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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139766
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/42 20060101AFI20220915BHJP
   H04M 1/72448 20210101ALI20220915BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220915BHJP
【FI】
H04M3/42 Z
H04M1/72448
G06T7/00 660A
G06T7/00 660B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040287
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】小村田 美玖
(72)【発明者】
【氏名】新井 雄太
(72)【発明者】
【氏名】玉井 良明
【テーマコード(参考)】
5K127
5K201
5L096
【Fターム(参考)】
5K127BA08
5K127CA34
5K127DA11
5K127GB73
5K127HA02
5K127JA14
5K127JA33
5K127KA04
5K201AA05
5K201BB07
5K201BC01
5K201CC04
5K201CC10
5K201DC05
5K201EB06
5K201EC06
5K201ED04
5K201EF04
5L096BA08
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA67
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】発信者及び受信者の操作負担を軽減することが可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】無線通信システムは、発信者が使用する発信側無線機と、発信側無線機との間で通信可能であり、複数の受信候補者がそれぞれ使用する受信側無線機と、発信者の視線を検出する視線検出部と、検出された発信者の視線に基づいて、複数の受信候補者の中から受信者を特定する受信者特定部と、発信側無線機と特定された受信者の受信側無線機との間を通話可能に接続する通信制御部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信者が使用する発信側無線機と、
前記発信側無線機との間で通信可能であり、複数の受信候補者がそれぞれ使用する受信側無線機と、
前記発信者の視線を検出する視線検出部と、
検出された前記発信者の視線に基づいて、複数の前記受信候補者の中から受信者を特定する受信者特定部と、
前記発信側無線機と特定された前記受信者の前記受信側無線機との間を通話可能に接続する通信制御部と
を備える無線通信システム。
【請求項2】
複数の前記受信候補者の位置を個別に検出する位置検出部を更に備え、
前記受信者特定部は、前記発信者の視線と複数の前記受信候補者の位置とに基づいて、前記発信者の視線上の位置に存在する前記受信候補者を前記受信者として特定する
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
撮影装置で撮影された前記受信候補者の撮影映像を表示する表示部と、
前記表示部に表示される前記撮影映像に含まれる前記受信候補者の候補者映像を認識する画像認識部と、
検出された前記視線に基づいて、前記表示部における前記発信者の注視点の位置を検出する注視点検出部と
を更に備え、
前記受信者特定部は、前記画像認識部による認識結果と、前記注視点の位置とに基づいて、前記発信者の前記注視点上の位置に存在する前記候補者映像に対応する前記受信候補者を前記受信者として特定する
請求項1又は請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記画像認識部は、前記撮影映像に含まれる人物の身体的な特徴部分及び着衣の特徴部分の少なくとも一方に基づいて前記候補者映像を認識する
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記受信候補者と、前記受信候補者が使用する前記受信側無線機と、の対応関係を示す対応テーブルを記憶する記憶部を更に備え、
前記通信制御部は、特定した前記受信候補者の情報と前記対応テーブルとに基づいて、前記発信側無線機の接続先となる前記前記受信側無線機を選択する
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
商業施設やイベント会場などにおいては、複数の人物が例えば無線機等の無線通信システムを用いて通話する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-5017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような無線通信システムでは、例えば複数の無線機が同一チャンネルで接続された状態で用いられる。つまり、一の無線機使用者(以下、発信者と表記する)から発した音声が複数の無線機使用者(以下、受信者と表記する)に対して送信されることになる。この場合、発信者が特定の受信者とのみ通話したい場合は、当該特定の受信者との間でそれぞれ別のチャンネルに切り替えて通話を行い、通話が終わったら元のチャンネルに戻す必要があるため、操作に手間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、発信者及び受信者の操作負担を軽減することが可能な無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無線通信システムは、発信者が使用する発信側無線機と、前記発信側無線機との間で通信可能であり、複数の受信候補者がそれぞれ使用する受信側無線機と、前記発信者の視線を検出する視線検出部と、検出された前記発信者の視線に基づいて、複数の前記受信候補者の中から受信者を特定する受信者特定部と、前記発信側無線機と特定された前記受信者の前記受信側無線機との間の無線通信回線を接続する通信制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発信者及び受信者の操作負担を軽減することが可能な無線通信システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る無線通信システムの一例を概略的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る発信側無線機の一例を示す機能ブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る受信側無線機の一例を示す機能ブロック図である。
図4図4は、第1実施形態に係る無線通信システムの動作の一例を模式的に示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る無線通信システムの動作の他の例を模式的に示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る無線通信システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第2実施形態に係る無線通信システムの一例を概略的に示す図である。
図8図8は、第2実施形態に係る発信側無線機の一例を示す機能ブロック図である。
図9図9は、第2実施形態に係る処理装置の一例を示す機能ブロック図である。
図10図10は、第2実施形態に係る受信側無線機の一例を示す機能ブロック図である。
図11図11は、第2実施形態に係る無線通信システムの動作の一例を模式的に示す図である。
図12図12は、第2実施形態に係る無線通信システムの動作の他の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る無線通信システムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る無線通信システム100の一例を概略的に示す図である。図1に示す無線通信システム100は、例えば商業施設やイベント会場などにおいて、複数の人物が通信を行う場合に用いることができる。また、無線通信システム100は、サッカー等の団体スポーツにおいて、監督又はコーチ等が選手に指示を出す場合等に用いることができる。図1に示す無線通信システム100は、発信者P1が使用する発信側無線機10と、複数の受信候補者P2がそれぞれ使用する受信側無線機20とを備える。本実施形態において、発信者P1としては、例えば商業施設又はインベント等で作業を行うスタッフのリーダーや、団体スポーツの監督又はコーチ等のように、複数の受信候補者P2に対して指示を与える人物等が挙げられる。また、受信候補者P2としては、例えば商業施設又はインベント等で作業を行うスタッフや、団体スポーツの選手等のように、発信者P1から指示を受ける人物等が挙げられる。
【0011】
図2は、第1実施形態に係る発信側無線機10の一例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、発信側無線機10は、眼球撮影部11と、音声入力部12と、音声出力部13と、通信部14と、制御部15とを有する。
【0012】
眼球撮影部11は、発信者P1の左右の眼球を撮影する。眼球撮影部11は、発信者P1の左右の眼球を撮影した眼球撮影情報を制御部15に入力する。眼球撮影部11は、発信者P1の視線を検出する方法に応じた各種カメラが用いられる。例えば、発信者P1の瞳孔の位置と角膜反射像の位置とに基づいて視線を検出する方式の場合、眼球撮影部11としては、赤外線カメラを用いることができる。この場合、発信者P1の眼球を照射する赤外線発光部を備える構成としてもよい。また、例えば、発信者P1の目頭の位置と虹彩の位置とに基づいて視線を検出する方式の場合、眼球撮影部11としては、可視光カメラを用いることができる。
【0013】
音声入力部12は、音声情報を取得して制御部15に入力する。音声入力部12としては、例えばマイク等が用いられる。音声入力部12は、例えば発信者P1の発する声等の音声情報を取得する。
【0014】
音声出力部13は、音声情報を出力する。音声出力部13としては、例えばイヤホン、ヘッドホン、スピーカ等が用いられる。音声出力部13は、通信部14で受信した受信者の音声等の音声情報を出力する。
【0015】
通信部14は、受信側無線機20との間で無線による情報の送受信が可能である。通信部14は、所定の通話チャンネルに合わせることにより、受信側無線機20との間で通話可能な状態となる。通話チャンネルとしては、発信側無線機10と複数の受信側無線機20との間で音声を送受信可能な共用チャンネルと、発信側無線機10と各受信側無線機20との間で個別に音声を送受信可能な専用チャンネルとが含まれる。なお、本実施形態において、共用チャンネルは設けられなくてもよい。通信部14は、音声入力部12からの発信者P1の音声情報を送信する。通信部14は、受信側無線機20からの音声情報を受信する。通信部14は、受信側無線機20から送信される受信候補者P2の位置情報を受信する。位置情報は、受信側無線機20と通話可能な状態でなくても受信可能である。
【0016】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶装置を有する。制御部15は、発信側無線機10を制御する。制御部15は、入出力制御部16と、視線検出部17と、受信者特定部18と、通信制御部19とを有する。
【0017】
入出力制御部16は、音声入力部12から入力された音声情報を取得する。入出力制御部16は、音声出力部13に音声情報を出力させる。
【0018】
視線検出部17は、眼球撮影部11で撮影された左右の眼球撮影情報に基づいて、例えば三次元グローバル座標系で規定される発信者P1の視線ベクトルを検出する。視線検出部17は、例えば眼球撮影情報に含まれる発信者P1の瞳孔の位置と角膜反射像の位置とに基づいて視線を検出する構成であってもよいし、眼球撮影情報に含まれる発信者P1の目頭の位置と虹彩の位置とに基づいて視線を検出する構成であってもよい。
【0019】
受信者特定部18は、検出された発信者P1の視線に基づいて、複数の受信候補者P2の中から受信者を特定する。受信者特定部18は、例えば、発信者P1の視線と複数の受信候補者P2の位置とに基づいて、発信者P1の視線上の位置に存在する受信候補者P2を受信者として特定することができる。
【0020】
通信制御部19は、通信部14の動作を制御する。通信制御部19は、受信側無線機20から送信される受信候補者P2の位置情報を受信する。通信制御部19は、複数の受信候補者P2の中から受信者が特定された場合、発信側無線機10の通話チャンネルを、特定された受信者の受信側無線機20の専用チャンネルに合わせる。この動作により、発信側無線機10と受信側無線機20との間が通話可能に接続される。発信側無線機10と受信側無線機20との間が通話可能に接続された状態において、通信制御部19は、音声入力部12からの発信者P1の音声情報を通信部14に送信させる。また、通信制御部19は、通信部14で受信した受信側無線機20からの音声情報を取得する。
【0021】
図3は、第1実施形態に係る受信側無線機20の一例を示す機能ブロック図である。図3に示すように、受信側無線機20は、位置検出部21と、音声入力部22と、音声出力部23と、通信部24と、制御部25とを有する。
【0022】
位置検出部21は、受信候補者P2の位置を検出し、検出した位置情報を制御部25に入力する。位置検出部21としては、例えばGPSセンサ等が用いられる。位置検出部21は、検出した位置情報を、受信側無線機20と対応付けて制御部25に入力することができる。
【0023】
音声入力部22は、音声情報を取得して制御部25に入力する。音声入力部22としては、例えばマイク等が用いられる。音声入力部22は、例えば受信候補者P2の発する声等の音声情報を取得する。
【0024】
音声出力部23は、音声情報を出力する。音声出力部23としては、例えばイヤホン、ヘッドホン、スピーカ等が用いられる。音声出力部23は、通信部24で受信した発信者P1の音声等の音声情報を出力する。
【0025】
通信部24は、発信側無線機10との間で無線による情報の送受信が可能である。通信部24は、複数の受信側無線機20で共通の共通チャンネルと、受信側無線機20ごとに異なる個別の専用チャンネルとが設定される。発信側無線機10が専用チャンネルに合わせることで、複数の受信側無線機20の中から特定の受信側無線機20に個別に接続することが可能となっている。通信部24は、音声入力部22から入力される受信候補者P2の音声情報を送信する。通信部24は、発信側無線機10から送信される発信者P1の音声情報を受信する。通信部24は、位置検出部21で検出された受信候補者P2の位置情報を送信する。
【0026】
制御部25は、CPU等の処理装置と、RAM又はROM等の記憶装置を有する。制御部25は、受信側無線機20を制御する。制御部25は、入出力制御部26と、通信制御部29とを有する。
【0027】
入出力制御部26は、音声入力部22から入力された音声情報を取得する。入出力制御部26は、音声出力部23に音声情報を出力させる。
【0028】
通信制御部29は、通信部24の動作を制御する。通信制御部29は、位置検出部21による検出結果を通信部24から送信させる。通信制御部29は、通信部24で受信した発信側無線機10からの音声情報を取得する。
【0029】
次に、上記のように構成された無線通信システム100の動作を説明する。図4は、第1実施形態に係る無線通信システム100の動作の一例を模式的に示す図である。図4に示すように、発信者P1は、複数の受信候補者P2の中から通話したい特定の受信候補者P2に視線ELを向けるようにする。発信側無線機10において、眼球撮影部11は、発信者P1の眼球を撮影する。撮影された眼球撮影情報は、入出力制御部16により取得される。視線検出部17は、眼球撮影情報に基づいて、発信者P1の視線を検出する。
【0030】
複数の受信側無線機20において、位置検出部21は、各受信候補者P2の位置を検出する。検出された位置情報は、入出力制御部26により取得され、通信制御部29の制御により通信部24から発信側無線機10に送信される。発信側無線機10において、通信部14は、送信された位置情報を受信する。
【0031】
受信者特定部18は、発信者P1の視線と複数の受信候補者P2の位置とに基づいて、発信者P1の視線EL上の位置に受信候補者P2が存在するか否かを検出する。受信者特定部18は、発信者P1の視線EL上の位置に受信候補者P2が存在することを検出した場合、検出した受信候補者P2を受信者P2Aとして特定する。
【0032】
通信制御部19は、発信側無線機10の通話チャンネルを、特定された受信者P2Aの受信側無線機20の通話チャンネルに合わせる。また、通信制御部19は、発信側無線機10の通話チャンネルを、受信者P2A以外の受信候補者P2の受信側無線機20の通話チャンネルには合わせないようにする。この動作により、発信側無線機10と受信者P2Aの受信側無線機20との間が通話可能に接続された状態となり、発信側無線機10と他の受信候補者P2の受信側無線機20との間では接続されない状態となる。したがって、発信者P1は、複数の受信候補者P2の中から受信者P2Aを特定して無線により通話を行うことが可能となる。
【0033】
図5は、第1実施形態に係る無線通信システム100の動作の他の例を模式的に示す図である。図5では、特定の受信候補者P2が発信者P1から見て構造物の後方に隠れるように移動する場合を示している。図5に示すように、発信者P1は、上記同様、複数の受信候補者P2の中から通話したい特定の受信候補者P2に視線ELを向けるようにする。この場合、発信者P1は、特定の受信候補者P2の移動に合わせて視線ELを移動させるようにする。
【0034】
受信側無線機20では、移動する受信候補者P2の位置が検出され、位置情報が発信側無線機10に送信される。発信側無線機10において、通信部14は、送信された位置情報を受信する。発信側無線機10において、受信者特定部18は、発信者P1の移動する視線EL上の位置に受信候補者P2が存在することを検出した場合、受信候補者P2を受信者P2Aとして特定する。このように、発信者P1と受信候補者P2との間に構造物が存在する場合であっても、発信者P1の視線ELの先に受信候補者P2が存在する場合には、当該受信候補者P2を受信者P2Aとして特定することができる。
【0035】
図6は、第1実施形態に係る無線通信システム100の動作の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、発信側無線機10において、視線検出部17は、眼球撮影情報に基づいて、発信者P1の視線を検出する(ステップS10)。
【0036】
受信者特定部18は、発信者P1の視線ELに基づいて、発信者P1の視線EL上の位置に受信候補者P2が存在するか否かを検出する(ステップS20)。受信者特定部18は、発信者P1の視線EL上の位置に受信候補者P2が存在することを検出した場合(ステップS20のYes)、検出した受信候補者P2を受信者P2Aとして特定する(ステップS30)。受信者特定部18は、発信者P1の視線EL上の位置に受信候補者P2が存在することを検出しない場合(ステップS20のNo)、ステップS20を繰り返し行う。
【0037】
受信者P2Aが特定された場合、通信制御部19は、発信側無線機10の通話チャンネルを、特定された受信者P2Aの受信側無線機20の通話チャンネルに合わせる。また、通信制御部19は、発信側無線機10の通話チャンネルを、受信者P2A以外の受信候補者P2の受信側無線機20の通話チャンネルには合わせないようにする。この動作により、発信側無線機10と受信者P2Aの受信側無線機20との間が通話可能に接続された状態となる(ステップS40)。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る無線通信システム100は、発信者P1が使用する発信側無線機10と、発信側無線機10との間で通信可能であり、複数の受信候補者P2がそれぞれ使用する受信側無線機20と、発信者P1の視線を検出する視線検出部17と、検出された発信者P1の視線に基づいて、複数の受信候補者P2の中から受信者P2Aを特定する受信者特定部18と、発信側無線機10と特定された受信者P2Aの受信側無線機20との間を通話可能に接続する通信制御部19とを備える。
【0039】
本実施形態によれば、発信者P1が通話を行いたい受信候補者P2に視線を向けることにより、発信者P1の視線を検出して視線を向けた受信候補者P2を受信者P2Aとして特定し、発信側無線機10と特定した受信者P2Aの受信側無線機20との間で通話可能な状態とすることができる。これにより、受信候補者P2の中から受信者P2Aを選択して通話可能な状態とする操作を手動で行わなくても済むため、発信者P1及び受信者P2Aの操作負担を軽減することができる。
【0040】
本実施形態に係る無線通信システム100において、複数の受信候補者P2の位置を個別に検出する位置検出部21を更に備え、受信者特定部18は、発信者P1の視線と複数の受信候補者P2の位置とに基づいて、発信者P1の視線上の位置に存在する受信候補者P2を受信者P2Aとして特定する。この構成によれば、受信者P2Aを高精度に特定することができる。
【0041】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係る無線通信システム200の一例を概略的に示す図である。以下、第2実施形態に係る無線通信システム200の各構成を説明するにあたり、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。図7に示す無線通信システム200は、発信側無線機30と、処理装置40と、受信側無線機50とを備える。
【0042】
図8は、第2実施形態に係る発信側無線機30の一例を示す機能ブロック図である。図8に示すように、発信側無線機30は、音声入力部12と、音声出力部13と、通信部14と、制御部35とを有する。音声入力部12、音声出力部13及び通信部14については、第1実施形態と同様の構成とすることができる。
【0043】
制御部35は、発信側無線機30を統括的に制御する。制御部35は、CPU等の処理装置と、RAM又はROM等の記憶装置を有する。制御部35は、入出力制御部16と、通信制御部39とを有する。入出力制御部16は、第1実施形態と同様の構成とすることができる。通信制御部39は、後述する処理装置40から送信され通信部14で受信される受信者の情報及び対応テーブルの情報を取得する。通信制御部39は、受信者の情報及び対応テーブルの情報を取得した場合、発信側無線機30の通話チャンネルを、受信者の受信側無線機50の専用チャンネルに合わせる。この動作により、発信側無線機30と受信側無線機50との間が通話可能に接続される。発信側無線機30と受信側無線機50との間が通話可能に接続された状態において、通信制御部39は、音声入力部12からの発信者P1の音声情報を通信部14に送信させる。また、通信制御部39は、通信部14で受信した受信側無線機50からの音声情報を取得する。
【0044】
図9は、第2実施形態に係る処理装置40の一例を示す機能ブロック図である。図9に示すように、処理装置40は、候補者撮影部41と、表示部42と、眼球撮影部43と、通信部44と、制御部45とを有する。
【0045】
候補者撮影部41は、複数の受信候補者P2が存在するエリアを撮影し、撮影した映像情報を制御部45に入力する。
【0046】
表示部42は、候補者撮影部41により撮影された映像情報を表示する。表示部42は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)又は有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display:OLED)のようなフラットパネルディスプレイを含む。
【0047】
眼球撮影部43は、発信者P1の眼球を撮影し、撮影した眼球撮影情報を制御部45に入力する。眼球撮影部43は、例えば表示部42に取り付けられた構成とすることができる。なお、眼球撮影部43は、表示部42とは別個に設けられてもよい。
【0048】
通信部44は、発信側無線機30との間で例えば無線による情報の通信が可能である。通信部44は、後述する受信者の情報及び対応テーブルの情報を発信側無線機30に送信する。
【0049】
制御部45は、処理装置40を統括的に制御する。制御部45は、CPU等の処理装置と、RAM又はROM等の記憶装置を有する。制御部45は、入出力制御部61と、画像認識部62と、注視点検出部63と、受信者特定部64と、記憶部65と、通信制御部66とを有する。
【0050】
入出力制御部61は、候補者撮影部41で撮影された候補者撮影情報及び、眼球撮影部43で撮影された眼球撮影情報を取得する。入出力制御部61は、取得した候補者撮影情報を表示部42に表示させる。
【0051】
画像認識部62は、表示部42に表示された映像情報に含まれる受信候補者P2の候補者映像Q2を認識する。画像認識部62は、例えば表示部42内において候補者映像Q2が映っている範囲を算出することができる。また、画像認識部62は、認識した候補者映像Q2がどの受信候補者P2かを認識することができる。画像認識部62は、例えば映像情報に含まれる人物の身体的な特徴部分及び着衣の特徴部分の少なくとも一方に基づいて候補者映像Q2がどの受信候補者P2かを認識することができる。人物の身体的な特徴部分としては、例えば顔、身長、体型等が挙げられる。また、人物の着衣の特徴部分としては、着衣に付された文字、数字等が挙げられる。
【0052】
注視点検出部63は、発信者P1の視線を検出し、検出された視線に基づいて、表示部に42おける発信者P1の注視点の位置を検出する。注視点検出部63は、発信者P1の注視点の位置を検出する。本実施形態において、注視点検出部63は、眼球撮影部43によって取得される発信者P1の左右の眼球の眼球撮影情報に基づいて、三次元グローバル座標系で規定される発信者P1の視線ベクトルを検出する。注視点検出部63は、検出した発信者P1の視線ベクトルと表示部42との交点の位置を、発信者P1の注視点の位置情報として検出することができる。注視点検出部63は、所定周期毎に発信者P1の注視点の位置情報を検出する。
【0053】
受信者特定部64は、画像認識部62による認識結果と、注視点検出部63により検出された注視点の位置とに基づいて、複数の受信候補者P2の中から受信者を特定する。受信者特定部64は、発信者P1の注視点上の位置に候補者映像が存在するか否かを判定し、存在すると判定した場合、当該候補者映像に対応する受信候補者P2を受信者として特定する。
【0054】
記憶部65は、各種情報を記憶する。記憶部65は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部65として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。記憶部65は、受信候補者P2と、受信候補者P2が使用する受信側無線機50と、の対応関係を示す対応テーブルを記憶する。記憶部65は、受信候補者P2の顔、身長、体型等の身体的な特徴部分及び着衣に付された文字、数字等の着衣の特徴部分を、当該受信候補者P2と対応付けて記憶する。
【0055】
通信制御部66は、通信部44の動作を制御する。通信制御部66は、発信側無線機30に対して、特定された受信者と、記憶部65に記憶される対応テーブルの情報とを送信する。
【0056】
図10は、第2実施形態に係る受信側無線機50の一例を示す機能ブロック図である。図10に示すように、受信側無線機50は、音声入力部22と、音声出力部23と、通信部24と、制御部25とを有する。音声入力部22、音声出力部23、通信部24及び制御部25については、第1実施形態と同様の構成とすることができる。本実施形態において、受信側無線機50には、位置検出部が設けられない構成である。なお、第1実施形態と同様に受信側無線機50に位置検出部が設けられる構成としてもよい。
【0057】
次に、上記のように構成された無線通信システム200の動作を説明する。図11は、第2実施形態に係る無線通信システム200の動作の一例を模式的に示す図である。処理装置40において、候補者撮影部41は、受信候補者P2が存在するエリアを撮影し、撮影情報を制御部45に入力する。入出力制御部61は、入力された撮影情報を表示部42に表示させる。発信者P1は、表示部42に表示された撮影映像を見ることにより、複数の受信候補者P2を確認することができる。
【0058】
画像認識部62は、表示部42に表示される撮影情報に含まれる受信候補者P2の候補者映像Q2を認識する。画像認識部62は、候補者映像Q2が表示部42のどの範囲に映っているかを検出する。また、画像認識部62は、個々の候補者映像Q2がそれぞれどの受信候補者P2であるかを認識する。例えば、画像認識部62は、映像情報に含まれる人物の背番号等の特徴部分Cに基づいて候補者映像Q2がどの受信候補者P2かを認識することができる。
【0059】
処理装置40において、眼球撮影部43は、例えば表示部42を見る発信者P1の眼球を撮影し、眼球撮影情報を制御部45に入力する。入出力制御部61は、入力された眼球撮影情報を取得する。注視点検出部撮影された眼球撮影情報は、入出力制御部61により取得される。注視点検出部63は、眼球撮影情報に基づいて、発信者P1の視線ELを検出し、検出した視線ELに基づいて、表示部42における注視点EPの位置を検出する。
【0060】
受信者特定部64は、画像認識部62による認識結果と、注視点検出部63により検出された注視点EPの位置とに基づいて、発信者P1の注視点EP上の位置に候補者映像Q2が存在するか否かを判定する。受信者特定部64は、存在すると判定した場合、当該候補者映像Q2に対応する受信候補者P2を受信者P2Bとして特定する。通信制御部66は、特定された受信者P2Bの情報と、記憶部65に記憶される対応テーブルの情報とを発信側無線機30に送信する。
【0061】
発信側無線機30は、受信者P2Bの情報及び対応テーブルの情報を通信部14において受信する。通信制御部39は、受信者の情報及び対応テーブルの情報を取得する。通信制御部39は、受信者P2Bの情報及び対応テーブルの情報を取得した場合、発信側無線機30の通話チャンネルを、受信者の受信側無線機50の専用チャンネルに合わせる。通信制御部39は、発信側無線機30の通話チャンネルを、受信者P2B以外の受信候補者P2の受信側無線機50の専用チャンネルには合わせないようにする。この動作により、発信側無線機30と受信者P2Bの受信側無線機50との間が通話可能に接続された状態となり、発信側無線機30と他の受信候補者P2の受信側無線機50との間では接続されない状態となる。したがって、発信者P1は、複数の受信候補者P2の中から受信者P2Bを特定して無線により通話を行うことが可能となる。
【0062】
図12は、第2実施形態に係る無線通信システム200の動作の他の例を模式的に示す図である。図12では、受信側無線機50が位置検出部を有する、又は、個々の受信候補者P2の位置を検出可能な検出手段が設けられる場合の例である。図12では、特定の受信候補者P2が候補者撮影部41から見て構造物の後方に隠れるように移動する場合を示している。図12に示すように、発信者P1は、上記同様、複数の候補者映像Q2の中から通話したい特定の受信候補者P2の候補者映像Q2に視線ELを向けるようにする。この場合、発信者P1は、候補者映像Q2の移動に合わせて視線ELを移動させるようにする。
【0063】
受信側無線機50では、移動する受信候補者P2の位置が検出され、位置情報が処理装置40に送信される。処理装置40において、通信部44は、送信された位置情報を受信する。処理装置40において、画像認識部62は、位置情報に基づいて、候補者映像Q2に対応する表示部42上の対象範囲を認識する。この場合、画像認識部62は、候補者映像Q2が構造物の後方に隠れた場合においても、位置情報に基づいて表示部42上の対象範囲を認識することができる。この対象範囲は、仮に構造物が存在しない場合に候補者映像Q2が表示される表示部42上の範囲に相当する。受信者特定部64は、候補者映像Q2が構造物の後方に隠れた状態において、発信者P1の注視点EPが画像認識部62により認識される対象範囲内に存在することを検出した場合、当該候補者映像Q2に対応する受信候補者P2を受信者P2Bとして特定することができる。このように、候補者映像Q2が構造物に隠れる場合であっても、発信者P1の注視点EPの位置に候補者映像Q2が存在すると推定される場合には、当該受信候補者P2を受信者P2Bとして特定することができる。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る無線通信システム200は、発信者P1が使用する発信側無線機30と、発信側無線機30との間で通信可能であり、複数の受信候補者P2がそれぞれ使用する受信側無線機50と、発信者P1の視線を検出する注視点検出部63と、検出された発信者P1の視線に基づいて、複数の受信候補者P2の中から受信者P2Bを特定する受信者特定部64と、発信側無線機30と特定された受信者P2Bの受信側無線機50との間を通話可能に接続する通信制御部39とを備える。
【0065】
本実施形態によれば、発信者P1が通話を行いたい受信候補者P2に視線を向けることにより、発信者P1の視線を検出して視線を向けた受信候補者P2を受信者P2Bとして特定し、発信側無線機30と特定した受信者P2Bの受信側無線機50との間で通話可能な状態とすることができる。これにより、受信候補者P2の中から受信者P2Bを選択して通話可能な状態とする操作を手動で行わなくても済むため、発信者P1及び受信者P2Bの操作負担を軽減することができる。
【0066】
本実施形態に係る無線通信システム200において、候補者撮影部41で撮影された受信候補者P2の候補者映像Q2を表示する表示部42と、表示部42に表示される候補者映像Q2に対応する受信候補者P2を認識する画像認識部62と、検出された視線に基づいて、表示部42における発信者P1の注視点の位置を検出する注視点検出部63とを更に備え、受信者特定部64は、画像認識部62による認識結果と、注視点の位置とに基づいて、発信者P1の注視点上の位置に存在する候補者映像Q2に対応する受信候補者P2を受信者P2Bとして特定する。この構成によれば、受信者P2Bを高精度に特定することができる。
【0067】
本実施形態に係る無線通信システム200において、画像認識部62は、候補者映像Q2の身体的な特徴部分及び着衣の特徴部分の少なくとも一方に基づいて受信候補者P2を認識する。この構成によれば、表示部42に表示される候補者映像Q2から受信候補者P2を高精度に認識することができる。
【0068】
本実施形態に係る無線通信システム200において、受信候補者P2と、受信候補者P2が使用する受信側無線機50と、の対応関係を示す対応テーブルを記憶する記憶部を更に備え、通信制御部19は、特定した受信候補者P2の情報と対応テーブルとに基づいて、発信側無線機30の接続先となる受信側無線機50を選択する。この構成によれば、発信側無線機10の接続先となる受信側無線機50を高精度に選択することができる。
【0069】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記第1実施形態では、視線検出部17及び通信制御部19が発信側無線機10に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。視線検出部17及び通信制御部19は、例えば第2実施形態の構成と同様に、発信側無線機10及び受信側無線機20とは異なる別個の処理装置等に設けられてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、受信者P2A、P2Bとして、1人の受信候補者P2を特定する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、発信者P1が複数の受信候補者P2に視線を向けた場合、当該複数の受信候補者P2を受信者として特定可能な構成であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態の構成において、発信側無線機10、30と特定の受信者P2A、P2Bの受信側無線機20、50とが通話可能に接続されている状態の場合、当該状態を表示する表示部が設けられてもよい。第2実施形態においては、表示部42に当該状態が表示される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
P1…発信者、P2…受信候補者、Q2…候補者映像、EL…視線、EP…注視点、P2A,P2B…受信者、10,30…発信側無線機、11,43…眼球撮影部、12,22…音声入力部、13,23…音声出力部、14,24,44…通信部、15,25,35,45…制御部、16,26,61…入出力制御部、17…視線検出部、18,64…受信者特定部、19,29,39,66…通信制御部、20,50…受信側無線機、21…位置検出部、40…処理装置、41…候補者撮影部、42…表示部、62…画像認識部、63…注視点検出部、65…記憶部、100,200…無線通信システム
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