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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139426
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20220915BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20220915BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20220915BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G06F1/16 312K
G06F1/16 312E
H04B1/38
H01Q1/38
H01Q1/22 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039806
(22)【出願日】2021-03-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】渡村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】恩田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】米田 雅春
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
5K011
【Fターム(参考)】
5J046AA02
5J046AA03
5J046PA09
5J047AA02
5J047AA03
5J047EF05
5K011AA06
5K011AA15
5K011BA04
5K011DA02
5K011JA01
5K011KA13
5K011KA18
(57)【要約】
【課題】電子部品の性能を低下させることなく、アンテナの特性を確保することができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器100は、収容筐体103と、電子部品13と、アンテナ回路と、近接センサ回路40とを備える。収容筐体103は、厚さ方向に向かい合う一対の主面3a,4aと端面5a,6aとによって収容空間106が形成されている。電子部品13は、収容空間106内に設けられている。アンテナ回路は、厚さ方向から見て少なくとも一部が電子部品13に重なるように収容空間106内に設けられている。近接センサ回路40は、アンテナ回路に接続され、物体の接近に応じて変化する物理量によって物体の接近を検出する。アンテナ回路は、基材と、アンテナエレメントと、アンテナグランドとを備える。近接センサ回路40は、電子部品13と端面6aとの間に形成された端部空間109に設けられている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に載置される電子機器であって、
厚さ方向に向かい合う一対の主面と、一対の前記主面の一方から他方にかけて形成された端面とによって収容空間が形成された収容筐体と、
前記収容空間内に設けられた電子部品と、
前記厚さ方向から見て少なくとも一部が前記電子部品に重なるように前記収容空間内に設けられたアンテナ回路と、
前記アンテナ回路に接続され、物体の接近に応じて変化する物理量によって前記物体の接近を検出する近接センサ回路と、
を備え、
前記アンテナ回路は、
基材と、
前記基材に設けられたアンテナエレメントと、
前記基材に設けられ、前記アンテナエレメントを囲むアンテナグランドと、
を備え、
前記近接センサ回路は、前記電子部品と前記端面との間に形成された端部空間に設けられている、
電子機器。
【請求項2】
ディスプレイが搭載された第1筐体と、
前記第1筐体に回動可能に連結された第2筐体と、
をさらに備え、
前記収容筐体は、前記第1筐体または前記第2筐体に回動可能に連結され、前記第2筐体に対する前記第1筐体の開き角に応じて、前記載置面に接して前記第2筐体を支持する起立姿勢と、前記第2筐体を支持しない横臥姿勢と、を切り替え可能であり、
前記アンテナエレメントの少なくとも一部は、前記収容筐体が前記横臥姿勢から前記起立姿勢に移行するのに伴って前記載置面に近づく位置にある、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記アンテナエレメントの少なくとも一部は、前記端面に重なる位置に設けられている、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
一対の前記主面をそれぞれ第1主面および第2主面として、前記収容筐体が前記横臥姿勢をとるとき、前記第1主面は前記第2主面に比べて高い位置にあり、
前記アンテナエレメントの少なくとも一部は、前記第1主面から前記端面にかけて設けられている、請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記近接センサ回路は、前記アンテナグランドに接続される、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パーソナル・コンピュータなどの電子機器には、無線通信用のアンテナと、近接センサ(Proximity Sensor)とが設けられることがある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-244843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器に、スピーカなどの電子部品を設ける場合、筐体の厚さ方向のスペースの制約により、十分な性能の電子部品を使用できない場合がある。また、近接センサは、設置位置によっては、アンテナに電磁気的な影響を与える場合があった。そのため、電子部品の性能を低下させることなく、アンテナの特性を確保することが求められていた。
【0005】
本発明の一態様は、電子部品の性能を低下させることなく、アンテナの特性を確保することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、載置面に載置される電子機器であって、厚さ方向に向かい合う一対の主面と、一対の前記主面の一方から他方にかけて形成された端面とによって収容空間が形成された収容筐体と、前記収容空間内に設けられた電子部品と、前記厚さ方向から見て少なくとも一部が前記電子部品に重なるように前記収容空間内に設けられたアンテナ回路と、前記アンテナ回路に接続され、物体の接近に応じて変化する物理量によって前記物体の接近を検出する近接センサ回路と、を備え、前記アンテナ回路は、基材と、前記基材に設けられたアンテナエレメントと、前記基材に設けられ、前記アンテナエレメントを囲むアンテナグランドと、を備え、前記近接センサ回路は、前記電子部品と前記端面との間に形成された端部空間に設けられている、電子機器を提供する。
【0007】
前記電子機器は、ディスプレイが搭載された第1筐体と、前記第1筐体に回動可能に連結された第2筐体と、をさらに備え、前記収容筐体は、前記第1筐体または前記第2筐体に回動可能に連結され、前記第2筐体に対する前記第1筐体の開き角に応じて、前記載置面に接して前記第2筐体を支持する起立姿勢と、前記第2筐体を支持しない横臥姿勢と、を切り替え可能であり、前記アンテナエレメントの少なくとも一部は、前記収容筐体が前記横臥姿勢から前記起立姿勢に移行するのに伴って前記載置面に近づく位置にあることが好ましい。
【0008】
前記アンテナエレメントの少なくとも一部は、前記端面に重なる位置に設けられていることが好ましい。
【0009】
前記電子機器は、一対の前記主面をそれぞれ第1主面および第2主面として、前記収容筐体が前記横臥姿勢をとるとき、前記第1主面は前記第2主面に比べて高い位置にあり、前記アンテナエレメントの少なくとも一部は、前記第1主面から前記端面にかけて設けられていることが好ましい。
【0010】
前記近接センサ回路は、前記アンテナグランドに接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様は、電子部品の性能を低下させることなく、アンテナの特性を確保することができる電子機器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る電子機器の斜視図である。
図2】実施形態に係る電子機器の一部の斜視図である。
図3】実施形態に係る電子機器の斜視図である。
図4】実施形態に係る電子機器の一部の側面図である。
図5】第3筐体の断面図である。
図6】第3筐体の内部構造を示す分解斜視図である。
図7】第2アンテナユニットの斜視図である。
図8】第2アンテナユニット、および筒部の一部の斜視図である。
図9】第3筐体の断面図である。
図10】第2アンテナユニットの斜視図および構成図である。
図11】近接センサ回路の模式的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施形態に係る電子機器100の斜視図である。図1は、第1筐体101と第2筐体102とを開いた状態の電子機器100の斜視図である。図2は、電子機器100の一部の斜視図である。図3は、第1筐体101と第2筐体102とを閉じた状態の電子機器100の斜視図である。図4は、電子機器100の一部の側面図である。図5は、第3筐体103の断面図である。図5は、X方向およびZ方向に沿う断面を示す図である。
【0014】
[電子機器]
図1に示すように、電子機器100は、第1筐体101と、第2筐体102と、第3筐体(収容筐体)103と、第1アンテナユニット11(図6参照)と、第2アンテナユニット12(図6参照)と、電子部品13(図6参照)とを備える。電子機器100は、例えば、ノートPC(PC:パーソナルコンピュータ)である。
【0015】
電子機器100は、載置面200に載置されている。第2筐体102の第2面102dは、載置面200に対面する。載置面200は、例えば、水平面である。載置面200の構成材料は特に限定されないが、載置面200は、導体(例えば、金属)で形成されていてもよい。
【0016】
第1筐体101および第2筐体102は、矩形板状とされている。第1筐体101と第2筐体102とは、端部どうしがヒンジ機構110を介して連結されている。第1筐体101の第1基端部101bは、ヒンジ機構110が設けられた端部である。第1開放端部101aは、第1基端部101bとは反対側の端部である。第2筐体102の第2基端部102bは、ヒンジ機構110が設けられた端部である。第2開放端部102aは、第2基端部102bとは反対側の端部である。第2筐体102は、第1筐体101に対して、ヒンジ機構110がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。開き角θ1は、第2筐体102の第1面102cと第1筐体101の第1面101cとがなす角度である。開き角θ1は、例えば、0°以上、180°以下の範囲で選択できる。
【0017】
第1筐体101は、ディスプレイ104を搭載する。ディスプレイ104は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(EL:Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。第1筐体101は、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。第1筐体101の第1面101cは、ディスプレイ104が設けられる面である。第1筐体101の、第1面101cとは反対面を第2面101dという。
【0018】
第2筐体102は、キーボード107およびタッチパッド108を搭載する。キーボード107およびタッチパッド108は、入力デバイスの例である。第2筐体102には、バッテリー、ストレージ装置なども搭載される。第2筐体102は、システム筐体とも呼ばれる。
【0019】
第2筐体102の第1面102cは、キーボード107およびタッチパッド108が設けられる面である。第1面102cは、第2筐体102に対する第1筐体101の開き角θ1が0°のとき、ディスプレイ104に対向する。第2筐体102の、第1面102cとは反対面を第2面102dという。
【0020】
図2に示すように、第3筐体103は、矩形板状とされている。第3筐体103は、支持腕部105を介して第1筐体101または第2筐体102に連結されている。第3筐体103の第3基端部103bは、支持腕部105が設けられた端部である。第3開放端部103aは、第3基端部103bとは反対側の端部である。第3筐体103は、第2筐体102に対して、ヒンジ機構110がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。第3基端部103bから第3開放端部103aまでの寸法は、第2筐体102における第2基端部102bから第2開放端部102aまでの長さより小さい。
【0021】
図1および図3に示すように、第3筐体103は、第2筐体102に対する第1筐体101の開き角θ1に応じて姿勢が変化する。図3に示すように、開き角θ1が0°であるときには、第3筐体103は、第2筐体102に沿う姿勢となる。図3に示す第3筐体103の姿勢を「横臥姿勢P1」という。横臥姿勢P1にある第3筐体103は、第2筐体102とほぼ平行となる。そのため、第3筐体103は、載置面200と平行となる。横臥姿勢P1にある第3筐体103は、第2筐体102を支持しない。
【0022】
図1に示すように、第3筐体103は、開き角θ1が大きくなるのに伴って、第2筐体102に対する傾斜が大きくなる。図1図2および図4に示す第3筐体103の姿勢を「起立姿勢P2」という。
【0023】
図4に示すように、起立姿勢P2において、第2筐体102に対する第3筐体103の傾斜角を「θ2」という。傾斜角θ2は、例えば、第2筐体102の第2面102dと、第3筐体103の第2主板部4の外面4cとの角度である。第3筐体103が横臥姿勢P1(図3参照)にあるとき、傾斜角θ2は0°となる。
【0024】
起立姿勢P2にある第3筐体103は、第3基端部103bから第3開放端部103aに向けて下降するように傾斜する。起立姿勢P2における傾斜角θ2は、例えば、0°を越え、120°以下であってよい。傾斜角θ2は、例えば、0°を越え、90°以下であってもよい。図4における傾斜角θ2は、90°より小さい。
【0025】
起立姿勢P2において、載置面200に対する第3筐体103の傾斜角θ3は、例えば、0°を越え、90°以下である。傾斜角θ3は、例えば、載置面200に対する、第2主板部4の外面4cの角度である。第3筐体103が横臥姿勢P1(図3参照)にあるとき、傾斜角θ3は0°となる。
【0026】
起立姿勢P2にある第3筐体103は、第2端板部6(例えば、第3開放端部103aまたは第3開放端部103aの近傍)において載置面200に接する。第3基端部103bは載置面200から上方に離れた位置にある。起立姿勢P2にある第3筐体103は、第2筐体102を支持する。
【0027】
図1に示すように、第2筐体102の第2基端部102bは、起立姿勢P2にある第3筐体103に支持されることによって、載置面200から上方に離れて位置する。第2筐体102は、第2開放端部102aまたは第2開放端部102aの近傍において載置面200に接する。
【0028】
図1および図3に示すように、第2筐体102に対する第1筐体101の開き角θ1を調整することによって、第3筐体103は、横臥姿勢P1(図3参照)と、起立姿勢P2(図1参照)とを切り替え可能である。
【0029】
図2に示すように、第3筐体103は、筒部1と、一対の側板部2とを備える。一対の側板部2は、筒部1の一方および他方の端部開口を閉止する。
【0030】
図3図5に示すように、第3筐体103については、XYZ直交座標系を用いて各構成の位置関係を説明することがある。X方向は、第3開放端部103aと第3基端部103bとを通る方向である。X方向は、第3筐体103の幅方向である。+X方向は、第3基端部103bから第3開放端部103aに向かう方向である。Y方向は、第2主板部4の第2主面4aに沿う面においてX方向と直交する。Y方向は、筒部1の中心軸と平行である。Y方向は、第3筐体103の長さ方向である。Z方向は、X方向およびY方向に直交する。Z方向は、第3筐体103および収容空間106の厚さ方向である。
【0031】
図4に示すように、第3筐体103は、Y方向から見て長円形状である。「長円形状」は、互いに平行かつ向かい合う2つの直線と、2つの直線の端部どうしをそれぞれ結ぶ湾曲凸状(例えば半円形状、楕円弧形状など)の曲線とで構成される形状である。
【0032】
図5に示すように、筒部1は、第1主板部3と、第2主板部4と、第1端板部5と、第2端板部6とを備える。第1主板部3および第2主板部4は、長さ方向がY方向に沿う長方形状とされている(図2参照)。第1主板部3と第2主板部4とは、互いに平行であり、向かい合って配置されている。第1主板部3と第2主板部4とは同形である。第3筐体103が横臥姿勢P1をとるとき、第1主板部3は、第2主板部4に対して上に位置する。第1主板部3の内面を第1主面(主面)3aという。第2主板部4の内面を第2主面(主面)4aという。第1主面3aと第2主面4aとは、Z方向に向かい合う。第3筐体103が横臥姿勢P1をとるとき、第1主面3aは第2主面4aに比べて載置面200から離れた位置にある。
【0033】
図4に示すように、第1端板部5は、Y方向から見て、第1主板部3の-X方向の端部から第2主板部4の-X方向の端部にかけて、湾曲凸状(例えば、半円形状、楕円弧形状など)に形成されている。第1端板部5は、第3基端部103bを含む。第2端板部6は、Y方向から見て、第1主板部3の+X方向の端部から第2主板部4の+X方向の端部にかけて、湾曲凸状(例えば、半円形状、楕円弧形状など)に形成されている。第2端板部6は、第3開放端部103aを含む。図4では、第1端板部5と第2端板部6は、互いに離れる方向に凸となる半円形状である。
【0034】
図5に示すように、第1端板部5の内面を第1端面5aという。第1端面5aは、第1主面3aの-X方向の端部から第2主面4aの-X方向の端部にかけて形成されている。第2端板部6の内面を第2端面6aという。第2端面6aは、第1主面3aの+X方向の端部から第2主面4aの+X方向の端部にかけて形成されている。第2端面6aは「端面」の一例である。
Y方向から見て第2端面6aの中点を6bとする。中点6bは、Y方向から見て筒部1の内面がなす長円の頂点に相当する。第1主面3aの+X方向の端部3bから中点6bまでの領域を第1領域6Aという。中点6bから第2主面4aの+X方向の端部4bまでの領域を第2領域6Bという。
【0035】
図2および図5に示すように、筒部1は、筒部主部7と、電波透過板8とを備える。筒部主部7は、例えば、金属で形成されている。筒部主部7には、複数の窓部(開口)9が形成されている。窓部9は、第1主板部3から第2端板部6にかけて形成されている。
【0036】
図2に示すように、複数の窓部9は、第1窓部9Aと、第2窓部9Bと、第3窓部9Cとを有する。第1窓部9AのY方向の形成範囲は、第1アンテナユニット11のY方向の範囲を包含する(図6参照)。第2窓部9BのY方向の形成範囲は、第2アンテナユニット12のY方向の範囲を包含する(図6参照)。
【0037】
電波透過板8は、複数の窓部9にそれぞれ形成されている。電波透過板8は、樹脂などの非導体で形成されている。電波透過板8は、電波が透過可能である。電波透過板8は、窓部9を閉止する。電波透過板8は、窓部9から第3筐体103内に異物が入るのを阻止する。
【0038】
図5に示すように、収容空間106は、第3筐体103の内部空間である。収容空間106は、第1主面3aと、第2主面4aと、第1端面5aと、第2端面6aとによって形成されている。
【0039】
図6は、第3筐体103の内部構造を示す分解斜視図である。図6に示すように、収容空間106内には、第1アンテナユニット11と、第2アンテナユニット12と、電子部品13とが設けられている。
【0040】
第1アンテナユニット11は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuits)である。第1アンテナユニット11は、主部14と、主部14から延出する延出部15とを備える。
【0041】
電子部品13は、例えば、スピーカである。図5に示すように、電子部品13は、少なくとも一部が第1主面3aと第2主面4aの間に位置する。本実施形態では、電子部品13の幅(X方向の寸法)は、第1主面3aおよび第2主面4aの幅(X方向の寸法)とほぼ等しい。なお、電子部品13は、スピーカに限らず、他の音響機器、センサ機器などであってもよい。
【0042】
図7は、第2アンテナユニット12の斜視図である。図8は、第2アンテナユニット12、および筒部1の一部の斜視図である。図9は、第3筐体103の断面図である。図9は、図8のI-Iで示す箇所における断面図である。
【0043】
図8および図9に示すように、第2端板部6の第2端面6aの一部には、厚肉部10が形成されている。厚肉部10では、第2端板部6は厚肉化されて内方に膨出する。厚肉部10の内面10aは、Y方向およびZ方向に沿う平坦面である。厚肉部10は、筒部1の長さ方向(Y方向)の一部に形成されている。厚肉部10の内面10aは、第2端面6aの一部である。
【0044】
図9に示すように、第2端板部6の第2端面6aと、電子部品13との間に形成された空間を端部空間109という。端部空間109は、第2端面6aと、電子部品13の+X方向の端面とによって区画された空間である。
【0045】
図7に示すように、第2アンテナユニット12は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)である。第2アンテナユニット12は、シート状に形成され、可撓性を有する。第2アンテナユニット12は、主部24と、延出部25とを備える。主部24は、概略、矩形状とされている。延出部25は、主部24の-X方向の端から延出する帯状部分である。延出部25は、主部24の+Y方向の端部を含む位置に形成されている。
【0046】
図5および図8に示すように、第2アンテナユニット12は、筒部1の内面に沿って形成されている。第2アンテナユニット12は、第1主面3aから第2端面6aにかけて形成されている。第2アンテナユニット12は、第1主面3aおよび第2端面6aに接していてもよいし、第1主面3aおよび第2端面6aから離れていてもよい。
図8および図9に示すように、第2アンテナユニット12の-Y方向の端部を含む矩形状の領域20は、厚肉部10の内面10aに重なる。
【0047】
図10は、第2アンテナユニット12の斜視図および構成図である。図10に示すように、第2アンテナユニット12は、基材フィルム(基材)26と、アンテナ回路30と、近接センサ回路40と、を備える。基材フィルム26は、例えば、ポリイミドなどの樹脂で構成されている。基材フィルム26は、可撓性を有する。第2アンテナユニット12は、アンテナ回路30および近接センサ回路40を覆うカバーレイ(図示略)を有していてもよい。
【0048】
アンテナ回路30は、アンテナエレメント27と、アンテナグランド28とを備える。アンテナエレメント27およびアンテナグランド28は、基材フィルム26の一方の面に形成されている。アンテナエレメント27およびアンテナグランド28は、例えば、銅箔などにより形成された金属層(導体層)である。アンテナ回路30は、例えば、第1主面3aから第2端面6a(第1領域6A)にかけて形成されている(図5参照)。アンテナ回路30は、少なくとも一部が第1主面3aに沿って形成されている。アンテナ回路30のうち第1主面3aに重なる部分は、電子部品13にも重なる。
【0049】
アンテナエレメント27は、電波の送受信を行うためのパターンを有する。アンテナエレメント27は、例えば、第1主面3aから第2端面6a(第1領域6A)にかけて形成されている(図5参照)。すなわち、アンテナエレメント27は、第1主面3aから第2端面6a(第1領域6A)に重なる位置に形成されている(図5参照)。アンテナエレメント27は、延出部25においてアンテナケーブル29(図5参照)と電気的に接続されている。アンテナエレメント27は、第2アンテナユニット12の配線およびアンテナケーブル29を介して、第2筐体102内の通信回路(図示略)と接続されている。アンテナケーブル29は、例えば、同軸ケーブルである。
【0050】
アンテナグランド28は、矩形状の枠状配線31を有する。枠状配線31は、一対の主配線32と、一対の側配線33とを備える。主配線32は、概略、Y方向に沿う配線である。一対の主配線32は、X方向に間隔をおいて対向配置されている。
【0051】
一対の主配線32のうち、第3基端部103b(図4参照)に近い方の主配線32を「第1主配線32A」という。一対の主配線32のうち、第3開放端部103a(図4参照)に近い方の主配線32を「第2主配線32B」という。
一対の側配線33は、Y方向に間隔をおいて対向配置されている。
【0052】
枠状配線31は、アンテナエレメント27を囲む。すなわち、アンテナエレメント27は、枠状配線31の内側に形成されている。そのため、アンテナエレメント27は、一対の主配線32の間に配置されている。アンテナエレメント27は、一対の側配線33の間に配置されている。アンテナエレメント27は、枠状配線31に対して間隔をおいて形成されている。
【0053】
図11は、近接センサ回路40の模式的な構成図である。図11に示すように、近接センサ回路40は、検出素子41を用いて、物体の接近に応じて変化する物理量によって前記物体の接近を検出する。近接センサ回路40は、例えば、静電容量センサである。静電容量センサは、物理量として静電容量を検出する。
【0054】
図10に示すように、近接センサ回路40は、アナログ配線42を介して検出素子41と接続されている。近接センサ回路40は、アンテナエレメント27を検出素子41として用いて静電容量を検出する。近接センサ回路40は、検出した物理量に応じた検出信号を、配線43を通して制御部(図示略)に送ることができる。
なお、近接センサ回路としては、静電容量センサに限らず、誘導型のセンサを使用してもよい。
【0055】
近接センサ回路40は、第2アンテナユニット12の領域20に形成されている。そのため、近接センサ回路40は、第2端板部6の第2端面6aと、電子部品13との間に形成された空間である端部空間109(図9参照)に形成されている。
【0056】
図4に示すように、第3筐体103が起立姿勢P2をとるとき、第3基端部103bは第3開放端部103aに対して高い位置にある。そのため、図10に示す一対の主配線32は、載置面200からの高さ位置が互いに異なる。第1主配線32Aは、第2主配線32Bに比べて高く位置する。すなわち、第1主配線32Aは、第2主配線32Bに比べて載置面200からの距離が大きい。
【0057】
[電子機器の使用方法]
図3に示すように、開き角θ1がゼロであるときには、第3筐体103は、第2筐体102に沿う姿勢(横臥姿勢P1)をとる。第2筐体102および第3筐体103は、載置面200に沿う姿勢となる。第3筐体103は、第2筐体102を支持しない。
【0058】
図1および図4に示すように、開き角θ1が大きくなるのに伴って、第3筐体103は、第2筐体102に対する傾斜が大きくなり、起立姿勢P2をとる。起立姿勢P2にある第3筐体103は、第2筐体102を支持する。図4に示すように、第3筐体103は、第2端板部6において載置面200に接する。
【0059】
[実施形態の電子機器が奏する効果]
図9に示すように、電子機器100では、近接センサ回路40は、電子部品13と第2端面6aとの間の端部空間109に設けられる。近接センサ回路40は、電子部品13と重ならない位置に配置されるため、第3筐体103内の厚さ方向のスペースを確保しやすくなる。電子部品13について厚さ寸法の制約が少なくなるため、性能に優れた大型の電子部品13(例えば、音響性能に優れた大型スピーカ)を使用できる。
図10に示すように、アンテナ回路30のアンテナエレメント27は、アンテナグランド28に囲まれている。そのため、近接センサ回路40からアンテナエレメント27への電磁気的な影響を小さくできる。よって、アンテナ回路30の送受信性能に悪影響は及びにくい。
よって、電子機器100では、電子部品13の性能を低下させることなく、アンテナ回路30の送受信特性を確保することができる。
【0060】
電子機器100では、近接センサ回路40が設けられる端部空間109は、電子部品13に隣接する空間である(図9参照)。アンテナ回路30(図10参照)の少なくとも一部は電子部品13と重なる位置にある。そのため、近接センサ回路40とアンテナ回路30とを近い位置に配置できる。そのため、アナログ配線42を短くできる。よって、アナログノイズを抑制し、アンテナ回路30の送受信特性を高めることができる。
【0061】
電子機器100では、アンテナエレメント27は、アンテナグランド28の一対の主配線32の間に形成されている(図10参照)。第3筐体103が起立姿勢P2をとるときに、一対の主配線32のうち第1主配線32Aは、第2主配線32Bに比べて高く位置する。そのため、第1主配線32Aはアンテナエレメント27より高い位置にあり、かつ第2主配線32Bはアンテナエレメント27より低い位置にある。
【0062】
電子機器100では、アンテナエレメント27より低い位置に第2主配線32Bがあるため、載置面200が導体(例えば、金属)で形成されている場合においても、アンテナエレメント27に対する、載置面200からの電磁気的な影響を小さくできる。さらに、アンテナエレメント27より高い位置に第1主配線32Aがあるため、アンテナエレメント27に対する、第1筐体101からの電磁気的な影響を小さくできる。よって、アンテナエレメント27の送受信特性を改善することができる。
【0063】
前述のように、アンテナエレメント27は、第1主面3aから第2端面6a(第1領域6A)にかけて形成されている(図5参照)。第1領域6Aの少なくとも一部は、第3筐体103が横臥姿勢P1にあるとき(図3参照)に比べ、第3筐体103が起立姿勢P2にあるとき(図4参照)に載置面200に近づく。そのため、アンテナエレメント27の少なくとも一部は、第3筐体103が横臥姿勢P1から起立姿勢P2に移行するのに伴って載置面200に近づく。
【0064】
電子機器100は、アンテナエレメント27が、一対の主配線32の間に形成されている(図10参照)。そのため、第3筐体103が横臥姿勢P1から起立姿勢P2に移行することによって、アンテナエレメント27が載置面200に近づく場合においても、載置面200からの電磁気的な影響を小さくできる。よって、アンテナエレメント27の送受信特性は良好となる。
【0065】
電子機器100では、アンテナエレメント27は、第1主面3aから第2端面6a(第1領域6A)にかけて形成されているため、アンテナエレメント27が第2主面4aから第2端面6aにかけて形成されている場合に比べ、アンテナエレメント27の送受信特性を良好にできる。
アンテナエレメント27の送受信特性が良くなるのは、次の理由による。アンテナエレメント27の一部が第2主面4aにあると、アンテナエレメント27が送受信する電波が電子部品13の近くを通るため、この電波が電子部品13の影響を受ける可能性がある。これに対し、アンテナエレメント27の一部が第1主面3aにあると、アンテナエレメント27が送受信する電波は、他の電子部品の影響を受けにくくなる。よって、アンテナエレメント27の送受信特性は良好となる。
【0066】
電子機器100では、アンテナエレメント27は、一対の主配線32と一対の側配線33とによって形成された枠状配線31に囲まれているため、上下方向だけでなく、側方からの電磁気的影響を小さくできる。よって、アンテナエレメント27の送受信特性をさらに良好とすることができる。
【0067】
近接センサ回路40は、アンテナ回路30に接続されている。近接センサ回路40は、アンテナ回路30を利用して静電容量を検出できるため、近接センサの構成を簡略化できる。
【0068】
この発明の具体的な構成は上述の実施形態に限られず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
図10に示す近接センサ回路40においては、アンテナ回路30を用いて静電容量を検出するが、近接センサ回路の構成は特に限定されない。例えば、第2アンテナユニットに、別途、検出素子が設けられてもよい。この検出素子は、アンテナ回路に含まれていてもよい。
【0069】
図10に示すアンテナグランド28は、アンテナエレメント27を囲む枠状配線31を有するが、アンテナグランドの形状は特に限定されない。アンテナグランドは、少なくとも一対の主配線を有し、これらの主配線が、第3筐体が起立姿勢をとるときに、アンテナエレメントより高い位置および低い位置に配置されればよい。そのため、アンテナグランドは、一対の側配線のうち一方または両方を欠いていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
3a…第1主面(主面)、4a…第2主面(主面)、6a…第2端面(端面)、11…第1アンテナユニット(アンテナユニット)、13…電子部品、26…基材フィルム(基材)、27…アンテナエレメント、28…アンテナグランド、30…アンテナ回路、40…近接センサ回路、100…電子機器、101…第1筐体、102…第2筐体、103…第3筐体(収容筐体)、104…ディスプレイ、106…収容空間、109…端部空間、200…載置面、P1…横臥姿勢、P2…起立姿勢、θ1…開き角。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に載置される電子機器であって、
ディスプレイが搭載された第1筐体と、
前記第1筐体に回動可能に連結された第2筐体と、
厚さ方向に向かい合う一対の主面と、一対の前記主面の一方から他方にかけて形成された端面とによって収容空間が形成された収容筐体と、
前記収容空間内に設けられた電子部品と、
前記厚さ方向から見て少なくとも一部が前記電子部品に重なるように前記収容空間内に設けられたアンテナ回路と、
前記アンテナ回路に接続され、物体の接近に応じて変化する物理量によって前記物体の接近を検出する近接センサ回路と、
を備え、
前記アンテナ回路は、
基材と、
前記基材に設けられたアンテナエレメントと、
前記基材に設けられ、前記アンテナエレメントを囲むアンテナグランドと、
を備え、
前記近接センサ回路は、前記電子部品と前記端面との間に形成された端部空間に設けられ
前記収容筐体は、前記第1筐体または前記第2筐体に回動可能に連結され、前記第2筐体に対する前記第1筐体の開き角に応じて、前記載置面に接して前記第2筐体を支持する起立姿勢と、前記第2筐体を支持しない横臥姿勢と、を切り替え可能であり、
前記アンテナエレメントの少なくとも一部は、前記収容筐体が前記横臥姿勢から前記起立姿勢に移行するのに伴って前記載置面に近づく位置にある、
電子機器。
【請求項2】
前記アンテナエレメントの少なくとも一部は、前記端面に重なる位置に設けられている、請求項に記載の電子機器。
【請求項3】
一対の前記主面をそれぞれ第1主面および第2主面として、前記収容筐体が前記横臥姿勢をとるとき、前記第1主面は前記第2主面に比べて高い位置にあり、
前記アンテナエレメントの少なくとも一部は、前記第1主面から前記端面にかけて設けられている、請求項またはに記載の電子機器。
【請求項4】
前記近接センサ回路は、前記アンテナグランドに接続される、請求項1~のうちいずれか1項に記載の電子機器。