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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013957
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】バスバーおよび電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/50 20210101AFI20220112BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20220112BHJP
【FI】
H01M2/20 A
H01M2/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2018202972
(22)【出願日】2018-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】小島 康雅
(72)【発明者】
【氏名】三原 弘幸
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AS04
5H040AT02
5H040AT06
5H040DD04
5H040DD24
5H040JJ02
5H040NN03
5H043AA01
5H043AA05
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA15
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA04
5H043FA04
5H043FA40
5H043HA02F
5H043HA08F
5H043HA11F
5H043JA06F
5H043JA13F
5H043JA17F
5H043LA21F
(57)【要約】
【課題】電池間の電気的接続の安定性を高める技術を提供する。
【解決手段】バスバー4は、各電池の出力端子に接合される複数の端子接合部14と、複数の端子接合部14をつなぐ連結部16と、を備える。連結部16は、電線で構成される。各端子接合部14は、連結部16の延びる方向と交わる方向に延びるとともに、第1端部14aが連結部16に接合され、第2端部14bが出力端子に接合される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池を電気的に接続するバスバーであって、
各電池の出力端子に接合される複数の端子接合部と、
前記複数の端子接合部をつなぐ連結部と、を備え、
前記連結部は、電線で構成され、
各端子接合部は、前記連結部の延びる方向と交わる方向に延びるとともに、第1端部が前記連結部に接合され、前記第1端部とは反対の第2端部が前記出力端子に接合されることを特徴とするバスバー。
【請求項2】
前記第1端部は、前記連結部に溶接される請求項1に記載のバスバー。
【請求項3】
前記第1端部は、前記連結部にかしめ固定される請求項2に記載のバスバー。
【請求項4】
各端子接合部は、平板で構成され、
前記第1端部は、前記平板の端部が曲げ返しまたは折り返しされて前記連結部を挟み込む形状を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項5】
前記複数の端子接合部は、第1金属で構成される第1端子接合部と、前記第1金属とは異なる第2金属で構成される第2端子接合部と、を含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項6】
前記端子接合部を3つ以上有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のバスバーと、
前記バスバーにより電気的に接続される複数の電池と、
を備えることを特徴とする電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーおよび電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用等の、高い出力電圧が要求される電源として、複数個の電池が電気的に接続された電池モジュールが知られている。従来、このような電池モジュールでは、隣り合う電池の出力端子どうしがバスバーで接続されていた。電池モジュールに用いられるバスバーに関して、特許文献1には、板状のバスバーの中間に屈曲部を設けることで、バスバーで接続された出力端子どうしの相対変位を吸収する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-140020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電池モジュールのさらなる高容量化が求められており、この要求を満たすために電池の高容量化が進んでいる。電池が高容量化すると電池の寸法変化量が大きくなるため、バスバーで接続された出力端子どうしの相対的な変位量が大きくなる。このため、バスバーには、出力端子どうしのより大きな変位に追従して、電池間の電気的接続の安定性を高めることが求められる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池間の電気的接続の安定性を高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、バスバーである。当該バスバーは、複数の電池を電気的に接続するバスバーであって、各電池の出力端子に接合される複数の端子接合部と、複数の端子接合部をつなぐ連結部と、を備える。連結部は、電線で構成される。各端子接合部は、連結部の延びる方向と交わる方向に延びるとともに、第1端部が連結部に接合され、第1端部とは反対の第2端部が出力端子に接合される。
【0007】
本発明の他の態様は、電池モジュールである。当該電池モジュールは、上記態様のバスバーと、バスバーにより電気的に接続される複数の電池と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電池間の電気的接続の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る電池モジュールの斜視図である。
図2】バスバーの斜視図である。
図3図3(A)~図3(D)は、バスバーの製造工程を示す斜視図である。
図4】変形例1に係るバスバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る電池モジュールの斜視図である。電池モジュール1は、複数の電池2と、複数のバスバー4と、一対のエンドプレート6と、一対の拘束部材8と、を主な構成として備える。
【0013】
各電池2は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。電池2は、いわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の外装缶を有する。外装缶の一面には略長方形状の開口(図示せず)が設けられ、この開口を介して外装缶に電極体や電解液等が収容される。外装缶の開口には、外装缶を封止する封口板10が設けられる。封口板10は、矩形状の板である。
【0014】
封口板10には、長手方向の一端寄りに正極の出力端子12が設けられ、他端寄りに負極の出力端子12が設けられる。一対の出力端子12はそれぞれ、電極体を構成する正極板、負極板と電気的に接続される。以下では適宜、正極の出力端子12を正極端子12aと称し、負極の出力端子12を負極端子12bと称する。また、出力端子12の極性を区別する必要がない場合、正極端子12aと負極端子12bとをまとめて出力端子12と称する。外装缶、封口板10および出力端子12は導電体であり、例えば金属製である。封口板10と外装缶の開口とは、溶接等により接合される。各出力端子12は、封口板10に形成された貫通孔(図示せず)に挿通される。各出力端子12と各貫通孔との間には、絶縁性のシール部材が介在する。
【0015】
本実施の形態では、説明の便宜上、封口板10が配置される側の面を電池2の上面、封口板10とは反対側の面を電池2の底面とする。また、電池2は、上面および底面をつなぐ2つの主表面を有する。この主表面は、電池2が有する6つの面のうち面積の最も大きい面である。また、主表面は、上面および底面の長辺に接続される長側面である。上面、底面および2つの主表面を除いた残り2つの面は、電池2の側面である。この側面は、上面および底面の短辺に接続される短側面である。これらの方向および位置は、便宜上規定したものである。したがって、例えば、本発明において上面と規定された部分は、底面と規定された部分よりも必ず上方に位置することを意味するものではない。
【0016】
封口板10には、一対の出力端子12の間に安全弁(図示せず)が設けられる。安全弁は、外装缶の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。各電池2の安全弁は、ガスダクト(図示せず)に接続され、電池内部のガスは安全弁からガスダクトに排出される。
【0017】
複数の電池2は、隣り合う電池2の主表面どうしが対向するにして所定の間隔で積層される。なお、「積層」は、任意の1方向に複数の部材を並べることを意味する。したがって、電池2の積層には、複数の電池2を水平に並べることも含まれる。また、各電池2は、出力端子12が同じ方向を向くように配置される。本実施の形態では便宜上、各電池2は、出力端子12が鉛直方向上方を向くように配置される。隣接する2つの電池2は、一方の電池2の正極端子12aと他方の電池2の負極端子12bとが隣り合うように積層される。
【0018】
正極端子12aと負極端子12bとは、バスバー4により電気的に接続される。つまり、バスバー4は、複数の電池2を電気的に接続する。直列接続の最外側に位置する出力端子12には、外部接続端子(図示せず)が電気的に接続される。外部接続端子は、電池モジュール1の外部に引き回される配線を介して外部負荷に接続される。なお、隣接する複数個の電池2における同極性の出力端子12どうしをバスバー4で並列接続して電池ブロックを形成し、電池ブロックどうし、または電池ブロックと電池2とを直列接続してもよい。バスバー4の構造については、後に詳細に説明する。
【0019】
電池モジュール1は、複数のセパレータ(図示せず)を有する。各セパレータは、絶縁スペーサとも呼ばれ、隣接する2つの電池2の間に配置されて、隣り合う2つの電池2の外装缶どうしを電気的に絶縁する。また、セパレータは、電池2とエンドプレート6との間に配置されて、電池2の外装缶とエンドプレート6とを電気的に絶縁する。各セパレータは、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。セパレータを構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の熱可塑性樹脂が例示される。
【0020】
積層された複数の電池2および複数のセパレータは、一対のエンドプレート6で挟まれる。各エンドプレート6は、例えば金属板からなる。一対のエンドプレート6は、電池2の積層方向Xにおける両端の電池2とセパレータを介して隣り合うように配置される。エンドプレート6における電池2の主表面と対向する面には、ねじ(図示せず)が螺合するねじ穴(図示せず)が設けられる。
【0021】
一対の拘束部材8は、バインドバーとも呼ばれ、積層方向Xを長手方向とする長尺状の部材である。一対の拘束部材8は、積層方向Xと直交し封口板10の長手方向と平行な方向Yにおいて、互いに向かい合うように配列される。一対の拘束部材8の間には、複数の電池2、複数のセパレータおよび一対のエンドプレート6が介在する。各拘束部材8は、電池2の側面と平行に延びる矩形状の平面部8aと、平面部8aの各端辺から電池2側に突出する4つの庇部8bとを有する。
【0022】
平面部8aには、電池2の側面を露出させる開口部8cが設けられる。開口部8cは、積層方向Xの外力に対する拘束部材8の剛性に極力影響しないよう配置されることが好ましい。これにより、拘束部材8の剛性を維持しながら、拘束部材8の軽量化を図ることができる。積層方向Xにおいて互いに対向する2つの庇部8bには、ねじが挿通される貫通孔8dが設けられる。
【0023】
電池モジュール1は、例えば以下のようにして組み立てられる。すなわち、まず複数の電池2と複数のセパレータとが交互に積層され、これらが一対のエンドプレート6で積層方向Xに挟まれて集合体が形成される。そして、集合体が一対の拘束部材8で方向Yに挟まれる。各拘束部材8は、貫通孔8dがエンドプレート6のねじ穴と重なるように位置合わせされる。そして、ねじが貫通孔8dに挿通され、ねじ穴に螺合される。このように、一対の拘束部材8が一対のエンドプレート6に係合されることで、複数の電池2と複数のセパレータとが拘束される。
【0024】
複数の電池2は、拘束部材8によって積層方向Xにおいて締め付けられることで、積層方向Xの位置決めがなされる。また、複数の電池2は、底面がセパレータを介して拘束部材8の下側の庇部8bに当接し、上面がセパレータを介して拘束部材8の上側の庇部8bに当接することで、電池2の上面と底面とが並ぶ方向Zの位置決めがなされる。これらの位置決めが完了した後に、各電池2の出力端子12にバスバー4が取り付けられて、各出力端子12が電気的に接続される。つづいて、カバー部材(図示せず)が各電池2の上面を覆うように取り付けられて、電池モジュール1が得られる。
【0025】
続いて、本実施の形態に係るバスバー4について詳細に説明する。図2は、バスバーの斜視図である。バスバー4は、複数の端子接合部14と、連結部16と、を備える。各端子接合部14は、各電池2の出力端子12に接合される。本実施の形態では、バスバー4によって2つの電池2が直列接続されている。このため、バスバー4は、2つの端子接合部14を有する。
【0026】
連結部16は、複数の端子接合部14をつなぐ。連結部16は、電線、つまり導電性の線材で構成される。電線の材質としては、銅やアルミニウム等が例示される。電線が銅線である場合には、ニッケルめっきや錫めっきが施されてもよい。連結部16は、一本の電線で構成されてもよいし、複数の電線の束で構成されてもよい。また、連結部16が複数の電線で構成される場合、複数の電線が編み込まれた編組線であってもよい。編組線には、平編線や丸編線が含まれる。
【0027】
連結部16は、両端部が積層方向Xに並ぶように配置される。連結部16の各端部には、端子接合部14が接合される。各端子接合部14は、連結部16の延びる方向と交わる方向に延びる。連結部16の延びる方向は連結部16の両端部が並ぶ方向であり、本実施の形態では積層方向Xである。また、各端子接合部14は、積層方向Xと交わる方向Yに延びる。
【0028】
各端子接合部14は、第1端部14aと、第1端部14aとは反対の第2端部14bと、を有する。第1端部14aと第2端部14bとは、方向Yに並ぶ。各端子接合部14の第1端部14aは、連結部16に接合される。本実施の形態では、第1端部14aは、連結部16に溶接される。したがって、第1端部14aには溶接部18が設けられる。これにより、各端子接合部14が連結部16を介して電気的に接続される。また、各端子接合部14の第2端部14bは、溶接等により出力端子12に接合される。これにより、各出力端子12がバスバー4を介して電気的に接続される。
【0029】
電線で構成される連結部16は、バスバー4で連結される2つの出力端子12どうしが相対的に変位した場合に、この変位に追従して変形することができる。したがって、連結部16を有するバスバー4は、全体が板材で構成された従来のバスバーに比べて高い柔軟性を有する。
【0030】
連結部16は自身の変形によって、積層方向Xと交わる方向、つまりYZ平面方向における出力端子12の変位に追従することができる。また、バスバー4が出力端子12に取り付けられた状態において、連結部16における2つの端子接合部14間の領域の長さを、2つの端子接合部14の積層方向Xの間隔よりも長くして撓ませることで、積層方向Xにおける出力端子12の変位にも追従することができる。あるいは、連結部16が編組線で構成される場合には、連結部16の伸縮によって積層方向Xにおける出力端子12の変位に追従することができる。
【0031】
本実施の形態の各端子接合部14は、金属の平板で構成される。そして、各端子接合部14の第1端部14aは、連結部16にかしめ固定される。第1端部14aは、平板の端部が曲げ返しまたは折り返しされて連結部16を挟み込む形状を有する。つまり、第1端部14aは、電線の周面に沿って電線に巻き付いている。端子接合部14を連結部16にかしめ固定することで、両者の接続安定性および接続信頼性を高めることができる。また、端子接合部14と連結部16との溶接がより簡単になる。
【0032】
連結部16から方向Yに突き出た第2端部14bは、平板の一方の主表面から他方の主表面にかけて延びる貫通孔20を有する。貫通孔20は、平板の電池2側を向く主表面から反対側の主表面にかけて延びている。貫通孔20には、出力端子12が挿通される。この状態で、出力端子12と第2端部14bとが溶接等により接合される。なお、貫通孔20は省略することもできる。
【0033】
したがって、連結部16は、方向Yにおいて出力端子12とずれて配置される。これにより、積層方向Xにおいて2つの第2端部14bと連結部16とが直線上に並ぶ構造に比べて、積層方向Xにおける連結部16の延在領域をより多く確保することができる。この結果、2つの出力端子12の変位に対する連結部16の追従性をより高めることができる。
【0034】
また、2つの第2端部14bと連結部16とが直線上に並ぶ構造では、2つの端子接合部14の積層方向Xにおける合計寸法だけでも、2つの出力端子12の間隔を上回り得る。この場合、隣り合う電池2の間隔を拡げなければ、当該構造を有するバスバーの設置は困難である。しかしながら、電池2の間隔を拡げることは、電池モジュール1の大型化もしくはエネルギー密度の低下を招き、電池2ひいては電池モジュール1の高容量化の要請に対して逆行することになる。これに対し、連結部16から方向Yに突出する端子接合部14を有するバスバー4であれば、電池2の間隔を拡げることなく、隣り合う出力端子12どうしを電気的に接続することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、端子接合部14が出力端子12から方向Yにおける電池2の外側に向かって延びているが、端子接合部14は電池2の内側に向かって延びてもよい。
【0036】
複数の端子接合部14は、第1金属で構成される第1端子接合部14Iと、第1金属とは異なる第2金属で構成される第2端子接合部14IIと、を含む。例えば、第1端子接合部14Iが正極端子12aに接合され、第2端子接合部14IIが負極端子12bに接合される場合、第1金属は正極端子12aと同じ金属であり、第2金属は負極端子12bと同じ金属である。一例として、第1金属はアルミニウムであり、第2金属は銅である。
【0037】
各端子接合部14を、接合対象である出力端子12と同種の金属で構成することで、端子接合部14と出力端子12とを簡単に溶接することが可能となる。また、バスバー4の組み立て前の状態では、各端子接合部14と連結部16とは別々の部材である。このため、出力端子12ごとに端子接合部14の金属種を異ならせたバスバー4を、簡単に製造することができる。
【0038】
バスバー4は、例えば以下のようにして製造される。図3(A)~図3(D)は、バスバーの製造工程を示す斜視図である。まず、図3(A)に示すように、電線で構成される連結部16を用意する。次に、図3(B)に示すように、予め一端側に貫通孔20が形成された板材13を用意する。
【0039】
そして、図3(B)および図3(C)に示すように、板材13の他端側を連結部16の端部に巻き付け、板材13の他端側を連結部16にかしめ固定する。図3(C)に示す状態では、板材13のかしめ固定の前後で、連結部16の断面形状に変化はない。しかしながら、特にこの構成に限定されず、板材13は、連結部16の断面形状が変形する程度にかしめられてもよい。
【0040】
その後、図3(D)に示すように、例えばレーザーLを照射して、板材13と連結部16との固定部に溶接部18を形成する。これにより、複数の端子接合部14が連結部16に溶接された構造を有するバスバー4が得られる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態に係るバスバー4は、各電池2の出力端子12に接合される複数の端子接合部14と、複数の端子接合部14をつなぐ連結部と、を備える。連結部16は、電線で構成される。各端子接合部14は、連結部16の延びる方向と交わる方向に延びるとともに、第1端部14aが連結部16に接合され、第2端部14bが出力端子12に接合される。また、本実施の形態の電池モジュール1は、バスバー4と、バスバー4により電気的に接続される複数の電池2と、を備える。
【0042】
連結部16は電線で構成され、したがって板材よりも高い柔軟性を有する。そして、バスバー4は、連結部16が変形することで出力端子12の変位を吸収する。このため、板材の中間領域に屈曲部を設けた従来のバスバーに比べて、本実施の形態のバスバー4は、出力端子12のより大きな変位に追従することができる。また、出力端子12のより多方向の変位に追従することができる。これにより、出力端子12どうしの変位によって端子接合部14と出力端子12との接合部に負荷がかかることをより一層抑制することができる。この結果、出力端子12どうしの接続信頼性および接続安定性を高めることができる。
【0043】
また、屈曲部で柔軟性を確保していた従来のバスバーでは、電池2の高容量化にともなう出力端子12の変位量の増加に対応するためには、屈曲部を大型化する必要があった。この場合、方向Zにおけるバスバーの寸法の増大、つまりバスバーの高背化を招く。これに対し、本実施の形態のバスバー4は、電線で構成される連結部16によって出力端子12の変位を吸収している。このため、バスバー4の高背化を抑制しながら、出力端子12の変位量の増加に対応することができる。
【0044】
また、かしめ端子(圧着端子ともいう)が電線の両端に設けられ、出力端子との接合部と電線とが直線上に並ぶ従来の配線コードは、2つの出力端子12の間隔が狭いために設置が困難であった。一方、本実施の形態のバスバー4は、連結部16に接合される端子接合部14を有する。端子接合部14は、連結部16に接合される第1端部14aと、連結部16から連結部16の延びる積層方向Xと交わる方向Yに突出する第2端部14bと、を有する。そして、第2端部14bが出力端子12に接合される。
【0045】
これにより、端子接合部14のうち連結部16に接合される第1端部14aと、連結部16とを、隣り合う2つの出力端子12で挟まれる空間の外に配置することができる。この結果、2つの出力端子12の間隔を拡げることなくバスバー4を設置することができる。
【0046】
以上より、本実施の形態のバスバー4によれば、電池2の高容量化にともなって電池2の寸法変化量が増大しても、電池2間の安定的な電気的接続を維持することができる。つまり、電池2間の電気的接続の安定性を高めることができる。また、これにより、電池モジュール1の信頼性を高めることができる。また、バスバー4の高背化や電池2の間隔の拡張に起因する電池モジュール1の大型化もしくはエネルギー密度の低下を回避することもできる。
【0047】
また、本実施の形態のバスバー4では、第1端部14aが連結部16に溶接される。これにより、端子接合部14と連結部16との接合部における電気抵抗を小さくすることができる。よって、バスバー4を流れる電流の増大に対応することができる。また、第1端部14aを連結部16に溶接することで、端子接合部14と連結部16の電気的接続、ひいては2つの出力端子12の電気的接続をより確実に得ることができ、接続信頼性および接続安定性を高めることができる。また、本実施の形態のバスバー4は、連結部16を構成する電線の径を簡単に変更することができる。このため、連結部16の太さを大きくして、バスバー4を流れる電流の増大に容易に対応することができる。
【0048】
また、第1端部14aは、連結部16にかしめ固定される。これにより、端子接合部14と連結部16との接続安定性および接続信頼性を高めることができる。また、端子接合部14を連結部16により簡単に溶接することができる。したがって、信頼性の高いバスバー4を得ることができる。
【0049】
また、各端子接合部14は、平板で構成される。そして、第1端部14aは、平板の端部が曲げ返しまたは折り返しされて連結部16を挟み込む形状を有する。これにより、2つの出力端子12の電気的接続をより確実に得ることができる。また、第2端部14bは、平板の一方の主表面から他方の主表面にかけて延びて出力端子12が挿通される貫通孔20を有する。これによっても、2つの出力端子12の電気的接続をより確実に得ることができる。
【0050】
また、複数の端子接合部14は、第1金属で構成される第1端子接合部14Iと、第2金属で構成される第2端子接合部14IIと、を含む。このように、複数の端子接合部14のそれぞれを異種金属で構成することで、接合対象である出力端子12ごとに端子接合部14の金属種を変えるバスバー設計を、容易に実現することができる。例えば、複数の出力端子12のそれぞれが異種金属で構成されている場合に、各出力端子12に接合される端子接合部14の金属種を各出力端子12と一致させることができる。これにより、端子接合部14と出力端子12とを簡単に溶接することが可能となる。
【0051】
また、板材からなる従来のバスバーにおいて出力端子12の金属種と端子接合部の金属種とを一致させるためには、クラッド材を用いる必要がある。これに対し、本実施の形態によれば、クラッド材を使用することなく出力端子12の金属種と端子接合部14の金属種とを一致させることができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0053】
(変形例1)
図4は、変形例1に係るバスバーの斜視図である。実施の形態では、バスバー4は2つの端子接合部14を有するが、特にこの構成に限定されず、バスバー4は端子接合部14を3つ以上有してもよい。変形例1に係るバスバー4は、4つの端子接合部14を有する。端子接合部14を3つ以上有するバスバー4によれば、複数個の電池2が並列接続された電池ブロックを形成するとともに、これらの電池ブロックどうし、または電池ブロックと電池2とを直列接続することができる。なお、連結部16の長さは容易に変更することができる。このため、端子接合部14の数も容易に変更することができる。よって、電池モジュール1の設計自由度を高めることができる。
【0054】
(その他の変形例)
電池モジュール1が備える電池2の数は特に限定されない。エンドプレート6や拘束部材8の形状、ならびにエンドプレート6と拘束部材8との締結構造を含む、電池モジュール1の各部の構造も特に限定されない。
【符号の説明】
【0055】
1 電池モジュール、 2 電池、 4 バスバー、 12 出力端子、 14 端子接合部、 14I 第1端子接合部、 14II 第2端子接合部、 14a 第1端部、 14b 第2端部、 16 連結部、 20 貫通孔。
図1
図2
図3
図4