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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139791
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20220915BHJP
   E02F 3/38 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F3/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040328
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守田 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】加庭 啓充
(72)【発明者】
【氏名】大貫 将明
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015HA03
2D015HB04
2D015HB05
(57)【要約】
【課題】作業装置の組立作業を簡素化した作業機械を提供する。
【解決手段】作業機械は、基端が車体に回動可能に取付けられて、先端が取付部(11c)となった共通ブームと、共通ブームの取付部(11c)に対して着脱可能に固定される被取付部(11d)を有する継ぎブームとで構成されたフロント作業機と、共通ブームの取付部(11c)の一対の取付ボス(21a,21b)の間への継ぎブームの被取付部(11d)の突出部(31)の挿入をオペレータにガイドするガイド線(51)をカメラ(28)の映像に重ねて、ディスプレイ(9)に表示させるコントローラとを備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に回動可能に取付けられた作業装置とを備え、
前記作業装置は、基端が前記車体に回動可能に取付けられて、先端が取付部となった共通ブームと、前記共通ブームの前記取付部に対して着脱可能に固定される被取付部を有する継ぎブームと、を含んで構成された作業機械において、
前記共通ブームに取付けられたカメラと、
運転席に設けられたディスプレイと、
前記カメラの映像を前記ディスプレイに表示させるコントローラとを備え、
前記共通ブームの前記取付部には、一対の取付ボスが設けられており、
前記継ぎブームの前記被取付部には、前記一対の取付ボスの間に挿入された状態で前記一対の取付ボスに固定される突出部が設けられており、
前記カメラは、前記一対の取付ボスの上方で前記突出部に向けた状態で、前記共通ブームの上面に設けられており、
前記コントローラは、前記共通ブームの前記取付部の前記一対の取付ボスの間への前記継ぎブームの前記被取付部の前記突出部の挿入をオペレータにガイドするガイド線を前記カメラの映像に重ねて、前記ディスプレイに表示させることを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記ガイド線は、前記一対の取付ボスの間の中心位置を示す中心線であることを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機械において、
前記共通ブームの前記取付部には、前記車体の左右方向に離間して前記一対の取付ボスが複数設けられており、
前記継ぎブームの前記突出部は、複数設けれられた前記一対の取付ボスの位置に対応して複数設けられており、
前記運転席は前記車体の左右方向の一方側に設けられており、
前記カメラは、複数設けられた前記一対の取付ボスのうち、他方側の端部に位置する前記一対の取付ボスの上方に設けられていることを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械において、
前記一対の取付ボスそれぞれには、取付孔が形成されており、
前記突出部には、前記一対の取付ボスの間に挿入された状態で、前記一対の取付ボスそれぞれの前記取付孔に連通する被取付孔が形成されており、
連通した前記取付孔及び前記被取付孔に挿入されることによって、前記共通ブームに対して前記継ぎブームを固定するピンを備えることを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項4に記載の作業機械において、
前記車体は、前記共通ブームを回動させる油圧シリンダを備え、
前記共通ブームの前記取付部には、前記車体の上下方向に離間して前記一対の取付ボスが複数設けられており、
前記被取付部は、
上下方向に離間して配置された一対の前記突出部と、
上下方向の一方側の前記取付孔及び前記被取付孔に挿入された前記ピンを係止した状態で、前記共通ブームが上下方向の一方側に回動されることによって、上下方向の他方側の前記取付孔及び前記被取付孔を連通させるフックとを有し、
上下方向の一方側の前記突出部には、目印が付加され、
前記カメラは、前記目印及び上下方向の一方側の前記一対の取付ボスの両方を撮影可能な位置に配置されていることを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割可能な作業装置を備える作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ロングフロント等の大型のフロント作業機を備える油圧ショベルは、車体に対してフロント作業機が分割可能に構成されている。そして、このようなフロント作業機は、輸送時の寸法や質量の制限のために、運搬の際にはいくつかのピースに分割され、作業現場で再び組立てられる。
【0003】
フロント作業機を組み立てる方法の1つとして、特許文献1には、サブアッセンブリ状態のフロント作業機を置台に設置した状態で、キャブに搭乗したオペレータが車体及び共通ブームを操作することによって、車体側の共通ブームを継ぎブームに対して位置合わせする方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3699266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャブに搭乗するオペレータにとって、共通ブーム及び継ぎブームの取付位置は死角になる。また、共通ブーム及び継ぎブームの取付部分は、ガタの低減等の目的で隙間が狭く、高い精度での位置合わせが必要である。そのため、継ぎブームに対する共通ブームの位置合わせには、時間がかかるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記した実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、分割可能な作業装置を備える作業機械において、作業装置の組立作業を簡素化する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、車体と、前記車体に回動可能に取付けられた作業装置とを備え、前記作業装置は、基端が前記車体に回動可能に取付けられて、先端が取付部となった共通ブームと、前記共通ブームの前記取付部に対して着脱可能に固定される被取付部を有する継ぎブームと、を含んで構成された作業機械において、前記共通ブームに取付けられたカメラと、運転席に設けられたディスプレイと、前記カメラの映像を前記ディスプレイに表示させるコントローラとを備え、前記共通ブームの前記取付部には、一対の取付ボスが設けられており、前記継ぎブームの前記被取付部には、前記一対の取付ボスの間に挿入された状態で前記一対の取付ボスに固定される突出部が設けられており、前記カメラは、前記一対の取付ボスの上方で前記突出部に向けた状態で、前記共通ブームの上面に設けられており、前記コントローラは、前記共通ブームの前記取付部の前記一対の取付ボスの間への前記継ぎブームの前記被取付部の前記突出部の挿入をオペレータにガイドするガイド線を前記カメラの映像に重ねて、前記ディスプレイに表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業装置の組立作業を簡素化することができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る作業機械の代表例である解体車両の側面図である。
図2】キャブの内部を示す模式図である。
図3】継ぎブームに対面する面側から見た共通ブームの斜視図である。
図4】共通ブームに対面する面側から見た継ぎブームの斜視図である。
図5】解体車両のハードウェア構成図である。
図6】フロント作業機の組立作業の手順を示す図である。
図7】組立作業の開始直後の状態を示す図であって、(A)は共通ブーム及び継ぎブームの側面図を、(B)はディスプレイの表示例を示す。
図8】組立作業の過程で未だ目印とガイド線とが重なっていない状態を示す図であって、(A)は共通ブーム及び継ぎブームの側面図を、(B)はディスプレイの表示例を示す。
図9】組立作業の過程で目印とガイド線とが重なった状態を示す図であって、(A)は共通ブーム及び継ぎブームの側面図を、(B)はディスプレイの表示例を示す。
図10】第1ボス及び第2ボスの間に突出部が挿入された状態を示す図であって、(A)は共通ブーム及び継ぎブームの側面図を、(B)はディスプレイの表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る作業機械の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る作業機械の代表例である解体車両1の側面図である。なお、作業機械の具体例は解体車両1に限定されず、油圧ショベル、ホイールローダ、クレーン等であってもよい。また、本明細書中の前後左右は、特に断らない限り、解体車両1に搭乗して操作するオペレータの視点を基準としている。
【0011】
解体車両1は、建物などを解体するための作業機械である。解体車両1は、分解された状態で輸送されて、作業現場で組み立てられて使用される。図1に示すように、解体車両1は、下部走行体2と、下部走行体2に支持された上部旋回体3とを備える。下部走行体2及び上部旋回体3は、車体の一例である。但し、本発明に係る車体は、下部走行体2及び上部旋回体3に分かれていなくてもよい。
【0012】
下部走行体2は、左右一対のクローラ4を備える。そして、走行モータ(図示省略)の回転が伝達されて左右一対のクローラ4が回転すると、解体車両1が走行する。但し、下部走行体2は、クローラ4に代えて、装輪式であってもよい。
【0013】
上部旋回体3は、下部走行体2に旋回可能に支持されている。上部旋回体3は、旋回モータ(図示省略)の駆動力が伝達されることによって、下部走行体2に対して旋回する。上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、旋回フレーム5の前方左側に配置されたキャブ(運転席)6と、旋回フレーム5の前方中央に上下方向に回動可能に取り付けられたフロント作業機10(作業装置)とを主に備える。
【0014】
キャブ6は、左右方向(車体の幅方向)において、フロント作業機10に隣接して配置されている。より詳細には、キャブ6は、フロント作業機10の左方(左右方向の一方側)に配置されている。但し、キャブ6の配置は前述の例に限定されず、キャブ6は、左右方向におけるフロント作業機10の一方側に配置されていればよい。
【0015】
図2は、キャブ6の内部を示す模式図である。キャブ6には、解体車両1を操作するオペレータが搭乗する内部空間が形成されている。図2に示すように、キャブ6の内部には、オペレータが着席するシート7と、シート7に着席したオペレータが操作する操作装置8と、画像(映像)を表示するディスプレイ9とが設置されている。
【0016】
操作装置8は、例えば、上部旋回体3及びフロント作業機10を操作するための左右一対の操作レバー8a、8bと、下部走行体2を操作するための左右一対の走行ペダル8c、8d及び走行レバー8e、8fとを含む。そして、キャブ6に搭乗したオペレータが操作装置8を操作することによって、下部走行体2が走行し、上部旋回体3が旋回し、フロント作業機10が動作する。また、操作装置8は、ディスプレイ9に表示させる画像を切り替えるスイッチなどをさらに含んでもよい。
【0017】
フロント作業機10は、上部旋回体3に回動(起伏)可能に取り付けられている。図1に示すように、フロント作業機10は、ブーム11と、第1アーム12と、第2アーム13と、カッター(アタッチメント)14と、油圧シリンダ15、16、17、18とを主に備える。なお、アタッチメントはカッター14に限定されず、バケット、フック、リフティングマグネット、ブレーカ、フォークなどであってもよい。
【0018】
ブーム11は、上部旋回体3に回動可能に支持されている。ブーム11は、共通ブーム11aと、継ぎブーム11bとで構成される。共通ブーム11aは、その基端が上部旋回体3に回動可能に取り付けられている。また、共通ブーム11aの先端は、継ぎブーム11bを取り付ける取付部11c(図3参照)となっている。継ぎブーム11bは、共通ブーム11aの取付部11cに着脱可能に固定される被取付部11d(図4参照)を有する。すなわち、フロント作業機10は、共通ブーム11aと、継ぎブーム11bとの間で分割可能に構成されている。
【0019】
共通ブーム11aは、油圧シリンダ15の伸縮によって、上部旋回体3に対して回動する。共通ブーム11a及び継ぎブーム11bは、取付部11c及び被取付部11dがピン26、27によって固定されることによって、一体化される。そして、共通ブーム11aに固定された継ぎブーム11bは、共通ブーム11aと一体となって回動する。
【0020】
第1アーム12は、継ぎブーム11bの先端に回動可能に取り付けられている。また、第1アーム12は、油圧シリンダ16の伸縮によって、ブーム11に対して回動する。第2アーム13は、第1アーム12の先端に回動可能に取り付けられている。また、第2アーム13は、油圧シリンダ17の伸縮によって、第1アーム12に対して回動する。
【0021】
カッター14は、第2アーム13の先端に回動可能に取り付けられている。また、カッター14は、油圧シリンダ18の伸縮によって、第2アーム13に対して回動する。さらに、カッター14は、油圧シリンダ(図示省略)の伸縮によって開閉される。
【0022】
全ての油圧シリンダ15~18を縮小すると、図1に示すように、第1アーム12、第2アーム13、及びカッター14がブーム11の下方に折り畳まれて、第1アーム12及び第2アーム13の接続部分とカッター14の先端とが地面Gに接地する。フロント作業機10の継ぎブーム11bより先端側は、この状態で基台(図示省略)に設置することで自立する。そこで、継ぎブーム11bは、図1の姿勢で共通ブーム11aに着脱される。
【0023】
図3は、継ぎブーム11bに対面する面側から見た共通ブーム11aの斜視図である。図3に示すように、共通ブーム11aは、取付ボス21、22、23、24と、ピン保持部25と、ピン26、27と、カメラ28とを主に備える。
【0024】
取付ボス21、22、23、24は、共通ブーム11a(取付部11c)の先端面(以下、「取付面」と表記する。)において、上下方向及び左右方向に離間して配置されている。取付ボス21は取付面の右上隅に配置され、取付ボス22は取付面の左上隅に配置され、取付ボス23は取付面の右下隅に配置され、取付ボス24は取付面の左下隅に配置されている。
【0025】
取付ボス21、22は、左右方向に離間して配置された取付ボスの一例である。取付ボス23、24も同様である。なお、本実施形態では、取付ボス21、23と、取付ボス22、24とを、左右方向に離間した二箇所に設けているが、左右方向に離間した三箇所以上に設けられていてもよい。また、取付ボス21、23は、上下方向に離間して配置された取付ボスの一例である。取付ボス22、24も同様である。
【0026】
取付ボス21は、第1ボス21a及び第2ボス21bで構成される。第1ボス21a及び第2ボス21bは、取付部11cの右上隅において、左右方向に所定の間隔を隔てて配置されている。すなわち、取付ボス21は二股に分かれている。また、第1ボス21a及び第2ボス21bそれぞれには、左右方向に貫通する取付孔21c、21dが形成されている。なお、取付ボス22、23、24は、取付ボス21と同様の構成である。すなわち、取付ボス21、22、23、24は、それぞれが一対のボスで構成されている。
【0027】
ピン保持部25は、取付部11cの取付面において、取付ボス21、23と、取付ボス22、24との間に配置されている。ピン保持部25は、ピン26、27を左右方向にスライド可能な状態で保持する。ピン26、27は、上下方向に離間した位置において、ピン保持部25に保持されている。
【0028】
ピン26は、取付ボス21、22に対面する位置において、左右方向にスライドするピン26a、26bで構成されている。ピン27は、取付ボス23、24に対面する位置において、左右方向にスライドするピン27a、27bで構成されている。
【0029】
ピン26aは、左右方向にスライドすることによって、取付ボス21の取付孔21c、21dに挿抜される。より詳細には、ピン26aは、右方にスライドすることによって取付孔21c、21dに挿入され、左方にスライドすることによって取付孔21c、21dから抜去される。また、取付ボス21及びピン保持部25の間の係止領域Aには、常にピン26aが配置されている。
【0030】
ピン26b、27a、27bは、ピン26aと同様に、対応する取付ボス22、23、24の取付孔に挿抜される。すなわち、ピン26bは、左右方向にスライドすることによって、取付ボス22の取付孔に挿抜される。ピン27aは、左右方向にスライドすることによって、取付ボス23の取付孔に挿抜される。ピン27bは、左右方向にスライドすることによって、取付ボス24の取付孔に挿抜される。
【0031】
カメラ28は、後述するコントローラ40(図5参照)の制御に従って映像を撮影し、撮影した映像を示す映像信号をコントローラ40に出力する。カメラ28は、共通ブーム11aの背面(上面)に取り付けられている。また、カメラ28は、共通ブーム11aの先端近傍において、前斜め下方を向けて設置されている。さらに、カメラ28は、取付ボス21の上方で且つ第1ボス21a及び第2ボスの間に配置されている。
【0032】
すなわち、カメラ28は、左右一対の取付ボス21、22のうち、右側(車体の左右方向の端部)の取付ボス21が撮影可能な位置に設置されている。また、カメラ28は、上下一対の取付ボス21、23のうち、上側(上下方向の一方側)の取付ボス21が撮影可能な位置に設置されている。なお、「取付ボス21が撮影可能」とは、カメラ28の画角の中に取付ボス21が含まれていることを指す。
【0033】
図4は、共通ブーム11aに対面する面側から見た継ぎブーム11bの斜視図である。図4に示すように、継ぎブーム11bは、突出部31、32、33、34と、フック35、36と、当接部37、38とを主に備える。
【0034】
突出部31、32、33、34は、継ぎブーム11b(被取付部11d)の基端面(以下、「被取付面」と表記する。)において、上下方向及び左右方向に離間して配置されている。突出部31は被取付面の右上隅に配置され、突出部32は被取付面の左上隅に配置され、突出部33は被取付面の右下隅に配置され、突出部34は被取付面の左下隅に配置されている。
【0035】
突出部31、32は、左右方向に離間して配置された一対の突出部の一例である。突出部33、34も同様である。また、突出部31、33は、上下方向に離間して配置された突出部の一例である。突出部32、34も同様である。
【0036】
突出部31の左右方向の幅は、第1ボス21a及び第2ボス21bの間隔より狭い。すなわち、突出部31は、第1ボス21a及び第2ボス21bの間に挿入可能である。また、突出部31には、左右方向に貫通する被取付孔31aが形成されている。被取付孔31aは、第1ボス21a及び第2ボス21bの間に突出部31が挿入されることによって、取付孔21c、21dに連通する。そして、連通した取付孔21c、21d及び被取付孔31aには、ピン26aが挿抜可能になる。
【0037】
また、突出部31には、目印31bが付加されている。より詳細には、目印31bは、突出部31の先端に付加されている。より詳細には、目印31bは、フロント作業機10を組み立てる組立作業(詳細は後述)の過程において、突出部31の取付部11cに対面する位置に付加されている。換言すれば、目印31bは、組立作業の過程において、カメラ28によって撮影可能な位置に付加されている。目印31bは、光学的に周囲と区別できればよく、例えば、周囲と異なる色の塗装でもよいし、突出部31の表面に添付されたプレート等でもよい。
【0038】
突出部32、33、34は、突出部31と同様の構成である。すなわち、突出部32、33、34が二股の取付ボス22、23、24の間に挿入されることによって、対応する取付孔及び被取付孔が連通する。そして、連通した取付孔及び被取付孔には、ピン26b、27a、27bが挿抜可能になる。但し、突出部32、33、34には、目印が付加されていなくてよい。
【0039】
フック35、36は、左右方向における突出部31、32の間に配置されている。また、フック35、36は、被取付部11dの被取付面の上端に配置されている。また、フック35、36は、先端が下方に湾曲している。そして、フック35、36は、下方に開放された凹部35a、36aを有する。凹部35a、36aは、組立作業の過程において、係止領域Aのピン26a、26bを受け入れる。すなわち、フック35、36は、係止領域Aのピン26a、26bを係止する。
【0040】
当接部37、38は、左右方向における突出部33、34の間に配置されている。また、当接部37、38は、被取付部11dの被取付面の下端に配置されている。また、当接部37、38は、先端が凹んでいる。そして、当接部37、38は、組立作業の過程において、凹んだ部分がピン27a、27bに当接する。
【0041】
図5は、解体車両1のハードウェア構成図である。解体車両1は、コントローラ40を備える。コントローラ40は、解体車両1全体の動作を制御する。より詳細には、コントローラ40は、カメラ28から映像信号を取得し、取得した映像信号で示される映像を加工し、加工した映像をディスプレイ9に表示させる。
【0042】
コントローラ40は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、及びRAM(Random Access Memory)43を備える。コントローラ40は、ROM42に格納されたプログラムコードをCPU41が読み出して実行することによって、後述する処理を実現する。RAM43は、CPU41がプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
【0043】
但し、コントローラ40の具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0044】
図6図10を参照して、フロント作業機10を組み立てる手順を説明する。解体車両1は、本体側(下部走行体2、上部旋回体3、及び共通ブーム11a)と、作業機側(フロント作業機10の継ぎブーム11bより先端側)とが、作業現場まで別々に輸送される。そして、作業機側は、図1に示す姿勢で地面Gに載置される。
【0045】
図6は、フロント作業機10の組立作業の手順を示す図である。図7は、組立作業の開始直後の状態を示す図である。図8は、組立作業の過程で未だ目印31bとガイド線51とが重なっていない状態を示す図である。図9は、組立作業の過程で目印31bとガイド線51とが重なった状態を示す図である。図10は、第1ボス21a及び第2ボス21bの間に突出部31が挿入された状態を示す図である。また、図7図10において、(A)は共通ブーム11a及び継ぎブーム11bの側面図であり、(B)はディスプレイ9の表示例である。
【0046】
まず、キャブ6に搭乗したオペレータは、操作装置8を操作して、継ぎブーム11bの後方に車体を移動させる(S11)。これにより、図7(A)に示すように、共通ブーム11a及び継ぎブーム11bは、前後方向に離間した位置に配置される。また、共通ブーム11aの取付部11c(取付面)と、継ぎブーム11bの被取付部11d(被取付面)とが対面する。また、図7(B)に示すように、コントローラ40は、カメラ20によって撮影された撮影画像50に、ガイド線(ガイド画像)51を重ねてディスプレイ9に表示させる。
【0047】
撮影画像50は、カメラ28によって撮影された画像(映像)である。図7(B)に示すように、撮影画像50には、取付ボス21と、突出部31に付加された目印31bとが含まれる。すなわち、カメラ28は、組立作業の過程において、取付ボス21及び目印31bの両方が撮影可能な位置に配置される。また、撮影画像50には、上部旋回体3の右前方の領域が含まれる。
【0048】
ガイド線51は、取付ボス21の第1ボス21a及び第2ボス21b間への突出部31の挿入をオペレータにガイドする直線である。ガイド線51は、取付ボス21の第1ボス21a及び第2ボス21b間に突出部31を挿入する時の位置合わせ用のガイドとなる直線である。ガイド線51は、第1ボス21a及び第2ボス21bの間の中心位置を示す中心線である。すなわち、ガイド線51は、取付ボス21及び突出部31が左右方向に位置合わせされたときに、目印31bに重なる位置に表示される。より詳細には、ガイド線51は、二股の取付ボス21の間に突出部31が進入可能になったときに、目印31bに重なる位置に表示される。本実施形態に係るガイド線51は、カメラ20の画角の中心位置を通り、上下方向に延びる直線である。また、本実施形態に係るガイド線51は、撮影画像50の左右方向の中央において、上下方向に延びる直線である。
【0049】
そこで、オペレータは、ディスプレイ9を見ながら操作装置8を操作することによって、撮影画像50に含まれる目印31bがガイド線51に重なるように車体を左右方向に移動させると共に、共通ブーム11aが継ぎブーム11bに近づくように車体を前進させる(S12)。また、オペレータは、上部旋回体3を旋回させて、目印31b及びガイド線51が重なるように微調整してもよい。
【0050】
車体を前進させると、図8(A)に示すように、共通ブーム11a及び継ぎブーム11bが近接する。これにより、図8(B)に示すように、撮影画像50内に目印31bが大きく表示され、目印31bとガイド線51との左右方向のずれが明確になる。そして、図9(B)に示すように、撮影画像50内の目印31bがガイド線51に重なると、共通ブーム11aと継ぎブーム11bとの左右方向の位置合わせが完了する。
【0051】
次に、オペレータは、第1ボス21a及び第2ボス21bの間に突出部31が挿入されて、取付孔21c、21d及び被取付孔31aが連通するまで(S13:No)、車体をまっすぐ前進させる。取付孔21c、21d及び被取付孔31aが連通したことは、例えば、解体車両1の周囲で組立作業を監視する監視員が目視確認して、キャブ6内のオペレータに通知すればよい。
【0052】
次に、図10に示すように、取付孔21c、21d及び被取付孔31aが連通すると(S13:Yes)、ピン26aを右方にスライドさせることによって、連通した取付孔21c、21d及び被取付孔31aに挿入する(S14)。このとき、取付ボス22の取付孔及び突出部32の被取付孔も連通しているので、ピン26bを左方にスライドさせることによって、連通した取付孔及び被取付孔に挿入する。
【0053】
一方、この時点では、下側の取付ボス23、24の取付孔及び突出部33,34の被取付孔は、未だ連通していない。また、係止領域Aのピン26a、26bは、フック35、36より下方に位置し、且つ上下方向において凹部35a、36aに対面している。
【0054】
次に、オペレータは、操作装置8を操作することによって、共通ブーム11aを起立(すなわち、油圧シリンダ15を伸長)させる(S15)。これにより、係止領域Aのピン26a、26bが凹部35a、36aに進入し、さらにフック35、36に係止された状態で上昇する。その結果、継ぎブーム11bは、共通ブーム11aの起立に追従して、第1アーム12との接続部分を基点として回動する。
【0055】
そして、オペレータは、下側の取付ボス23、24の取付孔及び突出部33,34の被取付孔が連通するまで、共通ブーム11aを起立させる操作を継続する。取付ボス23、24の取付孔及び突出部33,34の被取付孔が連通したことは、例えば、解体車両1の周囲で組立作業を監視する監視員が目視確認して、キャブ6内のオペレータに通知すればよい。
【0056】
次に、取付ボス23、24の取付孔及び突出部33,34の被取付孔が連通すると、ピン27a、27bを左右にスライドさせることによって、連通した取付孔及び被取付孔に挿入する(S16)。これにより、共通ブーム11aに対する継ぎブーム11bの取付作業(すなわち、フロント作業機10の組立作業)が完了する。
【0057】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0058】
上記の実施形態によれば、オペレータは、撮影画像50内の目印31bがガイド線51に重なるように、下部走行体2の左右方向の位置を微調整することによって、取付ボス21~24及び突出部31~34の左右方向の位置合わせをすることができる。すなわち、取付ボス21~24及び突出部31~34の左右方向の位置ずれの程度を確認しながら操作装置8を操作することができるので、フロント作業機10の組立作業が簡素化される。
【0059】
また、上記の実施形態によれば、キャブ6が共通ブーム11aの左方(車体の左右方向一方)に配置され、右側(車体の左右方向の他端)の取付ボス21を撮影可能な位置にカメラ28が配置されている。これにより、カメラ28は、キャブ6から死角になる上部旋回体3の右前方の領域を撮影することができる。その結果、キャブ6に搭乗するオペレータは、上部旋回体3の右前方の状況を確認しながら、組立作業を行うことができる。但し、キャブ6が共通ブーム11aの右方に配置されている場合、左側の取付ボス22を撮影可能な位置にカメラ28を配置すればよい。
【0060】
また、上記の実施形態では、上側の取付ボス21、22及び突出部31、32を位置合わせした後に、下側の取付ボス23、24及び突出部33、34を位置合わせするので、上側の取付ボス21が撮影可能な位置にカメラ28を設置する。これにより、組立作業を簡素化することができる。但し、下側の取付ボス23、24及び突出部33、34を先に位置合わせする場合は、下側の取付ボス23、24の一方を撮影可能な位置に、カメラ28を設置すればよい。
【0061】
すなわち、カメラ28は、上側の取付ボス21、22及び下側の取付ボス23、24のうち、先に位置合わせする側を撮影可能な位置に配置されるのが望ましい。換言すれば、カメラ28は、上側の取付ボス21、22及び下側の取付ボス23、24のうち、フック35、36に係止されるピン26a、26bが挿入される側を撮影可能な位置に配置されるのが望ましい。さらに換言すれば、カメラ28は、上側の取付ボス21、22及び下側の取付ボス23、24のうち、凹部35a、36aが開放された方向(本実施形態では、下方)と反対側を撮影可能な位置に配置されるのが望ましい。
【0062】
なお、上記の実施形態では、二股の取付ボス21~24の間に、突出部31~34が挿入される例を説明したが、取付ボス21~24と突出部31~34の形状はこれに限定されない。他の例として、二股の突出部31~34が取付ボス21~24を挟むように構成されていてもよい。この場合、カメラ28は、取付ボス21の左右方向の厚みの中央に配置されるのが望ましい。また、目印31bは、二股の突出部31の間の奥壁に付加されるのが望ましい。
【0063】
また、ディスプレイ9に表示される画像(映像)は、切替可能であってもよい。例えば、ディスプレイ9には、組立作業時はカメラ28で撮影された画像が表示され、解体車両1の作業時或いは走行時には上部旋回体3の後方を撮影するカメラ(図示省略)で撮影された画像が表示されてもよい。また、ディスプレイ9に表示される画像は、操作装置8が備えるスイッチによって手動で切り替えられてもよいし、コントローラ40によって自動で切り替えられてもよい。
【0064】
さらに、図7(B)に示すように、共通ブーム11aと継ぎブーム11bとの距離が遠いと、オペレータは、目印31bとガイド線51との左右方向の位置関係を認識しにくい。そこで、カメラ28は、撮影倍率を変更可能であってもよい。そして、コントローラ40は、カメラ28から継ぎブーム11bまでの距離が遠いほど、カメラ28の撮影倍率を高くしてもよい。
【0065】
一例として、コントローラ40は、撮影画像50に含まれる目印31bが所定の大きさになるように、カメラ28の撮影倍率を調整してもよい。他の例として、操作装置8は、撮影倍率を調整するオペレータの操作を受け付けてもよい。そして、コントローラ40は、カメラ28の撮影倍率を、操作装置8を通じてオペレータから指定された撮影倍率に調整してもよい。
【0066】
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 解体車両
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 クローラ
5 旋回フレーム
6 キャブ
7 シート
8 操作装置
8a,8b 操作レバー
8c,8d 走行ペダル
8e,8f 走行レバー
9 ディスプレイ
10 フロント作業機(作業装置)
11 ブーム
11a 共通ブーム
11b 継ぎブーム
11c 取付部
11d 被取付部
12 第1アーム
13 第2アーム
14 カッター(アタッチメント)
15,16,17,18 油圧シリンダ
21,22,23,24 取付ボス
21a 第1ボス
21b 第2ボス
21c,21d 取付孔
25 ピン保持部
26,27,26a,26b,27a,27b ピン
28 カメラ
31,32,33,34 突出部
31a 被取付孔
31b 目印
35,36 フック
35a,36a 凹部
37,38 当接部
40 コントローラ
41 CPU
42 ROM
43 RAM
50 撮影画像
51 ガイド画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10