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特開2022-13962塗料組成物及びこれを用いた着色親水性塗膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013962
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】塗料組成物及びこれを用いた着色親水性塗膜
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
C09D201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2018209640
(22)【出願日】2018-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000354
【氏名又は名称】石原産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】友成 雅則
(72)【発明者】
【氏名】永森 智
(72)【発明者】
【氏名】亀田 優人
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CB001
4J038CD091
4J038CG001
4J038DA001
4J038DB001
4J038DD001
4J038DF001
4J038DG111
4J038DG181
4J038DL001
4J038HA026
4J038HA036
4J038HA216
4J038HA316
4J038HA446
4J038JA01
4J038JA03
4J038JA19
4J038JA20
4J038JA33
4J038JB01
4J038KA06
4J038KA08
4J038KA09
4J038NA01
4J038PB05
4J038PB07
4J038PB09
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC04
4J038PC06
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】 優れた親水性及び隠蔽性を有する塗膜を形成するための塗料組成物、これを用いた着色親水性塗膜を提供する。
【解決手段】 二酸化ケイ素を介して顔料級二酸化チタン粒子を固着した複合粒子と、二酸化ケイ素微粒子と樹脂成分と溶媒とを含み、前記の複合粒子、二酸化ケイ素微粒子及び樹脂成分の固形分合計質量に対する前記複合粒子の含有量が40質量%以上であり、かつ、該固形分合計質量に対する前記二酸化ケイ素微粒子の含有量が20質量%以上である塗料組成物であって、これを用いてJIS K5600-4-1に従って測定した隠蔽率が80%以上であり、かつ、水に対する接触角が40°以下である塗膜を得る。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化ケイ素を介して顔料級二酸化チタン粒子を固着した複合粒子と、二酸化ケイ素微粒子と樹脂成分と溶媒とを含み、前記の複合粒子、二酸化ケイ素微粒子及び樹脂成分の固形分合計質量に対する前記複合粒子の含有量が40質量%以上であり、かつ、該固形分合計質量に対する前記二酸化ケイ素微粒子の含有量が20質量%以上である、塗料組成物。
【請求項2】
前記固形分合計質量に対する前記複合粒子と前記二酸化ケイ素微粒子との総含有量が70質量%以上である、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記複合粒子における顔料級二酸化チタン粒子の質量(MTi)と二酸化ケイ素の質量(MSi)との質量比(MSi/MTi)が0.1~1.2である、請求項1又は請求項2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れかに記載の塗料組成物を用いた硬化塗膜であって、JIS K5600-4-1に従って測定した隠蔽率が80%以上であり、かつ、水に対する接触角が40°以下である、着色親水性塗膜。
【請求項5】
二酸化ケイ素を介して顔料級二酸化チタン粒子を固着した複合粒子と、二酸化ケイ素微粒子と、樹脂成分とを含み、前記の複合粒子、二酸化ケイ素微粒子及び樹脂成分の固形分合計質量に対する前記複合粒子の含有量が40質量%以上であり、かつ、該固形分合計質量に対する前記二酸化ケイ素微粒子の含有量が20質量%以上である、着色親水性塗膜。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3の何れかに記載の塗料組成物を基材に塗布して硬化し、JIS K5600-4-1に従って測定した隠蔽率が80%以上であり、かつ、水に対する接触角が40°以下である塗膜を得る、着色親水性塗膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性と隠蔽性とを基材表面に付与する塗料組成物及びこれを用いた親水性と隠蔽性を有する塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の外壁、屋根や、橋梁、タンクなどの屋外構造物の表面は常に外気に曝されているので、土や砂、排気ガス、油などからなる埃や塵が屋外構造物の表面に付着して汚れやすい。屋外構造物表面の汚れは降雨によって、一部分は洗い流されるが、残りの部分には固着した汚れが残るため、屋外構造物表面には汚れムラが生じて美観を損ねてしまう。
【0003】
このような屋外構造物表面の汚れの付着を防止し、付着した汚れを洗い流しやすくする技術として、該表面に親水性を付与する技術が提案されている。例えば、光触媒活性を有する二酸化チタン微粒子とシリカ微粒子とを含む透明の塗料組成物(特許文献1、2)や、光触媒活性を有する二酸化チタン微粒子と顔料級の二酸化チタン粒子とを含む塗料組成物(特許文献3)などを基材表面に塗布することで、基材表面に親水性を付与する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-261022号公報
【特許文献2】特開2004-107437号公報
【特許文献3】特開平11-228873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2の塗料組成物は紫外線照射による光触媒活性を有する二酸化チタン微粒子と、シリカ微粒子とを含むため透明で隠蔽性が低い。従って着色の塗膜を形成する場合、基材に対して着色の下塗り層を形成し、その上に該透明の塗料組成物を塗布して上塗り層を形成する必要があり、塗工の手間がかかるという問題があった。
一方、特許文献3の塗料組成物では、顔料級二酸化チタン粒子により隠蔽性が確保され、一度の塗工で着色の塗膜を得ることができるが、光触媒活性を有する二酸化チタン微粒子の含有量が低くなるため塗膜の親水性が十分ではないという問題がある。
すなわち、塗工の手間をかけることなく、紫外線照射の有無にかかわらず十分な親水性及び十分な隠蔽性を有する塗膜を形成できる塗料組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記のような従来技術の問題点に鑑み鋭意検討を行った。そして、二酸化ケイ素を介して顔料級二酸化チタン粒子を固着した複合粒子と二酸化ケイ素微粒子とを所定量以上含む塗料組成物を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1) 二酸化ケイ素を介して顔料級二酸化チタン粒子を固着した複合粒子と、二酸化ケイ素微粒子と樹脂成分と溶媒とを含み、前記の複合粒子、二酸化ケイ素微粒子及び樹脂成分の固形分合計質量に対する前記複合粒子の含有量が40質量%以上であり、かつ、該固形分合計質量に対する前記二酸化ケイ素微粒子の含有量が20質量%以上である、塗料組成物、
(2) 前記固形分合計質量に対する前記複合粒子と前記二酸化ケイ素微粒子との総含有量が70質量%以上である、(1)に記載の塗料組成物、
(3) 前記複合粒子における顔料級二酸化チタン粒子の質量(MTi)と二酸化ケイ素の質量(MSi)との質量比(MSi/MTi)が0.1~1.2である、(1)又は(2)に記載の塗料組成物、
(4) (1)ないし(3)の何れかに記載の塗料組成物を用いた硬化塗膜であって、JIS K5600-4-1に従って測定した隠蔽率が80%以上であり、かつ、水に対する接触角が40°以下である、着色親水性塗膜、
(5) 二酸化ケイ素を介して顔料級二酸化チタン粒子を固着した複合粒子と、二酸化ケイ素微粒子と、樹脂成分とを含み、前記の複合粒子、二酸化ケイ素微粒子及び樹脂成分の固形分合計質量に対する前記複合粒子の含有量が40質量%以上であり、かつ、該固形分合計質量に対する前記二酸化ケイ素微粒子の含有量が20質量%以上である、着色親水性塗膜、
(6) (1)ないし(3)の何れかに記載の塗料組成物を基材に塗布して硬化し、JIS K5600-4-1に従って測定した隠蔽率が80%以上であり、かつ、水に対する接触角が40°以下である塗膜を得る、着色親水性塗膜の製造方法などである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の塗料組成物によれば、紫外線照射の有無にかかわらず優れた親水性及び隠蔽性を有する塗膜を簡便に形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の塗料組成物は、二酸化ケイ素を介して顔料級二酸化チタン粒子を固着した複合粒子を含む。この複合粒子は、二酸化ケイ素が固着剤(バインダー)として作用し、複数個の顔料級二酸化チタン粒子を一つの粒子に成形又は造粒したものである。
【0010】
前記の複合粒子は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布において、累積50%径(D50)が1μm以上であることが好ましく、累積90%径(D90)が30μm以下であることが好ましい。
複合粒子の体積粒度分布の測定には、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA-910」(堀場製作所製)を用いることができる。
【0011】
前記の複合粒子は、比表面積が30m/g以下であることが好ましく、20m/g以下であることが好ましい。比表面積測定装置(島津製作所製 フローソーブII2300)を用いてBET法により比表面積を測定することができる。
また、複合粒子は、吸油量が60(ml/100g)以下であることが好ましく、50(ml/100g)であることがより好ましい。こうすることで、複合粒子を配合した塗料の増粘を十分に抑制することができる。吸油量はJIS K 5101-13-1に記載の方法で測定することができる。
【0012】
前記の複合粒子は顔料級の二酸化チタン粒子を含む。「顔料級」とは、一般に着色顔料として用いられる等級のものであることを意味する。顔料級二酸化チタン粒子は、その平均一次粒子径が0.1μm~1.0μm程度である。二酸化チタン微粒子の平均一次粒子径は0.1μm未満(通常は10~50nm程度)であることから、二酸化チタン微粒子と顔料級二酸化チタン粒子とは区別される。
顔料級二酸化チタン粒子の大きさは、0.15μm~0.7μmであることが好ましく、0.2μm~0.5μmであることがより好ましい。
【0013】
平均一次粒子径は電子顕微鏡法にて測定することができる。具体的には、透過型電子顕微鏡(日立製作所製 H-7000)を用いて顔料級二酸化チタン粒子を撮影し、自動画像処理解析装置(ニレコ製 ルーゼックスAP)を用いて画像処理を行い、2000個の粒子について一次粒子径を測定し、その平均値を平均一次粒子径とする。
【0014】
顔料級二酸化チタンの結晶型はアナターゼ型、ルチル型の何れであってもよいが、ルチル型であることが好ましい。ルチル型はアナターゼ型に比べて、二酸化チタンの光触媒活性が小さいため、光触媒活性による塗料樹脂の劣化(チョーキング)を抑制しつつ、塗膜に親水性を付加することができる。
【0015】
顔料級二酸化チタンは、いわゆる硫酸法、塩素法の何れの方法で製造したものも用いることができる。二酸化チタンの粒子表面には、顔料として用いる際の通常の表面処理を施してもよく、例えばケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、アンチモンなどの金属酸化物及び/又は金属含水酸化物を被覆してもよい。また、顔料級二酸化チタン粒子は、粒子中に亜鉛元素を含むことができる。「粒子中に亜鉛元素を含む」とは、粒子表面に亜鉛元素が存在している状態、及び/又は粒子の内部に亜鉛元素が含有(ドープ)された状態を意味する。
顔料級二酸化チタン粒子中の亜鉛元素は、亜鉛酸化物、及び/又は亜鉛水酸化物の状態で存在することが好ましい。
亜鉛元素を含むことで、顔料級二酸化チタン粒子と二酸化ケイ素との親和性を大きくすることができ、二酸化ケイ素による顔料級二酸化チタン粒子の複合化を有利に進めることができる。亜鉛元素の含有量は、顔料級二酸化チタン粒子(TiO換算)に対してZnO換算で0.5質量%~5質量%であることが好ましい。
上記亜鉛元素などの金属含有量は、例えば蛍光X線分析装置 RIX-2100(リガク製)を用いて測定することができる。
【0016】
複合粒子は、複数個の顔料級二酸化チタン粒子を二酸化ケイ素を介して固着して形成される。該「二酸化ケイ素」には、二酸化ケイ素を基本単位とするシリカが含まれる。
二酸化ケイ素は、少なくとも顔料級二酸化チタン粒子の粒子間に存在している必要があるが、これに加えて、複合粒子の表面の一部又は全部を被覆するように存在していてもよい。
【0017】
前記の複合粒子においては、顔料級二酸化チタン粒子の質量(MTi)と二酸化ケイ素の質量(MSi)との質量比(MSi/MTi)が0.1~1.2であることが好ましく、0.2~0.8であることがより好ましく、0.25~0.6であることが更に好ましい。
上記複合粒子の質量比(MSi/MTi)は、例えば蛍光X線分析装置 RIX-2100(リガク製)を用いて測定することができる。
【0018】
複合粒子は、例えば以下のような方法で製造することができる。
まず、顔料級二酸化チタン粒子とケイ酸ナトリウムとを水等の溶媒に添加し、ディスパー等で分散させてスラリー化する。
【0019】
上記スラリーの調製においては、顔料級二酸化チタン粒子とケイ酸ナトリウムとの質量比(ケイ酸ナトリウムの質量(SiO換算)/顔料級二酸化チタン粒子の質量)が、0.1~1.2となるように設定することが好ましい。こうすることで、二酸化ケイ素による十分な固着作用を得ることができ、複合粒子を上述の適度な大きさ(好ましい粒度)とすることができる。
また、顔料級二酸化チタン粒子とケイ酸ナトリウムとを含むスラリーの固形分濃度は、75g/L~450g/Lであることが好ましい。
【0020】
続いて、上記スラリーのpHを2~10に調整することで二酸化ケイ素を析出させて、複数個の顔料級二酸化チタン粒子を複合化する。pH調整には希硫酸(1~40質量%)を用いるのが好ましく、pHを6~9に調整するのが好ましい。こうすることで、遊離のシリカの生成を抑制しつつ、適度な大きさ(好ましい粒度)の複合粒子を得ることができる。また、上記スラリーを加熱し、50℃以上100℃程度以下に保持しながら、二酸化ケイ素を析出させるのが好ましい。上記希硫酸として高濃度(20~40質量%)のものを用いた場合、複合粒子の比表面積や吸油量を低減することができ、塗料粘度を低減することができるので好ましい。
【0021】
続いて、公知の方法で脱水洗浄、乾燥し、適宜粉砕する。必要に応じて、乾燥後により高温で焼成してもよい。焼成温度は適宜設定することができ、例えば300~900℃程度が好ましい。
【0022】
更に、複合粒子に含まれる粗大粒子を除去する目的で分級してもよい。分級は、粉砕あるいは篩によって行うことができる。粉砕による分級方法は特に限定されず、例えば、アトマイザー等を挙げることができる。篩による分級方法としては、湿式分級、乾式分級などを挙げることができる。
【0023】
顔料級二酸化チタン粒子として亜鉛元素を含有するものを用いる場合、当該二酸化チタン粒子は以下のようにして得ることができる。
例えば、顔料級二酸化チタン粒子と、硫酸亜鉛七水和物又は塩化亜鉛などの亜鉛化合物源とを含むスラリーのpHを8~8.5程度に調整し、亜鉛の酸化物及び/又は水酸化物を粒子の表面に析出させることによって得ることができる。
また、例えば含水酸化チタンと、TiO換算の含水酸化チタンに対してZnO換算で0.1質量%~2.0質量%の亜鉛の酸化物及び/又は水酸化物とを混合し、この混合物を800℃以上1000℃以下で焼成することによって得ることもできる。
【0024】
本発明の塗料組成物は、上記複合粒子とともに二酸化ケイ素微粒子を含有する。二酸化ケイ素微粒子は、コロイダルシリカから得ることが好ましい。コロイダルシリカとしては、二酸化ケイ素を基本単位とするシリカの水又は水溶性溶媒の分散体であるコロイダルシリカ等が挙げられる。
【0025】
前記の二酸化ケイ素微粒子は、平均粒子径が好ましくは1~100nmであり、より好ましくは4~30nmであり、更に好ましく8~25nmである。平均粒子径を1nm以上とすることで、塗料組成物の貯蔵安定性が向上する。平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて粒子を観察したときの、100個の粒子の粒子径の平均値を意味する。
【0026】
コロイダルシリカは、水性分散液の状態であれば、酸性、塩基性のいずれでもよい。
水を分散媒体とする酸性のコロイダルシリカとしては、市販品を用いることもできる。このような市販品としては、例えば、日産化学社製の「スノーテックス(登録商標)-OXS」、「スノーテックス(登録商標)-OS」、「スノーテックス(登録商標)-O」、「スノーテックス(登録商標)-O-40」、「スノーテックス(登録商標)-OL」及び「スノーテックス(登録商標)-OYL」、ADEKA社製の「アデライト(登録商標)AT-20Q」、クラリアントジャパン社製の「クレボゾール(登録商標)20H12」及び「クレボゾール(登録商標)30CAL25」等が挙げられる。
【0027】
塩基性のコロイダルシリカとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アミン等の添加により安定化されたコロイダルシリカが挙げられる。これらは市販品を用いることもできる。このような市販品としては、以下に限定されるものではないが、例えば、日産化学社製の「スノーテックス(登録商標)-XS」、「スノーテックス(登録商標)-S」、「スノーテックス(登録商標)-30」、「スノーテックス(登録商標)-50」、「スノーテックス(登録商標)-20L」、「スノーテックス(登録商標)-XL」、「スノーテックス(登録商標)-YL」、「スノーテックス(登録商標)-ZL」、「スノーテックス(登録商標)-NXS」、「スノーテックス(登録商標)-NS」、「スノーテックス(登録商標)-N」、「スノーテックス(登録商標)-N40」、「スノーテックス(登録商標)-CXS」、「スノーテックス(登録商標)-C」、「スノーテックス(登録商標)-CM」、「スノーテックス(登録商標)-PS-S」及び「スノーテックス(登録商標)PS-M」;ADEKA製の「アデライト(登録商標)AT-20」、「アデライト(登録商標)AT-30」、「アデライト(登録商標)AT-20N」、「アデライト(登録商標)AT-30N」、「アデライト(登録商標)AT-20A」、「アデライト(登録商標)AT-30A」、「アデライト(登録商標)AT-40」及び「アデライト(登録商標)AT-50」;クラリアントジャパン社製の「クレボゾール(登録商標)30R9」、「クレボゾール(登録商標)30R50」、「クレボゾール(登録商標)50R50」、デュポン社製の「ルドックス(登録商標)HS-40」、「ルドックス(登録商標)HS-30」、「ルドックス(登録商標)LS」、及び「ルドックス(登録商標)SM-30」等が挙げられる。
【0028】
水溶性溶媒を分散媒体とするコロイダルシリカとしては、市販品を用いることもできる。このような市販品としては、例えば、日産化学社製の「MA-ST-M(粒子径20~25nmのメタノール分散タイプ)」、「IPAST(粒子径10~15nmのイソプロピルアルコール分散タイプ)」、「EG-ST(粒子径10~15nmのエチレングリコール分散タイプ)」、「EG-ST-ZL(粒子径70~100nmのエチレングリコール分散タイプ)」、「NPC-ST(粒子径10~15nmのエチレングリコールモノプロピルエーテール分散タイプ)」等が挙げられる。
【0029】
上記したコロイダルシリカは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。更に、少量成分として、アルミナやアルミン酸ナトリウム等を含んでいてもよい。また、コロイダルシリカは、安定剤として、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等)や有機塩基(テトラメチルアンモニウム等)を含んでいてもよい。
【0030】
本発明の塗料組成物は、上記の複合粒子と二酸化ケイ素微粒子以外に、樹脂成分、溶媒を含有し、必要に応じて、分散剤、添加剤などを含有する。
【0031】
樹脂成分としては、フェノール樹脂、アルキド樹脂、アクリルアルキド樹脂、アクリル樹脂、アクリルエマルション樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、シロキサン変性ウレタン、シリコン変性アクリルポリマー、シリコン変性ポリエステルなどの各種樹脂を用いることができる。
【0032】
溶媒としては、水、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸アミン、エチレングリコール等が挙げられる。
【0033】
分散剤としては、各種公知のものを用いることができる。例えば、上記複合粒子の表面が二酸化ケイ素によってわずかに酸性となっていることを考慮して、アミン価を有する分散剤(BYK社製「DISPERBYK(登録商標)-183」、「DISPERBYK(登録商標)-184」、「DISPERBYK(登録商標)-185」等)を用いることができる。
もっとも、本発明の塗料組成物では、こうした分散剤を含まなくても、所望の塗膜性能(隠蔽性及び親水性)を十分に発揮することができる。
【0034】
添加剤としては、乳化剤、不凍剤、pH調整剤、増粘剤、消泡剤、濡れ剤など一般に公知のものを用いることができる。
【0035】
本発明の塗料組成物は、複合粒子に含まれる顔料級二酸化チタン粒子によって白色を呈するが、塗膜を白色以外に調色したい場合などに、他の着色剤を配合してもよい。
着色剤としては、一般的な顔料、染料などを用いることができる。例えば、各種無機系の顔料(酸化亜鉛、鉛白、低次酸化チタン、酸窒化チタン(チタンブラック)、カーボンブラック、ボーンブラック(骨炭)、黒鉛、鉄黒、コバルトブラック、鉄-クロム複合酸化物、銅-クロムブラック複合酸化物、Fe-Mn-Biブラック、弁柄、モリブデンレッド、ニッケルアンチモンチタンイエロー、クロムチタンイエロー、黄色酸化鉄、クロムイエロー、群青、紺青、コバルトブルー、コバルトグリーン、クロムグリーン、酸化クロムグリーン、コバルト-アルミ-クロム系グリーン、コバルト-チタン-ニッケル-亜鉛系グリーン等)や、各種有機系の顔料(レーキレッド4R、ITRレッド、ナフトールレッド、ピラロゾンオレンジ、ピラロゾンレッド、ベンツイミダゾロンオレンジ、ウォッチングレッド、レーキレッドR、ボルドー10B、ボンマルーンライト、アントラキノンレッド、ジアントラキノンレッド、アンタントロンレッド、アンタントロンオレンジ、ペリレンレッド、ペリレンマルーン、ペリレンバイオレット、ペリノンオレンジ、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、ジメチルマゼンタ、ジクロロキナクリドンマゼンタ、ジクロロマゼンタ、キナクリドンマルーン、キナクリドンスカーレット、ジケトピロロピロール、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、ジアリリドイエロー、イソインドリンイエロー、キノフタロンイエロー、フタロシアニングリーン、塩素化フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、スレンブルー、ジオキサジンバイオレット等)を用いることができる。また染料としては、塩基性染料(ローダミン、ビスマルクグリーン、マラカイトグリーン、メチルバイオレット等)、直接染料(コンゴーレッド、ダイレクトスカーレット等)、酸性染料(メタニルイエロー、ニグロシン、アシッドファーストレッド等)、含金属錯塩染料、油溶性染料等を用いることができる。これらの着色材の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
【0036】
複合粒子、二酸化ケイ素微粒子、樹脂成分、溶剤とを混合し、必要に応じて分散剤、添加剤、着色材等とを混合して、必要に応じて分散機で撹拌し、適宜脱泡などして本発明の塗料組成物を調製することができる。
【0037】
本発明の塗料組成物において、塗料組成物中の固形分合計質量(主として樹脂成分の固形分+複合粒子+二酸化ケイ素微粒子)に対する上記複合粒子の含有量は40質量%以上であり、かつ、固形分合計質量に対する上記二酸化ケイ素微粒子の含有量は20質量%以上である。
【0038】
塗料組成物中の固形分合計質量に対する複合粒子の含有量が40質量%以上であることにより、複合粒子に含まれる顔料級二酸化チタン粒子の隠蔽力が発揮されて、塗膜の隠蔽性を十分に確保することができる。具体的には、JIS K5600-4-1に従って測定した隠蔽率を80%以上とすることができる。
【0039】
また、塗料組成物中の固形分合計質量に対する二酸化ケイ素微粒子の含有量が20質量%以上であることにより、塗膜に親水性を付与することができる。
更に、塗料組成物中の固形分合計質量に対する複合粒子の含有量が40質量%以上であることにより、複合粒子に含まれる二酸化ケイ素の親水性及び顔料級二酸化チタン粒子の親水性が更に付与されて、塗膜の親水性を向上させることができる。具体的には、水に対する接触角を40°以下、好ましくは30°以下とすることができる。
【0040】
上述のように、複合粒子は、好ましくは顔料級二酸化チタン粒子の質量(MTi)と二酸化ケイ素の質量(MSi)との質量比(MSi/MTi)が0.1~1.2である。この二酸化ケイ素の含有量は、顔料級二酸化チタン粒子を二酸化ケイ素(シリカ)で単に表面処理する場合の含有量に比べて多い量であり、このことも塗膜の親水性向上に寄与するものと推察される。
【0041】
本発明の塗料組成物において、塗料組成物中の固形分合計質量(主として樹脂成分の固形分+複合粒子+二酸化ケイ素微粒子)に対する無機フィラー(複合粒子+二酸化ケイ素微粒子)の総含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。こうすることで、塗膜の隠蔽性を確保しつつ、親水性を更に向上させることが可能となる。
もっとも、無機フィラーの含有量があまりに多すぎると、塗膜の伸縮性が低下するなどしてクラックが生じやすくなることが懸念される。従って、塗膜強度を確保する観点から、無機フィラーの総含有量は90質量%以下とすることが好ましい。
【0042】
本発明の着色親水性塗膜は、上述の塗料組成物を基材に塗布して硬化させたものである。すなわち上述の塗料組成物を、刷毛・ウールローラー等を用いて基材に塗布し、乾燥させることで本発明の着色親水性塗膜を得ることができる。基材にベース塗料を塗布し、その上に上述の塗料組成物を塗布する(重ね塗り)ようにしてもよいが、上述の塗料組成物は十分な隠蔽性を有するため、必ずしもベース塗料を塗布する必要はない。
上記乾燥後に、焼き付けを行ってもよい。焼き付け条件は適宜調整が可能であるが、例えば乾燥炉雰囲気中において、140℃~300℃の温度範囲で焼付時間30秒~30分、好ましくは150℃、20分程度の焼付時間とすることができる。この設定条件とすることで、コイルコーティングラインの乾燥炉にて十分な焼き付けが可能となる。
【0043】
基材としては、建材(金属板、コンクリート、モルタル、石膏、漆喰、プラスチック、ガラス、陶器、石、木等)が挙げられる。また、建築物の外壁、屋根や、橋梁、タンクなどの屋外構造物を基材としてそれに直接塗布することもできる。更に、自動車、電車、飛行機等の車体(金属製、プラスチック製)、遊具、置物等の固定製品や電気機械製品(金属製、プラスチック製、ガラス製、陶器製、石製、木製等)が挙げられる。
基材が金属である場合の具体例としては、金属屋根・壁などの金属製建材、電気機械製品の鋼板類(ボディーパネル材など)等が挙げられ、これらの表面に本発明の着色親水性塗膜を設けてPCM(プレコートメタル)とすることができる。
【実施例0044】
以下の実施例により本発明をより詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されることはない。
【0045】
(複合粒子の製造)
実施例及び比較例の塗料組成物に用いる複合粒子は、以下のようにして製造した。
【0046】
二酸化チタンの水和物(含水酸化チタン)と、焼成処理剤としての酸化亜鉛(二酸化チタンに対して0.8質量%)との混合物を焼成し、二酸化チタン顔料を得た。この二酸化チタン顔料の平均一次粒子径は0.24μmであった。この二酸化チタン顔料129gを純水に分散させ、この溶液に3号水ガラス(ケイ酸ナトリウム水溶液)116.4gを添加し、混合することで、二酸化チタン顔料を含むケイ酸ナトリウム溶液(MSi/MTi=0.271、固形分濃度:175g/L)を調製した。この溶液を撹拌機、温度計を取り付けた反応容器に入れ、撹拌しながら75℃に昇温した。液温を75℃に保ちながら、マイクロチューブポンプ(東京理化器械製 MP-2001)を用いて、35質量%の硫酸を3時間かけて添加し、溶液のpHを7.0~7.5とした後、1時間熟成した。更に、No.2ろ紙を用いて溶液をろ過し、ろ紙上に残った固形物を水洗し、再度ろ過して得られたウエットケーキを120℃設定の乾燥機で16時間加熱乾燥を行った。こうして得られた乾燥粉体を、粉砕機(槇野産業製 スタッドミル 63Z)を用いて乾式粉砕し、その後分級機(ホソカワミクロン製 TC-15M)を用いて分級(回転数:3600rpm、風量:1.5m/分)して、二酸化ケイ素をバインダーとした二酸化チタン顔料の複合粒子Aを得た。
【0047】
上記製法にて得た複合粒子Aについて、粒度、化学組成、比表面積及び吸油量を測定した。
【0048】
(粒度の測定)
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製 LA-910)を用いて粒度分布を測定した。累積50%での粒子径(D50)は4.1μmであり、累積90%での粒子径(D90)は5.3μmであった。測定条件の詳細は以下の通り。
ヘキサメタリン酸ナトリウムを0.3質量%溶解させた水溶液を分散媒とし、その中に試料(複合粒子粉末)を混合し、装置内で循環・撹拌しながら、超音波を3分間照射して十分に分散し、レーザー光による透過率が73±3%となるように調整した後、体積基準での粒度分布を測定した。このとき相対屈折率は2.00-0.00iに設定し、取り込み回数は10回とした。
【0049】
(化学組成の測定)
蛍光X線分析装置(リガク製 RIX-2100)を用いて測定した。アルミリングに試料(複合粒子粉末)を詰め、油圧プレス機にて加圧形成して作製したサンプルを用いて測定した。測定結果に基づいて、酸化チタン(TiO換算)の質量MTiと二酸化ケイ素(SiO換算)の質量MSiとの質量比MSi/MTiを算出したところ、MSi/MTi=0.266であった。
【0050】
(比表面積の測定)
比表面積測定装置(島津製作所製 フローソーブII2300)を用いてBET法により測定した。比表面積は10.9m/gであった。測定条件の詳細は以下の通り。
吸着ガスである窒素を30体積%、キャリアガスであるヘリウムを70体積%含有する窒素-ヘリウム混合ガスを測定用の気体として用いた。セルに試料(複合粒子粉末)を充填し、真空装置を用いて加熱脱気後、窒素-ヘリウム混合ガスを一定量流し、比表面積を測定した。
【0051】
(吸油量の測定)
顔料試験方法JIS-K5101-13-1:2004に準拠して測定した。吸油量は45ml/100gであった。測定条件の詳細は以下の通り。
平滑なガラス板の上に試料(複合粒子粉末)5gを取り、煮あまに油をビュレットから滴下し、その都度全体をパレットナイフで練り合わせた。滴下、練り合わせを繰り返し、パレットナイフを用いてらせん形に巻くことができる状態になった点を終点とした。各試料に吸収された煮あまに油の量を各試料の質量で除して、吸油量を算出した。
【0052】
(塗料組成物の製造)
下記表1、表2の配合にて、実施例及び比較例の塗料組成物を調製した。
詳細には、比較例6以外の塗料組成物については、表1に記載の組成にてミルベースを調製し、これにガラスビーズを加えてペイントシェーカーで30分間撹拌した。ガラスビーズをろ別し、このミルベースを用いて、表2に記載の組成にてレッドダウンを調製し、ラボ・リューション(PRIMIX社製)で3000rpm×5分間撹拌して塗料組成物を得た。
比較例6の塗料組成物については、ミルベースの調製は行わずに、表2に記載の組成にてレッドダウンを調製し、ラボ・リューション(PRIMIX社製)で3000rpm×5分間撹拌して塗料組成物を得た。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
(塗膜作製)
上記の各種実施例及び比較例の塗料組成物をガラス板の基材上に4ミルアプリケーターにて塗布し、5分間セットリングし、150℃×20分にて恒温器を使用して焼き付け、硬化させて塗膜を形成した。こうして得た実施例及び比較例の塗膜について、以下のようにして塗膜性能の評価を行った。
【0056】
(接触角の測定)
焼き付け後、一晩経過した上記塗膜について、水との接触角を接触角計(協和界面科学(株)製:CA-D型)を用いて測定した。測定時の条件として、メモリ20となるように水の液滴調整器のマイクロヘッドをゆっくり回し、針先に液滴を作製し、試料台を上昇させ、試料に液滴を接触させた。試料上の液滴を水平目盛上に合わせ、左右中心にあわせた。その後、試料台を下げ、液滴のトップを水平目盛線に合わせ、可動十字目盛を液滴の左右いずれかの端に合わせ、可動十字目盛の角度目盛を読み取った。読み取り角度の2倍の数値を接触角とした。
【0057】
(隠蔽率の測定)
JIS K5600-4-1:1999に準拠して測定した。具体的には、上記焼付した後の塗膜について、分光色彩計(日本電色工業製 SD5000)を用いてY値(黒字部分のY値)とY値(白地部分のY値)をそれぞれ測定した。また、Y値とY値の値から、以下の式に従ってコントラスト比(Contrast Ratio以下、C.R)を算出した。
C.R.(%)=Y値/Y値×100
【0058】
実施例及び比較例の塗膜性能の評価結果を表3に示す。表3における顔料成分(複合粒子又は二酸化チタン顔料)の含有量は、塗料組成物中の固形分合計質量(樹脂成分の固形分+顔料成分+二酸化ケイ素微粒子)に対する顔料成分の含有量を示し、二酸化ケイ素の含有量は、塗料組成物中の固形分合計質量に対する二酸化ケイ素微粒子の含有量を示す。無機フィラー総含有量は、塗料組成物中の固形分合計質量に対する顔料成分及び二酸化ケイ素微粒子の総含有量を示す。
【0059】
【表3】
【0060】
実施例1~3のように、複合粒子を40質量%以上含有し、更に二酸化ケイ素微粒子を20質量%以上含有する塗料組成物を用いて塗膜を形成することで、所望の隠蔽性と親水性(接触角30°以下)を実現することができる。
【0061】
また、実施例1及び実施例2のように、更に無機フィラー(複合粒子+二酸化ケイ素微粒子)の総含有量が80質量%以上であると、接触角を25°未満とすることができ、より高度な親水性を実現することができる。
【0062】
一方、表3から分かるように、比較例1のように、塗料中に50質量%の複合粒子のみを含む場合、塗膜の隠蔽性は確保できるものの、接触角が40°を超えており、親水性が不十分である。
また、比較例1に対して、16質量%の二酸化ケイ素微粒子を更に添加した場合(比較例2)でも、親水性の改善は見られない。
【0063】
更に、比較例3のように、塗料中に30質量%の二酸化ケイ素微粒子を添加した場合であっても、複合粒子の含有量が35質量%であると、接触角が60°を超えて親水性が不十分となる。
【0064】
一方、比較例4のように、塗料中に二酸化チタン顔料50質量%を含む場合、接触角が52°と大きくなり、また、比較例5のように、塗料中に二酸化チタン顔料を45質量%と二酸化ケイ素微粒子を33質量%含む場合であっても、二酸化チタン顔料が複数個の粒子を二酸化ケイ素で固着した複合粒子でない場合、やはり接触角が40°を超えて親水性が不十分である。
【0065】
比較例6のように、塗料中に二酸化ケイ素微粒子のみを61質量%含む場合、相当量の二酸化ケイ素微粒子を添加することで所望の親水性は確保できるものの、当然ながら、隠蔽性は全く確保できない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、優れた親水性及び隠蔽性を有する着色親水性塗膜を実現することができる。従って、建築物の外壁、屋根や橋梁、タンクなどの表面に塗布して汚れの付着を防止し、付着した汚れを洗い流すための塗料組成物として有用である。