を使用せず、吸着剤5のみを室内に設置した場合の評価結果である。つまり、空気を循環させずに、アンモニア濃度が低下するかを確認した。それ以外の条件は、評価試験と同様である。
【0015】
表1に示すように、室内のアンモニア濃度は、測定開始から30ppmを維持し続け、低下することはなかった。つまり、空気を循環させずに吸着剤5のみを設置した場合では、室内のアンモニア濃度を低下させることができなかった。
【0016】
(作用効果)
以上説明した本実施形態に係る空気浄化装置1によれば送風機2から排出された不要物質空気をカバー4で覆われた排気流路3に供給するので、吸着剤5を室内に置いただけの場合に比べて、空気に含まれる不要物質と吸着剤5との接触効率が高まる。また、室内の空気を循環させる送風機2を使用するので、工事中の室内など仕切等の少ない大きな空間でも、効率よく空気を排気流路3に供給することができる。そのため、室内を漂う不要物質を効率的に低減することができる。
【0017】
また、カバー4は、建設工事により発生する粉塵で目詰まりが生じ難い素材(不織布やメッシュ材)で形成すれば、浄化能力(空気の循環量)が低減することを避けながら浄化運転ができる。そのため、工事段階で発生する不要物質を効率的に低減することができる。
【0018】
また、カバー4の内部には吸着剤5が載置される台座6が配置されているため、空気に含まれる不要物質と吸着剤5との接触面を立体的に拡大することができ、ひいては、より効率的に不要物質を低減することができる。
【0019】
以上、本願発明に係る実施形態について説明した。しかし、本発明は前述の実施形態に限らず各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば台座6の棚板は3段の構成としているが、3段以上でもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 空気浄化装置
2 送風機
3 排気流路
4 カバー
5 吸着剤
6 台座
図1
図2