(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139447
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】打音検査システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/04 20060101AFI20220915BHJP
G01N 29/12 20060101ALI20220915BHJP
G01N 29/46 20060101ALI20220915BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20220915BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20220915BHJP
【FI】
G01N29/04
G01N29/12
G01N29/46
G01H17/00 Z
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039840
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】521105802
【氏名又は名称】株式会社SUKERU
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩章
【テーマコード(参考)】
2G024
2G047
2G064
【Fターム(参考)】
2G024BA12
2G024CA13
2G024DA12
2G024FA04
2G024FA06
2G024FA11
2G047AA05
2G047AB01
2G047BA04
2G047BC04
2G047BC11
2G047CA03
2G047EA12
2G047GD02
2G047GF26
2G047GG10
2G047GG20
2G047GG32
2G047GG33
2G064AB01
2G064AB13
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC41
2G064CC42
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】 検査現場における検査機器設置の手間を省くとともに、客観的な検査結果を得る。
【解決手段】 検査現場において、スマートフォン400で打音検査アプリ410を立ち上げると、スマートフォン400のディスプレイ406に検査画面が表示される。作業者は、検査画面において、検査対象の素材の人工知能を選択し、検査場所をハンマーで打つ。このときに生ずる打音は、マイク404で電気信号に変換され、打音測定部412に打音データ140として計測され、打音データ送信部414によって、打音検査AI100に送信される。打音検査AI100では、前記素材に対応して選択された人工知能200又は300において、正解データ240,340と比較され、劣化の程度が判定されて、スマートフォン400に送信される。スマートフォン400では、受信した判定結果が、判定結果受信表示部416で受信されてディスプレイ406に表示される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打音によって検査対象の良否判定を行う打音検査システムであって、
クラウド上に用意された検査対象の良否判定を行う判定手段,
検査現場で検査対象に打音を行って、打音データを得る情報端末,
を備えており、
前記情報端末は、ネットワークを通じて前記打音データを前記判定手段に送信するとともに、前記判定手段による判定結果を受信して表示することを特徴とする打音検査システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記打音データから得た周波数スペクトラムから、検査対象の良否判定を行うことを特徴とする請求項1記載の打音検査システム。
【請求項3】
前記判定手段は、過去の検査で得た打音データ及びその判定結果から学習し、良否判定の正解データを修正する人工知能であることを特徴とする請求項1又は2記載の打音検査システム。
【請求項4】
前記判定手段は、素材の種類毎に人工知能を構成したことを特徴とする請求項3記載の打音検査システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の打音検査システムを使用する打音検査方法であって、
検査対象に対して打音を行い、前記情報端末で打音データを得るステップ,
得られた打音データを、前記情報端末でネットワークを通じて前記判定手段に送信するステップ,
前記判定手段で、検査対象の良否判定を行うステップ,
判定結果を、ネットワークを通じて前記情報端末に送信するステップ,
受信した判定結果を、前記情報端末で表示するステップ,
を備えたことを特徴とする打音検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種素材の腐食ないし劣化の程度を打音によって検査する打音検査システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の劣化の検査技術としては、例えば、下記特許文献1記載の材質劣化検出方法がある。これは、超音波の伝播特性の変化を利用して金属の材質の劣化を簡単且つ高精度で検出することを目的としたもので、被検査体が新しい時の超音波伝播特性を測定してこれを記録しておくと共に、被検査体に熱時効等が加った後に、前記最初の測定時と同じ条件の下で被検査体の超音波伝播特性を測定し、両測定で得られた受信プローブによる検出信号を対比することにより、両検出信号間の位相差Δtの検出並びに位相差Δtの変化率Δt/T(即ち音速変化率)の演算を行ない、当該位相差の変化率Δt/Tを基準にして被検査体の材質劣化を検出するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した背景技術では、パソコン,波形発生器,電磁超音波探触子などの検査機器を検査対象のある現場に持ち込む必要がある。また、現場の状況によっては、それらの検査機器を設置できない可能性もある。更に、従来の検査方法では、検査者の経験と勘に頼る面もあり、必ずしも、的確な検査結果が得られるとは限らない。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、検査現場における検査機器設置の手間を省くとともに、客観的な検査結果を得ることを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の打音検査システムは、打音によって検査対象の良否判定を行う打音検査システムであって、クラウド上に用意された検査対象の良否判定を行う判定手段,検査現場で検査対象に打音を行って、打音データを得る情報端末,を備えており、前記情報端末は、ネットワークを通じて前記打音データを前記判定手段に送信するとともに、前記判定手段による判定結果を受信して表示することを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つによれば、前記判定手段は、前記打音データから得た周波数スペクトラムから、検査対象の良否判定を行うことを特徴とする。他の形態によれば、前記判定手段は、過去の検査で得た打音データ及びその判定結果から学習し、良否判定の正解データを修正する人工知能であることを特徴とする。また、前記判定手段は、素材の種類毎に人工知能を構成したことを特徴とする。
【0008】
本発明の打音検査システムは、前記いずれかの打音検査システムを使用する打音検査方法であって、検査対象に対して打音を行い、前記情報端末で打音データを得るステップ,得られた打音データを、前記情報端末でネットワークを通じて前記判定手段に送信するステップ,前記判定手段で、検査対象の良否判定を行うステップ,判定結果を、ネットワークを通じて前記情報端末に送信するステップ,受信した判定結果を、前記情報端末で表示するステップ,を備えたことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検査対象の良否判定を行う判定手段をクラウド上に用意し、検査現場で得た検査対象の打音データを情報端末で前記判定手段にネットワークを通じて送信し、判定結果を情報端末で表示することとしたので、検査現場への検査機器の運搬や設置の手間を省くとともに、作業者の経験や勘に頼ることなく、客観的な検査結果を得ることができるといった効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1における打音検査AIの構成を示すブロック図である。
【
図2】打音の周波数スペクトラムの一例を示すグラフである。
【
図3】前記実施例における学習時の様子を示す図である。
【
図4】前記実施例における計測時の様子を示す図である。
【
図5】前記実施例における計測時の動作手順を示す図である。
【
図6】前記実施例におけるマッピングの一例を示す図である。
【
図7】前記実施例における計測時の現場の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0012】
最初に、
図1を参照しながら、本発明の打音検査システムの全体構成を説明する。同図において、検査システムは、打音検査AI(人工知能)100を中心に構成されており、打音検査AI100は2つの人工知能200,300を備えている。すなわち、鉄(Fe)の劣化判定を行うFE-AI、ステンレスの劣化判定を行うSUS―AIがある。これら人工知能200,300は、劣化判定の対象となる素材が異なるのみで、基本的な構成は同じであるので、以下、人工知能200を中心に説明する。
【0013】
FE―AI200は、FE学習データ210,FE参照データ220,FE学習部230,FE正解データ240,FE判定部250を備えている。FE学習データ210,FE参照データ220,FE正解データ240は、メモリに格納されており、FE学習部230及びFE判定部250は、CPUでAIとしてのプログラムを実行することで、実現されている。人工知能300についても同様である。
【0014】
打音検査AI100はクラウド上に設けられており、複数の検査対象における打音検査のデータがインターネットなどを通じて送信され、当該検査対象の劣化の程度ないし良否の判定が行われるようになっている。検査対象としては、例えば、火力発電所,製鉄所などの配管などが該当する。
【0015】
以上のうち、FE学習データ210は、鉄について、人工知能200が学習すべきデータ(教師データ)であり、例えば、
a,FEをハンマーで叩いたときに生ずる音の録音データ,
b,この録音データの周波数スペクトルデータ,
c,残留音の広がり,
d,それらa~cのデータと劣化の有無の関係を示す経験値,
e,打音検査を行った素材の厚さや形状のデータ,
が該当する。
【0016】
次に、FE参照データ220には、
a,検査対象の耐用年数,
b,検査対象の修理時期,
c,検査対象の交換時期,
が該当し、多くの場合、検査対象の製造メーカーによって指定されている。
【0017】
次に、FE正解データ240は、FE学習部230によって学習した結果取得するデータで、このFE正解データ240に基づいて、検査時の劣化の程度の判定がFE判定部250で行われるようになっている。詳細は後述する。
【0018】
以上のような点は、ステンレスについても同様であり、人工知能300は、SUS学習データ310,SUS参照データ320,SUS学習部330,SUS正解データ340,SUS判定部350を備えている。SUS学習データ310,SUS参照データ320,SUS正解データ340は、メモリに格納されており、SUS学習部330及びSUS判定部350は、CPUでAIとしてのプログラムを実行することで、実現されている。
【0019】
図2には、上述したFE学習データ210の周波数スペクトルデータの一例が示されている。同図のグラフは、円柱形状の複数の厚さの鉄板をハンマーで叩いたときに生じた打音の周波数スペクトラムの一例を示すもので、横軸は周波数を示し、縦軸は音圧を示す。そして、点線は「健全」な状態のスペクトラムを示し、細実線は「注意」すべき状態のスペクトラムを示し、太実線は「危険」な状態のスペクトラムを示す。
【0020】
これらのグラフから、
a,検査対象が劣化しておらず、健全な状態にあるときは、比較的平坦で、注目すべきピークは存在しない。
b,検査対象に多少の劣化があり、注意すべき状態にあるときは、3600~4400Hzの間に顕著なピークPA,PBが認められる。
c,検査対象に劣化があり、危険な状態にあるときは、2800Hzに極めて顕著なピークPCが認められる。また、4700Hz付近や6800付近にも、それぞれピークPD,PEが認められる。
これらのグラフのピークPA~PEを参照すれば、検査対象が「健全」,「注意」,「危険」のいずれであるかを判定することができる。
【0021】
次に、
図3を参照しながら、人工知能AI200,300における学習動作について説明する。同図(A)には、検査対象110から得られる各種データの一例が示されており、
a,素材種別(本例では鉄とステンレス)データ120,
b,素材厚さ・形状データ130,
c,打音データ140,
d,その周波数スペクトラム142,
e,その残留音データ144,
f,劣化の経験値データ150,
g,耐用年数,修理・交換時期データ160,
が代表的なデータである。これらの各種データは、
図3(A)に示すように、多数の検査対象110から過去の実測値として得られる。
【0022】
次に、
図3(B)に示すように、前記a~fのデータは、人工知能200,300の学習データ210,310のうち、該当する素材のデータとして集積される(ステップSA)。前記gのデータは、参照データ220,320のうちの該当する素材のデータとして集積される。人工知能200,300は、集積した学習データ210,310に基づいて、学習部230,330で素材劣化の判定基準について学習し(ステップSB)、結果を正解データ240,340として保存する(ステップSC)。このとき、必要があれば、参照データ220,320を参照する。
【0023】
例えば、
図2の例において、
a,ピークPCに隣接するピークPC1においても、「危険」と判定された事例が生じたときは、ピークPC1が存在するときも「危険」と判定する。
b,過去の事例において、ピークPD,PEがないときでも、ピークPA,PBが検出されて「注意」と判定された事例が生じたときは、ピークPA,PBの有無で「注意」かどうかの判定を行う。
といった具合に正解データ240,340を修正する。
【0024】
具体的には、素材厚さ・形状データ130と、打音データ140の周波数スペクトラム142と、劣化の経験値データ150から、どのような厚さ・形状の場合に、
図2に示したピーク周波数と劣化判定との対応関係になるかを把握するといった具合である。
【0025】
次に、
図4を参照して、打音検査に用いる携帯情報端末について説明する。本実施例では、打音検査時に、スマートフォン400が用いられる。スマートフォン400には、カメラ402,マイク(マイクロフォン)404,ディスプレイ406,打音検査アプリ410を備えている。打音検査アプリ410は、打音測定部412,打音データ送信部414,判定結果受信表示部416の機能を備えている。打音測定部412は、検査画面をディスプレイ406に表示したり、マイク404から打音データ140を取得する機能を備えている。なお、打音データ140から周波数スペクトラム142を求める演算を行うようにしてもよい。打音データ送信部414は、打音測定部412で測定した打音データ140を、打音検査AI100に対して送信する機能を備えている。判定結果受信表示部416は、打音検査AI100から判定結果を受信し、ディスプレイ406に表示する機能を備えている。
【0026】
次に、
図5を参照して、検査時の動作を説明する。打音検査を行う作業者は、検査現場において、スマートフォン400で打音検査アプリ410を立ち上げる(ステップS10)。すると、スマートフォン400のディスプレイ406に検査画面が表示される。作業者は、検査画面において、検査対象の素材の人工知能を選択する(ステップS12)。次に、検査対象の検査場所にハンマーで打つ(ステップS14)。次に、このときに生ずる打音は、マイク404で電気信号に変換され、打音測定部412に打音データ140として計測される。(ステップS16)。この打音データ140は、打音データ送信部414によって、打音検査AI100に送信される。
【0027】
打音検査AI100では、前記素材に対応して選択された人工知能200又は300において、正解データ240,340と比較され(ステップS18)、劣化の程度が判定されて(ステップS20)、スマートフォン400に送信される(ステップS22)。スマートフォン400では、受信した判定結果が、判定結果受信表示部416で受信されてディスプレイ406に表示される(ステップS24)。
【0028】
更に、本実施例では、打音検査AI100で検査場所,問題個所のマッピングが行われ(ステップS26)、これがスマートフォン400に送信されて表示される(ステップS28)。
図6には、このようなマッピングが行われた検査マップMPの一例が示されており、地図上に複数の検査対象110の位置が示されている。また、各検査対象110の判定結果が、文字,図形,着色などにより適宜の方法で示される。図示の例では、検査対象110A~110Cが「安心」と判定されており、検査対象110Dが「注意」、検査対象110Eが「危険」と判定されている。
【0029】
次に、
図7を参照して、打音検査時のスマートフォン400のディスプレイ406の表示例を説明する。まず、作業者は、同図(A)に示すように、スマートフォン400で打音検査アプリ410を立ち上げて検査対象の配管Wにかざすとともに、打音用のハンマー500を持つ(ステップS40)。すると、スマートフォン400のカメラ402で配管Wが撮影されてディスプレイ406に表示されるとともに、更に測定ボタンSW,打音ボタンDPがそれぞれ表示される。次に、作業者が測定ボタンSWをタッチすると(ステップS42)、測定ボタンSWのアイコンが変化し、測定可能状態であることを知ることができる。
【0030】
次に、作業者は、同図(B-1)に示すように、ディスプレイ406上に表示されている打音ボタンDPに相当する配管Wの位置を、ハンマー500で10回以上テンポよく叩く(ステップS44)。すると、打音データ140がスマートフォン400のマイク404で電気信号に変換され、打音検査アプリ410に取り込まれる。打音検査アプリ410では、取り込まれた打音データ140が十分かどうかを評価し、その程度に応じて、同図(B-2)に示すように打音ボタンDPのアイコンを変化させる。十分な打音データ140が得られたと判断されたら、打音ボタンDPのアイコンを濃い二重丸とし、これを見た作業者は打音を完了する(ステップS46)。
【0031】
次に、作業者が、ディスプレイ406の測定ボタンSWをタッチすると、打音検査アプリ410は、打音データ140を打音検査AI100に送信するとともに、同図(C)に示すように、打音ボタンDPのアイコンを回転させて、判定中であることを作業者に知らせる。そして、打音検査AI100による配管Wの良否判定の結果を受信すると(ステップS48)、同図(D-1)に示すように、打音ボタンDPのアイコンに判定結果が表示される(ステップS50)。判定表示は、色やアイコン形状など、適宜としてよいが、例えば、同図(D-2)に示すように、
a,「安心」:配管Wの厚さが3mm以上あるような場合,
b,「注意」:配管Wの厚さが2~3mmの場合,
c,「危険」:配管Wの厚さが0.5~1.9mmの場合,
のように表示される。
【0032】
加えて、上記判定で「危険」と判定されて配管Wを交換したときに、交換前の配管Wをチェックし、「注意」と判定すべきであったことが判明したときは、当該事例のデータを打音検査AI100に学習データ210,310としてフィードバックする。人工知能200,300は、提供された学習データ210,310から学習部230,330で学習し、正解データ240,340を修正する。
【0033】
以上のように、本実施例によれば、劣化の良否判定を行う打音検査AI100をクラウド上に用意し、ハンマー500で検査対象を叩いたときに生ずる打音データ140の周波数スペクトラムから、検査対象の劣化の程度を判定することとしたので、ネットワーク環境さえあれば、スマートフォン400を検査現場に用意だけで打音検査を行うことができ、検査現場への検査機器の運搬や設置の手間を省くとともに、作業者の経験や勘に頼ることなく、客観的な検査結果を得ることができる。
【0034】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例では、検査対象の良否判定に、人工知能を用いたが、例えば、
図2に示した周波数スペクトラムと判定結果との関係が変動しないときは、学習を行って正解データを修正する必要がないので、単に周波数スペクトラムの波形を比較すればよい。
(2)また、周波数スペクトラムの良否判定には、ピークが出現する周波数の値のみならず、ピークの数や大きさ、広がりを考慮してもよいし、周波数スペクトラムの微分のグラフなどを用いるなど、良否判定に好適なものを用いてよい。
(3)前記実施例に示した人工知能やスマートフォンの構成は一例であり、同様の機能を奏するように適宜変更してよい。スマートフォンの表示についても同様である。また、スマートフォンの代わりに、タブレットやノートパソコンなどの情報端末を用いてよい。
(4)前記実施例では、素材が鉄及びステンレスの場合を示したが、他の金属材料,磁器・陶器材料,樹脂材料であってよい。
(5)前記実施例では、検査対象の良否判定を「安心」,「注意」,「危険」の3段階としたが、必要に応じて適宜変更してよい。
本発明によれば、検査対象の良否判定を行う判定手段をクラウド上に用意し、検査現場で得た検査対象の打音データを情報端末で前記判定手段にネットワークを通じて送信し、判定結果を情報端末で表示することとしたので、検査現場への検査機器の運搬や設置の手間を省くとともに、作業者の経験や勘に頼ることなく、客観的な検査結果を得ることができるといった効果があり、発電所,製鉄所など、各種の事業所や工場における配管検査などに好適である。