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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139418
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】積層体及び被覆構造体
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/027 20190101AFI20220915BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20220915BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B32B7/027
E04F13/08 A
E04F13/08 101P
E04F13/08 101R
E04B1/94 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039797
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】510114125
【氏名又は名称】株式会社エフコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 幸矢
【テーマコード(参考)】
2E001
2E110
4F100
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001DE04
2E001FA01
2E001FA02
2E001FA10
2E001GA42
2E001HA01
2E001HA03
2E001HA21
2E001HB04
2E001HB05
2E001HD11
2E001HF18
2E001JA21
2E110AA02
2E110AA41
2E110AA57
2E110AB17
2E110AB18
2E110AB23
2E110BA02
2E110BA12
2E110BA22
2E110BB04
2E110BB09
2E110BB32
2E110BB38
2E110BC02
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2E110DD03
2E110GA24Z
2E110GA28X
2E110GA28Z
2E110GA33W
2E110GA33X
2E110GA33Z
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2E110GB06Z
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2E110GB17X
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2E110GB32X
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2E110GB45W
2E110GB46W
2E110GB47W
2E110GB52W
2E110GB54W
4F100AA03A
4F100AE01A
4F100AE06A
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA31
4F100BA41
4F100CA13B
4F100CB00G
4F100EC18
4F100HB00B
4F100JA05B
4F100JJ05A
(57)【要約】
【課題】本発明は、施工性、耐熱保護性等に優れた積層体及び被覆構造体を提供する。
【解決手段】本発明の積層体は、少なくとも吸熱層、及び化粧層が積層されたものであり、上記化粧層は、上記吸熱層の端部を超えて少なくとも一方向に延びていることを特徴とする。本発明の被覆構造体は、基材の周囲が複数の積層体によって囲まれたものであって、上記積層体を有することを特徴とする。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧層を有する積層体であって、
上記積層体は、少なくとも吸熱層、及び化粧層が積層されたものであり、
上記化粧層は、上記吸熱層の端部を超えて少なくとも一方向に延びている
ことを特徴とする積層体。
【請求項2】
基材の周囲が複数の積層体によって囲まれた被覆構造体であって、
上記積層体として、請求項1に記載の積層体を有することを特徴とする被覆構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な積層体及び被覆構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、居室空間のデザインの多様化により、構造物を構成する柱、梁等を露出させ、装飾を施した建築物が数多く建造されている。例えば、特許文献1には、柱となる芯材の外周面を化粧板により装飾された化粧柱が記載されている。
一方、建築構造物においては、建築物を火災から保護する目的で、柱、梁等の主要構造物を耐熱構造にすることが求められている。しかし、上記特許文献1では、耐熱保護性に劣る場合がある。
【0003】
これに対して、意匠性と耐熱保護性を備える被覆構造体について、種々の提案がなされている。その一例として、例えば、特許文献2には、柱となる芯材の表面に、耐火被覆材を接着剤を介して接着した後、仕上げ層を形成した被覆構造体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-16839号公報
【特許文献2】特開2013-068024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献2では、各層を順に施工する必要があるため被覆構造体を得る工程が繁雑であり、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みなされたもので、意匠性、施工性、耐熱保護性等に優れた積層体及び被覆構造体を提供することを目的とする。
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、少なくとも吸熱層、及び化粧層が積層された特定形状の積層体、及びその積層体を有する被覆構造体に想到し、本発明の完成に到った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.化粧層を有する積層体であって、
上記積層体は、少なくとも吸熱層、及び化粧層が積層されたものであり、
上記化粧層は、上記吸熱層の端部を超えて少なくとも一方向に延びている
ことを特徴とする積層体。
2.基材の周囲が複数の積層体によって囲まれた被覆構造体であって、
上記積層体として、1.に記載の積層体を有することを特徴とする被覆構造体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、施工性、耐熱保護性等に優れた被覆構造体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の積層体の一例を示す断面図である。
図2図1に示す積層体の斜視図である。
図3】本発明の被覆構造体の一例を示す断面図である。
図4】本発明の被覆構造体の一例を示す断面図である。
図5】本発明の被覆構造体の一例を示す断面図である。
図6】本発明の積層体の一例を示す断面図である。
図7】本発明の被覆構造体の一例を示す断面図である。
図8】本発明の被覆構造体の一例を示す断面図である。
図9】本発明の積層体の一例を示す断面図である。
図10】本発明の被覆構造体の一例を示す断面図である。
図11】本発明の積層体の一例を示す断面図である。
図12】本発明の積層体の一例を示す断面図である。
図13】本発明の被覆構造体の一例を示す断面図である。
図14】本発明の積層体の一例を示す断面図である。
図15】本発明の被覆構造体の一例を示す断面図である。
図16】本発明の積層体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0011】
1,101~132:積層体
2,21:吸熱層
3:化粧層
4,5:接着材層
6: 熱発泡層
7:熱反射層
8:基材
2L,2R,21L,21R:吸熱層の端部
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
本発明の積層体は、少なくとも吸熱層、及び化粧層が積層されたものであり、化粧層が、吸熱層の端部を超えて少なくとも一方向に延びていることを特徴とする。本発明では、このような特定の積層体を用いて、基材の周囲を囲むことにより、効率良く被覆構造体が得られるため、施工性に優れている。そして、積層体を構成する化粧層により意匠性に優れるとともに、吸熱層との複合的な作用によって、優れた耐熱保護性を発揮することができる。
【0014】
[積層体]
本発明の積層体は、少なくとも吸熱層、及び化粧層が積層されたものである。本発明の積層体では、これら各層を1層ずつ有する態様、あるいは、いずれかの層を複数層有する態様等を採用することができる。
【0015】
本発明において、吸熱層は、温度上昇時に吸熱作用を示すものを用いることができる。吸熱層としては、結合水及び/又は自由水を有する層が好ましく、このような吸熱層は、温度上昇の際、結合水及び/又は自由水の脱水(蒸発等)により熱を吸収する性能を発揮することができる。ここで、結合水とは、吸熱層を構成する成分に結合した状態にある水であり、例えば、水和水、結晶水、吸着水等が挙げられる。一方、自由水とは、吸熱層を構成する成分との結びつきがない状態で吸熱層に含まれる、結合水以外の水である。
【0016】
吸熱層を構成する材料としては、例えば、セメント、石膏等を原料とする硬化物(例えば、モルタル、コンクリート、石膏ボード等)、珪酸カルシウム等を原料とする硬化物(例えば、珪酸カルシウム板等)、あるいは、吸水性ポリマー、ハイドロゲル等を内包する板、シート、硬化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用できる。
【0017】
本発明では、吸熱層を構成する好適な材料の一例として、例えば、石膏ボードが挙げられる。石膏ボードは、通常、硫酸カルシウム2水和物を主成分とすることから、結合水を多く含んでおり、100~200℃の温度領域内で吸熱作用を示す。そのため、炎や熱等による温度上昇の際に、安定した吸熱作用を発揮することができる。石膏ボードとしては、一般的な石膏ボードの他、不燃積層石膏ボード(表紙として不燃性の原紙を用いた石膏ボード)、強化石膏ボード(ガラス繊維等の無機繊維を混入した石膏を芯材とする石膏ボード)、ガラス繊維不織布入石膏ボード(ガラス繊維を混入した石膏を芯材とし、その表裏面にガラス繊維不織布を挿入した石膏ボード)等が使用できる。
【0018】
吸熱層の厚みは、断熱性、耐熱保護性、強度、軽量性等の点から、好ましくは1~30mm、より好ましくは3~28mmであり、さらに好ましくは5~25mmである。なお、本発明において「a~b」は、「a以上b以下」と同義である。
【0019】
本発明において、化粧層は、意匠性(美観性)を付与することができるものであれば、特に限定されないが、好ましくは樹脂成分及び意匠性粉粒体を含む組成物(以下、「化粧層用組成物」ともいう。)により形成されるものである。具体的には、化粧層用組成物を予めシート状に成型したもの(以下、「化粧シート」ともいう。)を使用することが好ましい。
【0020】
上記樹脂成分は、主に意匠性粉粒体を固定化する役割を担う。このような樹脂成分としては、各種の合成樹脂が使用できる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース及びその誘導体等、あるいはこれらの複合物等が挙げられる。このような合成樹脂は、架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。
【0021】
樹脂成分のガラス転移温度は、好ましくは-60℃~60℃、より好ましくは-40℃~30℃、さらに好ましくは-30℃~20℃である。このような範囲の場合、適度な可とう性を付与することが可能となる。なお、ガラス転移温度はFoxの計算式により求められる値である。
【0022】
上記意匠性粉粒体は、化粧層(化粧シート)に色、模様等を付与する役割を担う。このような意匠性粉粒体としては、例えば、着色顔料、体質顔料及び骨材等の公知のものが使用でき、これらは1種または2種以上で使用することができる。
【0023】
本発明の化粧層は、上記意匠性粉粒体として粒状無機質粒子を含むことが好ましい。これにより、粒状無機質粒子が樹脂成分によって固定化され、粒状無機質粒子にもとづく色調及び粒状無機質粒子の連接(凝集)による意匠性を呈する化粧層が得られる。すなわち、化粧層の色調は、粒状無機質粒子の色調にもとづくものとなる。また、化粧層は、異なる色調を有する複数の着色領域を有するものであってもよい。この場合、異なる色調を有する複数の化粧層用組成物を硬化させることにより化粧層を形成することができる。このような化粧層は、粒状無機質粒子によって、意匠性を高めるだけではなく、耐熱保護性を高めることができる。その作用機構は、限定されるものではないが、火災時等の高温下において、粒状無機質粒子の熱反射性、耐熱性等により積層体の温度が急激に上昇するのを抑制することができ、上記吸熱層の吸熱作用との相乗効果により、十分な耐熱保護性を発揮することができる。
【0024】
粒状無機質粒子としては、その母体の材質が無機質であれば、天然品、人工品のいずれも使用することができる。この粒状無機質粒子としては、少なくとも粒状着色無機質粒子を含む態様が好適である。このような粒状着色無機質粒子としては、特に、光透過率が3%未満の不透明なものが好適であり、光透過率が2%以下のものがより好適である。このような粒状着色無機質粒子として、具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、砂岩、粘板岩、玄武岩、斑れい岩、閃緑岩、安山岩、石灰岩及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、金属粒等が挙げられる。また、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂、及びこれらの粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ等を、上記条件を満たすように着色したもの等も使用できる。
【0025】
上記光透過率とは、濁度計による全光線透過率の値である。この測定では、粒状無機質粒子の試料を内厚5mmの透明ガラス製セル中に充填し、次いで徐々に水を充填した後、セル中の気泡を振動によって取り除いたものを用いる。
【0026】
上記粒状着色無機質粒子に加えて、粒状透明性無機質粒子を含む形態とすることもできる。このような粒状透明性無機質粒子の使用は、美観性向上の点で好適である。粒状透明性無機質粒子としては、光透過率が3%以上(より好ましくは3~50%、さらに好ましくは10~30%)であるものが好適である。粒状透明性無機質粒子としては、例えばシリカ、寒水石、長石、珪石等及びこれらの粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ等が挙げられ、上記光透過率を満たすものであれば、無色、有色のいずれのタイプも使用できる。
【0027】
粒状無機質粒子の粒径は、好ましくは0.01mm~5mm、より好ましくは0.02mm~2mm、さらに好ましくは0.03~0.8mmである。粒径が異なる粒状無機質粒子を種々組み合せることによって、意匠性の幅を広げることもできる。なお、粒状無機質粒子の粒径は、JIS Z8801-1:2000に規定される金属製網ふるいを用いたふるい分けによって測定される。
【0028】
上記樹脂成分と意匠性粉粒体の混合比率は、固形分換算で、意匠性粉粒体の合計量100重量部に対し、樹脂成分が好ましくは2重量部以上50重量部以下(より好ましくは3重量部以上30重量部以下、さらに好ましくは4重量部以上20重量部以下、特に好ましくは5重量部以上19重量部以下)である。このような比率であれば、意匠性粉粒体の連接体(凝集体)からなる化粧層が得られやすい。その結果、火災時等の高温下において、急激な温度上昇を抑制するとともに、吸熱層における脱水(蒸発等)作用を阻害せず十分な吸熱性能を発揮することができる。
【0029】
化粧層用組成物は、本発明の効果を著しく損なわない限り、必要に応じ、上記以外の成分(添加剤)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、防藻剤、抗菌剤、消臭剤、吸着剤、難燃剤、増粘剤、消泡剤、架橋剤、光輝性顔料、蓄光顔料、蛍光顔料、骨材、繊維、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。
【0030】
本発明の化粧層(化粧シート)は、その表面に凹凸模様を有するものであってもよい。このような化粧層の模様は、特に限定されず、種々の形状のものが挙げられ、石材調模様、木目調模様、目地模様等が挙げられる。また、化粧層の厚みは、好ましくは0.2~30mm(より好ましくは0.5~20mm)である。
【0031】
化粧層(化粧シート)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、型枠内面に、化粧層用組成物を流し込み、硬化後に脱型する方法等が挙げられる。
【0032】
本発明の化粧層(化粧シート)は、表面保護(耐水性、耐候性等)、汚染防止性等を目的として、最表面にクリヤー層を有するものであってもよい。クリヤー層としては、公知のクリヤー塗料を使用することができる。
【0033】
また、化粧層(化粧シート)は、上記各成分や添加剤を含む混合物の成形体のみから構成されたものであってもよいが、化粧層(化粧シート)の内部及び/または裏面に繊維質シート等が積層されたものであってもよい。このような繊維質シートとしては、例えば、有機繊維及び/又は無機繊維等を含む公知のシートを使用することができる。このような繊維質シートを用いることにより、化粧層(化粧シート)の強度等を高めることができる。
【0034】
本発明の積層体は、化粧層が、吸熱層の端部を超えて少なくとも一方向に延びていることを特徴とする。吸熱層の端部を超えて延びている化粧層は、下層の吸熱層の側面、あるいは、隣接する積層体の吸熱層の側面や表面等を覆うことができる。これにより、美観性、施工性、耐熱保護性等の効果を十分に得ることが可能となる。
【0035】
本発明の積層体では、熱発泡層を積層することにより、よりいっそう優れた耐熱保護性を付与することができる。熱発泡層は、例えば、吸熱層の裏面側、吸熱層と化粧層との間に設けることができる。本発明では、熱発泡層は、吸熱層と化粧層との間に設けることが好ましい。
【0036】
熱発泡層としては、火災等により周囲温度が上昇して、熱発泡層の温度が所定の発泡温度に達すると、熱発泡層を構成する各原料等の作用によって発泡し、炭化断熱層を形成するものが使用できる。熱発泡層は、例えば、熱発泡性シート等によって形成することができる。
【0037】
熱発泡層の発泡温度は、炎や熱等による温度上昇の点から、好ましくは150℃以上であり、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200~400℃である。
【0038】
熱発泡層は、構成成分として樹脂成分、難燃剤、発泡剤、炭化剤、及び充填剤を含有する各成分の混合物からなるものが好適である。このうち、樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。難燃剤としては、例えばポリリン酸アンモニウム等が挙げられ、発泡剤としては、例えばメラミン、ジシアンジアミド、アゾジカーボンアミド等が挙げられる。また、炭化剤としては、例えばペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられ、充填剤としては、例えば二酸化チタン、炭酸カルシウム、無機繊維等が挙げられる。これら各成分は、1種又は2種以上で使用できる。
【0039】
熱発泡層を構成する各成分の構成比率(重量比率)は、固形分換算で、樹脂成分100重量部に対して、難燃剤200~600重量部、発泡剤40~150重量部、炭化剤40~150重量部、及び充填剤50~160重量部であることが耐熱保護性等の点から好ましい。
【0040】
熱発泡層に用いられる熱発泡性シートとしては、上記各成分及び必要に応じ各種添加剤を含有する混合物がシート状に成形されたものを用いることができる。
【0041】
熱発泡層を形成する混合物に使用可能な添加剤としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく、例えば、顔料、繊維、湿潤剤、可塑剤、滑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、増粘剤、分散剤、消泡剤、架橋剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、希釈溶媒等が挙げられる。
【0042】
熱発泡層の厚みは、用途等により適宜設定すれば良いが、耐熱保護性、軽量性等の点から、好ましくは0.1~10mmであり、より好ましくは0.3~8mmであり、さらに好ましく0.5~6mmである。
【0043】
熱発泡層は、上記各成分や添加剤を含む混合物の成形体のみから構成されたものであってもよいが、熱発泡層の表面ないし裏面に繊維質シート等が積層されたものであってもよい。このような繊維質シートとしては、例えば、有機繊維及び/又は無機繊維等を含む公知のシートを使用することができる。
【0044】
本発明の積層体において、熱発泡層は、吸熱層の端部を超えて少なくとも一方向に延びていることが好ましい。吸熱層の端部を超えて延びている熱発泡層は、下層の吸熱層の側面、あるいは、隣接する積層体の吸熱層の側面や表面等を覆うことができる。これにより、耐熱保護性等の効果を十分に得ることが可能となる。
【0045】
さらに、本発明の積層体では、熱反射層を積層することにより、その遮熱作用等によって耐熱保護性をいっそう高めることができる。熱反射層は、例えば、吸熱層の裏面側、吸熱層と熱発泡層との間、または熱発泡層の表面側(熱発泡層と化粧層との間)等に設けることができる。
【0046】
熱反射層としては、例えば、熱反射性の高い金属製の板、シート、テープ等を用いることができる。熱反射層を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、銅、銀等が挙げられ、この中でもアルミニウムが好適である。具体的に熱反射層としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウムテープ、アルミニウムクロス、アルミニウム箔・ガラス不織布積層シート、アルミニウム箔・メッシュ積層シート、アルミニウム箔・合成樹脂積層シート等が挙げられる。例えば、アルミニウムテープを使用する際は、アルミニウム層の片面に粘着材層が形成されているテープなどを使用することができる。これらは1種又は2種以上で使用できる。
【0047】
熱反射層の厚みは、熱反射性、耐熱保護性、軽量性等の点から、好ましくは0.01~1mm、より好ましくは0.02~0.5mmであり、更に好ましくは、0.03~0.3mmである。
【0048】
本発明では、例えば、接着材等を用いて各層を貼り合わせることができる。接着材としては、例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、パラフィン等を主原料とした水分散型、水溶性型、溶剤型の接着材等、公知のものを使用することができる。接着材には、必要に応じて、上述の熱発泡層に配合されるような難燃剤、発泡剤、炭化剤、充填剤等の添加剤を配合することができる。なお、本発明において、接着材には粘着材も包含される。
【0049】
[被覆構造体]
本発明の被覆構造体は、上記積層体を少なくとも1以上用いて、基材の周囲を被覆したものである。
【0050】
基材としては、建築物、土木構築物等の構造物を構成する、柱、梁等が挙げられる。このような基材としては、例えば、セメント系材料、プラスチック、木質材、金属等の材料からなるものが挙げられる。これら基材の形状は、長尺であること好ましく、その断面形状としては、例えば、円形、多角形(四角形等)が挙げられる。本発明は、基材が断面四角形の角型基材である場合に特に有用であり、例えば角型木質基材等に対し好ましく適用できる。
【0051】
本発明では、積層体の吸熱層側が基材に向き、化粧層側が外側に向くようにして、基材に積層体を設置する。各積層体は、例えば、釘、ネジ、鋲、ピン、ボルト、ステープル等の固定具、あるいは、石膏系やセメント系の接着材等を用いて、基材に設置することができる。これにより、基材に対し、少なくとも吸熱層、及び化粧層が順に積層された被覆構造体を効率的に得ることができ、施工性の点で有利である。そして、上記順で各層が積層されることにより、意匠性(美観性)に優れ、耐熱保護性等において優れた効果が発揮され、基材の強度低下を抑制することができる。さらには、熱発泡層を積層することにより、火災等の熱による温度上昇を抑制する効果がよりいっそう高まり、耐熱保護性等の効果を安定的に得ることができる。
【0052】
積層体どうしの継ぎ目(積層体どうしが接する箇所)は、適宜処理することができる。このような継ぎ目の処理方法としては、例えば、化粧層と同系色の接着材、コーティング材、パテ材等で適宜処理することができる。これら処理方法は、2種以上を組み合わせることもできる。
【0053】
基材の長尺方向では、積層体どうしが隣接するように突き合わせて設置することができる。積層体どうしの継ぎ目は、必要に応じ処理することができる。継ぎ目の処理方法としては、上述の方法等が採用できる。
【0054】
本発明の被覆構造体は、例えば、建築、土木等の各分野において耐熱保護性が要求される用途に適用することができる。建築材料として用いる場合は、例えば、柱、梁等に適用することができる。本発明の被覆構造体は、例えば、JIS A1304:2017に規定される試験において所定の条件を満たす耐熱保護性(耐火性)を発揮することができる。このような性能は、例えば、各層の種類、積層態様、厚み等を選定することにより、適宜調整することができる。
【0055】
[具体例1]
図1には、本発明の積層体の一例(断面図)を示す。図2は、図1の積層体の斜視図である。図1、2の積層体では、吸熱層2、及び化粧層3が順に積層されている。吸熱層2は、正面視において四角形(正方形、または長方形)の板材であり、化粧層3は、正面視において四角形(正方形、または長方形)のシートである。そして、化粧層3は、吸熱層2の左側端部2Lと、右側端部2Rとを超えて二方向に延びている。
【0056】
図1では、化粧層3の裏面に予め接着材層4を設けたものを、吸熱層2に貼り合わせている。図1では、吸熱層2の端部を超えて延びている化粧層3(化粧層3の左端、右端)の裏面にも、接着材層4が設けられているが、この部分の接着材層4の裏面側には離型紙等を積層しておいてもよい。このような離型紙等は、化粧層3の左端及び右端を、吸熱層の側面等に貼り合わせる際に剥がせばよい。
【0057】
図3に、本発明の被覆構造体の一例(断面図)を示す。図3の被覆構造体では、図1図2の積層体を用いて、長尺の角型基材を被覆している。具体的に、図3の被覆構造体では、断面視において、基材8(角型基材)の四辺の外側に沿って4枚の積層体101~104を設置している。積層体101~104の吸熱層の厚みは同じであり、積層体101~104の化粧層の厚みも同じである。積層体101~104はいずれも、吸熱層のサイズが、角型基材の一辺の長さに等しいものである。そして、積層体101~104において、吸熱層の端部を超えて延びている化粧層は、下層の吸熱層の端部で曲げられ、その側面に貼り合わされている。隣接する積層体において、化粧層どうしが接する箇所は、例えば、化粧層と同系色の接着材、コーティング材、パテ材等で適宜処理することができる。これにより、角型基材の周囲全体が、積層体によって覆われている。なお、ここに言うサイズとは、断面視において、基材の辺に沿った方向の長さである。
【0058】
図3の被覆構造体は、化粧層として、例えば、木目調、砂岩調等の意匠性を有するものを用いることにより、美観性を高めることができる。このような構造体は、平常時には意匠性(美観性)に優れ、火災等によって高温に晒された場合には、化粧層3が熱反射性、耐熱性を示し、さらに吸熱層2が吸熱作用を示すことにより、基材8の温度上昇を抑制し、その強度を保持することができる。
【0059】
[具体例2]
本発明の積層体(図1図2)を用いた被覆構造体の別の一例(断面図)を、図4に示す。具体的に、図4の被覆構造体では、断面視において、基材8(角型基材)の上辺及び下辺の外側に沿って、それぞれ積層体105及び107を設置しており、基材8(角型基材)の右辺及び左辺の外側に沿って、それぞれ積層体106及び108を設置している。このうち、積層体105及び107が、本発明の積層体(図1図2)である。積層体106及び108は、いずれも、吸熱層と同じサイズの化粧層が積層され、吸熱層の端部と化粧層の端部とが一致しているものである。
【0060】
積層体105、107はいずれも、吸熱層のサイズが、角型基材の一辺の長さと、積層体106の吸熱層の厚みと、積層体108の吸熱層の厚みとの和に等しいものである。積層体106、108はいずれも、角型基材の一辺の長さに等しいサイズを有するものであり、吸熱層と化粧層のサイズは同じである。積層体105~108の吸熱層の厚みは同じであり、積層体105~108の化粧層の厚みも同じである。
【0061】
基材8(角型基材)の角部では、一方の積層体の吸熱層裏面と、他方の積層体の吸熱層側面とが接している。具体的に、積層体105と106が接する右上角部では、積層体105の吸熱層裏面と、積層体106の吸熱層側面とが接している。積層体106と107が接する右下角部では、積層体106の吸熱層側面と、積層体107の吸熱層裏面とが接している。積層体107と108が接する左下角部では、積層体107の吸熱層裏面と、積層体108の吸熱層側面とが接している。積層体108と105が接する左上角部では、積層体108の吸熱層側面と、積層体105の吸熱層裏面とが接している。
【0062】
積層体105及び107において、吸熱層の端部を超えて延びている化粧層(化粧層の左端、右端)は、それぞれ下層の吸熱層の端部で曲げられ、その側面に貼り合わされている。これにより、角型基材の周囲全体が、積層体によって覆われている。隣接する積層体において、化粧層どうしが接する箇所は、例えば、化粧層と同系色の接着材、コーティング材、パテ材等で適宜処理することができる。
【0063】
図4の被覆構造体は、化粧層として、例えば、木目調、砂岩調等の意匠性を有するものを用いることにより、美観性を高めることができる。このような構造体は、平常時には意匠性(美観性)に優れ、火災等によって高温に晒された場合には、化粧層3が熱反射性、耐熱性を示し、さらに吸熱層2が吸熱作用を示すことにより、基材8の温度上昇を抑制し、その強度を保持することができる。
【0064】
[具体例3]
本発明の積層体(図1図2)を用いた被覆構造体の別の一例(断面図)を、図5に示す。具体的に、図5の被覆構造体では、断面視において、基材8(角型基材)の上辺及び下辺の外側に沿って、それぞれ積層体109及び111を設置しており、基材8(角型基材)の右辺及び左辺の外側に沿って、それぞれ積層体110及び112を設置している。このうち、積層体109及び111が、本発明の積層体(図1図2)である。
【0065】
積層体109、111はいずれも、吸熱層のサイズが、角型基材の一辺の長さに等しいものであり、化粧層のサイズが、角型基材の一辺の長さと、積層体2枚分(積層体110及び112)の厚みとの和に等しいサイズを有するものである。積層体110、112はいずれも、角型基材の一辺の長さと、積層体109の吸熱層の厚みと、積層体111の吸熱層の厚みとの和に等しいに等しいサイズを有するものであり、吸熱層と化粧層のサイズは同じである。積層体109~112の吸熱層の厚みは同じであり、積層体109~112の化粧層の厚みも同じである。
【0066】
基材8(角型基材)の角部では、一方の積層体の吸熱層裏面と、他方の積層体の吸熱層側面とが接している。具体的に、積層体109と110が接する右上角部では、積層体109の吸熱層側面と、積層体110の吸熱層裏面とが接している。積層体110と111が接する右下角部では、積層体110の吸熱層裏面と、積層体111の吸熱層側面とが接している。積層体111と112が接する左下角部では、積層体111の吸熱層側面と、積層体112の吸熱層裏面とが接している。積層体112と109が接する左上角部では、積層体112の吸熱層裏面と、積層体109の吸熱層側面とが接している。
【0067】
積層体109及び111において、吸熱層の端部を超えて延びている化粧層(化粧層の左端、右端)は、それぞれ隣接する積層体(積層体110、112)の側面に貼り合わされている。これにより、角型基材の周囲全体が、積層体によって覆われている。隣接する積層体において、化粧層どうしが接する箇所は、例えば、化粧層と同系色の接着材、コーティング材、パテ材等で適宜処理することができる。
【0068】
図5の被覆構造体は、化粧層として、例えば、木目調、砂岩調等の意匠性を有するものを用いることにより、美観性を高めることができる。このような構造体は、平常時には意匠性(美観性)に優れ、火災等によって高温に晒された場合には、化粧層3が熱反射性、耐熱性を示し、さらに吸熱層2が吸熱作用を示すことにより、基材8の温度上昇を抑制し、その強度を保持することができる。
【0069】
[具体例4]
図6には、本発明の積層体の別の一例(断面図)を示す。図6の積層体では、吸熱層2、及び化粧層3が順に積層されている。吸熱層2は、正面視において四角形(正方形、または長方形)の板材であり、化粧層3は、正面視において四角形(正方形、または長方形)のシートである。図6では、化粧層3の裏面に予め接着材層4を設けたものを、吸熱層2に貼り合わせている。そして、化粧層3は、吸熱層2の右側端部2Rを超えて一方向に延びている。
【0070】
図6の積層体を用いた被覆構造体の一例(断面図)を、図7に示す。図7の被覆構造体では、図6の積層体4枚を用いて、長尺の角型基材を被覆している。具体的に、図7の被覆構造体では、断面視において、基材8(角型基材)の四辺の外側に沿って、4枚の積層体113~116を設置している。積層体113~116の吸熱層の厚みは同じであり、積層体113~116の化粧層の厚みも同じである。
【0071】
基材8(角型基材)の角部では、一方の積層体の吸熱層裏面と、他方の積層体の吸熱層側面とが接している。具体的に、積層体113と114が接する右上角部では、積層体113の吸熱層裏面と、積層体114の吸熱層側面とが接している。積層体114と115が接する右下角部では、積層体114の吸熱層裏面と、積層体115の吸熱層側面とが接している。積層体115と116が接する左下角部では、積層体115の吸熱層裏面と、積層体116の吸熱層側面とが接している。積層体116と113が接する左上角部では、積層体116の吸熱層裏面と、積層体113の吸熱層側面とが接している。
【0072】
積層体113~116はいずれも、吸熱層のサイズが、角型基材の一辺の長さと、隣接する積層体の吸熱層の厚みとの和に等しいものである。そして、積層体113~116において、吸熱層の端部を超えて延びている化粧層は、それぞれ下層の吸熱層の端部で曲げられ、その側面に貼り合わされている。これにより、角型基材の周囲全体が、積層体によって覆われている。隣接する積層体において、化粧層どうしが接する箇所は、例えば、化粧層と同系色の接着材、コーティング材、パテ材等で適宜処理することができる。
【0073】
図7の被覆構造体は、化粧層として、例えば、木目調、砂岩調等の意匠性を有するものを用いることにより、美観性を高めることができる。このような構造体は、平常時には意匠性(美観性)に優れ、火災等によって高温に晒された場合には、化粧層3が熱反射性、耐熱性を示し、さらに吸熱層2が吸熱作用を示すことにより、基材8の温度上昇を抑制し、その強度を保持することができる。
【0074】
[具体例5]
図6の積層体を用いた被覆構造体の別の一例(断面図)を、図8に示す。具体的に、図8の被覆構造体では、断面視において、基材8(角型基材)の四辺の外側に沿って、図6の積層体4枚(積層体117~120)を設置している。積層体117~120の吸熱層の厚みは同じであり、積層体117~120の化粧層の厚みも同じである。
【0075】
積層体117~120はいずれも、吸熱層のサイズが、角型基材の一辺の長さと、隣接する積層体の吸熱層の厚みとの和に等しいものであり、化粧層のサイズが、角型基材の一辺の長さと、一方で隣接する積層体の吸熱層の厚みと、他方で隣接する積層体の厚みとの和に等しいサイズを有するものである。例えば、積層体117は、吸熱層のサイズが、角型基材の上辺の長さと、積層体120の吸熱層の厚みとの和に等しいものであり、化粧層のサイズが、角型基材の上辺の長さと、積層体120の吸熱層の厚みと、積層体118の厚みとの和に等しいサイズを有するものである。積層体117~120の吸熱層の厚みは同じであり、積層体117~120の化粧層の厚みも同じである。
【0076】
基材8(角型基材)の角部では、一方の積層体の吸熱層裏面と、他方の積層体の吸熱層側面とが接している。具体的に、積層体117と118が接する右上角部では、積層体117の吸熱層側面と、積層体118の吸熱層裏面とが接している。積層体118と119が接する右下角部では、積層体118の吸熱層側面と、積層体119の吸熱層裏面とが接している。積層体119と120が接する左下角部では、積層体119の吸熱層側面と、積層体120の吸熱層裏面とが接している。積層体120と117が接する左上角部では、積層体120の吸熱層側面と、積層体117の吸熱層裏面とが接している。
【0077】
積層体117~120において、吸熱層の端部を超えて延びている化粧層は、それぞれ隣接する積層体の側面に貼り合わされている。例えば、積層体117において、右端の化粧層は、積層体118の側面に貼り合わされている。これにより、角型基材の周囲全体が、積層体によって覆われている。隣接する積層体において、化粧層どうしが接する箇所は、例えば、化粧層と同系色の接着材、コーティング材、パテ材等で適宜処理することができる。
【0078】
図8の被覆構造体は、化粧層として、例えば、木目調、砂岩調等の意匠性を有するものを用いることにより、美観性を高めることができる。このような構造体は、平常時には意匠性(美観性)に優れ、火災等によって高温に晒された場合には、化粧層3が熱反射性、耐熱性を示し、さらに吸熱層2が吸熱作用を示すことにより、基材8の温度上昇を抑制し、その強度を保持することができる。
【0079】
[具体例6]
図9には、本発明の積層体の別の一例(断面図)を示す。図9の積層体では、吸熱層2、及び化粧層3が順に積層されている。吸熱層2は、正面視において四角形(正方形、または長方形)の板材であり、化粧層3は、正面視において四角形(正方形、または長方形)のシートである。図9では、化粧層3の裏面に予め接着材層4を設けたものを、吸熱層2に貼り合わせている。そして、化粧層3は、吸熱層2の右側端部2Rを超えて一方向に延びており、吸熱層2の左側端部付近では、化粧層3が積層されていない。
【0080】
図9の積層体を用いた被覆構造体の一例(断面図)を、図10に示す。図10の被覆構造体では、図9の積層体4枚を用いて、長尺の角型基材を被覆している。具体的に、図10の被覆構造体では、断面視において、基材8(角型基材)の四辺の外側に沿って、4枚の積層体121~124を設置している。積層体121~124の吸熱層の厚みは同じであり、積層体121~124の化粧層の厚みも同じである。
【0081】
基材8(角型基材)の角部では、一方の積層体の吸熱層裏面と、他方の積層体の吸熱層側面とが接している。具体的に、積層体121と122が接する右上角部では、積層体121の吸熱層側面と、積層体122の吸熱層裏面とが接している。積層体122と123が接する右下角部では、積層体122の吸熱層側面と、積層体123の吸熱層裏面とが接している。積層体123と124が接する左下角部では、積層体123の吸熱層側面と、積層体124の吸熱層裏面とが接している。積層体124と121が接する左上角部では、積層体124の吸熱層側面と、積層体121の吸熱層裏面とが接している。
【0082】
積層体121~124はいずれも、吸熱層のサイズが、角型基材の一辺の長さと、隣接する積層体の吸熱層の厚みとの和に等しいものである。そして、積層体121~124において、吸熱層の端部を超えて延びている化粧層は、それぞれ隣接する積層体の吸熱層の端部で曲げられ、その吸熱層の側面ないし端部表面付近を覆うように貼り合わされている。例えば、積層体121において、右端の化粧層は、積層体122の吸熱層の右上端部で曲げられ、積層体122の吸熱層の上側面ないし右上表面付近を覆うように貼り合わされている。これにより、角型基材の周囲全体が、積層体によって覆われている。隣接する積層体において、化粧層どうしが接する箇所は、例えば、化粧層と同系色の接着材、コーティング材、パテ材等で適宜処理することができる。
【0083】
図10の被覆構造体は、化粧層として、例えば、木目調、砂岩調等の意匠性を有するものを用いることにより、美観性を高めることができる。このような構造体は、平常時には意匠性(美観性)に優れ、火災等によって高温に晒された場合には、化粧層3が熱反射性、耐熱性を示し、さらに吸熱層2が吸熱作用を示すことにより、基材8の温度上昇を抑制し、その強度を保持することができる。
【0084】
[具体例7]
図11には、本発明の積層体の別の一例(断面図)を示す。図11の積層体では、吸熱層21、及び化粧層3が順に積層されている。吸熱層21は、正面視において四角形(正方形、または長方形)の板材であり、左右の端部が面取り加工され、断面視において台形の形状となっている。化粧層3は、正面視において四角形(正方形、または長方形)のシートである。図11では、化粧層3の裏面に予め接着材層4を設けたものを、吸熱層21に貼り合わせている。そして、化粧層3は、吸熱層21の左側端部21L及び右側端部21Rを超えて二方向に延びている。
【0085】
図12には、本発明の積層体の別の一例(断面図)を示す。図12の積層体では、吸熱層21、及び化粧層3が順に積層されている。吸熱層21は、正面視において四角形(正方形、または長方形)の板材であり、左右の端部が面取り加工され、断面視において台形の形状となっている。化粧層3は、正面視において四角形(正方形、または長方形)のシートである。図12では、化粧層3の裏面に予め接着材層4を設けたものを、吸熱層21に貼り合わせている。そして、化粧層3は、吸熱層21の右側端部21Rを超えて一方向に延びており、吸熱層21の左側端部付近では、化粧層3が積層されていない。
【0086】
図12の積層体を用いた被覆構造体の一例(断面図)を、図13に示す。図13の被覆構造体では、図12の積層体4枚を用いて、長尺の角型基材を被覆している。具体的に、図13の被覆構造体では、断面視において、基材8(角型基材)の四辺の外側に沿って、4枚の積層体125~128を設置している。積層体125~128の吸熱層の厚みは同じであり、積層体125~128の化粧層の厚みも同じである。
【0087】
積層体125~128はいずれも、吸熱層裏側のサイズが、角型基材の一辺の長さに等しいものである。そして、積層体125~128において、吸熱層の端部を超えて延びている化粧層は、それぞれ下層の吸熱層、ないし隣接する積層体の吸熱層に沿うように曲げられ、下層の吸熱層の側面、ないし隣接する積層体の吸熱層端部表面付近を覆うように貼り合わされている。例えば、積層体125において、右端の化粧層は、下層の吸熱層、ないし積層体126の吸熱層に沿うように曲げられ、下層の吸熱層の側面、ないし積層体126の吸熱層端部表面付近を覆うように貼り合わされている。これにより、角型基材の周囲全体が、積層体によって覆われている。隣接する積層体において、化粧層どうしが接する箇所は、例えば、化粧層と同系色の接着材、コーティング材、パテ材等で適宜処理することができる。
【0088】
図13の被覆構造体は、化粧層として、例えば、木目調、砂岩調等の意匠性を有するものを用いることにより、美観性を高めることができる。このような構造体は、平常時には意匠性(美観性)に優れ、火災等によって高温に晒された場合には、化粧層3が熱反射性、耐熱性を示し、さらに吸熱層2が吸熱作用を示すことにより、基材8の温度上昇を抑制し、その強度を保持することができる。
【0089】
[具体例8]
図14には、本発明の積層体の別の一例(断面図)を示す。図14の積層体では、吸熱層2、熱発泡層6、及び化粧層3が順に積層されている。吸熱層2は、正面視において四角形(正方形、または長方形)の板材であり、熱発泡層6は、正面視において四角形(正方形、または長方形)のシートであり、化粧層3は、正面視において四角形(正方形、または長方形)の化粧シートである。図14では、熱発泡層3の裏面に予め接着材層4を設けたものを、吸熱層2に貼り合わせている。化粧層3は、接着材層等を介して、熱発泡層6の表面に積層することができる。そして、熱発泡層6は、吸熱層2の右側端部2Rを超えて一方向に延びている。化粧層3は、吸熱層2の左端部2L及び右側端部2Rを超えて二方向に延びている。化粧層3の右端は、熱発泡層7の右端部を超えて延びている。
【0090】
図14の積層体を用いた被覆構造体の一例(断面図)を、図15に示す。図15の被覆構造体では、図14の積層体4枚を用いて、長尺の角型基材を被覆している。具体的に、図15の被覆構造体では、断面視において、基材8(角型基材)の四辺の外側に沿って、4枚の積層体129~132を設置している。積層体129~132の吸熱層の厚みは同じであり、積層体129~132の熱発泡層の厚みも同じであり、積層体129~132の化粧層の厚みも同じである。
【0091】
基材8(角型基材)の角部では、一方の積層体の吸熱層裏面と、他方の積層体の吸熱層側面とが接している。具体的に、積層体129と130が接する右上角部では、積層体129の吸熱層側面と、積層体130の吸熱層裏面とが接している。積層体130と131が接する右下角部では、積層体130の吸熱層側面と、積層体131の吸熱層裏面とが接している。積層体131と132が接する左下角部では、積層体131の吸熱層側面と、積層体132の吸熱層裏面とが接している。積層体132と129が接する左上角部では、積層体132の吸熱層側面と、積層体129の吸熱層裏面とが接している。
【0092】
積層体129~132において、吸熱層の端部を超えて延びている熱発泡層は、それぞれ隣接する積層体の側面に貼り合わされている。例えば、積層体129において、右端の熱発泡層は、積層体130の側面に貼り合わされている。
【0093】
また、積層体129~132において、吸熱層の端部を超えて延びている化粧層は、それぞれ隣接する積層体の側面の化粧層に貼り合わされている。例えば、積層体129において、右端の化粧層は、積層体130の側面の化粧層に貼り合わされている。
【0094】
図15の被覆構造体では、角型基材の周囲全体が、積層体によって覆われている。隣接する積層体において、化粧層どうしが接する箇所は、例えば、化粧層と同系色の接着材、コーティング材、パテ材等で適宜処理することができる。
【0095】
図13の被覆構造体は、化粧層として、例えば、木目調、砂岩調等の意匠性を有するものを用いることにより、美観性を高めることができる。このような構造体は、平常時には意匠性(美観性)に優れ、火災等によって高温に晒された場合には、化粧層3が熱反射性、耐熱性を示し、さらに熱発泡層3が発泡して炭化断熱層を形成するとともに、吸熱層2が吸熱作用を示すことにより、基材8の温度上昇を抑制し、その強度を保持することができる。
【0096】
[具体例9]
図16には、本発明の積層体の別の一例(断面図)を示す。図16の積層体では、熱反射層7、吸熱層2、及び化粧層3が順に積層されている。吸熱層2は、正面視において四角形(正方形、または長方形)の板材であり、化粧層3は、正面視において四角形(正方形、または長方形)のシートである。熱反射層7は、吸熱層2の裏面側全体を覆うように、接着材層5を介して貼り合わせられている。図16では、化粧層3の裏面に予め接着材層4を設けたものを、吸熱層2に貼り合わせている。そして、化粧層3は、吸熱層2の右側端部2Rを超えて二方向に延びている。
【0097】
図16の積層体は、例えば、図7図8等の態様で被覆構造体を形成することができる。このような被覆構造体が、火災等によって高温に晒された場合には、のような構造体は、平常時には意匠性(美観性)に優れ、火災等によって高温に晒された場合には、化粧層3が熱反射性や耐熱性、吸熱層2が吸熱作用を示し、熱反射層7が遮熱作用を示すことにより、基材8の温度上昇を抑制し、その強度を保持することができる。



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16