(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139371
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】端子部品および蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/553 20210101AFI20220915BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20220915BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20220915BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20220915BHJP
H01M 50/567 20210101ALI20220915BHJP
【FI】
H01M50/553
H01M50/566
H01G11/74
H01G4/228 Z
H01M50/567
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039714
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】米田 幸志郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康介
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 貴宏
【テーマコード(参考)】
5E078
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA10
5E078KA04
5E078KA05
5E078KA06
5H043AA19
5H043AA20
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
5H043CA22
5H043DA05
5H043DA09
5H043DA16
5H043DA20
5H043HA08D
5H043HA16D
5H043HA17D
5H043JA01D
5H043JA03D
5H043JA22D
5H043KA01D
5H043LA21D
5H043LA22D
(57)【要約】
【課題】端子部品の品質向上
【解決手段】
端子部品200は、第1金属201と、第1金属201に重ねられた第2金属202とを備えている。第1金属201と第2金属202との境界には、カシメ部211と、接合部212と、空隙213とを有している。カシメ部211は、第1金属201と第2金属202とのうち何れか一方が他方にかしめられた部位である。接合部212は、カシメ部211とは別の部位に設けられ、第1金属201と第2金属202とが重ねられて接合された部位である。空隙213は、接合部212の周囲に形成されている。かかる端子部品によれば、接合部212の周囲に空隙213を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属と前記第2金属との境界には、
前記第1金属と前記第2金属とのうち何れか一方が他方にかしめられたカシメ部と、
前記カシメ部とは別の部位に設けられ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられて接合された接合部と、
前記接合部の周囲に形成された空隙と
を有する、端子部品。
【請求項2】
前記第1金属と、前記第2金属とが異種金属からなる、請求項1に記載された端子部品。
【請求項3】
前記空隙は、前記接合部の周囲において連続している、請求項1または2に記載された端子部品。
【請求項4】
前記第1金属は、
軸部と、前記軸部の一端から外径方向に延びたフランジ部とを有し、
前記第2金属は、
展延性を有し、
前記第1金属よりも剛性が低く、かつ、
前記フランジ部を含む前記第1金属の端部に重ねられ、前記フランジ部の周縁にかしめられている、
請求項1から3までの何れか一項に記載された端子部品。
【請求項5】
前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた部位には、少なくとも何れか一方に突起が設けられており、かつ、他方に当該突起が収まる凹みが形成されており、
当該突起の先端が他方の凹みの底部に当たった部位が接合されており、当該突起の周りに周方向に連続した空隙が形成されている、請求項4に記載された端子部品。
【請求項6】
前記第1金属は、前記フランジ部を有する端部に前記第2金属に向けて突出した第1突起を有し、
前記第2金属は、前記フランジ部を有する端部に重ねられる部位に、前記第1金属に向けて突出し、前記第1突起に接合された第2突起を有する、請求項4に記載された端子部品。
【請求項7】
電池ケースと、
前記電池ケースに取り付けられた電極端子と
を備え、
前記電極端子は、請求項1から6までの何れか一項に記載された端子部品で構成された部位を含む、蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子部品および蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-18675号公報には、二次電池に関する発明が開示されている。同公報で開示された二次電池は、異なる材料からなる正極及び負極の外部端子を備え、該正極及び負極の外部端子のうち一方の外部端子と同種の材料からなるバスバーによって直列に接続されている。二次電池は、一方の外部端子の材料に対する溶接性に優れた材料からなり、正極及び負極の外部端子のうち他方の外部端子に超音波圧接されると共に、バスバーが溶接されるバスバー接合面を有する金属部材を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車載用に用いられる場合、車両の走行振動がバスバーを通じて二次電池の外部端子にも伝わる。外部端子が、異種金属接合を有する構造を備えている場合には、当該異種金属接合に振動が伝わる。本発明者の知見では、超音波圧接のような接合方法で異種金属接合された部位は、量産過程において、個々に接合強度のばらつきが大きくなりやすい。また、本発明者は、異種金属を超音波圧接するだけでなく、一方の金属に他方の金属をかしめる構造を組み合わせることを検討している。しかし、一方の金属に他方の金属をかしめてから超音波圧接する場合には、2つの金属がかしめられているため、超音波圧接に必要な超音波振動を作用させにくい。また、超音波圧接してからかしめると、かしめる工程での歪みが超音波圧接された部位に作用し、超音波圧接で接合された部位の品質を劣化させることが考慮される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示される端子部品は、第1金属と、第1金属に重ねられた第2金属とを備えている。第1金属と前記第2金属との境界には、第1金属と第2金属とのうち何れか一方が他方にかしめられたカシメ部と、カシメ部とは別の部位に設けられ、第1金属と第2金属とが重ねられて接合された接合部と、接合部の周囲に形成された空隙とを有している。かかる端子部品によれば、接合部の周囲に空隙を有しているので、接合部における接合の品質が向上する。
【0006】
ここで、第1金属と第2金属とは、異種金属であってもよい。空隙は、接合部の周囲において連続していてもよい。空隙が、接合部の周囲において連続していることによって、接合部における接合の品質が格段に向上する。
【0007】
第1金属は、軸部と、軸部の一端から外径方向に延びたフランジ部とを有していてもよい。第2金属は、展延性を有し、第1金属よりも剛性が低く、かつ、フランジ部を含む第1金属の端部に重ねられ、フランジ部の周縁にかしめられていてもよい。
【0008】
第1金属と第2金属とが重ねられた部位には、少なくとも何れか一方に突起が設けられており、かつ、他方に当該突起が収まる凹みが形成されていてもよい。突起の先端では、他方の凹みの底部に当たった部位が接合されており、当該突起の周りに周方向に連続した空隙が形成されていてもよい。
【0009】
第1金属は、フランジ部を有する端部に第2金属に向けて突出した第1突起を有していてもよい。この場合、第2金属は、フランジ部を有する端部に重ねられる部位に、第1金属に向けて突出し、第1突起に接合された第2突起を有していてもよい。
【0010】
電池ケースと、電池ケースに取り付けられた電極端子とを備えた蓄電デバイスでは、電極端子に、上述した端子部品で構成された部位が含まれていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、リチウムイオン二次電池10の部分断面図である。
【
図4】
図4は、端子部品200を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、組電池100を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、端子部品200Aを示す模式図である。
【
図7】
図7は、端子部品200Bを示す模式図である。
【
図8】
図8は、端子部品200Cを示す模式図である。
【
図9】
図9は、端子部品200Dを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、ここで開示される端子部品および蓄電デバイスの一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
《蓄電デバイス》
本明細書において「蓄電デバイス」とは、充電と放電を行なうことができるデバイスをいう。蓄電デバイスには、一般にリチウムイオン電池やリチウム二次電池などと称される電池の他、リチウムポリマー電池、リチウムイオンキャパシタなどが包含される。二次電池には、正負極間の電荷担体の移動に伴って繰り返しの充放電が可能な電池一般をいう。ここでは、蓄電デバイスの一形態として、リチウムイオン二次電池を例示する。
【0014】
《リチウムイオン二次電池10》
図1は、リチウムイオン二次電池10の部分断面図である。
図1では、略直方体の電池ケース41の片側の幅広面に沿って、内部を露出させた状態が描かれている。
図1に示されたリチウムイオン二次電池10は、いわゆる密閉型電池である。
図2は、
図1のII-II断面を示す断面図である。
図2では、略直方体の電池ケース41の片側の幅狭面に沿って内部を露出させた状態の部分断面図が模式的に描かれている。
【0015】
リチウムイオン二次電池10は、
図1に示されているように、電極体20と、電池ケース41と、正極端子42,負極端子43とを備えている。
【0016】
〈電極体20〉
電極体20は、絶縁フィルム(図示は省略)などで覆われた状態で、電池ケース41に収容されている。電極体20は、正極要素としての正極シート21と、負極要素としての負極シート22と、セパレータとしてのセパレータシート31,32とを備えている。正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長尺の帯状の部材である。
【0017】
正極シート21は、予め定められた幅および厚さの正極集電箔21a(例えば、アルミニウム箔)に、幅方向の片側の端部に一定の幅で設定された未形成部21a1を除いて、正極活物質を含む正極活物質層21bが両面に形成されている。正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、リチウム遷移金属複合材料のように、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸収しうる材料である。正極活物質は、一般的にリチウム遷移金属複合材料以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0018】
負極シート22は、予め定められた幅および厚さの負極集電箔22a(ここでは、銅箔)に、幅方向の片側の縁に一定の幅で設定された未形成部22a1を除いて、負極活物質を含む負極活物質層22bが両面に形成されている。負極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、天然黒鉛のように、充電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時に吸蔵したリチウムイオンを放電時に放出しうる材料である。負極活物質は、一般的に天然黒鉛以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0019】
セパレータシート31,32には、例えば、所要の耐熱性を有する電解質が通過しうる多孔質の樹脂シートが用いられる。セパレータシート31,32についても種々提案されており、特に限定されない。
【0020】
ここで、負極活物質層22bの幅は、例えば、正極活物質層21bよりも広く形成されている。セパレータシート31,32の幅は、負極活物質層22bよりも広い。正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、幅方向において互いに反対側に向けられる。また、正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長さ方向に向きを揃え、順に重ねられて捲回されている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32を介在させた状態で正極活物質層21bを覆っている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32に覆われている。正極集電箔21aの未形成部21a1は、セパレータシート31,32の幅方向の片側にはみ出ている。負極集電箔22aの未形成部22a1は、幅方向の反対側においてセパレータシート31,32からはみ出ている。
【0021】
上述した電極体20は、
図1に示されているように、電池ケース41のケース本体41aに収容されうるように、捲回軸を含む一平面に沿った扁平な状態とされる。そして、電極体20の捲回軸に沿って、片側に正極集電箔21aの未形成部21a1が配置され、反対側に負極集電箔22aの未形成部22a1が配置されている。
【0022】
〈電池ケース41〉
電池ケース41は、
図1に示されているように、電極体20を収容している。電池ケース41は、一側面が開口した略直方体の角形形状を有するケース本体41aと、開口に装着された蓋41bとを有している。この実施形態では、ケース本体41aと蓋41bは、軽量化と所要の剛性を確保するとの観点で、それぞれアルミニウムまたはアルミニウムを主とするアルミニウム合金で形成されている。
【0023】
〈ケース本体41a〉
ケース本体41aは、
図1および
図2に示されているように、一側面が開口した略直方体の角形形状を有している。ケース本体41aは、略矩形の底面部61と、一対の幅広面部62,63と、一対の幅狭面部64,65とを有している。一対の幅広面部62,63は、それぞれ底面部61のうち長辺から立ち上がっている。一対の幅狭面部64,65は、それぞれ底面部61のうち短辺から立ち上がっている。ケース本体41aの一側面には、一対の幅広面部62,63と一対の幅狭面部64,65で囲まれた開口41a1が形成されている。
【0024】
〈蓋41b〉
蓋41bは、一対の幅広面部62,63の長辺と、一対の幅狭面部64,65の短辺とで囲まれたケース本体41aの開口41a1に装着される。そして、蓋41bの周縁部が、ケース本体41aの開口41a1の縁に接合される。かかる接合は、例えば、隙間がない連続した溶接によるとよい。かかる溶接は、例えば、レーザー溶接によって実現されうる。
【0025】
この実施形態では、蓋41bには、正極端子42と、負極端子43とが取り付けられている。正極端子42は、内部端子42aと、外部端子42bとを備えている。負極端子43は、内部端子43aと、外部端子43bとを備えている。内部端子42a,43aは、それぞれインシュレータ72を介して蓋41bの内側に取り付けられている。外部端子42b,43bは、それぞれガスケット71を介して蓋41bの外側に取り付けられている。内部端子42a,43aは、それぞれケース本体41aの内部に延びている。正極の内部端子42aは、正極集電箔21aの未形成部21a1に接続されている。負極の内部端子43aは、負極集電箔22aの未形成部22a1に接続されている。
【0026】
電極体20の正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、
図1に示されているように、蓋41bの長手方向の両側部にそれぞれ取り付けられた内部端子42a,43aに取り付けられている。電極体20は、蓋41bに取り付けられた内部端子42a,43aに取付けられた状態で、電池ケース41に収容される。なお、ここでは、捲回型の電極体20が例示されている。電極体20の構造はかかる形態に限定されない。電極体20の構造は、例えば、正極シートと負極シートとが、セパレータシートとを介在させて交互に積層された積層構造でもよい。また、電池ケース41内には、複数の電極体20が収容されていてもよい。
【0027】
図3は、
図2のIII-III断面図である。
図3では、負極端子43が蓋41bに取り付けられた部位の断面が示されている。この実施形態では、負極の外部端子43bには、異種金属を接合した部材が用いられている。
図3では、外部端子43bを構成する異種金属の構造や異種金属の界面などは図示されず、外部端子43bの断面形状が模式的に示されている。
【0028】
蓋41bは、
図3に示されているように、負極の外部端子43bを取り付けるための取付孔41b1を有している。取付孔41b1は、蓋41bの予め定められた位置において蓋41bを貫通している。蓋41bの取付孔41b1には、ガスケット71とインシュレータ72を介在させて、負極の内部端子43aと外部端子43bとが取り付けられる。取付孔41b1の外側には、取付孔41b1の周りにガスケット71が装着される段差41b2が設けられている。段差41b2には、ガスケット71が配置される座面41b3が設けられている。座面41b3には、ガスケット71を位置決めするための突起41b4が設けられている。
【0029】
ここで、負極の外部端子43bは、
図3に示されているように、頭部43b1と、軸部43b2と、カシメ片43b3とを備えている。頭部43b1は、蓋41bの外側に配置される部位である。頭部43b1は、取付孔41b1よりも大きな略平板状の部位である。軸部43b2は、ガスケット71を介して取付孔41b1に装着される部位である。軸部43b2は、頭部43b1の略中央部から下方に突出している。カシメ片43b3は、
図3に示されているように、蓋41bの内部において、負極の内部端子43aにかしめられる部位である。カシメ片43b3は、軸部43b2から延びており、蓋41bに挿通された後で折曲げられて負極の内部端子43にかしめられる。
【0030】
〈ガスケット71〉
ガスケット71は、
図3に示されているように、蓋41bの取付孔41b1および座面41b3に取り付けられる部材である。この実施形態では、ガスケット71は、座部71aと、ボス部71bと、側壁71cとを備えている。座部71aは、蓋41bの取付孔41b1周りの外側面に設けられた座面41b3に装着される部位である。座面41b3に合わせて略平坦な面を有する。座部71aには、座面41b3の突起41b4に応じた凹みを備えている。ボス部71bは、座部71aの底面から突出している。ボス部71bは、蓋41bの取付孔41b1に装着されるように取付孔41b1の内側面に沿った外形形状を有している。ボス部71bの内側面は、外部端子43bの軸部43b2が装着される装着孔となる。側壁71cは、座部71aの周縁から上方に立ち上がっている。外部端子43bの頭部43b1は、ガスケット71の側壁71cで囲まれた部位に装着される。
【0031】
ガスケット71は、蓋41bと外部端子43bとの間に配置され、蓋41bと外部端子43bとの絶縁を確保している。また、ガスケット71は、蓋41bの取付孔41b1の気密性を確保している。かかる観点で、耐薬品性や耐候性に優れた材料が用いられるとよい。この実施形態では、ガスケット71には、PFAが用いられている。PFAは、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(Tetrafluoroethylene-Perfluoroalkylvinylether Copolymer)である。なお、ガスケット71に用いられる材料は、PFAに限定されない。
【0032】
〈インシュレータ72〉
インシュレータ72は、蓋41bの取付孔41b1の周りにおいて、蓋41bの内側に装着される部材である。インシュレータ72は、ベース部72aと、孔72bと、側壁72cとを備えている。ベース部72aは、蓋41bの内側面に沿って配置される部位である。この実施形態では、ベース部72aは、略平板状の部位である。ベース部72aは、蓋41bの内側面に沿って配置され、ケース本体41aに収められるように、蓋41bからはみ出ない程度の大きさを有している。孔72bは、取付孔41b1に対応して設けられた穴である。この実施形態では、孔72bは、ベース部72aの略中央部に設けられている。蓋41bの内側面に対向する側面において、孔72bの周りには凹んだ段差72b1が設けられている。段差72b1には、取付孔41b1に装着されたガスケット71のボス部71bの先端が干渉しないように収められる。側壁72cは、ベース部72aの周縁部から下方に立ち上がっている。ベース部72aには、負極の内部端子43aの一端に設けられる基部43a1が収められる。インシュレータ72には、電池ケース41の内部に配置されるため、所要の耐薬品性を備えているとよい。この実施形態では、インシュレータ72には、PPSが用いられている。PPSは、ポリフェニレンサルファイド樹脂(Poly Phenylene Sulfide Resin)である。なお、インシュレータ72に用いられる材料は、PPSに限定されない。
【0033】
負極の内部端子43aは、基部43a1と、接続片43a2(
図1および
図2参照)とを備えている。基部43a1は、インシュレータ72のベース部72aに装着される部位である。この実施形態では、基部43a1は、インシュレータ72のベース部72aの周りの側壁72cの内側に応じた形状を有している。接続片43a2は、
図1および
図2に示されているように、基部43a1の一端から延びており、ケース本体41a内に延びて電極体20の負極の未形成部22a1に接続されている。
【0034】
この実施形態では、取付孔41b1にボス部71bを装着しつつ、蓋41bの外側にガスケット71を取付ける。外部端子43bがガスケット71に装着される。この際、外部端子43bの軸部43b2がガスケット71のボス部71bに挿通され、かつ、ガスケット71の座部71aに外部端子43bの頭部43b1が配置される。蓋41bの内側は、インシュレータ72と負極端子43が取り付けられる。そして、
図3に示されているように、外部端子43bのカシメ片43b3が折曲げられて、負極端子43の基部43a1にかしめられる。外部端子43bのカシメ片43b3と負極端子43の基部43a1とは、導通性を向上させるために部分的に金属接合されているとよい。
【0035】
ところで、リチウムイオン二次電池10の正極の内部端子42aでは、耐酸化還元性の要求レベルが負極に比べて高くない。そして、要求される耐酸化還元性と、軽量化の観点で、正極の内部端子42aにはアルミニウムが用いられうる。これに対して、負極の内部端子43aでは、耐酸化還元性の要求レベルが正極よりも高い。かかる観点で、負極の内部端子43aには、銅が用いられうる。他方で、外部端子43bが接続されるバスバーでは、軽量化および低コスト化の観点で、アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。
【0036】
本発明者は、外部端子43bのうち内部端子43aに接合される部位に、銅を用いること、および、外部端子43bのうちバスバーに接続される部位に、アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いること、を検討している。かかる構造を実現するため、この実施形態では、外部端子43bには、銅とアルミを異種金属接合させた部材が用いられている。一般的に異種金属接合は接合強度を確保することが難しい。このため、本発明者は、さらに銅とアルミを機械的なカシメ構造を合わせて採用することを検討している。なお、ここでは、リチウムイオン二次電池10を例にして外部端子43bに、銅とアルミを接合させた部材が例示されている。外部端子43bを構成する2つの金属は、銅とアルミに限定されない。以下、負極の外部端子43bを構成する端子部品200の構造を説明する。
【0037】
《端子部品200》
図4は、端子部品200を模式的に示す断面図である。端子部品200は、
図3に示された負極の外部端子43bに用いられうる。
図4では、端子部品200について、異種金属の構造や異種金属の界面が模式的に示されている。また、
図4では、端子部品200を構成する第1金属201と第2金属202とが接合される工程が模式的に示されている。
【0038】
端子部品200は、
図4に示されているように、第1金属201と、第1金属201に重ねられた第2金属202とを備えている。第1金属201と、第2金属202とが異種金属からなる。第1金属201と第2金属202との境界には、カシメ部211と、接合部212と、空隙213とを備えている。
図4に示された形態では、第2金属202が第1金属201の周縁部にかしめられている。
【0039】
この実施形態では、第1金属201は、軸部201aと、軸部201aの一端から外径方向に延びたフランジ部201bとを有している。フランジ部201bの外縁201b1には、第2金属202がかしめられる被カシメ部が設けられている。この実施形態では、第2金属202がかしめられるフランジ部201bの外縁201b1は、フランジ部201bを含む第1金属201の端面側から他方の側面側に向けて徐々に外径が小さくなるように傾斜したテーパ面で構成されている。また、フランジ部201bが設けられた側では、軸部201aの端部に突起201a1が設けられている。また、軸部201aには、フランジ部201bが設けられた側とは反対側に、さらに内部端子43aにかしめられるカシメ片43b3となる部位201cが設けられている。
【0040】
ここで、第1金属201は、端子部品200のうち電池ケース41の内部に向けて配置され、負極の内部端子43aに接合される部位を構成している。この実施形態では、第1金属201は、銅で構成されている。端子部品200のうち、少なくとも銅で構成された部位が露出した部分は、適宜にニッケル被膜が形成されていてもよい。ニッケル被膜が形成されていることによって、適宜に銅害が抑止される。ニッケル被膜は、例えば、鍍金によって形成されていてもよい。
【0041】
第2金属202には、展延性を有し、かつ、第1金属201よりも剛性が低い金属が用いられている。この実施形態では、第2金属202は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されている。第2金属202は、フランジ部201bを含む第1金属201の端部を覆うように凹部202aが形成されている。この実施形態では、凹部202aの底に、第1金属201の突起201a1が収まる凹み202a1が形成されている。凹み202a1の外径は、第1金属201の突起201a1よりも一回り大きく、凹み202a1の深さは、突起201a1の高さと同程度である。
【0042】
第2金属202は、第1金属201のフランジ部201bが形成された端部に重ねられている。この際、第1金属201のフランジ部201bが形成された端部が、第2金属202の凹部202aに収められている。さらに、第1金属201のフランジ部201bが形成された端部に設けられた突起201a1が、第2金属202の凹部202aに設けられた凹み202a1に収められている。この際、凹み202a1の底と、突起201a1の頂部とが接触または近接した状態で向かい合う。このように、突起201a1の高さと、凹み202a1の深さは予め設定されているとよい。なお、
図4では、第1金属201のフランジ部201bの外縁201b1に、第2金属202の凹部202aの内側面がかしめられた状態が示されている。かしめられる前では、第2金属202の凹部202aは、第1金属201のフランジ部201bの外径よりも少し大きい略円形の凹みで形成されているとよい。
【0043】
図4では、第1金属201と第2金属202とが超音波接合される様子が図示されている。ここで、
図4に示されているように、第1金属201と第2金属202とが重ねられた状態で、第1金属201側にアンビル301が取り付けられる。他方で、第2金属202側にホーン302が取り付けられる。ホーン302とアンビル301は、凹み202a1の底と、突起201a1の頂部とが対向した部位を挟むように配置される。そして、凹み202a1の底と突起201a1の頂部とにおいて、第1金属201と第2金属202とが接触するように、ホーン302とアンビル301によって第1金属201と第2金属202とが加圧される。さらに、ホーン302によって超音波振動を与え、凹み202a1の底と突起201a1の頂部とを接合させる。この際、接合部212の周囲に空隙213がある。このため、凹み202a1の底と突起201a1の頂部とが確実に接触する。さらに、ホーン302から付与される振動が、凹み202a1の底と突起201a1の頂部とが接触した部位に集中的に作用する。このため、接合部212が品質良く超音波接合される。
【0044】
なお、接合部212は、抵抗溶接されてもよい。抵抗溶接による場合は、ホーン302とアンビル301に変えて、抵抗溶接の電極を押し当てて通電する。この場合も、接合部212の周囲に空隙213があるので、凹み202a1の底と突起201a1の頂部とに電流を集中し、凹み202a1の底と突起201a1の頂部との界面を発熱させて接合させることができる。このため、接合部212が品質良く抵抗溶接される。このように接合された接合部212では、いわゆる固相接合が構成されるので、第1金属201と第2金属202との間の導通抵抗が低く抑えられる。
【0045】
端子部品200は、第2金属202が第1金属201にかしめられたカシメ部211を有している。この実施形態では、第1金属201のフランジ部201bの外縁201b1に、第2金属202がかしめられている。この実施形態では、第1金属201のフランジ部201bは、第2金属202の凹部202aに収められる。第1金属201のフランジ部201bの外縁201b1は、凹部202aの底側から開口側に向けて外径が徐々に小さくなったテーパ面を有している。第2金属202の凹部202aの内側面は、かかるテーパ面に沿って変形させられている。例えば、第2金属202を凹部202aに、第1金属201のフランジ部201bを収めてホーン302とアンビル301で挟み、超音波接合を行ないつつ、第2金属202の側端面202bを叩く。これによって、
図4に示されているように、第2金属202の凹部202aの内側面が、第1金属201の外縁201b1のテーパ面を抱き込むように変形する。この結果、第2金属202の凹部202aの内側面が、フランジ部201bの外縁201b1にかしめられる。
【0046】
このように第1金属201と第2金属202とは、金属接合または溶接のような固相溶接による接合部212に加えて、機械的にかしめられたカシメ部211を有している。このため、カシメ部211において機械的な接合強度が確保され、かつ、接合部212において固相溶接による低い電気抵抗による導通性が確保される。端子部品200のうち第1金属201の軸部201aは、
図3に示されているように、蓋41bの取付孔41b1に挿入される軸部43b2を構成している。第1金属201のフランジ部201bと、フランジ部201bに被さった第2金属202とは、
図3に示されているように、外部端子43bの頭部43b1を構成している。外部端子43bの頭部43b1の外側に露出した部位は、フランジ部201bに被さった第2金属202で構成される(
図4参照)。
【0047】
図5は、組電池100を模式的に示す斜視図である。組電池100は、複数の二次電池10と、複数のスペーサ90とを備えている。また、組電池100は、拘束機構を備えている。具体的に例えば、組電池100は、図示されるように、一対のエンドプレート92A,92Bと、拘束バンド94と、複数のビス96とを備えている。一対のエンドプレート92A,92Bは、二次電池10の配列方向において、組電池100の両端に配置されている。拘束バンド94は、一対のエンドプレート92A,92Bに架け渡され、ビス96によって一対のエンドプレート92A,92Bに取り付けられている。スペーサ90は、隣り合った2つの二次電池10の間に挟まれている。また、二次電池10とエンドプレート92Aの間と、二次電池10とエンドプレート92Bとの間とには、それぞれ、端部スペーサ98が配置されている。組電池100を構成する二次電池10の正極端子42と負極端子43とは、バスバー91によって電気的に接続されている。このことにより、組電池100を構成する二次電池10は、順に直列に電気的に接続されている。ただし、組電池100を構成する二次電池10の形状、サイズ、個数、配置、接続方法等はここに開示される態様に限定されることなく、適宜変更することができる。
【0048】
図4に示された、端子部品200は、リチウムイオン二次電池10の負極の外部端子43bとして用いられる。外部端子43bは、バスバー91に接続される。外部端子43bとバスバー91とは、例えば、レーザー溶接で溶接されうる。バスバー91は、軽量化の観点でアルミニウムが用いられるが、ここで提案される端子部品200によれば、負極の外部端子43bのうちリチウムイオン二次電池10の外側に露出した第1金属201には、アルミニウムが用いられうる。正極の外部端子42bは、アルミニウムで構成される。このため、バスバー91と負極の外部端子43bとの接合、および、バスバー91と正極の外部端子42bとの接合に異種金属接合が生じず、強度において信頼性の高い接合を実現できる。また、この端子部品200によれば、負極の外部端子43bのうち、電池ケース41の内部で内部端子43aと接合される部位201c(
図3および
図4参照)は、第1金属201であり、銅である。このため、負極の外部端子43bと内部端子43aとの接合にも異種金属接合が生じず、強度において信頼性の高い接合を実現できる。
【0049】
このように、ここで提案される端子部品200によれば、第1金属201と第2金属202との境界には、カシメ部211と、接合部212と、空隙213とを備えている。カシメ部211は、第1金属201と第2金属202とのうち何れか一方が他方にかしめられた部位である。接合部212は、カシメ部211とは別の部位に設けられ、第1金属201と第2金属202とが重ねられて接合された部位である。空隙213は、接合部212の周囲に形成されている。接合部212には、例えば、第1金属201と第2金属202との界面を圧接しつつ、超音波による振動が与えて接合する超音波接合や、第1金属201と第2金属202との界面を圧接しつつ通電する抵抗溶接が採用されうる。この場合、空隙213が、接合部212の周囲に設けられているので、接合部212に超音波接合時の振動や、抵抗溶接時の通電が集中しやすい。このため、接合部212における超音波接合や抵抗溶接の品質が向上する。
【0050】
第1金属201と第2金属202とは、異種金属からなっていてもよい。また、空隙213は、接合部212の周囲において連続しているとよい。空隙213は、接合部212の周囲の少なくとも一箇所に設けられていてもよいが、空隙213が、接合部212の周囲において連続していることによって、超音波接合や抵抗溶接において接合部212に振動や通電がより確実に集中する。このため、接合部212における超音波接合や抵抗溶接の品質が格段に向上する。
【0051】
また、上述したように、第1金属201は、軸部201aと、軸部201aの一端から外径方向に延びたフランジ部201bとを有していてもよい。第2金属202は、展延性を有し、第1金属201よりも剛性が低く、かつ、フランジ部201bを含む第1金属201の端部に重ねられ、フランジ部201bの周縁にかしめられていてもよい。
図4に示された形態では、第1金属201のフランジ部201bの外縁は、テーパ面であり、第2金属202は、かかる第1金属201のフランジ部201bの外縁にかしめられる。かかる形態に限らず、第1金属201のフランジ部201bの外縁は、かしめられた第2金属202を保持できる形状であることが望ましい。例えば、外縁に突起や凹みが設けられていてもよい。
【0052】
例えば、
図4に示された形態のように、第1金属201と第2金属202とが重ねられた部位には、少なくとも何れか一方に突起201a1が設けられており、かつ、他方に当該突起201a1が収まる凹み202a1が形成されていてもよい。そして、当該突起201a1の先端が他方の凹み202a1の底部に当たった部位(接合部212)が金属接合されていてもよい。また、当該突起201a1の周りに周方向に連続した空隙213が形成されていてもよい。なお、ここで提案される形態は、
図4に示された形態に限定されない。つまり、端子部品200の構造は、特段言及されない限りにおいて、
図4に示された形態に限定されない。
【0053】
図6~
図9は、端子部品200の他の形態である端子部品がそれぞれ示されている。
図6~
図9は、
図1と同じ作用を奏する部材・部位には、適宜に同じ符号が付されており、重複する説明は適宜に省略されている。
【0054】
図6は、端子部品200Aを示す模式図である。端子部品200Aでは、
図6に示されているように、接合部212が構成される部位において、第1金属201には、凹み201dが形成されている。第2金属202には、凹み201dに嵌まる部位に突起202dが形成されている。凹み201dは、突起202dよりも一回り大きく、突起202dの周りに空隙213が形成されている。この実施形態では、
図6に示されているように、第1金属201と第2金属202とが重ねられた後、第1金属201側にアンビル301が取り付けられ、第2金属202側にホーン302が取り付けられる。そして、第1金属201と第2金属202をホーン302とアンビル301とで挟みつつ、ホーン302から振動を作用させる。第2金属202には、ホーン302が押し付けられる部位に、予め凹み201d1が形成されている。また、第1金属201のフランジ部201bの外縁にカシメ部211が設けられている。第2金属202は、第1金属201のフランジ部201bの外縁にかしめられている。
【0055】
かかる端子部品200Aは、接合部212の周囲に空隙213が設けられている。このため、接合部212を超音波接合する場合に、接合部212に振動を集中させることができる。このため、接合部212が品質良く超音波接合される。また、接合部212は、ホーン302とアンビル301に代えて、抵抗溶接用の電極が用いられることによって、抵抗溶接されうる。接合部212が抵抗溶接される場合にも、端子部品200Aでは、接合部212の周囲に空隙213が設けられているので、接合部212に電流を集中させることができる。このため、接合部212が品質良く抵抗溶接される。また、第1金属201と第2金属202とは、接合部212とは異なる位置に、カシメ部211が設けられている。このため、第1金属201と第2金属202とは、機械的な所要の接合強度を確保されている。
図6に示された形態のように、第2金属202に突起202dが設けられ、第1金属201に凹み201dが形成されていてもよい。
【0056】
図7は、端子部品200Bを示す模式図である。端子部品200Bでは、
図7に示されているように、第1金属201のフランジ部201bが設けられた軸部201aの端部の中央部に周方向に連続した溝201eが形成されている。溝201eで囲まれた部分に、盛り上がった突起201e1が設けられている。これに対して、第2金属202は、フランジ部201bが設けられた軸部201aの端部に装着される凹部202aの底が平坦である。
【0057】
図7に示された形態では、第1金属201と第2金属202とが重ねられた後、第1金属201側にアンビル301が取り付けられ、第2金属202側にホーン302が取り付けられる。そして、第1金属201と第2金属202をホーン302とアンビル301とで挟みつつ、ホーン302から振動を作用させる。第2金属202には、ホーン302が押し付けられる部位に、予め凹み202eが形成されている。また、第1金属201のフランジ部201bの外縁にカシメ部211が設けられている。第2金属202は、第1金属201のフランジ部201bの外縁にかしめられている。
【0058】
図7に示された形態では、第1金属201の端部の溝201eで囲まれて盛り上がった突起201e1が、第2金属202に接合される。溝201eは、突起201e1の周りにおいて周方向に連続している。溝201eは、接合部212の周りに連続した空隙213を形成する。接合部212の周囲に空隙213が形成されていることによって、超音波接合において接合部212に振動が接合部212により確実に集中する。このため、接合部212における超音波接合の品質が格段に向上する。なお、第2金属202と第1金属201とは、抵抗溶接されてもよい。抵抗溶接でも、接合部212に電流が集中するので、品質が格段に向上する。
【0059】
図8は、端子部品200Cを示す模式図である。端子部品200Cでは、
図8に示されているように、第1金属201のフランジ部201bが設けられた軸部201aの端部は平坦である。第2金属202には、フランジ部201bが設けられた軸部201aの端部に装着される凹部202aの底の中央部に周方向に連続した溝202fが形成されている。そして、溝202fで囲まれた部分に、盛り上がった突起202f1が設けられている。
図8に示された形態では、第1金属201のフランジ部201bが設けられた軸部201aの端部に、第2金属202の盛り上がった突起202f1が接合される。
【0060】
図8に示された形態では、第2金属202の凹部202aの底に形成された、溝202fで囲まれて盛り上がった突起202f1が、第1金属201に接合される。溝202fは、突起202f1の周りにおいて周方向に連続している。かかる溝202fは、接合部212の周りに連続した空隙213を形成する。接合部212の周囲に空隙213が形成されていることによって、超音波接合において接合部212に振動が接合部212により確実に集中する。このため、接合部212における超音波接合の品質が格段に向上する。なお、第2金属202と第1金属201とは、抵抗溶接されてもよい。抵抗溶接でも、接合部212に電流が集中するので、品質が格段に向上する。
【0061】
図9は、端子部品200Dを示す模式図である。端子部品200Dでは、
図9に示されているように、第1金属201のフランジ部201bが設けられた軸部201aの端部に、第2金属202に向けて突出した第1突起201gが設けられている。第2金属202には、フランジ部201bが設けられた軸部201aの端部に装着される凹部202aの底の中央部に第2突起202gが設けられている。
図9に示された形態では、第2金属202の凹部202aが、第1金属201のフランジ部201bが設けられた軸部201aの端部に装着された際に、第1突起201gと第2突起202gとが当たる。第1突起201gと第2突起202gとが当たる部位の周りには、空隙213が形成されている。この場合、
図4と同様の超音波接合において接合部212に振動が、第1突起201gと第2突起202gとが当たる部位に設けられる接合部212により確実に集中する。このため、接合部212における超音波接合の品質が格段に向上する。なお、第2金属202と第1金属201とは、抵抗溶接されてもよい。抵抗溶接でも、接合部212に電流が集中するので、品質が格段に向上する。
【0062】
以上、ここで開示される端子部品および蓄電デバイスについて、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた端子部品および電池の実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される電池は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【0063】
例えば、上述した実施形態では、軸部201aと、軸部201aの一端から外径方向に延びたフランジ部201bとを有する第1金属201に、第2金属202が重ねられた形態が開示されている。第2金属202は、展延性を有し、第1金属201よりも剛性が低く、かつ、フランジ部201bを含む第1金属201の端部に重ねられ、フランジ部201bの周縁(外縁201b1)にかしめられている。端子部品200は、かかるフランジ部201bを有する形態に限定されない。第1金属201と第1金属201に重ねられた第2金属202との境界には、第1金属201と第2金属202とのうち何れか一方が他方にかしめられたカシメ部を有しているとよい。また、カシメ部211とは別の部位に設けられ、第1金属201と第2金属202とが重ねられて接合された接合部212と有しており、当該接合部212の周囲に空隙213が形成されているとよい。かかる観点で、フランジ部201bに相当する部位の有無や、第1金属201と第2金属202とがかしめられるカシメ部211の位置などは、特に言及されない限りにおいて、限定されない。例えば、フランジ部201bは、周方向に均一な幅で設けられたものに限定されない。フランジ部201bは、周方向に部分的にまたは間欠的に設けられていてもよい。第2金属202をかしめる部位は、フランジ部201bの周縁に限らず、適当な部位に設けられていてもよい。また、第2金属202がかしめられるフランジ部201bの周縁の形状についても適宜に変更できる。
【符号の説明】
【0064】
10 リチウムイオン二次電池
20 電極体
21 正極シート
21a 正極集電箔
21a1 未形成部
21b 正極活物質層
22 負極シート
22a 負極集電箔
22a1 未形成部
22b 負極活物質層
31,32 セパレータシート
41 電池ケース
41a ケース本体
41a1 開口
41b 蓋
41b1 取付孔
41b2 段差
41b3 座面
41b4 突起
42 正極端子
42a 正極の内部端子
42b 正極の外部端子
43 負極端子
43a 負極の内部端子
43a1 基部
43a2 接続片
43b 負極の外部端子
43b1 頭部
43b2 軸部
43b3 カシメ片
61 底面部
62,63 幅広面部
64,65 幅狭面部
71 ガスケット
71a 座部
71b ボス部
71c 側壁
72 インシュレータ
72a ベース部
72b 孔
72b1 段差
72c 側壁
90 スペーサ
91 バスバー
92A,92B エンドプレート
94 拘束バンド
96 ビス
98 端部スペーサ
100 組電池
200,200A,200B,200C,200D 端子部品
201 第1金属
201a 軸部
201a1 突起
201b フランジ部
201b1 外縁
201c 部位
201d 凹み
201d1 凹み
201e 溝
201e1 突起
201g 突起
202 第2金属
202a 凹部
202a1 凹み
202b 側端面
202d 突起
202e 凹み
202f 溝
202f1 突起
202g 突起
211 カシメ部
212 接合部
213 空隙
301 アンビル
302 ホーン