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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139458
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】バッテリ管理装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/387 20190101AFI20220915BHJP
   G01R 31/378 20190101ALI20220915BHJP
   G01R 31/3828 20190101ALI20220915BHJP
   G01R 31/3842 20190101ALI20220915BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220915BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20220915BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G01R31/387
G01R31/378
G01R31/3828
G01R31/3842
H01M10/48 P
H01M4/58
H02J7/00 P
H02J7/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039858
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 傑
(72)【発明者】
【氏名】小和田 稔
(72)【発明者】
【氏名】溝呂木 伸
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
5H050
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA02
2G216BA03
2G216BA13
2G216CB27
5G503AA05
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA11
5G503DA08
5G503EA05
5G503FA06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H050AA08
5H050BA17
5H050CA02
5H050DA02
5H050HA19
5H050HA20
(57)【要約】
【課題】電気自動車のバッテリのSOCを適切なタイミングで補正して管理する。
【解決手段】バッテリ管理装置100は、燃料電池1と、バッテリ2と、モータ3とを備える燃料電池自動車Vのバッテリ2を管理する。バッテリ管理装置100は、走行終了指示を受け付ける終了受付部12と、燃料電池1から出力された電力によってバッテリ2を充電する電力制御部13と、バッテリ2のSOCを推定するSOC推定部11と、を備える。電力制御部13は、走行終了指示が受け付けられた場合、バッテリ2の電圧値が予め定められた判定電圧値となるようにバッテリ2を充電する。SOC推定部11は、バッテリ2の電圧値が判定電圧値であるときのSOCを基準SOCとして予め記憶している。SOC推定部11は、判定電圧値となるようにバッテリ2が充電された場合、バッテリ2のSOCの推定値を基準SOCに基づいて補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機と、バッテリと、前記発電機及び前記バッテリの少なくともいずれかの出力電力によって作動するモータと、を備える電気自動車の前記バッテリを管理するバッテリ管理装置であって、
走行終了指示を受け付ける終了受付部と、
前記発電機から出力された電力によって前記バッテリを充電する電力制御部と、
前記バッテリの使用状況に基づいて前記バッテリのSOCを推定するSOC推定部と、
を備え、
前記電力制御部は、前記終了受付部によって前記走行終了指示が受け付けられた場合、前記バッテリの電圧値が予め定められた判定電圧値となるように前記バッテリを充電し、
前記SOC推定部は、前記バッテリの電圧値が前記判定電圧値であるときのSOCを基準SOCとして予め記憶しており、前記判定電圧値となるように前記バッテリが充電された場合、前記バッテリのSOCの推定値を前記基準SOCに基づいて補正する、バッテリ管理装置。
【請求項2】
前記バッテリは、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が第1の変化量である第1の電圧範囲と、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が前記第1の変化量よりも小さい第2の変化量である第2の電圧範囲とを有し、
前記判定電圧値は、前記第1の電圧範囲内の電圧値である、請求項1に記載のバッテリ管理装置。
【請求項3】
前記バッテリは、リン酸鉄リチウムを用いたリチウムイオンバッテリである、請求項1又は2に記載のバッテリ管理装置。
【請求項4】
前記電気自動車は、前記発電機として燃料電池を備える燃料電池自動車である、請求項1~3のいずれか一項に記載のバッテリ管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車のバッテリの管理を行うバッテリ管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機と、バッテリと、発電機及び/又はバッテリの出力電力によって作動するモータと、を備える電気自動車がある。このバッテリのSOCを管理する方法として、例えば、電流積算法がある。しかしながら、電流積算法では、充放電時の電流の計測誤差により、SOCの推定値に対して誤差が蓄積する。そのため、例えば、特許文献1には、満充電となるまでバッテリを充電し、SOCの推定値の誤差を補正することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/181489号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電気自動車においては、電力を効率よく利用する観点から、例えば、回生ブレーキ等で生じた電力をバッテリに充電することが求められている。このため、このような電力を取りこぼすことなく充電できるように、電気自動車の通常の走行時においては、満充電となるまでバッテリを充電しないこともある。従って、電気自動車の使用状態によっては、上述したようなバッテリを満充電となるまで充電してSOCを補正する方法は採用できないことがある。
【0005】
そこで、本発明は、電気自動車のバッテリのSOCを適切なタイミングで補正して管理することができるバッテリ管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るバッテリ管理装置は、発電機と、バッテリと、発電機及びバッテリの少なくともいずれかの出力電力によって作動するモータと、を備える電気自動車のバッテリを管理するバッテリ管理装置であって、走行終了指示を受け付ける終了受付部と、発電機から出力された電力によってバッテリを充電する電力制御部と、バッテリの使用状況に基づいてバッテリのSOCを推定するSOC推定部と、を備え、電力制御部は、終了受付部によって走行終了指示が受け付けられた場合、バッテリの電圧値が予め定められた判定電圧値となるようにバッテリを充電し、SOC推定部は、バッテリの電圧値が判定電圧値であるときのSOCを基準SOCとして予め記憶しており、判定電圧値となるようにバッテリが充電された場合、バッテリのSOCの推定値を基準SOCに基づいて補正する。
【0007】
このバッテリ管理装置では、乗員等からの走行終了指示が受け付けられた場合に、判定電圧値となるようにバッテリが充電される。すなわち、判定電圧値となるまでバッテリが充電されるタイミングとは、電気自動車の走行が終了した状態である。そして、電気自動車の走行が終了した状態で、SOCの推定値の補正が行われる。このため、SOCの補正を行うために行われるバッテリの充電が、電気自動車の走行に影響を与えることがない。従って、バッテリ管理装置は、電気自動車のバッテリのSOCを適切なタイミングで補正して管理することができる。
【0008】
バッテリ管理装置において、バッテリは、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が第1の変化量である第1の電圧範囲と、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が第1の変化量よりも小さい第2の変化量である第2の電圧範囲とを有し、判定電圧値は、第1の電圧範囲内の電圧値であってもよい。例えば、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が小さい場合、バッテリの電圧値とSOCとの相関が取りにくい。このため、判定電圧値を、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が大きい第1の電圧範囲内の電圧値とする。これにより、バッテリ管理装置は、バッテリの電圧値に基づいて所望のSOCとなるように精度よくバッテリを充電することができ、SOCをより精度よく補正できる。
【0009】
バッテリ管理装置において、バッテリは、リン酸鉄リチウムを用いたリチウムイオンバッテリであってもよい。一般に、リン酸鉄リチウムを用いたリチウムイオンバッテリは、特定のSOCの範囲以外の部分では、SOCと電圧値との相関が取りにくい。このような場合であってもバッテリ管理装置は、バッテリを充電するときの判定電圧値をSOCとの相関が取りやすい電圧値とすることができ、所望のSOCとなるように精度よくバッテリを充電することができる。これにより、バッテリ管理装置は、SOCをより精度よく補正できる。
【0010】
バッテリ管理装置において、電気自動車は、発電機として燃料電池を備える燃料電池自動車であってもよい。この場合、バッテリ管理装置は、燃料電池自動車のバッテリのSOCを適切なタイミングで補正して管理することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気自動車のバッテリのSOCを適切なタイミングで補正して管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係るバッテリ管理装置が搭載された燃料電池自動車を示す概略図である。
図2図2は、バッテリの電圧値とSOCとの相関を示すグラフである。
図3図3は、バッテリのSOCの推定値の補正処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1に示されるように、バッテリ管理装置100は、燃料電池自動車(電気自動車)Vに搭載されている。燃料電池自動車Vには、燃料電池(発電機)1、バッテリ2、及びモータ3が搭載されている。燃料電池自動車Vは、燃料電池1で発電された電力によって走行する。
【0015】
燃料電池1は、発電を行うFCスタック(Fuel Cell Stack)を備えている。燃料電池1で発電された電力は、バッテリ2の充電にも利用される。モータ(電動モータ)3は、燃料電池1及びバッテリ2の少なくともいずれかの出力電力によって作動する。モータ3は、燃料電池自動車Vに備えられた車輪4を駆動することによって、燃料電池自動車Vを走行させる。
【0016】
バッテリ2は、燃料電池1で発電された電力を蓄える。また、バッテリ2は、燃料電池自動車Vに搭載された回生ブレーキ等で生成された電力を蓄えることもできる。バッテリ2は、本実施形態においては、リン酸鉄リチウムを用いたリチウムイオンバッテリである。
【0017】
ここで、本実施形態においてバッテリ2として用いられるリン酸鉄リチウムを用いたリチウムイオンバッテリでは、一例として、電圧値とSOCとの関係が図2に示されるものとなっている。なお、「電圧値」とは、OCV(Open Circuit Voltage)状態でのバッテリ2の電圧値である。以下で説明する「電圧値」についても同じとする。図2に示されるように、バッテリ2では、SOCが100%の近傍と0%の近傍とにおいて、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が大きくなっている。つまり、SOCが100%の近傍の範囲であるSOC範囲Aでは、SOCが100%の近傍と0%の近傍との間のSOC範囲Bよりも、電圧値の変化率が大きい。このため、SOC範囲Bでは、電圧値からSOCを推定することがSOC範囲Aに比べて困難となっている。
【0018】
バッテリ管理装置100は、バッテリ2の管理を行う。本実施形態においてバッテリ管理装置100は、バッテリ2のSOC(State Of Charge)を管理することができる。バッテリ管理装置100によって管理されるバッテリ2のSOCは、例えばモータ3の制御等、燃料電池自動車Vにおける種々の制御に利用される。
【0019】
バッテリ管理装置100は、ECU(Electronic Control Unit)10を備えている。ECU10は、CPU、ROM、RAMなどを有する電子制御ユニットである。ECU10は、例えば、ROMに記録されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0020】
ECU10は、機能的には、SOC推定部11、終了受付部12、及び電力制御部13を備えている。SOC推定部11は、バッテリ2の使用状況に基づいてバッテリ2のSOCを推定する。上述したようにバッテリ2は、SOCが100%の近傍又は0%の近傍でないと、バッテリ2の電圧値とSOCとの相関に基づいて、電圧値からSOCを求めることが困難である。このため、本実施形態においてSOC推定部11は、例えば、電流積算法を用い、充電時及び放電時の電流値を積算した値に基づいてバッテリ2のSOCを推定する。
【0021】
ここで、SOC推定部11が電流積算法によってSOCを推定する場合、電流値の計測誤差等によって、推定されたSOCと実際のバッテリ2のSOCとに誤差が生じる。このため、SOC推定部11は、所定のタイミングで、推定したSOCを補正する。SOC推定部11が行うSOCの補正について、詳しくは後述する。
【0022】
終了受付部12は、走行終了指示を受け付ける。この走行終了指示とは、燃料電池自動車Vの走行を終了する場合に、燃料電池自動車Vの乗員が入力する指示である。走行終了指示は、例えば、乗員によって、イグニッションスイッチがオフに操作されたことであってもよい。これに限定されず、走行終了指示は、イグニッションスイッチ以外のスイッチ等の操作に基づいて入力される指示であってもよい。走行終了指示が入力された場合、燃料電池自動車Vは走行終了状態となる。
【0023】
電力制御部13は、燃料電池1から出力された電力によってバッテリ2を充電する制御を実行する。本実施形態において、電力制御部13は、終了受付部12によって走行終了指示が受け付けられた場合、バッテリ2の電圧値が予め定められた判定電圧値となるようにバッテリ2を充電する。ここで、予め定められた判定電圧値とは、バッテリ2において、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が大きい電圧範囲内の電圧値である。
【0024】
具体的には、図2に示されるように、バッテリ2のSOC範囲AとSOC範囲Bとは、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量がそれぞれ異なっている。SOC範囲Aは、SOC範囲Bよりも、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が大きい。つまり、バッテリ2は、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が第1の変化量である第1の電圧範囲(SOC範囲Aに対応する電圧範囲)と、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が第1の変化量よりも小さい第2の変化量である第2の電圧範囲(SOC範囲Bに対応する範囲)とを有している。判定電圧値は、第1の電圧範囲(SOC範囲Aに対応する電圧範囲)内の電圧値が設定されている。
【0025】
このように、判定電圧値として、本実施形態では、バッテリ2のSOCが100%近傍のときの電圧値が予め設定されている。電力制御部13は、判定電圧値となるように燃料電池1の電力によってバッテリ2を充電する。すなわち、電力制御部13は、SOCが100%近傍の予め定められた値となるように、バッテリ2を充電する。
【0026】
つまり、電力制御部13は、乗員によって走行終了指示が入力された場合、燃料電池自動車Vのシステムがシャットダウンされる前に、SOCが100%近傍の予め定められた値となるように、燃料電池1を作動させてバッテリ2を充電する。なお、燃料電池自動車Vの通常の走行時においては、回生ブレーキ等で生じた電力を蓄えるために、バッテリ2は満充電となっていない。このため、電力制御部13は、走行終了指示が受け付けられた後、SOCが100%近傍となるまで(判定電圧値となるまで)バッテリ2を充電することができる。
【0027】
次に、SOC推定部11が行うSOCの補正について説明する。SOC推定部11は、事前に得られたバッテリ2の電圧値とSOCとの相関に基づいて、バッテリ2の電圧値が判定電圧値であるときのSOCを基準SOCとして予め記憶しいる。SOC推定部11は、判定電圧値となるように電力制御部13によってバッテリ2が充電された場合、SOCの推定値を基準SOCに基づいて補正する。すなわち、判定電圧値となるまでバッテリ2が充電された状態とは、基準SOCとなるまでバッテリ2が充電された状態である。
【0028】
SOC推定部11は、SOCの推定値を補正することとして、SOCの推定値を基準SOCの値にする。このように、SOC推定部11は、バッテリ2の充電が終了し、バッテリ2に電流を流していない状態(OCV状態)でSOCの補正を行う。
【0029】
つまり、SOC推定部11は、乗員によって走行終了指示が入力され且つバッテリ2の充電が行われた場合にバッテリ2のSOCの推定値を補正する。その後、燃料電池自動車Vが再始動された場合、SOC推定部11は、補正されたSOCを基準として、バッテリの使用状況に基づいてバッテリのSOCを推定する。
【0030】
次に、バッテリ管理装置100で行われるバッテリ2のSOCの推定値の補正処理の流れについて説明する。図3は、バッテリ2のSOCの推定値の補正処理の流れを示すフローチャートである。図3に示されるフローチャートは、燃料電池自動車Vが走行可能状態になると共に開始される。図3に示されるように、終了受付部12は、乗員によって入力された走行終了指示を受け付けたか否かを判定する(S101)。走行終了指示が受け付けられていない場合(S101:NO)、終了受付部12は、走行終了指示が受け付けられるまでS101の判定処理を繰り返す。
【0031】
終了受付部12によって走行終了指示が受け付けられた場合(S101:YES)、電力制御部13は、燃料電池1の電力によってバッテリ2の充電処理を行う(S102)。そして、電力制御部13は、バッテリ2の電圧値が予め定められた判定電圧値となったか否かを判定する(S103)。つまり、電力制御部13は、バッテリ2の充電が完了したか否かを判定する。判定電圧値となっていない場合(S103:NO)、電力制御部13は、S102の充電処理を行う。このように、電力制御部13は、S102及びS103の処理を繰り返し行うことによって、バッテリ2の電圧値が判定電圧値となるまでバッテリ2を充電する。
【0032】
判定電圧値となった場合(S103:YES)、SOC推定部11は、予め記憶していた判定電圧値に対応する基準SOCに基づいて、SOCの推定値を補正する(S104)。その後、燃料電池自動車Vは、システムをシャットダウンし、次の走行の指示されるまで待機する。
【0033】
以上のように、バッテリ管理装置100では、乗員からの走行終了指示が受け付けられた場合に、判定電圧値となるようにバッテリ2が充電される。すなわち、判定電圧値となるまでバッテリ2が充電されるタイミングとは、燃料電池自動車Vの走行が終了し、燃料電池自動車Vが停止した状態である。そして、燃料電池自動車Vの走行が終了した状態で、SOCの推定値の補正が行われる。このため、SOCの補正を行うために行われるバッテリ2の充電が、燃料電池自動車Vの走行に影響を与えることがない。従って、バッテリ管理装置100は、燃料電池自動車Vのバッテリ2のSOCを適切なタイミングで補正して管理することができる。そして、バッテリ管理装置100は、精度の高いバッテリ2のエネルギーマネジメント制御を行うことができ、電費及びドライバビリティの向上を図ることができる。
【0034】
また、SOCを補正するために行われるバッテリ2の充電は、燃料電池1の電力によって行われる。すなわち、燃料電池自動車Vが外部充電器による充電機能を有していない場合であっても、バッテリ2を充電し、SOCの補正を行うことができる。
【0035】
ここで、例えば、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が小さい場合、バッテリ2の電圧値とSOCとの相関が取りにくい。このため、電力制御部13は、SOCの補正を行うために、判定電圧値となるまでバッテリ2を充電する。この判定電圧値は、予め定められたSOC幅に対する電圧値の変化量が大きい電圧範囲(SOC範囲Aに対応する電圧範囲)内の電圧値とする。これにより、バッテリ管理装置100は、バッテリ2の電圧値に基づいて所望のSOCとなるように精度よくバッテリ2を充電することができ、SOCをより精度よく補正できる。
【0036】
バッテリ2は、リン酸鉄リチウムを用いたリチウムイオンバッテリである。ここで、一般に、リン酸鉄リチウムを用いたリチウムイオンバッテリは、特定のSOCの範囲以外の部分において、SOCと電圧値との相関が取りにくい。このような場合であってもバッテリ管理装置100は、バッテリ2を充電するときの判定電圧値をSOCとの相関が取りやすい電圧値とすることができ、所望のSOCとなるように精度よくバッテリ2を充電することができる。これにより、バッテリ管理装置100は、SOCをより精度よく補正できる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、走行終了指示は、燃料電池自動車Vの乗員によって入力されることに限定されない。例えば、燃料電池自動車Vが無人で走行する自動運転車両である場合、走行終了指示は、燃料電池自動車Vの運行を管理する運行管理者等によって入力されてもよく、予め定められた走行計画に基づく走行が終了した場合にシステムによって自動で入力されてもよい。
【0038】
バッテリ2を充電するための発電機は、燃料電池1に限定されない。燃料電池1に代えて、他の発電機が用いられてもよい。この場合、バッテリ管理装置100は、燃料電池1以外の発電機を備える電気自動車のバッテリを管理することができる。また、バッテリ2は、リン酸鉄リチウムを用いたリチウムイオンバッテリに限定されない。バッテリ2は、リン酸鉄リチウム以外の材料を用いたリチウムイオンバッテリであってもよく、リチウムイオンバッテリ以外のバッテリであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…燃料電池(発電機)、2…バッテリ、3…モータ、11…SOC推定部、12…終了受付部、13…電力制御部、100…バッテリ管理装置、V…燃料電池自動車(電気自動車)。
図1
図2
図3