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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139616
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】圧力センサおよびセンサシステム
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/04 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
G01L9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040088
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】笹原 哲也
(72)【発明者】
【氏名】海野 健
(72)【発明者】
【氏名】小林 正典
(72)【発明者】
【氏名】縄岡 孝平
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC02
2F055DD01
2F055DD09
2F055EE13
2F055FF49
2F055GG31
(57)【要約】
【課題】検出回路に供給される電力の状態を容易に検出することが可能な圧力センサおよびセンサシステムを提供すること。
【解決手段】圧力センサ10は、圧力に応じた変形を生じるメンブレン22と、メンブレン22上に形成され、検出回路30を構成する複数のセンサ抵抗体R1~R4と、メンブレン22上に形成され、検出回路30に供給される電力の状態を検出するための検出抵抗体Rsと、を有し、検出抵抗体Rsの一端は検出回路30に電気的に接続され、検出抵抗体Rsの他端はメンブレン22上に形成された第5電極部45に電気的に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力に応じた変形を生じるメンブレンと、
前記メンブレン上に形成され、検出回路を構成する複数のセンサ抵抗体と、
前記メンブレン上に形成され、一端が前記検出回路に電気的に接続され、他端が前記メンブレン上に形成された電極部に電気的に接続されている検出抵抗体と、を備える圧力センサ。
【請求項2】
前記検出抵抗体の一端は、前記検出回路に電力を供給する電源と前記検出回路との間の導電経路に電気的に接続されている請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記検出抵抗体は複数からなり、
前記電極部は複数からなり、
複数の前記検出抵抗体の各々の他端に、複数の前記電極部の各々が電気的に接続されている請求項1または2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の圧力センサを複数有するセンサシステムであって、
複数の前記圧力センサの各々に具備された前記検出回路は、共通の電源に電気的に接続され、
複数の前記圧力センサの各々に具備された前記検出抵抗体の他端に電気的に接続された前記電極部は、互いに電気的に接続されているセンサシステム。
【請求項5】
複数の前記圧力センサの各々に具備された前記検出抵抗体は、互いに抵抗値が異なる複数の前記検出抵抗体からなる請求項4に記載のセンサシステム。
【請求項6】
複数の前記圧力センサの各々に具備された前記検出抵抗体の抵抗値は、略一定の割合で異なる値となるように段階的に設定されている請求項4または5に記載のセンサシステム。
【請求項7】
複数の前記圧力センサの各々には、互いに抵抗値が異なる複数の前記検出抵抗体が具備されており、
複数の前記圧力センサ間において、複数の前記圧力センサの各々に具備されたいずれか1つの前記検出抵抗体の他端に電気的に接続された前記電極部が、互いに電気的に接続されている請求項4~6のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項8】
複数の前記圧力センサの各々に具備された前記検出抵抗体の他端にはダイオードが電気的に接続されており、
前記ダイオードを介して、複数の前記圧力センサの各々に具備された前記検出抵抗体の他端に電気的に接続された前記電極部は、互いに電気的に接続されている請求項4~7のいずれかに記載のセンサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンブレンの変形による歪を抵抗変化により検出する圧力センサおよび当該圧力センサを複数有するセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、圧抵抗効果(ピエゾ抵抗効果)を利用した圧力センサに関し、各種技術が提案されている。この種の圧力センサには、例えば、ステムと呼ばれる金属製の受圧部材が具備されており、ステムの一部には外部からの力(圧力)に応じて変形を生じるメンブレンが形成されている。メンブレンの上には、その変形に応じて電気抵抗が変化する複数の抵抗体が設けられており、これら複数の抵抗体により検出回路(ブリッジ回路)が形成されている。各抵抗体の電気抵抗が変化すると、その変化量に応じた電気信号が検出回路から出力され、その出力を検出することにより、各抵抗体の電気抵抗の変化を計測するとともに、その計測値に基づいてメンブレンに加わる圧力を算出することが可能となっている。
【0003】
ところで、検出回路には電力を供給するための電源が接続されており、電源から供給される電力は例えばスイッチ等によって制御される。スイッチ等の故障、あるいはスイッチ等と検出回路とを接続するワイヤボンディングに断線等が生じた場合、検出回路に正常な電力を供給することが困難となり、圧力センサの正常な動作に支障が生じる。そのため、圧力センサには、検出回路に供給される電力の状態を検出するための手段を設けておくことが好ましい。
【0004】
近年では、より高精度な計測を可能とするために、複数の圧力センサを用いてセンサシステムを構築し、各圧力センサからの出力に基づいて、メンブレンに加わる圧力を算出する技術が提案されている(特許文献1参照)。このようなセンサシステムでは、各圧力センサを駆動させるために、例えば、複数の圧力センサの各々の検出回路を共通電源に接続するとともに、各検出回路にスイッチを接続し、各スイッチにより、共通電源から各検出回路に供給される電力を制御することが想定される。この場合、各圧力センサにおいて、上述したスイッチ等の故障、あるいはワイヤボンディングの断線等が生じるおそれがあり、センサシステムには、各検出回路に供給される電力の状態を検出するための手段を設けておくことが好ましい。しかしながら、このような手段は、回路構成や制御が複雑になるおそれがあり、容易とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-543093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、検出回路に供給される電力の状態を容易に検出することが可能な圧力センサおよびセンサシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る圧力センサは、
圧力に応じた変形を生じるメンブレンと、
前記メンブレン上に形成され、検出回路を構成する複数のセンサ抵抗体と、
前記メンブレン上に形成され、一端が前記検出回路に電気的に接続され、他端が前記メンブレン上に形成された電極部に電気的に接続されている検出抵抗体と、を備える。
【0008】
本発明に係る圧力センサは、一端が検出回路に電気的に接続され、他端がメンブレン上に形成された電極部に電気的に接続されている検出抵抗体を備える。そのため、電極部を介して、検出抵抗体に流れる電流等を検出することにより、その検出値に基づいて、検出回路に供給される電力の状態を容易に検出することができる。
【0009】
また、本発明に係る圧力センサでは、検出抵抗体はメンブレン上に形成されるため、メンブレンとは異なる位置に検出抵抗体を形成する場合に比べて、装置構成の複雑化を回避することができる。また、検出抵抗体をメンブレン上に形成する技術としては、例えば、検出回路を構成する複数のセンサ抵抗体をメンブレン上に形成する技術と同様の技術を用いることが可能であるが、この場合、センサ抵抗体と同程度の精度で検出抵抗体を形成することができるだけでなく、検出抵抗体の形状あるいは形成位置等を比較的自由に設定することができる。したがって、シンプルな構成により、検出抵抗体の検出値に基づいて、検出回路に供給される電力の状態を高精度で検出することができる。
【0010】
好ましくは、前記検出抵抗体の一端は、前記検出回路に電力を供給する電源と前記検出回路との間の導電経路に電気的に接続されている。このような構成とすることにより、検出回路に供給される電力の状態に異常が生じた場合に、その異常が、電源から検出回路への電力供給ラインにおける異常に起因するものか否かを容易に特定することができる。
【0011】
好ましくは、前記検出抵抗体は複数からなり、前記電極部は複数からなり、複数の前記検出抵抗体の各々の他端に、複数の前記電極部の各々が電気的に接続されている。このような構成とすることにより、各検出抵抗体の他端に電気的に接続された各電極部を介して、各検出抵抗体に流れる電流等を検出することが可能となる。そのため、断線等の影響により、いずれかの電極部に電気的に接続された検出抵抗体に流れる電流等を検出することが不能となったとしても、他の電極部に電気的に接続された検出抵抗体に流れる電流等の検出については引き続き行うことが可能であり、検出回路に供給される電力の状態を検出する手段の可用性を高めることができる。また、複数の検出抵抗体に電流を分散させて流すことが可能となり、各検出抵抗体の耐久性を向上させることができる。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係るセンサシステムは、
上述したいずれかの圧力センサを複数有するセンサシステムであって、
複数の前記圧力センサの各々に具備された前記検出回路は、共通の電源に電気的に接続され、
複数の前記圧力センサの各々に具備された前記検出抵抗体の他端に電気的に接続された前記電極部は、互いに電気的に接続されているセンサシステム。
【0013】
本発明に係るセンサシステムでは、複数の圧力センサの各々に具備された検出回路は、共通の電源に電気的に接続されており、複数の圧力センサの各々には、共通の電源から電力が供給される。また、複数の圧力センサの各々に具備された検出抵抗体の他端に電気的に接続された電極部は、互いに電気的に接続されており、この接続点を介して、各検出抵抗体に流れる電流等の総和が出力される。したがって、いずれかの検出回路に供給される電力の状態に異常が生じた場合、この接続点から出力される各検出抵抗体に流れる電流等の総和が変動することになり、この変動幅に基づいて、各検出回路に供給される電力の状態を容易に検出することができる。
【0014】
好ましくは、複数の前記圧力センサの各々に具備された前記検出抵抗体は、互いに抵抗値が異なる複数の前記検出抵抗体からなる。このような構成とした場合、いずれかの検出回路に供給される電力の状態に異常が生じたとき、上述した接続点から出力される各検出抵抗体に流れる電流等の総和の変動幅は、当該検出回路に接続された検出抵抗体の抵抗値に応じた固有の値となる。したたって、この固有の値に基づいて、いずれの検出回路に供給される電力の状態に異常が生じたのかを容易に特定することができる。
【0015】
好ましくは、複数の前記圧力センサの各々に具備された前記検出抵抗体の抵抗値は、略一定の割合で異なる値となるように段階的に設定されている。センサシステムにn(nは自然数)個の検出回路が具備されている場合、供給される電力の状態に異常が生じる検出回路の組み合わせは種々想定される。上記のような構成とすることにより、各組み合わせにおいて、上述した接続点から出力される各検出抵抗体に流れる電流等の総和が重複した値をとることを防止することが可能となり、いずれの検出回路に供給される電力の状態に異常が生じたのかを高精度で特定することができる。
【0016】
複数の前記圧力センサの各々には、互いに抵抗値が異なる複数の前記検出抵抗体が具備されており、複数の前記圧力センサ間において、複数の前記圧力センサの各々に具備されたいずれか1つの前記検出抵抗体の他端に電気的に接続された前記電極部が、互いに電気的に接続されていてもよい。このように、予め、各圧力センサに複数の検出抵抗体を具備させておくことにより、使用状況に応じて、複数の検出抵抗体の中から所望の抵抗値を有する検出抵抗体を適宜選択し使用することができる。
【0017】
好ましくは、複数の前記圧力センサの各々に具備された前記検出抵抗体の他端にはダイオードが電気的に接続されており、前記ダイオードを介して、複数の前記圧力センサの各々に具備された前記検出抵抗体の他端に電気的に接続された前記電極部は、互いに電気的に接続されている。このような構成とすることにより、いずれかの検出回路に供給される電力の状態に異常が生じたとき、当該検出回路へ他の検出回路から電流が流れ込むことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る圧力センサの概略断面図である。
図2図2は、図1に示すメンブレン上に形成される検出回路および電力状態検出部を示す概略平面図である。
図3図3は、図2に示す検出回路および電力状態検出部の等価回路図である。
図4A図4Aは、図3に示す検出回路および電力状態検出部を有する圧力センサを複数接続してなるセンサシステムの構成を示す回路図である。
図4B図4Bは、図4Aに示すセンサシステムにおいて、任意の1つの検出回路に供給される電力を制御するスイッチに異常が生じ、スイッチが意図せずOFFとなったときの状態を示す回路図である。
図4C図4Cは、図4Aに示すセンサシステムにおいて、任意の2つの検出回路の各々に供給される電力を制御する各スイッチに異常が生じ、各スイッチが意図せずOFFとなったときの状態を示す回路図である。
図4D図4Dは、図4Aに示す回路において、任意の1つの検出回路に供給される電力を制御するスイッチと当該検出回路とを接続するワイヤボンディングに異常が生じたときの状態を示す回路図である。
図5図5は、図4Aに示す電力状態検出部の変形例を示す回路図である。
図6図6は、表1に示す各パターンにおけるIsの値を示すグラフである。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係る圧力センサを複数接続してなるセンサシステムの構成を示す回路図である。
図8図8は、本発明の第3実施形態に係る圧力センサの検出回路および電力状態検出部を示す概略平面図である。
図9図9は、図8に示す検出回路および電力状態検出部の等価回路図である。
図10図10は、本発明の第4実施形態に係る圧力センサを複数接続してなるセンサシステムの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0020】
第1実施形態
図1に示すように、圧力センサ10は、圧力に応じた変形を生じるメンブレン22を有する。図1に示す例では、ステム20の上底が、メンブレン22になっている。圧力センサ10は、メンブレン22を有するステム20の他に、ステム20へ圧力を伝える流路12bが形成されている接続部材12、接続部材12に対してステム20を固定する抑え部材14、メンブレン22上の電極部41~45(図2参照)等に対して配線される基板部81等を有する。
【0021】
接続部材12の外周には、圧力センサ10を測定対象に対して固定するためのねじ溝12aが形成されている。ねじ溝12aを介して圧力センサ10を測定対象に固定することにより、接続部材12の内部に形成されている流路12bを、測定対象である圧力室に対して気密に連通することが可能となっている。
【0022】
ステム20は、有底(上底)筒状の外形状を有しており、接続部材12における流路12bの一方の端部に設けられる。ステム20は、例えばステンレス等の金属や合金を機械加工することにより作製される。ステム20の材質は、適切な弾性変形を生じるものであれば特に限定されない。ステム20の開口部側にはフランジ部21が設けられており、ステム20は、抑え部材14と接続部材12との間にフランジ部21が挟み込まれることにより、接続部材12に対して固定される。ステム20の開口部と接続部材12の流路12bとは、抑え部材14を用いて気密に連結されており、測定対象の圧力が、ステム20のメンブレン22に伝えられる。
【0023】
ステム20の上底であるメンブレン22は、側壁20a(図2参照)等、ステム20における他の部分に比べて肉薄になっており、流路12bから伝えられる圧力に応じた変形を生じる。メンブレン22は、圧力流体に接触する内面22aと、内面22aとは反対側の外面22bとを有しており、メンブレン22の外面22b側には、後述する検出回路30や、電極部41~45(図2参照)等が設けられる。
【0024】
抑え部材14には、基板部81が固定されている。基板部81は、メンブレン22の外面22bに形成された検出回路30および電極部41~45等に対して、電気的に接続される配線や電極部等を有する。基板部81の電極部とメンブレン22上の電極部41~45とは、ワイヤボンディング等により形成される接続配線82等を介して、電気的に接続されている。基板部81はリング状の外形状を有しており、ステム20は、基板部81の中央に形成される貫通穴を挿通している。
【0025】
図2において、その上部に示す図は、ステム20の模式断面図であり、その下部に示す図は、メンブレン22の外面22b側である上方側からステム20を見た概略平面図である。図2に示すように、メンブレン22には、所定方向の歪特性を生じる第1歪領域24と、第1歪領域24とは逆方向の歪特性を生じる第2歪領域26とが形成される。メンブレン22の第1歪領域24は、内面22aからの圧力(正圧)を受けて、負方向の歪-ε(圧縮歪)を生じるのに対して、メンブレン22の第2歪領域26は、内面22aからの圧力(正圧)を受けて、正方向の歪+ε(引張歪)を生じる。このように、第1歪位置24上における歪特性と、第2歪位置26上における歪特性は、互いに異なる方向(符号が異なり打ち消しあう関係)であることが好ましい。
【0026】
図2の上部に示すように、第1歪領域24および第2歪領域26は、それぞれメンブレン22の中心Oの周囲に同心円上に形成され、第1歪領域24を示す円周の半径は、第2歪領域26を示す円周の半径よりも大きくなっている。第2歪領域26は、メンブレン22の中心Oから径方向に所定距離だけ離れた位置に位置し、メンブレン22の中心部に形成されている。第1歪領域24は、第2歪領域26の外側(外周側)に形成され、第2歪領域26からメンブレン22の径方向に所定距離だけ離れた位置に位置する。メンブレン22の外縁部23は、ステム20の側壁20aに接続している。
【0027】
メンブレン22の上面には、第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体R4が形成されている。第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体R4は、圧力検出素子であり、メンブレン22の変形に応じた歪を生じ、その歪み量に応じてピエゾ抵抗効果により抵抗値が変化するように構成されている。
【0028】
第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体R4は、例えば、所定の材料からなる導電性の薄膜(半導体薄膜あるいは金属薄膜等)を例えばミアンダ形状にパターニングすることにより作製される。導電性薄膜のパターニングは、レーザー加工やスクリーン印刷のような半導体加工技術による微細加工等により行われる。導電性薄膜は、スパッタリングや蒸着等の薄膜法により、メンブレン22の上に絶縁膜を挟んで形成される。ただし、メンブレン22がアルミナ等の絶縁材料からなり、メンブレン22の外面22bが絶縁性を有する場合には、絶縁膜を形成することなく、メンブレン22の外面22bに直接に導電性薄膜を形成してもよい。導電性薄膜としては、例えばCrとAlとを含む歪抵抗膜が例示される。
【0029】
第1センサ抵抗体R1と第3センサ抵抗体R3とは、第1歪領域24に形成されており、メンブレン22の中心Oを挟んで対向して配置されている。第2センサ抵抗体R2と第4センサ抵抗体R4とは、第2歪領域26に形成されており、メンブレン22の中心Oを挟んで対向して配置されている。第1センサ抵抗体R1と第3センサ抵抗体R3とが向かい合う方向と、第2センサ抵抗体R2と第4センサ抵抗体R4とが向かい合う方向とは略直交している。なお、第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体R4の配置は、図示の配置に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0030】
第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体R4は、検出回路30を構成している。検出回路30は、メンブレン22の上面に、第1歪領域24と第2歪領域26とに跨るように形成されており、円環状(楕円環状)からなる外形状を有する。検出回路30は、ブリッジ回路であり、本実施形態ではホイートストンブリッジを構成している。ただし、検出回路30の構成は図示の構成に限定されるものではなく、検出回路30は他のブリッジ回路を構成してもよい。以下、検出回路30の構成について説明する。
【0031】
検出回路30において、第1センサ抵抗体R1と第2センサ抵抗体R2とは第1接続点51を介して接続され、第1センサ抵抗体R1と第4センサ抵抗体R4とは第2接続点52を介して接続され、第3センサ抵抗体R3と第4センサ抵抗体R4とは第3接続点53を介して接続され、第2センサ抵抗体R2と第3センサ抵抗体R3とは第4接続点54を介して接続されている。すなわち、第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体R4は、第1接続点51~第4接続点54を介して、互いに電気的および物理的に接続されている。
【0032】
第1接続点51は第1電極部41に電気的に接続されており、第2接続点52は第2電極部42に電気的に接続されており、第3接続点53は第3電極部43に電気的に接続されており、第4接続点54は第4電極部44に電気的に接続されている。
【0033】
第1電極部41~第4電極部44は、例えば、第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体R4と同様の方法により、所定の材料からなる導電性の薄膜(半導体薄膜あるいは金属薄膜等)を所定の形状にパターニングすることにより作製される。第1電極部41~第4電極部44の各々は、メンブレン22の外縁部23に形成されているが、第1電極部41~第4電極部44の位置は図示の位置に限定されず、例えば第1歪領域24と外縁部23との間の任意の位置に形成されていてもよい。
【0034】
第1接続点51~第4接続点54の各々と第1電極部41~第4電極部44の各々との間は、上述した所定の形状にパターニングされた導電性の薄膜で連続して接続されている。ただし、第1接続点51~第4接続点54の各々と第1電極部41~第4電極部44の各々とは、例えばワイヤボンディング等により接続されていてもよい。以下、図3を参照しつつ、第1電極部41~第4電極部44の詳細について説明する。なお、図3では、理解を容易にするために、図2に示す第1電極部41~第4電極部44を仮想的に示している。
【0035】
図3に示すように、第2電極部42は、電源端子として機能し、電源VDDに電気的に接続されている。すなわち、検出回路30には、第2電極部42を介して、電源VDDから電力(バイアス電圧)が供給される。第2電極部42は、図1に示す接続配線82等を介して、基板部81上の電極部(あるいは配線)に接続されている。この基板部81上の電極部(あるいは配線)は電源VDDに電気的に接続されており、これにより電源VDDと第2電極部42とが導通するようになっている。
【0036】
第4電極部44は、接地端子として機能し、GNDに電気的に接続されている。第4電極部44は、図1に示す接続配線82等を介して、基板部81上の電極部(あるいは配線)に電気的に接続されている。第2接続点52と第4接続点54との間の電位差は、電源電圧と等しくなっている。
【0037】
第1電極部41は、第1の出力端子として機能し、第1電極部41を介して、第1接続点51における電圧V+が第1の検出信号として出力される。第1電極部41は、図1に示す接続配線82等を介して、基板部81上の電極部(あるいは配線)に接続されている。
【0038】
第3電極部43は、第2の出力端子として機能し、第3電極部43を介して、第3接続点53における電圧V-が第2の検出信号として出力される。第3電極部43は、図1に示す接続配線82等を介して、基板部81上の電極部(あるいは配線)に接続されている。
【0039】
第1電極部41から出力される第1の検出信号の電圧値V+と第3電極部43から出力される第2の検出信号の電圧値V-とを、例えば利得Aを有する差動増幅器を利用して増幅することにより、検出回路30から出力電圧Vを取得し、出力電圧Vに基づいて、メンブレン22に作用する流体圧を検出することが可能となっている。
【0040】
図2に示すように、本実施形態では、検出回路30には、電力状態検出部60が具備されている。電力状態検出部60は、検出回路30に供給される電力の状態を検出する役割を果たす。すなわち、電力状態検出部60では、第2電極部42を介して電源VDDから検出回路30に供給される電力の状態に異常が生じていないかを検出することが可能となっている。以下、電力状態検出部60の構成について説明する。
【0041】
電力状態検出部60は、検出抵抗体Rsを有する。検出抵抗体Rsは、検出回路30に供給される電力の状態を検出するための抵抗体であり、メンブレン22上に形成されている。検出抵抗体Rsは、メンブレン22上において、検出回路30から分岐して延び、検出回路30から離間した位置に形成されている。
【0042】
検出抵抗体Rsは、例えば、第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体R4と同様の方法により、所定の材料からなる導電性の薄膜(半導体薄膜あるいは金属薄膜等)を所定の形状にパターニングすることにより作製される。検出抵抗体Rsを形成する導電性薄膜に用いられる材料は、第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体R4を形成する導電性薄膜に用いられる材料と同様であってもよい。この場合、第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体R4と同程度の精度で検出抵抗体Rsを形成することができる。あるいは、検出抵抗体Rsは、第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体R4を形成する導電性薄膜に用いられる材料よりも電気抵抗が大きい材料で形成されていてもよい。
【0043】
検出抵抗体Rsの一端と検出回路30とは、上述したパターニングされた導電性の薄膜で連続的に接続されている。ただし、検出抵抗体Rsの一端と検出回路30とは、ワイヤボンディング等により接続されていてもよい。
【0044】
このように、検出抵抗体Rsをメンブレン22上にパターンで形成することにより、検出抵抗体Rsの形状あるいは形成位置等を比較的自由に設定することができる。
【0045】
検出抵抗体Rsは、メンブレン22の上面において、歪が小さい領域に形成されることが好ましい。本実施形態では、検出抵抗体Rsは、歪の小さい領域として、メンブレン22の外縁部23に形成されている。このような配置とすることにより、メンブレン22に発生する歪の影響により、検出抵抗体Rsの抵抗値が変化することを防止し、検出回路30に供給される電力の状態を高い精度(検出感度)で検出することが可能となる。検出抵抗体Rsは、メンブレン22の外縁部23に沿うように、メンブレン22の周方向に沿って延在していてもよい。
【0046】
なお、検出抵抗体Rsの抵抗値は多少変動しても構わないため、検出抵抗体Rsの配置は、図示の位置に限定されず適宜変更してもよい。例えば、検出抵抗体Rsは、第1歪領域24とメンブレン22の外縁部23の間の任意の位置に形成されていてもよい。あるいは、検出抵抗体Rsは、第1歪領域24と第2歪領域26の間の任意の位置に形成されていてもよい。あるいは、検出抵抗体Rsは、第2歪領域26の内側の領域に形成されていてもよい。あるいは、検出抵抗体Rsは、メンブレン22の径方向に沿って第2歪領域26を跨ぐように形成されていてもよく、あるいはメンブレン22の径方向に沿って第1歪領域24を跨ぐように形成されていてもよい。
【0047】
検出抵抗体Rsの延在方向は、全体として見たときに、例えばメンブレン22の周方向と略一致するようになっている(検出抵抗体Rsがメンブレン22の周方向に沿ってミアンダ状に延びている)。ただし、検出抵抗体Rsの延在方向は、これに限定されるものではなく、検出抵抗体Rsは、例えばメンブレン22の径方向に沿って放射状に延びていてもよい。
【0048】
検出抵抗体Rsの抵抗値は、消費電流を抑える観点から、好ましくは第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体の抵抗値の2倍以上であり、さらに好ましくは10倍以上である。検出抵抗体Rsの抵抗値は、第1センサ抵抗体R1~第4センサ抵抗体R4の抵抗値よりも大きいことが好ましい。
【0049】
検出抵抗体Rsの一端は、第2接続点52を介して、検出回路30に電気的および物理的に接続されている。ただし、検出抵抗体Rsの一端が検出回路30に電気的に接続されていれば、検出抵抗体Rsの一端と第2接続点52との間に、他の抵抗体あるいは他の素子等が介挿されていてもよい。また、検出抵抗体Rsの一端は、第2接続点52に電気的に接続されていれば、第2接続点52とは異なる位置に接続されていてもよい。例えば、検出抵抗体Rsの一端は、第2接続点52よりも第1センサ抵抗体R1側に位置ずれした位置に接続されていてもよく、あるいは第2接続点52よりも第4センサ抵抗体R4側に位置ずれした位置に接続されていてもよい。
【0050】
検出抵抗体Rsの一端は、第2センサ抵抗体R1および第2センサ抵抗体R4の各々の高電位側の端子に接続されている。上述したように、第2電極部42および第2接続点52は電源VDD(図3参照)に電気的に接続されるため、検出抵抗体Rsの一端は、電源VDDと第2接続点52の間の導電経路に電気的に接続される。このように、検出抵抗体Rsの一端を上記導電経路に電気的に接続することにより、検出回路30に供給される電力の状態に異常が生じた場合に、その異常が、電源VDDから検出回路30への電力供給ラインにおける異常に起因するものか否かを容易に特定することができる。
【0051】
検出抵抗体Rsの他端は、メンブレン22上に形成された第5電極部45に電気的および物理的に接続されている。ただし、検出抵抗体Rsの他端が第5電極部45に電気的に接続されていれば、検出抵抗体Rsの他端と第5電極部45との間に、他の抵抗体あるいは他の素子等が介挿されていてもよい。
【0052】
第5電極部45は、第1電極部41~第4電極部44と同様の方法でメンブレン22上に形成される。第5電極部45は、第1電極部41~第4電極部44と同様に、メンブレン22の外縁部23に形成されているが、第5電極部45の位置はこれに限定されるものではなく、例えば第1歪領域24と外縁部23との間の任意の位置に形成されていてもよい。
【0053】
検出抵抗体Rsの他端と第5電極部45とは、上述したパターニングされた導電性の薄膜で連続的に接続されている。ただし、検出抵抗体Rsの他端と第5電極部45とは、例えばワイヤボンディング等により接続されていてもよい。
【0054】
第5電極部45は、図1に示す接続配線82等を介して、基板部81上の電極部(あるいは配線)に接続されている。この基板部81の電極部(あるいは配線)は、図3に示す電源監視回路70に電気的に接続されている。すなわち、電力状態検出部60(検出抵抗体Rs)に流れる電流は、第5電極部45や基板部81等を介して、電源監視回路70に出力される。そして、この検出抵抗体Rsに流れる電流は電源監視回路70で電圧値に変換され、その変換値に基づいて、検出回路30に供給される電力の状態を判別することが可能となっている。以下、電源監視回路70の構成について説明する。
【0055】
図3に示すように、電源監視回路70は、出力抵抗Roを有する。ただし、出力抵抗Roは、電源監視回路70とは別に形成されていてもよく、必ずしも電源監視回路70に含まれている必要はない。出力抵抗Roの一端は検出抵抗体Rsの他端に電気的に接続されており、出力抵抗Roの他端は接地されている。したがって、検出抵抗体Rsに流れる電流は、出力抵抗Roに向かって流れ込む。電源監視回路70は、このときに出力抵抗Roにかかる電圧値Vsを計測し、その計測値に基づいて、検出回路30に供給される電力の状態が正常であるか否かの判別を行う。
【0056】
例えば、電源VDDから検出回路30に正常に電力が供給されている場合、検出回路30には所定の電圧値(Vdd)からなる電圧が印加される。この場合、検出抵抗体Rsに所定の電流値(Vdd/Rs)からなる電流が流れるとともに、当該電流が出力抵抗Roに向かって流れ込む。その結果、出力抵抗Roには所定の電圧値Vs(Vs=Vdd・Ro/Rs>0)からなる電圧がかかる。電源監視回路70は、出力抵抗Roの電圧値VsがVs>0の関係性を満たす場合、検出回路30に供給される電力の状態が正常であると判定する。
【0057】
一方、電源VDDから検出回路30に正常に電力が供給されていない場合、検出回路30に印加される電圧が実質的に0となる。この場合、検出抵抗体Rsに流れる電流は実質的に0となるため、出力抵抗Roに流れる電流も実質的に0となり、出力抵抗Roにかかる電圧の電圧値Vsは実質的に0となる。電源監視回路70は、出力抵抗Roの電圧値VsがVs=0の関係性を満たす場合、検出回路30に供給される電力の状態が異常であると判定する。なお、検出回路30に正常に電力が供給されない原因としては、電源VDDそのものの故障や、第5電極部45と基板部81の電極部(あるいは配線)を接続する接続配線82(図1参照)の断線等が挙げられる。
【0058】
このように、本実施形態に係る圧力センサ10は、検出回路30に供給される電力の状態を検出するための検出抵抗体Rsを有し、検出抵抗体Rsの一端が検出回路30に電気的に接続され、検出抵抗体Rsの他端がメンブレン22上に形成された第5電極部45に電気的に接続されている。そのため、第5電極部45等を介して、検出抵抗体Rsに流れる電流等を検出することにより、その検出値に基づいて、検出回路30に供給される電力の状態を容易に検出することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る圧力センサ10では、検出抵抗体Rsはメンブレン22上に形成されているため、メンブレン22とは異なる位置に検出抵抗体Rsを形成する場合に比べて、装置構成の複雑化を回避することができる。
【0060】
本実施形態における電力状態検出部60は、圧力センサ10を複数備えたセンサシステムに適用することができる。以下、図4A図6を参照しつつ、複数の圧力センサ10_1~10_3を備えたセンサシステム1において、圧力センサ10_1~10_3にそれぞれ電力状態検出部60_1~60_3を具備させる場合について説明する。なお、図4A等において、センサシステム1には、3つの圧力センサ10_1~10_3が具備されているが、圧力センサの数は2つでもよく、あるいは4つ以上であってもよい。
【0061】
図4Aに示すように、圧力センサ10_1~10_3は、それぞれ検出回路30_1~30_3と、電力状態検出部60_1~60_3とを有する。検出回路30_1~30_3は、それぞれ同一の構成からなり、図3に示す検出回路30と同様のものである。検出回路30_1~30_3の各々は、共通の電源VDDに接続されている。
【0062】
圧力センサ10_1において、図中に仮想的に示す第2電極部42_1は、スイッチS1を介して、電源VDDに電気的に接続されている。また、圧力センサ10_2において、第2電極部42_2は、スイッチS2を介して、電源VDDに電気的に接続されている。また、圧力センサ10_3において、第2電極部42_3は、スイッチS3を介して、電源VDDに電気的に接続されている。
【0063】
すなわち、電源VDDから検出回路30_1~30_3の各々への電力供給は、スイッチS1~S3の各々によって制御されている。図示のように、スイッチS1~S3の各々がONになっているときには、電源VDDから検出回路30_1~30_3の各々に電力が供給される。スイッチS1~S3の各々と、第2電極部42_1~42_3の各々とは、ワイヤボンディング等により形成される接続配線82_1~82_3の各々を介して接続される。
【0064】
電力状態検出部60_1~60_3は、それぞれ検出抵抗体Rs_1~Rs_3を有する。検出抵抗体Rs_1~Rs_3の各々の抵抗値は互いに異なっており、例えば、検出抵抗体Rs_1の抵抗値は40kΩであり、検出抵抗体Rs_2の抵抗値は20kΩであり、検出抵抗体Rs_3の抵抗値は10kΩである。ただし、検出抵抗体Rs_1~Rs_3の抵抗値はこれに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0065】
検出抵抗体Rs_1~Rs_3の抵抗値は、略一定の割合で異なる値となるように段階的に設定されていることが好ましい。本実施形態では、検出抵抗体Rs_1~Rs_3の各々の抵抗値は、例えば、それぞれ40kΩ、20kΩ、10kΩであり、等比数列の関係性に基づき設定されている。
【0066】
検出抵抗体Rs_1~Rs_3の他端には、それぞれ図中に仮想的に示す第5電極部45_1~45_3が電気的に接続されており、第5電極部45_1~45_3は第5接続点55において互いに電気的に接続されている。第5接続点55には、第5電極部45_1を介して、電力状態検出部60_1(検出抵抗体Rs_1)に流れる電流Is_1が流れ込み、また第5電極部45_2を介して、電力状態検出部60_2(検出抵抗体Rs_2)に流れる電流Is_2が流れ込み、また第5電極部45_3を介して、電力状態検出部60_3(検出抵抗体Rs_3)に流れる電流Is_3が流れ込む。
【0067】
第5接続点55に流れ込む電流Is_1~Is_3の総和Isは、電源監視回路70に流れ込み、この電流Isの電流値に基づいて、電源監視回路70は、検出回路30_1~30_3の各々について、供給される電力の状態が正常であるか否か判別する。
【0068】
例えば、図4Bに示すように、スイッチS2の故障により電源VDDから検出回路30_2への電力供給が遮断された場合、検出抵抗体Rs_2には電流が実質的に流れないため、電力状態検出部60_2から出力される電流Is_2は実質的に0となる。一方で、検出回路30_1および検出回路30_2には電源VDDから正常に電力が供給されているため、電力状態検出部60_1からは電流Is_1(Is_1>0)が出力され、電力状態検出部60_3からは電流Is_3(Is_3>0)が出力される。したがって、電源監視回路70で検出される電流Is’は、Is_1とIs_3の和(Is’=Is_1+Is_3)に等しくなる。
【0069】
このように、検出回路30_2に供給される電力の状態に異常が生じた場合、第5接続点55から電源監視回路70へ出力される電流は、図4Aに示すIs(Is=Is_1+Is_2+Is_3)から図4Bに示すIs’(Is’=Is_1+Is_3)に変動する。この変動幅ΔI(ΔI=Is-Is’=Is_2)は、検出抵抗体Rs_2の抵抗値に応じた固有値(すなわち、VDD/Rs_2に応じた値)となる。したがって、電源監視回路70は、この固有値に基づいて、検出回路30_2に供給される電力の状態に異常が生じたことを容易に特定することができる。
【0070】
なお、電源監視回路70には、予め、電力状態検出部60_1~60_3に流れる電流Is_1~Is_3の電流値のデータが記憶されており、これらの値と、実際に検出される電流IsあるいはIs’の電流値とを比較し、さらに演算することにより、いずれの検出回路30_1~30_3に供給される電力の状態に異常が生じたのかを特定することが可能となっている。
【0071】
次に、図4Cに示すように、スイッチS1およびスイッチS3の故障により、電源VDDから検出回路30_1および30_3への電力供給が遮断された場合、検出抵抗体Rs_1およびRs_3には電流が実質的に流れないため、電力状態検出部60_1から出力される電流Is_1は実質的に0になるとともに、電力状態検出部60_3から出力される電流Is_3は実質的に0になる。一方で、検出回路30_2には電源VDDから正常に電力が供給されているため、電力状態検出部60_2からは電流Is_2(Is_2>0)が出力される。したがって、電源監視回路70で検出される電流Isは、Is_2に等しくなる。
【0072】
このように、検出回路30_1および30_3に供給される電力の状態に異常が生じた場合、第5接続点55から電源監視回路70へ出力される電流は、図4Aに示すIs(Is=Is_1+Is_2+Is_3)から図4Cに示すIs’(Is’=Is_2)に変動する。この変動幅ΔI(ΔI=Is-Is’=Is_1+Is_3)は、検出抵抗体Rs_1およびRs_3の各々の抵抗値に応じた固有値(すなわち、VDD/Rs_1+VDD/Rs_3に応じた値)となる。したがって、電源監視回路70は、この固有値に基づいて、検出回路30_1および30_3に供給される電力の状態に異常が生じたことを容易に特定することができる。
【0073】
また、図4Dに示すように、スイッチS1と圧力センサ10_1の第2電極部42_1とを接続する接続配線82_1が断線した場合、電源VDDから検出回路30_1への電力供給が遮断される。したがって、この場合、検出抵抗体Rs_1には電流が実質的に流れないため、電力状態検出部60_1から出力される電流Is_1が実質的に0となる。その結果、電源監視回路70で検出される電流Is’の値がIs_2+Is_3となり、電源監視回路70で検出される電流値が、図4Aに示す電流値IsからΔI(ΔI=Is-Is’=Is_1)だけ変動する。したがって、電源監視回路70は、この変動幅(VDD/Rs_1に応じた値)に基づいて、検出回路30_1に供給される電力の状態に異常が生じたことを容易に特定することができる。
【0074】
図4A~4Dに示す例では、電源監視回路70は、第5接続点55から出力される電流IsあるいはIs’の電流値に基づいて、検出回路30_1~30_3のいずれに供給される電力の状態に異常が生じているのかを特定したが、図5に示すように、第5接続点55に出力抵抗Roを接続することにより、出力抵抗Roに流れる電流を電圧に変換し、その電圧値Vs(Ro・Is)に基づいて上記の特定を行ってもよい。なお、出力抵抗Roの一端は第5接続点55に電気的に接続され、出力抵抗Roの他端は接地されている。
【0075】
ここで、図4Aに示すようにセンサシステム1に3個の検出回路30_1~30_3が具備されている場合、表1に示すように、検出回路30_1~30_3に供給される電力の状態(ON/OFF状態)の組み合わせとして、8通りのパターンが考えられる。表1には、例えば、電源VDDの電圧を5V、検出抵抗体Rs_1の値を40kΩ、検出抵抗体Rs_2の値を20kΩ、検出抵抗体Rs_3の値を10kΩとした場合、各パターンにおいて、電力状態検出部60_1~60_3から出力される電流Is_1~Is_3の各値、および第5接続点55における電流Isの値を示している。
【表1】
【0076】
すなわち、パターン1に示すように、すべての検出回路30_1~30_3がOFFのとき、Is_1=Is_2=Is_3=0mAとなるため、Is(Is_1+Is_2+Is_3)=0mAとなる。パターン2に示すように、検出回路30_1のみONのとき、Is_1=0.125mA、Is_2=Is_3=0mAとなるため、Is=0.125mAとなる。パターン3に示すように、検出回路30_2のみONのとき、Is_1=0mA、Is_2=0.25mA、Is_3=0mAとなるため、Is=0.25mAとなる。パターン4に示すように、検出回路30_3のみOFFのとき、Is_1=0.125mA、Is_2=0.25mA、Is_3=0mAとなるため、Is=0.375mAとなる。パターン5に示すように、検出回路30_3のみONのとき、Is_1=0mA、Is_2=0mA、Is_3=0.5mAとなるため、Is=0.5mAとなる。パターン6に示すように、検出回路30_2のみOFFのとき、Is_1=0.125mA、Is_2=0mA、Is_3=0.5mAとなるため、Is=0.625mAとなる。パターン7に示すように、検出回路30_1のみOFFのとき、Is_1=0mA、Is_2=0.25mA、Is_3=0.5mAとなるため、Is=0.75mAとなる。パターン8に示すように、すべての検出回路30_1~30_3がONのとき、Is_1=0.125mA、Is_2=0.25mA、Is_3=0.5mAとなるため、Is=0.875mAとなる。
【0077】
図6に示すように、検出回路30_1~30_3に供給される電力の状態を、パターン1からパターン8まで変化させると、Isの値は線形に変化する。本実施形態では、検出抵抗体Rs_1~Rs_3の抵抗値が、それぞれ40kΩ、20kΩ、10kΩと、等比数列の関係性に基づき倍々となるように設定されているため、各パターン間においてIsの差分が0.125mAとなり、各パターン間においてIsの値が重複した値をとることを防止することが可能となっている。すなわち、本実施形態では、Is_1≠Is_2≠Is_3であり、Is_1+Is_2≠Is_3であり、Is_1+Is_3≠Is_2であり、Is_2+Is_3≠Is_1である。したがって、電源監視回路70において、Isの値を検出することにより、いずれの検出回路に供給される電力の状態に異常が生じたのかを高精度で特定することができる。
【0078】
以上で示したように、本実施形態では、図4Aに示す第5接続点55から出力される電流を検出するのみで、いずれの検出回路30_1~30_3に供給される電力の状態に異常が生じているのかを特定することが可能であり、検出回路30_1~30_3の1つ1つについて、独立して電力状態を検出する(換言すれば、検出回路30_1~30_3の数分だけ電力状態を検出する)必要がない。したがって、センサシステム1の構成が複雑になることを防止することができる。
【0079】
第2実施形態
図7に示す本発明の第2実施形態に係る圧力センサ10A_1~10A_3を有するセンサシステム1Aは、以下に示す点を除いて、第1実施形態におけるセンサシステム1と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。図面において、第1実施形態のセンサシステム1における各構成と共通する構成には、共通の符号を付し、その説明については省略する。
【0080】
図7に示すように、センサシステム1Aでは、検出抵抗体Rs_1と第5接続点55との間にダイオードD1が介挿され、検出抵抗体Rs_2と第5接続点55との間にダイオードD2が介挿され、検出抵抗体Rs_3と第5接続点55との間にダイオードD3が介挿されている。ダイオードD1のアノードは検出抵抗体Rs_1に電気的に接続され、ダイオードD1のカソードは第5接続点55に電気的に接続されている。ダイオードD2のアノードは検出抵抗体Rs_2に電気的に接続され、ダイオードD2のカソードは第5接続点55に電気的に接続されている。ダイオードD3のアノードは検出抵抗体Rs_3に電気的に接続され、ダイオードD3のカソードは第5接続点55に電気的に接続されている。
【0081】
ダイオードD1~D3は、例えば、図1に示す基板部81に形成される。この場合、ダイオードD1~D3の各々は、図1に示す接続配線82を介して、検出抵抗体Rs_1~Rs_3の他端に接続された第5電極部45_1~45_3の各々に接続されていてもよい。
【0082】
あるいは、ダイオードD1~D3は、薄膜ダイオードとして、メンブレン22上に形成されていてもよい。この場合、ダイオードD1~D3は、スパッタリングや蒸着等の薄膜法により、所定の材料からなる導電性の薄膜(半導体薄膜)を所定の形状にパターニングすることにより作製される。また、検出抵抗体Rs_1~Rs_3の他端は、メンブレン22上のパターンを介して、ダイオードD1~D3と接続されることになる。
【0083】
このように、本実施形態では、圧力センサ10A_1~10A_3の各々に具備された検出抵抗体Rs_1~Rs_3の他端にはダイオードD1~D3が電気的に接続されている。そして、ダイオードD1~D3を介して、圧力センサ10A_1~10A_3の各々に具備された検出抵抗体Rs_1~Rs_3の他端に電気的に接続された電極部45_1~45_3が、互いに電気的に接続されている。
【0084】
そのため、検出回路10A_1~10A_3のうち、いずれかの検出回路に供給される電力の状態に異常が生じたとき、当該検出回路へ他の検出回路から電流が流れ込むことを防止することができる。
【0085】
例えば、検出回路10A_1に供給される電力の状態に異常が生じた場合を想定する。このとき、検出回路10A_1に印加される電圧が実質的に0Vとなるのに対して、検出回路10A_2および検出回路10A_3にはそれぞれ電源VDDから所定の電圧値からなる電圧が印加される。したがって、何ら策を講じなければ、検出回路10A_2および検出回路10A_3と検出回路10A_1との間の電位差により、検出回路10A_2および検出回路10A_3から検出回路10A_1に電流が流れ込み、電力状態検出部60_1から微弱な電圧が出力されるおそれがある。本実施形態では、検出抵抗体Rs_1の後段にダイオードD1が介挿されているため、ダイオードD1を介して、このような電流の逆流を防止することが可能となり、上述した不具合の発生を防止することができる。
【0086】
第3実施形態
図8および図9に示す本発明の第3実施形態に係る圧力センサ10Bは、以下に示す点を除いて、第1実施形態におけるセンサシステム1と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。図面において、第1実施形態の圧力センサ10における各構成と共通する構成には、共通の符号を付し、その説明については省略する。
【0087】
図8図2とを対比すれば明らかなように、本実施形態における圧力センサ10Bは、電力状態検出部60に代えて電力状態検出部60Bを有するという点において、第1実施形態における圧力センサ10とは異なる。電力状態検出部60Bは、検出抵抗体Rsに加えて検出抵抗体RsBを有するという点において、第1実施形態における電力状態検出部60とは異なる。検出抵抗体RsBの抵抗値は、検出抵抗体Rsの抵抗値と等しくなっているが、異なっていてもよい。
【0088】
検出抵抗体RsBの一端は、第2接続点52に電気的および物理的に接続されている。ただし、検出抵抗体RsBは、第2接続点52に電気的に接続されていれば、第2接続点52に間接的に接続されていてもよい。また、検出抵抗体RsBは、第2接続点52に電気的に接続されていれば、第2接続点52から位置ずれした位置に接続されていてもよい。
【0089】
検出抵抗体RsBの他端には、第5電極部45Bが電気的および物理的に接続されている。ただし、第5電極部45Bは、検出抵抗体RsBの他端に電気的に接続されていれば、検出抵抗体RsBの他端に間接的に接続されていてもよい。
【0090】
第5電極部45Bは、図1に示す接続配線82等を介して、基板部81上の電極部(あるいは配線)に接続されている。第5電極部45Bは、基板部81上において、第5電極部45と電気的に接続されている(図9参照)。
【0091】
メンブレン22の上面において、検出抵抗体RsBは第3センサ抵抗体R3が位置する側に形成されており、検出抵抗体Rsは第1センサ抵抗体R1が位置する側に形成されている。また、検出抵抗体RsBは、検出抵抗体Rsとともに、歪が小さい領域に形成されている。より詳細には、検出抵抗体RsBおよび検出抵抗体Rsは、第1歪領域24とメンブレン22の外縁部23の間に形成されている。
【0092】
ただし、検出抵抗体RsBおよび検出抵抗体Rsの位置は、図示の位置に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。例えば、検出抵抗体RsBおよび検出抵抗体Rsの一方が第1歪領域24の周辺部に形成され、検出抵抗体RsBおよび検出抵抗体Rsの他方がメンブレン22の外縁部23に形成されていてもよい。また、検出抵抗体RsBの少なくとも一部が、第1歪領域24よりも径方向内側の領域に形成されていてもよく、検出抵抗体Rsの少なくとも一部が、第1歪領域24よりも径方向内側の領域に形成されていてもよい。あるいは、検出抵抗体RsBおよび検出抵抗体Rsは、メンブレン22の外縁部23に形成されていてもよい。
【0093】
検出抵抗体RsBの延在方向は、検出抵抗体Rsの延在方向と略等しくなっており、検出抵抗体RsBと検出抵抗体Rsとは向かい合って配置されている。図示の例では、検出抵抗体RsBおよび検出抵抗体Rsは、それぞれ第1歪領域24からメンブレン22の外縁部23に向かって延びているが、検出抵抗体RsBおよび検出抵抗体Rsの延在方向はこれに限定されるものではない。図2に示す検出抵抗体Rsと同様に、図8に示す検出抵抗体RsBおよび検出抵抗体Rsは、それぞれメンブレン22の周方向に沿ってミアンダ状に延びていてもよい。この場合、検出抵抗体RsBが検出抵抗体Rsよりもメンブレン22の径方向の外側(または内側)に位置していてもよい。あるいは、検出抵抗体RsBおよび検出抵抗体Rsの少なくとも一方が、メンブレン22の径方向に沿って放射状に延びていてもよい。
【0094】
また、検出抵抗体RsBおよび検出抵抗体Rsの延在方向はそれぞれ異なっていてもよい。例えば、検出抵抗体RsBおよび検出抵抗体Rsの一方がメンブレン22の周方向に沿って延び、検出抵抗体RsBおよび検出抵抗体Rsの他方が第1歪領域24からメンブレン22の外縁部23に向かって延びていてもよい。
【0095】
図9に示すように、本実施形態では、第5接続点52と電源監視回路70との間に、検出抵抗体Rsを通る第1導電経路W1と、検出抵抗体RsBを通る第2導電経路W2とが並列に形成されている。したがって、検出回路30に電源VDDから正常に電力が供給されている場合、第1導電経路W1および第2導電経路W2にそれぞれ電流が流れ、各電流が電源監視回路70に出力される。そして、この第1導電経路W1および第2導電経路W2に流れる電流の総和は電源監視回路70で電圧値に変換され、その変換値に基づいて、検出回路30に供給される電力の状態を判定することが可能となっている。
【0096】
なお、図示の例では、第1導電経路W1および第2導電経路W2は、検出抵抗体Rsおよび検出抵抗体RsBの後段で接続されているが、接続されることなく別々の導電経路として形成されていてもよい。この場合、電源監視回路70は、第1導電経路W1および第2導電経路W2の少なくとも一方に流れる電流の電流値(あるいは電圧値)に基づいて、検出回路30に供給される電力の状態を判定することになる。
【0097】
このように、本実施形態では、検出抵抗体Rs,RsBの各々の他端に電気的に接続された第5電極部45,45Bを介して、検出抵抗体Rs,RsBに流れる電流を検出することが可能となっている。そのため、例えば、第5電極部45と基板部81(図1参照)の電極部とを接続するワイヤボンディング等が断線し、検出抵抗体Rs(第1導電経路W1)に流れる電流を検出することが不能になったとしても、検出抵抗体RsB(第2導電経路W2)に流れる電流の検出については引き続き行うことが可能であり、電力状態検出部60Bの可用性を高めることができる。また、検出抵抗体Rs,RsBに電流を分散させて流すことにより、検出抵抗体Rs,RsBの耐久性を向上させることができる。
【0098】
第4実施形態
図10に示す本発明の第4実施形態に係る圧力センサ10C_1~10C_3を有するセンサシステム1Cは、以下に示す点を除いて、第1実施形態におけるセンサシステム1と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。図面において、第1実施形態のセンサシステム1における各構成と共通する構成には、共通の符号を付し、その説明については省略する。
【0099】
図10図4Aとを対比すれば明らかなように、圧力センサ10C_1は、電力状態検出部60C_1を有し、電力状態検出部60C_1は、検出抵抗体Rs_1に加えて、検出抵抗体Rs’_1と検出抵抗体Rs’’_1とを有するという点において、第1実施形態における電力状態検出部60_1とは異なっている。また、圧力センサ10C_2は、電力状態検出部60C_2を有し、電力状態検出部60C_2は、検出抵抗体Rs_2に加えて、検出抵抗体Rs’_2と検出抵抗体Rs’’_2とを有するという点において、第1実施形態における電力状態検出部60_2とは異なっている。また、圧力センサ10C_3は、電力状態検出部60C_3を有し、電力状態検出部60C_3は、検出抵抗体Rs_3に加えて、検出抵抗体Rs’_3と検出抵抗体Rs’’_3とを有するという点において、第1実施形態における電力状態検出部60_3とは異なっている。
【0100】
検出抵抗体Rs_1、検出抵抗体Rs’_1および検出抵抗体Rs’’_1の抵抗値は、互いに異なっており、好ましくは略一定の割合で異なる値となるように段階的に設定されている。例えば、検出抵抗体Rs_1の抵抗値は10kΩであり、検出抵抗体Rs’_1の抵抗値は20kΩであり、検出抵抗体Rs’’_1の抵抗値は40kΩであり、これらの抵抗値は等比数列の関係性に基づき設定されている。ただし、検出抵抗体Rs_1~Rs’’_1の抵抗値はこれに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0101】
検出抵抗体Rs_2、検出抵抗体Rs’_2および検出抵抗体Rs’’_2の抵抗値は、互いに異なっており、好ましくは略一定の割合で異なる値となるように段階的に設定されている。例えば、検出抵抗体Rs_2の抵抗値は10kΩであり、検出抵抗体Rs’_2の抵抗値は20kΩであり、検出抵抗体Rs’’_2の抵抗値は40kΩであり、これらの抵抗値は等比数列の関係性に基づき設定されている。ただし、検出抵抗体Rs_2~Rs’’_2の抵抗値はこれに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0102】
検出抵抗体Rs_3、検出抵抗体Rs’_3および検出抵抗体Rs’’_3の抵抗値は、互いに異なっており、好ましくは略一定の割合で異なる値となるように段階的に設定されている。例えば、検出抵抗体Rs_3の抵抗値は10kΩであり、検出抵抗体Rs’_3の抵抗値は20kΩであり、検出抵抗体Rs’’_3の抵抗値は40kΩであり、これらの抵抗値は等比数列の関係性に基づき設定されている。ただし、検出抵抗体Rs_3~Rs’’_3の抵抗値はこれに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0103】
上記の通り、検出抵抗体Rs_1、検出抵抗体Rs_2および検出抵抗体Rs_3の各々の抵抗値は等しくなっている。また、検出抵抗体Rs’_1、検出抵抗体Rs’_2および検出抵抗体Rs’_3の各々の抵抗値は等しくなっている。また、検出抵抗体Rs’’_1、検出抵抗体Rs’’_2および検出抵抗体Rs’’_3の各々の抵抗値は等しくなっている。
【0104】
電力状態検出部60C_1において、検出抵抗体Rs’_1の他端には第5電極部45’_1が電気的および物理的に接続されており、検出抵抗体Rs’’_1の他端には第5電極部45’’_1が電気的および物理的に接続されている。第5電極部45_1、第5電極部45’_1および第5電極部45’’_1のうち、第5電極部45_1のみが第5接続点55に電気的に接続されている。
【0105】
電力状態検出部60C_2において、検出抵抗体Rs’_2の他端には第5電極部45’_2が電気的および物理的に接続されており、検出抵抗体Rs’’_2の他端には第5電極部45’’_2が電気的および物理的に接続されている。第5電極部45_2、第5電極部45’_2および第5電極部45’’_2のうち、第5電極部45’_2のみが第5接続点55に電気的に接続されている。
【0106】
電力状態検出部60C_3において、検出抵抗体Rs’_3の他端には第5電極部45’_3が電気的および物理的に接続されており、検出抵抗体Rs’’_3の他端には第5電極部45’’_3が電気的および物理的に接続されている。第5電極部45_3、第5電極部45’_3および第5電極部45’’_3のうち、第5電極部45’’_3のみが第5接続点55に電気的に接続されている。
【0107】
したがって、電力状態検出部60C_1からは検出抵抗体Rs_1を介して電流Is_1が出力され、電力状態検出部60C_2からは検出抵抗体Rs’_2を介して電流Is_2が出力され、電力状態検出部60C_3からは検出抵抗体Rs’’_3を介して電流Is_3が出力される。そして、電流Is_1,Is_2,Is_3の総和である電流Isが電源監視回路70に出力される。
【0108】
このように、予め、電力状態検出部60C_1に、検出抵抗体Rs_1の他に、複数の検出抵抗体Rs’_1およびRs’’_1を具備させておくことにより、使用状況に応じて、複数の検出抵抗体Rs_1~Rs’’_1の中から所望の抵抗値を有する検出抵抗体を適宜選択し、使用することができる。したがって、圧力センサ10_1において、検出抵抗体Rs_1に対して、その抵抗値が所望の抵抗値となるようにトリミングを行う必要がない。圧力センサ10_1および10_2についても、同様のことがいえる。
【0109】
また、本実施形態では、圧力センサ10C_1~10C_3の各々において、第5接続点55に接続する検出抵抗体を適宜選択するのみで、検出抵抗体の抵抗値が互いに異なるセンサシステム1Cを容易に構築することができる。
【0110】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0111】
(1)上記第2実施形態に示す技術を上記第3実施形態に適用し、検出抵抗体Rsの他端あるいは検出抵抗体RsBの他端にダイオードを接続してもよい。また、上記第2実施形態に示す技術を上記第4実施形態に適用し、検出抵抗体Rs_1~Rs’’_1,Rs_2~Rs’’_2,Rs_3~Rs’’_3の他端にダイオードを接続してもよい。
【0112】
(2)上記第3施形態における圧力センサ10Bを複数接続し、センサシステムを構築してもよい。
【0113】
(3)上記第3実施形態に示す技術を上記第2実施形態に適用し、電力状態検出部60_1~60_3の各々に検出抵抗体RsBを具備させてもよい。上記第3実施形態に示す技術を上記第4実施形態に適用し、電力状態検出部60C_1~60C_3の各々に複数の検出抵抗体RsBを具備させてもよい。
【0114】
(4)上記第3実施形態において、検出抵抗体RsBの数は1個に限定されず、複数であってもよい。
【0115】
(5)上記第4実施形態において、圧力センサ10C_1~10C_3の各々には3つの検出抵抗体が具備されていたが、検出抵抗体の数は2つでもよく、あるいは4つ以上でもよい。
【0116】
(6)上記各実施形態において、メンブレン22の形状および固定構造は一例にすぎず、本発明の圧力センサ10は、メンブレン22が圧力に応じて適切に変形する、他の任意の形状および固定構造を採用できる。また、メンブレン22は、上記各実施形態で示したステムや金属板のみには限定されず、その他形状および材質のメンブレンを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0117】
1,1A,1C…センサシステム
10,10_1,10_2,10_3,10A_1,10A_2,10A_3,10B,10C_1,10C_2,10C_3…圧力センサ
12…接続部材
12a…ねじ溝
12b…流路
14…抑え部材
20…ステム
21…フランジ部
22…メンブレン
22a…内面
22b…外面
24…第1歪領域
26…第2歪領域
30,30_1,30_2,30_3…検出回路
R1…第1センサ抵抗体
R2…第2センサ抵抗体
R3…第3センサ抵抗体
R4…第4センサ抵抗体
Ro…出力抵抗
41,42,43,44,45,45_1,45_2,45_3,45B,45’_1,45’_2,45’_3,45’’_1,45’’_2,45’’_3…電極部
51,52,53,54,55…接続点
60,60_1,60_2,60_3,60B,60C_1,60C_2,60C_3…電力状態検出部
Rs,Rs_1,Rs_2,Rs_3,RsB,Rs’_1,Rs’’_1,Rs’_2,Rs’’_2,Rs’_3,Rs’’_3…検出抵抗体
D1,D2,D3…ダイオード
70…電力状態検出部
82,82_1~82_3…接続配線
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10