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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139589
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】電気化学セルとその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0583 20100101AFI20220915BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20220915BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20220915BHJP
   H01G 11/56 20130101ALI20220915BHJP
   H01G 11/26 20130101ALI20220915BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20220915BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220915BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20220915BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20220915BHJP
【FI】
H01M10/0583
H01G11/84
H01G11/78
H01G11/56
H01G11/26
H01M10/0562
H01M10/052
H01M50/105
H01M50/531
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040043
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 竜
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 俊二
(72)【発明者】
【氏名】菅野 佳実
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078BA06
5E078BA07
5E078BA09
5E078DA11
5E078HA02
5E078LA07
5H011AA09
5H011CC10
5H011DD13
5H011FF02
5H029AJ14
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AK08
5H029AK11
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL08
5H029AL12
5H029AM12
5H029AM16
5H029BJ03
5H029BJ15
5H029CJ05
5H029DJ02
5H029HJ12
5H043AA19
5H043BA20
5H043CA07
5H043CA14
5H043EA01
5H043LA21E
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気化学セルとその製造方法の提供。
【解決手段】電気化学セル1は、正極接続部20で接続された複数の正極集電体19上に正極層16を備えた正極体と、負極接続部で接続された複数の負極集電体11上に負極層14を備えた負極体が、正極層16と負極層14の間に固体電解質層15を介在させて互いに折り重ねられた電極体を有する。また、電気化学セル1は、負極接続部で接続された複数の負極集電体11上に負極活物質を含む負極層14を備え、該負極層上に固体電解質層15を介し正極活物質を含む正極層16を貼り付けた正負極複合体と、正極接続部20で接続された複数の正極集電体19を備えた正極体が、交互に折り重ねられた電極体を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極接続部で接続された複数の正極集電体上に正極活物質を含む正極層を備えた正極体と、負極接続部で接続された複数の負極集電体上に負極活物質を含む負極層を備えた負極体が、前記正極層と前記負極層の間に固体電解質層を介在させて互いに折り重ねられた電極体を有することを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
負極接続部で接続された複数の負極集電体上に負極活物質を含む負極層を備え、該負極層上に固体電解質層を介し正極活物質を含む正極層を貼り付けた正負極複合体と、正極接続部で接続された複数の正極集電体を備えた正極体が、交互に折り重ねられた電極体を有することを特徴とする電気化学セル。
【請求項3】
前記電極体が容器状の外装体に収容されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記電極体が正極側容器と負極側容器からなる外装体に収容され、前記正極集電体に接続された正極タブが前記正極側容器に設けられた正極側電極板に接続され、前記負極集電体に接続された負極タブが前記負極側容器に設けられた負極側電極板に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項5】
前記電極体が正極側ラミネートフィルムからなる正極側容器と、負極側ラミネートフィルムからなる負極側容器とから構成される外装体に収容され
前記電極体の正極タブが前記正極側容器に設けられた正極側電極板に接続され、前記電極体の負極タブが前記負極側容器に設けられた負極側電極板に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項6】
前記正極側容器の周壁部と前記負極側容器の周壁部が重ねられて熱融着されたことを特徴とする請求項5に記載の電気化学セル。
【請求項7】
正極接続部で接続された複数の正極集電体上に正極層を備えた正極体と、負極接続部で接続された複数の負極集電体上に負極層を備えた負極体を、前記正極層と前記負極層の間に固体電解質層を介在させて互いに折り重ねて電極体を構成し、外装体に収容することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項8】
負極接続部で接続された複数の負極集電体上に負極層を備え、該負極層上に固体電解質層を介し正極層を貼り付けた正負極複合体と、正極接続部で接続された複数の正極集電体を備えた正極体を、前記正極層と前記負極層の間に固体電解質層を介在させて交互に折り重ねて電極体を構成し、外装体に収容することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項9】
前記外装体が、正極側ラミネートフィルムからなる正極側容器と、負極側ラミネートフィルムからなる負極側容器とから構成される外装体であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項10】
前記正極側容器の周壁と前記負極側容器の周壁部を重ねて熱融着することを特徴とする請求項9に記載の電気化学セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全固体電池の製造方法の一例として、積層セラミックコンデンサー(MLCC)の技術を応用した製造方法が知られている。
この製造方法では、例えば、正極層、負極層、電解質層などを必要数積み重ね、一括焼成することで、積層体を構成する。次に、積層体の側面に導電ペーストを塗布し、導電ペーストの硬化温度で焼成することで各層を接続し、集電している。
【0003】
例えば、以下の特許文献1には、固体電解質層の上面側に負極層を設け、下面側に正極活物質層と正極集電体層を配置して積層体を構成し、積層体の上下両面を外装材で覆い、積層体の側面側に正極端子と負極端子を設けた構成の全固体電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/179580号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の製造方法では熱膨張係数の異なる負極層、固体電解質層、正極活物質層、正極集電体層などの各構成部材を積み重ねて一括焼成を行うため、焼成温度により使用できる材料が制限される問題がある。また、一括焼成に適さない材料を構成部材として用いることができない問題がある。例えば、上述の構成部材の中に、他の構成部材より融点の低い構成部材を含む場合、一括焼成を行うと、融点の低い構成部材のみが溶融する問題がある。
【0006】
このため本願発明は、一括焼成では組み合わせることのできない構成部材であっても支障なく組み合わせることができ、固体電解質と電極材料にそれぞれ最適な材料の組み合わせが可能であり、電気的特性に優れた電気化学セルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る電気化学セルは、正極接続部で接続された複数の正極集電体上に正極活物質を含む正極層を備えた正極体と、負極接続部で接続された複数の負極集電体上に負極活物質を含む負極層を備えた負極体が、前記正極層と前記負極層の間に固体電解質層を介在させて互いに折り重ねられた電極体を有することを特徴とする。
【0008】
上述の電気化学セルによると、別々に作成した正極体と負極体を組み合わせて折り重ねることで電極体を構成できる。この電極体を備えた全固体電池としての電気化学セルを構成するならば、負極体に設ける負極活物質と正極体に設ける正極活物質を別々に焼成した後、正極体と負極体を構成し、これらを折り重ねて電極体を構成できる。このため、一括焼成の必要は無くなり、正極体と負極体にそれぞれ特性の優れた材料どうしの組み合わせを実現できる。例えば、負極層に設ける負極活物質として一括焼成には向かないが、単極容量の大きな金属リチウムを適用できるようになり、全固体電池として電池特性の向上をなし得る。
【0009】
(2)本発明に係る電気化学セルは、負極接続部で接続された複数の負極集電体上に負極活物質を含む負極層を備え、該負極層上に固体電解質層を介し正極活物質を含む正極層を貼り付けた正負極複合体と、正極接続部で接続された複数の正極集電体を備えた正極体が、交互に折り重ねられた電極体を有することを特徴とする。
【0010】
上述の電気化学セルによると、別々に作成した正極層と負極層を組み合わせて正負極複合体を構成し、これを正極体と折り重ねることで電極体を構成できる。この電極体を備えた全固体電池としての電気化学セルを構成するならば、負極層に設ける負極活物質と正極層に設ける正極活物質を別々に焼成した後、正負極複合体を構成し、正極体と折り重ねて電極体を構成できる。このため、一括焼成の必要は無くなり、正極層と負極層にそれぞれ特性の優れた材料どうしの組み合わせを実現できる。例えば、負極層に含ませる負極活物質として一括焼成には向かないが、単極容量の大きな金属リチウムを適用できるようになり、全固体電池として電池特性の向上をなし得る。
【0011】
(3)本発明の一形態に係る電気化学セルにおいて、前記電極体が容器状の外装体に収容された構成を採用できる。
【0012】
電極体を外装体に収容することで外力や負荷などに耐える堅牢な構成の電気化学セルを提供できる。
【0013】
(4)本発明の一形態に係る電気化学セルにおいて、前記電極体が正極側容器と負極側容器からなる外装体に収容され、前記正極集電体に接続された正極タブが前記正極側容器に設けられた正極側電極板に接続され、前記負極集電体に接続された負極タブが前記負極側容器に設けられた負極側電極板に接続された構成を採用できる。
【0014】
電極体を外装体に収容することで外力や負荷などに耐える堅牢な構成の電気化学セルを提供できる。外装体を正極側容器と負極側容器から構成することで、正極側容器に設けた正極側電極板と負極側容器に設けた負極側電極板に、それぞれ電極体の正極タブと負極タブを容易に接続することができる。
【0015】
(5)本発明の一形態に係る電気化学セルにおいて、前記電極体が正極側ラミネートフィルムからなる正極側容器と、負極側ラミネートフィルムからなる負極側容器とから構成される外装体に収容され、前記電極体の正極タブが前記正極側容器に設けられた正極側電極板に接続され、前記電極体の負極タブが前記負極側容器に設けられた負極側電極板に接続された構成を採用できる。
【0016】
電極体を外装体に収容することで外力や負荷などに耐える堅牢な構成の電気化学セルを提供できる。外装体をラミネートフィルムから構成することで軽量の電気化学セルを提供できる。
外装体を正極側容器と負極側容器から構成することで、正極側容器に設けた正極側電極板と負極側容器に設けた負極側電極板に、それぞれ電極体の正極タブと負極タブを容易に接続することができる。
【0017】
(6)本発明の一形態に係る電気化学セルにおいて、前記正極側容器の周壁部と前記負極側容器の周壁部が重ねられて熱融着された構成を採用できる。
【0018】
ラミネートフィルムからなる正極側容器と負極側容器は、それらの周壁部を熱融着することで容易に一体化することができ、軽量かつ密閉性の高い外装体を備えた電気化学セルを提供できる。
【0019】
(7)本発明に係る電気化学セルの製造方法は、正極接続部で接続された複数の正極集電体上に正極活物質を含む正極層を備えた正極体と、負極接続部で接続された複数の負極集電体上に負極活物質を含む負極層を備えた負極体を、前記正極層と前記負極層の間に固体電解質層を介在させて互いに折り重ねて電極体を構成し、該電極体を外装体に収容することを特徴とする。
【0020】
別々に作成した正極体と負極体を組み合わせて折り重ねることで電極体を構成できる。この電極体を備えた全固体電池としての電気化学セルを製造するならば、負極体に設ける負極活物質と正極体に設ける正極活物質を別々に焼成した後、正極体と負極体を構成し、これらを折り重ねて電極体を構成できる。このため、一括焼成の必要は無くなり、正極体と負極体にそれぞれ特性の優れた材料どうしの組み合わせを実現できる。例えば、負極層に設ける負極活物質として一括焼成には向かないが、単極容量の大きな金属リチウムを適用できるようになり、電池特性を向上させた電気化学セルを製造できる。
【0021】
(8)本発明に係る電気化学セルの製造方法は、負極接続部で接続された複数の負極集電体上に負極層を備え、該負極層上に固体電解質層を介し正極層を貼り付けた正負極複合体と、正極接続部で接続された複数の正極集電体を備えた正極体を、前記正極層と前記負極層の間に固体電解質層を介在させて交互に折り重ねて電極体を構成し、該電極体を外装体に収容することを特徴とする。
【0022】
別々に作成した正極層と負極層を組み合わせて正負極複合体を構成し、これを正極体と折り重ねることで電極体を構成できる。この電極体を備えた全固体電池としての電気化学セルを構成するならば、負極層に設ける負極活物質と正極層に設ける正極活物質を別々に焼成した後、正負極複合体を構成し、正極体と折り重ねて電極体を構成できる。このため、一括焼成の必要は無くなり、正極層と負極層にそれぞれ特性の優れた材料どうしの組み合わせを実現できる。例えば、負極層に含ませる負極活物質として一括焼成には向かないが、単極容量の大きな金属リチウムを適用できるようになり、電池特性を向上させた全固体電池を製造できる。
【0023】
(9)本発明に係る電気化学セルの製造方法は、前記外装体が、正極側ラミネートフィルムからなる正極側容器と、負極側ラミネートフィルムからなる負極側容器とから構成される外装体であることを特徴とする。
【0024】
電極体を外装体に収容することで外力や負荷などに耐える堅牢な構成の電気化学セルを提供できる。外装体をラミネートフィルムから構成することで軽量の電気化学セルを提供できる。
外装体を正極側容器と負極側容器から構成することで、正極側容器に設けた正極側電極板と負極側容器に設けた負極側電極板に、それぞれ電極体の正極タブと負極タブを容易に接続することができる。
【0025】
(10)本発明に係る電気化学セルの製造方法は、前記正極側容器の周壁部と前記負極側容器の周壁部を重ねて熱融着することを特徴とする。
【0026】
ラミネートフィルムからなる正極側容器と負極側容器は、それらの周壁部を熱融着することで容易に一体化することができ、軽量かつ密閉性の高い外装体を備えた電気化学セルを提供できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る電気化学セルであるならば、別々に作成した正極体と負極体を、あるいは、別々に作成した正極層と負極層を組み合わせて負極体または正極体を構成し、これらを折り重ねることで電極体を構成できる。この電極体を備えた全固体電池としての電気化学セルを構成するならば、例えば、負極活物質と正極活物質を別々に焼成した後、正極体と負極体を構成し、これらを折り重ねて電極体を構成できる。
このため、正極体と負極体にそれぞれ特性の優れた材料どうしの組み合わせを実現できる。例えば、負極活物質として一括焼成には向かないが、単極容量の大きな金属リチウムを適用できるようになり、全固体電池として電池特性の向上をなし得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る電気化学セルの上面側外観を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る電気化学セルの底面側外観を示す斜視図である。
図3】同電気化学セルの内部構造を示す部分断面図である。
図4】同電気化学セルの内部構造を示す部分断面図である。
図5】正負極複合体と正極体を重ねて構成した電極体について各層の積層状態の一例を示す側面図である。
図6】同電気化学セルに収容する負極層を備えた負極体の一例を示すもので、図6(a)は表面図、図6(b)は裏面図である。
図7図6に示す負極体に電解質層と正極層を貼り付けた正負極複合体を示すもので、図7(a)は表面図、図7(b)は裏面図である。
図8】同電気化学セルに収容する正極体の一例を示すもので、図8(a)は表面図、図8(b)は裏面図である。
図9】同電気化学セルに収容する固体電解質層の一例を示す表面図である。
図10図9に示す固体電解質層に正極層を貼り付けた状態を示す表面図である。
図11図7に示す正負極複合体と図8に示す正極体を折り畳み積層するために近接させた状態を示す斜視図である。
図12図7に示す正負極複合体と図8に示す正極体の一部を重ねて折り畳み積層する工程を説明するための斜視図である。
図13】正負極複合体と正極集電体を重ねて構成した電極体の一例について正極タブ側を示す斜視図である。
図14】正負極複合体と正極体を重ねて構成した電極体の一例について負極タブ側を示す斜視図である。
図15】電気化学セルを製造する場合に用いる接合体の一例を示す斜視図である。
図16】電気化学セルを製造する場合に行う絞り加工の初期段階を示す部分断面図である。
図17】電気化学セルを製造する場合に行う絞り加工の終了段階を示す部分断面図である。
図18】正負極複合体と正極体を折り畳む場合の第2の例を示す説明図である。
図19】正負極複合体と正極体を折り畳む場合の第3の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る電気化学セルの実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、電気化学セルの一例として、コイン型の全固体電池(以下、単に「電池」という。)を挙げ、この電池の構成について説明する。
なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更し、表示している。
【0030】
<第1実施形態>
図1図4は本発明に係る電気化学セルを全固体電池に適用した第1実施形態を示す図面である。
本実施形態の電池(電気化学セル)1は、平面視円形状のボタン型の電池である。この電池1は、容器状の外装体2と外装体2の内部に収容された電極体3を備えている。
【0031】
(外装体)
図4に示すように外装体2は、電極体3を収容する収容部4と、収容部4の外周に沿って折り曲げられた封止部5と、を備える。封止部5は、例えば絞り成形によって、収容部4の外周に沿って折り曲げられている。
外装体2は、電極体3を間に挟む第1容器(外側容器)7および第2容器(内側容器)8を備える。第1容器7および第2容器8は、それぞれラミネートフィルム(ラミネート構造体)により形成されている。ラミネートフィルムは、金属箔(金属層)と、重ね合わせ面(内側面)に設けられ金属箔を被覆する融着層(樹脂層)と、外側面に設けられ金属箔を被覆する保護層(樹脂層)とを有する。金属層は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等からなり、外気や水蒸気を遮断する金属箔により形成されている。
重ね合わせ面の融着層は、例えば、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂の単体やコポリマーから形成されている。外側面の保護層は、例えば、上述のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等から形成される。
【0032】
第1容器(負極側容器;外側容器)7は、円形状の第1底壁部6と、第1底壁部6の外周から筒状に延びる第1周壁部9を備える。第1底壁部6の中心には第1底壁部6の内径の数分の一程度の内径を有する第1貫通孔23が形成されている。
第1底壁部6の内面側には、リング状の第1シーラントフィルム(負極側のシーラントフィルム)24を介しニッケルプレートあるいは銅板にニッケルメッキを施した金属プレートなどの負極側電極板26が熱融着されている。第1シーラントフィルム24は、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用いて形成されたシーラントフィルムをリング状に成形したものである。なお、第1シーラントフィルム24の一面側は第1容器7の第1底壁部6に対し熱溶着されるとともに、第1シーラントフィルム24の他面側は負極側電極板26に対し熱溶着されている。
【0033】
負極側電極板26は、第1貫通孔23を介し電池1の外部に露出され、電池1の負極端子として機能する。後述する電極体3の負極タブ13は例えば超音波溶接などの接合手段により負極側電極板26に接続されている。
【0034】
第2容器(正極側容器:内側容器)8は、円板状の第2底壁部31と、第2底壁部31の外周縁から筒状に延びる第2周壁部32と、第2周壁部32の開口縁から第2周壁部32の外側に向けて断面U字状になるように折り曲げられて第2底壁部31側に延びる折曲周壁部33を備えている。
第2底壁部31は、電極体3を挟んで第1容器7の第1底壁部6と反対側に配置されている。第2底壁部31は、第1容器7の第1底壁部6と同等の外径に形成されている。第2底壁部31の中心には、第2底壁部31の内径の数分の一程度の内径を有する第2貫通孔35が形成されている。
【0035】
第2底壁部31の内面側には、リング状の第2シーラントフィルム(正極側のシーラントフィルム)37を介し正極側電極板38が熱融着されている。正極側電極板38の外面の中央には、ニッケルプレート、Auメッキプレートなどからなる保護プレートが溶接されていることが好ましい。なお、正極側電極板38の外面にニッケルまたはニッケル合金等のめっき層を形成するならば、保護プレートは省略してもよい、第2シーラントフィルム37は、第1シーラントフィルム24と同様に、熱可塑性樹脂により形成されている。
【0036】
正極側電極板38の中心部は電極体3の後述する正極タブ21(図8図13参照)に接続されている。なお、図2においては内部構造が複雑なためタブ接続部分は記載を略している。
正極側電極板38は、SUS316などの耐食性に優れたステンレス鋼板からなり、電池1の正極端子として機能する。
【0037】
図4に示すように第2周壁部32は、第2底壁部31の外周から第1容器7の第1底壁部6に向けて筒状に延びている。第2周壁部32は、収容部4の外周を形成する。折曲周壁部33は、第2周壁部32のうち、第1底壁部6側の端部から第2周壁部32に沿って第2底壁部31側へ筒状になるように折り曲げられている。折曲周壁部33は、第2周壁部32に対して外側に間隔をおいて配置されている。
第2周壁部32は、第1周壁部9の内側に配置されている。また、折曲周壁部33は、第1周壁部9の内側に配置され、折曲周壁部33の融着層と第1周壁部9の融着層とが熱融着されている。
【0038】
折曲周壁部33の融着層と第1周壁部9の融着層とが融着されることにより、封止部5が形成されている。よって、収容部4の外周が封止部5で封止されている。以上の構造により、第1容器7および第2容器8が重ね合わされて接合され、外装体2が形成されている。封止部5は、収容部4の外側に筒状に形成されている。
収容部4には、第1容器7と第2容器8とが重ね合されることにより密封空間が形成されている。具体的に、収容部4は、第1底壁部6、第2底壁部31、および第2周壁部32により画成され、平面視で円形に形成されている。
【0039】
(電極体)
図3図5は、本実施形態の電極体3を示す図であり、電極体3は、負極層14と正極層16を電解質層15を介し積層した構造を複数積層した構造を有する。
図6に示すように、負極体10は、円板状の複数の負極集電体11とこれら負極集電体11を接続する負極接続部12を有する帯状の構造体である。負極体10は例えば銅箔からなる。負極体10において、負極集電体11の表裏両面に金属リチウムなどの負極層14が蒸着などの手段により形成されている。図6に示す負極体10には、負極集電体11が10個設けられ、それらが帯状の負極接続部12により直線状に接続されている。負極体10の長さ方向一端側の負極集電体11には負極接続部12の配列方向を延長するように短冊状の負極タブ13が延出されている。
【0040】
負極体10において負極タブ13を設けた負極集電体11を第1番目の負極集電体11と呼称することができ、負極体10には順次第2番目の負極集電体11~第10番目の負極集電体11まで合計10個の負極集電体11が設けられている。
図6に示す構成では、第1番目の負極集電体11のみ片面側に負極層14が蒸着され、他面側の負極層14は略されている。第2番目の負極集電体11~第10番目の負極集電体11には表裏両面に負極層14が蒸着されている。なお、第1番目の負極集電体11のみ片面側に負極層14を設けたのは、第1番目の負極集電体11の両面に負極層14を設けると、後述する折り重ね構造とした場合、第1番目の負極集電体11の一方の面の負極層14がむき出しとなるため、不用意な反応を避けるためである。前述の不用意な反応の心配がなければ、第1番目の負極集電体11の両面に負極層14を設けてもよい。
【0041】
図7は、図6に示す負極体10に対し、負極体10の両面側の負極層14の表面側に電解質層15を介し正極層16を貼り付けた正負極複合体17を示す。なお、正負極複合体17において、第1番目の負極集電体11には負極層14を設けた片面側にのみ電解質層15を介し正極層16が貼り付けられる。その他、第2番目の負極集電体11~第10番目の負極集電体11には表裏両面に平面視略円形状の電解質層15と正極層16が貼り付けられている。電解質層15の表面を図9に示し、電解質層15の表面に正極層16を貼り付けた状態を図10に示す。なお、後述する折り畳み構造を容易とするために、電解質層15の外周縁の一部を切り欠いたフラット部15aを設けることが好ましい。図9図10に示す例では、電解質層15の外周部に周回り90°間隔で4つのフラット部15aが形成されている。
【0042】
図8は、正極体18を示し、この正極体18はアルミニウム箔からなる10個の円板状の正極集電体19をアルミニウム箔からなる正極接続部20により直線状に接続した帯状構造を有する。正極体18の長さ方向一端側の正極集電体19には正極接続部20の配列方向を延長するように短冊状の正極タブ21が形成されている。
【0043】
電極体3は、図7に示す正負極複合体17と図8に示す正極体18を交互に折り重ねて構成されている。
一例として、図11に示すように負極タブ13と第1番目の負極集電体11を左側に位置するように正負極複合体17を手前側斜め横向きに配置する。これに対し、正負極複合体17の第1番目の負極集電体11に対し、正極体18の第10番目の正極集電体19が接近するように正極体18と正負極複合体17をL字状に配置する。
【0044】
この状態から、図12に示すように正負極複合体17の第1番目の正極層16上に正極体18の第10番目の正極集電体19を重ね、重ねた後に正負極複合体17と正極体18を交互に互いの負極接続部12あるいは正極接続部20において折り重ねる。
この折り重ね処理により、正負極複合体17の第1番目の正極層16上に、正極体18の第10番目の正極集電体19を折り重ねることができる。以降、正極体18の第10番目の正極集電体19上に正負極複合体17の第2番目の正極層16を重ね、次に正負極複合体17の第2番目の正極層16上に正極体18の第9番目の正極集電体19を折り重ねる折り重ね処理を行う。
このように順序に正負極複合体17と正極体18を折り返しつつ集電体どうしを重ね、最後の正極タブ21を折り返すことで、図13に示すように正極タブ21を正極側で折り返した折り畳み構造の電極体3を得ることができる。また、負極タブ13を折返しておくことで電極体3の負極側の負極タブ13は図14に示すように電極体3の負極側に折り返される。
【0045】
以上により、負極接続部12で接続された複数の負極集電体11上に負極活物質を含む負極層14を備え、該負極層14上に固体電解質層15を介し正極活物質を含む正極層16を貼り付けた正負極複合体17と、正極接続部20で接続された複数の正極集電体19を備えた正極体18が、交互に折り重ねられた電極体3を得ることができる。
あるいは、電極体3は、正極接続部20で接続された複数の正極集電体19上に正極活物質を含む正極層16を備えた正極体と、負極接続部12で接続された複数の負極集電体11上に負極活物質を含む負極層14を備えた負極体10が、前記正極層16と前記負極層14の間に固体電解質層15を介在させて互いに折り重ねられた電極体であるとも言及できる。
【0046】
上述の構成において、負極層14は一例として金属リチウムを抵抗加熱蒸着法などで蒸着した金属リチウムの蒸着膜からなる。あるいは、負極層14は金属リチウムをホットプレスなどの熱圧着法あるいは合金化反応を利用した接着法により付着させた金属リチウムの層であってもよい。
【0047】
電解質層15を製造するには、固体電解質、バインダー、溶媒、分散剤、可塑剤などを混ぜてスラリーを作製する。このスラリーをシート成型法などでキャリアフィルム表面に必要厚さ塗工し、この塗工物をキャリアフィルムから剥がして、電気炉などで焼成し、固体電解質シートとする。
焼成の雰囲気は、酸素欠損を抑える為、酸素を含む雰囲気が好ましく、水分の影響が懸念される場合は、ドライ雰囲気を選択することがさらに好ましい。焼成の際、固体電解質シートのゆがみを抑える為、セラミック板(AlやMgOなどからなる)やグラファイト板などで挟むことが好ましい。セラミック板との反応や、Liの揮発を抑える為に、固体電解質と同じ材料や、Liを含有する酸化物などをシート化したものをセラミック板との間に挿入してもよい。
【0048】
上述のように得た固体電解質シートの一方の面に正極スラリー(正極活物質、バインダー、導電助剤、溶媒、分散剤などの混合物)を塗工、焼成して一体化する。
または、上述の方法と同様の手法で、キャリアフィルム上に塗工したものをキャリアフィルムから剥離し焼成して正極シートを作製することもできる。ホットプレスによる熱圧着などで上述の固体電解質シートに貼り付け、焼成して一体化することができる。これらの処理により固体電解質層15と正極層16を備えた積層体を得ることができる。
【0049】
次に、先の電解質層15と負極層14を接着する。接着には、ホットプレスによる熱圧着法や、電解質層15にスパッタなどの成膜法で金属(In、Cu、Al、Auなど)を成膜し、リチウムと合金化反応することにより接着することができる。
この後、図11に示す正極体18と上述のように得た正負極複合体17を用いて図11図12に示す手順で折り畳みながら交互に重ね合わせ、重ね合わせの際に導電ペーストなどを塗布しながら積層する。積層後、導電ペーストの溶融温度に加熱し、加熱後に冷却することで電極体3を得ることができる。
【0050】
電極体3を得たならば、外装体2の内部に収容し、導電ペーストによる貼り付け、あるいは溶接などの接合手法により負極タブ13を第1容器7の負極側電極板26に接合し、正極タブ21を第2容器8の正極側電極板38に接合し、第1容器7と第2容器8の周壁部どうしを熱融着することで電池1を得ることができる。タブの溶接はレーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接などいずれの方法を用いても良い。
また、負極側電極板26と正極側電極板38の外面側にNi、Alの金属板を貼り付けるかステンレス鋼板などの耐食性の良好な金属板を貼り付けて設けても良い。
【0051】
また、上述の製造方法において、作製パターン、順番は特に問わず、種々の方法を採用できる。
例えば、正極層16を正極体18の正極集電体19に導電ペーストで貼り付けて乾燥し、リチウムからなる負極層14を備えた負極体10の負極集電体11と折り重ねる。折り重ねる度に、これらの間に電解質層15を挟むようにする。
最後にホットプレスや、合金化によって電解質層15とリチウムの負極層14を貼り付けることで電極体3を得ることができる。
その他、負極体10と電解質層(電解質シート)15を作成し、正極層16を備えた正極体18に貼り付け、負極体10を折り重ねることもできる。また、負極層14、電解質層15、正極層16のシートを作成し、正極体18と負極体10に貼り付けながら、それらを折り重ねる、など、適宜の方法を選択して良い。
これらにより、正極接続部20で接続された複数の正極集電体19上に正極活物質を含む正極層16を備えた正極体と、負極接続部12で接続された複数の負極集電体11上に負極活物質を含む負極層14を備えた負極体10が、前記正極層16と前記負極層14の間に固体電解質層15を介在させて互いに折り重ねられた電極体を得ることができる。
【0052】
上述の電池1を製造する場合に用いる材料に特に制限はないが、以下のものを例示できる。
・正極活物質または負極活物質:ソフトカーボンやハードカーボンなどの炭素系材料、リチウム、硫黄。Liを含む、または含まない酸化物を利用できる。
・電解質:Liを含む酸化物、硫化物、水素化物、ポリマーなどを利用できる。
・導電助剤:カーボンブラックや、アセチレンブラックなどを添加できる。
・集電体の材料:銅、アルミ、SUS、ニッケルなどを選択できる。
・バインダー: セラミックグリーンシート用のバインダー、PVA(ポリビニルアルコール)、PVB(ポリビニルブチラール)やアクリル系などの非水系樹脂や、メチルセルロースなどの水系樹脂を選択できる。
・溶媒:水、アルコール系、ケトン系などを選択できる。
・分散剤、可塑剤を添加してもよい。グリーンシートの作製時に使用されている一般的な分散剤、可塑剤を添加できる。
【0053】
・電池の寸法:正極層、負極層、電解質層のそれぞれの厚みは100μm以下とすることができ。直径は20mm以下とすることができる。
・集電箔の厚みは20μm以下とすることができる。
・外装:金属ラミネート、金属缶、樹脂コーティング、酸化物コーティングの何れかを選択できる。
・電極体の形状:円形、楕円形、多角形などを例示できる。
【0054】
各材料の焼成温度
固体電解質層の組成:Li6.25LaZrAl0.2512の場合、焼成条件:1150℃、大気雰囲気などの条件を選択できる。
正極層の組成:Li1.3Al0.3Ti1.712の場合、これに黒鉛を混ぜたものを選択でき、焼成条件:800℃、黒鉛の燃焼を抑える為、窒素やアルゴン雰囲気、真空雰囲気を選択できる。
負極層の組成:負極活物質としてリチウム(未焼成)を選択できる。
【0055】
・一括焼成できないもの
一般的な酸化物系固体電解質であるLi1.5Al0.5Ge1.512(LAGP)などのガラスセラミック系の焼成温度は約800℃である。LiLaZr12(LLZ)などの結晶系は1000℃以上である。そのため、活物質として、高エネルギー密度として注目されるリチウム(融点約180℃)や、硫黄(融点115℃)などは一括焼成の場合、電池の構成材料として使用できない。集電材として一般的な、アルミ(融点約660℃)も使用できない。
これらに対し、上述の例では、正極層や負極層を別々に焼成可能なため、これら融点が大幅に異なる材料の組み合わせ構造を適用できる。このため、電池特性に優れた電気化学セル1を得ることができる。
【0056】
「ラミネート容器の製造方法」
図1図4に示すラミネート構造の外装体2を備えた電池1を製造する場合、図15図17を基に以下に説明する方法により製造できる。
例えば、ラミネート構造の図15に示す円板状の第1容器素材115とラミネート構造のハット状の第2容器素材116を用意する。第2容器素材116の突部117の内側に電極体3を収容し、各電極を接続し、第2容器素材116の外周部116aと第1容器素材115の外周部115aを重ね合わせて熱溶着などの接合方法で接合し、図15に示す接合体118とする。
次に、図16に示すように下型121と上型122からなる金型120とパンチ123を用意する。下型121の中央部と上型122の中央部には接合体118の突部117を遊挿可能な成型孔121a、122aが形成されており、下型121と上型122の間に接合体118の外周部を挟持する。
【0057】
また、パンチ123の上端部に円環壁からなる成形突部124が設けられており、下型121と上型122の間に接合体118の外周部を挟持した状態でパンチ123を図16に示す位置から上昇させることができる。図17に示すように成形突部124を成型孔121aから122aまで上昇させると、接合体118の外周部を全周に渡り成形突部124で断面逆U字状に加工しつつ接合体118の外周縁部から切断することができる。このプレス加工により図1図4に示す外装体2を備えた電池1を得ることができる。
【0058】
「折り重ね構造の電極体の第2の例」
先の実施形態では、正負極複合体と正極体を折り重ねる場合、いずれも集電体を直線状に連結した帯状の正負極複合体17と正極体18を用いたが、正負極複合体17と正極体18の構成は種々の形態を採用できる。
例えば、図18に示すように、いずれもL字型の正負極複合体53と正極体56を用いることができる。正負極複合体53は、円形状の負極層と電解質層と正極層を積層した電極部53bを複数有し、これら複数の電極部53bが帯状の電極接続部53aを介し全体としてL字型になるように連結されている。正極体56は円形状の正極集電体56bを複数有し、これら複数の正極集電体56bが帯状の電極接続部56aを介し全体としてL字型になるように連結されている。
【0059】
図18に示すL字型の正負極複合体53と正極体56を用い、正負極複合体53の折曲周壁部に位置する電極部53bに正極体56の折曲周壁部に位置する正極集電体56bを重ね、(1)→(2)→(3)→(4)の純で順序に交互に折り畳む工程を繰り返すことで、折り畳み構造の電極体を製造できる。
図18において符号13は負極タブを示し、符号21は正極タブ21を示す。これらの負極タブ13と正極タブ21をそれぞれ積層体の上面側と下面側で折り返すことで、図13図14に示す電極体3と同等構造の電極体を得ることができる。
【0060】
「折り重ね構造の電極体の第3の例」
先の実施形態では、正負極複合体と正極体を折り重ねる場合、いずれも集電体を直線状に連結した帯状の正負極複合体17と正極体18を用い、正負極複合体17と正極体18の端部どうしから折り返した。しかし、折返し構造とする場合、正負極複合体17と正極体18の長さ方向中央部同士を重ねてから折返し構造とすることもできる。
【0061】
例えば、図19に示すように直線状の正負極複合体63と正極体66を用いることができる。正負極複合体63は、円形状の負極層と電解質層と正極層を積層した電極部63bを複数有し、これら複数の電極部63bが帯状の電極接続部63aを介し直線状に連結されている。正極体66は円形状の正極集電体66bを複数有し、これら複数の正極集電体66bが帯状の電極接続部66aを介し直線状に連結されている。
【0062】
図19に示す直線状の正負極複合体63と正極体66を用い、正負極複合体63の長さ方向中央に位置する電極部63bに正極体66の長さ方向中央に位置する正極集電体66bを重ね、(1)→(2)→(3)→(4)の順で順序に交互に折り畳む工程を繰り返すことで、折り畳み構造の電極体を製造できる。
図19において符号13は負極タブを示し、符号21は正極タブ21を示す。これらの負極タブ13と正極タブ21をそれぞれ積層体の上面側と下面側で折り返すことで、図13図14に示す電極体3と同等構造の電極体を得ることができる。
【0063】
本発明では、以上説明のように、正負極複合体と正極体として種々の形状を採用することができ、折り重ね構造も種々の形状を採用でき、これまで説明した例に制限されないのは勿論である。
なお、本発明に係る電気化学セルとして、上述したようなラミネートフィルム製の第1容器7及び第2容器8からなる平面視円形状のボタン型の外装体2を用いることを例に挙げた。しかし、本発明はこれに限られず、第1容器と第2容器のいずれか又は両方が金属製であってもよい。また、有底円筒状の金属製の正極缶と、正極缶の開口部を塞ぐ有蓋円筒状の蓋状の金属製の負極缶と、正極缶と負極缶とを絶縁するガスケットとを用いた外装体を用いてもよく、外装体の形状や構造は電池用の一般的なものを広く適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1…電池(電気化学セル)、2…外装体、3…電極体、7…負極側容器(第1容器)、8…正極側容器(第2容器)、9…第1周壁部、10…負極体、11…負極集電体、12…負極接続部、13…負極タブ、14…負極層、15…電解質層、16…正極層、17…正負極複合体、18…正極体、19…正極集電体、20…正極接続部、21…正極タブ、26…負極側電極板、33…折曲周壁部、38…正極側電極板、53、63…正負極複合体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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