(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139670
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】バスバ用プロテクタ及びプロテクタ付バスバ
(51)【国際特許分類】
H01R 4/70 20060101AFI20220915BHJP
H01R 4/58 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H01R4/70 B
H01R4/58 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040157
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 貴司
(72)【発明者】
【氏名】須藤 海智
(72)【発明者】
【氏名】城田 一将
(72)【発明者】
【氏名】尾河 涼太
(57)【要約】
【課題】部品端子の不用意な導通を効果的に回避しつつ作業者の負担を抑えて回路遮断部品を対象回路に接続する。
【解決手段】第1バスバ用プロテクタ12において、回路遮断部品の第1部品端子を対象回路に接続する第1バスバ11における第1部品側接続部112を収めて保護する第1部品側保護部121bが、第1部品端子に対する接続方向D14からの平面視で第1部品側接続部112を囲むように設けられた第1部品側環状部121b-1と、この第1部品側環状部121b-1における接続方向D14の側の開口121b-1bを開閉可能の蓋状に塞ぐ第1部品側キャップ部121b-2と、第1部品側接続部112が第1部品端子に接続されるときに第2部品端子を覆うように、第1部品側環状部121b-1から張り出して設けられたカバー部121b-4と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合って設置されて対象回路に接続可能な第1部品端子及び第2部品端子を介して前記対象回路を遮断状態及び導通状態に切替え可能に設定する回路遮断部品の前記第1部品端子を前記対象回路に接続するバスバにおける、前記第1部品端子及び前記対象回路との接続部を除いたバスバ本体部を収めて保護する絶縁樹脂製の本体保護部と、
前記バスバにおける前記接続部を、前記第1部品端子及び前記対象回路に接続可能に収めて保護するように設けられた絶縁樹脂製の保護部と、を備え、
前記接続部において前記第1部品端子に接続される部品側接続部を収めて保護する、前記保護部のうちの部品側保護部が、
前記第1部品端子に対する接続方向からの平面視で前記部品側接続部を囲むように設けられた部品側環状部と、
前記部品側環状部における前記接続方向の側の開口を開閉可能の蓋状に塞ぐ部品側キャップ部と、
前記部品側接続部が前記第1部品端子に接続されるときに前記第2部品端子を覆うように、前記部品側環状部から張り出して設けられたカバー部と、
を備えたことを特徴とするバスバ用プロテクタ。
【請求項2】
前記カバー部が、
前記第2部品端子を囲むカバー環状部と、
前記カバー環状部における前記第2部品端子に対する接続方向の側を塞ぐように前記カバー環状部と一体に設けられたカバー天井部と、
を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載のバスバ用プロテクタ。
【請求項3】
前記カバー部が、前記部品側環状部の内側に向かって開口しており、前記カバー部の内側と前記部品側環状部の内側とが互いに連続した空間となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバスバ用プロテクタ。
【請求項4】
前記回路遮断部品の前記第2部品端子は、当該第2部品端子を前記対象回路に接続する第2バスバにおける第2部品側接続部が接続されるものであり、
前記カバー部は、前記第2部品端子とともに、当該第2部品端子に接続された前記第2部品側接続部も覆うように形成されていることを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載のバスバ用プロテクタ。
【請求項5】
前記部品側環状部が、前記第2部品端子とは反対側で前記本体保護部に連結し、前記第2部品端子の側で前記カバー部に連結しており、
前記部品側キャップ部が、前記部品側環状部における前記本体保護部との連結箇所及び前記カバー部との連結箇所を結ぶ線と交差する開閉方向に開閉可能となるように、前記部品側環状部にヒンジを介して連結されていることを特徴とする請求項1~4のうち何れか一項に記載のバスバ用プロテクタ。
【請求項6】
前記部品側保護部は、前記部品側環状部、前記部品側キャップ部、及び前記カバー部が絶縁性樹脂で一体成形されたものであり、
前記ヒンジが、前記部品側キャップ部及び前記部品側環状部よりも薄く折畳み可能に成形されて前記部品側キャップ部を前記部品側環状部に開閉可能に連結する部位であることを特徴とする請求項5に記載のバスバ用プロテクタ。
【請求項7】
隣り合って設置されて対象回路に接続可能な第1部品端子及び第2部品端子を介して前記対象回路を遮断状態及び導通状態に切替え可能に設定する回路遮断部品の前記第1部品端子を前記対象回路に接続するバスバと、
前記バスバを収容する請求項1~6のうち何れか一項に記載のバスバ用プロテクタと、
を備えたことを特徴とするプロテクタ付バスバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバを収容して保護するバスバ用プロテクタと、そのようなプロテクタを備えたプロテクタ付バスバと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、設定対象の回路に接続されて、例えば回路メンテナンス等の際に不用意に電流が流れたりしないように対象回路を遮断状態に設定する回路遮断部品が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の回路遮断部品は、乗用車の電力回路に接続されるコネクタ部品となっており、着脱自在で導通設定用のサービスプラグが外されることで設定対象の電力回路が遮断状態に設定される。
【0003】
ここで、このような回路遮断部品と対象回路との接続にバスバが用いられることがある。バスバを用いるに当たっては、バスバを絶縁樹脂製のバスバ用プロテクタに収容したプロテクタ付バスバの状態で設置すること等が広く行われている(例えば、特許文献2~4参照。)。このようなバスバ用プロテクタ及びプロテクタ付バスバを用いることで、電力回路等といった高圧回路を設定対象とする場合であっても、バスバが絶縁保護された状態で回路遮断部品を接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011-530151号公報
【特許文献2】特開2019-054759号公報
【特許文献3】特開2017-059436号公報
【特許文献4】特開2014-149213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した回路遮断部品には、対象回路との接続のために、サービスプラグの着脱応じて導通状態と遮断状態とに切替え可能に設定される一対の部品端子が設けられているものがある。このような回路遮断部品と対象回路との接続にバスバが用いられる場合には、各部品端子がバスバを介して、対象回路において対応する回路端子に接続されることとなる。また、接続作業の際には、サービスプラグが外されて一対の部品端子が遮断状態に設定された上で作業が行われる。
【0006】
このとき、回路遮断部品の中には、対象回路との接続のための一対の部品端子について、その相互間隔が短く接近した状態となっているものがある。そして、このような回路遮断部品を、バスバを介して対象回路に接続する作業は、一対の部品端子が金属製の工具の接触等で不用意に導通してしまわないように細心の注意を払って行う必要がある。このような接続作業は、多くの場合、作業者にとって負担の大きい作業となる。
【0007】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、部品端子の不用意な導通を効果的に回避しつつ作業者の負担を抑えて回路遮断部品を対象回路に接続することができるバスバ用プロテクタ及びプロテクタ付バスバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、バスバ用プロテクタは、隣り合って設置されて対象回路に接続可能な第1部品端子及び第2部品端子を介して前記対象回路を遮断状態及び導通状態に切替え可能に設定する回路遮断部品の前記第1部品端子を前記対象回路に接続するバスバにおける、前記第1部品端子及び前記対象回路との接続部を除いたバスバ本体部を収めて保護する絶縁樹脂製の本体保護部と、前記バスバにおける前記接続部を、前記第1部品端子及び前記対象回路に接続可能に収めて保護するように設けられた絶縁樹脂製の保護部と、を備え、前記接続部において前記第1部品端子に接続される部品側接続部を収めて保護する、前記保護部のうちの部品側保護部が、前記第1部品端子に対する接続方向からの平面視で前記部品側接続部を囲むように設けられた部品側環状部と、前記部品側環状部における前記接続方向の側の開口を開閉可能の蓋状に塞ぐ部品側キャップ部と、前記部品側接続部が前記第1部品端子に接続されるときに前記第2部品端子を覆うように、前記部品側環状部から張り出して設けられたカバー部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために、プロテクタ付バスバは、隣り合って設置されて対象回路に接続可能な第1部品端子及び第2部品端子を介して前記対象回路を遮断状態及び導通状態に切替え可能に設定する回路遮断部品の前記第1部品端子を前記対象回路に接続するバスバと、前記バスバを収容する上述のバスバ用プロテクタと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記のバスバ用プロテクタ及びプロテクタ付バスバによれば、バスバの部品側接続部が回路遮断部品の第1部品端子に接続されるときには、この第1部品端子を囲む部品側環状部から張り出したカバー部が、隣の第2部品端子を覆うこととなる。このようにカバー部が第2部品端子を覆うことで、第1部品端子にバスバの部品側接続部を接続する際に、金属製の工具等が第2部品端子に接触して第1部品端子と第2部品端子とが不用意に導通する等といった事態が効果的に回避される。そして、このような導通が回避されていることで、作業者は、隣の第2部品端子のことを気にすることなく、負担が抑えられた状態で回路遮断部品を対象回路に接続することができる。このように、上記のバスバ用プロテクタ及びプロテクタ付バスバによれば、部品端子の不用意な導通を効果的に回避しつつ作業者の負担を抑えて回路遮断部品を対象回路に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態にかかる第1プロテクタ付バスバを接続対象とともに示す斜視図である。
【
図2】
図1に示されている回路遮断部品を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示されている第2プロテクタ付バスバを示す斜視図である。
【
図4】
図3に示されている第2プロテクタ付バスバの分解斜視図である。
【
図5】第2プロテクタ付バスバが回路遮断部品と対象回路との間に設置される様子を示す図である。
【
図6】
図1に示されている第1プロテクタ付バスバを示す斜視図である。
【
図7】
図6に示されている第1プロテクタ付バスバの分解斜視図である。
【
図8】第1プロテクタ付バスバが回路遮断部品と対象回路との間に設置される様子を示す図である。
【
図9】誤って第1プロテクタ付バスバの方が先に設置された様子を示す図である。
【
図10】第1プロテクタ付バスバ及び第2プロテクタ付バスバの取外しの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、バスバ用プロテクタ及びプロテクタ付バスバの一実施形態について説明する。
【0013】
図1は、一実施形態にかかる第1プロテクタ付バスバを接続対象とともに示す斜視図であり、
図2は、
図1に示されている回路遮断部品を示す斜視図である。
【0014】
第1プロテクタ付バスバ1及び第2プロテクタ付バスバ2は、各々、高電圧装置である第1電源A111及び第2電源A112を回路遮断部品A13に接続する部材である。まず、回路遮断部品A13について説明すると、コネクタハウジングA131、第1コネクタタブA132、第1部品端子A133、第2コネクタタブA134、及び第2部品端子A135、を備えるコネクタ部品となっている。コネクタ部品である回路遮断部品A13は、第1電源A111及び第2電源A112を有する電源直流回路を対象回路A11する。そして、図中点線で模式的に示された相手側コネクタとしてのサービスプラグA14の、図中に矢印で示された着脱方向D11の着脱によって、この対象回路A11を遮断状態及び導通状態に切替え可能に設定する。
【0015】
回路遮断部品A13におけるコネクタハウジングA131は、図中左右方向に固定用フランジA131aが突出した絶縁樹脂製で略矩形筒状の筐体部分である。第1コネクタタブA132は、L字板状の金属部品で、図中左右方向に延在する第1接続タブ部分A132aと、図中奥行方向に延在する第1接続端部A132bと、を備えている。第2コネクタタブA134も、略同様のL字板状の金属部品で、図中左右方向に延在する第2接続タブ部分A134aと、図中奥行方向に延在する第2接続端部A134bと、を備えている。第1接続タブ部分A132a及び第2接続タブ部分A134aは、コネクタハウジングA131に、図中上下方向に互いに離されて絶縁された状態で収容され、各々相手側タブと接続する。第1接続端部A132b及び第2接続端部A134bは、コネクタハウジングA131における、サービスプラグA14との嵌合側とは反対側から外部に露出するように突出する部位である。本実施形態では、第1コネクタタブA132及び第2コネクタタブA134は、図中上下方向に2つのタブ部分がずれるとともに、図中左右方向に2つの接続端部がずれるようにコネクタハウジングA131に収容される。図中右側に位置する第1接続端部A132bに第1部品端子A133が立設され、図中左側に位置する第2接続端部A134bに第2部品端子A135が立設されている。第1部品端子A133及び第2部品端子A135は、第1プロテクタ付バスバ1及び第2プロテクタ付バスバ2の各一端がナット締結によって接続されるスタッドボルトとなっている。回路遮断部品A13は、サービスプラグA14の着脱方向D11の着脱によって、第1部品端子A133及び第2部品端子A135を介して上述の対象回路を遮断状態及び導通状態に切替え可能に設定する部品となっている。
【0016】
第1プロテクタ付バスバ1は、このような回路遮断部品A13の第1部品端子A133を上述の対象回路A11に接続する部品である。対象回路A11を構成する第1電源A111の外面にはスタッドボルト状の第1電源端子A111aが立設されており、第1プロテクタ付バスバ1は、回路遮断部品A13の第1部品端子A133を第1電源A111の第1電源端子A111aに接続する。
【0017】
他方、第2プロテクタ付バスバ2は、回路遮断部品A13の第2部品端子A135を対象回路A11に接続する部品である。対象回路A11を構成する第2電源A112の外面にはスタッドボルト状の第2電源端子A112aが立設されており、第2プロテクタ付バスバ2は、回路遮断部品A13の第2部品端子A135を第2電源A112の第2電源端子A112aに接続する。
【0018】
ここで、本実施形態では、回路遮断部品A13が対象回路A11に接続されるに当たって、まず、第2プロテクタ付バスバ2によって回路遮断部品A13の第2部品端子A135が第2電源A112の第2電源端子A112aに接続される。その後に、第1プロテクタ付バスバ1によって回路遮断部品A13の第1部品端子A133が第1電源A111の第1電源端子A111aに接続される。そこで、以下では、まず、回路遮断部品A13と対象回路A11との接続に先に用いられる第2プロテクタ付バスバ2について説明し、その後に第1プロテクタ付バスバ1について説明する。
【0019】
図3は、
図1に示されている第2プロテクタ付バスバを示す斜視図であり、
図4は、
図3に示されている第2プロテクタ付バスバの分解斜視図である。
【0020】
第2プロテクタ付バスバ2は、第2バスバ21と、第2バスバ用プロテクタ22と、を備えている。第2バスバ21は、第2バスバ本体部211と、第2部品側接続部212と、第2回路側接続部213と、を有している。第2バスバ本体部211は、略L字帯板状に形成され、L字の横棒部と縦棒部との境界部分で略直角に折り曲げられた形状を有している。第2部品側接続部212は、第2バスバ本体部211において直角に立ち上がった縦棒部の先端に設けられた円環状の丸端子であり、回路遮断部品A13の第2部品端子A135に接続される。第2部品側接続部212は、縦棒部の先端との境界部分で更に略直角に折り曲げられて、第2部品端子A135が立設された第2接続端部A134bに面着して載置されるように構成されている。第2回路側接続部213は、第2バスバ本体部211における第2電源端子A112aの側の端部に、第2電源端子A112aの設置面に面着して載置されるように設けられた円環状の丸端子である。
【0021】
第2バスバ用プロテクタ22は、第2溝側プロテクタ221と第2蓋側プロテクタ222と、を備えている。第2溝側プロテクタ221は、絶縁樹脂で一体成形された部材であり、第2溝側本体部221a及び第2回路側保護部221bを備えている。
【0022】
第2溝側本体部221aは、第2バスバ本体部211を内側に収めるように、その形状に応じて途中で略直角に立ち上がった略L字状の溝形状に形成された部位である。第2溝側本体部221aにおける立ち上がり部分の一対の側壁の外面には、第2蓋側プロテクタ222を固定するための第2溝側係止突起221a-1が4つ設けられている。
【0023】
第2回路側保護部221bは、第2バスバ21における第2回路側保護部221bを、第2電源端子A112aに接続可能に収めて保護するように、第2溝側本体部221aにおける対象回路A1の側の端部に設けられた部位である。この第2回路側保護部221bは、第2回路側環状部221b-1、第2回路側キャップ部221b-2、及び第2回路側ロック部221b-3、を備えている。
【0024】
第2回路側環状部221b-1は、第2溝側本体部221aにおける回路側の端部に、第2電源端子A112aに対する接続方向D12からの平面視で第2回路側接続部213を囲むように設けられた長方形筒状の部位である。また、この第2回路側環状部221b-1は、長方形筒状の環状壁であり、その一の短辺側の側壁が第2溝側本体部221aにおける回路側の端部と一体的に繋がっている。
【0025】
第2回路側キャップ部221b-2は、第2回路側環状部221b-1における上記の接続方向D12の側の開口221b-1aを開閉方向D13に開閉可能の蓋状に塞ぐ有蓋長方形筒状の部位である。この第2回路側キャップ部221b-2の一の長辺側の周壁の端縁が、第2回路側環状部221b-1の長方形状の開口221b-1aにおける一の長辺側の端縁に第2回路側ヒンジ221b-4を介して連結されている。さらに、この第2回路側ヒンジ221b-4とは反対側の長辺側の周壁に第2回路側ロック部221b-3に対する第2回路側係止突起221b-2aが設けられている。
【0026】
第2回路側ロック部221b-3は、第2回路側キャップ部221b-2が閉じられたときに第2回路側係止突起221b-2aが係止する部位である。この第2回路側ロック部221b-3は、第2回路側環状部221b-1の長方形状の開口221b-1aにおける第2回路側ヒンジ221b-4とは反対側の長辺側の端縁から延出して設けられている。第2回路側ロック部221b-3には、第2回路側係止突起221b-2aが嵌入して係止する第2回路側係止孔221b-3aが設けられている。
【0027】
そして、第2回路側保護部221bは、第2回路側環状部221b-1、第2回路側キャップ部221b-2、及び第2回路側ロック部221b-3が絶縁性樹脂で一体成形されたものである。そして、第2回路側ヒンジ221b-4は、第2回路側キャップ部221b-2及び第2回路側環状部221b-1よりも薄く折畳み可能に成形されて第2回路側キャップ部221b-2を第2回路側環状部221b-1に開閉可能に連結する部位となっている。
【0028】
第2溝側プロテクタ221は、以上のような第2溝側本体部221a及び第2回路側保護部221bが上述したように絶縁樹脂で一体成形された部材となっている。
【0029】
以上に説明した第2溝側プロテクタ221との間に第2バスバ本体部211を挟むように、第2蓋側プロテクタ222が第2溝側プロテクタ221に取り付けられる。第2蓋側プロテクタ222は、略L字状の第2溝側本体部221aにおける立ち上がり部分に取り付けられる。この第2蓋側プロテクタ222には、第2溝側本体部221aの第2溝側係止突起221a-1に係止する第2蓋側ロック部222aが4つ設けられている。各第2蓋側ロック部222aには、第2溝側係止突起221a-1が嵌入して係止する係止孔が設けられている。そして、4つの第2溝側係止突起221a-1が4つの第2蓋側ロック部222aに係止することで、第2蓋側プロテクタ222が第2溝側プロテクタ221に固定される。
【0030】
第2溝側プロテクタ221の第2溝側本体部221aと第2蓋側プロテクタ222とで、第2バスバ21における第2部品側接続部212及び第2回路側接続部213を除いた第2バスバ本体部211を収めて保護する絶縁樹脂製の本体保護部が構成される。
【0031】
第2蓋側プロテクタ222の固定によって完成する第2プロテクタ付バスバ2は、回路遮断部品A13と対象回路A11との間に次のように設置されて両者を接続する。
【0032】
図5は、第2プロテクタ付バスバが回路遮断部品と対象回路との間に設置される様子を示す図である。
【0033】
この
図5に示されているように、設置に当たっては、第2回路側キャップ部221b-2が開かれて第2バスバ21の第2回路側接続部213が露出される。この状態で、第2部品側接続部212の貫通孔に回路遮断部品A13の第2部品端子A135が通され、第2回路側接続部213の貫通孔に第2電源A112の第2電源端子A112aが通される。そして、各々スタッドボルトである第2部品端子A135及び第2電源端子A112aにナットA136,A112bが締め込まれて、第2部品側接続部212及び第2回路側接続部213が、第2部品端子A135及び第2電源端子A112aに締結される。このようにして第2プロテクタ付バスバ2が回路遮断部品A13と対象回路A11との間に設置されて、回路遮断部品A13が対象回路A11における第2電源A112に接続される。尚、この接続は、回路遮断部品A13からサービスプラグA14が外された状態で行われる。この第2プロテクタ付バスバ2の設置に続いて、第1プロテクタ付バスバ1の設置による回路遮断部品A13の第1部品端子A133と第1電源A111の第1電源端子A111aとの接続が行われる。
【0034】
図6は、
図1に示されている第1プロテクタ付バスバを示す斜視図であり、
図7は、
図6に示されている第1プロテクタ付バスバの分解斜視図である。
【0035】
第1プロテクタ付バスバ1は、第1バスバ11と、第1バスバ用プロテクタ12と、を備えている。第1バスバ11は、第1バスバ本体部111と、第1部品側接続部112と、第1回路側接続部113と、を有している。第1バスバ本体部111は、帯板状に形成され、中央部で略L字状に折り曲げられた形状を有している。第1部品側接続部112は、第1バスバ本体部111において直角に立ち上がった部分の先端に設けられた円環状の丸端子であり、回路遮断部品A13の第1部品端子A133に接続される。第1部品側接続部112は、立ち上がり部分の先端で更に略直角に折り曲げられて、第1部品端子A133が立設された第1接続端部A132bに面着して載置されるように構成されている。第1回路側接続部113は、第1バスバ本体部111における第1電源端子A111aの側の端部に、第1電源端子A111aの設置面に面着して載置されるように設けられた円環状の丸端子である。
【0036】
第1バスバ用プロテクタ12は、第1溝側プロテクタ121と、第1蓋側プロテクタ122と、を備えている。第1溝側プロテクタ121は、絶縁樹脂で一体成形された部材であり、第1溝側本体部121a、第1部品側保護部121b、及び第1回路側保護部121cを備えている。
【0037】
第1溝側本体部121aは、第1バスバ本体部111を内側に収めるように、その形状に応じて途中で略直角に立ち上がった略L字状の溝形状に形成された部位である。第1溝側本体部121aにおける立ち上がり部分の一対の側壁の外面には、第1蓋側プロテクタ122を固定するための第1溝側係止突起121a-1が4つ設けられている。更に、第1溝側本体部121aにおいて第1電源端子A111aの設置面に載置される水平部分の一対の側壁の外面には、第1蓋側プロテクタ122を固定するための第1溝側ロック部121a-2が2つ設けられている。
【0038】
第1部品側保護部121bは、第1バスバ11における第1部品側接続部112を、第1部品端子A133に接続可能に収めて保護するように、第1溝側本体部121aにおける回路遮断部品A13の側の端部に設けられた部位である。この第1部品側保護部121bは、第1部品側環状部121b-1、第1部品側キャップ部121b-2、第1部品側ロック部121b-3、及びカバー部121b-4を備えている。
【0039】
第1部品側環状部121b-1は、第1溝側本体部121aにおける部品側の端部に、第1部品端子A113に対する接続方向D14からの平面視で第1部品側接続部112を囲むように設けられた長方形筒状の部位である。また、この第1部品側環状部121b-1は、長方形筒状の環状壁であり、その一の短辺側の側壁が第1溝側本体部121aにおける部品側の端部と一体的に繋がっている。また、この側壁には、第1バスバ11における第1バスバ本体部111と第1部品側接続部112との境界部分114を受け入れるように接続方向D14に切り込まれた第1部品側受入れ口121b-1aが設けられている。
【0040】
第1部品側キャップ部121b-2は、第1部品側環状部121b-1における上記の接続方向D14の側の開口121b-1bを開閉可能の蓋状に塞ぐ有蓋長方形筒状の部位である。この第1部品側キャップ部121b-2の一の長辺側の周壁の端縁が、第1部品側環状部121b-1の長方形状の開口121b-1bにおける一の長辺側の端縁に第1部品側ヒンジ121b-5を介して連結されている。さらに、この第1部品側ヒンジ121b-5とは反対側の長辺側の周壁に第1部品側ロック部121b-3に対する第1部品側係止突起121b-2aが設けられている。
【0041】
第1部品側ロック部121b-3は、第1部品側キャップ部121b-2が閉じられたときに第1部品側係止突起121b-2aが係止する部位である。この第1部品側ロック部121b-3は、第1部品側環状部121b-1の長方形状の開口121b-1bにおける第1部品側ヒンジ121b-5とは反対側の長辺側の端縁から延出して設けられている。第1部品側ロック部121b-3には、第1部品側係止突起121b-2aが嵌入して係止する第1部品側係止孔121b-3aが設けられている。
【0042】
カバー部121b-4は、第1部品側接続部112が第1部品端子A133に接続されるときに、その隣の第2部品端子A135を覆うように、第1部品側環状部121b-1から張り出して設けられた部位である。カバー部121b-4は、第1部品側環状部121b-1における受入れ口121b-1aとは反対側の短辺側の側壁から延出して設けられている。また、本実施形態では、
図1及び
図2に示されているように、第2部品端子A135が第1部品端子A133から一段下がった位置に設けられている。これを受けて、カバー部121b-4は、第1部品側環状部121b-1の開口121b-1bから一段下がった位置から張り出して設けられており、第1部品側保護部121bは、全体として靴形状をなすように構成されている。カバー部121b-4は、靴形状における爪先側の部分に相当する。また、カバー部121b-4は、第2部品端子A135とともに、当該第2部品端子A135に接続された第2バスバ21の第2部品側接続部212も覆うように形成されている。
【0043】
このカバー部121b-4は、カバー環状部121b-4aと、カバー天井部121b-4bと、を備えている。カバー環状部121b-4aは、第2部品端子A135及び第2部品側接続部212を囲む部位である。カバー天井部121b-4bは、カバー環状部121b-4aにおける第2部品端子A135に対する第2部品側接続部212の接続方向D14の側を塞ぐようにカバー環状部121-4aと一体に設けられた部位である。ここで、本実施形態では、カバー部121b-4におけるカバー環状部121b-4aには、上述の第1部品側環状部121b-1の内側に向かって開口した開口部121b-4cが設けられている。この開口部121b-4cを介して、カバー部121b-4の内側と第1部品側環状部121b-1の内側とが互いに連続した空間となっている。
【0044】
ここで、本実施形態の第1部品側保護部121bでは、第1部品側環状部121b-1が、第2部品端子A135とは反対側で第1溝側本体部121aに連結し、第2部品端子A135の側でカバー部121b-4に連結している。そして、第1部品側キャップ部121b-2が、次のような開閉方向D15に開閉可能となるように、第1部品側環状部121b-1に第1部品側ヒンジ121b-5を介して連結されている。即ち、第1部品側キャップ部121b-2の開閉方向D15は、第1部品側環状部121b-1における第1溝側本体部121aとの連結箇所及びカバー部121b-4との連結箇所を結ぶ線と交差する方向となっている。
【0045】
また、第1部品側保護部121bは、第1部品側環状部121b-1、第1部品側キャップ部121b-2、第1部品側ロック部121b-3、及びカバー部121b-4が絶縁性樹脂で一体成形されたものである。そして、第1部品側ヒンジ121b-5は、第1部品側キャップ部121b-2及び第1部品側環状部121b-1よりも薄く折畳み可能に成形されて第1部品側キャップ部121b-2を第1部品側環状部121b-1に開閉可能に連結する部位となっている。
【0046】
次に、第1溝側プロテクタ121において、第1溝側本体部121aの、第1部品側保護部121bとは反対側に連結されて設けられている第1回路側保護部121cについて説明する。この第1回路側保護部121cは、
図3及び
図4を参照して説明した第2溝側プロテクタ221における第2回路側保護部221bと略同等な構成となっている。
【0047】
第1回路側保護部121cは、第1バスバ11における第1回路側接続部113を、第1電源端子A111aに接続可能に収めて保護するように、第1溝側本体部121aにおける対象回路A1の側の端部に設けられた部位である。この第1回路側保護部121cは、第1回路側環状部121c-1、第1回路側キャップ部121c-2、及び第1回路側ロック部121c-3、を備えている。
【0048】
第1回路側環状部121c-1は、第1溝側本体部121aにおける対象回路A1の側の端部に、第1電源端子A111aに対する接続方向D16からの平面視で第1回路側接続部113を囲むように設けられた長方形筒状の部位である。また、この第1回路側環状部121c-1は、長方形筒状の環状壁であり、その一の短辺側の側壁が第1溝側本体部121aにおける対象回路A1の側の端部と一体的に繋がっている。また、この側壁には、第1バスバ11における第1バスバ本体部111と第1回路側接続部113との境界部分115を受け入れるように接続方向D16に切り込まれた第1回路側受入れ口121c-1aが設けられている。
【0049】
第1回路側キャップ部121c-2は、第1回路側環状部121c-1における上記の接続方向D16の側の開口121c-1bを開閉方向D17に開閉可能の蓋状に塞ぐ有蓋長方形筒状の部位である。この第1回路側キャップ部121c-2の一の長辺側の周壁の端縁が、第1回路側環状部121c-1の長方形状の開口121c-1bにおける一の長辺側の端縁に第1回路側ヒンジ121c-4を介して連結されている。さらに、この第1回路側ヒンジ121c-4とは反対側の長辺側の周壁に第1回路側ロック部121c-3に対する第1回路側係止突起121c-2aが設けられている。
【0050】
第1回路側ロック部121c-3は、第1回路側キャップ部121c-2が閉じられたときに第1回路側係止突起121c-2aが係止する部位である。この第1回路側ロック部121c-3は、第1回路側環状部121c-1の長方形状の開口121c-1bにおける第1回路側ヒンジ121c-4とは反対側の長辺側の端縁から延出して設けられている。第1回路側ロック部121c-3には、第1回路側係止突起121c-2aが嵌入して係止する第1回路側係止孔121c-3aが設けられている。
【0051】
そして、第1回路側保護部121cは、第1回路側環状部121c-1、第1回路側キャップ部121c-2、及び第1回路側ロック部121c-3が絶縁性樹脂で一体成形されたものである。そして、第1回路側ヒンジ121c-4は、第1回路側キャップ部121c-2及び第1回路側環状部121c-1よりも薄く折畳み可能に成形されて第1回路側キャップ部121c-2を第1回路側環状部121c-1に開閉可能に連結する部位となっている。
【0052】
第1溝側プロテクタ121は、以上のような第1溝側本体部121a、第1部品側保護部121b、及び第1回路側保護部121cが、上述したように絶縁樹脂で一体成形された部材となっている。
【0053】
以上に説明した第1溝側プロテクタ121との間に第1バスバ本体部111を挟むように、第1蓋側プロテクタ122が第1溝側プロテクタ121に取り付けられる。
【0054】
第1蓋側プロテクタ122は、第1溝側プロテクタ121における第1溝側本体部121aの溝開口を塞ぐように、その形状に応じて途中で略直角に立ち上がった略L字状の溝蓋形状に形成された部位である。第1蓋側プロテクタ122における立ち上がり部分の一対の側壁の外面には、第1溝側本体部121aにおける4つの第1溝側係止突起121a-1が嵌入して係止する4つの第1蓋側ロック部122aが設けられている。また、第1電源端子A111aの設置面と略平行に延在する水平部分の一対の側壁の外面には、第1溝側本体部121aにおける2つの第1溝側ロック部121a-2に嵌入して係止する2つの第1蓋側係止突起122bが設けられている。更に、第1蓋側プロテクタ122における第1部品側接続部112の側の端部には、第1部品側環状部121b-1における第1部品側受入れ口121b-1aを塞ぐ第1部品側閉塞部122cが設けられている。また、第1蓋側プロテクタ122における第1回路側接続部113の側の端部には、第1回路側環状部121c-1における第1回路側受入れ口121c-1aを塞ぐ第1回路側閉塞部122dが設けられている。
【0055】
このような第1蓋側プロテクタ122が、第1バスバ本体部111を間に挟むように第1溝側プロテクタ121における略L字状の第1溝側本体部121aに取り付けられる。この第1蓋側プロテクタ122には、第1溝側本体部121aの第1溝側係止突起121a-1に係止する第1蓋側ロック部122aが4つ設けられている。また、第1蓋側プロテクタ122には、第1溝側本体部121aの第1溝側ロック部121a-2に係止する第1蓋側係止突起122bが2つ設けられている。そして、4つの第1溝側係止突起121a-1が4つの第1蓋側ロック部122aに係止し、2つの第1蓋側係止突起122bが2つの第1溝側ロック部121a-2に係止することで、第1蓋側プロテクタ122が第1溝側プロテクタ121に固定される。
【0056】
第1溝側プロテクタ121の第1溝側本体部121aと第1蓋側プロテクタ122とで、第1バスバ11における第1部品側接続部112及び第1回路側接続部113を除いた第1バスバ本体部111を収めて保護する絶縁樹脂製の本体保護部が構成される。
【0057】
第1蓋側プロテクタ122の固定によって完成する第1プロテクタ付バスバ1は、回路遮断部品A13と対象回路A11との間に次のように設置されて両者を接続する。
【0058】
図8は、第1プロテクタ付バスバが回路遮断部品と対象回路との間に設置される様子を示す図である。
【0059】
この
図8に示されているように、第1プロテクタ付バスバ1は、回路遮断部品A13と対象回路A11との間に第2プロテクタ付バスバ2が設置された後から設置される。この設置に当たっては、第1部品側キャップ部121b-2及び第1回路側キャップ部121c-2が開かれて第1バスバ11における第1部品側接続部112及び第1回路側接続部113が露出される。この状態で、第1部品側接続部112の貫通孔に回路遮断部品A13の第1部品端子A133が通され、第1回路側接続部113の貫通孔に第1電源A111の第1電源端子A111aが通される。また、このときには、接続済みの第2部品端子A135及び第2プロテクタ付バスバ2における第2部品側接続部212がカバー部121b-4で覆われる。そして、各々スタッドボルトである第1部品端子A133及び第1電源端子A111aにナットA137,A111bが締め込まれて、第1部品側接続部112及び第1回路側接続部113が、第1部品端子A133及び第1電源端子A111aに締結される。このようにして第1プロテクタ付バスバ1が回路遮断部品A13と対象回路A11との間に設置されて、回路遮断部品A13が対象回路A11における第1電源A111に接続される。尚、この接続も、第2プロテクタ付バスバ2と同様に、回路遮断部品A13からサービスプラグA14が外された状態で行われる。この第1プロテクタ付バスバ1の設置を以て、第1電源A111と第2電源A112とが、間に回路遮断部品A13を介して直列接続される。回路遮断部品A13からサービスプラグA14が外された状態では、第1電源A111と第2電源A112とを有する対象回路A1は遮断状態となっており、サービスプラグA14が回路遮断部品A13に嵌入されると導通状態となる。
【0060】
ここで、
図5及び
図8に示されている手順を間違え、第1プロテクタ付バスバ1の方を先に設置してしまった場合には次のような状態となる。
【0061】
図9は、誤って第1プロテクタ付バスバの方が先に設置された様子を示す図である。
【0062】
この
図9に示されている状態では、第2プロテクタ付バスバ2が未設置のまま、ナットA137,A111bによって第1部品側接続部112及び第1回路側接続部113が第1部品端子A133及び第1電源端子A111aに締結される。この状態では、第1プロテクタ付バスバ1が回路遮断部品A13と対象回路A11との間に設置されて、回路遮断部品A13が対象回路A11における第1電源A111に接続されるのみである。
【0063】
この設置に続いて第2プロテクタ付バスバ2の設置を開始したとしても、本実施形態では回路遮断部品A13における第2部品端子A135がカバー部121b-4で覆われているため第2プロテクタ付バスバ2の設置が不可能となっている。その結果、設置手順の誤りが認識され、第1プロテクタ付バスバ1の取外しによって誤りが是正される。その後、正しい手順に則って、回路遮断部品A13と対象回路A11との接続が、第2プロテクタ付バスバ2の設置から始められることとなる。
【0064】
また、
図5及び
図8に示されている正しい手順に則って回路遮断部品A13が対象回路A11に接続された後、例えばメンテナス等において第1プロテクタ付バスバ1及び第2プロテクタ付バスバ2が取り外される際には次のように作業が行われる。
【0065】
図10は、第1プロテクタ付バスバ及び第2プロテクタ付バスバの取外しの様子を示す図である。
【0066】
第1プロテクタ付バスバ1及び第2プロテクタ付バスバ2の取外しにおいては、第1プロテクタ付バスバ1のみが取り外される場合を除いて、第1プロテクタ付バスバ1及び第2プロテクタ付バスバ2の両方が取り外されることとなる。この場合には、まず、設置のときとは逆に、まず第1プロテクタ付バスバ1が取り外され、その後に第2プロテクタ付バスバ2が取り外される。
【0067】
第1プロテクタ付バスバ1の取外しの際には、第1部品側キャップ部121b-2及び第1回路側キャップ部121c-2が開かれて第1バスバ11における第1部品側接続部112及び第1回路側接続部113が露出される。この状態で、ナットA137,A111bが外されて第1部品側接続部112及び第1回路側接続部113が、第1部品端子A133及び第1電源端子A111aから取り外される。このようにして第1プロテクタ付バスバ1が回路遮断部品A13と対象回路A11の第1電源A111との間から取り外される。そして、このように第1プロテクタ付バスバ1が取り外されることで
図5に示されている状態となり、それまでカバー部121b-4に覆われていた第2部品側接続部212と第2部品端子A135が露出される。この後、第2回路側キャップ部221b-2が開かれて第2バスバ21における第2回路側接続部213が露出される。そして、ナットA136,A112bが外されて第2部品側接続部212及び第2回路側接続部213が、第1部品端子A135及び第1電源端子A112aから取り外される。このようにして第2プロテクタ付バスバ2が回路遮断部品A13と対象回路A11の第2電源A112との間から取り外される。この第2プロテクタ付バスバ2の取外しを以て、第1プロテクタ付バスバ1及び第2プロテクタ付バスバ2の取外しが終了する。
【0068】
ここで、本実施形態では、回路遮断部品A13における第1部品端子A133及び第2部品端子A135が互いに隣り合い、且つ近接して設けられている。このため、サービスプラグA14が外されてこれら2つの端子間が遮断状態となっていたとしても、例えば上述したナットA136,A137の締結作業中に、締結用の金属製の工具の接触等によって不用意に導通してしまうことが想定される。このような不用意な導通が、仮に
図8に示されているように第2プロテクタ付バスバ2の設置後の第1プロテクタ付バスバ1の設置中や、
図10に示されている取外し作業中に発生したと仮定する。この場合、第1部品端子A133が第1電源端子A111aに電気的に繋がれ、第2部品端子A135が第2電源端子A112aに電気的に繋がれた状態で上記のような導通が生じることがある。そして、このような導通の発生は、第1電源A111と第2電源A112との間に意図せずに短絡電流を生じさせることとなる。このような短絡電流の発生を回避するために、第1部品端子A133及び第2部品端子A135を金属製の工具で導通させないように細心の注意を払って
図8の設置作業や、
図10の取外し作業を行うことは作業者にとって負担となる。
【0069】
このような懸念に対し、上述した実施形態の第1バスバ用プロテクタ12及び第1プロテクタ付バスバ1では回路遮断部品A13との接続側に絶縁樹脂製のカバー部121b-4が設けられている。本実施形態によれば、このカバー部121b-4が設けられたことで、上述した作業段階における短絡電流の発生に対する作業者の負担を次のように抑えることができる。
【0070】
本実施形態によれば、上述の
図8や
図10の作業段階では、回路遮断部品A13において第1部品側接続部112が接続される第1部品端子A133と、その隣の第2部品端子A135とは、絶縁樹脂製のカバー部121b-4によって次のような状態に置かれる。即ち、第1部品端子A133に接続される第1部品側接続部112を囲む第1部品側環状部121b-1から張り出した絶縁樹脂製のカバー部121b-4が、隣の第2部品端子A135を覆うこととなる。このようにカバー部121b-4が第2部品端子A135を覆うことで、金属製の工具等の接触による第1部品端子A133と第2部品端子A135との不用意な導通による短絡電流の発生等といった事態が効果的に回避される。そして、このような導通が回避されていることで、作業者は、隣の第2部品端子A135のことを気にすることなく、負担が抑えられた状態で回路遮断部品A13を対象回路A11に接続することができる。
【0071】
尚、
図5に示されているように、最初に第2プロテクタ付バスバ2が設置される際には、回路遮断部品A13の第1部品端子A133と第1電源A111の第1電源端子A111aが繋がれていない。このため、この最初の段階では、金属製の工具の接触による短絡電流の発生等の懸念がそもそも生じ得ない。
【0072】
また、
図9に示されているように、誤って最初に第1プロテクタ付バスバ1が設置される際には、第2部品端子A135と第2電源A112の第2電源端子A112aが繋がれていない。また、この場合には、絶縁樹脂製のカバー部121b-4によて、隣の第2部品端子A135が覆われる。従って、このような場合にも、金属製の工具の接触による短絡電流の発生等の懸念は生じ得ないこととなる。
【0073】
このように、本実施形態によれば、回路遮断部品A13における第1部品端子A133と第2部品端子A135の不用意な導通を効果的に回避しつつ、作業者の負担を抑えて回路遮断部品A13を対象回路A11に接続することができる。
【0074】
ここで、本実施形態では、カバー部121b-4が、第2部品端子A135を囲むカバー環状部121b-4aと、当該カバー環状部121b-4aを塞ぐカバー天井部121b-4bと、を備えている。この構成によれば、第2部品端子A135が、接続方向D14と周囲との全方向についてカバー部121b-4で覆われるので、部品端子の不用意な導通を一層効果的に回避することができる。
【0075】
また、本実施形態では、カバー部121b-4の内側と第1部品側環状部121b-1の内側とが互いに連続した空間となっている。この構成によれば、カバー部121b-4を第1部品側環状部121b-1と一体成形する場合の成形型を、各々の内部空間が分かれている場合に比べて単純化することができるので、製造コストを低減することができる。
【0076】
また、本実施形態では、カバー部121b-4は、第2部品端子A135とともに、当該第2部品端子A135に接続された第2部品側接続部212も覆うように形成されている。この構成によれば、第2部品端子A135及び第2部品側接続部212がカバー部121b-4で覆われるので、第2部品側接続部212を介するものも含めて部品端子の不用意な導通を一層効果的に回避することができる。
【0077】
また、本実施形態では、第1部品側キャップ部121b-2が、第1溝側本体部121aとの連結箇所及びカバー部121b-4との連結箇所を結ぶ線と交差する開閉方向D15に開閉可能となるように第1部品側ヒンジ121b-5を介して連結されている。この構成によれば、第1部品側ヒンジ121b-5を介した連結によって第1部品側キャップ部121b-2の散逸等を効果的に抑えることができる。また、第1部品側キャップ部121b-2が上記の開閉方向D15に開閉可能であることで、第1溝側本体部121a及びカバー部121b-4との干渉を避けて第1部品側キャップ部121b-2のロック構造を設ける等といった設計が容易となる。
【0078】
また、本実施形態では、第1部品側環状部121b-1、第1部品側キャップ部121b-2、及びカバー部121b-4が絶縁性樹脂で一体成形されている。そして、第1部品側ヒンジ121b-5は、薄肉に成形された部位となっている。この構成によれば、部品側保護部が1つの樹脂成型品となるので部品点数を削減することができる。
【0079】
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなおバスバ用プロテクタ及びプロテクタ付バスバの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0080】
例えば、上述の実施形態では、プロテクタ付バスバの一例として、2つの高電圧装置を電気的に接続するための第1プロテクタ付バスバ1が例示されている。しかしながら、プロテクタ付バスバは、これに限るものではなく、例えば2つの低電圧装置を接続するものであってもよく、あるいは、高電圧装置と低電圧装置とを接続するものであってもよい。プロテクタ付バスバは、その具体的な接続態様を問うものではない。
【0081】
また、上述の実施形態では、バスバ用プロテクタの一例として、第1溝側プロテクタ121及び第1蓋側プロテクタ122に分割される第1バスバ用プロテクタ12が例示されている。しかしながら、バスバ用プロテクタは。これに限るものではなく、例えば内側にバスバを収める筒状の一体成形品等であってもよい。
【0082】
また、上述の実施形態では、回路遮断部品における第1部品端子及び第2部品端子の各一例として、スタットボルトとして形成された第1部品端子A133及び第2部品端子A135が例示されている。しかしながら、第1部品端子及び第2部品端子は、スタッドボルトに限るものではなく、例えばバスバの端部に設けられた雄タブが挿入接続される雌タブ等であってもよい。回路遮断部品における第1部品端子及び第2部品端子は、その用途等に応じて適宜に設定し得るものである。
【0083】
また、上述の実施形態では、バスバの接続部の一例として、スタットボルトとして形成された第1部品端子A133及び第1電源端子A111aが通される丸端子として形成された第1部品側接続部112及び第1回路側接続部113が例示されている。しかしながら、バスバの接続部はこれらに限るものではなく、各接続対象の形状等に応じて適宜の形状のものを採用し得るものである。
【0084】
また、上述の実施形態では、バスバや第2バスバの一例として、略L字状に折り曲げられた形状に加工された第1バスバ11や第2バスバ21が例示されている。しかしながら、各バスバの形状は、これらに限るものではなく、その具体的な形状等を問うものではない。
【0085】
また、上述の実施形態では、カバー部の一例として、カバー環状部121b-4a及びカバー天井部121b-4bを備えたカバー部121b-4が例示されている。しかしながら、カバー部は、これに限るものではなく、例えば天井のみで構成される庇状のもの等であってもよい。ただし、カバー環状部121b-4a及びカバー天井部121b-4bを備えることで、第2部品端子A135を全方向についてカバー部121b-4で覆って、部品端子の不用意な導通を一層効果的に回避することができる点は上述した通りである。
【0086】
また、上述の実施形態では、部品側保護部の一例として、カバー部121b-4の内側と第1部品側環状部121b-1の内側とが互いに連続した空間となった第1部品側保護部121bが例示されている。しかしながら、部品側保護部は、これに限るものではなく、カバー部の内側と部品側環状部の内側とが互いに分離した空間となったもの等であってもよい。ただし、カバー部121b-4の内側と第1部品側環状部121b-1の内側とを互いに連続した空間とすることで、成形型を単純化して製造コストを低減することができる点は上述した通りである。
【0087】
また、上述の実施形態では、カバー部の一例として、回路遮断部品A13の第2部品端子A135と、これに接続された第2部品側接続部212を覆うカバー部121b-4が例示されている。しかしながら、カバー部は、これに限るものではなく、回路遮断部品の第2部品端子のみを覆うものであってもよい。ただし、カバー部が第2部品端子と第2部品側接続部を覆うことで、部品端子の不用意な導通を一層効果的に回避することができる点は上述した通りである。
【0088】
また、上述の実施形態では、部品側キャップ部の一例として、第1部品側ヒンジ121b-5を介して第1部品側環状部121b-1に開閉可能に連結された第1部品側キャップ部121b-2が例示されている。また、第1部品側キャップ部121b-2は、第1部品側環状部121b-1における第1溝側本体部121a及びカバー部121b-4それぞれとの連結箇所の相互間を結ぶ線と交差する開閉方向D15に開閉可能となっている。しかしながら、部品側キャップ部は、これに限るものではなく、部品側環状部とは別体に形成されて取り付けられるものであってもよい。また、部品側キャップ部がヒンジを介して部品側環状部に連結されるにしても、その開閉方向は、上記の2つの連結箇所の相互間を結ぶ線に沿った方向であってもよい。ただし、第1部品側キャップ部121b-2を、第1部品側ヒンジ121b-5を介して第1部品側環状部121b-1に連結することで、第1部品側キャップ部121b-2の散逸等を効果的に抑えることができる点は上述した通りである。また、その開閉方向D15を、第1部品側環状部121b-1における周辺部分との連結箇所の相互間を結ぶ線と交差する方向とすることで、周辺部分との干渉を避けた設計が容易となる点も上述した通りである。
【0089】
また、上述の実施形態では、ヒンジの一例として、連結対象よりも薄くなるようにそれら連結対象と一体成形された第1部品側ヒンジ121b-5が例示されている。しかしながら、ヒンジは、これに限るものではなく、例えば別体の蝶番部品等を用いることとしてもよい。ただし、上記のように薄肉で連結対象と一体成形された第1部品側ヒンジ121b-5を採用することで、部品点数を削減することができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0090】
1 第1プロテクタ付バスバ
2 第2プロテクタ付バスバ
11 第1バスバ
12 第1バスバ用プロテクタ
21 第2バスバ
22 第2バスバ用プロテクタ
111 第1バスバ本体部
112 第1部品側接続部
113 第1回路側接続部
121 第1溝側プロテクタ
121a 第1溝側本体部
121a-1 第1溝側係止突起
121a-2 第1溝側ロック部
121b 第1部品側保護部
121b-1 第1部品側環状部
121b-1a 第1部品側受入れ口
121b-1b,121c-1b,221b-1a 開口
121b-2 第1部品側キャップ部
121b-2a 第1部品側係止突起
121b-3 第1部品側ロック部
121b-3a 第1部品側係止孔
121b-4 カバー部
121b-4a カバー環状部
121b-4b カバー天井部
121b-5 第1部品側ヒンジ
121c 第1回路側保護部
121c-1 第1回路側環状部
121c-1a 第1回路側受入れ口
121c-2 第1回路側キャップ部
121c-2a 第1回路側係止突起
121c-3 第1回路側ロック部
121c-3a 第1回路側係止孔
121c-4 第1回路側ヒンジ
122 第1蓋側プロテクタ
122a 第1蓋側ロック部
122b 第1蓋側係止突起
122c 第1部品側閉塞部
122d 第1回路側閉塞部
211 第2バスバ本体部
212 第2部品側接続部
213 第2回路側接続部
221 第2溝側プロテクタ
221a 第2溝側本体部
221a-1 第2溝側係止突起
221b 第2回路側保護部
221b-1 第2回路側環状部
221b-2 第2回路側キャップ部
221b-2a 第2回路側係止突起
221b-3 第2回路側ロック部
221b-3a 第2回路側係止孔
221b-4 第2回路側ヒンジ
222 第2蓋側プロテクタ
222a 第2蓋側ロック部
A11 対象回路
A111 第1電源
A111a 第1電源端子
A112 第2電源
A112a 第2電源端子
A111b,A112b,A136,A137 ナット
A13 回路遮断部品
A131 コネクタハウジング
A131a 固定用フランジ
A132 第1コネクタタブ
A132a 第1接続タブ部分
A132b 第1接続端部
A133 第1部品端子
A134 第2コネクタタブ
A134a 第2接続タブ部分
A134b 第2接続端部
A135 第2部品端子
A14 サービスプラグ
D11 着脱方向
D12,D14,D16 接続方向
D13,D15,D17 開閉方向