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特開2022-139370端末間直接通信における無線リソース割当制御モードの選択制御を行うシステム、無線端末装置、車両、制御装置、基地局、方法及びプログラム
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  • 特開-端末間直接通信における無線リソース割当制御モードの選択制御を行うシステム、無線端末装置、車両、制御装置、基地局、方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139370
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】端末間直接通信における無線リソース割当制御モードの選択制御を行うシステム、無線端末装置、車両、制御装置、基地局、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 92/18 20090101AFI20220915BHJP
   H04W 76/14 20180101ALI20220915BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20220915BHJP
   H04W 56/00 20090101ALI20220915BHJP
【FI】
H04W92/18
H04W76/14
H04W72/04
H04W56/00 130
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039713
(22)【出願日】2021-03-11
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】三上 学
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA11
5K067BB21
5K067DD25
5K067EE22
5K067EE25
5K067HH22
5K067HH23
(57)【要約】
【課題】同一グループ内の複数のUEに端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードを適切に選択して、同一グループ内で低遅延かつ高信頼な端末間直接通信を確実に行う。
【解決手段】グループに属する複数のUE20の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、基地局が端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、複数のUEのいずれかが端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能である。基地局10は、グループ内の全UEが基地局10のセルの圏内に位置し且つ基地局10との間で無線接続設定が完了して基地局10との間で同期した同期状態にあるか否かを確認し、グループ内の全UEが基地局10との同期状態にあることを確認した場合、第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む端末間直接通信のリソース制御情報を複数のUEに送信する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信網の基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御モードの選択制御を行うシステムであって、
前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、前記複数の無線端末装置のいずれかの無線端末装置が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能であり、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局のセルの圏内に位置し且つ前記基地局との間で無線接続設定が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む前記端末間直接通信のリソース制御情報を、前記複数の無線端末装置に送信する手段と、
を備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、
前記端末間直接通信のリソース制御情報は、前記グループを識別可能なグループ識別情報又は前記グループに属する複数の無線端末装置それぞれの端末識別情報を含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1又は2のシステムにおいて、
前記グループに属する複数の無線端末装置のいずれか一の無線端末装置は、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、
前記グループに属する複数の無線端末装置の自装置以外の他のすべての無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記他のすべての無線端末装置に前記第1モードを指定するモード指定メッセージを送信する手段と、
前記他のすべての無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功したか否かを確認する手段と、
を備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3のシステムにおいて、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功した場合、前記一の無線端末装置又は前記グループに属するすべての複数の無線端末装置は、前記第1モードに基づくリソース割当制御を要求する要求メッセージを前記基地局側に送信する、ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1又は2のシステムにおいて、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置はそれぞれ、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、
前記グループに属する複数の無線端末装置の自装置以外の他のすべての無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記他のすべての無線端末装置に前記第1モードを指定するモード指定メッセージを送信する手段と、
前記他のすべての無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功したか否かを確認する手段と、
を備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5のシステムにおいて、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功した場合、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置はそれぞれ、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置の端末間直接通信のリソース制御を要求する要求メッセージを前記基地局側に送信する、ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれかのシステムにおいて、
前記一の無線端末装置又は前記グループに属するすべての複数の無線端末装置は、前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で同期状態にあることを示す同期状態情報を、前記他のすべての無線端末装置から受信することにより、前記他のすべての無線端末装置が前記同期状態にあることを確認する、ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7のシステムにおいて、
前記一の無線端末装置又は前記グループに属するすべての複数の無線端末装置は、前記他のすべての無線端末装置から、前記同期状態情報とともに、前記グループを識別可能なグループ識別情報を受信する、ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかのシステムにおいて、
前記グループは、予め設定された複数の無線端末装置で固定的に形成され、又は、互いに近接して位置する複数の無線端末装置でアドホックに形成される、ことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかのシステムにおいて、
初期の前記無線リソース割当制御モードとして、前記第2モードが選択されている、ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかのシステムにおいて、
前記無線端末装置は、前記グループを形成して移動経路を走行する複数の車両のそれぞれに設けられている、ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
移動通信網の基地局を介して通信可能であり、周辺の一又は複数の無線端末装置とグループを形成して端末間直接通信を行う無線端末装置であって、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、
前記グループに属する複数の無線端末装置の自装置以外の他のすべての無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記他のすべての無線端末装置に前記第1モードを指定するモード指定メッセージを送信する手段と、
前記他のすべての無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功したか否かを確認する手段と、
を備える、ことを特徴とする無線端末装置。
【請求項13】
他の車両とグループを組んで移動経路を走行する車両であって、
請求項12の無線端末装置を備えることを特徴とする車両。
【請求項14】
移動通信網の基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御モードの選択制御を行う制御装置であって、
前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、前記複数の無線端末装置のいずれかの無線端末装置が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能であり、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局のセルの圏内に位置し且つ前記基地局との間で無線接続設定が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む前記端末間直接通信のリソース制御情報を、前記複数の無線端末装置に送信する手段と、
を備える、ことを特徴とする制御装置。
【請求項15】
請求項14のいずれかの制御装置において、
当該制御装置は、移動通信網の基地局又は前記基地局とコアネットワークとの間のノード又はコアネットワークの外側に設けられたCU(Central Unit)又はMEC(Multi-access Edge Computing)装置である、ことを特徴とする制御装置。
【請求項16】
移動通信網の基地局であって、
請求項14の制御装置を備えることを特徴とする基地局。
【請求項17】
移動通信システムの基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御モードの選択制御を行う方法であって、
前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、前記複数の無線端末装置のいずれかの無線端末装置が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能にすることと、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局のセルの圏内に位置し且つ前記基地局との間で無線接続設定が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認することと、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む前記端末間直接通信のリソース制御情報を、前記複数の無線端末装置に送信することと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項18】
移動通信システムの基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御モードの選択制御を行う制御装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、前記複数の無線端末装置のいずれかの無線端末装置が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能にするためのプログラムコードと、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局のセルの圏内に位置し且つ前記基地局との間で無線接続設定が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認するためのプログラムコードと、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む前記端末間直接通信のリソース制御情報を、前記複数の無線端末装置に送信するためのプログラムコードと、
を含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項19】
移動通信網の基地局を介して通信可能であり、周辺の一又は複数の無線端末装置とグループを形成して端末間直接通信を行う無線端末装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認するためのプログラムコードと、
前記グループに属する複数の無線端末装置の自装置以外の他のすべての無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記他のすべての無線端末装置に前記第1モードを指定するモード指定メッセージを送信するためのプログラムコードと、
前記他のすべての無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功したか否かを確認するためのプログラムコードと、
を含む、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信網の基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置の端末間直接通信における無線リソース割当制御モードの選択制御に関し、特に、前記複数の無線端末装置が一又は複数のグループを組む場合の端末間直接通信における無線リソース割当制御モードの選択制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、V2V(Vehicle-to-Vehicle)、V2I(Vehicle-to-Infrastructure)、V2P(Vehicle-to-Pedestrian)、V2X(Vehicle-to-Everything)などの近距離装置間(D2D:Device-to-Device)で直接無線通信する通信方式が知られている。特に、移動体通信システムのセルラー通信技術を用いたV2Xは「セルラーV2X」とも呼ばれている。
【0003】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)のLTE(Long Term Evolution)や次世代(NR)の仕様では、移動通信網(コアネットワーク)を介さずに、V2V、V2I、V2P、V2Xなどの近距離装置間(D2D)でPC5と呼ばれるインターフェースを用いて直接無線通信するSidelink通信方式の標準仕様が策定されている(例えば、非特許文献1、2、3、4参照)。
【0004】
上記Sidelink通信方式における無線リソース割当制御モードとして、基地局がSidelinkの無線リソースを割り当てるモードSL Mode-1(以下「第1モード」という。)と、無線端末装置自身がSidelinkの無線リソースを割り当てるモードSL Mode-2(以下「第2モード」ともいう。)が知られている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。第1モードでは、基地局のセルの圏内において,基地局からのSidelinkの無線リソース割当制御により効率的な端末間(車載端末間)直接通信を実現するという利点を有するが、端末間直接通信に必要な同期や無線リソースの選択を基地局が送信する同期信号および制御信号に依存しているため、基地局のセルの圏外で適用できないという課題がある。一方、第2モードでは、無線端末装置は基地局に頼ることなく必要な無線リソースを検知又はランダムで選択して、自律的に通信することができ、基地局のセルの圏外でも適用できるという利点を有する一方、特に自律的な端末間直接通信を行う端末が多数存在すると、端末同士が送信する信号が衝突し、互いに干渉となる割合が増えて、その結果、端末間直接通信の品質が劣化しやすいという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第3136811号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Pavel Mach, Zdenek Becavar, and Tomas Vanek, "In-Band Device-to-Device Communication in OFDMA Cellular Networks: A Survey and Challendges,"IEEE Communication Serveys & Tutorials, vol.17, no.4, pp.1885-1922, June 2015.
【非特許文献2】3GPP TR22.886 V16.2.0, "Study on enhancement of 3GPP support for 5G V2X services (Release 16)," Dec. 2018.
【非特許文献3】3GPP TR37.985 V16.0.0, "Overall description of Radio Access Network (RAN) aspects for Vehicle-to-everything (V2X) based on LTE and NR (Release 16)," June 2020.
【非特許文献4】3GPP TR38.885 V16.0.0, "Study on NR Vehicle-to-Everything (V2X) (Release 16)," March 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、上記2つの無線リソース割当制御モード(SL Mode-1及びSL Mode-2)を、無線端末装置と基地局との無線リンク状態に応じて動的に切り替える無線リソース割当制御モードの選択制御(「Dynamic Mode Selection」あるいは「Dynamic Mode Switching」とも呼ばれる。)が提案されている。
【0008】
しかしながら、例えば後続車自動運転隊列走行で必要となる車両間制御メッセージ伝送あるいは複数車両間の位置情報、速度情報、加速度情報のようなリアルタイム情報共有のように、複数の無線端末装置で一又は複数のグループ(群)を形成し、同一グループ内で端末間(車載端末間)直接通信を行う場合、同一グループ内の複数の無線端末装置の無線リソース割当制御モードは同一である必要がある。そのため、同一グループ内の複数の無線端末装置において無線リソース割当制御モードを適切に選択して、同一グループ内で低遅延かつ高信頼な端末間直接通信を確実に行えるようにしたい、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るシステムは、移動通信網の基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御モードの選択制御を行うシステムである。このシステムにおいて、前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、前記複数の無線端末装置のいずれかの無線端末装置が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能である。このシステムは、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局のセルの圏内に位置し且つ前記基地局との間で無線接続設定が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む前記端末間直接通信のリソース制御情報を、前記複数の無線端末装置に送信する手段と、を備える。
【0010】
前記システムにおいて、前記端末間直接通信のリソース制御情報は、前記グループを識別可能なグループ識別情報又は前記グループに属する複数の無線端末装置それぞれの端末識別情報を含んでもよい。
【0011】
前記システムにおいて、前記グループに属する複数の無線端末装置のいずれか一の無線端末装置は、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、前記グループに属する複数の無線端末装置の自装置以外の他のすべての無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記他のすべての無線端末装置に前記第1モードを指定するモード指定メッセージを送信する手段と、前記他のすべての無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功したか否かを確認する手段と、を備えてもよい。ここで、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功した場合、前記一の無線端末装置又は前記グループに属するすべての複数の無線端末装置は、前記第1モードに基づくリソース割当制御を要求する要求メッセージを前記基地局側に送信してもよい。
【0012】
前記システムにおいて、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置はそれぞれ、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、前記グループに属する複数の無線端末装置の自装置以外の他のすべての無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記他のすべての無線端末装置に前記第1モードを指定するモード指定メッセージを送信する手段と、前記他のすべての無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功したか否かを確認する手段と、を備えてもよい。ここで、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功した場合、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置はそれぞれ、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置の端末間直接通信のリソース制御を要求する要求メッセージを前記基地局側に送信してもよい。
【0013】
前記システムにおいて、前記一の無線端末装置又は前記グループに属するすべての複数の無線端末装置は、前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で同期状態にあることを示す同期状態情報を、前記他のすべての無線端末装置から受信することにより、前記他のすべての無線端末装置が前記同期状態にあることを確認してもよい。ここで、前記一の無線端末装置又は前記グループに属するすべての複数の無線端末装置は、前記他のすべての無線端末装置から、前記同期状態情報とともに、前記グループを識別可能なグループ識別情報を受信してもよい。
【0014】
前記システムにおいて、前記グループは、予め設定された複数の無線端末装置で固定的に形成され、又は、互いに近接して位置する複数の無線端末装置でアドホックに形成されてもよい。
【0015】
前記システムにおいて、前記無線端末装置は、前記グループを形成して移動経路を走行する複数の車両のそれぞれに設けてもよい。
【0016】
本発明の他の態様に係る無線端末装置は、移動通信網の基地局を介して通信可能であり、周辺の一又は複数の無線端末装置とグループを形成して端末間直接通信を行う無線端末装置である。この無線端末装置は、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、前記グループに属する複数の無線端末装置の自装置以外の他のすべての無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記他のすべての無線端末装置に前記第1モードを指定するモード指定メッセージを送信する手段と、前記他のすべての無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功したか否かを確認する手段と、を備える。
【0017】
本発明の更に他の態様に係る車両は、他の車両とグループを組んで移動経路を走行する車両であり、前記無線端末装置を備える。
【0018】
本発明の更に他の態様に係る制御装置は、移動通信網の基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御モードの選択制御を行う制御装置である。この制御装置において、前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、前記複数の無線端末装置のいずれかの無線端末装置が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能である。この制御装置は、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局のセルの圏内に位置し且つ前記基地局との間で無線接続設定が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む前記端末間直接通信のリソース制御情報を、前記複数の無線端末装置に送信する手段と、を備える。
【0019】
前記制御装置は、移動通信網の基地局又は前記基地局とコアネットワークとの間のノード又はコアネットワークの外側に設けられたCU(Central Unit)又はMEC(Multi-access Edge Computing)装置であってもよい。
【0020】
本発明の更に他の態様に係る基地局は、移動通信網の基地局であり、前記制御装置を備える。
【0021】
本発明の更に他の態様に係る方法は、移動通信システムの基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御モードの選択制御を行う方法である。この方法は、前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、前記複数の無線端末装置のいずれかの無線端末装置が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能にすることと、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局のセルの圏内に位置し且つ前記基地局との間で無線接続設定が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認することと、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む前記端末間直接通信のリソース制御情報を、前記複数の無線端末装置に送信することと、を含む。
【0022】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、移動通信システムの基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御モードの選択制御を行う制御装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、前記複数の無線端末装置のいずれかの無線端末装置が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能にするためのプログラムコードと、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局のセルの圏内に位置し且つ前記基地局との間で無線接続設定が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認するためのプログラムコードと、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む前記端末間直接通信のリソース制御情報を、前記複数の無線端末装置に送信するためのプログラムコードと、を含む。
【0023】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、移動通信網の基地局を介して通信可能であり、周辺の一又は複数の無線端末装置とグループを形成して端末間直接通信を行う無線端末装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認するためのプログラムコードと、前記グループに属する複数の無線端末装置の自装置以外の他のすべての無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記他のすべての無線端末装置に前記第1モードを指定するモード指定メッセージを送信するためのプログラムコードと、前記他のすべての無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功したか否かを確認するためのプログラムコードと、を含む。
【0024】
前記システム、前記無線端末装置、前記車両、前記制御装置、前記基地局、前記方法及び前記プログラムのそれぞれにおいて、初期の前記無線リソース割当制御モードとして、前記第2モードを選択してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、移動通信網の基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置で形成されるグループ内で端末間直接通信を行う場合に、同一グループ内の複数の無線端末装置に端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードを適切に選択して、同一グループ内で低遅延かつ高信頼な端末間直接通信を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係る通信システムの全体構成の一例を示す概略構成図。
図2】実施形態に係る通信システムにおけるUu通信の下りリンク(DL)及び上りリンク(UL)並びにSidelink通信(SL)の無線フレームの一例を示す説明図。
図3】実施形態に係る通信システムにおけるUu通信の下りリンク(DL)及び上りリンク(UL)並びにSidelink通信(SL)の無線フレームの他の例を示す説明図。
図4】実施形態に係る通信システムにおけるUu通信の下りリンク(DL)及び上りリンク(UL)並びにSidelink通信(SL)の無線フレームの更に他の例を示す説明図。
図5】(a)及び(b)は、実施形態に係る通信システムにおける第1の無線リソース割当制御モード(SL Mode-1)の一例を示す説明図。
図6】(a)及び(b)は、実施形態に係る通信システムにおける第2の無線リソース割当制御モード(SL Mode-2)の一例を示す説明図。
図7】実施形態に係る通信システムにおける無線リソース割当制御モード(SL Mode-1、SL Mode-2)の動的切り替え制御の一例を示す説明図。
図8】実施形態に係る通信システムにおける第2無線リソース割当制御モード(SL Mode-2)から第1無線リソース割当制御モード(SL Mode-1)への動的切り替え制御の一例を示すシーケンス図。
図9】実施形態に係る通信システムにおける第2無線リソース割当制御モード(SL Mode-2)から第1無線リソース割当制御モード(SL Mode-1)への動的切り替え制御の他の例を示すシーケンス図。
図10】実施形態に係る通信システムにおけるUEと基地局の接続状態の判定の一例を示すシーケンス図。
図11】実施形態に係る通信システムにおける基地局のセルの圏内に位置するUEのSidelink通信(SL)の同期確立及び接続状態の判定の一例を示すシーケンス図。
図12】実施形態に係る通信システムにおける基地局のセルの圏外に位置するUEのSidelink通信(SL)の同期確立及び接続状態の判定の一例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係るシステムは、複数のトラックなどの車両が隊列走行等を行っている場合に、移動通信網の基地局を介して通信可能な複数の車両に搭載された複数の無線端末装置がグループ(群)を形成してSidelink通信方式による端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御モードの選択制御を行うシステムである。
【0028】
ここでは、LTE(Long Term Evolution)/LTE-Advancedの移動通信システム(以下「LTEシステム」という。)、第5世代の移動通信システム(以下「5Gシステム」という。)への適用を前提に本発明の実施形態を説明するが、類似のセル構成、物理チャネル構成を用いるシステムであれば、本発明の概念はどのようなシステムにも適用可能である。また、伝搬路の推定に用いられる参照信号系列や誤り訂正のために用いられる符号化方式はLTEシステムや5Gシステムで定義されているものに限定されず、これらの用途に適合するものであれば、どのような種類のものでも構わない。本発明の実施形態は、第5世代よりも後の次世代の移動通信システム(「NRシステム」ともいう。)に適用してもよい。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの全体構成の一例を示す概略構成図である。図1において、本実施形態に係る通信システムは、5Gシステムの例であり、移動通信網のコアネットワーク(例えば、EPC、5GC、又は、NGC)15に接続された2セル構成の基地局10を備える。なお、図1の例では1つの基地局10を備えた例を示しているが、基地局の数は複数であってもよい。また、基地局10が形成するセルは単一のセルでもよいし、3以上のセルでもよい。
【0030】
コアネットワーク15は、例えば3GPP(3rd Generation Partnership Project)で規定されたIP(Internet Protocol)ベースのEPC(Evolved Packet Core)である。コアネットワーク15は、5Gシステム専用のコアネットワークでもよいし、5GシステムとLTEシステムとに兼用されるコアネットワークでもよい。コアネットワーク装置(EPC装置、又は、5GC装置)は、例えば3GPPで規定されたサービスをサードパーティーのアプリケーションプロバイダに提供するための標準インターフェースを有する論理ノードのSCEF(Service Capability Exposure Function)、NEF(Network Exposure Function)、ユーザデータの処理を行うUPF(User Plane Function)等である。コアネットワーク装置(EPC装置、又は、5GC装置)は、複数のV2X(Vehicle-to-Everything)サービスの連携を可能にするVAE(V2X Application Enabler)であってもよい。なお、コアネットワーク装置の一部の機能(例えば、UPFの機能あるいはUPF以外の論理ノードの機能)は、本実施形態のように基地局10が有してもよい。
【0031】
基地局10は、例えば5GシステムのgNodeB(gNB)又はen-gNodeB(en-gNB)であり、アンテナ101,102を介して、自局が形成する無線通信エリアであるセルに在圏する通信端末装置(「端末」、「ユーザ端末」、「ユーザ装置」、「UE」、「移動局」、「移動機」等ともいう。以下「UE」という。)20と無線通信することができる。
【0032】
基地局10は、例えば、建物などの内部に設けられた基地局装置100と、基地局10が形成するセルを構成する2セルに対応する複数のアンテナ101,102とを備える。複数のアンテナ101,102はそれぞれ、建物、支柱、鉄塔などの上部に設けられている。アンテナ101,102は、無指向性のアンテナでもよいし、所定方向に一又は複数のビームを形成可能な複数のアンテナ素子からなるアンテナ(例えば、多数のアンテナ素子が2次元的又は3次元的に配列されたアレイアンテナなどからなるMassiveMIMOアンテナ)であってもよい。なお、図示の例では、2つのアンテナ101,102を備えているが、アンテナの数は単数でもよいし、3以上であってもよい。
【0033】
基地局装置100は、例えば、DU(分散ユニット)110と、CU(集約ユニット)120と、CNE(コアネットワーク装置)130と、MEC(Multi-access Edge Computing)装置140とを備える。なお、図示の例において、CNE130は5Gコアとしている場合の例であるが、5Gのレイヤ3(L3)での制御をLTEで行うNon-StandAlone(NSA)構成では、EPCとしてもよい。また、MEC装置140は、基地局10とコアネットワーク15との間のノードに設けてもよいし、コアネットワークの外側に設けてもよい。
【0034】
DU110は、例えばRFU(無線ユニット)111,RFU112を有する。RFU111,RFU112は、例えば、増幅部、周波数変換部、送受信切替部(DUP)、直交変復調部等を備える。DU110は、下記のBBU(ベースバンドユニット)の一部の機能を有してもよい。なお、図示の例では基地局あたり2つのセルを構成するため、2つのRFU111,112を備えているが、RFUの数は単数でもよいし、3以上であってもよい。
【0035】
CU120は、例えば、BBU(ベースバンドユニット)121と、CU120の各部を制御するCUコントローラ122とを有する。BBU121は、例えば、送受信対象の制御情報やユーザデータ(IPパケット)と、無線伝送路を介して送受信されるOFDM信号等のベースバンド信号の変換(変復調)とを行う。変調方式としては、例えばQPSK、16QAM、64QAM等を用いることができる。ベースバンド信号はDU110との間で送受される。CUコントローラ122は、例えばCPUやメモリなどで構成され、予め組み込まれたプログラムを実行することにより、CU120の各部を制御する。
【0036】
CU120は、複数のDUに接続してもよい。また、CU120は、光ファイバを用いた光通信回線などの高速通信回線を介して遠隔設置した子局のDUに接続してもよい。また、BBU121は、CU120内に複数設けて、RFUごとに接続される構成でもよい。例えば、BBU121を複数のBBU#1,BBU#2で構成し、各BBU#1,BBU#2に接続された複数の外部接続部121aを設け、これら複数の外部接続部121aに、光通信回線などの高速通信回線を介して、遠隔配置された外部の複数のRFU#1,RFU#2がリモート接続されるように構成してもよい。
【0037】
CNE130は、前述のUPFの機能を有し、コアネットワーク15上の各種ノードとの間で所定の通信インターフェース及びプロトコルにより通信する。CNE130は、コアネットワーク15とCU120との間でユーザデータ等の各種データを中継したり、コアネットワーク15及びCU120とMEC装置140との間でユーザデータ等の各種データを中継したりする。
【0038】
MEC装置140は、例えばCPUやメモリなどで構成され、予め組み込まれたプログラム又は通信網を介してダウンロードされたプログラムを実行することにより、基地局10のセルに在圏するUE20との間で送受信される各種データを処理したり、基地局10のセルに在圏するUE20に対する各種の制御を実行したりことができる。また、MEC装置140は、所定のプログラムを実行することにより、後述の無線リソース割当制御モードの選択制御のための各種手段としても機能することができる。
【0039】
なお、後述の無線リソース割当制御モードの選択制御は、MEC装置140の代わりに、前述のCU120が行ってもよい。例えば、CU120のCUコントローラが、所定のプログラムを実行することにより、後述の無線リソース割当制御モードの選択制御のための各種手段としても機能してもよい。また、CU120及びMEC装置140が互いに連携して後述の無線リソース割当制御モードの選択制御を行ってもよい。
【0040】
UE20(1)~20(3)は、基地局10が形成するセル内に位置している移動経路としての道路90を移動する車両(図示の例ではトラック)30(1)~30(3)に搭載されている。UE20(1)~20(3)が搭載された車両30(1)~30(3)は、予め設定されたグループを組んで互いに連携、車群を形成し、移動する。
【0041】
なお、図示の例では、基地局10のセルに3台の車両30(1)~30(3)に搭載された3つのUE20(1)~20(3)が在圏している場合について示しているが、2台又は4台以上の複数の車両30に搭載された複数のUE20が在圏していてもよい。また、図示の例では、3台の車両30(1)~(3)が隊列状(互いに前後方向となる)に車群を形成して群走行、すなわち隊列走行している場合を示しているが、各車両30の相対的な位置関係については、複数の各車両30に搭載されたUE20同士が互いに直接通信できる位置関係にある限り制限されない。さらに、車両30は、地上の移動経路である道路90を移動する自動車、トラック、バス、バイクなどの移動体であってもよいし、上空などの空間における移動経路を飛行して移動可能な移動体であってもよいし、地下、水上(例えば海上)、水中(例えば海中)などにおける移動経路を移動可能な移動体であってもよい。
【0042】
また、以下の説明において、複数のUE20(1)~20(3)に共通する構成、機能などについて説明する場合は括弧を付けないでUE20等と記載し、複数の車両30(1)~30(3)に共通する構成、機能などについて説明する場合も括弧を付けないで車両30等と記載する。
【0043】
車両30のUE20は、第1の通信方式である基地局経由通信方式(例えば、3G、LTE、又は、5G等の次世代のNRの方式)により移動通信網(セルラーネットワーク)の基地局10を介して通信可能である(以下、基地局経由通信方式による通信を「Uu通信」ともいう)。5GのUu通信は、超高信頼・低遅延通信のURLLC(Ultra Reliable & Low Latency Communication)、高速・大容量通信のeMBB(Enhanced Mobile BroadBand)、低コスト・低消費電力の端末が大量かつ同時接続のmMTC(Massive Machine Type Communication)等の通信タイプを利用できる。特に、後続車自動運転トラック隊列走行(図1参照)、自動運転・隊列走行BRT(Bus Rapid Transit)などにおける遠隔監視、遠隔操作等の用途には、超高信頼・低遅延通信URLLCが適する。
【0044】
例えば図1の後続車自動運転トラック隊列走行において、先頭の車両(以下「リーダー車両」ともいう。)30(1)は有人ドライバーによる手動運転であり、後続の車両(以下「メンバー車両」ともいう。)30(2),30(3)が無人の自動運転である。後続車自動運転トラック隊列走行において、基地局10及び移動通信網のコアネットワーク15を介して、車両30(1)~30(3)のUE20(1)~20(3)と網側の遠隔運行監視センターとがUu通信を行う。例えば、遠隔運行監視センターは、上りリンクのUu通信により、各車両30(1)~30(3)の監視モニタ画像(静止画、動画)やセンサ情報を受信することができる。また、遠隔運行監視センターは、下りリンクのUu通信により、緊急停止信号などの制御信号を各車両30(1)~30(3)に送信することができる。この車両と網側の遠隔運行監視センターとのUu通信により、複数の車両30(1)~30(3)の集中遠隔管理と遠隔操作を実現し、ドライバーの負担軽減及び安全性を向上させることができる。
【0045】
UE20は、例えば、アンテナ21、送受信切替部(DUP)、受信部、CP除去部、FFT部、信号分離部、伝搬路補償部、復調部、復号部、DMRS伝搬路(チャネル)推定部、信号多重部、IFFT部、CP挿入部、送信部及び制御部を備える。アンテナ21は、Uu通信及びSidelink通信の両方に用いることができる。DMRS伝搬路(チャネル)推定部は、例えば、基地局10から送信されてきた既知の復調用参照信号(DMRS)の受信結果に基づいて、無線伝搬路(等価伝搬路)を推定する。復調部は、無線伝搬路(等価伝搬路)の推定結果に基づいて、送信信号に含まれるデータ信号を復調して復号する。他の各部の構成部分については、従来と同様な機能を有するので、それらの説明は省略する。
【0046】
また、車両30のUE20は、移動通信網(セルラーネットワーク)の基地局を介さない第2の通信方式により、他の車両との無線通信(以下「車車間直接通信」ともいう。)を各車両に搭載された端末間の直接通信により行うことができる。端末間直接通信における端末間の無線リンクは、基地局経由通信における基地局側から端末側への無線リンクである下りリンク(DL)、および端末側から基地局側への無線リンクである上りリンク(UL)と対比させて、サイドリンク(Sidelink)とも呼ばれる。第2通信方式は、例えば、PC5と呼ばれる端末同士間の無線インターフェースを用いるSidelink通信方式である。PC5インターフェースは、UE同士、UEと他の装置(例えば車両)、車両同士、又は、車両と他の装置が、基地局を介さないで端末間直接通信を行うD2D(Device to Device)のインターフェースであり、LTEでは3GPPリリース12以降、5Gではリリース16以降でそれぞれ標準化されている。
【0047】
端末間通信により複数の車両を電子的に連結する、後続車自動運転トラック隊列走行(図1参照)、自動運転・隊列走行BRT(Bus Rapid Transit)などにおける各車両間の制御メッセージ伝送や後続車両から先頭車両への周辺監視動画伝送の用途には、各車両に搭載された端末同士が直接通信を行うSidelink通信方式が適する。
【0048】
例えば図1の後続車自動運転トラック隊列走行において、FL(フォワードリンク)及びBL(バックワードリンク)の車車間通信(端末間直接通信)により、車両間で車両制御メッセージ(例えば、速度、加速度、車間距離、操舵などの制御情報)の伝送、監視モニタ画像(静止画、動画)やセンサ情報の伝送等を行うことができる。図中のSidelink(FL)は前方車両から後続車両へ向かう車車間通信であり、Sidelink(BL)は後続車両から前方車両へ向かう車車間通信である。この車車間通信(端末間直接通信)を利用した後続車自動運転トラック隊列走行により、ドライバー不足の解消及び労働環境の改善を図ることができる。更に、車車間通信(端末間直接通信)における5Gの超低遅延かつ高信頼通信の適用により、隊列走行時の車間距離を短縮することでき、車群の空気抵抗減少による燃料消費効率の改善、及び、CO排出量の削減を図るとともに、道路容量の増大による渋滞緩和を実現することができる。
【0049】
Sidelink通信方式では、データ送信先の車両のUEとの間で、他の車両のUEを介さない単一の端末間直接通信(以下「シングルホップ通信」という。)を行ってもよいし、一又は複数の他の車両のUEを介した複数の端末間直接通信を伴うマルチホップ通信を行ってもよい。
【0050】
Sidelink通信方式では、階層化通信モデルのデータリンク層(Layer-2)におけるデータの処理単位であるフレーム(「MACパケット」とも呼ばれる。)を識別する通信識別子(フレーム識別子)であるLayer-2 IDが定義されている。
【0051】
UE20における階層化通信モデルでは、例えば、最下位から上位に向かって、物理層からなるレイヤ1(L1)、MAC(メディアアクセス制御)層とRLC(無線リンク制御)層とPDCP(パケットデータ収束)層とによりデータをフレーム単位で処理するレイヤ2(L2)、各種プロトコル(例えば、IP,Non-IP,ARP)を用いてデータをパケット単位で処理するネットワーク層、アプリケーション層などで構成されている。アプリケーション層におけるデータは「メッセージ」とも呼ばれる。
【0052】
UE20は、例えば、移動通信の上りリンクの無線リソースの一部を用い、レイヤ2(L2)における送信先(通信宛先)の通信識別子としてのフレーム識別子であるDestination L2ID(Dst.L2ID)を指定してデータ(メッセージ)をフレーム単位で送信する。受信側の車両30のUE20は、受信したフレームのヘッダに含まれる送信先のフレーム識別子(Dst.L2ID)が、自装置に割り当てられたフレーム識別子(L2ID)に一致しているか否かを判断する。
【0053】
車両30のUE20は、受信したフレームのヘッダに含まれる送信先のフレーム識別子(Dst.L2ID)が、自装置に割り当てられたフレーム識別子(L2ID)に一致していると判断した場合、受信したフレームのデータ(メッセージ)を含むパケットを上位層に上げるようにデータ処理することにより、当該データをアプリケーションに使用できるようにすることができる。一方、車両30のUE20は、受信したフレームのヘッダに含まれる送信先のフレーム識別子(Dst.L2ID)が、自装置に割り当てられたフレーム識別子(L2ID)に一致していないと判断した場合、受信したフレームのデータ(メッセージ)を含むパケットを上位層に上げないようにデータ処理することにより、当該データをアプリケーションに使用できないようにすることができる。
【0054】
なお、図1の例では複数の車両30(1)~30(3)のUE20(1)~20(3)は同一のセル内に在圏してもよいし、互いに異なるセルに在圏してもよい。また、車両30(1)~30(3)のUE20(1)~20(3)は、Sidelink通信方式による端末間直接通信と基地局経由通信方式によるUu通信とを選択的に又は同時に行うものであってもよい。
【0055】
図2は、本実施形態に係る通信システムにおけるUu通信の下りリンク(DL)及び上りリンク(UL)並びにSidelink通信(SL)の無線フレームの一例を示す説明図である。図2において、Uu通信の下りリンク(以下「DL」という。)、Uu通信の上りリンク(以下「UL」という。)及びSidelink通信(以下「SL」という。)において、互いに異なる周波数帯を用いる。
【0056】
図2において、DL及びULの無線フレーム401,402はそれぞれ、所定のサブキャリア間隔(図示の例では15kHz)を有し、所定数(図示の例では10個)のタイムスロット(「サブフレーム」ともいう。)からなる所定の時間長(図示の例では10ms)を有する。
【0057】
DLの無線フレーム401における先頭のタイムスロット401aは、下りリンクのSS(同期信号)及びPBCH(物理報知チャネル)からなるブロック(SSB)と、PBCHの情報を復調するためのPBCH_DMRS(PBCH復調用参照信号)とが含まれる特別なタイムスロットである。DLの2番目以降のタイムスロットには、下りリンクの制御用のPDCCH(物理下りリンク制御チャネル)、データ伝送用のPDSCH(物理下りリンク共有チャネル)並びにPDCCH及びPDSCHのデータを復調するためのDMRS(データ復調用参照信号)のそれぞれに使用されるOFDM(直交周波数分割多重)シンボルを割り当てることができる。
【0058】
ULの無線フレーム402における先頭のタイムスロット402aは、上りリンクのPRACH(物理ランダムアクセスチャンネル)が含まれる特別なタイムスロットである。ULの2番目以降のタイムスロットには、上りリンクの制御用のPUCCH(物理上りリンク制御チャネル)、データ伝送用のPUSCH(物理上りリンク共有チャネル)並びにPUCCH及びPUSCHのデータを復調するためのDMRS(データ復調用参照信号)のそれぞれに使用されるOFDMシンボルを割り当てることができる。
【0059】
図2において、SLの無線フレーム403は、所定のサブキャリア間隔(図示の例ではDL・ULよりも広い60kHz)を有し、所定数(図示の例ではDL・ULよりも多い40個)のタイムスロットからなる所定の時間長(図示の例では10ms)を有する。
【0060】
SLの無線フレーム403における先頭のタイムスロット403aは、Sidelink通信の同期に用いるSidelink Primary Synchonization Signal(S-PSS)およびSidelink Secondary Synchonization Signal(S-SSS)から構成されるSLSS(Sidelink同期信号)及びPSBCH(物理Sidelink報知チャネル)と、PSBCHの情報を復調するためのPSBCH_DMRS(PSBCH復調用参照信号)とが含まれる特別なタイムスロットである。SLSS、PSBCH及びPSBCH_DMRSは、例えば、基地局10のセルの圏外において、複数のUE20のいずれか一のUE(以下「リーダーUE」又は「マスターUE」ともいう。)20(1)が主体となって他のUE(以下「メンバーUE」ともいう。)20(2),20(3)との間で行うSidelink通信の同期処理及び接続確立処理に用いることができる(後述の図12参照)。
【0061】
なお、各UEがリーダーUEであるか否かは、移動通信網側(例えばMEC装置)から指定してもよいし、UEに組み込まれる記憶媒体(例えば、加入者情報記憶媒体であるSIM(Subscriber Identity Module Card))に書き込まれた情報に基づいて決定されてもよい。
【0062】
SLの無線フレーム403における他のタイムスロットには、Sidelink通信のL1/ L2制御用のPSCCH(物理Sidelink制御チャネル)、データ再送(HARQ-ACK/NACKフィードバック)用のPSFCH(物理Sidelinkフィードバックチャネル)、データ伝送用のPSSCH(物理Sidelink共有チャネル)、並びに、PSCCH、PSFCH及びPSSCHのデータを復調するためのDMRSのそれぞれに使用されるOFDM(直交周波数分割多重)シンボルを割り当てることができる。PSCCHは、例えば、基地局10のセルの圏内において、複数のUE20のいずれか一のUE(リーダーUE、マスターUE)20(1)が主体となって他のメンバーUE20(2),20(3)との間で行うSidelink通信の同期処理及び接続確立処理に用いることができる(後述の図11参照)。
【0063】
図3は、本実施形態に係る通信システムにおけるUu通信の下りリンク(DL)及び上りリンク(UL)並びにSidelink通信(SL)の無線フレームの他の例を示す説明図である。図3の例では、DLとULとが同一周波数帯のTDD(時間分割多重)で運用され、SLがDL及びULとは異なる独立周波数帯で運用されている。
【0064】
図3において、DL及びULに共用の無線フレーム411は、所定のサブキャリア間隔(図示の例では15kHz)を有し、所定数(図示の例では20個)のタイムスロットからなる所定の時間長(図示の例では10ms)を有する。
【0065】
共用の無線フレーム411における先頭のタイムスロット411aは、下りリンクのSS及びPBCHからなるブロック(SSB)並びにPBCH_DMRSが含まれる特別なタイムスロットである。図中の「D」が付された複数のタイムスロットには、下りリンクのPDCCH、PDSCH及びDMRSに使用されるOFDMシンボルを割り当てることができる。図中の「S」が付された2つのタイムスロット411bはそれぞれ、上りリンクのGP(ガード期間)、PRACH及びSRS(サウンディング参照信号)が含まれる特別なタイムスロットである。図中の「U」が付された複数のタイムスロットには、上りリンクのPUCCH、PUSCH及びDMRSに使用されるOFDMシンボルを割り当てることができる。
【0066】
図3において、SLの無線フレーム412は、所定のサブキャリア間隔(図示の例では60kHz)を有し、所定数(図示の例では40個)のタイムスロットからなる所定の時間長(図示の例では10ms)を有する。
【0067】
SLの無線フレーム412における先頭のタイムスロット412aは、Sidelink通信の同期に用いるSLSS及びPSBCHとPSBCH_DMRSとが含まれる特別なタイムスロットである。他のタイムスロットには、PSCCH、PSFCH、PSSCH及びDMRSに使用されるOFDMシンボルを割り当てることができる。
【0068】
図4は、本実施形態に係る通信システムにおけるUu通信の下りリンク(DL)及び上りリンク(UL)並びにSidelink通信(SL)の無線フレームの更に他の例を示す説明図である。図4の例では、DLとULとSLが同一周波数帯のTDD(時間分割多重)で運用されている。
【0069】
図4において、DL、UL及びSLに共用の無線フレーム421は、所定のサブキャリア間隔(図示の例では60kHz)を有し、所定数(図示の例では40個)のタイムスロットからなる所定の時間長(図示の例では10ms)を有する。先頭のタイムスロット421aは、上りリンクのPRACHと、下りリンクのSS及びPBCHからなるブロック(SSB)並びにPBCH_DMRSとが含まれる特別なタイムスロットである。先頭から2番目のタイムスロット421bは、Sidelink通信の同期に用いるSS及びPBCHのブロックが含まれる特別なタイムスロットである。
【0070】
共用の無線フレーム421の他の複数のタイムスロットはそれぞれ、GP(ガード期間)で区切られたDL用タイムスロット421c(1)とUL用タイムスロット421c(2)とSL用タイムスロット421c(3)とを有する。DL用タイムスロット421c(1)には、下りリンクのPDCCH及びPDSCHに使用されるOFDMシンボルを割り当てることができる。UL用タイムスロット421c(2)には、上りリンクのPUCCH及びPUSCHに使用されるOFDMシンボルを割り当てることができる。SL用タイムスロット421c(3)には、PSCCH及びPSSCHに使用されるOFDMシンボルを割り当てることができる。
【0071】
なお、その他の無線リソースの例では、LTEのD2D等でも標準化されているUL用リソースの一部をSL用リソースとして使用してもよい。
【0072】
車両30(1)~30(3)のUE20(1)~20(3)は、Sidelink通信方式による端末間直接通信を行うときの無線フレームの送受信タイミングを決定して設定する端末間同期方式として、例えば、第1の同期方式としてのUu同期方式及び第2の同期方式としてのSLSS同期方式から選択することができる。また、その他の同期方式としては、GNSS同期方式を用いてもよい。
【0073】
Uu同期方式は、移動通信網(セルラーネットワーク)の基地局10が端末側のセルサーチやDL同期確立のために定期的に送信しているPrimary Synchonization Signal(PSS)やSecondary Synchronization Signal(SSS)等の共通信号を端末間同期用リファレンスとして用いる方式である。SL同期方式は、SLSSを用いて端末間同期を実現し、トンネル内や基地局圏外エリアなど他の同期用リファレンスが利用できない場合に用いられる。一方、GNSS同期方式は、UE20に設けた現在位置取得手段としてのGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機がGNSS衛星からの電波を受信して取得した時刻リファレンスを端末間同期用リファレンスとして用いる方式であり、時刻リファレンスの信号源は自装置内のGNSS受信機である。
【0074】
例えば、車両30のUE20は、基地局10のセルの圏内において、Uu同期方式を用いてSidelink通信方式の無線フレームの送受信タイミングを決定し、基地局10のセルの圏外では基地局からの共通信号をはじめ、その他の同期用リファレンス信号源を利用することができないため、SLSS同期方式を用いてSidelink通信方式の無線フレームの送受信タイミングを決定する。
【0075】
上記構成の無線通信システムにおいて図2図4に例示したSidelink通信方式における無線リソース(タイムスロット)割当制御モードとして、基地局10がSL無線リソースを割り当てる第1モードとしてのSL Mode-1(以下、略して「Mode-1」ともいう。)と、各UE20がSL無線リソースを自律的に選択する第2モードとしてのSL Mode-2(以下、略して「Mode-2」ともいう。)がある。このMode-1及びMode-2は、複数の車両30のUE20で構成されるグループ(群)ごとに選択して適用することができる。グループ(群)は、予め設定された複数のUEで固定的に形成されてもよいし、又は、互いに近接して位置する複数のUEでアドホックに形成されてもよい。
【0076】
図5(a)及び(b)は、実施形態に係る通信システムにおける第1の無線リソース割当制御モード(Mode-1)の一例を示す説明図である。Mode-1では、図5(a)に示す基地局10のセル10Aの圏内において、基地局10からのSidelinkの無線リソース割当制御により効率的なUE20間の直接通信(端末間直接通信)を実現するという利点を有する。基地局10のセル10Aの圏内において、基地局10からのSidelinkの無線リソース割当制御によって割り当てられた無線リソースを用いて、第1のグループG1に属する車両30(1)~30(3)のUE20(1)~20(3)は互いに端末間直接通信をすることができ、第2のグループG2に属する車両30(4)、30(5)のUE20(4)、20(5)は互いに端末間直接通信をすることができる。
【0077】
しかしながら、Mode-1では、端末間直接通信に必要な同期や無線リソースの選択を基地局10が送信する同期信号および制御信号に依存しているため、図5(b)に示すように基地局10のセル10Aの圏外10Xで適用できず、グループG1に属する車両30(1)~30(3)のUE20(1)~20(3)は、Sidelinkの端末間直接通信をすることができないという課題がある。
【0078】
図6(a)及び(b)は、実施形態に係る通信システムにおける第2の無線リソース割当制御モード(Mode-2)の一例を示す説明図である。Mode-2では、図6(a)に示す基地局10のセル10Aの圏内においても、グループG1に属する車両30(1)~30(3)のUE20(1)~20(3)は、基地局10に頼ることなくそれぞれ自律的に必要な無線リソースを検知又はランダムで選択して、端末間直接通信を行うことができる。同様に、グループG2に属する車両30(4)、30(5)のUE20(4)、20(5)は、基地局10に頼ることなくそれぞれ自律的に必要な無線リソースを検知又はランダムで選択して端末間直接通信をすることができる。また、Mode-2では、図6(b)に示すように基地局10のセル10Aの圏外10Xにおいても、車両30(1)~30(3)のUE20(1)~20(3)は、基地局10に頼ることなくそれぞれ自律的に必要な無線リソースを検知又はランダムで選択して各UEに自律的に割り当て、端末間直接通信をすることができる。
【0079】
しかしながら、Mode-2では、特に自律的な端末間直接通信を行うUEが多数存在すると、UE同士が送信する信号が衝突し、互いに干渉となる割合が増えて、その結果、Sidelinkの端末間直接通信の品質が劣化しやすいという課題がある。
【0080】
そこで、本実施形態では、同一グループG1内の複数のUE20が基地局10のセル10Aの圏内に位置し且つ基地局10との間で無線接続設定が完了して基地局10との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認し、その確認結果に基づいて、同一グループ内の複数のUE20に端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モード(Mode-1,Mode-2)を動的に切り替える制御を行っている。このような制御を行うことにより、Mode-1およびMode-2の持つ互いの欠点を補いつつ、互いの長所を生かすことができる。
【0081】
図7は、実施形態に係る通信システムにおける無線リソース割当制御モード(Mode-1、Mode-2)の動的切り替え制御の一例を示す説明図である。例えば、図7(a)に示すように、基地局10のCU120あるいはMEC装置140は、同一グループG1に属する複数の車両30のUE20がすべて、基地局10のセル10Aの圏内に位置し且つ基地局10との間で無線接続設定が完了して基地局10との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあることを確認した場合、Sidelink通信の無線リソース割当制御モードを初期設定のMode-2(第2モード)からMode-1(第1モード)に切り替え、Mode-1の動作を許容する第1モード許容メッセージ(Mode-1 Allowed)を含む端末間直接通信のリソース制御情報(SLリソース制御情報)を、グループG1内の複数のUE20(1)~20(3)に送信する制御を実行する。
【0082】
一方、本実施形態では、図7(b)に示すように、基地局10のCU120あるいはMEC装置140は、同一グループG1に属する複数の車両30のUE20の少なくとも一つのUE(図示の例では、UE20(1)及びUE20(2))が、基地局10のセル10Aの圏外10Xに位置し、基地局10との間で下りリンク及び上りリンクが同期していない非同期状態にあることを確認した場合、Sidelink通信の無線リソース割当制御モードを初期設定のMode-2のままに維持する制御を実行する。
【0083】
図8は、本実施形態に係る通信システムにおける第2無線リソース割当制御モード(SL Mode-2)から第1無線リソース割当制御モード(SL Mode-1)への動的切り替え制御の一例を示すシーケンス図である。なお、図8中の3つのUE20(1),20(2),20(3)はそれぞれ、図1の道路90上を隊列走行している車両30(1),20(2),20(3)に搭載されたUEである。これらのUE20(1),20(2),20(3)により単一のグループ(群)が形成されている。また、図8の動的切り替え制御を実行する前のSidelink通信の無線リソース割当制御モードは、初期設定のMode-2である。
【0084】
図8において、まず、グループG1に属する複数のUE20(1),20(2),20(3)と基地局10との間で、無線接続状態チェックとしてのRRC(無線リソース制御)状態チェックが実行される(S101)。基地局10のCU120あるいはMEC装置140は、RRC状態チェックの結果に基づき、グループG1に属するすべてのUE20(1),20(2),20(3)が「RRC_CONNECTED」状態にあること、すなわち、UE20(1),20(2),20(3)が基地局10のセル10Aの圏内に位置し且つ基地局10との間で同期状態にあることを確認することができる(S102)。
【0085】
なお、複数の車両30(1),30(2),30(3)のUE20(1),20(2),20(3)は移動しているので、各UE20(1),20(2),20(3)が基地局10のセル10Aの圏内に位置しているか否かの確認、及び、各UE20(1),20(2),20(3)と基地局10との間が同期状態にあるか否かの確認は、定期的に行われる。
【0086】
基地局10のCU120あるいはMEC装置140は、基地局10のセル10Aの圏内に位置し且つ基地局10との間で同期処理を含む無線接続設定が完了していることを確認する(S102)と、UE20(1),20(2),20(3)のそれぞれに、Mode-1の動作を許容する第1モード許容メッセージとしてのMode-1許容情報(「Mode-1 Allowed」)を含む端末間直接通信のリソース制御情報(Sidelinkリソース制御情報)を送信する(S103)。Mode-1許容情報が「1:Mode-1 Allowed」であれば、Mode-1の動作が許容されていることを確認でき、「0:Mode-1 Not Allowed」であれば、Mode-1の動作が許容されていないことを確認できる。
【0087】
リソース制御情報(SLリソース制御情報)には、無線リソース割当制御モードを切り替える制御対象UEであるUE20(1),20(2),20(3)が属するグループを識別可能なUEグループIDが含められる。この対象UEグループIDにより、基地局10のセル内に複数のUEグループが存在する場合において、Sidelink通信の無線リソース割当制御モードをMode-1に切り替える対象のUEグループを限定することができる。なお、リソース制御情報(SLリソース制御情報)にUEグループIDを含める代わりに、無線リソース割当制御モードを切り替える制御対象UEを識別可能な個別端末識別情報(UE ID)を含めてもよい。個別端末識別情報としては、前述のLayer-2 IDを用いてもよい。
【0088】
基地局10のCU120あるいはMEC装置140は、各UE20(1),20(2),20(3)にSidelinkリソース制御情報を送信した後、各UEからのMode-1に基づくリソース割当制御を要求する要求メッセージ(Sidelinkスケジューリング要求メッセージ)の受信待ち状態を開始する(S104)。
【0089】
各UE20(1),20(2),20(3)は、基地局10のCU120あるいはMEC装置140からMode-1の動作を許容するMode-1許容情報を受信した場合、Sidelink通信のSS/PBCH(SLSS/PSBCH)ブロックを用いたSidelink同期処理をスキップする(S105)。
【0090】
なお、各UE20(1),20(2),20(3)は、Mode-1の動作を許容するMode-1許容情報を受信しなかった場合、Uu通信の同期状態を確認し、Uu通信の非同期か否かを判断する。Uu通信の非同期の場合、各UE20(1),20(2),20(3)は、Sidelink通信の無線リソース割当制御モードとして初期設定のMode-2を維持する処理を実行する(S106)。具体的には、リーダーUE20(1)はメンバーUE20(2),20(3)にSidelink通信のSS/PBCH(SLSS/PSBCH)ブロックを送信する、メンバーUE20(2),20(3)は、リーダーUE20(1)から受信したSidelink通信のSS/PBCH(SLSS/PSBCH)ブロックに基づいて、Sidelink通信の同期を確立する処理を実行する。
【0091】
上記S105において、各UE20(1),20(2),20(3)がMode-1許容情報を受信した場合、リーダーUE20(1)は、同一グループに属する他のすべてのメンバーUE20(2),20(3)からUu通信の同期状態を示すUu同期状態情報転送を受信し、各メンバーUE20(2),20(3)(Uu)がUu通信同期状態にあるか否かを判断する(S107)。Uu同期状態情報転送には、前述のUEグループIDとUu同期状態情報とを含められる。Uu同期状態情報が「1:Uu In-Sync」であれば、Uu通信の同期状態にあることを確認でき、「0:Uu Out-of-Sync」であれば、Uu通信の非同期状態にあることを確認できる。また、UEグループIDを含むUu同期状態情報転送を受信ことにより、リーダーUE20(1)は、互いにMode-1の動作を行うことの可否に関するメンバーUEを確認することができ、また、基地局10のセル内に複数のUEグループが存在する場合において、Sidelink通信の無線リソース割当制御モードをMode-1に切り替える対象のUEグループを限定することができる。
【0092】
リーダーUE20(1)は、同一グループに属する他のすべてのメンバーUE20(2),20(3)がUu通信の同期状態にあることを確認したら(S108)、各メンバーUE20(2),20(3)に、Mode-1を指定するモード指定メッセージ(SL mode flag:Mode-1)を送信する(S109)。
【0093】
リーダーUE20(1)は、同一グループに属する他のすべてのメンバーUE20(2),20(3)が、Mode-1を指定するモード指定メッセージ(SL mode flag:Mode-1)の受信に成功したか否かを確認する。リーダーUE20(1)は、グループ内のすべてのメンバーUE20(2),20(3)から、上記モード指定メッセージ(SL mode flag:Mode-1)の受信に成功したことを示すSL mode flag肯定応答(ACK)を受信したら、無線リソース割当制御モードとしてMode-1を選択し(S111)、Mode-1に基づくリソース割当制御を要求する要求メッセージ(SLスケジューリング要求メッセージ)を基地局10のCU120あるいはMEC装置140に送信する(S112)。
【0094】
なお、リーダーUE20(1)は、上記SL mode flag肯定応答(ACK)の代わりに、上記モード指定メッセージ(SL mode flag:Mode-1)の再送に対するSL HARQ肯定応答(ACK)を各メンバーUE20(2),20(3)から受信することにより、モード指定メッセージ(SL mode flag:Mode-1)の受信に成功したことを確認してもよい。
【0095】
基地局10のCU120あるいはMEC装置140は、リーダーUE20(1)から上記要求メッセージ(SLスケジューリング要求メッセージ)を受信したら、Mode-1に基づくリソース割当制御を実行する。
【0096】
図9は、本実施形態に係る通信システムにおける第2無線リソース割当制御モード(SL Mode-2)から第1無線リソース割当制御モード(SL Mode-1)への動的切り替え制御の他の例を示すシーケンス図である。なお、図9中のS201~S206については、前述の図8のS101~S106と同様であるので、説明を省略する。
【0097】
図9において、グループ内のすべてのUE20(1),20(2),20(3)は、Mode-1許容情報を受信した後、各UE20(1),20(2),20(3)がUu通信同期状態にあることを確認したら(S207)、無線リソース割当制御モードとしてMode-1を選択し(S208)、Mode-1に基づくリソース割当制御を要求する要求メッセージ(SLスケジューリング要求メッセージ)を基地局10のCU120あるいはMEC装置140に送信する(S209)。
【0098】
基地局10のCU120あるいはMEC装置140は、各UE20(1),20(2),20(3)から上記要求メッセージ(SLスケジューリング要求メッセージ)を受信したら、Mode-1に基づくリソース割当制御を実行する。
【0099】
図10は、本実施形態に係る通信システムにおけるUE20と基地局10の接続状態の判定の一例を示すシーケンス図である。図10に例示する接続状態の判定は、前述の図8及び図9におけるRRC状態チェック(S101,S201)で用いることができる。
【0100】
図10において、UE20は、基地局10から下りリンクのSS(同期信号)及びPBCH(報知チャネル)のブロック及びシステム情報を受信し、ランダムアクセス(RA)プリアンブル(PRACH)を基地局10に送信し、ランダムアクセス応答(RAR)とタイミングアドバンス(TA)コマンドを基地局10から受信することにより、基地局10に対する初回アクセス手順を実行する(S301~S304)。基地局10は、UE20から受信したRRC(無線リソース制御)接続要求のメッセージに応じてRRC接続セットアップのメッセージをUE20に送信し(S304,S305)、UE20からPUSCHで送信されたRRC接続セットアップ完了のメッセージを受信する(S306)。RRC接続セットアップ完了のメッセージの受信により、基地局10は、初回接続時に、対象のUE20が自セルの圏内に位置し、且つ、UE20との間がDL/ULの同期状態にあることを確認することができる。以降は、UE20がCQI(チャネル品質指標)送信などのために定期的に送信するPUCCHのCRC(巡回冗長検査)復号結果を確認することにより(S308)、基地局10は、UE20との接続状態を判定することができる。
【0101】
UE20は、RRC接続セットアップ完了のメッセージに対して基地局10からPDCCHで送信されたHARQ-ACKを受信することにより、初回接続時に、当該UE20が基地局10のセルの圏内に位置し、且つ、基地局10との間がDL/ULの同期状態にあることを確認することができる。以降は、基地局10が定期的に送信するPBCHの復号結果を確認することにより(S309)、UE20は、基地局10との接続状態を判定することができる。
【0102】
図11は、本実施形態に係る通信システムにおける基地局10のセルの圏内に位置するUE20のSidelink通信(SL)の同期確立及び接続状態の判定の一例を示すシーケンス図である。図11において、基地局10のセルの圏内では、各UE20は基地局10とのDL及びULの同期確立によってSidelink通信の同期を確立する。圏内でのSidelink通信の接続状態は、例えば図11に示すように、メンバーUE20(2)からリーダーUE20(1)へのFL方向のPSCCHの受信成功(S401)、及び、リーダーUE20(1)からメンバーUE20(2)へのBL方向のPSCCHの受信成功(S402)でもって確認することができる。
【0103】
図12は、本実施形態に係る通信システムにおける基地局10のセルの圏外に位置するUE20のSidelink通信(SL)の同期確立及び接続状態の判定の一例を示すシーケンス図である。基地局10のセルの圏外では、基地局との通信は発生せず、Uu通信に比べて短距離通信が前提となり、SLSS同期方式Timing Advanceを通常適用しない。例えば、図12に示すように、リーダーUE20(1)からメンバーUE20(2)へSidlink通信のSS/PBCH(SLSS/PSBCH)の送受信を実施することにより、Sidelink通信の同期を確立する(S501)。また、圏外でのSidelink通信の接続状態は、例えば図12に示すように、メンバーUE20(2)からリーダーUE20(1)へのFL方向のPSCCHの受信成功(S502)、及び、リーダーUE20(1)からメンバーUE20(2)へのBL方向のPSCCHの受信成功(S503)でもって確認することができる。
【0104】
以上、本実施形態によれば、移動通信網の基地局10を介して通信可能な複数のUE20(1),20(2),20(3)で形成されるグループ内で端末間直接通信(Sidelink通信)を行う場合に、同一グループ内の複数のUE20(1),20(2),20(3)に端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードを適切に選択して、同一グループ内のUEが増えてきた場合でも、同一グループ内で低遅延かつ高信頼な端末間直接通信を確実に行うことができる。
【0105】
また、本明細書で説明された処理工程並びに無線通信システム、移動通信システム、制御装置、MEC装置、基地局及び無線端末装置(端末、端末装置、ユーザ装置(UE)、移動局、移動機)の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0106】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、eNodeB、gNodeB、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0107】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0108】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0109】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0110】
10 :基地局
10A :セル
10X :圏外
14 :MEC装置
15 :コアネットワーク
20 :UE(無線端末装置)
21 :アンテナ
30 :車両
90 :道路
100 :基地局装置
101 :アンテナ
102 :アンテナ
122 :CUコントローラ
140 :MEC装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信網の基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置と、前記複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御を行う制御装置と、を備えるシステムであって、
前記制御装置は、前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、前記複数の無線端末装置のいずれかの無線端末装置が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能であり、
前記制御装置は、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局のセルの圏内に位置し且つ前記基地局との間で無線接続設定が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む前記端末間直接通信のリソース制御情報を、前記複数の無線端末装置に送信する手段と、
を備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、
前記端末間直接通信のリソース制御情報は、前記グループを識別可能なグループ識別情報又は前記グループに属する複数の無線端末装置それぞれの端末識別情報を含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1又は2のシステムにおいて、
前記グループに属する複数の無線端末装置のいずれか一の無線端末装置は、
前記制御装置から前記第1モード許容メッセージを受信した後、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、
前記グループに属する複数の無線端末装置の自装置以外の他のすべての無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記他のすべての無線端末装置に前記第1モードを指定するモード指定メッセージを送信する手段と、
前記他のすべての無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功したか否かを確認する手段と、
を備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3のシステムにおいて、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功した場合、前記一の無線端末装置は、前記第1モードに基づくリソース割当制御を要求する要求メッセージを前記制御装置に送信する、ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1又は2のシステムにおいて、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置はそれぞれ、
前記制御装置から前記第1モード許容メッセージを受信した後、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置のうち自装置が前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、
記自置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記無線リソース割当制御モードとして前記第1モードを選択し、前記第1モードに基づくリソース割当制御を要求する要求メッセージを前記制御装置に送信する手段と、
備える、ことを特徴とするシステム
【請求項6】
求項3乃至のいずれかのシステムにおいて、
前記一の無線端末装置又は前記グループに属するすべての複数の無線端末装置は、前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で同期状態にあることを示す同期状態情報を、前記他のすべての無線端末装置から受信することにより、前記他のすべての無線端末装置が前記同期状態にあることを確認する、ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項のシステムにおいて、
前記一の無線端末装置又は前記グループに属するすべての複数の無線端末装置は、前記他のすべての無線端末装置から、前記同期状態情報とともに、前記グループを識別可能なグループ識別情報を受信する、ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかのシステムにおいて、
前記グループは、予め設定された複数の無線端末装置で固定的に形成され、又は、互いに近接して位置する複数の無線端末装置でアドホックに形成される、ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれかのシステムにおいて、
初期の前記無線リソース割当制御モードとして、前記第2モードが選択されている、ことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかのシステムにおいて、
前記無線端末装置は、前記グループを形成して移動経路を走行する複数の車両のそれぞれに設けられている、ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
移動通信網の基地局を介して通信可能であり、周辺の一又は複数の無線端末装置とグループを形成して端末間直接通信を行う無線端末装置であって、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、
前記グループに属する複数の無線端末装置の自装置以外の他のすべての無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記他のすべての無線端末装置に前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードを指定するモード指定メッセージを送信する手段と、
前記他のすべての無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功したか否かを確認する手段と、
を備える、ことを特徴とする無線端末装置。
【請求項12】
他の車両とグループを組んで移動経路を走行する車両であって、
請求項11の無線端末装置を備えることを特徴とする車両。
【請求項13】
移動通信網の基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御を行う制御装置であって、
前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、前記複数の無線端末装置のいずれかの無線端末装置が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能であり、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局のセルの圏内に位置し且つ前記基地局との間で無線接続設定が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認する手段と、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む前記端末間直接通信のリソース制御情報を、前記複数の無線端末装置に送信する手段と、
を備える、ことを特徴とする制御装置。
【請求項14】
請求項13の制御装置において、
当該制御装置は、移動通信網の基地局又は前記基地局とコアネットワークとの間のノード又はコアネットワークの外側に設けられたCU(Central Unit)又はMEC(Multi-access Edge Computing)装置である、ことを特徴とする制御装置。
【請求項15】
移動通信網の基地局であって、
請求項13の制御装置を備えることを特徴とする基地局。
【請求項16】
移動通信システムの基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御モードの選択制御を行う方法であって、
前記複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御を行う制御装置が、前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、前記複数の無線端末装置のいずれかの無線端末装置が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能にすることと、
前記制御装置が、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局のセルの圏内に位置し且つ前記基地局との間で無線接続設定が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認することと、
前記制御装置が、前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む前記端末間直接通信のリソース制御情報を、前記複数の無線端末装置に送信することと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項17】
移動通信システムの基地局を介して通信可能な複数の無線端末装置がグループを形成して端末間直接通信を行うときの無線リソース割当制御を行う制御装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして、前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードと、前記複数の無線端末装置のいずれかの無線端末装置が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第2モードとから選択可能にするためのプログラムコードと、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局のセルの圏内に位置し且つ前記基地局との間で無線接続設定が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認するためのプログラムコードと、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記第1モードの動作を許容する第1モード許容メッセージを含む前記端末間直接通信のリソース制御情報を、前記複数の無線端末装置に送信するためのプログラムコードと、
を含む、ことを特徴とするプログラム
【請求項18】
移動通信網の基地局を介して通信可能であり、周辺の一又は複数の無線端末装置とグループを形成して端末間直接通信を行う無線端末装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
前記グループに属するすべての複数の無線端末装置が前記端末間直接通信のリソース制御情報の受信が完了して前記基地局との間で下りリンク及び上りリンクが同期した同期状態にあるか否かを確認するためのプログラムコードと、
前記グループに属する複数の無線端末装置の自装置以外の他のすべての無線端末装置が前記基地局との同期状態にあることを確認した場合、前記他のすべての無線端末装置に前記グループに属する複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御モードとして前記基地局が前記複数の無線端末装置の端末間直接通信の無線リソースを割り当てる第1モードを指定するモード指定メッセージを送信するためのプログラムコードと、
前記他のすべての無線端末装置が前記モード指定メッセージの受信に成功したか否かを確認するためのプログラムコードと、
を含む、ことを特徴とするプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
【非特許文献1】Pavel Mach, Zdenek Becavar, and Tomas Vanek, "In-Band Device-to-Device Communication in OFDMA Cellular Networks: A Survey and Challenges," IEEE Communication Surveys & Tutorials, vol.17, no.4, pp.1885-1922, June 2015.
【非特許文献2】3GPP TR22.886 V16.2.0, "Study on enhancement of 3GPP support for 5G V2X services (Release 16)," Dec. 2018.
【非特許文献3】3GPP TR37.985 V16.0.0, "Overall description of Radio Access Network (RAN) aspects for Vehicle-to-everything (V2X) based on LTE and NR (Release 16)," June 2020.
【非特許文献4】3GPP TR38.885 V16.0.0, "Study on NR Vehicle-to-Everything (V2X) (Release 16)," March 2019.
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
SLの無線フレーム403における先頭のタイムスロット403aは、Sidelink通信の同期に用いるSidelink Primary Synchonization Signal(S-PSS)およびSidelink Secondary Synchonization Signal(S-SSS)から構成されるSLSS(Sidelink同期信号)及びPSBCH(物理Sidelink報知チャネル)と、PSBCHの情報を復調するためのPSBCH_DMRS(PSBCH復調用参照信号)とが含まれる特別なタイムスロットである。SLSS、PSBCH及びPSBCH_DMRSは、例えば、基地局10のセルの圏外において、複数のUE20のいずれか一のUE(以下「リーダーUE」又は「マスターUE」ともいう。)20(1)が主体となって他のUE(以下「メンバーUE」ともいう。)20(2),20(3)との間で行うSidelink通信の同期処理及び接続確立処理に用いることができる(後述の図12参照)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
Uu同期方式は、移動通信網(セルラーネットワーク)の基地局10が端末側のセルサーチやDL同期確立のために定期的に送信しているPrimary Synchonization Signal(PSS)やSecondary Synchronization Signal(SSS)等の共通信号を端末間同期用リファレンスとして用いる方式である。SL同期方式は、SLSSを用いて端末間同期を実現し、トンネル内や基地局圏外エリアなど他の同期用リファレンスが利用できない場合に用いられる。一方、GNSS同期方式は、UE20に設けた現在位置取得手段としてのGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機がGNSS衛星からの電波を受信して取得した時刻リファレンスを端末間同期用リファレンスとして用いる方式であり、時刻リファレンスの信号源は自装置内のGNSS受信機である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
上記S105において、各UE20(1),20(2),20(3)がMode-1許容情報を受信した場合、リーダーUE20(1)は、同一グループに属する他のすべてのメンバーUE20(2),20(3)からUu通信の同期状態を示すUu同期状態情報転送を受信し、各メンバーUE20(2),20(3)(Uu)がUu通信同期状態にあるか否かを判断する(S107)。Uu同期状態情報転送には、前述のUEグループIDとUu同期状態情報とを含められる。Uu同期状態情報が「1:Uu In-Sync」であれば、Uu通信の同期状態にあることを確認でき、「0:Uu Out-of-Sync」であれば、Uu通信の非同期状態にあることを確認できる。また、UEグループIDを含むUu同期状態情報転送を受信することにより、リーダーUE20(1)は、互いにMode-1の動作を行うことの可否に関するメンバーUEを確認することができ、また、基地局10のセル内に複数のUEグループが存在する場合において、Sidelink通信の無線リソース割当制御モードをMode-1に切り替える対象のUEグループを限定することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6