(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139609
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】散薬掻出装置及び散薬包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 1/30 20060101AFI20220915BHJP
B65B 37/08 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B65B1/30 B
B65B37/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040080
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】小池 直樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 彰
【テーマコード(参考)】
3E055
3E118
【Fターム(参考)】
3E055AA05
3E055BB01
3E055CA06
3E055CA07
3E118AA07
3E118AB04
3E118BA03
3E118BA10
3E118BB02
3E118BB10
3E118BB12
3E118EA06
(57)【要約】
【課題】散薬収容部材の溝と散薬掻出部材の芯合わせ作業を簡素化することができる散薬掻出装置を提供する。
【解決手段】散薬掻出装置9は、断面円弧状の溝8aを有する散薬収容部材8に供給された散薬を掻き出す散薬掻出装置9であって、回転駆動可能な回転軸21と、回転軸21により回転し、外周が前記溝に接する回転板23とを備え、回転板23に掻出板29が設けられている。回転板23が回転軸21に対して半径方向に弾性的に移動可能に設けられている。回転軸21と回転板23との間に弾性部材26が設けられ、弾性部材26は、回転軸21の半径方向とは異なる方向、好ましくは回転軸21を中心とする仮想円Cの接線方向に伸縮可能なコイルばねからなる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円弧状の溝を有する散薬収容部材に供給された散薬を掻き出す散薬掻出装置であって、
回転駆動可能な回転軸と、前記回転軸により回転し、外周が前記溝に接する回転板とを備え、
前記回転板に掻出板が設けられた散薬掻出装置において、
前記回転板が前記回転軸に対して半径方向に弾性的に移動可能に設けられていることを特徴とする散薬掻出装置。
【請求項2】
前記回転軸と前記回転板との間に弾性部材が設けられ、前記弾性部材は、前記回転軸の半径方向とは異なる方向に伸縮可能なコイルばねからなることを特徴とする請求項1に記載の散薬掻出装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記回転軸に設けられた軸側部材と前記回転板に設けられた板側部材との間に設けられ、
前記軸側部材は、前記回転軸に固定された駆動部材であり、
前記板側部材は、前記回転板が着脱可能に取り付けられる取付基板と、前記取付基板に固定された従動部材とからなり、
前記駆動部材は、前記取付基板と前記従動部材との間に設けられ、
前記弾性部材は、前記駆動部材と前記従動部材との間に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の散薬掻出装置。
【請求項4】
前記回転軸と前記回転板との間に弾性部材が設けられ、前記弾性部材は、前記回転軸の半径方向に伸縮可能なコイルばねからなることを特徴とする請求項1に記載の散薬掻出装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記回転軸に設けられた軸側部材と前記回転板に設けられた板側部材との間に設けられ、
前記軸側部材は、前記回転軸に固定された第1駆動部材と、前記第1駆動部材に固定された環状の第2駆動部材とからなり、
前記板側部材は、前記回転板が着脱可能に取り付けられる取付基板と、前記取付基板に固定された弾性部材受けブロックと、前記取付基板に固定された環状の従動部材とからなり、
前記第2駆動部材は、前記取付基板と前記従動部材との間に設けられ、
前記弾性部材は、前記第2駆動部材と前記弾性部材受けブロックとの間に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の散薬掻出装置。
【請求項6】
前記回転軸と前記回転板との間に弾性部材が設けられ、前記弾性部材は、前記軸側部材の外周面と、前記板側部材の内周面との間に設けられた環状の弾性材料からなることを特徴とする請求項1に記載の散薬掻出装置。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記回転軸に設けられた軸側部材と前記回転板に設けられた板側部材との間に設けられ、
前記軸側部材は、前記回転軸に固定された第1駆動部材と、前記第1駆動部材に固定された環状の第2駆動部材とからなり、
前記板側部材は、前記回転板が着脱可能に取り付けられる取付基板と、前記取付基板に固定された環状の従動部材とからなり、
前記第2駆動部材は、前記取付基板と前記従動部材との間に設けられ、
前記弾性部材は、前記第2駆動部材に形成された環状突部の外周面と前記従動部材の内周面との間に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の散薬掻出装置。
【請求項8】
前記軸側部材と前記板側部材は軸方向に移動不能に設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の散薬掻出装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の散薬掻出装置を備えた散薬包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散薬収容部材の溝内に収容された散薬を一定量ずつ掻き出すための散薬掻出装置及び散薬包装装置、特にその散薬掻出部材の自動調心機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、散薬包装装置には、断面円弧状の環状溝を有する散薬収容部材(R円盤、分配皿ともいう。)に散薬を均一に供給し、掻出板を有する回転板により環状溝内の散薬を1包ずつ分配して掻き出す散薬掻出装置が設けられている(特許文献1、2参照)。
【0003】
このような散薬掻出装置では、散薬掻出部材の回転板の外周面が散薬収容部材の環状溝に密着していないと、散薬の掻き出し時や散薬収容部材を回転させる時に散薬が回転板と環状溝の間の隙間から漏れるため、分包量にばらつきが生じたり、掻き出し漏れが生じる。このため、散薬分包装置1台毎に、散薬掻出部材の回転板の回転中心を散薬収容部材の環状溝の曲率中心と一致させる芯合わせ作業(調心作業)が行われている。実際には、回転板の回転中心を環状溝の曲率中心より低くして、回転板の外周に設けられたシリコンゴムを環状溝に押し当てるようにしている。
【0004】
しかし、散薬収容部材は環状溝が回転する構造であり、また回転板はアームの先端の回転軸に支持されて回転可能であるとともに、散薬収容部材の環状溝に対して昇降する構造になっているため、芯合わせ作業は困難で時間がかかり、多大な労力を要するものであった。また、散薬包装装置1台毎の機体差により、調整代等は芯合わせした装置にしか使用できないし、散薬掻出装置を一旦分解すると最初から調心作業を行なわなければならなかった。さらに、回転板のシリコンゴムを環状溝に押し当て過ぎると、シリコンゴムや環状溝が摩耗して摩耗紛が発生するので、調心作業時には、摩耗紛が散薬と共に包装されないように細心の注意を払って押し付け量を調整する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-179967号公報
【特許文献2】特開2010-247841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、散薬収容部材の溝と回転部材の芯合わせ作業を簡素化することができる散薬掻出装置及び散薬包装装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明の散薬掻出装置は、
断面円弧状の溝を有する散薬収容部材に供給された散薬を掻き出す散薬掻出装置であって、
回転駆動可能な回転軸と、前記回転軸により回転し、外周が前記溝に接する回転板とを備え、
前記回転板に掻出板が設けられた散薬掻出装置において、
前記回転板が前記回転軸に対して半径方向に弾性的に移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
前記手段では、回転板が回転軸に対して半径方向に弾性的に移動可能であるので、散薬掻出部材の回転軸の軸芯と散薬収容部材の溝の曲率中心とが一致していなくても、回転板の外周部が溝の内面に沿って回転する際に、弾性部材により回転板が回転軸に対して半径方向に移動して、散薬掻出部材の回転軸の軸芯が散薬収容部材の溝の曲率中心に自動的に調心される。
【0009】
具体的な手段として、前記回転軸と前記回転板との間に弾性部材が設けられ、前記弾性部材は、前記回転軸の半径方向とは異なる方向に伸縮可能なコイルばねからなることが好ましい。
この場合、前記弾性部材は、前記回転軸に設けられた軸側部材と前記回転板に設けられた板側部材との間に設けられ、
前記軸側部材は、前記回転軸に固定された駆動部材であり、
前記板側部材は、前記回転板が着脱可能に取り付けられる取付基板と、前記取付基板に固定された従動部材とからなり、
前記駆動部材は、前記取付基板と前記従動部材との間に設けられ、
前記弾性部材は、前記駆動部材と前記従動部材との間に設けられていることが好ましい。
【0010】
また、前記回転軸と前記回転板との間に弾性部材が設けられ、前記弾性部材は、前記回転軸の半径方向に伸縮可能なコイルばねであってもよい。
この場合、前記弾性部材は、前記回転軸に設けられた軸側部材と前記回転板に設けられた板側部材との間に設けられ、
前記軸側部材は、前記回転軸に固定された第1駆動部材と、前記第1駆動部材に固定された環状の第2駆動部材とからなり、
前記板側部材は、前記回転板が着脱可能に取り付けられる取付基板と、前記取付基板に固定された弾性部材受けブロックと、前記取付基板に固定された環状の従動部材とからなり、
前記第2駆動部材は、前記取付基板と前記従動部材との間に設けられ、
前記弾性部材は、前記第2駆動部材と前記弾性部材受けブロックとの間に設けられていることが好ましい。
【0011】
さらに、前記回転軸と前記回転板との間に弾性部材が設けられ、前記弾性部材は、前記軸側部材の外周面と、前記板側部材の内周面との間に設けられた環状の弾性材料であってもよい。
この場合、前記弾性部材は、前記回転軸に設けられた軸側部材と前記回転板に設けられた板側部材との間に設けられ、
前記軸側部材は、前記回転軸に固定された第1駆動部材と、前記第1駆動部材に固定された環状の第2駆動部材とからなり、
前記板側部材は、前記回転板が着脱可能に取り付けられる取付基板と、前記取付基板に固定された環状の従動部材とからなり、
前記第2駆動部材は、前記取付基板と前記従動部材との間に設けられ、
前記弾性部材は、前記第2駆動部材に形成された環状突部の外周面と前記従動部材の内周面との間に設けられていることが好ましい。
【0012】
前記軸側部材と前記板側部材は軸方向に移動不能に設けられていることが好ましい。
【0013】
散薬包装装置は、前記散薬掻出装置備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回転板が回転軸に対して半径方向に弾性的に移動可能であるので、散薬掻出部材の回転軸の軸芯と散薬収容部材の溝の曲率中心とが一致していなくても、回転板の外周部が溝の内面に沿って回転する際に、弾性部材により回転板が回転軸に対して半径方向に移動して、散薬掻出部材の回転軸の軸芯が散薬収容部材の溝の曲率中心に自動的に調心される。
このため、散薬収容部材の溝と散薬掻出部材の芯合わせ作業を簡素化することができる。また、回転軸の軸芯と散薬収容部材の溝の曲率中心とが多少一致していなくても、回転板や溝の摩耗が少なくなり、作業者は細かい作業から解放され、精神的負担が軽くなる。さらに、回転軸と散薬収容部材の位置決めを厳密に行わなくてよいので、芯合わせ作業が短時間で行える等の効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】第1実施形態の回転軸側からみた回転部材の分解斜視図。
【
図5】第1実施形態の回転版側からみた回転部材の分解斜視図。
【
図6】回転板(a)と取付基板(b)の分解斜視図。
【
図9】第2実施形態の回転軸側からみた回転部材の分解斜視図。
【
図10】第2実施形態の回転版側からみた回転部材の分解斜視図。
【
図13】第3実施形態の回転軸側からみた回転部材の分解斜視図。
【
図14】第3実施形態の回転版側からみた回転部材の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る散薬掻出装置を備えた散薬包装装置1を示す。この散薬包装装置1は、散薬投入部2により投入された散薬を散薬掻出部3にて1包分ずつ掻き出した後、包装部4により包装するようにしたものである。また、散薬包装装置1には、錠剤を1包分ずつ手撒きして包装部4に供給する錠剤手撒部5を備えている。
【0018】
図2に示すように、散薬投入部2は、投入ホッパー6と散薬フィーダ7とを備え、投入ホッパー6から散薬フィーダ7に投入された散薬を散薬フィーダ7の振動により、散薬掻出部3の散薬収容部材8に供給するように構成されている。
【0019】
散薬掻出部3は、散薬収容部材8と、散薬掻出装置9とを備えている。
【0020】
散薬収容部材8は、上面外周部に断面円弧状の環状溝8aが形成された穴あき円板からなり、モータ10の駆動により回転する。環状溝8aには、散薬投入部2から投入された散薬が均一に収容される。
【0021】
散薬掻出装置9は、
図3に示すように、基台11と、アーム12と、回転部材13とを備えている。
【0022】
基台11は、散薬収容部材8の内側に配置され、回転用モータ14と、昇降用モータ15とを有している。回転用モータ14は、そのモータギア(不図示)から、中間ギア14a、駆動ギア14bを介して駆動軸16のプーリ17に動力を伝達する。昇降用モータ15は、モータギア15aを介して昇降ギア15bを回転し、昇降ギア15bに設けたピン5cをして昇降台18を昇降させるようになっている。
【0023】
アーム12は、一端が基台11の駆動軸16に回動可能に取り付けられ、他端には後述する回転軸21が取り付けられている。駆動軸16の駆動プーリ17と回転軸21のプーリ19の間にはベルト20が架け渡され、駆動軸16の回転力が回転軸21に伝達されるようになっている。また、アーム12は、昇降台18に支持され、昇降台18の昇降により、駆動軸16を中心に所定角度で掻出位置と退避位置とに回動するようになっている。
【0024】
回転部材13は、
図4、
図5に示すように、回転軸21と、回転軸側部材である駆動部材22と、回転板23と、回転板側部材である取付基板24及び従動部材25と、回転軸側部材と回転板側部材との間に介在する弾性部材26とからなっている。
【0025】
回転軸21は、前述したようにアーム12の先端に回転可能に取り付けられている。回転軸21の回転板側の端面は、
図5に示すように、D形の異形に形成されるとともに、偏心位置にねじ孔21aが形成されている。ねじ孔21aが偏心位置に形成されているので、回転軸21が回転中に固定ねじ27が緩むことはない。
【0026】
駆動部材22は、基部22aと、該基部22aの外周からL字形に突出する4つの突出部22bとからなっている。基部22aの回転軸側端面には、回転軸21の回転板側端面と対応するD形の係合凹部22cが形成されている。基部22aの回転板側端面には、
図5に示すように、固定ねじ27が収容される凹部22dが形成されている。回転軸21の回転板側端面のねじ孔21aと対応する位置には貫通孔22eが形成されている。突出部22bの先端の両側面には、基部22aの回転中心を中心とする仮想円C(
図7参照)の接線方向に、ばね受け穴22fが形成されている。
【0027】
回転軸21と駆動部材22は、回転軸21の回転板側端面を駆動部材22の係合凹部22cに係合し、固定ねじ27を駆動部材22の貫通孔22eに通して駆動軸21のねじ孔21aにねじ込むことで、一体に固定される。
【0028】
回転板23は、
図6(a)に示すように、散薬収容部材8の環状溝8aの円弧と同じ曲率半径を有するステンレス鋼製の円板からなり、外周部には全周に亘ってシリコン等の弾性縁部28が熱融着により一体化されている。回転板23の中央部には三角形の取付孔23aが形成され、該取付孔23aを挟んで両側には長孔からなる位置決め孔23bが形成されている。回転板23の表面には、掻出板29が一体に設けられている。掻出板29は、ステンレス等の板状体を折り曲げて掻出部29aと仕切部29bを形成したものである。掻出部29aの先端にはシリコン等の弾性片29cが一体化されている。仕切部29bの外縁の一部は散薬収容部材8の環状溝8aに沿う円弧状に形成されている。
【0029】
取付基板24は、
図6(b)に示すように、ステンレス鋼製の円板からなり、外周の180度離れた位置に位置決めリブ24aが形成され、中心にねじ貫通孔24b、中心から所定距離離れた位置に4つのねじ貫通孔24cが設けられている。取付基板24の回転板側の面には、回転板23の取付孔23aと係合する三角錐状の突出部30がその雄ねじ30aをねじ貫通孔24bに挿通してナット31により取り付けられている。突出部30の両側の対称位置には、回転板23の位置決め孔23bに係合する円錐状の装着ピン32が取り付けられている。装着ピン32は、取付基板24の外周縁の180度離れた位置に形成された切欠き24dに半径方向にスライド可能に収容され、ばね33により半径方向外側に付勢されている。取付基板24の切欠き24dはねじ34で取り付けられた止め板35で覆われている。止め板35には、位置決め突起36aを有する位置決め板36が重ねて取り付けられている。
【0030】
従動部材25は、円板部25aと、円板部25aの外周縁より回転板側に突出する円筒部25bとからなり、取付基板24の位置決めリブ24a及び位置決め突起36aの内側に係合する大きさを有している。円板部25aの中央には、回転軸21が貫通する中央孔25cが形成されている。円板部25aの回転板側には、
図5に示すように、中心から所定距離離れた位置に4つのボス25dが突設され、各ボス25dには、取付基板24のねじ貫通孔24cと対応する位置に4つのねじ孔25eが形成されている。円筒部25bの内側には、駆動部材22が収容されるようになっている。円筒部25bの内側には、4つの突部25fが設けられ、各突部25fに駆動部材22の各ばね受け穴22fと対向する位置にばね収容凹部25gが形成されている。
【0031】
弾性部材26は、コイルばねからなり、一端は駆動部材22のばね受け穴22fに挿入支持され、他端はフランジ付きピン37を介して従動部材25のばね収容凹部25gに挿入支持されて、圧縮状態で装着されている。前記弾性部材26は、
図7に示すように、回転軸21を中心とする仮想円Cの接線方向に伸縮可能になっている。なお、弾性部材26の伸縮方向は、接線方向から多少ずれていてもよく、要は半径方向と異なる方向であればよい。
【0032】
取付基板24と従動部材25は、固定ねじ38を取付基板24のねじ貫通孔24cに挿入して従動部材25のねじ孔25eにねじ込むことで、一体に固定される。回転板23は、取付穴23aに取付基板24の三角錐状の突出部30を係合し、位置決め孔23bに取付基板24の装着ピン32を係合することで取り付けられる。これにより、回転板23、取付基板24、及び従動部材25は一体回転可能となる。また、回転軸側部材と回転板側部材は、
図8に示すように、駆動部材22が取付基板24と従動部材25の間に挟まれることにより、軸方向に移動不能になっている。
【0033】
図2に戻ると、包装部4は、ペーパロール40から繰り出されて2つ折りされる包装紙41に、散薬掻出部3から掻き出された散薬を包装ホッパ42を介して受け入れ、ヒータローラ43a、43bにより1包ずつシールして排出するように構成されている。
【0034】
次に、前記構成からなる散薬掻出装置1の動作について説明する。
【0035】
まず、散薬収容部材8の環状溝8aに散薬を均等に供給された状態で、散薬掻出装置9の昇降モータ15によりアーム12を下降させて回転板23を環状溝8aに圧接させることにより環状溝8a内の散薬を分離する。続いて、散薬収容部材8を所定角度回転させ、回転板23よって散薬を掻き寄せる。
【0036】
次に、散薬掻出装置9の回転モータ14により、回転軸21を駆動すると、回転軸21と一体に駆動部材22が回転する。
図7に示すように、駆動部材22の突出部22bの両側に位置する2つの弾性部材26のうち、回転方向前側の弾性部材26は圧縮されて従動部材25の突部25fを押し、回転方向後側の弾性部材26は引っ張られて従動部材25の突部25fを引き寄せる。この結果、駆動部材22の回転力は弾性部材26を介して従動部材25に伝達されるので、従動部材25が回転する。従動部材25の回転により、取付基板24及び回転板23が回転する。
【0037】
回転板23が回転すると、回転板23と掻出板29の仕切部29bとの間の散薬が掻出部29aによって散薬収容部材8の環状溝8aから包装ホッパ42に掻き出され、包装部4にて1包分に包装される。
【0038】
散薬収容部材8の環状溝8aの断面の曲率中心は、回転板23の中心と一致していないと、回転板23と環状溝8aに隙間や片当たりが生じて散薬の掻き残しが生じたり、回転板23が環状溝8aに圧接して回転板23の回転力が低下する等の問題が生じる。このため、散薬掻出装置1を作動させる前に、散薬掻出装置9の基台11や散薬収容部材8の位置を調整して、回転板23の回転中心を環状溝8aの曲率中心に一致させる芯合わせ作業が必要となる。本実施形態では、軸側部材と板側部材の間に弾性部材26を装着しているので、芯合わせ作業により回転板23の回転中心を環状溝8aの曲率中心に正確に一致させなくても、回転板23の回転中心が環状溝8aの曲率中心に自動的に調心される。
【0039】
すなわち、
図7に示すように、回転板23と回転板側部材である従動部材25との回転中心が、環状溝8aの曲率中心からずれている場合、回転板23が回転する間に、環状溝8aに回転板23が接することで弾性部材26が変形して、回転板23と一体に回転する従動部材25が回転軸21に対して弾性的に移動し、回転板23の中心が環状溝8aの曲率中心と一致して調心される。この場合、回転板23は回転軸21に対して偏心して回転することになる。回転板23の中心が環状溝8aの曲率中心に自動的に調心されるため、散薬収容部材8の環状溝8aと散薬掻出装置9の芯合わせ作業を簡素化することができるとともに、分包量のばらつきや、掻き残しが無くなる。本実施形態では、弾性部材26が回転軸21を中心とする仮想円Cの接線方向に配置されているので、回転板23は回転軸21によく追従する。
【0040】
<第2実施形態>
図9は、本発明の第2実施形態に係る散薬掻出装置の回転部材13aの分解斜視図である。
【0041】
回転部材13aは、回転軸21と、回転軸側部材である第1駆動部材51及び第2駆動部材52と、回転板23と、回転板側部材である取付基板24及び従動部材53と、回転軸側部材と回転板側部材との間に介在する弾性部材54とからなっている。このうち、回転軸21と回転板23は、第1実施形態と実質的に同一であるので、対応する部分には同一符号を附して説明を省略する。
【0042】
第1駆動部材51は、円形の板からなり、中心に回転軸21の回転板側端面と対応するD形の係合凹部51aが形成され、回転軸21の回転板側端面のねじ孔21aと対応する位置に貫通孔51bが形成されている。第1駆動板51の中心から所定距離離れた位置には、4つのねじ挿通孔51cが形成されている。
【0043】
第2駆動部材52は、第1駆動部材51とほぼ同径の環状形状を有する。第2駆動部材52の回転軸側の面には、周4等配位置にばね受け凹部52aが形成され、またばね受け凹部52aの間の周4等配位置に第1駆動部材51のねじ挿通孔51cと対応する位置に4つのねじ孔52bが形成されている。第2駆動部材52の外周には、係合部52cが形成されている。
【0044】
回転軸21と第1駆動部材51は、回転軸21の回転板側端面を駆動部材51の係合凹部51aに係合し、固定ねじ27を第1駆動部材51の貫通孔51bに通して駆動軸21のねじ孔21aにねじ込むことで、一体に固定される。また、第1駆動部材51と第2駆動部材52は、第1駆動部材51のねじ挿通孔51cに固定ねじ55を挿通して第2駆動部材52のねじ孔52bにねじ込むことで一体に固定される。
【0045】
取付基板24は、中心から所定距離離れた位置に4つのばね受けブロック56がねじ57により固定して取り付けられること、4つのねじ貫通孔24cが外周寄りに設けられていること以外は、第1実施形態と同様の構造を有している。ばね受けブロック56には、第2駆動部材52のばね受け凹部52aと対向する部分にばね受け穴56aが形成されている。
【0046】
従動部材53は、第1駆動部材51及び第2駆動部材52より大径の環状形状を有する。従動部材53には、周4等配位置にねじ孔53aが形成されている。従動部材53の内周には、第2駆動部材52の係合部52cが係合する被係合部53bが形成されている。
【0047】
取付基板24と従動部材53は、固定ねじ38を取付基板24のねじ貫通孔24cに挿入して従動部材53のねじ孔53aにねじ込むことで、一体に固定される。回転板23は、第1実施形態と同様に、取付基板24に取り付けられる。これにより、回転板23、取付基板24、及び従動部材53は一体回転可能となる。また、回転軸側部材と回転板側部材は、
図12に示すように、第2駆動部材52の係合部52と従動部材53の被係合部53bが係合することにより、軸方向に移動不能になっている。
【0048】
弾性部材54は、コイルばねからなり、一端は取付基板24のばね受けブロック56のばね受け穴56aに挿入支持され、他端はフランジ付きピン58を介して第2駆動部材52のばね受け凹部52aに挿入支持されて、半径方向に圧縮状態で装着されている。
【0049】
第2実施形態の回転部材13aでは、回転軸21と一体に第1駆動部材51と第2駆動部材52が回転する。第2駆動部材52が回転すると、弾性部材54が取付基板24のばね受けブロック56に対して周方向に変位する結果、第2駆動部材52の回転力が弾性部材54を介してばね受けブロック56から取付基板24に伝達されて、回転板23が回転する。
【0050】
第2実施形態の回転部材13aにおいても、第1実施形態と同様に、
図11に示すように、回転板側部材である取付基板24の回転中心が、環状溝8aの曲率中心からずれている場合、回転板23が回転する間に、弾性部材54が変形して、回転板23と一体に回転する取付基板24が回転軸21に対して弾性的に移動し、回転板23の中心が環状溝8aの曲率中心と一致して調心される。このため、散薬収容部材の環状溝8aと散薬掻出装置9の芯合わせ作業を簡素化することができるとともに、分包量のばらつきや、掻き残しが無くなる。
【0051】
<第3実施形態>
図13は、本発明の第3実施形態に係る散薬掻出装置の回転部材13bの分解斜視図である。
【0052】
回転部材13bは、回転軸21と、回転軸側部材である第1駆動部材61、第2駆動部材62及び固定板63と、回転板23と、回転板側部材である取付基板24及び従動部材64と、回転軸側部材と回転板側部材との間に介在する弾性部材65とからなっている。このうち、回転軸21、回転板23及び取付基板24は、第1実施形態と実質的に同一であるので、対応する部分には同一符号を附して説明を省略する。
【0053】
第1駆動部材61は、円形の板からなり、中心に回転軸21の回転板側端面と対応するD形の係合凹部61aが形成され、回転軸21の回転板側端面のねじ孔21aと対応する位置に貫通孔61bが形成されている。第1駆動板61の中心から所定距離離れた位置には、2つのねじ挿通孔61cが形成されている。第1駆動部材61の回転板側の面の中央には円形突部61dが形成され、外周には回転板側に突出する環状縁61eが形成されている。
【0054】
第2駆動部材62は、円形の板からなり、中心に開口部62aが形成され、中心から所定距離離れた位置に第1駆動部材61のねじ挿通孔61cと対応する位置にねじ挿通孔62bが形成されている。第2駆動部材62の回転軸側の面には、第1駆動部材61の円形突部61dが嵌合する環状突部62cが形成され、回転板側の面には、円形凹部62dが形成されている。
【0055】
固定板63は、円形の板からなり、中心に開口部63aが形成され、中心から所定距離離れた位置に、第1駆動部材61と第2駆動部材62のねじ挿通孔61c、62bと対応する位置にねじ孔63bが形成されている。なお、開口部63cは、取付基板24のねじ34が固定板23と干渉するのを防止している。
【0056】
回転軸21と第1駆動部材61は、回転軸21の回転板側端面を第1駆動部材61の係合凹部61aに係合し、固定ねじ27を第1駆動部材61の貫通孔61bに通して回転軸21のねじ孔21aにねじ込むことで、一体に固定される。また、第1駆動部材61と第2駆動部材62は、第2駆動部材62の環状突部62cを第1駆動板61の円形突部61dに嵌合し、第2駆動部材62の円形凹部62dに固定板63を嵌合して、第1駆動部材61と第2駆動部材62の各ねじ挿通孔61c、62bに固定ねじ66を挿通して固定板63のねじ孔63bにねじ込むことで一体に固定される。
【0057】
従動部材64は、第2駆動部材62より大径の環状形状を有する。従動部材64には、周4等配位置にねじ孔64aが形成されている。従動部材64の内周には、第2駆動部材62の外周縁に係合する係合部64bが形成されている。
【0058】
取付基板24と従動部材64は、固定ねじ38を取付基板24のねじ貫通孔24cに挿入して従動部材64のねじ孔64aにねじ込むことで、一体に固定される。回転板23は、第1実施形態と同様に、取付基板24に取り付けられる。これにより、回転板23、取付基板24、及び従動部材64は一体回転可能となる。また、回転軸側部材と回転板側部材は、
図16に示すように、第2駆動部材62の外周縁と従動部材64の係合部64bが係合することにより、軸方向に移動不能になっている。
【0059】
弾性部材65は、環状のゴム材料からなり、内周面は、第2駆動部材62の環状突部62cの外周面に接着剤等で固着され、外周面は、従動部材64の内周面に接着剤等で固着されて装着されている。
【0060】
第3実施形態の回転部材13bでは、回転軸21と一体に第1駆動部材62と第2駆動部材62が回転する。第2駆動部材62が回転すると、弾性部材65が従動部材64に対して周方向に変位する結果、第2駆動部材62の回転力が弾性部材65を介して従動部材64に伝達され、取付基板24と回転板23が回転する。
【0061】
第3実施形態の回転部材13bにおいても、第1実施形態と同様に、
図15に示すように、回転板側部材である取付基板24の回転中心が、環状溝8aの曲率中心からずれている場合、回転板23が回転する間に、弾性部材65が変形して、回転板23と一体に回転する取付基板24が回転軸21に対して弾性的に移動し、回転板23の中心が環状溝8aの曲率中心と一致して調心される。このため、散薬収容部材8の環状溝8aと散薬掻出装置9の芯合わせ作業を簡素化することができるとともに、分包量のばらつきや、掻き残しが無くなる。
【0062】
本発明は、前記実施形態に限るものではなく、発明の要旨を変更することなく、変形や修正が可能である。例えば、弾性部材は、回転軸側部材と回転板側部材の間に設けられていればよく、その取付位置は任意に変更することができ、また弾性部材の具体的形態もコイルばねやゴムには限らず、板ばねや捩じりばねであってもよい。特に、弾性部材は、回転軸側部材と回転板側部材の間ではなく、直接、回転板と回転軸の間に設けてもよい。例えば、コイルばねからなる弾性部材を軸方向に配置して、一端を回転軸に固定し、他端を回転板に固定してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 散薬包装装置
8 散薬収容部材
8a 環状溝
9 散薬掻出装置
13、13a、13b 回転部材
21 回転軸
22 駆動部材(軸側部材)
23 回転板
24 取付基板(板側部材)
25 従動部材(板側部材)
26 弾性部材
29 掻出板
51 第1駆動部材(軸側部材)
52 第2駆動部材(軸側部材)
52c 係合部
53 従動部材(板側部材)
53b 被係合部
54 弾性部材
61 第1駆動部材(軸側部材)
62 第2駆動部材(軸側部材)
63 固定板(軸側部材)
64 従動部材(板側部材)
64b 係合部
65 弾性部材