(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139606
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】風力発電装置
(51)【国際特許分類】
F03D 3/02 20060101AFI20220915BHJP
F03D 7/06 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
F03D3/02
F03D7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040074
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】596080743
【氏名又は名称】有限会社大善工業
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100201684
【弁理士】
【氏名又は名称】橋爪 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】大橋 善二朗
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA12
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB08
3H178CC02
3H178DD54X
3H178EE05
(57)【要約】
【課題】過大な風力を受けても、許容回転数を超えずに回転する、風力発電装置を提供する。
【解決手段】風力発電装置は、発電機に接続された鉛直な回転軸22と、回転軸22に固定された複数の翼10と、翼10が有する複数の軸に固定された複数の羽根と、回転軸22の回転数に応じて複数の羽根を回転して羽根同士の隙間を変更する制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機に接続された鉛直軸と、
前記鉛直軸に固定された複数の翼と、
前記翼が有する複数の軸に固定された複数の羽根と、
前記鉛直軸の回転数に応じて前記複数の羽根を回転して前記羽根同士の隙間を変更する制御部と、
を有する風力発電装置。
【請求項2】
前記翼に外周部と、前記外周部を上下から磁石の反発力で保持する保持部とを、
さらに有する請求項1に記載の風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガス排出量を削減するために再生可能エネルギーの活用が求められている。風力発電は風力をエネルギー源として発電を行うものであり、その有効活用が期待されており、様々な方式のものが提案されている。
【0003】
風力発電装置は、風力によってプロペラ等を回転させ、その回転力によって発電するものであるが、回転軸の方向によって、水平軸型と垂直軸型に分類される。このうち垂直軸型は、水平軸型に比べ、騒音や落下の危険性の問題が低く、設置場所の自由度が高い。また、水平軸型のように、回転軸と風の方向を一致させる必要も無く、シンプルな構造にできる。さらに、発電機等を下方に配置することができるため、洋上に設置する場合等には安定性を高めることができる。
【0004】
垂直軸型風力発電装置として、例えば、特許文献1に開示された風力発電装置がある。これは、垂直に設置された回転軸に、支持アームを介して複数の垂直翼を取り付けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された風力発電装置は、過大な風力を垂直翼に受け、許容回転数を超えた場合に、ブレーキで回転を制動する機構を有する。しかし、垂直翼に作用する風力は変わらないため、垂直翼やその支持部が破壊されるおそれがある。あるいは、過大な風力を受けても破壊されないように、垂直翼や支持部の強度を高める必要がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、過大な風力を受けても、許容回転数を超えずに回転する、風力発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明にかかる風力発電装置は、発電機に接続された鉛直軸と、前記鉛直軸に固定された複数の翼と、前記翼が有する複数の軸に固定された複数の羽根と、前記鉛直軸の回転数に応じて前記複数の羽根を回転して前記羽根同士の隙間を変更する制御部と、を有する。
【0009】
例えば、本発明にかかる風力発電装置は、前記翼に外周部と、前記外周部を上下から磁石の反発力で保持する保持部とを、さらに有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の風力発電装置は、翼の羽根を回転して羽根同士の隙間を変更して、翼に受ける風力を変更することで、過大な風力を受けても許容回転数を超えずに回転して、発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る風力発電機の羽根を閉じた状態の斜視図
【
図2】実施の形態に係る風力発電機の羽根を開いた状態の斜視図
【
図3】実施の形態に係る風力発電機の羽根開閉機構を説明する斜視切断図
【
図4】実施の形態に係る風力発電機の羽根開閉機構を説明する図の部分拡大図(
図3のA部)
【
図5】実施の形態に係る風力発電機の羽根を閉じた状態の平面図
【
図6】実施の形態に係る風力発電機の羽根を閉じた状態の正面図
【
図7】実施の形態に係る風力発電機の羽根を開いた状態の平面図
【
図8】実施の形態に係る風力発電機の羽根を開いた状態の正面図
【
図9】実施の形態に係る風力発電機の外周保持部の部分拡大断面図(
図6のB部)
【
図10】実施の形態に係る風力発電装置の概略構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態に係る風力発電装置300について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態に係る風力発電装置300の風力発電機1は、
図1の斜視図で示すように、土台30と、土台30の上面に配置された回転部100とを有する。回転部100は、3枚の翼10を有し、それぞれの翼10は、後述する3枚の羽根13、15、17を有し、3枚の羽根13、15、17は、それぞれ回動可能である。3枚の羽根13、15、17が閉じた状態を
図1に示し、開いた状態を
図2に示す。
【0013】
(回転部100の構造)
回転部100は、土台30の上面の四隅に配置された、上方に延在する支柱24によって支持されている。支柱24の上端は、平面視で円環状の水平支持部23に接続されている。側面視で弓状の垂直支持部21は、水平支持部23に接続されている。垂直支持部21の中央部は、水平支持部23に平面視で90度間隔で4つ配置され、垂直支持部21のそれぞれの上下の端部は、水平支持部23の円環の中心に向かうように配置されている。第1の回転支持部25は、4つの垂直支持部21の上部の端部に接続されている。第2の回転支持部26は、4つの垂直支持部21の下部の端部に接続されている。鉛直軸である回転軸22は、第1の回転支持部25と第2の回転支持部26で、鉛直方向に、回転自在に支持されている。回転軸22に、3つの翼10が、平面視で等角度間隔で固定されている。回転軸22は、
図3に示すように、土台30の内部に延在しており、下端に発電機31が接続されている。発電機31は、図示しない回転数検出機構を有している。
【0014】
(翼10の構造)
翼10は、
図3及び
図4に示すように、半月状の枠部11と、枠部11を上下2つに分割する位置に配置された横枠27と、枠部11に回転自在に保持され、鉛直方向に、互いに平行であるように配置された羽根回転軸12、14、16と、それぞれの羽根回転軸12、14、16に固定された羽根13、15、17とを有する。羽根13、15、17は、枠部11に囲まれた平面を埋めるように配置された平板を有する。羽根13、15は、それぞれの平板の回転軸22から遠い位置と、枠部11の弓状部に近い位置の端部に、平板の一方の面に垂直に立設された壁部を有する。羽根17は、平板の枠部11の弓状部に近い位置の端部に、平板の一方の面に垂直に立設された壁部を有する。
【0015】
(羽根13、15、17の回転構造)
羽根13、15、17の回転構造は、
図4に示すように、横枠27の内部に配置されている。羽根13、15、17は、それぞれ羽根回転軸12、14、16に固定されており、それぞれの羽根回転軸12、14、16に、かさ歯車48が固定されている。かさ歯車48は、歯車47と噛み合っており、歯車47は、横枠27の内部で、横枠27の延在方向を回転軸として回転自在に保持されている駆動軸49に固定されている。駆動軸49の回転軸22側の端部に、平歯車46が固定されている。平歯車46と噛み合っているラック45は、鉛直方向に配置されている。ラック45の下方端に、ロッド44が鉛直方向に配置され、ロッド44の下方端は、
図3に示す、ブラケット43に接続されている。ブラケット43は、距離を置いて配置された2枚の円盤を有し、回転軸22に沿って、上下方向に移動可能である。ブラケット43の2枚の円盤の間に、カムフォロア42が複数配置されており、それぞれのカムフォロア42は、直動シリンダー41の軸に接続されている。
【0016】
これによって、直動シリンダー41の軸を出し入れすると、直動シリンダー41の軸に接続されたカムフォロア42が上下に移動し、カムフォロア42を上下から挟んだブラケット43が上下に移動し、ブラケット43に接続されたロッド44が上下に移動し、ロッド44に接続されたラック45が上下に移動し、ラック45に噛み合った平歯車46が回転することで駆動軸49が回転し、駆動軸49に形成された3つの歯車47が回転し、歯車47と噛み合った羽根回転軸12、14、16が回転し、羽根回転軸12、14、16に固定された羽根13、15、17が回転する。
【0017】
(外周支持構造)
翼10の横枠27は、枠部11より外側に突出しており、
図9に断面で示すように、断面がコの字状である水平支持部23の内部に配置されている。水平支持部23の内部と横枠27の端部に磁石51~54が配置されている。なお
図9に示す磁石51~54に記した矢印は、磁石のN極とS極を明示するものであって、矢印の先端をN極、根元をS極と表している。水平支持部23の内部にある横枠27の端部に、磁石52、53が、上部がS極、下部がN極となるように配置されている。水平支持部23の内側の上下に、磁石52と対向する位置に磁石51が、磁石53と対向する位置に磁石54が配置されている。磁石51の下部がS極であり、磁石54の上部がN極となっている。
【0018】
これによって、それぞれの磁石同士の反発力が作用して、横枠27の外側の端部は、水平支持部23の内部で、非接触で保持され、保持部となっている。この外周支持機構によって、回転部100は水平に保たれる。従って、この外周支持機構が無い場合であれば、翼10に横からかかる風力によって回転軸22が撓まないように、回転軸22の強度を高めておく必要があるが、この外周支持機構があることによって、回転軸22の強度は高める必要は無くなる。
【0019】
(作動方法)
次に、本実施の形態に係る風力発電装置300によって、風力発電を行う方法について説明する。
図10に示すように、風力発電機1に、制御部200、バッテリー210が接続されている。
【0020】
風力が弱いときは、直動シリンダー41の軸の位置を、羽根13、15、17が翼10に形成する隙間を最も小さくする。このときの風力発電機1を平面視したものが
図5であり、側面視したものが
図6である。翼10の羽根13、15、17は、一方の面に壁が立設されており、他方の面には壁が無いので、翼10の一方の面で受ける風力と、他方の面で受ける風力に差が生じる。この風力の差によって、風力発電機1が回転する。このように、風力発電機は、翼10の一方の面で受ける風力と、他方の面で受ける風力との差によって回転するものであるから、風力発電機に対する風向きは、平面視で、どの方向からの風でも良い。また、風力によっては風力発電機1が回転を始めない場合があるので、発電機31にバッテリー210に蓄えた電力を送り、発電機31を駆動モータとして使用して、風力発電機を回転させ、その回転によって生じた慣性力を用いて、回転させても良い。
【0021】
風力発電機1が回転している状態は、発電機31が有する回転数検出機構から制御部200へ送られる信号によって監視される。回転数が所定の回転数を超えた場合は、制御部から送られた信号によって、直動シリンダー41を作動させて、直動シリンダー41の軸を出し入れする。直動シリンダー41の軸を出し入れすることで、羽根13、15、17が回転して、翼10に隙間が生じる。この隙間によって、翼10の一方の面で受ける風力と、他方の面で受ける風力との差を小さくする。翼10の隙間を最大にした状態を平面視したものが
図7であり、側面視したものが
図8である。この結果、風力発電機1を回転させる力が弱まり、回転数が抑制される。また、風力発電機1の回転数が、所定の回転数よりも小さくなった場合は、制御部200から送られた信号によって、直動シリンダー41を作動させて、羽根13、15、17を回転して、翼10の隙間を小さくする。それによって翼10が受ける風力が大きくなり、風力発電機1の回転数が大きくなる。
【0022】
以上によって、風力発電装置300は、風力が小さいときであっても翼10の隙間を小さくして十分に風を受けて風力発電機1が回転し、風力が過大になっても、翼10の隙間を大きくして風を逃がし、風力発電機1が許容回転数を超えることなく回転する。
【符号の説明】
【0023】
1 風力発電機
10 翼
11 枠部
12、14、16 羽根回転軸
13、15、17 羽根
21 垂直支持部
22 回転軸
23 水平支持部
24 支柱
25 第1の回転支持部
26 第2の回転支持部
27 横枠
30 土台
31 発電機
41 直動シリンダー
42 カムフォロア
43 ブラケット
44 ロッド
45 ラック
46 平歯車
47 歯車
48かさ歯車
100 回転部
200 制御部
210 バッテリー
300風力発電装置