(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139664
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/05 20060101AFI20220915BHJP
E03C 1/044 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
E03C1/05
E03C1/044
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040148
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】岩丸 龍吾
(72)【発明者】
【氏名】松本 陽子
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 幸人
(72)【発明者】
【氏名】峯本 優子
(72)【発明者】
【氏名】城戸 健司
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BB01
2D060BB02
2D060BC30
2D060BE07
2D060BF03
2D060CA04
(57)【要約】
【課題】 ユーザの使用感が良好な水栓装置を提供すること。
【解決手段】 本発明は、水栓装置であって、基端部と、前記基端部の一方側の側面に設けられた流調及び/または温調操作部と、前記基端部の上面側に前記基端部に対して回転可能に設けられ、前方側に延出すると共に、吐水口を有する回転部と、前記回転部の他方側の側面に設けられたセンサ窓と、前記回転部内に設けられ、前記センサ窓を介して信号を送受信して物体を検知可能な物体検知センサと、前記吐水口へ流れる水の吐止水を切り替える切替装置と、前記物体検知センサによる検知状態に応じて、前記切替装置を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする水栓装置である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓装置であって、
基端部と
前記基端部の一方側の側面に設けられた流調及び/または温調操作部と、
前記基端部の上面側に前記基端部に対して回転可能に設けられ、前方側に延出すると共に吐水口を有する回転部と、
前記回転部の他方側の側面に設けられたセンサ窓と、
前記回転部内に設けられ、前記センサ窓を介して信号を送受信して物体を検知可能な物体検知センサと、
前記吐水口へ流れる水の吐止水を切り替える切替装置と、
前記物体検知センサによる検知状態に応じて、前記切替装置を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
前記物体検知センサは、光電センサであり、
前記光電センサは、
検出光を投光する投光素子と、
前記投光素子によって投光された前記検出光の反射光を受光する受光素子と、
を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の水栓装置。
【請求項3】
前記投光素子は、前記回転部が初期設定位置にある状態で、斜め前方に向かって前記検出光を投光するようになっている
ことを特徴とする請求項2に記載の水栓装置。
【請求項4】
前記受光素子は、前記投光素子の後方側に配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の水栓装置。
【請求項5】
前記投光素子及び前記受光素子を収納する一方で、前記検出光の透過を許容する投光開口及び前記反射光の透過を許容する受光開口を有するセンサ保持部材
を更に備え、
前記投光開口の後方端は、前記回転部が初期設定位置にある状態で、前記投光素子よりも前方に位置している
ことを特徴とする請求項4に記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水栓装置として、吐止水を切り替えるための電磁弁と、当該電磁弁を制御するためのコントローラと、吐止水の切替動作を起動するべくユーザの「手かざし」を感知するセンサと、湯水混合水の温度・流量が調節可能な手動操作レバーを有する水栓本体と、を備えた構成が、従来から広く知られている(特許文献1)。
【0003】
更に、高温水吐水に対する配慮を加えた構成も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6-30920号公報
【特許文献2】特開2004-190452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件発明者は、基端部と、前記基端部の一方側の側面に設けられた流調及び/または温調操作部と、前記基端部の上面側に前記基端部に対して回転可能に設けられ前方側に延出すると共に吐水口を有する回転部と、前記吐水口へ流れる水の吐止水を切り替える切替装置と、物体検知センサ(ユーザの「手かざし」を感知するセンサ)による検知状態に応じて前記切替装置を制御する制御部と、を備えたタイプの水栓装置(いわゆる「首振り機能付き」水栓装置)において、物体検知センサの配置態様について鋭意検討を重ねてきた。
【0006】
前記タイプの水栓装置は、回転部が基端部に対して回転可能であることにより、吐水口の位置を回転させることができ、高い利便性を提供することができる。
【0007】
本件発明者は、当初、回転部の位置姿勢とは無関係な基端部に、物体検知センサを配置することを検討した。しかしながら、モニタリング調査の結果、物体検知センサは、比較的下方に位置する基端部に配置するよりも、基端部の上方に位置する回転部に配置する方が、ユーザの使用感がより良好であることが分かった。(ユーザは、前かがみの姿勢になることを、少しでも回避したいようである。)
【0008】
本件発明者は、次に、回転部の位置姿勢とは比較的無関係な回転部の奥方上面部に、物体検知センサを配置することを検討した。しかしながら、モニタリング調査の結果、回転部の奥方上方部に物体検知センサを配置すると、濡れた手を当該センサにかざす際に回転部が濡れてしまうことがあり、ユーザはそのことを不快に思うことが分かった。
【0009】
本件発明者は、次に、回転部の側面であって流調及び/または温調操作部と同一側の側面に、物体検知センサを配置することを検討した。この態様は、「手かざし」の動作と、流調及び/または温調操作部に対する操作と、を一連の動きとして実施できるため、ユーザにとって好適なのではないか、と推測されたが、ユーザの使用感は後述する態様には及ばなかった。ユーザは、むしろ、「手かざし」の動作の際、流調及び/または温調操作部に手が当たらないことを意識する必要があることを敬遠するようである。
【0010】
本件発明者は、次に、回転部の側面であって流調及び/または温調操作部と反対側の側面に、物体検知センサを配置することを検討した。この態様が、モニタリング調査の結果、ユーザの使用感が最も良かった。
【0011】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、基端部と、前記基端部の一方側の側面に設けられた流調及び/または温調操作部と、前記基端部の上面側に前記基端部に対して回転可能に設けられ前方側に延出すると共に吐水口を有する回転部と、前記吐水口へ流れる水の吐止水を切り替える切替装置と、物体検知センサ(ユーザの「手かざし」を感知するセンサ)による検知状態に応じて前記切替装置を制御する制御部と、を備えたタイプの水栓装置(いわゆる「首振り機能付き」水栓装置)において、ユーザの使用感が良好な水栓装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、水栓装置であって、基端部と、前記基端部の一方側の側面に設けられた流調及び/または温調操作部と、前記基端部の上面側に前記基端部に対して回転可能に設けられ、前方側に延出すると共に、吐水口を有する回転部と、前記回転部の他方側の側面に設けられたセンサ窓と、前記回転部内に設けられ、前記センサ窓を介して信号を送受信して物体を検知可能な物体検知センサと、前記吐水口へ流れる水の吐止水を切り替える切替装置と、前記物体検知センサによる検知状態に応じて、前記切替装置を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする水栓装置である。
【0013】
本発明によれば、回転部の他方側(流調及び/または温調操作部と反対側)の側面に設けられたセンサ窓を介して物体検知センサを作動させることにより、ユーザの使用感が良好な水栓装置を提供することができる。特に、流調及び/または温調操作部を操作する際に物体検知センサの誤検知が生じる虞を顕著に低減できる。
【0014】
例えば、前記物体検知センサは、光電センサであり、前記光電センサは、検出光を投光する投光素子と、前記投光素子によって投光された前記検出光の反射光を受光する受光素子と、を有している。
【0015】
このような光電センサは、小型化(特に薄型化)可能であって低コストであるため、水栓装置の吐止水制御において有効である。
【0016】
また、この場合、前記投光素子は、前記回転部が初期設定位置にある状態で、斜め前方に向かって前記検出光を投光するようになっていることが好ましい。
【0017】
本発明の水栓装置においては、回転部が基端部に対して回転可能であることにより、吐水口の位置を回転させることができ、高い利便性を提供することができる。しかしながら、回転部が初期設定位置にある状態(正面側に延出している状態)で投光素子が真横(あるいは斜め後方)に向かって検出光を投光するようになっていると、回転部が投光開口側に回転された状態で、検出光が回転部の背後に存在し得る化粧台壁面等に反射して、光電センサの誤検知が生じてしまう可能性がある。これに対し、投光素子が、回転部が初期設定位置にある状態で、斜め前方に向かって検出光を投光するようになっていれば、この問題を緩和ないし排除することができる。
【0018】
また、この場合、前記受光素子は、前記投光素子の後方側に配置されていることが更に好ましい。
【0019】
受光素子が投光素子の後方側に配置されていれば、受光素子が不所望の反射光を受光する虞が低減されるため、光電センサの誤検知が生じてしまう可能性を更に顕著に低減することができる。
【0020】
更に、この場合、前記投光素子及び前記受光素子を収納する一方で、前記検出光の透過を許容する投光開口及び前記反射光の透過を許容する受光開口を有するセンサ保持部材を更に備え、前記投光開口の後方端は、前記回転部が初期設定位置にある状態で、前記投光素子よりも前方に位置していることが好ましい。
【0021】
これによれば、投光素子から投光開口の後方端を通って投光(漏光)される検出光(の一部)が、真横方向に対して後方側(受光開口側)へ進行することがないため、当該検出光(の一部)がセンサ窓等の内部において屈折を繰り返して受光開口内に入って受光素子に至って誤検知を引き起こすという虞を顕著に低減できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、回転部の他方側(流調及び/または温調操作部と反対側)の側面に設けられたセンサ窓を介して物体検知センサを作動させることにより、ユーザの使用感が良好な水栓装置を提供することができる。特に、流調及び/または温調操作部を操作する際に物体検知センサの誤検知が生じる虞を顕著に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る水栓装置が設置された洗面化粧台を示す概略正面図である。
【
図2】
図1の洗面化粧台のボウル部の後方位置での縦断面図である。
【
図7】
図1の水栓装置の基端部及び回転部の縦断面図である。
【
図8】
図1の水栓装置の回転部の分解斜視図である。
【
図10】
図9の回転部を左側(投光開口側)に回転した状態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(洗面化粧台100の全体構成)
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る水栓装置1が設置された洗面化粧台100を示す概略正面図であり、
図2は、
図1の洗面化粧台100のボウル部102の後方位置での縦断面図である。
【0025】
本実施形態の水栓装置1は、湯水の流調及び温調が可能な湯水混合水栓である。
図1及び
図2に示すように、洗面化粧台100の下方壁面103には、給湯口2と給水口3とが設けられており、給湯口2は、湯供給電磁弁52及び給湯管22を介して、水栓装置1の基端部10内の湯水混合弁21(後述する
図6参照)に接続されており、給水口3は、水供給電磁弁53及び給水管23を介して、同じ湯水混合弁21に接続されている。
【0026】
湯水混合弁21は、それ自体公知の構成であって、シングルレバーカートリッジを利用して、流調と温調とを制御(操作)できるようになっている。具体的には、湯が給湯管22を介して供給され、水が給水管23を介して供給され、シングルレバーカートリッジの位置姿勢に応じて所望の流量及び温度となるように混合された後、出水管24及びホース25を介して吐水がなされるようになっている。
【0027】
ホース25は、出水管24に接続されており、出水管24に固定されたホーススペーサガイド26を通過することで、洗面化粧台100の下方空間での動きを制限されている。また、ホーススペーサガイド26の下方で、ホース25にストッパ27が取り付けられ、ホース25の引き出し量を制限している。
【0028】
本実施形態の水栓装置1は、洗面化粧台100の上方壁面101から、4cm程度の間隙を空けて、配置されている。
【0029】
本実施形態の水栓装置1は、右方側(一方側)突出部を有する略「ト」字状の基端部10と、当該基端部10の右方側(一方側)突出部の右方側(一方側)側面に設けられた流調及び温調操作レバー20(流調及び温調操作部)と、基端部10の上面側に当該基端部10に対して回転可能に設けられた回転部30(後述するプルアウト部材40を含む)と、を備えている。
【0030】
(水栓装置1の基端部10)
水栓装置1は、基端部10において、洗面化粧台100に固定されている。
【0031】
図3は、本実施形態の水栓装置1の基端部10の斜視図であり、
図4は、本実施形態の水栓装置1の基端部10の平面図であり、
図5は、本実施形態の水栓装置1の基端部10の正面図であり、
図6は、本実施形態の水栓装置1の基端部10の縦断面図である。
【0032】
図3乃至
図6に示すように、基端部10は、右方側(一方側)突出部を有する略「ト」字状の中空部材であり、上面側に小径筒部13を有している。当該小径筒部13には、後述するセンサ保持部材32(
図7及び
図8参照)が嵌合されるようになっている。
【0033】
特に
図4に示すように、小径筒部13には、略円筒形のホースガイド穴15が設けられている。ホースガイド穴15の中心軸は、小径筒部13及び基端部10の中心軸よりも左側にずれている。ホースガイド穴15には、筒状のホースガイド17(
図3及び
図6参照)が装着され、ホース25は当該ホースガイド17内を挿通されている。ホースガイド17とセンサ保持部材32との間には,空間が設けられている。すなわち、ホースガイド17は、少なくとも通常の水栓装置1の使用時においては、センサ保持部材32とは接触しない(負荷を直接的に伝達しない)ように配置されている。
【0034】
そして、当該ホースガイド穴15の右側に隣接して、略円弧筒型のハーネスガイド穴14が設けられている。このようなハーネスガイド穴14により、回転部30が回転される際、回転部30内に挿通されたハーネス33h(後述する光電センサ33から延出して水栓装置1内部を通ってコントローラボックス55(
図1及び
図2参照)に至る)に不所望の負荷がかかることが抑制されている。
【0035】
また、以上のような形態のホースガイド穴15及びハーネスガイド穴14の組み合わせにより、両ガイド穴15、14を最小のレイアウトで配置することができ、意匠性において優れる。
【0036】
なお、ホースガイド穴15の内径は、ホースガイド17の外径とハーネス33hの外径との和よりも小さいことが好ましい。これにより、水栓装置1の施工時及びメンテナンス時に誤組が生じることを効果的に防止することができる。
【0037】
一方、
図6に示すように、基端部10の右方側(一方側)突出部の内部に、湯水混合弁21が収容されている。
【0038】
(水栓装置1の流調及び温調操作レバー20(流調及び温調操作部))
湯水混合弁21は、シングルレバーカートリッジ弁であって、そのシングルレバー部分が、流調及び温調操作レバー20(流調及び温調操作部)となっている。
【0039】
(水栓装置1の回転部30)
図7は、本実施形態の水栓装置1の基端部10及び回転部30の縦断面図であり、
図8は、本実施形態の水栓装置1の回転部30の分解斜視図であり、
図9は、本実施形態の水栓装置1の回転部30の横断面図であり、
図10は、
図9の回転部30を左側(投光開口32a側)に回転した状態の横断面図である。
【0040】
図7及び
図8に示すように、回転部30の外郭部材31(黄銅鋳物製)に対して、回転部30のセンサ保持部材32(POM製)が、着脱可能に取り付けられている。具体的には、下方側から、3本の固定ネジ35を介して着脱可能に取り付けられている。
【0041】
図8乃至
図10に示すように、外郭部材31の上方左側の部位に、略長方形状の横長のセンサ窓34が設けられている。当該センサ窓34に、センサ保持部材32のセンサ嵌合部32fの先端部に設けられた投光開口32a及び受光開口32bが対向している。
【0042】
図9及び
図10に示すように、投光開口32aは、略四角柱状の投光側トンネル32cの斜めの切断開口面として形成されており、略同様に、受光開口32bは、略四角柱状の受光側トンネル32dの斜めの切断開口面として形成されている。
【0043】
そして、
図8乃至
図10に示すように、光電センサ33が、センサ保持部材32のセンサ嵌合部32fに嵌合されて保持されている。
【0044】
光電センサ33は、
図9及び
図10に示すように、検出光を投光する投光素子33aと、投光素子33aによって投光された検出光の反射光を受光する受光素子33bと、を有している。受光素子33bは、投光素子33aの後方側に配置されている。
【0045】
投光素子33aは、回転部30が初期設定位置にある状態で(すなわち、
図9に示すように正面側に延出した状態で)、斜め前方(例えば真横方向に対して20度~60度前方寄り、本実施形態では真横方向に対して30度前方寄り)に向かって検出光を投光するようになっている。投光素子33aから投光される検出光は、投光側トンネル32c及び投光開口32aを通過してセンサ窓34を透過し、当該検出光の反射光が、センサ窓34を透過して受光開口32b及び受光側トンネル32dを通過して受光素子33bに至る。
【0046】
これにより、回転部30が投光開口32a側(左側)に回転された状態で、検出光が回転部30の背後に存在し得る洗面化粧台100の上方壁面101等に反射して光電センサ33の誤検知を招く虞を顕著に低減できる。
図10は、このような状態を示している。
図10では、回転部30が約40度だけ投光開口32a側(左側)に回転されているが、投光素子33aから投光される検出光(
図10で矢印で示している)が洗面化粧台100の上方壁面101等に反射して光電センサ33の誤検知を招く虞は、極めて小さい。
【0047】
また、投光開口32aの後方端は、回転部30が初期設定位置にある状態で(すなわち、
図9に示すように正面側に延出した状態で)、投光素子33aよりも前方に位置している。これにより、投光素子33aから投光されて投光開口32aを透過する検出光は、真横方向に対して少なくともθ度(
図9参照)だけ前方に進行する。すなわち、投光素子33aから投光開口32aの後方端を通って投光(漏光)される検出光(の一部)が、真横方向に対して後方側(受光開口32b側)へ進行することがない。このため、当該検出光(の一部)がセンサ窓34等の内部において屈折を繰り返して受光開口32b内に入って受光素子33bに至って誤検知を引き起こすという虞を顕著に低減できる。
【0048】
図8に戻って、センサ保持部材32のセンサ嵌合部32fは、センサ保持部材32の上端側に位置している。センサ保持部材32の下端側には、基端部10の小径筒部13と回動可能に篏合する筒状部32hが設けられている。センサ嵌合部32fと筒状部32hとは、ホース25の向きを略90度変えるように案内する湾曲案内部32gによって接続されている。
【0049】
図7をも参照して、ビス36(角度規制部材の一例)が、センサ保持部材32の筒状部32hの貫通孔を貫通するように(ビス36と筒状分32hが接触しないように当該貫通孔はビス36の直径よりも大きくなっている)、回転部30の外郭部材31に固定されている。当該ビス36は、基端部10の小径筒部13に設けられた周方向溝13g内を周方向に移動可能となっており、すなわち、回転部30の回転可能角度は、周方向溝13g内で移動可能なビス36の周方向角度として規定されている(周方向溝13gの左右両端(角度規制協働部の一例)が規定する範囲が、回転可能角度範囲となっている)。例えば、左側に約40度の回転位置(
図10参照)から右側に約80度の回転位置までの範囲が、回転可能角度範囲とされ得る。その他、ビス36の下方側には、Oリング37が設けられており、ビス36の上方側には、外郭部材31のがたつきを抑制するためのガタ防止リング38が設けられている。
【0050】
光電センサ33は、ビス36(角度規制部材の一例)より上方に配置されており、センサ保持部材32は、回転部30に接続されるとともに、ビス36の上方から下方まで延在している。また、基端部10は、回転部30の内部に位置してビス36より上方へ延在している小径筒部13(挿入部の一例)を有しており、センサ保持部材32は、回転部30と小径筒部13との間に位置する筒状部32h(本実施形態では円筒部)を更に有している。
【0051】
また、本実施形態では、回転部30の外郭部材31の前方側(正面側)に、プルアウト部材40が設けられている。プルアウト部材40は、ホース25に接続されており、外郭部材31に対して近づく乃至離れることが可能となっている。プルアウト部材40も回転部30の一部であり、吐水口41はプルアウト部材40に設けられている。
【0052】
(水栓装置1の制御)
流調と温調については、流調及び温調操作レバー20に対するユーザの手動操作によって制御される。
【0053】
止水→吐水の切り替えは、光電センサ33がユーザの「手かざし」を検知することによって制御される。具体的には、光電センサ33の検知信号が、ハーネス33hを介してコントローラボックス55(制御部)に伝達され、当該コントローラボックス55から所定の駆動信号が、不図示のハーネスを介して湯供給電磁弁52及び水供給電磁弁53(切替装置の一例)に伝達される(
図1及び
図2参照)。本実施形態では、ユーザの火傷防止の観点から、水供給電磁弁53の開放が湯供給電磁弁52の開放よりも所定時間だけ先行するようになっている。
【0054】
吐水→止水の切り替えは、光電センサ33がユーザの「手かざし」を再び検知することによって制御されてもよいし、あるいは、所定時間ないし所定量の吐水によって自動的に止水するようになっていてもよい。
【0055】
なお、図示は省略しているが、コントローラボックス55には、商用のAC電源が接続されている。そして、光電センサ33とコントローラボックス55とを接続するハーネス33hは、信号線と電力供給線とを含んでいる。同様に、光電センサ33と湯供給電磁弁52及び水供給電磁弁53とを接続するハーネス(不図示)も、信号線と電力供給線とを含んでいる。
【0056】
(水栓装置1の作用効果)
以上のように構成された本実施形態の水栓装置1によれば、回転部30の左側(流調及び温調操作レバー20と反対側)の側面に設けられたセンサ窓34を介して光電センサ33(物体検知センサ)が作動されるため、ユーザの使用感が良好である。特に、流調及び温調操作レバー20を操作する際に光電センサ33の誤検知が生じる虞を顕著に低減できる。
【0057】
また、本実施形態の水栓装置1が採用する光電センサ33は、小型化(特に薄型化)されていて、且つ、低コストであるため、水栓装置1の吐止水制御において有効である。
【0058】
また、本実施形態の水栓装置1においては、投光素子33aが、回転部30が初期設定位置にある状態で(すなわち、
図9に示すように正面側に延出した状態で)、斜め前方(本実施形態では真横方向に対して30度前方寄り)に向かって検出光を投光するようになっている。このため、回転部30が投光開口32a側に回転された状態でも(
図10参照)、検出光が回転部30の背後に存在し得る洗面化粧台100の上方壁面101等に反射して光電センサ33の誤検知を招く虞を顕著に低減できる(
図10参照)。
【0059】
更に、本実施形態の水栓装置1においては、受光素子33bが、投光素子33aの後方側に配置されている。このことによっても、受光素子33bが不所望の反射光を受光する虞が低減されるため、光電センサ33の誤検知が生じてしまう可能性が更に低減される。
【0060】
更に、本実施形態の水栓装置1においては、投光素子33a及び受光素子33bを収納する一方で、検出光の透過を許容する投光開口32a及び反射光の透過を許容する受光開口32bを有するセンサ保持部材32が設けられ、投光開口32aの後方端は、回転部30が初期設定位置にある状態で(すなわち、
図9に示すように正面側に延出した状態で)、投光素子33aよりも前方に位置している。これにより、投光素子33aから投光開口32aの後方端を通って投光(漏光)される検出光(の一部)が、真横方向に対して後方側(受光開口32b側)へ進行することがないため、当該検出光(の一部)がセンサ窓34等の内部において屈折を繰り返して受光開口32b内に入って受光素子33bに至って誤検知を引き起こすという虞を顕著に低減できる。
【0061】
また、以上のように構成された本実施形態の水栓装置1によれば、回転部30にビス36(角度規制部材の一例)が設けられており、当該ビス36は、回転部30の一方側への回転によって当該ビス36が基端部10の周方向溝13gの一方側端(角度規制協働部の一例)と当接する周方向位置から、回転部30の他方側への回転によって当該ビス36材が基端部10の周方向溝13gの他方側端(角度規制協働部の一例)と当接する周方向位置まで、回転部30の回転可能角度を規制している一方で、当該ビス36は、センサ保持部材32とは接触しないようになっている(センサ保持部材32の筒状部32hに設けられた大きな貫通孔を貫通している)。すなわち、ビス36がセンサ保持部材32と接触することがないレイアウトが採用されている。このため、ビス36が基端部10(の対応する角度規制協働部)に当接する際に受ける負荷がセンサ保持部材32ひいては光電センサ33に直接的に伝達されることがなく、光電センサ33の不所望な位置ずれ(特にセンサ窓34に対して)が生じ難い。
【0062】
また、以上のように構成された本実施形態の水栓装置1によれば、基端部10内にホースガイド17が装着されており、当該ホースガイド17内を、吐水口41へ給水するために回転部30(のプルアウト部材40)に接続されたホース25が挿通されている一方で、当該ホースガイド17は、センサ保持部材32とは接触しないようになっている。このため、回転部30の回転に伴ってホース25によってホースガイド17に与えられる負荷がセンサ保持部材32ひいては光電センサ33に直接的に伝達されることがなく、光電センサ33の不所望な位置ずれ(特にセンサ窓34に対して)が生じ難い。
【0063】
更に、本実施形態の水栓装置1において、センサ保持部材32の筒状部32hと回転部30との間(の少なくとも一部)に、空隙が形成されていることが好ましい。このような空隙の存在により、回転部30内に水が入り込んだ際にも、当該水が良好に排出される。また、このような空隙の存在により、回転部30の下方から回転部30の内部に向かって光電センサ33及びセンサ保持部材32を取り付ける際に、当該光電センサ33及びセンサ保持部材32を回転部30の内部へ挿入し易い。更に、センサ保持部材32の筒状部32hが回転部30と小径筒部13(挿入部の一例)との間に配置されていることにより、回転部30の内周面の断面形状が略真円形状でなくとも、筒状部32hと小径筒部13とによって回転部30とセンサ保持部材32との間の回転性能を担保できる。
【0064】
なお、物体検知センサ(反射型物体検知センサ)としては、可視光や赤外線を利用する光電センサ33に代えて、マイクロ波などの電磁波を利用するマイクロ波センサや、超音波を利用する超音波センサなども用いられ得る。
【符号の説明】
【0065】
1 水栓装置
2 給湯口
3 給水口
10 基端部
13 小径筒部
13g 周方向溝
14 ハーネスガイド穴
15 ホースガイド穴
17 ホースガイド
20 温調操作レバー
21 湯水混合弁
22 給湯管
23 給水管
24 出水管
25 ホース
26 ホーススペーサガイド
27 ストッパ
30 回転部
31 外郭部材
32 センサ保持部材
32a 投光開口
32b 受光開口
32c 投光側トンネル
32d 受光側トンネル
32f センサ嵌合部
32g 湾曲案内部
32h 筒状部
33 光電センサ
33a 投光素子
33b 受光素子
33h ハーネス
34 センサ窓
35 固定ネジ
36 ビス
37 Oリング
38 ガタ防止リング
40 プルアウト部材
41 吐水口
52 湯供給電磁弁
53 水供給電磁弁
55 コントローラボックス
100 洗面化粧台
101 上方壁面
102 ボウル部
103 下方壁面