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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139672
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】カッターユニット及び小袋投入装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/08 20060101AFI20220915BHJP
   B26D 7/08 20060101ALI20220915BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20220915BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20220915BHJP
   B65B 61/06 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B26D1/08
B26D7/08 D
B26D7/26
B26D7/18 D
B65B61/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040160
(22)【出願日】2021-03-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】591272343
【氏名又は名称】株式会社三橋製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】辻 拓
【テーマコード(参考)】
3C021
3C027
3E056
【Fターム(参考)】
3C021JA05
3C021JA09
3C027JJ01
3C027JJ09
3E056AA05
3E056BA02
3E056BA03
3E056CA02
3E056DA05
3E056EA03
3E056EA05
3E056FB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】上刃の刃先と下刃の刃裏面の押し付け力を安定化させて切断性を向上できるカッターユニット等を提供する。
【解決手段】上刃軸ホルダ5に固定された上刃12を、下刃ホルダ16に固定された下刃20に対して対向的に移動させるスライダと、上刃ホルダ5を、スライダに取り付けるための上刃駆動軸6と、を備え、上刃駆動軸6を中心として揺動回転可能な上刃12の刃先12aを、揺動回転できぬように取り付けられた下刃20の刃裏面20aに押付けて摺動させるものであり、上刃スライダ5には、上刃駆動軸6を保持する上刃軸ホルダ5が設けられ、上刃軸ホルダ5が保持する上刃駆動軸6に、コネクタ7が揺動回転可能に組み込まれ、上刃軸ホルダ5に対するコネクタ7の上下方向の振り角が制限されているギロチン式カッターユニット。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上刃ホルダに固定された上刃を、下刃ホルダに固定された下刃に対して対向的に移動させる上刃スライダと、
前記上刃ホルダを、前記上刃スライダに取り付けるための上刃軸ホルダと、
前記上刃軸ホルダに保持された上刃駆動軸と、を備え、
前記上刃駆動軸を中心として揺動回転可能な前記上刃の刃先を、揺動回転できぬように取り付けた前記下刃の刃裏面に押付けて摺動させることを特徴とするギロチン式カッターユニット。
【請求項2】
上刃ホルダに固定された上刃を、下刃ホルダに固定された下刃に対して対向的に移動させる上刃スライダと、
前記上刃スライダに取り付けられた上刃軸ホルダと、
前記上刃軸ホルダに保持された上刃駆動軸と、
前記上刃駆動軸に揺動回転可能に組み込まれると共に前記上刃ホルダに固定されて、前記上刃を前記上刃駆動軸を中心として揺動回転可能にするコネクタと、
前記下刃ホルダが揺動回転できぬように取り付けられた下刃スライダと、を備え、
前記上刃駆動軸を中心として揺動回転可能な前記上刃の刃先を、揺動回転できぬように取り付けられた前記下刃の刃裏面に押付けて摺動させるものであり、
前記上刃軸ホルダに対する前記コネクタの上下方向の振り角が制限されていることを特徴とするギロチン式カッターユニット。
【請求項3】
前記コネクタの前記上刃駆動軸の軸中心より上側位置に弾性体が組み込まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載のギロチン式カッターユニット。
【請求項4】
上刃ホルダに固定された上刃を、下刃ホルダに固定された下刃に対して対向的に移動させる上刃スライダと、
前記上刃スライダに取り付けられた上刃軸ホルダと、
前記上刃軸ホルダに、両側の軸端部を突出させた状態で保持される上刃駆動軸と、
前記上刃駆動軸に揺動可能に組み込まれるとともに前記上刃ホルダに固定されて、前記上刃を前記上刃駆動軸を中心として揺動可能にするコの字形状のコネクタと、
前記下刃ホルダが揺動回転できぬように取り付けられた下刃スライダと、を備え、
前記上刃駆動軸を中心として揺動回転可能な前記上刃の刃先を、揺動回転できぬように取り付けられた前記下刃の刃裏面に押付けて摺動させるものであり、
前記上刃軸ホルダが保持する前記上刃駆動軸の両側の突出した軸端部に、前記コネクタのコの字形状部分が揺動回転可能に組み込まれ、
前記上刃軸ホルダの先端面と前記コネクタのコの字形状部分の奥端面との間には隙間が設けてあり、当該隙間によって前記コネクタの上下方向の振り角が制限され、
前記コネクタの前記上刃駆動軸の挿入穴中心より上側位置に弾性体を組み込むためのセット穴が穿たれており、当該セット穴の一方は非貫通になっており、他方はコネクタのコの字形状部分の奥端面側に開放されていることを特徴とするギロチン式カッターユニット。
【請求項5】
前記上刃ホルダに組み込んだ上刃の刃先は、その刃先を下刃の刃裏面に押付けたとき、上刃の回転中心である上刃駆動軸の位置よりも下側になっていることを特徴とする請求項1から4のうちの1項に記載のギロチン式カッターユニット。
【請求項6】
前記下刃の下面より部品の突出をなくし、カットされた対象物を受け取るシュート入口は、前記下刃の下面近傍に延在させたことを特徴とする請求項1から5のうちの1項に記載のギロチン式カッターユニット。
【請求項7】
前記上刃軸ホルダの先端面と前記コネクタのコの字形状部分の奥端面との間の隙間によって前記コネクタの上下方向の振り角が制限され、コネクタに内蔵した弾性体の圧縮コイルばねの圧縮量の変化が制限されるようになっていることを特徴とする請求項3又は4に記載のギロチン式カッターユニット。
【請求項8】
請求項1から7のうちの1項に記載のカッターユニットを備え、前記カッターユニットによって小袋の連続した連続包装体を小袋に切断して投入することを特徴とする小袋投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッターユニット、好適には、即席麺や食品の袋詰め工程において、連包状で供給される粉末又は液体スープ、乾燥野菜等のかやく、薬味、調味油又は鮮度保存剤や乾燥材等の連続包装体を小袋に切断するカッターユニット及びそれを用いた小袋投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小袋投入装置においては、カッターユニットに上刃と下刃が構成され、上刃と下刃が水平方向に対向して移動することで連続包装体の横シールを切断し、小袋を分離する(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1においてカッターユニットは刃先が直線的な刃先のものの(特許文献1の図17図21等)作動について図4によって説明する。
図4に示すように、カッターユニットAの下刃aは、下刃駆動軸bに回転自在に組み込まれたコネクタcに取り付けた下刃ホルダdに付設されている。
下刃aの刃先は下刃駆動軸bを中心に回転可能な構成になっている。
【0004】
下刃駆動軸bは下刃駆動軸ホルダc1に支持される。下刃駆動軸ホルダc1はスライダc2に固定される。カッターユニットベースfの下面に固定された直動ガイドc3に、スライダc2が進退動可能に設置される。
【0005】
一方、上刃eは刃裏面e1がカッターユニットベースf面と平行となるように固定され、上刃eの刃裏面e1が下刃aの組立基準になっている。
【0006】
上刃ホルダgの両側面に埋め込まれた支柱hに、下刃持ち上げレバーiが回転自在に取り付けられ、このレバーiの先端にはローラ状の下刃ガイドjが回転自在に取り付けられる。下刃ガイドjの回転軸j1と上刃ホルダgに取り付けたばね掛けブラケットk間に引張ばねmを引っ掛けてセットするようになっている。なお、n1は連続包装体の送りローラ、n2が送りガイド、oが上刃駆動軸、o1が上刃駆動軸ホルダ、o2がスライダ、o3が直動ガイドである。
【0007】
レバーiの先端の下刃ガイドjは、その外周面が下刃aにおけるコの字形状に突出した下刃角部分a1の下面と当接し、上刃eと下刃aがストロークすると外周面が下刃角部分a1の下面を転動しつつ、下刃aを上方向に持ち上げる。
【0008】
引張ばねmをセットし下刃ガイドjを下刃角部分a1の下面に押付け当接させると、下刃aを図4(a)に示すように、時計方向に回転させるモーメントが作用し、下刃aの角部分a1(刃裏面)は上刃e両端部分の刃先に押付けられ密着する。
【0009】
この状態で、上刃駆動軸oと下刃駆動軸bとに、図示しないクランク機構により作動力を加え、上刃e(刃先e2)及び下刃a(刃先a2)を対向させて前後動作させることで連続包装体の小袋をギロチン切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004-223679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記のカッターユニットAには、図5図7によって説明するように問題点が生じる。図5はカッターユニットAの作動モデル図、図6は連続包装体の折れ曲がりの説明図、図7は折れ曲がり箇所への刃先の力の作用の説明図である。
【0012】
図5に示すように、カッターユニットAにおいては、上刃e(刃先e2)及び下刃a(刃先a2)を対向させて下刃aを下刃ガイドjで支持している。上刃e、下刃aの開き位置を図5(a)、切断位置を図5(b)に示す。引っ張りばねmが、下刃ガイドjを上方に引上げ力Qで引き上げている。下刃aの回転中心位置b1は下刃駆動軸bの軸心になる。
【0013】
符号Gは下刃a、下刃ホルダd、及びコネクタcの重量Wがかかる重心、gは下刃回転中心から重心Gまでの距離、Sは上刃eと下刃aのストローク、l1は下刃回転中心位置b1から上刃eの距離をそれぞれ示す。
【0014】
開き位置の上向きモーメントMは下式となる。
=Q×l1-W×g …(1)
切断位置の上向きモーメントMは下式となる。
=Q×(l1-2×S)-W×g
=Q×l1-(2×Q×S+W×g) …(2)
(2)式において「2×Q×S」の値は、上向きモーメントMがカッター刃の前進ストロークSの増加に伴い減少することを表す。これによって上刃eの刃先を下刃aの刃裏面へ押し付ける力がストロークに伴って減少することが理解される。
【0015】
上向きの押し付ける力Kは、下式(3)で表せる。
=M/(l1-2S)=Q-(W×g)/(l1-2S) …(3)
【0016】
カッターユニットAにおいて刃を使用し続けると、刃先が摩耗して、微小な半径を持つ半円形状になる(丸くなる)。
図6に示すように、連続包装体40を対の送りロールn1、n1で挟み付けて搬送する際に、包材の硬い連続包装体40の横シール40aが折れ曲がっていた場合、刃先が摩耗して下刃aの刃先が横シール部40aに突き刺さりにくい。
【0017】
下刃aの刃先が横シール40aに突き刺さらなかった際の力の作用を図7によって説明する。図7において、A1が下刃aの刃先の当たるポイント、Nが下刃aの押し下げ力、Bが摩擦力μNの発生方向、40bが折れ曲がりポイント、θが連続包装体40の折れ角である。
【0018】
図7に示すように、下刃aが連続包装体40の横シール40aに衝突したときに下刃aの刃先の力(せん断力)Fによって、下刃aの刃先に押し下げ力Nと、横シール40aとの摩擦力μNとが発生する。押し下げ力Nは折れ角θに応じた角度の方向に発生する。
【0019】
下刃aの刃先が摩耗して十分な大きさ摩擦力μNが発生しないと、下刃の刃先に作用する上下方向の力のバランスが崩れて、下刃は反時計方向(符号ACで示す)に回転しようとする。それによって、下刃aの刃先が前進するとさらに連続包装体40の折れ角θが増えさらに傾いてしまい切断不良が生じる。
【0020】
上記のことから下記の種々の問題点[ア]~[オ]が生じる。
[ア] 下刃、下刃ホルダ、及びコネクタの重量Wによるモーメントの方向は、(2)式のように引張ばねにより下刃を持ち上げる方向のモーメントを減少させるため、上刃の刃先を、下刃の刃裏面に押付ける力を弱める。
【0021】
[イ] 刃先の前進に伴って、下刃を支える下刃ガイド位置と下刃の回転中心である下刃駆動軸間隔が短くなり、カット位置では初期値の58%に減少する。一方、下刃、下刃ホルダ、コネクタの重量による反時計方向のモーメントは刃先のストロークに関係せず一定であるため、押付力は前進ストロークとともに減少する。
【0022】
このようなモーメントの変化が発生する従来のギロチン式カッターユニットは、上刃の刃先と下刃の刃裏面との押付力が最も必要な切断時に減少度合いが最大となる結果、切断抵抗により上刃と下刃間に隙間ができやすくなりギロチン切断にとっては不利な構成である。
【0023】
[ウ] 連包小袋(連続包装体)の先端の一袋を切断するとき、切断線付近に折れ癖があると切断される一袋は刃先の進行方向もしくは反対方向に傾く。特に、下刃の刃先の進行方向に傾きがあり、包材が硬い小袋の場合、せん断抵抗が大きいこともあり、下刃の刃先が切断する小袋の横シール面に衝突し切込みができる直前に、折れ曲がりで生じた傾斜面から下刃の先端を押し下げようとする力が作用する。この力の作用により前進する下刃の刃先が横シールの傾斜面に沿って滑り始めると、先端の一袋はぶら下がり状態にあるため、下刃の極わずかな前進により先端の一袋の傾斜角度が急激に大きくなる。このため、刃先は楔角度の小さな傾斜面を進むことになり、刃先を押す方向の力は下向き方向に大きく増力されて持ち上げ力を上回り下刃の刃先は先端の袋の表面に喰いこむことなく滑り続け上刃の刃先との隙間が拡大し、切断不良が発生する。
上記の現象は、直線上切り口を形成するため、上刃と下刃の刃裏面が平坦面(V溝加工の無い)な刃物(平刃)を使用した場合、顕著に表れる。
【0024】
下刃の刃先は下刃駆動軸中心位置とほぼ同じ高さで構成されているため、下刃が上刃の刃先から逃げ、下刃の刃先が下刃駆動軸の中心位置より下がると、下刃の刃先に作用する水平方向の切断抵抗の反力により反時計方向のモーメント(下刃を上刃から離す方向のモーメント)がさらに発生し、下刃と上刃の刃先の隙間は簡単に拡大する。又、前記の状態で下刃が前進すると、ぶら下がり状態の先頭小袋の傾きはほぼ水平方向となり、下刃と上刃の間に先頭の小袋を挟み込んで前進ストロークが終了し切断不良になる。
以上のように、いったん下刃が傾斜した横シール面の表面を下向きに滑ると、途中で切断が再開されることなく、切断不良になる。
【0025】
[エ] 下刃の下側に、下刃ガイドが突き出しているため、切断した小袋を受け取るシュートを下刃直下に接近させることができない。このため、折れ癖により先端の小袋に傾きがある場合、搬送途中にその先端が下刃下面とシュートの入口間の隙間に引っ掛かり、詰まりが発生することがある。
【0026】
[オ] 刃の交換時にレバーを時計方向に回転し下刃をフリーにする。このとき引張ばねが通常よりも大きく伸ばされて過剰な力が作用する。従来のカッターユニットは、上刃、下刃の両端に引張ばねが装着されていたため、万が一のばね破断時に、破断したばねの一部が商品の搬送ラインに落下する畏れがある等の問題点があった。
【0027】
本発明は、斯かる実情に鑑み、上刃の刃先と下刃の刃裏面の押し付け力を安定化させて切断性を向上できるカッターユニット及び小袋投入装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、上刃ホルダに固定された上刃を、下刃ホルダに固定された下刃に対して対向的に移動させる上刃スライダと、前記上刃ホルダを、前記上刃スライダに取り付けるための上刃軸ホルダと、前記上刃軸ホルダに保持された上刃駆動軸と、を備え、前記上刃駆動軸を中心として揺動回転可能な前記上刃の刃先を、揺動回転できぬように取り付けられた前記下刃の刃裏面に押付けて摺動させることを特徴とするギロチン式カッターユニットである。
【0029】
本発明は、上刃ホルダに固定された上刃を、下刃ホルダに固定された下刃に対して対向的に移動させる上刃スライダと、前記上刃スライダに取り付けられた上刃軸ホルダと、前記上刃軸ホルダに保持された上刃駆動軸と、前記上刃駆動軸に揺動回転可能に組み込まれると共に前記上刃ホルダに固定されて、前記上刃を前記上刃駆動軸を中心として揺動回転可能にするコネクタと、前記下刃ホルダが揺動回転できぬように取り付けられた下刃スライダと、を備え、前記上刃駆動軸を中心として揺動回転可能な前記上刃の刃先を、揺動回転できぬように取り付けられた前記下刃の刃裏面に押付けて摺動させるものであり、前記上刃軸ホルダに対する前記コネクタの上下方向の振り角が制限されていることを特徴とするギロチン式カッターユニットである。
【0030】
本発明において、前記コネクタの前記上刃駆動軸の軸中心より上側位置に弾性体が組み込まれていることが好適である。
【0031】
本発明は、上刃ホルダに固定された上刃を、下刃ホルダに固定された下刃に対して対向的に移動させる上刃スライダと、前記上刃スライダに取り付けられた上刃軸ホルダと、前記上刃軸ホルダに、両側の軸端部を突出させた状態で保持される上刃駆動軸と、前記上刃駆動軸に揺動可能に組み込まれるとともに前記上刃ホルダに固定されて、前記上刃を前記上刃駆動軸を中心として揺動可能にするコの字形状のコネクタと、前記下刃ホルダが揺動回転できぬように取り付けられた下刃スライダと、を備え、前記上刃駆動軸を中心として揺動回転可能な前記上刃の刃先を、揺動回転できぬように取り付けられた前記下刃の刃裏面に押付けて摺動させるものであり、前記上刃軸ホルダが保持する前記上刃駆動軸の両側の突出した軸端部に、前記コネクタのコの字形状部分が揺動回転可能に組み込まれ、前記上刃軸ホルダの先端面と前記コネクタのコの字形状部分の奥端面との間には隙間が設けてあり、当該隙間によって前記コネクタの上下方向の振り角が制限され、前記コネクタの前記上刃駆動軸の挿入穴中心より上側位置に弾性体を組み込むためのセット穴が穿たれており、当該セット穴の一方は非貫通になっており、他方はコネクタのコの字形状部分の奥端面側に開放されていることを特徴とするギロチン式カッターユニットである。
【0032】
本発明においては、前記上刃ホルダに組み込んだ上刃の刃先は、その刃先を下刃の刃裏面に押付けたとき、上刃の回転中心である上刃駆動軸の位置よりも下側になっていることが好適である。
【0033】
本発明においては、前記下刃の下面より部品の突出をなくし、カットされた対象物を受け取るシュート入口は、前記下刃の下面近傍に延在させたことが好適である。
【0034】
本発明においては、前記上刃軸ホルダの先端面と前記コネクタのコの字形状部分の奥端面との間の隙間によって前記コネクタの上下方向の振り角が制限され、コネクタに内蔵した弾性体の圧縮コイルばねの圧縮量の変化が制限されるようになっていることが好適である。
【0035】
本発明は、前記のカッターユニット備え、前記カッターユニットによって小袋の連続した連続包装体を小袋に切断して投入することを特徴とする小袋投入装置である。
【発明の効果】
【0036】
本発明のカッターユニット等によれば、前記上刃駆動軸を中心として揺動回転可能な前記上刃の刃先を、揺動回転できぬように取り付けられた前記下刃の刃裏面に押付けて摺動させるため、上刃の刃先と下刃の刃裏面の密着度が安定化し、切断性を向上できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施形態に係るギロチン式カッターユニットの説明図であり、(a)が一部断面を含む側面視図、(b)が下方から見た図である。
図2】実施形態のカッターユニットの作動モデル図である。
図3】連続包装体の折れ曲がりの説明図である。
図4】従来のギロチン式カッターユニットの説明図であり、(a)が一部断面を含む側面視図、(b)が下方から見た図である。
図5】カッターユニットAの作動モデル図である。
図6図4のカッターユニットにおいて、連続包装体の折れ曲がりの説明図である。
図7図4のカッターユニットにおいて、折れ曲がり箇所への刃先の力の作用の説明図で
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
[1. 実施形態のカッターユニットの全体構成]
図1は実施形態に係るギロチン式カッターユニットの説明図であって、(a)が一部断面を含む側面視図、(b)が下方から見た図である。図1において符号「F」が「前側」、「R」が「後側」を示す。
【0039】
実施形態のカッターユニットは、図1に示すように、水平方向に沿って設置されたカッターユニットベース1に沿って、上刃12を水平移動させる上刃ユニット2と下刃20を水平移動させる下刃ユニット13とを主に備えたものである。カッターユニットは、一つ一つの小袋が横シールによって繋がれた連続包装体の横シール中央部分を切断し小袋を分離する小袋投入装置に好適に使用するものである。
【0040】
上刃ユニット2は、上刃直動ガイド3、上刃スライダ4、上刃軸ホルダ5、上刃駆動軸6、コネクタ7、圧縮コイルばね8、ばねセット穴9、上刃回転ピン10、上刃ホルダ11、及び、上刃12から主に構成されている。
【0041】
又、下刃ユニット13は、下刃直動ガイド14、下刃スライダ15、下刃軸ホルダ16、下刃駆動軸17、下刃回転ピン18、下刃ホルダ19、下刃20、及び、ピン21から主に構成されている。
【0042】
なお、カッターユニットの入側には、連続包装体をその厚さ方向から挟んで搬送ラインHに沿って送り込む送りローラ30、その送りを誘導するガイド31が設けられている。
【0043】
カッターユニットは、上刃ホルダ11に固定された上刃12を、下刃ホルダ19に固定された下刃20に対して対向的に移動させる上刃スライダ4と、上刃ホルダ11を、上刃スライダ4にコネクタ7を介して取り付けるための上刃軸ホルダ5と、上刃軸ホルダ5に保持された上刃駆動軸6と、を備え、上刃駆動軸6を中心として揺動回転可能な上刃12の刃先を、揺動回転できぬように取り付けた下刃20の刃裏面20aに押付けて摺動させるギロチン式カッターユニットである。
【0044】
詳しくは、実施形態のカッターユニットは、水平方向に沿って設置されたカッターユニットベース1に沿って、上刃ホルダ11に固定された上刃12を、下刃ホルダ19に固定された下刃20に対して対向的に移動させる上刃スライダ4と、上刃スライダ4に取り付けられた上刃軸ホルダ5と、前記上刃軸ホルダ5に保持された上刃駆動軸6と、上刃駆動軸6に揺動回転可能に組み込まれると共に上刃ホルダ11に固定されて、上刃12を上刃軸ホルダ5が保持する上刃駆動軸6を回転軸として、上下方向に揺動回転可能に組み込まれたコネクタ7と、下刃ホルダ19が揺動回転できぬように取り付けられた下刃スライダ15と、を備え、上刃駆動軸6を中心として揺動回転可能な上刃12の刃先12aを揺動回転できぬように取り付けられた下刃20の刃裏面20aに押し付けて摺動させるものであり、上刃軸ホルダ5に対する前記コネクタ7の上下方向の振り角が制限されている。
【0045】
図1(b)に示すように、上刃軸ホルダ5に支持される上刃駆動軸6と、下刃軸ホルダ16に支持される下刃駆動軸17とがカッターユニットベース1の後側R方向に突出している。
【0046】
突出した上刃駆動軸6と下刃駆動軸17との各端部に図示しないアクチュエータが係合している。アクチュエータの駆動力によって上刃スライダ4(上刃駆動軸6)と下刃スライダ15(下刃駆動軸17)との間隔が拡縮すると、上刃12と下刃20とが対向的に移動し、切断、離隔する構造となっている。
【0047】
又、突出した上刃駆動軸6を中心として揺動回転可能な上刃12の刃先12aを、揺動回転できぬように取り付けられた下刃20の刃裏面20aに押付けて摺動させるギロチン式カッターユニットである。符号20cが下刃20の刃先を示す。
【0048】
このカッターユニットは、下記の目的を達成しようとするものである。
・刃のストロークが変化しても、上刃12の刃先12aと下刃20の刃裏面20aが、常に同じ押付け力による密着度で摺動することで切断性を改善する。
【0049】
・折れ癖がありかつ切断抵抗の大きな小袋であっても、上刃12と下刃20の刃先(12aと20c)間に隙間が生じることなく安定した切断ができるようにする。
下刃20を揺動回転できぬように取り付けたことにより、下刃20の刃先20cに切断抵抗の反力が作用しても、下刃20の刃先20cは上刃12の刃先12aから離れることがないため、上刃12と下刃20の刃先間に隙間が生じることがなく安定して切断できるようにする。
【0050】
・折れ癖のある小袋を搬送する途中で、下刃20の下面とシュート入口の隙間に引っ掛かり、詰まりが発生することをなくす。
【0051】
・破損した引っ張りばねの落下による異物混入をなくす。
【0052】
[1.2 各部構成]
各部構成を詳細に説明する。
実施形態に係るカッターユニットにおいては、上刃スライダ4が上刃直動ガイド3にガイドされて進退動可能な構成であり、下刃スライダ15が下刃直動ガイド14にガイドされ進退動可能な構成である。上刃直動ガイド3及び上刃スライダ4と、下刃直動ガイド14及び下刃スライダ15とは、LMガイド(登録商標)のレール及び直動ベアリングの構成を好適に採用できる。
【0053】
上刃スライダ4には、上刃駆動軸6を保持する上刃軸ホルダ5が設けられ、上刃軸ホルダ5が保持する上刃駆動軸6を回転軸として、コネクタ7が上下方向に揺動回転可能に組み込まれる。
【0054】
上刃軸ホルダ5に対するコネクタ7の上下方向の振り角が制限され、コネクタ7には、上刃駆動軸6の軸中心より上側位置に弾性体の圧縮コイルばね8が組み込まれている。
【0055】
カッターユニットは、上刃ホルダ11に固定された上刃12を、下刃ホルダ19に固定された下刃20に対して対向的に移動させる上刃スライダ4と、上刃ホルダ11に固定され上刃12の刃先12aを上下方向に揺動回転させる平面視でコの字形状のコネクタ7と、下刃ホルダ19が揺動回転できぬように取り付けると同時に下刃20を上刃12に対して対向的に移動させる下刃スライダ15と、を備える。
【0056】
又、上刃駆動軸6を中心として揺動回転可能な上刃12の刃先を、揺動回転できぬように取り付けられた下刃20の刃裏面20aに押付けて摺動させるものであり、上刃スライダ4には、上刃駆動軸6の軸端部6aが突出した状態で保持する上刃軸ホルダ5が設けられ、上刃軸ホルダ5が保持する上刃駆動軸6の突出した軸端部6aに、コネクタ7のコの字形状部分7aが揺動回転可能に組み込まれる。
【0057】
上刃軸ホルダ5の先端面5a(上刃12先端側に向かう面)とコネクタ7のコの字形状部分7aの奥端面7a1との間には隙間σが設けてあり、コネクタ7が上向きに傾くと奥端面7a1の上端が隙間σだけ移動して上刃軸ホルダ5の先端面5aの上端と接触して上向きの旋回角が制限され、コネクタ7が下向きに傾くと同様にそれぞれの下端が接触して下向きの旋回角が制限される。すなわち、隙間σによってコネクタ7の上刃軸ホルダ5に対する上下方向の振り角が制限される。
【0058】
コネクタ7の上刃駆動軸6の挿入穴7b中心より上側位置に圧縮コイルばね8を組み込むためのばねセット穴9が穿たれている。ばねセット穴9の一方は非貫通になっており、他方はコネクタ7のコの字形状部分7aの奥端面7a1側に開放されている。
なお、実施形態では、コネクタ7のばねセット穴9は貫通しているが、コネクタ7の前面に固定する上刃ホルダ11により貫通穴が蓋をされて非貫通状態になっている。
ばねセット穴9内に組み込んだ圧縮コイルばね8は、コネクタ7の奥端面7a1からその端部が突き出しており、その端面は上刃軸ホルダ5の先端面5aに当接し、他端は非貫通の穴の端面に当接する。
【0059】
コネクタ7と上刃ホルダ11とには、凹穴内に上刃回転ピン10が装着されている。下刃軸ホルダ16と下刃ホルダ19とには、凹穴内に下刃回転ピン18が装着されている。
これらの回転ピン10、18は、連続包装体が3方シール形態の場合、縦シール側と折り返し側に長さの差が生じやすい。この差のある連続包装体を幅方向の正面側から見ると、長さの長い側の曲率半径が大きくなり、長さの短い側の曲率半径が小さくなるため、大きく湾曲している。この湾曲があると、切断位置の横シールに傾きができるため、この傾きに合わせて上刃12と下刃20を回転させる。回転ピン10、18を刃幅及び上刃と下刃の刃裏面高さに対して上下左右同じ位置とすることで、上刃12と下刃20を密着させたまま同時に回転させることができる。
【0060】
符号21は、下刃20を下刃ホルダ19に対して回動させないように規制するピンである。本カッターユニットは、揺動回転できぬように取り付けた下刃20の刃裏面20aを上刃12の組立基準とするため、刃を交換する際に、上刃12と下刃20との組立再現性を保証するものである。
【0061】
実施例の上刃12と下刃20とは、図示しないが、刃裏面(上刃12と下刃20とが密着する摺動面)に多数条のV溝が上刃12と下刃20の摺動方向と一致するように加工されている。上刃12と下刃20とは、いわゆるピンキングはさみの刃先形状と同様のV字が多数連なった刃先形状をしている。このV溝加工によって連続包装体の横シール部を逃がすことなく切断すると同時に小袋を開封する際の切り裂きを容易にする波形切り口を形成できるようになっている。具体的には、V溝は、上刃12と下刃20の各刃裏面に、刃幅の両端部分にまで形成されている。
【0062】
なお、実施例では波形切り口を形成するV溝加工刃(波刃)を使用しているが、直線上切り口を形成する場合、上刃12と下刃20の刃裏面が平坦面(V溝加工の無い)な刃物(平刃)を使用できる。波刃、平刃については種々の公知技術があるが、特開2004-223679号公報の図22図23が波刃の例、図20図21が平刃の例として挙げられる。
【0063】
又、下刃20は図1(b)に示すように、下方から見るとコの字形状を呈し、コの字形状の両側の角状部分20b、20bは、上刃12と下刃20の刃先が噛み合うときにV溝の刃筋位置を一致させるため、角状部分20b、20bにもV溝加工がされており、上刃12のV溝と合わせられている。下刃20の刃先20cはやや進退方向に対して斜めになっている。
【0064】
なお、下刃ホルダ19は、調整用ボルト22を緩めた場合に下刃軸ホルダ16に対して下刃回転ピン18を軸に回転方向の位置調整が可能になっており、位置調整後は調整用ボルト22を締め付けて固定する。
一方、上刃ホルダ11は、調整用ボルト24を緩めた場合にコネクタ7に対して上刃回転ピン10を軸に回転方向の位置調整が可能になっている。下刃20の刃裏面20aの傾き角と上刃12の刃裏面12aの傾き角を一致させて調整用ボルト24を締め付けて固定する。
【0065】
又、下刃20はピン21によって下刃ホルダ19に対して回転が規制され、固定用ボルト23で下刃ホルダ19に締め付け固定されている。
【0066】
[1.3 実施形態の機能]
(1)上刃12はコネクタ7の上刃駆動軸6を中心として下方向に揺動回転し、上刃12の刃先12aを下刃20の刃裏面20aに押付けるため、コネクタ7内に内蔵した圧縮コイルばね8の中心を上刃駆動軸6より高い位置にセットしている。この位置にセットした圧縮コイルばね8の弾発力は、一端は固定取付された上刃軸ホルダ5の先端面5aに作用し、他端は揺動可能なコネクタ7の非貫通穴の底面(実施例ではコネクタ7の前面に固定された上刃ホルダ11面)に作用することによってコネクタ7に時計方向のモーメントを発生せしめることで(図1(a)参照)、固定取り付けした下刃20の刃裏面(切断基準面)20aに上刃12の刃先12aを押付けて密着させ、それぞれの刃先をお互いに対向させて動作させることで小袋をギロチン切断する。
【0067】
(2)下刃ホルダ19を揺動回転せず固定的に取り付けた下刃軸ホルダ16は、下刃スライダ15に直付け(揺動不能に固定)しているため、下刃20は下刃駆動軸17に対して回転せず固定取り付けになっている。
【0068】
(3)上刃ホルダ11に組み込んだ上刃12の刃先は、図1(a)に示すように、下刃20の刃裏面20aに押付けられているとき、上刃12の回転中心である上刃駆動軸6位置よりも下側になっている。
【0069】
(4)上刃12の刃先を下刃20の刃裏面20aに押付ける圧縮コイルばね8をコネクタ7内部に格納したため、下刃の表面(図面では下側の面)よりも下側に突き出す部品がない。
【0070】
(5)圧縮コイルばね8は、コネクタに穿たれた非貫通のばねセット穴9内部に組み込まれ、他方は上刃軸ホルダ5の先端面5aとコネクタ7のコの字形状部分7aの奥端面7a1との間に設けたごくわずかな隙間σを経由して、コネクタ7のコの字形状部分7aの奥端面7a1に当接しているため、上刃ユニット2の外部から圧縮コイルばね8が見えない。
【0071】
[1.4 実施形態の作用]
図2は、実施形態のカッターユニットの作動モデル図である。
対のローラ30、30が連続包装体40の縦シール部を挟み付けてニップ搬送する。上刃12は上刃駆動軸6の中心軸を揺動回転中心とする。下刃20は不回転で取り付けられている。図2において符号が下記となる。
Q:圧縮コイルばね8のばね力、
W:コネクタ7と上刃ホルダ11等の上刃12の取り付け部品重量W、
η:揺動回転中心から上刃12の取り付け部品の重心までの距離、
λ:揺動回転中心から上刃12の刃先までの距離
ξ:揺動回転中心から圧縮コイルばね8までの距離、
δ:揺動回転中心から上刃12の下面までの距離
F:せん断力
とする。
【0072】
・上刃12の刃先が下刃20の刃裏面を押し付けるモーメントMは、下式となる。
=Q×ξ+W×ξ
このモーメントMは、ばね力Q及び部品重量Wが一定のため、上刃12のストロークと無関係で一定、つまり、上刃12の刃先を下刃20の刃裏面に押し付ける力は一定である。
【0073】
・せん断力Fの反力が上刃12の刃先に作用したときの押し付けモーメントMは、下式となる。
=Q×ξ+W×η+F×δ
・上刃12の刃先が下刃20の刃裏面を押し付ける力Kは下式となる。
=M/λ=(Qξ+Wη+Fδ)/λ
従って、せん断力Fが作用しても、上刃12の刃先を下刃20の刃より離そうとする力は発生しない。
【0074】
上記のことからカッターユニットは下記の作用を奏する。
(1)コネクタ7には圧縮コイルばね8のばね定数と圧縮量により決まる押付力と上刃駆動軸6中心から圧縮コイルばね8中心までの高さ方向寸法との掛け算で求まる時計方向のモーメントが発生する。
【0075】
又、コネクタ7、上刃ホルダ11、上刃12それぞれの部品重量の重心位置は、上刃駆動軸6中心位置からすべて刃先側になるため、上刃駆動軸6の中心からそれぞれの重心位置までの寸法とこれらの重量により求められるモーメントは、圧縮コイルばね8によるモーメントと同じ方向になり、上刃12の刃先押付力は圧縮コイルばね8と部品重量によるモーメントとを加算して求める。
【0076】
従って、ばねの弾発力と上刃駆動軸6中心から圧縮コイルばね8中心までの高さ寸法で決まる圧縮コイルばね8によるモーメントと、上刃駆動軸6中心位置から上刃12の刃先間にある部品重量の重心位置により決まるモーメントは、カッターユニット機構の部品寸法、圧縮ばねの寸法というストロークに無関係な諸元で決まるため、刃先がストロークしても変化しないので、上刃12の刃先が下刃20の刃裏面20aを押付ける力はストロークに無関係で一定である。
【0077】
(2)連包小袋の先端の一袋を切断するとき、切断線付近に折れ癖があると切断される一袋は刃先の進行方向もしくは反対方向に傾く。特に、先端小袋の折れ曲がり方向が下刃20の刃先の進行方向に傾き、包材の硬い小袋の場合、せん断抵抗が大きく切込み難いこともあり、下刃の刃先が切断すべき横シールの傾斜面に接触した瞬間に小袋の傾きに沿って下刃20の刃先を押し下げようとする力が作用するが、下刃20は固定取り付けであるため刃先が下向きに逃げない。
【0078】
(3)一方の上刃12の刃先12aが小袋の横シールに衝突した際、上刃12と下刃20の刃先噛み合い位置が、上刃駆動軸6に対して下側になっているため、上刃12の刃先に作用した切断抵抗の反力により上刃に発生するモーメントは圧縮コイルばねによるモーメントと同じ時計方向になるため、上刃12の刃先と下刃20の刃裏面20aに隙間が生じることはない。
以上より連続包装体の先端の一袋に折れ癖があり下刃の進行方向に傾きがあっても、下刃が固定取付され横シールの傾斜面に沿って下がらず、上刃に作用する切断反力が上刃を下刃の刃裏面に押し付けるように作用することで、上刃と下刃に隙間ができないことから、上刃と下刃が前進すると横シール部に切れ込みが入り切断される。
【0079】
(4)下刃20の下面より部品の突き出しがなくなり、カットされた小袋を受け取るシュート入口は、下刃20の下面ぎりぎりまで近づけることができる。
【0080】
(5)上刃軸ホルダ5の先端面とコネクタ7のコの字形状部分7aの奥端面との間にはごくわずかな隙間σが設けてあり、コネクタ7の振り角が制限されるため、押付用の圧縮コイルばね8の圧縮量がほとんど変化しない状態で使用できる。
【0081】
[1.5 実施形態の効果]
以上のように実施形態のカッターユニットによれば、上刃12の刃先が下刃20の刃裏面20aを押付ける力は、圧縮コイルばね8のセット位置と上刃駆動軸6から刃先までの部品群の重量とその重心位置という機構構成上の寸法により決まり、刃先のストロークに無関係で一定となるため、上刃12の刃先と下刃20の刃裏面20aは、常に一定の押付力により密着させられた状態で摺動できるため、切断が安定する。
【0082】
又、下刃20の取り付けを固定としたことにより、下刃20の構成部品の重量によるモーメントで刃先押付力の減少もなくなると同時に、切断抵抗の大きな折れ癖のある小袋であっても下刃20が上刃12から逃げて隙間が発生しないため、安定して切断できる。
【0083】
又、小袋の横シールを切断する際、上刃12の刃先に作用する切断抵抗の反力にて発生するモーメントは、圧縮コイルばね8が上刃12を時計方向に回転させるのと同じ方向に作用するため、刃先を下刃20の刃裏面20aに押付けていた密着性が損なわれることはなく、安定した切断性能が得られる。
【0084】
又、上刃12の刃先を下刃20の刃裏面20aに押付ける圧縮コイルばね8をコネクタ7内部に内蔵したことにより、下刃20の下面より部品の突き出しがなくなり、カットされた小袋を受け取るシュート入口は、下刃20の下面ぎりぎりまで近づけることができるため、横シールの切断線付近に折れ癖があり小袋の先端が傾いていても、搬送途中で下刃20の下面とシュートの入口の隙間に小袋が引っ掛かり、詰まりが発生することがなくなる。
【0085】
詳しくは、図3に示すように、シュート44の入り口を実線44aで示す位置まで、つまり下刃20の下面ぎりぎりまで設置できる(間隔δ)。従来は、下刃を支える下刃ガイドがあるため、シュートの入り口は二点鎖線tで示す位置であり、下刃下面との間隔がqであったのに比較して間隔δを小さくすることができた。従来は、連続包装体の曲がりによって搬送される小袋の先端がシュートの入り口に引っ掛かり、詰まりが発生する恐れがあったが、本発明では、間隔δが小さいため、詰まりの発生を確実に防止することができる。
【0086】
又、実施形態のカッターユニットは、圧縮量の変化がほとんどない構成であるため、圧縮コイルばね8が疲労破壊による破断の危険もなくなると同時に、万が一破損したとしてもセット穴9等のばね格納部から破損した部品の落下が防止でき、異物混入の危険がなくなる。
【0087】
以上説明した実施形態のカッターユニットに本発明は限定されず、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々に変形実施できる。例えば、ばねセット穴に収容する弾性体は圧縮コイルばねに限定されず、同様の弾性作用を奏するスプリング部材やエラストマー等の弾性体を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のカッターユニットは、小袋投入装置のカッターユニットに利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 カッターユニットベース
2 上刃ユニット
3 上刃直動ガイド
4 上刃スライダ
5 上刃軸ホルダ
5a 先端面
6 上刃駆動軸
6a 軸端部
7 コネクタ
7a コの字形状部分
7a1 奥端面
7b 挿入穴
8 圧縮コイルばね
9 セット穴
10 上刃回転ピン
11 上刃ホルダ
12 上刃
13 下刃ユニット
14 下刃直動ガイド
15 下刃スライダ
16 下刃軸ホルダ
17 下刃駆動軸
18 下刃回転ピン
19 下刃ホルダ
20 下刃
20a 刃裏面
20b 角状部分
20c 刃先
21 ピン
22 調整用ボルト
23 固定用ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上刃ホルダに固定された上刃を、下刃ホルダに固定された下刃に対して水平方向に対向的に移動させる上刃スライダと、
前記上刃スライダに取り付けられた上刃軸ホルダと、
前記上刃軸ホルダに保持された上刃駆動軸と、
前記上刃駆動軸に揺動回転可能に組み込まれると共に前記上刃ホルダに固定されて、前記上刃を前記上刃駆動軸を中心として揺動回転可能にするコネクタと、
前記下刃ホルダが揺動回転できぬように取り付けられた下刃スライダと、を備え、
前記上刃駆動軸を中心として揺動回転可能な前記上刃の刃先を、揺動回転できぬように取り付けられた前記下刃の刃裏面に押付けて摺動させるものであり、
前記上刃軸ホルダに対する前記コネクタの上下方向の振り角が制限されており、
前記コネクタの前記上刃駆動軸の軸中心より上側位置に弾性体が組み込まれていることを特徴とするギロチン式カッターユニット。
【請求項2】
上刃ホルダに固定された上刃を、下刃ホルダに固定された下刃に対して水平方向に対向的に移動させる上刃スライダと、
前記上刃スライダに取り付けられた上刃軸ホルダと、
前記上刃軸ホルダに、両側の軸端部を突出させた状態で保持される上刃駆動軸と、
前記上刃駆動軸に揺動可能に組み込まれるとともに前記上刃ホルダに固定されて、前記上刃を前記上刃駆動軸を中心として揺動可能にするコの字形状のコネクタと、
前記下刃ホルダが揺動回転できぬように取り付けられた下刃スライダと、を備え、
前記上刃駆動軸を中心として揺動回転可能な前記上刃の刃先を、揺動回転できぬように取り付けられた前記下刃の刃裏面に押付けて摺動させるものであり、
前記上刃軸ホルダが保持する前記上刃駆動軸の両側の突出した軸端部に、前記コネクタのコの字形状部分が揺動回転可能に組み込まれ、
前記上刃軸ホルダの先端面と前記コネクタのコの字形状部分の奥端面との間には隙間が設けてあり、当該隙間によって前記コネクタの上下方向の振り角が制限され、
前記コネクタの前記上刃駆動軸の挿入穴中心より上側位置に弾性体を組み込むためのセット穴が穿たれており、当該セット穴の一方は非貫通になっており、他方はコネクタのコの字形状部分の奥端面側に開放されていることを特徴とするギロチン式カッターユニット。
【請求項3】
前記下刃の下面より部品の突出をなくし、カットされた対象物を受け取るシュート入口は、前記下刃の下面近傍に延在させたことを特徴とする請求項1又は2に記載のギロチン式カッターユニット。
【請求項4】
前記上刃軸ホルダの先端面と前記コネクタのコの字形状部分の奥端面との間の隙間によって前記コネクタの上下方向の振り角が制限され、コネクタに内蔵した弾性体の圧縮コイルばねの圧縮量の変化が制限されるようになっていることを特徴とする請求項に記載のギロチン式カッターユニット。
【請求項5】
請求項1からのうちの1項に記載のカッターユニットを備え、前記カッターユニットによって小袋の連続した連続包装体を小袋に切断して投入することを特徴とする小袋投入装置。